搾精都市神浜~魔法少女たちのエッチな短編集~ 作:黒蓮/クロハス
放課後の校舎は、奇妙なほどに静まり返っていた。
神浜市立大学附属学校中等部、東塔の北側。窓の外はもう薄闇に沈みかけていて、廊下の蛍光灯は半分ほどしか点いていない。残った灯りが、磨き込まれたリノリウムの床に細長い反射を落とし、そこにふたつの小さな影法師が落ちている。
ひとつは、淡い水色のツインテールを揺らした少女。
もうひとつは、オレンジのケープを羽織った、それより一回り背の低い少女。
ふたりとも、もう制服姿ではなかった。すでに魔法少女の衣装に変身を済ませている。本来なら魔女の領域に踏み込むときの装いだ。それを、ただの校内調査ごときに引っ張り出している自分たちのことを、レナは内心ではちょっと馬鹿らしいと思っていた。
「……ねえ、かえで」
「ふぇっ、な、なに、レナちゃん」
「アンタさ、本気で信じてんの? その、なんちゃらって階段のウワサ」
水色の髪をひと束、指先でくるくると弄びながら、レナは横目で隣を見下ろした。鋭い目つきと、薄く笑みを刷いた唇。それだけで、相手をひと刺しできる程度には威圧的な顔だ。本人にもその自覚はある。あって、それでも止められない。
「そ、そりゃ、信じてるっていうか……ウワサ、ちゃんとあるんだもん」
オレンジのケープの裾を両手でぎゅっと握りしめて、秋野かえでが口ごもる。栗色の大きな瞳が不安げに揺れていて、首元の深紅のスカーフが、その動揺に合わせて微かに上下していた。
「絶頂階段、っていうの……えと、自分の名前を六段目に書いて、絶頂させたい相手の名前を七段目に書くと、その相手が、ええと……」
「絶頂しちゃう、ってんでしょ。聞いた聞いた」
レナは鼻で笑った。
「バッカじゃないの。なに考えてんのよ、この学校の生徒は。中等部だっつーの、健全に勉強しなさいよって話。だいたい何、絶頂って。エッチな話過ぎでしょ。下品。最低」
「ふゆぅ……レナちゃん、こ、声、おっきい……」
「誰も聞いてないわよ。っていうか、いたらいたで馬鹿にしてやんの。こんなとこに来てるアンタも私も含めて」
言いながら、レナはもう階段の踊り場に足を踏み入れていた。
四階から屋上へと続く、狭い階段。手すりのペンキは半分ほど剥げかかって、踏み面のリノリウムには長年の汚れが薄黒く沈殿している。三十段──この三十段が、絶頂の舞台らしい。
レナは段数を数えるように視線を上へ滑らせた。一段、二段、三段、と数えていって、五段目で止める。その上の段──六段目と七段目に、ちょこんと、白いチョークの跡がついていた。
「あ……ほんとだ。落書きあるね、レナちゃん」
「そりゃそうでしょ、ウワサがあるんだから書く奴もいるってこと。誰かが消した跡もあるわね、これ。学校側もアホらしくて消すのも面倒なんでしょ」
半笑いで肩をすくめながら、レナはケープの内側に手を入れて、白いチョークをひとつ取り出した。来る前に職員室前の落とし物ボックスから拝借したものだ。
「あの、レナちゃん、それ……」
「決まってるじゃん。書くのよ、名前」
「ふゆっ!?」
ぱきり、と、チョークの先が踏み面に触れる。乾いた音が、薄暗い階段に小さく響いた。
「だ、ダメだよ、レナちゃん、危ないよ! その、ウワサで、本当に絶頂しちゃったって人もいるって……!」
「いるわけないでしょ、そんなの。ウワサに尾ヒレってやつ。誰かがその辺で気持ちよくなっちゃっただけのことを、階段のせいにしてんのよ。バカみたい」
レナは六段目に膝をついて、迷いのない筆致で名前を書き殴った。
──水波レナ。
四文字。少しトゲのある、自分でもあまり好きではない名前。書くたびに、どうしてこんな名前なんだろうと思う。波って。水って。詩的なフリして中身がスカスカみたいな。
「次、七段目ね」
「待って、待って待って待って、レナちゃん」
かえでが慌てて階段の下から手を伸ばす。けれどレナの腕は止まらない。チョークの先が、七段目の踏み面に踊って──。
──秋野かえで。
「ふぁああ!?」
オレンジのケープがふわりと跳ねた。臍の出る短い丈のケープから覗く白い肌が、夕闇のなかで一瞬きゅっと縮こまる。
「な、なに書いてんのレナちゃん!? わ、私の名前っ、なんで!?」
「そりゃアンタの名前書くしかないでしょ。私が私を絶頂させてどうすんの。それともなに? 書くなら自分の名前だけ書くべきだったって? それはそれで自爆じゃないアンタ」
「そっ、そういう問題じゃなくてっ……!」
「だぁいじょぶだって。どうせこんなのウワサ。ガセ。何も起きやしないわよ」
レナはちらりと振り返って、踊り場で半泣きになっているかえでに、薄く笑ってみせた。
「いい? 今からレナがこの階段、上から下まで往復してあげる。ぜーんぶ三十段ぴったり。それで何にも起きなかったら、アンタ、ウワサに踊らされたバカってことで決定。明日からチームで一番のおバカ担当ね」
「ふゆぅ……そ、そんなぁ……」
「ふふ。じゃ、行ってきまーす」
水色のツインテールを揺らして、レナはひらりと階段に足をかけた。白いブーツの底が、踏み面の埃を小さく蹴る。一段、二段、三段。チョークで書いた自分の名前を踏み越え、すぐにかえでの名前も踏み越える。何の感慨もない。ただの落書きを、ただ踏んでいるだけ。
「レ、レナちゃーん……ほんとに大丈夫……?」
階段の下から、心細げな声が追いかけてくる。両手をきゅっと胸の前で握りしめて、上目遣いにこちらを見上げてくるかえでの顔が、踊り場の薄明かりにぼんやり照らされていた。
──ほんっと、こいつ、こういうとこ可愛いんだよなぁ。
レナは内心で小さく舌打ちする。可愛いと思ったことを認めるのが癪で、舌打ちまでして打ち消したくなる、自分のそういうところが、本当に大嫌いだった。
「だぁいじょうぶだってばぁ。ほら、もう半分。なーんにも起きてない。ほらー、見て見て、こんな調子よ」
からかうように身体をひねって、レナは階段の半ばで肩越しに振り返ってみせた。水色のツインテールがゆるく揺れて、紺色のリボンチョーカーが鎖骨の上で小さく跳ねる。
「アンタって、ホント臆病な弱虫よね。そんなんで魔法少女やってけてんのが奇跡。次の戦闘で、ももこが守ってくれなくなったらどうするのよ?」
「……レ、レナちゃんの意地悪……」
「事実でしょー? ふふっ」
軽口を叩きながら、レナはまた階段に向き直った。残り十段ほど。踏み面の汚れを目で追いながら、もう少しで屋上のドアに手が届く、と──そう思った、その瞬間。
ぴくり、と。
下腹の奥で、何かが、勝手に、跳ねた。
「……っ、え」
ツインテールの先が、ぴたりと止まる。
水色の髪に縁取られた頬に、ふっと血の気が上る。何の前触れもなかった。何の予兆も、何の心当たりも、何の脈絡もなかった。ただ、ふっと、お臍の少し下あたりが、誰かに指で押されたみたいに──奥から、ぞくりと、痺れた。
あれ。
あれ、これ、あれ。
「な、んで……」
声が、勝手に上ずった。
膝が、笑った。
階段の上で、レナは──息を呑んだ。
◇ ◇ ◇
奥が、痺れる。
お臍の下、それより少し奥の、奥の、奥の。誰にも触られていない場所が勝手に、ぐぅっと内側へ向かって締まっていく。引き絞られる。膨らむ。風船を口で膨らますときみたいに、奥のほうがじわっと熱を持って張り詰めていく。
「な……な、に、これっ」
水色のツインテールが、首を振るたびにふわりと跳ねた。ふっと膝が抜ける。レナはとっさに階段の手すりに手を伸ばし、白いブーツの爪先で踏み面を蹴って体を支えた。
けれど、もう遅い。
遅かった。
とっくに、レナの身体の中では──奥のほうが、勝手に、来ていた。
「ぁ……あ、ぁあ、う、嘘ぉ……っ」
目の前がチカチカする。階段の薄汚れた踏み面の縁が、白く溶けて滲む。耳の奥が遠くなる。鼓動が、どくん、どくん、と耳の中で殴りつけてくる。
その鼓動と同じリズムで、奥の壁が、ぎゅうっ、ぎゅううっ、と勝手に痙攣しはじめた。
……っ、んあ──!
「──ぁあ゛ぁぁあ゛ぁぁぁッ!?!?♡♡♡」
ついに、声がほどけた。
レナ自身の意思とは無関係な場所から、喉を引き裂くようにして引きずり出された絶叫。鋭い目つきが、ぐわりと見開かれる。きれいに整っていた口元が、限界まで引き裂かれるように開いて、紅い舌の先がだらりと顎の下まで覗いた。
「レ、レ、レナちゃんっ!?」
階段下で、かえでが悲鳴のような声を上げる。けれどレナにはもう、その声が遠い遠い水の底から響いてきているようにしか聞こえない。
「ぃ、ぃい、イクっ、イッく、イクイクイクイクッ♡♡♡ んなぁ゛あ゛あ゛ぁぁッ♡♡」
階段の上、足元の覚束ない一段目に、レナはずるりと膝をついた。
ついた、その瞬間。
ぶしゃあああ──ッ。
水色のパンティーの股布が、内側からの圧に押されて、限界まで膨らんだ。膨らんで、繊維が悲鳴を上げて、そして。
貫通した。
飛沫が、本当に、生地を裂くように飛んだのだ。階段の踏み面に、ぴしゃっ、ばしゃっ、と無数の点が打ちつけられて、すぐに筋になって流れ落ちていく。淡い水色だった生地が、股の真ん中だけ、痛いぐらいの濃紺に色を変えて、そこからとめどなく雫を垂らしている。
「ふ゛ぁッ♡ あ゛、あ゛、あ゛、出っ……出てっ……止まっ、止まんっ、なぁい゛ッ♡♡♡」
濁った悲鳴が、屋上手前の天井に跳ね返って戻ってくる。
止まらないのは、潮だけではなかった。
絶頂が、止まらない。
一発来た、と思ったら、もう次が来ている。引いていく波の余韻すら許されないまま、また奥の壁が、ぎゅうっ、と内側へ収斂して、奥の奥のもっと奥から、二発目が打ち上がってくる。それが収まる前に三発目が、四発目が──。
「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛ッ♡ ま、まだ、まだイってんのにっ、まだ来っ……んな゛あ゛ぁッ♡♡♡」
もう手すりに掴まっていられない。
レナは指を離した。離さざるを得なかった。両手は勝手に下りていって、自分の股のあいだを押さえつけている。スカートの裾を内側からたくし上げて、両の手のひらで、噴き出してくる場所を必死に塞ごうとしている。
けれど、塞げない。
「やっ、やだ、やだやだやだぁッ♡♡ なんでっ、なんで止まんないのよぉ゛ッ♡♡♡」
指の間から、潮が噴く。
ぴゅっ、ぷしゃっ、ぴしゃあああッ。
握りしめた両手の隙間を、まるで蛇口を握り潰したみたいに細い筋が幾本も貫いていく。ある筋は階段の手すりまで届き、ある筋は自分のニーソックスの太腿まで跳ね返り、ある筋は黒のフィンガーレスグローブの甲を熱く濡らしていった。
甘ったるい、けれど少しだけ刺すような匂いが、薄暗い階段に充満しはじめる。
「やっ……やだ、見ないっ、見ないでっ、かえで、見ないでっ──ぁあ゛ぁッ♡♡♡」
悲鳴のあいだに、ようやく一瞬だけ、かえでの存在を思い出す。
けれど次の瞬間にはもう、奥がまた跳ねて、レナの意識は真っ白に塗り潰された。
「ふぁ゛っ♡♡ ぃやぁ゛、ぁあ、また、また来るっ、来っ……っ、んぃ゛い゛い゛ッ♡♡♡」
白いブーツの爪先が、踏み面の上でぴくぴく跳ねる。膝が勝手に左右に開いていく。閉じようとしても、太腿の内側の筋肉が痙攣に支配されていて、自分の意思では一ミリも動かせない。
逆だ。むしろ、開く。
大きく、はしたなく、これ以上ないってくらいに、開いていく。
階段の上で、両足を「く」の字に大きく開いて座り込んだレナの、青いスカートのレイヤードがめくれて、ピンクの内側フリルがふわりと広がった。その中央──水色のパンティーが内側から完全にずぶ濡れになって、生地越しに、おまんこの形がうっすら浮かび上がっている。
ぷっくりと膨らんで、ヒクヒクと内側へ向かって痙攣している、その輪郭。
その上端、ちょうど恥骨の真上のあたりに、ぴんと尖った小さな突起の影。
ビンビンに勃起して、生地を内側から押し上げているクリトリスだ。
潮に溶け落ちてふやけた水色の布の向こうから、それは、まるで主張するみたいに自分の存在を訴えてきていた。
「やっ、やぁだぁッ♡♡ 脱げっ、脱げないっ、こ、これっ、脱がせてっ、脱がせてよぉ゛ッ♡♡♡」
レナは半泣きで叫びながら、震える指でパンティーの腰ゴムに爪を引っかけた。
まともに脱げる動きじゃない。途中で何度も指が滑って、自分の太腿を引っ掻いて、それでも「邪魔っ、邪魔ッ、邪魔ぁ゛ッ♡」と濁音まじりに喚き散らしながら、無理やり片足だけ引き抜く。引き抜いた拍子に、水色のパンティーが白いブーツの上で蛇のようにくしゃくしゃに丸まって、足首にだらしなく絡みついた。
露わになった、剥き出しの股座。
その瞬間に、また、来た。
ぶしゃあああッ──!
今度は何の障害物もなかった。
ヒクつくおまんこの口から、剥き身のクリトリスのすぐ下から、透明な液が真下に向かって弧を描いた。その弧は階段の手前の段に、薄く水たまりを作って、そこから次の段へ、次の段へと、するすると流れ落ちていく。
「ぁ゛あ゛あ゛あ゛ッ♡♡♡ 出てっ、出てぇ、出てるっ、レナのおまんこ、こわっ、こわれっ、こわれるぅ゛ッ♡♡♡」
もう、自分が何を言っているのか分からない。
強気だった声さえも、いまや喘ぎ声に呑み込まれて、ただの濁った音になっている。
「レ、レナちゃん……っ! レナちゃん、レナちゃん──!」
階段下、かえでが両手で口を覆って震えている。半歩、上ろうとして、半歩、下がる。栗色の瞳に涙がじわっと滲んで、深紅のスカーフの結び目を握りしめる手に、ぎゅっと力が入った。
「だ、ダメ、だよ、レナちゃん、降りて、降りなきゃっ……!」
「ぁ゛っ♡ ふっ……ぁ、お、降りっ……無理っ、無理む゛りぃッ♡♡♡」
かえでに向かって何かを返事したつもりだった。
けれどレナの口から漏れ出たのは、半分以上が獣の唸りに近い濁った叫びで、ろくに言葉になっていない。それでも、自分の身体を引きずるように、レナは階段の上で四つん這いになろうとした。
なろうとして──失敗した。
肘が笑う。膝が滑る。爪先が踏み面を蹴る。けれどそのすべてが、絶頂の波に呑み込まれた身体には、ぐにゃぐにゃに崩れ落ちる動作にしか繋がらない。
四つん這いになった瞬間に、お尻だけが高く跳ね上がった。
それから、勝手に、開いた。
膝立ちのまま、両膝が左右に大きく開いていって、ガニ股気味に踏み面を踏みしめる体勢。スカートが完全にめくれ落ちて、剥き出しの白いお尻と、そのあいだのずぶ濡れになったおまんこが、階段の下のかえでに向かって正面から晒される姿勢。
「いやっ、いやぁ゛、見ないでっ、見ないでよっ、かえでぇ゛ッ♡♡♡」
言葉とは裏腹に、お尻はもっと突き出されていく。
脳のどこかで「これ最悪、これ一生後悔するやつ」と冷静な部分が叫んでいる。けれど、その声は奥から噴き上がってくる絶頂の波に瞬時に呑まれて、消えていく。
ぶしゃっ、ぴしゃっ、ぴゅるるるるッ。
突き出されたお尻の下から、まるで打ち上げられた水柱みたいに潮が高く跳ねた。階段の段差を二段飛ばしで濡らして、白い飛沫がふたりの少女のあいだに虹色の薄霧をつくる。
「あ゛、ぁ゛あ゛、んぁ゛あ゛ッ♡♡ とま、止まっ、んな、んなぁい゛ぃ゛ッ♡♡♡」
ガニ股のまま、レナの身体は次第に階段の前のめりに崩れていく。
四つん這いから、頭が下に。お尻が上に。胸を踏み面に擦りつけるような姿勢で、白いブーツの爪先だけが上の段にかかっている。──まんぐり返しに似た、けれどそれよりもっと無様な体勢。胸の谷間が踏み面の埃まで擦って、紺色のリボンチョーカーが鎖骨の下に食い込んで、自分の喉を絞めている。
「ぁ゛、ぐっ、ふぐぅ゛ッ♡♡♡ ぃっ、ぃイぐっ、まだイぐっ、イぎっぱなしぃッ♡♡♡」
白目が、すこし覗いた。
焦点の合わない水色の瞳が、ぐらりと上を向く。けれどすぐに、また奥が跳ねて、瞳孔がぎゅっと収縮して、戻ってくる。戻ってきたかと思えば、また跳ねて、また泳ぐ。意識の錨が、おまんこの収縮ひとつで何度も引きちぎられている。
「ふぁ゛、ぁあ゛、ぁあ゛あ゛あ゛ッ♡♡♡ お、おまんこっ、レナのおまんこっ、こわれっ、こわれるっ、こわれっちゃうぅ゛ッ♡♡♡」
ガクン、と。
膝が崩れた。
まんぐり返しの体勢を保てなくなって、レナはずるりと階段を一段、滑り落ちる。一段の落差に、過敏になりすぎた身体は耐えられなかった。
お尻が下の段にぶつかった、その衝撃だけで、また奥が爆ぜる。
「んぃ゛い゛い゛い゛ッ♡♡♡」
絶叫。背中が反り返る。階段の手すりにぶつかる。跳ね返って、また滑り落ちる。
もう、止まらない。
レナの身体は、自分の意思を完全に置き去りにして、転がっていく。
一段、二段、三段──。
水色のツインテールが踏み面に叩きつけられて、ぴしゃ、と潮の水たまりに沈む。背中が反り、腰が跳ね、ガニ股に開いた両足が階段の手すりに何度もぶつかる。そのたびに、おまんこからは新しい潮が噴き出して、白いブーツのつま先が空を蹴り、紺色のサッシュベルトが捻れ、肩のオフショルダーがずれて鎖骨が剥き出しになる。
絶頂したまま、絶頂したまま、絶頂したまま、転げ落ちていく。
「ぁ゛、ぃ、んぃ゛ッ♡ あ゛ッ♡ ぁ゛ぁ゛ッ♡♡ ぐっ、んぐっ、ふぐぅ゛ッ♡♡♡」
声が一段ごとに途切れて、また繋がる。
魔法少女の身体が頑丈なのは、こういうときばかりは恨めしいくらいだった。本来なら気を失えるはずの衝撃が、意識をぐるぐる回しているだけで、ちっとも遮断してくれない。一段落ちるごとに、お尻に、背中に、踵に、衝撃が走る。その衝撃が、すべて奥のほうに直結して、絶頂のスイッチを叩きつける。
階段の中ほどで、ぐるん、と一回転。
最後の数段は、ほとんど雪崩のように。
レナの身体は、踊り場の廊下に投げ出された。
「レ、レナちゃんっ──!」
かえでが両手を伸ばして駆け寄る。けれど触れることはできない。触れようとして、その指先が止まる。
廊下に投げ出されたレナの姿は、もう、誰の目にも、ただの絶頂の塊だった。
仰向けに倒れた身体が、びくっ、びくっ、と跳ねる。ピンクのフリルシュシュをつけた水色のツインテールが、廊下の床にぐしゃぐしゃに広がっている。鋭かった目つきは、いまや完全に蕩けきって、半分白目を剥いて、焦点も合わない。
「ぁ゛っ♡ あ゛、ぅ、んぐっ……ぁ゛あ゛、出ぇ、出てるぅ゛ッ♡♡♡」
大きく開いた口の端から、唾液がこぼれて頬を濡らしていく。引きずり出された舌が、自分の頬骨の横にだらりと垂れて、ぴくっ、ぴくっ、と痙攣に合わせて震えている。──女の子が、しちゃいけない顔。誰にも見せちゃいけない顔。アヘ、と発音されるのが何より似合う、その表情。
「あ゛ぁ……っ、んな゛、んなぁ゛、ぃ、イぐっ、イっぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ッ♡♡♡」
仰向けの身体の下に、潮の水たまりがじわじわと広がっていく。
ガニ股に開いたままの両足、その付け根から、もう何度噴いたかも分からない透明な液体が、ひっきりなしに溢れ出している。途切れたかと思えばまた噴いて、噴いたかと思えばまた途切れて、ぴゅっ、ぴゅっ、ぷしゃあっ、と一定のリズムにすらならない不規則な吐き出しを繰り返す。
甘い、すこし潮っぽい、女の子の匂い。それが、廊下に充満していく。
そのうちに、その水たまりに、別の色の液体が混ざりはじめた。
ほんの少しだけ、黄色味を帯びた──。
「ぁ゛、あ゛、あ゛、ぁ……出ちゃっ、出ちゃっ、もうっ、もう何が出てるかも分かんなっ……ぁああ゛あ゛ッ♡♡♡」
失禁。
最後の砦みたいな膀胱の括約筋まで、絶頂の波に押し流されて緩んでしまったのだ。レナのおまんこから漏れ出る液体は、もう、潮なのか愛液なのかおしっこなのか、本人にも、見ている側にも、判別がつかない。
ただ、出続けている。
全部、出続けている。
水色のツインテールの先まで、自分の体液で濡れそぼちながら。
「あ゛……ふぅ……ぅ、ふぅ……っ♡♡」
白目を剥いて、舌を出して、涎を垂らして、潮を撒いて、おしっこを漏らして。
水波レナという少女は、ようやく──意識を、手放した。
手放してなお。
彼女のおまんこは、勝手に、痙攣を続けている。
ヒクン、ヒクン、ヒクン、と。
持ち主の許可を取らずに、自分の意思で、絶頂を続けている。
「レ、レナちゃん……レ、レナちゃん……うそ、うそでしょ、うそ、うそうそうそぉ……」
その光景の前で、秋野かえでだけが、立ち尽くしていた。
深紅のスカーフを、震える指で、ぎゅうっと握りしめながら。
◇ ◇ ◇
「うそ、うそ、うそだよぉ……レナちゃん、レナちゃん起きて、起きてよぉ……」
膝が、笑っている。
かえではへたり込みそうになる足を必死に踏ん張りながら、自分の体液の海に沈んで痙攣を続ける親友のもとへ、一歩、また一歩と近づいた。けれど怖い。怖くてたまらない。レナの開きっぱなしの太腿のあいだから、いまもひっきりなしに透明な液体が噴き上がっていて、その水しぶきが、廊下の床を打って、そのまま、かえでの白いニーソックスの爪先まで届いていた。
「ふゆぅ……っ、レ、レナちゃん、私、わ、私っ、ももこちゃん呼んでくるね、ね、ね、すぐ呼んでくるからっ……」
呼んでくる、と言ったところで、足が動かない。
というより、動かしかけて──気づいたのだ。
階段の方から、かえで自身の身体に向かって、ぞわっ、と這い登ってくる、嫌な気配の存在に。
お臍の下が、痺れた。
誰かに後ろから抱きしめられたみたいに、下腹のいちばん深い場所が、ふっと熱を持って、勝手に締まる。
あ。
あ、あ、あれ。
あれって、まさか。
「……ふ、ふゆ……?」
その瞬間、世界が真っ白に弾けた。
「ふぅ゛ッ!?!?♡♡♡」
短い悲鳴。喉から押し出されるみたいに、ひゅっ、と声が裏返る。
次の瞬間、かえでの身体は、ぴしゃあああッ、と激しい音を立てた。
オレンジのケープがふわりと跳ねる。茶色のショートパンツの股間部分──そのちょうど真ん中が、内側から押し出された圧力で、急速に色を変えていく。乾いた茶色の生地が、見るみるうちに濃い濡れ色に染まって、そして次の瞬間には、その生地越しに、太い飛沫の柱が前方斜め下に向かって噴出した。
ショートパンツを貫通したのだ。
レナと、まったく同じだった。
「ふ、ふぁっ、ふぁあ゛あ゛あ゛ッ!?!?♡♡♡」
臆病で気弱な、いつもの「ふゆぅ」とはまるで別物の叫びが、廊下の天井に跳ね返った。
かえでの両膝が、ぐらりと揺れる。栗色の瞳がぐわっと見開かれて、たれ目気味の優しい目元が、限界まで吊り上がる。普段の、自然と人を安心させる柔らかい顔は、もうそこにはなかった。代わりにあるのは、何かに「捕まった」獲物の、引きつった、剥き出しの表情。
「な、なんっ……なんで、なんでっ、私もっ、わたしもなんでっ、ふぁあ゛ッ♡♡♡」
太腿のあいだから噴き出してくる勢いに、ショートパンツの生地はもう耐えられない。茶色の布地は完全に張り付いて、そこから絶え間なく雫を垂らしている。白いニーソックスの太腿のあたりまで、透明な液が筋を引いて伝い落ちていく。
「やっ、やだぁ、ぬっ、脱がなきゃ、脱がなきゃっ、邪魔っ、邪魔ぁ゛ッ♡♡」
かえでは廊下にしゃがみ込んだ。
しゃがみ込まざるを得なかった。膝にもう力が入らなかったのだ。けれどしゃがみ込んだその姿勢が、結果的に──最悪の体勢を作り出した。
和式便所に座るときの、あの体勢。
両足を肩幅より少し広く開いて、爪先立ちで、お尻を踵のあたりまで深く落とした、しゃがみ込み。オレンジのケープの裾が床を擦り、深紅のスカーフが膝の上にだらりと垂れ、ふわふわした髪飾りの葉っぱが頬の横で揺れる。
その姿勢のまま、かえでは震える指でショートパンツのボタンを外した。ぷちっ、と小さな音がして、ジッパーを下ろす。
「ふ、ふゆぅ゛ッ♡♡ ご、ごめんなさいっ、ごめっ、ごめんなさいぃ゛ッ♡♡♡」
誰に謝っているのか、自分でも分かっていない。
ただ、こんなことをしている自分が恥ずかしくて、申し訳なくて、それでも、もう、止められない。半泣きで「ごめんなさい」を繰り返しながら、ショートパンツとそのうえから穿いていた白い綿の下着を、片足ずつ強引に引き抜いていく。
最後にぽとり、と落ちた下着には、もう原型もないくらいの濡れ染みが広がっていた。
露わになった、白い、ふっくらと幼い感じの股間。
そこにある、まだ毛のほとんど生えていない、つるんとした幼さの残るおまんこ。
その口が、いま、ぱくぱくと、息をしていた。
「ぁ……は、はぅっ、はぅっ、はぅう゛ッ♡♡♡」
しゃがみ込んだ姿勢のまま、お尻が廊下から数センチの高さに浮いている。その下には、すでに小さな水たまりができていた。レナの撒き散らした体液の海と、自分の股から落ちる雫が、ひとつに混ざり合っていく。
次の瞬間。
ぶしゃああああッ──!
しゃがみ込んだ股間の真下に向かって、滝のような潮が落ちた。
まるで蛇口を全開にしたみたいだった。透明な液が、おまんこの口から真っ直ぐに、ほとんど途切れることなく、ずぶしゃあああ、と廊下に叩きつけられる。床に当たった液は跳ね返って、かえで自身のニーソックスを濡らし、オレンジのケープの裾を濡らし、廊下の壁にまで届いていく。
「ふぃ゛い゛ッ♡♡♡ あ゛、ぁっ、ぁああ゛、出っ、出てっ、出てるっ、私からもっ、いっぱい出てるぅ゛ッ♡♡♡」
ふだんなら絶対に口にしないような言葉が、勝手に喉から漏れ出た。
歯を食いしばる。栗色の前髪のあいだから、汗の粒がいくつも転げ落ちていく。普段はおっとりしていた口元が、唇を血が滲むほど噛みしめて、それでも漏れる悲鳴を堪えきれずに、結局はぱかりと開いてしまう。
「ぐ、ぅっ、く、ふっ、ふぅう゛う゛ぅ゛ッ♡♡♡」
歯の奥から漏れる、獣みたいな唸り声。
脳みそが溶けそうな快感を、なんとか歯と歯のあいだに閉じ込めようとして、けれど閉じ込めきれずに、結局はびしゃっ、ぐしゃっ、と濁った音と一緒に、外へ漏れ出していく。普段「ふゆぅ」と語尾を伸ばしていた、あの可愛らしい口癖は、もう完全に変質していた。
しちゃいけない顔。
動物のドキュメンタリーで、罠にかかった獣がする顔。本能だけが剥き出しになって、理性も体面もすべて引きちぎれた、女の子がしちゃいけない顔。
可愛らしいたれ目はぐにゃりと歪んで、半分は虚空を泳ぎ、半分はお臍の下のあたりを必死に見下ろしている。けれど見下ろしたところで、自分の股のあいだから何が起きているのかを、もはや本人にも把握できない。
「ふぁ゛、ぁ、ぁあ゛、と、止まっ……止まんなっ、止まんないっ、レナちゃっ、レナちゃ、レナちゃぁッ♡♡♡」
助けを求める相手は、もう、目の前で同じ地獄に沈んでいる。
その事実に気づいた瞬間、かえでの中で、最後に残っていた小さな矜持みたいなものが、ぷつん、と切れる音がした。
しゃがみ込みの体勢のまま、かえでの身体は前のめりに崩れていった。
「ふぐぅっ……ぁ、んぁ゛ッ♡♡♡」
両手をついた。けれど両手はもう支える力を持っていない。肘がぐにゃりと折れて、上半身が、ぺたりと、廊下の床に伏した。胸を、自分の体液と、レナの体液と、ふたつが混ざった海に直接、押し付けるかたちで。
オレンジのケープが床に広がって、まるで橙色の花が一輪咲いたように見えた。
けれど、お尻だけは。
お尻だけは、高く、高く、上げたまま。
前のめりに突っ伏したかえでの腰だけが、廊下の天井に向かってぴんと突き上がる。臍出しの短いケープから覗く白い背中、そのカーブの下に続く小ぶりな尻が、絶頂の波を受けるたびにぴくっぴくっと跳ねる。
そして、そのお尻の真ん中で。
くっきりと開いた、剥き身のおまんこから。
うしろに向かって、潮が、噴いた。
「ふぃ゛、ふぃ゛い゛い゛ッ♡♡♡」
ぴしゃあああッ。
今度は前ではなく、後方に向かって。突き出された尻の角度のままに、透明な液体が斜め上へ向かって弧を描いて飛んでいく。その弧は、ちょうど、廊下に倒れているレナの太腿のあたりまで届いて、彼女のずぶ濡れになった水色のニーソックスを、さらに濡らした。
「あ゛、ぁ、わ、わたし、わたしっ、お尻からっ、お尻からこんなっ、こんな出方ぁ゛ッ♡♡♡」
突っ伏したまま、お尻だけを天井に突き上げて、お尻の穴のすぐ下から潮を吹き続ける──。
その姿勢を、自分でも信じられないでいる。けれど、絶頂の波がその姿勢のまま身体を釘で打ち付けていて、ほかの体勢に移ることを許してくれない。
「ふっ、ふぐっ、んぐぅう゛ッ♡♡♡ まっ、まだっ、まだ来っ、まだ来てるっ、止まんないっ、止まんないよぉ゛ッ♡♡♡」
ふわふわした髪飾りの葉っぱが、廊下に擦れて、すこし汚れる。
オレンジ寄りの赤紫のボブが、潮の水たまりに浸って、毛先が貼り付いていく。
深紅のスカーフが、もう赤いのか濡れて黒いのか分からないくらいの色に変わって、首元から床に垂れ落ちている。そのスカーフの先端が、潮の海にぶよぶよと浮いていた。
「ぁ゛ッ♡ あ゛ッ♡ あ゛ッ♡ ふぐっ、ぐぅっ、んぃ゛い゛ッ♡♡♡」
ぴしゃっ、ぴしゃっ、ぷしゅるるるるッ。
お尻の角度が一段上がるごとに、潮の角度も上がる。お尻が下がるごとに、潮の角度も下がる。けれど噴き出る量はずっと一定で、レナがそうだったように、もはや、潮なのか愛液なのか、それ以外の何かなのかも、分からなくなっていく。
そう──それ以外の、何か。
突っ伏した姿勢のまま、ぐぐっ、と、お尻の真下から、別の温かさが滲み出した。
潮よりも、もっと熱い。粘度が違う。匂いも、ほんの少し違う。
「ふっ、ふぃ゛、いやっ、いやだっ、それ、それは、それだけはっ、ふぅ゛ぅ゛ぅ゛ッ♡♡♡」
失禁。
レナと、寸分違わぬ手順で。
最後の砦が、絶頂の波に押し流されていく。お尻の角度のまま、ふだんなら絶対に他人の前では緩めない括約筋が、勝手にゆるんで、ぱしゃ、ぱしゃ、と黄色っぽい液を漏らしはじめた。
「ふっ、ふゅぅ゛ッ……ご、ごめんなさっ……ごめんなさっ、ごめんなさいぃ゛ッ♡♡♡」
恥ずかしさで、栗色の瞳から大粒の涙がぽろぽろと落ちる。
けれどその涙さえも、廊下に広がる体液の海にぽたりと吸収されて、すぐに見えなくなっていく。
「あ゛、ふぁ゛、ぁああ゛、わた、わたっ……わたしぃ゛、こわれっ、こわれちゃ、こわれちゃう、こわれちゃうぅ゛ッ♡♡♡」
突っ伏した姿勢のまま、かえでの背中が、びくっ、びくっ、と大きく跳ねる。
お尻はもう、上げ続ける筋力すら使い果たして、ゆっくりと床のほうへ落ちていく。けれど落ちきる前に、また奥が痙攣して、その反動でぐっ、と持ち上がる。落ちては上がり、上がっては落ち、上がっては落ち。
そのたびに、お尻の真ん中から、潮が、おしっこが、愛液が、見境なく噴き出していく。
「ぁ……ふ、ぐ、ふぅ……ぅ、ふぅ……っ♡♡」
ついに、それも、止んだ。
止んだのではなく、突き上げる筋肉が、限界を超えて落ちただけだった。
お尻が、ぺたんと、廊下に落ちる。
水たまりに、お尻ごと、音も立てずに沈み込む。
突っ伏したままだった上半身も、ふっと力を失って、頬が床に張り付いた。栗色のたれ目は、もう半分以上、白目になっている。優しかった口元は大きく開いて、ピンクの舌の先がだらしなく覗いて、唾液の糸を廊下に引いている。
「ふ、ぁ、ぁ……はぁ……♡♡」
完全に、意識が、外れた。
外れてなお、かえでのおまんこは、ヒクン、ヒクンと、勝手に痙攣を続けている。
レナと、まったく同じように。
持ち主の許可も取らずに、自分の意思で、絶頂を続けている。
◇ ◇ ◇
夕闇が、ようやく完全に校舎を呑み込んだころ。
神浜市立大学附属学校中等部、東塔の北側、四階から屋上へ続く階段。その下の踊り場の廊下には、ふたりの少女が倒れていた。
ひとりは、水色のツインテールを潮の海に沈めて、白いブーツの爪先を空に向けて、仰向けで。
もうひとりは、オレンジのケープを花のように広げて、頬を床に貼り付けて、突っ伏したまま。
ふたりとも、白目を剥いて、舌を覗かせて、口の端から唾液を垂らして、それでも──おまんこだけが、まだ、ヒクン、ヒクン、と痙攣を続けていた。
ふたりの体液は、もう、混ざり合って区別がつかない。
廊下に広がった海は、薄暗い蛍光灯の灯りを反射して、淡く銀色に光っている。甘ったるい、けれどすこし潮の匂いを孕んだ少女のフェロモンが、東塔の四階を、ぼんやりと、満たしている。
絶頂階段のウワサ。
神浜市立大附属学校、東塔の北側、四階から屋上へ続く三十段。
六段目に自分の名前。七段目に、絶頂させたい相手の名前。
書いてはいけない。
書けば、絶頂証明書のかわりに──ふたりぶんの少女が、こうして、廊下の体液の海に、沈むことになるのだから。
ヒクン。
ヒクン。
ヒクン。
もしもし、聞いた?
絶頂階段の、そのウワサ。