※この作品はR-18です。

搾精都市神浜~魔法少女たちのエッチな短編集~   作:黒蓮/クロハス

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やちよとエロガキ 冬休み編 ~新春 12時間耐久交尾マラソン~

 十二月二十七日。みかづき荘の窓から差し込む陽射しは、真夏の凶暴さをすっかり忘れたみたいに柔らかくて、薄いカーテンの向こうで冬の空気を溶かしている。部屋の中は暖房が効きすぎているくらいで、やちよは机に向かって年賀状の宛名を書いていた。筆ペンを持つ指先が時折インクを乾かすために宙で止まり、そのたびに窓の外へ目をやる。冬枯れの街路樹、遠くを走る電車の音、すべてがいつも通りの年末だった。

 

 半年前の夏のことは、記憶の底に沈めてある。

 

 鍵をかけた。見なかったことにした。あの数日間は異常事態だったのだと、自分に言い聞かせて半年を過ごしてきた。大学、モデルの仕事、魔法少女の活動、みかづき荘の家事と買い出しと年長者としての采配。完璧な七海やちよを、一日も欠かさずに続けてきた。誰も疑わなかった。自分ですら、ほとんど。

 

 ——ただ、夜。

 

 眠りに落ちる寸前の、意識と無意識の境目で。太腿の内側がじんわりと熱くなる感覚が、時折よぎることがあった。やちよはそのたびに寝返りを打って、枕に顔を埋めて、気のせいだと自分に言い聞かせた。たかが数日の出来事だ。人生の、何万分の一だ。忘れて当然だ。

 

 筆ペンを置いて、やちよは立ち上がった。壁の時計を見る。午後二時を回ったところだ。もうすぐ来る——親戚の子が、冬休みをみかづき荘で過ごすために。

 

 やちよの胸の奥で、何かが小さく身じろぎした。気のせいだと、もう一度自分に言い聞かせる。カーディガンを羽織って、階段を下りた。

 

 

 玄関の外に出ると、冬の空気が頬を刺した。白いオフショルダーのケーブルニットワンピースの上から、黒いタイツに包まれた脚まで一瞬で冷気が回る。やちよは太い茶色のベルトの位置を軽く直しながら、門の方へ歩いた。

 

 銀色のセダンが路肩に停まる。運転席から少年の父親が、助手席から母親が降りてきて、後部座席のドアが勢いよく開いた。

 

「やちよお姉ちゃーん!」

 

 走ってくる。褐色の肌、坊主頭、夏と変わらない小さな体。少年は一直線にやちよの腰へ飛びついて、そのままぎゅうっとしがみついた。やちよより頭一つどころか二つ分は小さい体が、腰に抱きつくとちょうど胸の下あたりに頭が収まる。ニット越しに子供の体温が伝わってきて、やちよは一瞬息を詰めた。

 

(——変わってない。外見は)

 

 でも、あの夏を知っている身としては、この「お姉ちゃん大好き」という態度の中身がどういうものか、嫌というほど分かっている。

 

「ご無沙汰しております。今回はわざわざお預かりいただいて、本当にありがとうございます」母親が丁寧に頭を下げた。

 

「とんでもない。こちらこそ、年末のお忙しい時期にお気遣いいただいて」やちよは少年の頭に手を置いたまま、モデルの営業スマイルを浮かべる。こういう対応は慣れている。「ごゆっくり羽を伸ばしてきてください。この子のことは私が責任を持ってお預かりしますから」

 

「この子、やちよお姉ちゃんが大好きで。夏にお世話になってからずっと、冬休みを楽しみにしてたんですよ」父親が苦笑いしながら言った。

 

 少年はやちよの腰に顔を埋めたまま離れない。鼻の頭をニットの編み目に擦りつけて、すんすんと匂いを嗅いでいる。両親にはじゃれついているようにしか見えないだろう。だがやちよには分かる。これはじゃれつきではない。発情した動物が相手の匂いを確認している仕草だ。

 

 両親が車に戻る。やちよは少年の肩に手を置いて、二人並んで車が見えなくなるまで手を振った。銀色のセダンが角を曲がり、排気音が遠ざかっていく。

 

 静かになった。

 

 冬の午後の、穏やかな沈黙。

 

 

 少年の手が、やちよの手首を掴んだ。

 

 振り返る間もなかった。ものすごい力で引っ張られて、やちよのショートブーツが玄関のタイルを滑る。「ちょっと——」と言いかけた声は、ドアを開ける少年の勢いにかき消された。階段を駆け上がる。ドタドタという足音が狭い階段室に反響する。やちよの部屋のドアを少年が蹴るように開けて、中に飛び込んだ。

 

 ドアが閉まる音。それと同時に、少年は自分の服を脱ぎ始めた。ダウンジャケットが床に落ち、トレーナーが頭から引き抜かれ、ズボンが足首で丸まった。十秒も経たずに全裸である。

 

「ちょっと、何を——」

 

 やちよの言葉は最後まで続かなかった。少年がやちよのニットワンピの裾を両手で掴んで、一気にたくし上げたからだ。腰まで捲られた白いニットの下から、黒いタイツとシンプルなショーツが露わになる。少年は迷わずタイツのウエストに指をかけて、ショーツごと引きずり下ろした。一息に。膝を通り越して、足首まで、完全に引き抜く。

 

 下半身を突然むき出しにされたやちよは、尻と太腿に冷たい空気を感じて息を呑んだ。暖房で温められた部屋の空気が、剥き出しの肌を撫でる。ニットワンピの裾はまだ腰に巻き上がったままだ。上半身は冬服のくせに、下半身だけ裸という異様な格好。少年の褐色の手が、やちよの白い太腿に触れた。両側から押し開くように。

 

「待ちなさい——」

 

 少年は待たなかった。やちよの腰を両手で掴むと、そのまま体重をかけて押し倒すように床へ誘導する。やちよはバランスを崩して、背中から床に倒れ込んだ。ニットワンピが背中側でぐしゃりと皺になる。見上げた視界の先で、少年が覆いかぶさるように跨ってきた。

 

 そして——目の前に突き出されたものを見て、やちよの思考が一瞬、完全に停止した。

 

(——なに、これ)

 

 少年のチンポは、半年前とはまるで違っていた。

 

 子供の体はほとんど変わっていない。身長も、肩幅も、細い手足も、あの夏と寸分違わぬ小ささだ。体格は小学校高学年で止まったままだというのに、股間だけが別の生き物のように成長していた。大人の男性と同等、いや——やちよがかつて目にしたどんなチンポよりも太く、長い。子供の細い腰から生えているにしてはありえないサイズのソレが、ずっしりと重量感を伴ってそそり立っている。亀頭は怒張して赤黒く、表面には血管が浮き出て脈打っていた。

 

 やちよは息を止めたまま、頭の中で言葉を探した。見間違いではない。あの夏、指五本で包み込めた小さなチンポとは、もはや別の器官だ。半年間、何があったというのか。ただの成長か、それとも毎日のオナニーが鍛え上げた結果か。理由はどうあれ、現実として——これが今、自分の中に入ろうとしている。

 

 少年の腰が下りてくる。亀頭が、濡れていない膣口に押し当てられた。

 

「やめ——」

 

 ぬちゅっ♡

 

 先端が割り込む感触。やちよの腰が跳ねた。愛液が足りていないのに、少年は構わず押し込んでくる。大人サイズに肥大した亀頭が、乾いた膣壁をこじ開けながらずぶずぶと沈み込んでくる。やちよは歯を食いしばった。痛い。だがそれ以上に——圧倒的な存在感。半年前とは比較にならないほどの質量が、おまんこの中を埋め尽くしていく。膣壁が四方八方に押し広げられる。奥まで届く。子宮口に、亀頭の先端がぴたりと触れた。

 

「あ……っ」

 

 声が漏れた。自分の声なのに、自分で聞いたことがない種類の声だった。

 

「半年ぶり! やちよお姉ちゃんのおまんこ、気持ちいいーっ!」

 

 少年が叫んだ。その無邪気な絶叫が、現実を引き戻す。

 

 やちよは仰向けのまま、天井を見た。まだ両親と別れの挨拶をして一分も経っていない。「お預かりします」「責任を持って」と言った舌の根も乾かぬうちに、その相手と生ハメセックスをしている。保護者としてどうこう言う以前に、この状況はそもそも人間の尊厳とかそういう概念が通用する次元ではなかった。

 

 

 少年の腰が動き始める。

 

 ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゃっ♡

 

 最初は浅く、出し入れを繰り返すたびに粘液の音が混ざり始める。膣壁が——やちよの意思とは無関係に——侵入者を迎える準備を自動的に始めていた。奥の方からじわりと熱いものが滲み出て、チンポの表面を滑らかに濡らしていく。

 

「やめなさい……抜きなさい」やちよは声を絞り出した。

 

 だが、おまんこは正直だった。

 

 半年ぶりのチンポを——しかも前とは比べものにならない大きさに成長したチンポを——歓迎するように、膣壁がむちゅむちゅ♡と吸い付いていく。封印していた身体の記憶が、粘膜から蘇る。あの夏の何十発という射精、最終夜の自分からの騎乗、最後に自分からケツを突き出して「早く終わらせるのよ」と笑ったあの瞬間——すべてが、おまんこの細胞に刻み込まれていた。

 

(嘘でしょ……)

 

 少年のピストンが深くなる。ずちゅっ、ずちゅっ、と腰全体を使った突き上げに変わる。子供の細い腰が、大人の女の股を開かせて、遠慮なく奥を突いてくる。

 

「お姉ちゃんのおまんこ、吸い付く! すごい! ボクのチンポ、締め付けてくる!」

 

「そんなわけないでしょう……!」

 

 口では否定しても、身体は否定できなかった。膣壁は少年のチンポの形を覚えていた——いや、覚えているどころか、成長したチンポの新しい形を積極的に学習しようとしている。奥のひだひだが亀頭に吸い付き、締め付け、離さない。子宮口がチンポの先端を吸い込もうとするかのように、きゅうきゅう♡と痙攣を始めていた。

 

(——だめ。だめ、だめなのに)

 

 少年のピストンが加速する。早い。無秩序に、ひたすら本能のままに腰を振っている。技巧も加減もない。ただ気持ちいいから動くという、猿の交尾そのものだった。だがその無軌道な暴力性が——逆に、やちよの理性的な防御をすり抜けて、身体の芯を直撃する。

 

「でるっ! お姉ちゃんっ、でるぅっ♡」

 

 少年の声が裏返った。腰の動きが不規則になり、膣内でチンポが一回り膨張する感覚。

 

「抜きなさい! 中に出しちゃだめ——」

 

 間に合わなかった。

 

 ごぶっ♡

 

 第一波。子宮口に叩きつけられるように、熱い精液が迸った。半年分の濃さが、どろりと膣奥に流れ込む。量が——半年前とはまるで違う。子供の精液ではない。大人の精液だ。熱くて、重くて、いつまでも止まらない。どくどくと脈打つたびに、新しい精液が注ぎ込まれて、子宮口を白く塗り潰していく。

 

 やちよは唇を噛んだ。歯の間から、かすかな息が漏れる。

 

(ああ……)

 

 二文字。それだけが頭に浮かんだ。悔しさなのか、諦めなのか、それとも別の何かなのか——自分でも判別がつかない。

 

 少年の腰が止まった。射精の余韻でチンポがまだ膣内でびくびくと痙攣している。やちよの膣壁も、最後の一滴を搾り取ろうとするかのように、収縮を繰り返していた。

 

 終わった——と思った瞬間。

 

 膣内のチンポが、萎えるどころか、再び硬さを取り戻し始めた。

 

「……嘘でしょう」

 

 やちよは天井を見上げたまま呟いた。前にも何度か言ったセリフだ。半年前の夏、毎日のように口にした。そして今、同じ言葉がまた出てくる。

 

 少年がにやりと笑った。子供の無邪気な笑顔。だがその目は完全に獲物を捉えた捕食者の目だった。

 

「やだ! まだまだ出す!」

 

 抜かずにピストンが再開される。今度はさっきより深い。精液が潤滑油代わりになって、ぬちゅぬちゅと粘着質な水音が部屋に響く。少年はやちよの胸に顔を埋めるようにして、ニットワンピ越しにおっぱいに頬を擦りつけながら腰を振っている。身長差があるから、正常位で覆いかぶさると少年の顔がちょうどやちよの胸のあたりに来るのだ。

 

「やちよお姉ちゃん、やわらかい……おっぱいもすき!」

 

「だ、誰が……んっ」

 

 反論しようとした声が、膣奥を突かれて途切れた。ニットの編み目の向こうで、少年の息がかかる。おでこで乳首の位置を探るようにぐりぐりと押し付けてくる。子供の体温と大人の体温が、衣服越しに混ざり合う。胸の先端がじんじんと疼き始めて、やちよは首を横に振った。

 

(ちがう。ちがうのに)

 

 二発目の射精は一発目より早かった。さっきの射精で準備が整っていたからか、それとも半年の禁欲がそれだけの爆発力を溜め込んでいたからか。

 

「でるっ——でるぅぅっ♡!」

 

 どぴゅっ♡

 

 一発目とは質の違う勢いで、精液が膣奥を打った。びゅくっ、びゅるっ。三連続で迸る精液の塊が、子宮口を叩いては奥へ流れ込む。やちよは腰を浮かせそうになるのを必死で堪えて、床に爪を立てた。

 

 半年間、誰にも触れさせなかった身体が。綺麗に保ってきた大人の女性の身体が。今、到着から十分とかからずに二発の中出しを受けている。

 

 少年がずるりとチンポを抜いた。精液が膣口から逆流して、床に小さな白い水たまりを作る。ニットワンピの裾も、太腿も、ぐしょぐしょだった。やちよは肩で息をしながら、ぼんやりと自分の下半身を見下ろした。

 

(——止められなかった)

 

 それが、今の正直な気持ちだった。

 

「まだ三発目いく!」

 

 少年の声に、やちよはゆっくりと目を閉じた。

 

(ああ、もう……)

 

 封印は、たった十分で粉々に砕け散った。身体が覚えている。おまんこが——昨日のことのように、全部、覚えている。

 

 やちよの太腿の内側が、小さく震えていた。それは寒さのせいではなかった。

 

 

 三発目は、予告もなく始まった。

 

 やちよが仰向けのまま肩で息を整えていると、少年が突然、彼女の顔の上に跨ったのだ。細い太腿がやちよの両耳を挟み、薄暗くなる視界のど真ん中に——ぶらりと垂れ下がるチンポがあった。精液と愛液でぐっしょりと濡れたそれが、やちよの目前で質量を主張している。

 

 さっきまで膣の中にあったときは「なんとなく大きくなった」という認識だった。おまんこの感覚は意外と曖昧なものだ。奥を突かれて広げられて、子宮口を押されて——圧迫感はあっても、具体的なサイズは掴めない。

 

 だが、こうして目の前に突きつけられると、話が違った。

 

 あの夏、指五本で軽々と包み込めた子供のチンポは、もうどこにもいない。代わりにそこにあるのは、大人のそれ——いや、大人でもここまでのものはそういないだろうというレベルの、太くて長い塊だった。亀頭は先端が尖った茸のような形で、カリの張り出しがはっきりとしている。精液とやちよ自身の愛液が混ざった粘液が、表面をてらてらと光らせて、亀頭の先からはまだ白濁がぽたりと垂れていた。

 

(——こんなものが。さっきまで、中に)

 

 その感慨が終わるより早く、少年の両手がやちよの頭を掴んだ。左右のこめかみに褐色の指が食い込んで、固定される。

 

「お姉ちゃん、お口あけて」

 

「な、にを——んむっ!」

 

 開口させられた唇の隙間に、亀頭が割り込んできた。歯の表面をぬるりと滑って、舌の上へ。やちよの口腔は急激な異物の侵入に驚いて、舌が反射的に押し返そうとする。だがその動きがかえって亀頭の裏筋をなぞる形になって、少年が「あっ、それきもちいっ」と声を上げた。

 

 少年はためらいなく腰を押し込んだ。ずぶずぶとチンポが口腔の奥へ沈んでいく。舌の上を通過して、喉奥の入り口に亀頭が到達する。やちよの喉がこみ上げるように収縮した。反射的な嘔吐感。半年前は子供サイズだったからフェラにも余裕があった。口の中で転がしても、喉を突かれても、問題にならなかった。

 

 今は違う。

 

 大人のチンポが口腔を埋め尽くして、舌を押し潰し、喉奥を塞いでいる。息ができない。鼻からかろうじて空気を吸っているが、それも少年が腰を動かすたびに乱れた。

 

「やちよお姉ちゃんの口、あつい……おまんこと違うかんじ……きゅうきゅうしてる」

 

 少年はやちよの頭を掴んだまま、自分のペースで腰を振り始めた。ずちゅっ、ごりゅっ。喉の奥を亀頭が叩くたびに、やちよの目尻から涙が浮かぶ。白い喉が外から見てもチンポの形に膨らんで、それが上下するたびにくぐもった水音が漏れた。

 

 少年は完全にやちよの顔に種付けプレスを決め込む格好で、ひたすら腰を打ちつける。口を性器として使っている。おまんこと同じように。いや、おまんこ以上に乱暴に。喉の奥の狭さが気持ちいいのか、ピストンは止まらない。

 

 やちよの鼻の上で、少年の小さな金玉がぱんぱんと揺れていた。精液を溜め込んだ袋がやちよの顔面に当たっては離れる。性器の匂いが鼻の奥にこびりつく。精液と汗と、子供特有の肌の匂いが混ざったそれは、決していい匂いではないのに、やちよの奥底の何かをざわつかせた。

 

(ご両親に「お預かりします」と言ったのに)

 

 まぶたの裏で、銀色のセダンが角を曲がっていく映像が流れる。あれからまだ十五分も経っていない。その同じ口で、今、この子のチンポを咥えさせられている。いや、咥えさせられているどころか、喉の奥でピストン運動までさせられている。客観的にどう言い訳しようと、今この瞬間の自分は、十歳にも満たない子供の性処理道具でしかなかった。

 

「でっ……でる、お姉ちゃんの口の中に出す!」

 

 少年の腰が一番深く押し込まれた瞬間、亀頭が喉の限界を突破した。喉奥のさらに奥、咽頭へと先端が食い込む。やちよの喉がぎゅうっと締まり、チンポを締め付けた——その収縮が引き金になった。

 

 どぷっ。

 

 喉の奥で、熱い塊が爆ぜた。口内射精。第一波が直接食道へ流れ込む。続けてびゅっ、どくっ。粘り気のある精液が舌の上にも溢れて、口腔内を白く満たしていく。やちよはむせた。反射的に咳き込もうとして、それがかえって喉を締め付け——少年の絶頂を長引かせる結果になった。

 

「ん、ぐ……っ、か……っ」

 

 口の端から精液が溢れて、顎を伝い、首筋に白い筋を作ってニットワンピの襟元に染み込んでいく。やちよは涙でぼやけた視界で、自分の上に跨る少年の腹を見上げた。子供の腹が、射精のたびにびくびくと痙攣している。

 

 ずるり——とチンポが引き抜かれた。口腔内の圧力が解放されて、やちよは大きく咳き込んだ。唾液と精液が混ざった糸が、唇と亀頭の間で細く伸びて、ぷつんと切れる。喉の奥に焼けつくような感覚が残った。

 

「お姉ちゃんの口もきもちいい〜♡ 次はうしろ!」

 

 少年の声はまったく衰えていなかった。むしろ三発出したことで調子が上がっているようにすら聞こえる。

 

 

 四発目。

 

 やちよが咳き込んでうつ伏せになったところを、少年は見逃さなかった。床に突っ伏した背中に跨り、捲り上がったニットワンピの裾の下から白い尻を剥き出しにする。もう愛液と精液でぬかるんだ膣口に、狙いを定める素振りすらなく一気に突き入れた。

 

 にゅぼっ♡

 

「ひ——っ」

 

 うつ伏せのまま、やちよの口から変な声が飛び出した。違う角度から侵入したチンポが、さっきまでとは別の場所を擦り上げる。バックからの挿入は奥行きが違う。子宮口のさらに奥——膣円蓋と呼ばれる最深部まで、亀頭がずぶりと沈み込んだ。

 

 少年がやちよの腰骨を両手で掴んで、一気にピストンを開始する。ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。褐色の腰が白い尻に打ち付けられて、乾いた衝突音が部屋に響く。濡れた結合部からは別の水音も混ざって、ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡と粘着質なリズムを刻んだ。

 

 やちよは床に両手をついて耐えている。力が入らない。肘が震えて、爪がフローリングを引っ掻く。うつ伏せの視界には、自分の髪——青い長髪が床に散らばって、ピストンの振動で細かく揺れているのが見えた。

 

(どうして。どうして止められないの)

 

 口では「やめなさい」と言い続けている。初めの頃より声に力がなくなっているのは、自分でも分かっていた。抵抗しているフリすら、もう形骸化し始めている。

 

 

 五発目。

 

 やちよが横向きに逃げようと寝返りを打ったところで、背後から細い腕が回ってきた。少年がスプーン状に抱きついて、そのままおまんこの位置を探り当てる。にゅるっ♡——と吸い込まれるように挿入。

 

「ん、ぅ……」

 

 やちよはもう「やめなさい」とは言わなかった。代わりに唇を引き結んで、漏れそうになる声を噛み殺す。横向きのまま突かれるセックスは、正常位ともバックとも感触が違う。膣壁の横の面を亀頭が擦っていく感覚。少年の腕がウエストに回って、太い茶色のベルトの上からぎゅっとしがみついてくる。背中越しに伝わる子供の体温。首筋に少年の荒い息がかかって、くすぐったさと別の何かが背筋を走った。

 

 

 六発目。

 

 やちよがベッドに手をついて立ち上がろうとしたところを、後ろから即座に挿入された。立ちバック。立った状態で後ろから突かれるのは初めてだった。自分の体重が全部、突き入れられる力に変換されて、奥を突かれる衝撃が倍増する。

 

 やちよは壁に手をついて、歯を食いしばった。閉じた唇の端から、それでも「ん……っ」と鼻にかかった声が漏れる。

 

(立ってるだけで精一杯なのに)

 

 

 七発目。

 

 少年の執念は底知れなかった。六発目の体勢から、今度はやちよの片足を持ち上げたのだ。左足の膝裏を小脇に抱え込まれて、やちよは壁に右手をついたまま片足立ちになった。右脚だけで全体重を支えている。左脚は少年に抱えられて、太腿が九十度近く開いていた。

 

 モデルの長い脚が子供の腕に抱えられて、もう一方の脚は床に伸びている。そのアンバランスな姿勢が、やちよの身体のラインを残酷なまでに浮かび上がらせた。太腿の筋肉は細く引き締まっていて、ふくらはぎから足首にかけての曲線は美しい。なのに——その股の中心だけが、ぐちゃぐちゃに濡れて、精液を滴らせ、子供のチンポを受け入れている。

 

「ん……っ」

 

 やちよの口から、声が漏れた。今度はさっきより、はっきりと。

 

 少年は気づかない。夢中で腰を振っている。片足を持ち上げたことで膣の角度が変わり、亀頭が新たな場所を擦り上げる。その感覚にやちよの膝がガクガクと震え始めた。立っていられない。体勢が崩れて、壁に手をついたまま膝をつく。床に這う格好になった。

 

 そこへ——後ろから追い討ちをかけるように、少年がしがみついてきた。

 

 背中に子供の全体重がのしかかる。細い腕がやちよの腰に巻きついて、逃げ場を塞ぐ。四つん這いのまま、後ろから何度も何度も——パンパンパンパンッと小刻みな突きが続いた。

 

 みかづき荘の年長者。最強の魔法少女。モデル。大学生。いろいろな肩書きを持った女が、今、十歳にも満たない子供から逃げるように床を這って、後ろからしがみつかれて、腰を打ちつけられている。

 

「お姉ちゃん、にげちゃやだぁ……おまんこ、きもちいい……でる、でる、でるぅぅっ♡♡」

 

 ぶぴゅっ♡——どぷどぷどぷっ♡!

 

 最後の一滴を搾り出すような、断続的な射精。七発目ともなると勢いは衰えていたが、その分だけ長く、チンポは膣内で痙攣を続けた。やちよの背中から力が抜けて、ぺたりと床に崩れ落ちる。うつ伏せのまま、しばらく動けなかった。

 

 

 部屋の中が、静かになった。

 

 聞こえるのは自分の呼吸と、窓の外の風の音だけ。真冬の空気は窓ガラス一枚隔てただけで、室内の淀んだ熱とは無縁だった。

 

 やちよは床にうつ伏せのまま、天井を見上げることすら億劫だった。白いケーブルニットのワンピースは腰から上までたくし上げられて、胸の上あたりで皺になっている。黒いタイツは片足だけ完全に脱げて、もう片方は足首に絡まったまま。太腿の内側を精液が何筋も伝って、床に小さな水たまりを作っていた。おまんこからは、止めどなく精液が逆流している。腹の奥が、まだ満たされている感覚があった。

 

 到着から、まだ一時間も経っていない。

 

 その一時間の間に、七発。半年前の夏の初日を、あっさり更新している。

 

 やちよはゆっくりと上体を起こした。腹の奥で、まだ精液がぐちゃりと鳴った。その感触に眉をひそめる間もなく——

 

 階下から声が聞こえてきた。

 

 

「やちよさーん、○○くーん、お餅焼けましたよー」

 

 いろはの声だ。柔らかくて、のんびりしていて、いつも通りに優しい。年末のみかづき荘の、平和そのものの声。

 

 続けて、フェリシアの大声が階段を駆け上がってくる。

 

「早くしねーと全部喰っちまうぞー!」

 

「フェリシア、それ全部あんたが焼いたんじゃないでしょー!」鶴乃のツッコミも聞こえる。きっと台所でお餅の取り合いが始まっているのだろう。さなの慌てる小さな声、ういの笑い声——冬休みの、家族のような日常の喧騒。

 

 その真上で、やちよは精液まみれで床に座り込んでいる。

 

(——なんてことを)

 

 やちよは唇を噛んだ。今すぐ体を拭いて、服を直して、涼しい顔で階段を降りなければならない。みかづき荘の年長者として、保護者として、何より七海やちよとして。一時間前までは、それができていた。これからも、できなければならない。

 

 少年の方はまったく意に介していない。ぐったりと萎えたチンポをそのままに、脱ぎ散らかしたズボンを拾い上げると、あっさりとそれを履いた。

 

「ボク、いろはお姉ちゃん達とお餅たべてくるー!」

 

 無邪気そのものの声で言い放つと、少年はドアを開けて階段を駆け下りていった。

 

 一人残された部屋で、やちよはため息をついた。震える指で、床に落ちたタイツを拾い上げる。黒い布地は精液でぐっしょりと濡れていて、もう履ける状態ではなかった。

 

 ティッシュを箱ごと手繰り寄せて、太腿を拭く。おまんこの周りを拭く。床の水たまりを拭く。やってもやっても、まだ腹の奥から新しい精液が滲み出てくる。

 

(あのチンポ。半年前とは、まるで違う。あのサイズで、あの性欲。いったいこの冬休み中に——)

 

 計算をしようとして、やめた。考えるだけで眩暈がする。

 

 窓の外では、冬の陽がもう傾き始めていた。十二月二十七日はまだ始まったばかりだった。冬休みは、まだ九日間も残っている。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 翌朝、やちよは自分の身体の変化に気づいた。

 

 目が覚めて、布団の中で伸びをした瞬間、太腿の内側がかすかに筋肉痛を訴えた。腰の奥に鈍い疼きがある。何より——おまんこの中が、まだ昨夜の精液の残り香を覚えているような、かすかな湿り気を帯びていた。シャワーを浴びても、拭いても消えない感覚。膣壁がチンポの形を記憶しているのだ。

 

(たった一日で、身体が順応してる)

 

 二十八日はみかづき荘の大掃除だった。窓を拭き、畳をあげ、台所の換気扇を分解してはめ直す。やちよは采配を振るう年長者として、各所に指示を飛ばしながら自分も動く。少年は最初こそ「やりたくなーい」と駄々をこねていたが、フェリシアと雑巾がけ競争を始めたあたりから妙に張り切って、廊下を水浸しにした。

 

 その合間にも、少年は隙を見てやちよの体に触れてきた。

 

 足場に乗って高い窓を拭いているやちよの足首を、下からそっと掴む。台所でお茶を淹れている背後から、腰に抱きついてくる。洗面所で手を洗っている横から、太腿に手を滑り込ませようとする。やちよはそのたびに「こら」と手を払った。声のトーンは、昨日とはもう違っている。本気の制止ではなく、条件反射のような、形だけの戒めだった。

 

 夕方、二階の物置部屋で掃除機をかけていたやちよは、背後でドアが閉まる音を聞いた。振り返るより早く、腰を掴まれて壁に押し付けられる。タイツとショーツを膝まで引きずり下ろされて、立ったまま後ろから挿入された。

 

「こ、ら……まだ掃除の途中でしょう……ん、ぅ」

 

 少年は返事をしなかった。ただ黙って腰を打ちつける。昼間のあれこれで溜まっていたのだろう。三分とかからずに射精して、息を整える間もなくピストンを再開した。二発。掃除機の唸り声が幸いして、誰にも気づかれなかった。

 

 

 二十九日、三十日も同じだった。

 

 みかづき荘の年末行事は淡々と進む。年越しそばの買い出し、おせちの下ごしらえ、鶴乃が持ち込んだ年越し用の変わり種メニューの試食会。その合間を縫って、少年は一日に四発、五発とやちよを求めた。朝の洗面所で手早く一発。買い出しから帰ってすぐにもう一発。深夜、住人が寝静まったあとにやちよの部屋へ忍び込んで、明け方まで。

 

 やちよの膣は、日に日に少年のチンポに馴染んでいった。初日のあの圧迫感が、三日目には「ちょうどいい」と感じるようになっている。それどころか、入ってくる瞬間に膣口が自然と開くのが分かる。体が勝手に準備を始める。嫌でも自覚させられる——自分はこのチンポを受け入れるようにできているのだと。

 

 メンバーを守る、という建前が、この三日間でやちよの中で勝手に補強されていった。

 

 きっかけは二十九日の昼下がり、リビングでテレビを見ていたときだ。少年がいろはの隣に座り、何気ないふりをして太腿に触れようとした。いろはは無邪気に「どうしたの?」と首を傾げていたが、やちよは即座に少年の襟首を掴んで引き離した。「こっちにいらっしゃい」と自分の隣に座らせる。

 

 三十日の夕方には、フェリシアがソファでうたた寝している横で、少年がそっと彼女の胸に手を伸ばしているのを目撃した。やちよは音もなく近づいて、その手首をがっしりと掴む。少年は気まずそうに笑ったが、やちよは無言で自分の部屋に連行した。そして、一晩中。

 

「この子達には手を出させない。絶対に」

 

 それが、やちよの新しい呪文になった。いろはにも、フェリシアにも、さなにも、ういにも。あの子達は守らなければならない。そのために——自分が、この少年の性欲を引き受ける。引き受けて、処理して、発散させてやる。これは保護者の責任だ。年長者として当然の義務だ。

 

 このロジックが、やちよの心の平穏を支えた。自分がただ単にチンポを欲しがっているだけだという事実から、目を逸らすための完璧な理屈だった。

 

 

 大晦日の夜。

 

 リビングにはみんなが集まっていた。テレビでは紅白歌合戦が佳境に入り、鶴乃が歌手に合わせて大声で歌い、フェリシアがそれに野次を飛ばし、いろはが笑ってなだめる。こたつにはみかんの皮が山になり、空になった年越しそばの丼がテーブルに並んでいた。

 

 少年はやちよの隣にぴったりと座っていた。姿勢は行儀がいい。顔はテレビに向いている。だが——こたつ布団の下では、少年の手がやちよの太腿を這っていた。タイツ越しに指が動いて、内腿の際どいところをなぞる。

 

 やちよは顔色を変えなかった。湯飲みを口に運び、ふうと息を吹いてお茶をすする。その間も、少年の指は執拗に這い続けている。やちよは空いた方の手をこたつの中に滑り込ませて、少年の手を掴んだ。払うのではない。押さえつけるでもない。ただ、上から手を重ねて——それ以上動かないように、そっと。

 

(ここで。こんな場所で)

 

 少年が顔を上げて、やちよを見た。何かを訴える目。やちよはテレビを見たまま、小さく首を振った。だめ。ここでは。

 

 少年はしぶしぶ手を引っ込めた。かわりに、やちよの腰に頭を寄りかからせてくる。体重を預けて、眠そうにまぶたを閉じる。さっきまで太腿を這っていた手が、今度は無邪気にやちよのベルトを握っていた。性欲と幼児退行が、この生き物の中では地続きなのだ。

 

 カウントダウンが始まった。

 

「十、九、八——」

 

 鶴乃のカウントダウンに、フェリシアが大声で加わる。いろはとさなとういが笑いながら手を繋いだ。

 

「三、二、一——!」

 

「あけましておめでとー!」

 

 リビングが歓声で沸いた。鶴乃がクラッカーを鳴らし、フェリシアが「今年こそデカゴンボールのフィギュア!」と叫ぶ。いろはが「やちよさん、あけましておめでとうございます」と微笑みかけてきた。

 

「ええ。今年もよろしく」やちよは完璧な笑顔を返した。

 

 その瞬間、こたつの中で少年の手が、もう一度太腿に触れた。今度はタイツの上からではなく——いつの間にか潜り込ませた指先が、直接肌に触れている。やちよは笑顔を保ったまま、膝で少年の手を挟んだ。それ以上、上に行くな。

 

 年が明けた。新しい年だ。みかづき荘の面々は笑い合い、窓の外では遠くの神社から除夜の鐘が聞こえていた。

 

 やちよは静かに息を吐いた。腹の奥で、昨晩の精液がまだとろりと温かい。おまんこに精液を溜めたまま迎える新年——半年前には想像すらしなかったそれが、今の七海やちよの現実だった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 元旦の朝は慌ただしかった。

 

 夜更かししたメンバーを起こして回り、おせちを重箱に詰め、年賀状の束を手早く仕分ける。やちよにとっては何年も繰り返してきた手順だ。違いがあるとすれば、今年は隣にもう一人——少年がいたことと、自分が晴れ着を着るということだけだった。

 

 自室に戻って着付けを始める。襦袢を羽織り、肌襦袢の襟を合わせる。裾を整えてから、青い花柄の振袖に袖を通した。紺から水色へと流れるグラデーションの上を、菊や桜の大振りの花模様が咲き誇っている。一枚一枚の花びらに金糸の縁取りが施されていて、光の角度で静かにきらめいた。金色の帯を巻き、赤い帯締めをぎゅっと締める。白い帯揚げが胸元で清楚なアクセントを作った。

 

 鏡の前に立って、髪を結い上げる。普段はストレートに下ろしている長い青髪を、縦ロールを混ぜたアップスタイルにまとめ、ピンクの花飾りをあしらった。うなじが晒されて、冬の冷えた空気に白い肌がひりりと反応する。最後に紅をさして、鏡の中の自分を確認した。

 

 そこに映っているのは、モデルとしても通用する一人の若い女だった。最低限の身だしなみを優先する普段のやちよとは違う。見られることを意識した装い。美しさが、鎧であり、武器でもあるような——そんな女の顔だった。

 

(それで、こんな女が。何をやっているんだか)

 

 心の中で、誰に向けるでもない毒を吐く。魔法少女のリーダーが着飾って初詣。まあ、それはいい。問題は、晴れ着の下にショーツを穿いていないことだった。穿かなかったのではなく、穿けなかった。ここ数日のセックスで腰回りが敏感になっていて、布地が擦れるだけでおまんこの入り口がひくつく。それに——どうせ脱がされるなら、最初から邪魔なものはない方がいい。そう判断した自分が、理性的なんだか獣なんだか、もう区別がつかなくなっていた。

 

 

「やちよさーん、準備できましたー?」

 

 階段の下から、いろはの声がした。やちよはもう一度鏡を睨んで、大丈夫、と自分に言い聞かせた。

 

 

 水名神社までは歩いて十五分ほどだった。

 

 冬の空気は元旦にふさわしく凛と澄んでいて、吐く息が白くほどける。参道の石段には霜がうっすらと張り、踏みしめるたびにさくりと鳴った。両側には屋台が立ち並び始めていて、たこ焼きのソースの匂いと焼きそばの湯気が混ざる。境内へ続く長い石段の先には、朱塗りの鳥居が晴れた冬空に映えていた。

 

 やちよの晴れ着は、屋外に出るとその真価を発揮した。冬の弱い陽射しが青い振袖に当たるたび、花模様の金糸がきらりと輝く。風がそよぐたび、袖がふわりと揺れて、帯の金色がちらりと覗いた。白いうなじに縦ロールの髪がかかって、ピンクの花飾りが青い髪に映える。長身のやちよが晴れ着姿で歩くだけで、参道の視線が無意識に吸い寄せられた。

 

「やちよさん、すっごく綺麗です……!」

 

 いろはが目を輝かせて言った。彼女は淡いピンクのシンプルな着物で、それがかえって清楚な魅力を引き立てている。

 

「おおー、やちよ気合い入ってんなー。俺も負けてらんねー!」フェリシアは自分も負けじと、真っ赤なダウンジャケットの前を張り切って開けた。彼女は着物ではなく、それがフェリシアらしい。鶴乃はと言えば、店の宣伝を兼ねた派手な羽織に身を包み、「商売繁盛!」と書かれた扇子を手にしている。さなは地味な色合いの着物で、いつも通りういの後ろに半分隠れていた。ういが姉と同じピンク系の着物で、嬉しそうにいろはの腕にしがみついている。

 

 少年だけは、いつものダウンジャケット姿だった。着物なんて着せられるわけがない。子供はそれで十分だ。

 

 だがやちよは知っていた。この子供が今、何を考えているかを。

 

 参道を歩く間も、少年の視線はやちよの背中——正確には、帯の下のあたりに張り付いていた。晴れ着を眺める目ではない。「この着物の下のおまんこ」を透視しようとする、あの目だった。やちよは振り返らずに歩き続けた。うなじに少年の視線を感じて、肌がちりちりと熱を持った。

 

 

 境内は想像以上の人出だった。

 

 家族連れ、カップル、受験生らしき若者の群れ。小さな子供が母親に手を引かれて石段をのぼり、老婦人が杖をつきながらゆっくりと参道を歩く。すべてが穏やかで、清らかで、正月にふさわしい光景だった。

 

 賽銭箱の前で、一行は順番に並んだ。冷たい空気の中で、銅貨を投げ入れる音が乾いて響く。

 

 最初に手を合わせたのは鶴乃だった。「万々歳の商売繁盛! 今年こそ行列ができる店に! 中華と和食のフュージョンで天下を取る!」——豪快に祈りながら、すでに万々歳のメニュー表を賽銭箱の横に置こうとして、さなに止められていた。

 

 フェリシアは二礼二拍手の作法をすっ飛ばして、「デカゴンボールのフィギュアと、うまい肉と、あと——えーと、いっぱい食える一年!」と、まるでサンタクロースに願い事をするような祈り方をした。

 

 さなは他のみんなから少し離れた場所で、小さく手を合わせた。「……今年も、みなさんと一緒にいられますように」。声に出さず、まるで祈りが誰かに聞かれるのを恥ずかしがるかのように。ういがそんなさなの肩をそっと抱いた。彼女の祈りはシンプルだった。「お姉ちゃんと、みんなが、元気でいられますように」。いろはに向ける視線が、祈りよりも雄弁に何かを語っていた。

 

 いろはは、賽銭箱の正面に立った。目を閉じて、長い時間、手を合わせている。やちよはその横顔を見ながら、彼女が祈っているのはきっと「みんなの幸せ」だろうと思った。それがいろはという少女だ。他人の幸せを祈ることに、一切の見返りを求めない。

 

 最後に、やちよが賽銭箱の前に立った。

 

 五円玉を投げる。ちゃりん、と澄んだ音が冬の空気に吸い込まれていった。二礼二拍手。手を合わせて、目を閉じる。

 

(——この子との関係が、誰にもバレませんように)

 

 新年の抱負でも、世界平和でも、魔法少女としての決意でもない。みかづき荘の年長者が、元旦の神社で祈る内容がこれだ。隣の少年と毎日交尾していることが、メンバーに知られませんように。保護者として、大人として、これ以上なく情けない祈りだった。だがこれが今の七海やちよにとって、最も切実で、最も正直な願いだった。

 

 目を開けると、少年がやちよの袖を引っ張っていた。

 

 

 もぞもぞと、落ち着きなく足を動かしている。顔は少し赤く、目はいつもの捕食者のそれだ。

 

「おしっこ」

 

 やちよは息を詰めた。

 

(——嘘に決まっている)

 

 わかっている。この「おしっこ」が本当の尿意でないことくらい、嫌というほど。だが、他のメンバーの前で「おしっこ」と言われれば、連れて行かないわけにはいかない。拒否すれば「どうして?」という疑問が生まれる。この子の「おしっこ」が何を意味するか——それを知っているのは、ここではやちよだけなのだ。

 

「ちょっとこの子をお手洗いに連れて行ってくるわ。すぐ戻るから」

 

 やちよが言うと、いろはがすかさず反応した。

 

「あ、やちよさん、私が——」

 

「大丈夫よ」

 

 やちよの声は即座に、そして必要以上にきっぱりと、いろはの言葉を遮った。いろはは一瞬きょとんとしたが、すぐに「は、はい。行ってらっしゃい」と微笑んだ。やちよの剣幕に気圧されたのか、それともただ単に「年長者を信頼した」だけなのか。どちらでもよかった。いろはにトイレを任せるわけにはいかない。この子の「おしっこ」が本当の用を足すだけで済むとは、絶対に思えないからだ。

 

 少年の手を引いて、境内の端にある公衆トイレへと歩き出す。晴れ着の裾が石畳を擦るかすかな音と、草履の足音だけが耳についた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 公衆トイレの個室は驚くほど狭かった。

 

 大人一人が立って、便器の前にようやく収まるだけの空間に、幅のある振袖の女と子供が二人で入り込む。晴れ着の裾が壁のタイルに擦れて、しゃりしゃりと高級な布地の悲鳴が上がった。青い花模様が、殺風景なグレーの壁に無理やり押し付けられている。やちよの腰のあたりで、金色の帯が蛍光灯の白い光を反射していた。

 

 外では——初詣の賑わいが続いている。子供の笑い声、おみくじを結ぶ鈴の音、母親が子供を呼ぶ声。その壁一枚を隔てただけで、ここは別の世界になる。

 

「鍵、閉めて」やちよは短く言った。

 

 少年が後ろ手に鍵をかける。かちゃん、という小さな金属音が、やけに大きく響いた。

 

 やちよは便座に腰を下ろした。冷たいプラスティックの感触が尻に伝わる。和式ではなく洋式でよかった——せめてもの救いだった。両手で晴れ着の裾を掴んで、一気にたくし上げる。青い振袖が膝の上で山のように盛り上がり、金色の帯の下から白い太腿が剥き出しになった。

 

 ノーパンだ。

 

 おまんこが丸見えだった。整えられた薄い陰毛の向こうに、ほのかに赤みを帯びた粘膜が覗いている。この数日間のセックスで、もうどんなタイミングでも濡れられるようになっていた。膣口は今にも何かを受け入れようとするかのように、ひくひくと小さく蠢いている。

 

「——はやくしなさい」

 

 やちよは自分の声が少し掠れているのに気づいた。少年は返事をしなかった。代わりに、ダウンジャケットの前を開けて、ズボンとパンツを膝まで一気に引き下ろす。褐色の腰から、凶器がむくりと持ち上がった。もう完全に勃起している。亀頭が怒張して、先端から透明な我慢汁をにじませていた。

 

 少年はためらわず、やちよの腰に両手をかけて、立ったままチンポを膣口に押し当てた。便座に座っているやちよの腰の高さが、立った少年のチンポの位置とぴったり合う。狙ったわけでもないのに、二人の体位は完璧な直結状態だった。

 

 にゅぷっ♡

 

 一息で奥まで埋まった。愛液が十分すぎるほどに分泌されていて、抵抗はまったくなかった。子宮口に亀頭がこつんと当たるまで、わずか二秒。やちよは奥歯を噛み締めた。口を開けたら、声が出る。

 

「やちよお姉ちゃんのおまんこ、今日もあつい……とろけてる」

 

 少年の感想はいつも率直だった。そして腰を動かし始める。ずちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ。狭い個室の中に粘膜の擦れ合う音が籠もって、反響する。便座がかたかたと鳴った。やちよは壁に手をついて、自分の体を支えた。少年の腰の動きが強くなるたびに、晴れ着の布地がしゃらしゃらと揺れる。

 

 その音が、変にやちよの神経を逆撫でした。着物が擦れる上品な音と、性器が擦れ合う下品な音。その二つが同じ密室の中で同時に鳴っている。あの華やかで格式高い晴れ着を着て、公衆トイレの便座に座って、大股を開いて、元旦の朝っぱらからガキのチンポを受け入れている。しかも自分から。

 

(初詣で。着物で。神社のトイレで)

 

 頭の中で三つの言葉を並べて、やちよは目を閉じた。どれだけ酷いか、数えない方がいい。

 

 少年のピストンが加速する。いつものパターンだ。最初は浅く、徐々に深く、最後はただ爆発するように腰を叩きつける。子供の細い腰が、振袖の青い布の下で前後に揺れる。便座がかたかたかた、と断続的に鳴り続けた。

 

「でるっ……お姉ちゃん、でる、でるぅっ!」

 

 少年の声が切羽詰まった高さになった。膣内のチンポが膨張して、亀頭が子宮口を押し上げる。やちよの身体が、その感覚に反応した。

 

 ——来た。

 

 自分の意思ではない。身体が勝手にチンポに合わせて絶頂への階段を駆け上がっていく。子宮口をぐりぐりと押し開かれる刺激が、下腹の奥から背筋を駆け上がって、脳天まで突き抜けた。やちよは両手で口を塞いだ。

 

「——っ、……んん……っ!」

 

 声を殺した。喉の奥で唸るような声が、指の隙間から漏れないように、必死で。膣壁が激しく痙攣し、少年のチンポを根元から絞り上げる。

 

 ぎゅぅぅぅ。

 

 その痙攣が少年の射精を誘発した。膣の一番奥で、熱い塊が弾ける。どぷっ、どくっ。三度、四度と脈打って、精液が子宮口を白く染めていく。やちよは身体を震わせながら、絶頂の波が引いていくのを待った。脚の力が抜ける。おまんこの奥がまだひくひくと、最後の快感を噛み締めていた。

 

 同時絶頂だった。

 

 少年がずるりとチンポを引き抜いた。射精後の精液と愛液が混ざった白濁が、亀頭からぽたりと垂れて便器に落ちる。

 

 その瞬間だった。

 

 ちょろろろ……。

 

 やちよの尿道から、潮が噴き出した。意思とは無関係に。チンポが抜かれて膣への圧迫が緩んだことで、絶頂の余波が尿道の制御を外したのだ。透明な液体がちょろちょろと流れ出て——その先にあったのは、抜きたての少年のチンポだった。亀頭に、じわりと温かい潮がかかる。精液でぬめる亀頭を、さらに潮が濡らして、てらてらと光らせた。

 

「あっ……お姉ちゃん、なにこれ……あったかい……きもちい……」

 

 少年の声が戸惑いと快感の間で震えた。射精直後の過敏になった亀頭に、体温と同じくらいの温かさの潮がとろりとかけられていく。刺激としては微弱なはずだった。だが射精直後の敏感さが、その微弱な刺激を何十倍にも増幅した。亀頭の裏筋を潮が伝って、金玉まで滴り落ちる。

 

 むわり。

 

 密室に、匂いが立ち込めた。精液と潮と愛液が混ざった、とんでもなくドスケベな匂い。フェロモンの塊のようなその空気を吸い込んだ瞬間、やちよの下腹がまたきゅんと疼いた。

 

 少年のチンポが——見る間に再び硬さを取り戻していく。さっきまで萎えかけていたはずのそれが、潮を浴びて亀頭を濡らされただけで、びんびんにそそり立った。

 

「お姉ちゃん、おまんこウォシュレットだ!」

 

「……は?」

 

「だって、チンポがお姉ちゃんの潮で洗われてる! おまんこウォシュレット! すごい、またチンポ立った!」

 

 少年は目を輝かせて、何の悪意もなく新発見を叫んでいる。やちよは額に手を当てて、深いため息をついた。こんなときに、そんな名前をつけるな。

 

「もう、ほら……入れる!」

 

 ずぷんっ♡

 

 返事をする間もなく、二度目の挿入。今度は精液と潮と愛液が混ざった複合潤滑液がたっぷりと膣内に流れ込んでいて、入れた瞬間からぐちゅぐちゅ♡と派手な水音が鳴った。

 

「ん、ぁ……っ」

 

 やちよの口から声が漏れた。一度目の絶頂で身体はほぐれきっていた。膣壁が柔らかく開いて、チンポを咥え込んだまま動きに合わせて形を変える。ぴったりと吸い付きながら、それでいて動きを阻害しない——完全に、このチンポのためのオーダーメイドだった。

 

 二度目の射精は十分とかからなかった。どぴゅっ、と精液が注ぎ込まれ、チンポが抜かれると——また潮がちょろちょろと吹き出す。今度は少し量が多い。亀頭に温かい潮がかかり、即座に再勃起。

 

 三度目。四度目。やちよも少年も、もうこの流れに逆らわなくなっていた。

 

 三度目のあたりで、少年は「おまんこウォシュレット気持ちいい〜♡」と何度も歌うように繰り返し、やちよは「……その名前で呼ぶの、やめて」と掠れた声で言った。しかし腰を振る少年の勢いは止まらない。便座がかたかたかた、と小刻みに鳴り続けて、壁一枚隔てた参道の賑わいを掻き消した。

 

 四度目の潮は、もはやちょろちょろではなく、しゃあっと勢いよく吹き出した。亀頭だけでなく、少年の腹や太腿にも飛沫がかかる。

 

「お姉ちゃん、すごい量……おまんこの中、びしょびしょ……」

 

「うるさい……あ、ん……っ」

 

 反論の語尾が裏返った。やちよは便座に座ったまま、何度も何度も絶頂に引き摺り込まれて、そのたびに潮を吹かされていた。絶頂の間隔が短くなっている。最初は射精と同時だったのが、今では挿入されているだけでうっすらとイキかけている。晴れ着の襟元が乱れて、肩が片方露出していた。オフショルダーのニットではない、振袖の白い肌襦袢の下から覗く鎖骨が汗でしっとりと光っている。

 

 五度目。少年の動きが鈍くなった。

 

 四発出した後のチンポは、さすがにもう限界に近い。それでも潮を浴びれば無理やり勃たせて、何とか挿入に漕ぎ着ける——のだが、今度は射精に至るまでに時間がかかった。ぐったりと疲れながらも執拗に腰を振る少年と、されるがままに揺さぶられながら、小さく喘ぐやちよ。

 

「で、る……お姉ちゃん……でるぅ……」

 

 少年の声に張りがなくなった。最後の射精は勢いも量も乏しく、どろりとした精液が尿道を這い上がって、ぽたぽたと滴るように膣内に落ちた。チンポが抜けると、それはもう立ち上がらなかった。限界だった。

 

 やちよの方も、潮は出尽くしたようだった。最後は尿道がひくつくだけで、液体はほとんど出ない。お互いに、すべてを出し切った顔だった。

 

 

 少年は荒い息のまま、さっさとズボンを履いた。

 

「ボク、おみくじ引いてくるー!」

 

 鍵を開ける。ドアの向こうから、初詣の平和な空気が流れ込んできた。冬の澄んだ空気と、焚き火の煙の匂い。神社の静謐。家族連れの穏やかな声。

 

 少年はその中に駆け出していった。何事もなかったかのように。エロ猿の切り替えの早さには、ある種の感心すら湧く。

 

 やちよは一人、個室に残された。

 

 まず、息を整えた。それからポケットからポケットティッシュを取り出して、便座を拭く。便器の中に溜まった精液と潮の混合液を流す。壁に飛んだ飛沫を拭く。自分の腿を拭く。おまんこの周りを拭く。何枚使っても足りなかった。

 

 晴れ着に染みはないか、確認する。帯の周り、裾、袖。幸い、表面に大きな汚れは見当たらなかった。帯を締め直し、裾を直し、肩の乱れを整える。髪に手をやって、崩れた花飾りの位置を戻した。

 

 鏡はなかった。それが唯一の救いだった。あれば——自分がどんな顔をしているか、見てしまっただろう。

 

 快楽で上気した頬、潤んだ目、微かに腫れた唇。ここ数日で何度も見た、情事の後の自分の顔。元旦に神社のトイレで子供と五発。しかも自分も五回絶頂して、五回潮を吹いた。保護者どころか、もはや人間としての格が違う方向に落ちている。

 

 でも——身体は満足していた。おまんこがまだひくひくと余韻を引きずっている。腹の底からじんわりと広がる満足感は、罪悪感のすぐ隣で、堂々と居座っていた。

 

 

 トイレを出ると、冬の空気が火照った頬に心地よかった。境内の雑踏に戻ると、いろはがすぐに見つけて手を振った。

 

「やちよさん、大丈夫でした? 顔が少し赤いような……」

 

「大丈夫よ。この子がはしゃいで走り回るものだから、追いかけていて……少し火照ってしまって」

 

 口から出た嘘は、あまりにも自然で、あまりにも滑らかだった。事実の骨組みだけを借りて、肉付けだけをすり替える——この数日で、嘘の技術だけは格段に上達していた。

 

 いろははそれを疑いもせず、「もう、あの子ったら元気ですね」と笑った。やちよは微笑みを返しながら、腹の奥でとろりと温かいものの存在を感じていた。五発分の精液が、まだゆっくりと子宮から膣へと降りてきている。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 一月二日と三日は、正月のだらけた空気の中で過ぎていった。

 

 みかづき荘には年の始め特有のゆるやかな時間が流れていて、みんな朝は遅く起き、こたつでみかんを食べ、テレビの正月特番をだらだらと見る。そんな中でも少年の性欲は正月休みとは無縁で、朝に一発、昼に一発、夜に二発と、まるで臓器がスケジュールを管理しているかのように正確にやちよを求めた。

 

 やちよの方も、もう「やめなさい」とは言わなくなっていた。正確には言うのだが、声のトーンが完全に変わっていた。本気の制止ではなく、言わなければならないから言っているだけの、空っぽの言葉。口では「こら」と言いながら、身体はとっくに脚を開いている。そんな自分を咎める気力すら、もう残っていなかった。

 

 少年のチンポには完全に身体が適応していた。初日の圧迫感は遠い記憶で、今は入ってくる瞬間に膣口が自然に開く。子宮口を亀頭が押し上げるたび、腰の奥がじんわりと甘く疼く。夜、布団の中で目を閉じると、腹の中にまだチンポが入っているような錯覚に陥ることすらあった。

 

 そして、このだらだらとした日々の裏で——やちよは気づいていたのだ。明日でこの子が帰るという事実に、安堵とは別の何かが、心の隅で小さく頭をもたげていることに。

 

 

 一月四日、朝。

 

 やちよは自室のベッドで目を覚ました。昨夜も寝る前に二発。腹の奥に精液の重みがまだ残っている。窓の外は薄曇りで、低い冬の陽がカーテンをうっすらと白く染めていた。

 

 起き上がって、髪を梳かしながら、やちよは決断を下した。

 

 最終日前日。少年の両親が迎えに来るのは明日の夕方だ。今日をどう過ごすか——昨日までの自分なら、みかづき荘で穏やかに過ごして、ゆっくりと別れの準備をするつもりだった。だが今朝のやちよは違った。

 

(みかづき荘では限界がある)

 

 メンバーがいる中でのセックスは、常にバレるリスクと隣り合わせだ。この数日間、何度ヒヤリとしたか分からない。いろはの声が階段から聞こえるたびに心臓が止まり、フェリシアがドアをノックするたびに手が止まる。そんな綱渡りをもう一日続けるのは——さすがに限界だった。この子の性欲が爆発すれば、今度こそ誰かの目に触れる。

 

(だったら。安全な場所で。誰にも邪魔されず。今日一日で思い切り抜かせてやれば——明日の帰りの車では大人しくなる。ご両親に引き渡すときに勃起していたら、それこそ終わりだ)

 

 理屈は完璧だった。誰が聞いても納得する、保護者としての合理的な判断。メンバーを危険から遠ざけ、少年の性欲を安全に処理し、明日の引き渡しを円滑にする。すべてが理にかなっている。

 

 このロジックの一番都合のいいところは——自分の本音を考えなくて済むことだった。

 

 やちよはクローゼットから冬服を取り出した。白いケーブルニットのワンピース。サングラス。マスク。車のキー。準備は手早かった。迷っている時間はなかった。迷えば、正気に戻ってしまう。

 

 

「今日はこの子を買い物に連れて行ってくるわ。最終日だし、何か欲しいものがあるかもしれないから」

 

 リビングで告げると、予想通りいろはが反応した。

 

「私も一緒に——」

 

「大丈夫よ。二人で行ってくるわ」

 

 やちよの声は穏やかで、しかし一切の隙がなかった。いろはは口を開きかけて、やめた。何かを察したのかもしれない。あるいは単に、やちよが時折見せる「これ以上踏み込むな」という空気を感じ取ったのか。どちらでもよかった。

 

 やちよは玄関でサングラスをかけ、マスクを装着した。有名モデルとして街中で顔が割れるリスクを考えれば、これは必要な変装だった。だが——それだけではない。このサングラスとマスクは、自分自身からも目を逸らすためのものだった。

 

 マスクの下で、唇が微かに弧を描いている。これからやることを、もう自分が知っている唇だ。

 

 

 レンタカーは事前に手配してあった。銀色のコンパクトカー。ハンドルを握る手が、微かに汗ばんでいる。

 

「どこ行くの?」助手席の少年が訊ねた。シートベルトをきちんと締めて、行儀よく座っている。こんなときだけはいい子なのだ。

 

「黙って乗っていなさい」

 

 やちよは前を向いたまま答えた。アクセルを踏む。車がみかづき荘を離れて、冬の街へと滑り出していく。街路樹は裸の枝を空に伸ばし、コンビニの看板だけが鮮やかな色で流れていった。

 

 ナビは必要なかった。目的地は事前に調べてあった。道順も、駐車場の構造も、料金システムも。抜かりなく。そう——まるで自分がこの日のために、ずっと前から準備していたかのように。

 

 郊外へ出る。住宅街が途切れて、国道沿いにぽつぽつと現れるラブホテルの看板。城のような外観、船を模したシルエット、青いイルミネーションで飾られたエントランス。やちよはハンドルを切って、ガレージタイプの一軒へと車を滑り込ませた。車ごと建物に入れる構造で、他の誰とも顔を合わせずにチェックインできる。そういう場所を、ちゃんと調べてあったのだ。

 

 車を停めて、エンジンを切る。無人のチェックインパネルで部屋番号の書かれたキーを受け取った。やちよの指は震えていなかった。

 

 少年の手を引いて、部屋のドアを開ける。

 

 

 広かった。

 

 みかづき荘のどの部屋よりも広い。キングサイズのベッドが部屋の中央に鎮座し、巨大な鏡が天井を覆っている。間接照明が壁を橙色に染めて、ジェットバスのあるバスルームがガラス越しに透けていた。すべてが——交尾のためだけに設計されている。余計なものは何一つない。ここには日常の顔をした生活の気配が、一片たりとも存在しなかった。

 

 少年は靴を脱ぎ捨てて、ベッドの上に飛び乗った。

 

「すっげー! お姉ちゃん、ここなに! すごい! おっきい!」

 

 無邪気に跳ねる背中を見ながら、やちよはゆっくりとサングラスを外した。マスクを外した。コートを脱いで、壁のハンガーにかける。白いニットワンピースだけが残った。

 

(来てしまった)

 

 自分から。自分で車を運転して。自分で部屋の鍵を取って。誰に命じられたわけでもなく、誰に脅されたわけでもなく。もう「仕方なく」とは言えない。

 

 なのに——腹の底から込み上げてくるものがある。閉じ込めていた何かが、蓋をこじ開けて、今にも溢れ出しそうになっている。

 

 安全な場所。誰にも邪魔されず。時間を気にせず。壁は防音で、声を殺す必要すらない。思い切り——。

 

 やちよは目を閉じて、深く息を吸った。吐く息は、自分でも驚くほど熱かった。

 

 

 ニットワンピースを脱いだ。

 

 白いケーブル編みの布地が頭から抜かれて、ソファの背にふわりと落ちる。下着は元からつけていない。数日ぶりに、やちよは全裸で誰かの前に立った。

 

 ラブホテルの間接照明が、彼女の裸身を橙色に縁取った。長い手足、引き締まった腹、腰から尻にかけての流れるような曲線。モデルとして磨き上げられた体が、鏡の張られた天井にもう一人の自分を映し出している。普段は服に隠れている白い肌が、薄暗い部屋の中でひときわ白く浮かび上がった。胸の先端はもう硬く尖っていて、太腿の内側には昼前だというのにうっすらと濡れた痕が光っている。

 

 少年はもう全裸でベッドに座っていた。褐色の肌と細い手足。子供の体。ただ一点——股の中心だけが、大人を通り越した異形の質量でそそり立っている。

 

 やちよはベッドに上がった。低反発のマットレスが体重を受け止めて、ぎしりと沈む。少年の方へ這い寄るのではなく——その肩に手を置いて、そっと押し倒した。

 

「お姉——」

 

 対面騎乗位だった。見下ろすやちよの顔が、天井の鏡に映っている。長い青髪がさらりと垂れて、少年の胸の上で広がった。やちよは片手で少年のチンポを掴み、もう片方の手で自分の膣口を探る——必要はなかった。膣口はもうとっくに開いていて、指先に触れただけで熱い粘液が滴った。

 

 腰を落とす。

 

 ぐぷっ——と亀頭が飲み込まれていく感触。自分の体重で、自分のペースで、チンポが膣の中に沈み込んでいく。子宮口を亀頭が押し上げる角度まで、一気にではなく、じわじわと。最後の一センチで、腰をくねらせるようにして最奥まで咥え込んだ。

 

「あ……ぁ」

 

 自分の口から漏れた声に、自分で驚いた。こんな声、出したことがない。

 

 やちよはそのまま、ゆっくりと腰を動かし始めた。上下に、ときどき円を描くように。膣壁のどの面に亀頭が当たるか、自分で角度を調整できる。一番気持ちいい場所を、自分で探して、自分で擦る。「早く終わらせるため」という言い訳は、もう頭の中だけのものだった。

 

「お姉ちゃんすごい……お姉ちゃんから、ぐいぐい来る……おまんこ、きもちい……」

 

 天井の鏡には、やちよの背中が映っている。細い腰、背骨の線、呼吸に合わせて動く肩甲骨。その体が——自分から、少年の上で上下している。腰を振るたびに青い長髪が揺れて、尻の白い肌がぼんやりと浮かび上がった。やちよは目を閉じて、自分の快感だけに集中した。ここには誰もいない。誰にも見られていない。声を殺す必要もない。初めて、やちよは自分の喘ぎ声を聞いた。

 

「ん……あ、あ……んん……!」

 

 騎乗位の上下動が速度を増す。ぐちゅぐちゅと粘着質な水音がベッドの上に響いて、スプリングがぎしぎしと軋んだ。

 

「でるっ……お姉ちゃん、でる……!」

 

 少年が下から腰を突き上げた。その不意の動きが子宮口を強く押し上げて、やちよは背筋を反らした。膣壁が痙攣し、その収縮に誘われて少年が射精する——どぷっ♡、どくんっ♡。子宮口に精液が叩きつけられて、やちよの身体も同時に絶頂へと引き上げられた。

 

「——っ、イ、……ぅ……!」

 

 歯を食いしばる必要はなかった。声を出しても、誰にも聞かれない。やちよはチンポを咥え込んだまま、腰をがくがくと震わせて絶頂の波をやり過ごした。

 

 射精が終わって、チンポが膣内で小さく痙攣している。やちよは息を整えて、それから——ゆっくりと体を反転させた。背面騎乗位。尻を少年の顔の前に突き出す格好で、再び腰を落とす。

 

 今度は視界が違った。天井の鏡に映るのは、自分の腹と、開かれた脚の奥に消えていくチンポと、少年の驚いた顔。やちよの尻が上下するたび、結合部からは精液と愛液が混ざった白濁がにじみ出て、太腿を伝い落ちた。

 

「お姉ちゃんのおしり、すごい……きれい……」

 

「黙りなさい。……こうした方が、早く終わるから」

 

 言い訳はまだ機能していた。かろうじて。

 

 午前中だけで、少年は三発。やちよは五回、絶頂した。最後は騎乗位のまま腰が動かなくなって、うつ伏せに崩れ落ちる。へそに溜まった汗がシーツに染みて、暗い染みを作った。

 

 

 腹が鳴った。

 

 ぐう、と。

 

 ラブホテルの防音された静寂の中で、その音はひときわ大きく響いた。やちよの腹の虫が、激しい運動の後のエネルギー補給を生理的に要求している。ごまかしようがなかった。

 

 少年が、ぱっと顔を上げた。

 

「お姉ちゃん、お腹すいたの?」

 

 にやにやしている。やちよはうつ伏せのまま、枕に顔を埋めて答えなかった。耳の先が僅かに赤い。

 

「……当然でしょう。あれだけ体力を使えば」

 

 起き上がって、ベッドサイドのルームサービスメニューを手に取った。全裸のまま。太腿を精液が伝うのも気にせず、裸身のままめくるメニュー表はどこかシュールだったが、気にしている余裕はなかった。どうせこの部屋には交尾しか存在しないのだから、裸でメニューを見たくらいでどうということもない。

 

 インターホンでステーキランチを二人分注文した。料理はドアの横の受け渡し口に置かれ、配膳の人間と顔を合わせる必要はない。ラブホテルのそういうシステムだけは、今回ばかりは素直にありがたかった。

 

 バスローブだけ羽織って、ベッドの上にトレーを広げる。鉄板で焼かれたサーロインステーキ。表面はこんがりと焼き目がつき、ナイフを入れると中から肉汁がじわりと溢れ出した。付け合わせのポテトとコーン。温かいスープのカップ。

 

 やちよはナイフとフォークを手に取った。一切れ切って、口に運ぶ。二切れ目。三切れ目。徐々に——加速する。上品さは最初の三口までだった。四口目からは、肉を切り分ける動きが大きくなり、フォークを口に運ぶ間隔が短くなった。あの洗練されたモデルが、交尾のエネルギー補給のために、赤身の肉を貪るように食っている。

 

 少年も隣でガツガツ食っていた。ソースが口の周りについてもお構いなしで、肉を頬張りながら「うんめぇ!」と叫んでいる。全裸にバスローブ一枚。ステーキソースが口の端から垂れて、バスローブの襟に染みた。

 

「おいしい?」

 

「うん! お姉ちゃんのおまんこの次にうまい!」

 

「……食事中に、そういうことを言わないで」

 

 言いながらも、やちよのフォークは止まらなかった。腹が減っていたのだ。それ以上に——この子のそういう発言に、いちいち動揺しなくなっている自分に気づいて、フォークを止める理由がなくなっていた。

 

 肉を食う動物的な姿。性交に明け暮れる動物的な行為。その間には、もう何の境界もなかった。どちらも、生き物としての当然の欲求だ。今のこの部屋には、それだけで十分だった。

 

 ステーキを平らげ、デザートのバニラアイスをかき込んで、水を飲む。腹が満たされると——あとはもう決まっていた。性欲→食欲→性欲。そのループを、もう止めるものは何もない。

 

 

 午後。バスルーム。

 

 ジェットバスの湯気がガラス一面を白く曇らせている。バスタブの縁に手をついて、やちよは後ろから突かれていた。床は滑りやすいから——という理由でバスローブは脱いで、再び全裸だった。湯気でしっとりと濡れたタイルに、結合部から滴る体液がぽたぽたと落ちている。

 

 ずちゅっ、ぐちゅっ。バックの体勢で、少年がやちよの腰を掴んで一心不乱に突き上げている。湯気で温められた膣壁はとろけるように柔らかく、チンポの形に合わせてどこまでも広がった。

 

 やちよは壁にかかった曇りガラスの鏡に、ぼんやりと自分の顔を見ていた。髪は湯気で額に張り付き、頬は紅潮し、口は半開きで荒い息を吐いている。

 

 ——その瞬間、頭の中に声が響いた。

 

『やちよさん、聞こえますか?』

 

 いろはの声だった。魔法少女のテレパシー。頭の内側で直接響くその声に、やちよの意識が一気に覚醒した。

 

(——っ!)

 

 思わず膣がきゅっと締まって、少年が「あっ」と声を上げた。やちよは片手を後ろに回して、少年の腰を押さえた。動くな、という合図。通じるわけがないのに。

 

『いろは、どうしたの』

 

 表層の意識を必死に整えて、やちよはテレパシーで応答した。テレパシーは思念を送る通信だ。思考の温度や質感が、言葉と一緒に微かに伝わる。感情が揺れていれば、それも漏れる。——今の自分に、それがどれだけ危険か、やちよは痛いほど分かっていた。

 

『魔女の反応を感知しました。そんなに強くないんですが、念のためみんなで討伐に行こうと思って。やちよさんは無理しないで、あの子のことお願いします』

 

 いろはの声はいつも通り優しく、そしてどこか遠慮がちだった。やちよが今日は「買い物」で留守にしている——それを気遣っているのだ。

 

 少年が、やちよが急に黙ったことを不審に思ったらしい。しかし解釈はいつも通りの単純さだった。「お姉ちゃん黙ってる……もっと気持ちよくする!」——そう言って、さっきより強くピストンを再開した。最悪のタイミングだった。

 

 ずちゅっ、ばちゅっ!

 

「——っ」

 

 声を出してはいけない。テレパシーは思念の通信だが、肉体の反応は思念の質を変える。激しい快感が頭の中で渦巻いている状態で、それを完全に隠し切るのは不可能に近かった。やちよは二重の思考を必死で操った。

 

(『大丈夫よ、いろは。気をつけて行ってきて。私はこの子をちゃんと見ているから』)

 

(『あ、あ……そこ、奥……ん、ちがう、いま喋ってるのに……』)

 

 この二つを混ぜるわけにはいかない。混ざった瞬間、いろはに伝わる。

 

『……やちよさん?』

 

 いろはの声が、ほんの少しだけ、戸惑いを含んだ。

 

『なんだか、いつもと雰囲気が違うような……? お顔が見えないから分からないんですけど、テレパシーの感触が……なんていうか、その……熱い、というか……』

 

(バレる——!)

 

 やちよは歯を食いしばった。そして、残った理性をかき集めて、全力で「冷静な七海やちよ」の思念を送った。

 

『大丈夫よ。買い物であの子に付き合わされて、ちょっと走っていたところだから……息が上がっているだけ』

 

 付き合わされて——チンポとおまんこを突き合わせていた。もちろんやちよは文字通りの意味で言っている。だが事実は別の意味で「突き合って」。この二重の真実が、嘘を限りなく真実に近づけた。

 

 少年はやちよが何やら真剣な顔をしているのを気にせず、相変わらず腰を打ちつけている。ばちゅっ、ばちゅっ。そのたびにやちよの膝ががくがくと震えて、バスタブの縁に爪を立てた。

 

『そうなんですか……あの子、元気ですもんね。無理しないでくださいね』

 

 いろはの声から困惑が消えた。完全に納得したわけではない——どこかまだ、微かな引っかかりが残っている気配はあった。でもそれ以上追及しないのが、いろはの優しさだった。

 

『ええ。……そっちこそ、気をつけて』

 

 テレパシーが切れた。

 

 緊張の糸がぷつんと途切れて、やちよはバスタブの縁に崩れ落ちた。両膝がタイルに落ちて、脱力した腕がぶらりと垂れる。全身からどっと汗が噴き出した。

 

「お姉ちゃんどうしたの?」

 

 少年が後ろから、不思議そうに顔を覗き込んでいる。チンポはまだ入ったままだ。

 

「……なんでもないわ」

 

 声は驚くほど平静だった。自分でも呆れるくらいに。

 

 しかし心の中は平静とはほど遠かった。いろは達が魔女退治に行く。危険な戦いだ。やちよは本来、リーダーとして前線に立つべき存在なのに——今、自分はラブホテルのバスルームで、四つん這いでガキと交尾に狂っている。仲間に危険を押し付けて。

 

 罪悪感が、胸の奥でふつりと泡立った。仲間が危険と戦っているその時間に、自分だけ安全な密室で腰を振っている。リーダーの資格など、とうの昔に溶けて消えていた。

 

 でも——。

 

 少年のチンポが、まだ膣の中で脈打っている。さっきまで続いていた行為が、中断されて、身体はまだ中途半端に昂ぶったままだった。身体が求めている。もっと欲しい。まだ足りない。

 

 罪悪感と快楽。その二つの間で、かつてのやちよなら迷った。迷って、悩んで、結局は罪悪感が勝っていた。だが今は——天秤が傾くのを待つまでもなかった。身体がもう、答えを出していた。「なんでもない」と言って、振り返らず、そのまま腰を突き出した自分の姿勢が、すべてを物語っていた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 バスルームからベッドへ。ベッドから床へ。床からまたベッドへ。

 

 少年とやちよは、午後から夜にかけてのすべての時間を、ただ交尾だけに費やした。気がつけば窓の外は完全に暗くなっていて、部屋の中には間接照明の橙色だけが二人の裸を照らしている。外の世界の時間はもうどうでもよかった。ここには二人の体温と粘膜の感触と、無限に繰り返される射精と絶頂だけがあった。

 

 浴室の鏡に、やちよの顔が映っている。湯気で曇ったガラスの向こうで、鏡の中の自分が少年に後ろから突かれていた。髪は額に張り付き、口はだらしなく開いて、舌の先が微かに覗いている。こんな顔、誰にも見せられない——そう思いながらも、鏡から目を離せなかった。

 

 ベッドの上では、やちよが自分から少年に跨った。

 

 もう言い訳は口にしなかった。「早く終わらせるため」というフレーズすら、もう空っぽの形式ですらなかった。ただ、気持ちいいから——そういう理由だけで、腰を振った。背筋をしならせて、太腿の力を抜いて、自分が一番感じる角度を探す。ぐちゅぐちゅと粘つく水音が、もはや何十回目かの結合を伴奏した。

 

「お姉ちゃん、すごい……すごいよ……お姉ちゃんの、おまんこ、とまらない……でる、またでるぅ……!」

 

 びゅるるっ♡

 

 膣の奥で精液が弾ける感覚にも、もう慣れていた。子宮口に叩きつけられる熱さに背筋を震わせて、やちよも一緒に絶頂する。声を殺す必要はなかった。ラブホの壁は防音で、外には誰もいない——正確には、隣の部屋に誰がいるかは分からないが、それすらどうでもよかった。誰かに聞こえても構わない。今のやちよは、自分の声を抑える理由を一つも持っていなかった。

 

「あ……ああっ……ん、んぁ……!」

 

 ベッドのスプリングがぎしぎしと軋み、チンポが突き上げるたびに頭がのけぞる。シーツはとうに精液と愛液と汗でぐっしょりと濡れていて、寝返りを打つたびに冷たい染みが背中に貼りついた。

 

 

 少年が先に力尽きて、ぐったりと仰向けになった。

 

 息は荒く、腹は上下し、目は虚ろに天井を向いている。チンポだけは萎えていなかった。何発出しても、十分もすればまた硬くなる。無限の性欲という言葉が比喩ではないことを、この数日で嫌というほど思い知らされていた。

 

 やちよはそんな少年の上に、もう一度跨った。

 

 自分だって疲れていた。腰は重く、太腿はぷるぷると震え、目の前が時折かすんだ。なのに——身体がもっと欲しいと言っている。チンポが膣の奥を埋める感覚が、まだ足りないと言っている。

 

「お姉ちゃん、もう無理——」

 

「まだできるでしょう。私が終わりって言うまで終わらない」

 

 やられっぱなしは我慢できない。この子供に主導権を握られて、好き放題にされるのが許せない。だから——自分から搾る。自分から動いて、自分からイく。そのプライドだけが、疲れ果てた身体を動かしていた。

 

 ぐちゅっ、ぐちゅっ、ずちゅっ。半死で横たわる少年の上で、やちよが一人で腰を振り続ける。長い青髪が汗で背中に張り付いて、尻の白い肌が上下するたびに結合部の水音が派手に響いた。天井の鏡には、疲れ切った顔でそれでも腰を止めない女の姿が映っている。そしてその顔の口元には——微かに、笑みのようなものが浮かんでいた。

 

 

 もう何発出したのか、数えられなかった。

 

 精液がシーツのあちこちに染みを作り、床にまで滴り落ちている。二人とも疲弊しきっていた。目の下にはうっすらとクマができ、唇は乾き、髪は乱れてボロボロだ。まるで戦い疲れた戦士のような、それでいてどこか晴れやかな顔をしていた。

 

 窓の外はとうに真っ暗で、時計を見る気力もなかった。朝の九時にここに来た。もう十二時間近くが経っているはずだ。だが、まだ終わっていなかった。

 

 

 夜。壁にかかった時計は二十一時を回ろうとしていた。

 

 少年が、やちよの腕の中でぐったりとしながら、それでもチンポを半勃ちにさせて言った。

 

「お姉ちゃん……もう一回だけ……」

 

 声はかすれて、ほとんど息だった。やちよも身体は限界だった。腕は上がらず、腰は鉛のように重い。起き上がることすら億劫だった。

 

 でも——その言葉を聞いた瞬間、腹の底がきゅんと疼いた。まだ、ほしい。この身体は、まだ。

 

「……もう」

 

 やちよは深いため息をついた。それは呆れでも怒りでもなかった。何かを認めるような、どこか観念したような、そんなため息だった。

 

「これが本当に最後ですからね」

 

 ほとんど囁くような声だった。

 

 やちよはベッドに仰向けになった。両膝を立てて、ゆっくりと脚を開く。もう恥ずかしくなかった。白い太腿の奥で、おまんこがひくひくと少年を待っている。

 

 少年が、やちよの上に覆いかぶさるように乗ってきた。到着初日の、あの飛びつき正常位と同じだった。小さな褐色の体が、大人の白い体の上に重なる。だが温度がまるで違う。あの時は、やちよは抵抗していた。口では「やめなさい」と言い、身体は硬く強張っていた。

 

 今は——やちよが自分から脚を広げて、自分から少年の腰に手を回して、自分から迎え入れた。

 

 ずぷっ♡

 

 とろけるように柔らかくなった膣が、何十回目かのチンポを何の抵抗もなく受け入れる。子宮口まで一息に埋まって、やちよは静かに息を吐いた。

 

 少年の腰が動く。今までのような無秩序なピストンではなかった。疲れているから——というだけではない。どこか名残惜しむような、ゆっくりとした動きだった。ぬちゅ……ぬちゅ……と静かな水音だけが、夜のラブホテルに響く。

 

 やちよは少年の背中に手を回した。細い背中。褐色の肌。汗でしっとりと濡れている。

 

(終わるんだ)

 

 明日にはこの子は帰る。冬休みが終わる。この異常な日々も、もうすぐ幕を閉じる。

 

 それなのに——腹の奥が、まだじんわりと熱かった。満たされているのに、満足していない。明日で終わるというのに、もう「次はいつ」と考えている自分がいる。

 

「お姉……ちゃん……でる……」

 

 少年の声はほとんど息だった。最後の射精は激しくなかった。どろり……と、熱い精液がゆっくりと子宮口に滲みるように注ぎ込まれて、チンポが静かに痙攣する。それに合わせて、やちよの膣壁もゆるやかに収縮した。絶頂というよりも——長い長い抱擁のような、全身で互いを感じ合うような、そんな終わり方だった。

 

 少年は射精し終えると、そのままやちよの胸の上で眠りに落ちた。小さな寝息。無防険な寝顔。涎がやちよの鎖骨に垂れている。

 

 やちよは少年の頭にそっと手を置いた。汗で湿った坊主頭を、何度か撫でる。その目は、もはや保護者のそれでも、年長者のそれでもなかった。交尾マラソンの果てに、すべての肩書きを剥ぎ取られて、ただ一人の女として、静かに天井の鏡を見上げていた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 夜の国道を、一台の銀色のコンパクトカーが走っていた。

 

 ハンドルを握るやちよは、サングラスとマスクを再び着けている。ラブホテルを出る前に浴びたシャワーで身体の汚れは落ちていたが、髪の奥にこびりついた精液の匂いだけは、何度洗っても取れなかった。あるいは、それは匂いではなく——身体そのものが覚えてしまった記憶なのかもしれなかった。

 

 助手席で、少年が眠っている。シートベルトに体重を預けて、口を半開きにして、涎を垂らしながら。完全燃焼後の猿の寝顔だった。褐色の頬、閉じられたまぶた、規則正しい寝息。起きている時は性欲でぎらぎらしているくせに、寝顔だけは年相応の子供だった。

 

 やちよはハンドルを握ったまま、その寝顔をちらりと見た。

 

(やってしまった。この子の性欲に付き合って——いや、利用したのは私の方か。保護者が聞いたら呆れる)

 

 明日の夕方、少年の両親が迎えに来る。「お預かりします」と笑顔で請け負った女が、十二時間の交尾マラソンを終えてラブホテルから帰ってくる。保護者という肩書きは、もうとっくに剥がれ落ちていた。

 

 ——次は、いつ。

 

 やちよの腹の奥で、むくりと何かが頭をもたげた。罪悪感でも感傷でもない。もっと単純で、もっと下品なもの。おまんこの奥が、じんわりと疼いた。あのチンポの形を、身体がまだ覚えている。忘れるつもりもない。

 

 やちよは前を向いた。信号が青に変わる。

 

 アクセルを踏んだ。

 

 銀色のコンパクトカーが、冬の夜の街をみかづき荘に向かって走り出す。車内にはラジオもつけず、ただ少年の寝息だけが静かに響いていた。

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