※この作品はR-18です。

搾精都市神浜~魔法少女たちのエッチな短編集~   作:黒蓮/クロハス

29 / 30
快楽拷問♡悪魔ほむら ~連続絶頂地獄に泣き叫ぶ悪魔~

 月光が見滝原の街を青白く染めていた。

 

 ビルの屋上、錆びたフェンスの向こう側。夜風に黒い羽根が舞う。

 

 暁美ほむらは、夜の街を見下ろしていた。

 

 禍々しくも美しい漆黒の衣装。闇を纏ったような翼。胸元の大きな赤いリボン飾りが、風に揺れるたびに深紅の炎のように翻る。長い黒髪が夜気を吸って重く垂れ、月の光を弾いて青い艶を帯びていた。

 

 足元で、小さな白い生き物が身じろぎしている。

 

 キュウべえだった。ほむらのヒールの下に尻尾を踏まれたまま、赤い目を虚空に向けている。痛覚がないのか、特に苦しそうでもない。ただ物理的に動けないだけだ。

 

「……退屈」

 

 ほむらが呟いた。紫の瞳は街の灯りを映しているが、何も見ていない。

 

「退屈だと言われても困るよ。世界をこの形に作り変えたのは君自身じゃないか」

 

「口を利く許可を出した覚えはないわ」

 

 踏む力がわずかに増えた。キュウべえの尻尾の先端が潰れる感触。それでも白い顔に表情の変化はない。

 

「ところで、ひとつ興味深い発見があったんだ」

 

 キュウべえの声色は変わらない。淡々と、天気予報でも読み上げるように。

 

「見滝原の外れに、古い結界の残骸を見つけた。かつての魔女の——いや、君が改変する前の世界の残滓と思しきものだ。性質が不安定で、今にも消えそうだけどね」

 

 ほむらの瞳孔が、微かに収縮した。

 

 ほんの一瞬。針の先ほどの反応。けれどキュウべえは見逃さなかっただろう。ほむらは自分でも気づいていた。改変前の世界の残滓。それは、かつてのまどかの痕跡かもしれないということだ。

 

 可能性は限りなく低い。罠の匂いもする。

 

 それでも、確認せずにはいられない。

 

「……案内なさい」

 

 踏んでいた足を退けた。キュウべえが何事もなかったように立ち上がり、尻尾を振る。

 

◇ ◇ ◇

 

 見滝原の外れ。住宅街が途切れ、雑木林に飲まれかけた区画に、その廃屋はあった。

 

 朽ちた洋館。壁の漆喰は剥がれ、蔦が窓枠を覆い、玄関の扉は半分腐って傾いている。月明かりの下で、建物全体が死んだ獣の骨格のように見えた。

 

 ほむらは玄関の前で足を止めた。

 

 空気が、違う。肌の表面をちりちりと撫でる、わずかな魔力の残響。確かに何かがある。結界の残骸なのか、それとも別の何かなのか。

 

 一歩、踏み込んだ。

 

 足が床を踏んだ瞬間、空間が歪んだ。

 

 視界がぐにゃりと曲がる。壁が伸び、天井が沈み、床が波打つ。一秒にも満たない時間だったが、体の芯を掴まれたような違和感が走った。

 

 そして、元に戻る。何事もなかったかのように。

 

 ただし、空気の質だけが決定的に変わっていた。外界の夜風が遮断されている。音が消えている。廃屋の中に、透明な箱が被せられたような密閉感。

 

 封印結界。

 

「——キュウべえ」

 

 振り返る。玄関の外に立っていたはずのキュウべえが、いつの間にか廃屋の中にいた。ほむらの足元ではなく、少し離れた場所。埃を被ったアンティーク調の椅子の横に、ちょこんと座っている。

 

「驚いた?」

 

 キュウべえの声は相変わらず平坦だった。

 

「君の下僕として過ごした時間は、無駄じゃなかったよ。長かったけどね」

 

 ほむらの紫の瞳が、冷たく細まった。

 

「……つまり、こういうことね」

 

 右手を持ち上げた。指先に闇が凝縮し、紫の光が灯る。世界を書き換える悪魔の権能。この結界ごとキュウべえを消し飛ばすだけの力が、指先に集まるはずだった。

 

 光が、消えた。

 

 まるで蝋燭の炎を息で吹き消すように、指先の輝きが掻き消える。代わりに、ダークオーブの奥から奇妙な波動が体を駆け抜けた。

 

 甘い痺れ。

 

 腰の奥がじんと熱くなり、背筋を甘い電流が這い上がる。一瞬のことだったが、ほむらの表情が僅かに歪んだ。

 

「君が世界を再構築したとき、僕のエネルギーも取り込んでいるよね」

 

 キュウべえの説明は、いつもの調子だった。学術論文の結果報告のような、感情のない声。

 

「僕はその『自分の一部』を経由して、ダークオーブに干渉する回路を構築した。長い下僕生活だったけど、おかげで十分な解析時間が取れたよ」

 

 時間を止めようとした。止められなかった。空間を切り裂こうとした。指先が空を掻くだけだった。力を使おうとするたびに、あの甘い痺れが体を走り、意識が一瞬だけ溶ける。

 

「君はあらゆる苦痛に耐えてきた。繰り返す時間の中で、痛みも、悲しみも、絶望すらも」

 

 キュウべえが首を傾げた。

 

「でも、快楽はどうかな? 快楽は苦痛の反対じゃない。神経系の暴走だ。意志では制御できない」

 

 ほむらは答えなかった。紫の瞳でキュウべえを見下ろし、唇を薄く引き結んでいる。

 

 その瞳には、まだ完全な余裕があった。

 

 力が封じられた影響が、外見に出始めたのはその直後だった。

 

 黒い羽根が、一枚、また一枚と背中から剥がれ落ちる。闇で編まれた悪魔の衣装が、端から溶けるように消えていく。リボン飾りが萎み、装飾が砕け、禍々しい意匠が夜気に融けていく。

 

 代わりに現れたのは、見滝原中学の制服だった。

 

 クリーム色のブレザー。赤いリボンタイ。チェックのプリーツスカート。黒いニーハイソックス。頭の飾りも、大ぶりな赤いリボンから細い紐リボンに変わっている。

 

 悪魔の面影は消え、そこにいるのは一人の少女だった。長い黒髪に紫の瞳。綺麗な顔立ち。ただし、その瞳の冷たさだけは変わっていない。

 

「……それが、どうしたの?」

 

 ほむらの声は揺るがなかった。制服姿でも、目線の高さは変わらない。見下ろしている。たとえ力を失っても、暁美ほむらが格下に怯える道理はなかった。

 

 廃屋の奥から、足音がした。

 

 一人、二人、三人、四人。重い足取りが埃っぽい床を踏み、闇の中から輪郭が浮かび上がる。

 

 男たちだった。

 

 薄汚れたジャケット。伸びきった無精髭。脂じみた髪。公園のベンチで夜を明かす人間特有の、染みついた体臭と酒臭さが、封じられた空間に充満していく。

 

「彼らには協力を依頼してある」

 

 キュウべえが淡々と説明した。

 

「通常、僕の姿は人間には認識できないけど、今回は認識制限を解除した。まあ、彼らにとっては『可愛い女の子と遊べる』という程度の認識だろうけどね」

 

 先頭の男が口笛を吹いた。がさつな声。

 

「おいおいマジかよ……こんな可愛い子が相手ってのか」

 

 隣の男が白い生き物を見て首を傾げる。

 

「なんだよあの動物。しゃべったぞ今」

 

「いいからいいから。やれるんだろ? 細けえことはどうでもいいんだよ」

 

 三番目の男が、もう舌なめずりしていた。

 

 四番目の男は、何も言わなかった。無口。ただ、目だけがほむらの身体を這うように見ている。制服のスカートの裾から伸びる脚。ニーハイの隙間の太腿の素肌。その目つきだけで、何を考えているか分かるような男だった。

 

「……汚らわしい」

 

 ほむらが吐き捨てた。四人の男を見渡す紫の瞳に、嫌悪と侮蔑が浮かんでいる。虫でも見るような目だった。

 

「虫けらが群れたところで、何ができるの」

 

 男たちが動いた。

 

 先頭の男がほむらの腕を掴み、もう一人が反対の腕を取った。抵抗しようとして、力が入らない。ダークオーブの干渉が、筋肉に力を込めるたびに快楽信号に変換してしまう。踏ん張ろうとすると腰の奥がじんと疼き、振り払おうとすると腕の内側がぞくりと粟立つ。

 

 椅子に押し込まれた。アンティーク調の、肘掛けのある古い椅子。背もたれに肩を押さえつけられ、両足首を椅子の肘掛けに縛りつけられる。紐ではなく、男たちが持ってきたガムテープだった。雑で、品がない。それがむしろ、この状況のくだらなさを際立たせていた。

 

 大開脚の姿勢。

 

 チェックのプリーツスカートがめくれ上がり、太腿の白い肌が露わになった。ニーハイソックスの上端から覗く素肌が、薄暗い廃屋の中でぼんやりと白く浮かんでいる。

 

「触るなと言っているの」

 

 ほむらの声は冷たかった。晒された格好になっていても、紫の瞳は男たちを真上から見下ろしている。恐怖はない。嫌悪はある。けれどそれすら、虫を払うのが面倒だという程度の感情でしかなかった。

 

「手を離しなさい。……今なら、まだ許してあげる」

 

 誰も手を離さなかった。

 

---

 

 スカートをめくり上げたのは、先頭の男だった。

 

 チェックのプリーツを無造作に腹の上まで押し上げる。太腿の間に、黒いショーツが現れた。シンプルな黒。飾り気のない、けれど布地の薄い下着が、ほむらの秘部の輪郭をうっすらと浮き彫りにしている。

 

「黒パンかよ。生意気だな」

 

 男が笑った。下品な笑い方だった。

 

「……見世物じゃないのよ」

 

 ほむらの声に、動揺はなかった。紫の瞳が男を射抜くように見据えている。大開脚で下着を晒されているという事実と、その目の冷たさがまるで噛み合わない。

 

「見たところで、お前たちに何がわかるの」

 

 男の指がショーツの上から触れた。布越しに、割れ目をなぞるように。ほむらは微動だにしなかった。眉ひとつ動かさず、唇を薄く引いたまま、指の動きを無視している。

 

 パンツが横にずらされた。

 

 別の男の手が、ショーツの端を掴んで引き下ろしにかかる。太腿を伝って、膝まで。足首が肘掛けに固定されているから、膝のあたりで引っかかって止まった。男が面倒くさそうにガムテープを一度剥がし、片足だけショーツを抜いて、もう一度テープを巻き直す。手際は悪い。雑だった。

 

 ショーツが片足にだらしなく引っかかったまま、ほむらの秘部が露わになった。

 

 男たちの手が、左右からほむらの太腿を押し広げる。大開脚の姿勢のまま、秘部が無防備に晒される。

 

 整った形だった。色素は薄く、桜貝のような淡い色。黒い陰毛が薄く手入れされた状態で生えている。閉じた花弁のような大陰唇。そこだけが、薄暗い廃屋の中でひどく生々しかった。

 

「うわ……」

 

 男の一人が、素直に息を呑んだ。

 

「キレイだな、おい。こんなの見たことねえよ」

 

「マジかよ。こんな可愛い子のマンコ、拝めるとか夢だろ」

 

「俺が先に触る」

 

「おいおい順番だろ」

 

 男たちが群がるように覗き込んでいる。太い指が、ほむらの秘部を左右に開いた。

 

 ぐちゅ、とも言えない微かな湿り気の音。小陰唇が開かれ、薄いピンク色の粘膜が覗く。膣口。その上に、まだ包皮に覆われたクリトリス。若い。経験者のものではあるが、男たちが普段目にするものとは明らかに違う、手入れの行き届いた美しさがあった。

 

「ふむ」

 

 キュウべえが椅子の横に歩み寄り、覗き込んだ。赤い瞳に感情はない。

 

「外性器の形状は平均的だね。色素沈着が少ない。陰核亀頭は包皮に覆われている状態だ。これから刺激を加えると、充血して露出してくるはずだよ」

 

 生物学の教科書を読み上げるような声だった。

 

「…………」

 

 ほむらは黙っていた。紫の瞳を天井に向けて、男たちの視線もキュウべえの解説も、すべて存在しないもののように無視している。秘部を開かれ、覗き込まれ、品評されている。それでも、この少女の顔には嫌悪以上の感情が浮かばなかった。

 

(下等な生き物が騒いでいるだけ。私には関係ない)

 

 そう思っていた。

 

 男の指が、膣口に触れた。

 

 太く、節くれだった指。爪が汚れている。その指先が、ほむらの入口をゆっくりと押し広げ、中に滑り込んできた。

 

「……っ」

 

 歯を食いしばった。声は出さない。表情も動かさない。ただ、太腿の筋肉がわずかに強張ったのを、ほむら自身が感じていた。

 

 指が中を探っている。膣壁を撫で、前壁に沿って奥へ。ざらついた場所を見つけたらしく、そこで止まった。

 

「……それで?」

 

 冷たく言い放った。視線をわざわざ男に向けて、鼻で笑ってみせた。

 

「その程度で私がどうにかなるとでも思っているの?」

 

 指の腹が、膣前壁を押し込むように擦り始めた。

 

 ぐちゅ、と水音がした。ほむらの身体が反応している音だった。意志とは無関係に、膣壁が潤み始めている。ダークオーブの干渉か、それとも身体の自然な反応か。どちらにしても、ほむらは認めるつもりがなかった。

 

「膣前壁の海綿体組織だね。俗にGスポットと呼ばれる部分だ」

 

 キュウべえの解説が、静かな廃屋に響く。

 

「ここにはスキーン腺が集中している。十分な圧迫を加えると、尿道から液体が排出される。人間の雌の生理的反応としては比較的ポピュラーなものだけど」

 

「黙りなさい……」

 

 ほむらの声が低くなった。怒り。けれど指は止まらない。Gスポットを押すように、掻き上げるように、太い指がほむらの中を蹂躙している。

 

 ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ。

 

 水音が大きくなっていった。ほむらの意志とは関係なく、膣内が濡れ始めている。指の動きが速くなるたびに、下腹に妙な圧迫感が溜まっていく。尿意に似ているが、違う。もっと深い場所から、何かが押し上げられてくるような感覚。

 

 ほむらは唇を噛んだ。

 

 圧迫感が限界に達した瞬間、身体が勝手に反応した。

 

 ぶしゃっ。

 

 透明な液体が、ほむらの尿道口から噴き出した。男の手を濡らし、椅子の座面に飛び散る。量は多くない。けれど、音は確かにした。

 

「……っ!?」

 

 ほむらの目が見開かれた。何が起きたのか、一瞬理解できなかった。自分の股間から液体が飛んだ。そんなことは、今まで一度もなかった。

 

「な……何……」

 

 声が掠れた。紫の瞳が動揺で揺れている。自分の身体に起きたことが信じられない、という顔だった。

 

「おお、吹いたぞ!」

 

 男が声を上げた。

 

「イったんじゃねえの?」

 

「……イってないわ」

 

 即座に否定した。紫の瞳を細めて男たちを睨みつける。声に冷たさを取り戻そうとしている。

 

「ただの生理現象よ。身体が勝手に反応しただけ。こんなもの、何の意味もない」

 

「厳密に言えば、彼女の主張は正しいよ」

 

 キュウべえが補足した。

 

「潮吹きと絶頂は別の現象だ。スキーン腺からの分泌反応であって、オルガスムスに到達したかどうかとは独立している」

 

 ほむらの唇が微かに歪んだ。自分の主張を裏付けてくれたことへの皮肉な満足。

 

「もっとも、快感が伴っていないとは言えないけどね」

 

 その一言で、満足は消えた。

 

 指の動きは止まらなかった。

 

 二本目の指が追加される。膣内が押し広げられ、Gスポットをこねるように、抉るように、二本の指が交互に膣壁を擦り上げる。

 

 ぐちゅっ♡ ぐちゅっ、ぐちゅっ。

 

 二回目の潮吹き。今度はさっきより多い。びしゃっ、と太腿を伝って椅子の座面から床に垂れ落ちた。

 

「はっ……くだらない……こんな、もの……」

 

 三回目。量が増えている。ニーハイソックスの内側が濡れて、黒い布地が肌に張り付く。ほむらは唇を噛んで声を殺していたが、吐息が荒くなっているのは隠しようがなかった。鎖骨のあたりが薄く紅潮し、額に汗が滲み始めている。

 

 指が抜かれた。

 

 男たちの手が、再びほむらの秘部を左右に開く。

 

 潮でびしょびしょに濡れたそこは、さっきとは明らかに様子が違っていた。膣口がひくひくと小さく収縮を繰り返している。何もないのに、締まって、緩んで、また締まる。クリトリスが包皮から少し顔を覗かせて、充血した薄桃色の先端が微かに震えていた。

 

「こんなに吹いといて、イってないって?」

 

 男の一人が、指先でクリトリスの包皮をめくった。

 

「……っ! 触るな」

 

 ほむらの声が掠れた。びくり、と腰が跳ねたのを隠しきれなかった。

 

「クリトリスが充血し始めているね」

 

 キュウべえが観察結果を述べる。

 

「包皮から頭が露出してきた。感度が上がっている証拠だ。……次の段階に進もう」

 

---

 

 男の一人が、どこからか棒状の器具を取り出した。白い樹脂製。先端に丸いヘッドがついている。コンセントから伸びるコードの代わりに、乾電池式らしい安っぽいスイッチが柄の部分にある。

 

 スイッチが入った。低い振動音が、静かな廃屋に響く。

 

「……何、それ」

 

 ほむらの紫の瞳が、振動する器具を見つめていた。知識としては知っている。けれど自分で使ったことはない。

 

「知らねえのか? 当てるとすげえ気持ちよくなるんだとよ」

 

「そんな下品な道具で私が——」

 

 言い終わる前に、電マのヘッドがクリトリスに押し当てられた。

 

「——ッ!!」

 

 ほむらの全身が跳ねた。

 

 椅子の肘掛けに固定された足が引きつり、背中が椅子の背もたれに叩きつけられる。指の愛撫とは次元が違った。振動がクリトリスの先端を直接揺さぶり、そこから放射状に広がった快楽が腰の奥から背骨を駆け上がってくる。頭の中が白い光で一瞬だけ灼かれた。

 

「はっ……あ……っ、やめ……なさ……っ」

 

 歯を食いしばる。唇を噛む。黒い髪が汗で額に張りつき始めていた。それでも、ほむらは耐えている。悪魔の矜持で、声を殺している。

 

 身体は正直だった。腰が微かに震え、腹筋が断続的に痙攣する。ニーハイに包まれた太腿がぴくぴくと跳ね、足の指が丸まっては開くのを繰り返している。制服のブレザーの下で胸が上下し、呼吸が浅く速くなっていく。

 

 一分。二分。三分。

 

 ほむらの抵抗が、削られていった。

 

 呼吸が荒くなる。目が潤んでいく。唇を噛む力が弱まって、食いしばりの隙間から甘い吐息が漏れ始める。

 

 そして。

 

「——っっ♡♡!!」

 

 がくん、と全身が硬直した。

 

 足の指が丸まり、背筋が反る。紫の瞳が大きく見開かれて、焦点が飛んだ。短い痙攣が全身を駆け抜け、ほむらの身体から力が抜ける。潮がまた少し噴き出して、椅子の座面を濡らした。

 

 イった。

 

「…………」

 

 ほむらは目を逸らした。天井を見つめて、荒い呼吸を繰り返している。汗ばんだ額に黒髪が貼りつき、白い頬が薄く紅潮していた。認めない。何も起きていない。その態度を、必死に維持しようとしている。

 

「1回」

 

 キュウべえが淡々と数えた。

 

 電マは止まらなかった。

 

 ここからが、本当の地獄だった。

 

 イった直後のクリトリスに、振動が容赦なく押し当てられ続ける。絶頂直後の、限界まで敏感になった場所に。気持ちいいのか辛いのか、もうわからない。甘いのに苦しい。快楽なのに頭がぐちゃぐちゃになる。脳が処理しきれない量の信号が、クリトリスから洪水のように流れ込んでくる。

 

「やめっ——もう、やめなさいッ!!」

 

 ほむらが初めて声を荒げた。

 

 命令ではなかった。悲鳴に近い怒号だった。腰を左右に振って電マから逃れようとする。だが椅子に縛りつけられた足は動かない。男の手がほむらの腰を押さえつけ、ヘッドをクリトリスに密着させ続ける。

 

 逃げ場がない。

 

「いっ……いやっ、離しなさ——あ゛っ♡♡!!」

 

 二回目の絶頂。逃れようと暴れているうちに、身体が勝手にイってしまった。びくん、と腰が浮いて、潮が飛び散る。イったことで、さらにクリトリスの感度が跳ね上がる。そこに電マの振動。終わりのない悪循環だった。

 

「ひっ……やだっ、もう……イったのに……ッ、まだ……っ」

 

 イった直後のクリ責めが一番辛い。だからイクのを堪えようとする。歯を食いしばり、腹に力を入れ、絶頂を押し返そうとする。我慢できない。身体が裏切る。快楽の波が押し寄せてきて、意志を踏み潰して、勝手に頂点に連れていく。

 

 三回目。

 

「あ゛——ッ!! やめてッ……もうイったからッ……止めてッ!!」

 

 ほむらの口から「イった」が飛び出した。

 

 さっきまでイってないと否定していた、同じ口から。

 

「おいおい、イってないんじゃなかったのかよ?」

 

 男がにやにや笑っている。

 

「すげえ正直じゃん。自分からイったって言ってんぞ」

 

「黙りなさッ——あっ、あっ、あっ——♡♡!!」

 

 四回目。反論が絶頂に呑まれた。男を睨みつけようとした紫の瞳が、快楽で揺れて焦点を失う。涙が一筋、こぼれ落ちた。

 

 電マは止まらない。止めてと叫んでも。怒鳴っても。泣いても。逃げようと腰を振るたび、その動き自体がクリトリスをヘッドに擦りつける動きに変わってしまう。自分の抵抗が、自分を追い詰めている。

 

「2回……3回……4回……5回」

 

 キュウべえが数えている。

 

「間隔が短くなっているね。最初の絶頂には3分12秒かかったけれど、5回目は22秒だ。イった直後に刺激を継続すると、次の絶頂までの閾値が大幅に低下する。つまり、イけばイくほど、次がすぐに来る」

 

「すげえ、ビクビクしてる」

 

 男たちが覗き込んでいた。三番目の男は面白がるように笑い、四番目の男は無言のまま、ほむらの痙攣する顔を凝視している。その目だけがぎらぎらと光っていた。

 

 ようやく、電マが離された。

 

 ぶぅん、という振動音が止まると、廃屋にほむらの荒い呼吸だけが残った。はぁ、はぁ、はぁ。浅く速い呼吸。全身が汗ばみ、制服のブレザーが肩のあたりに汗染みを作っている。黒髪が顔に張りつき、涙の跡が頬を伝っていた。

 

 男たちの手が、ほむらの秘部を開いた。

 

 クリトリスが充血して赤く腫れ上がっていた。包皮から完全に露出した亀頭が、脈打つように震えている。電マの余韻がまだ残っているのか、触れてもいないのに微かに痙攣を繰り返している。膣口からは愛液がとろりと糸を引いて垂れ、椅子の座面に溜まった潮と混ざっていた。

 

「おい見ろよ、クリがパンパンだぜ」

 

「ここ触ったらまたイクんじゃね?」

 

 男の指先が、腫れ上がったクリトリスをつん、と突いた。

 

「ッ——♡♡!」

 

 ほむらの全身が跳ねた。椅子が軋む。大袈裟な反応だった。たった指先の一突きで、これだけ身体が反応する。

 

「……触る、な……」

 

 掠れた声だった。さっきまでの冷たさはどこにもない。怒りでも侮蔑でもない、もっと切実な何か。

 

「陰核亀頭の直径が施術前のおよそ1.8倍に腫脹している。充血による感度上昇は顕著だね」

 

 キュウべえが白い体を椅子の脚に寄りかからせ、赤い瞳でほむらの秘部を観察していた。

 

「さて、ここからが本番だよ。ほむら」

 

---

 

「ここからは、絶頂を禁止する」

 

 キュウべえの声は、いつも通り平坦だった。

 

「……何を言っているの」

 

 ほむらの紫の瞳が、キュウべえを捉えた。声は掠れていたが、目にはまだ冷たさが残っている。

 

「ダークオーブを経由して、君の神経系に干渉している」

 

 キュウべえが首を傾げた。赤い瞳に光が反射する。

 

「具体的には、絶頂に到達する直前、快楽信号が臨界点に達した瞬間に、その信号を遮断する。どれだけ気持ちよくなっても、頂点には達せない」

 

 少し間を置いて、付け加えた。

 

「言うなれば、永遠に登り続ける坂道だよ」

 

 ほむらは黙って聞いていた。荒い呼吸が少しずつ落ち着いてきている。紫の瞳が考えるように細まり、それから、薄く笑った。

 

「……くだらない。イけないなら、私にとって好都合よ」

 

 声に余裕が戻りかけていた。口元に皮肉な笑みを浮かべて、キュウべえを見下ろす。

 

「あなたたちの思い通りにはならないという、何よりの証明じゃない」

 

「そうかな」

 

 キュウべえの声に感情はない。

 

「では、試してみよう」

 

 男の指が、再びほむらの中に入った。

 

 Gスポットを、さっきよりも強く、速く擦り上げる。連続絶頂の蓄積が残っている身体は敏感になりきっていて、指が触れただけで膣壁がきゅっと収縮した。愛液が指を濡らし、ぐちゅぐちゅと下品な水音が廃屋に響く。

 

 快楽が上がっていく。

 

 さっきまでの絶頂で覚えてしまった道筋を、身体が勝手になぞっていく。下腹の奥が熱くなり、腰の芯が疼き始める。頂点が近づいてくるのがわかった。あと少しで、さっきと同じように、あの瞬間が来る。

 

 来なかった。

 

「……っ?」

 

 頂点の一歩手前で、何かに引き戻される感覚。快楽は確かに上がっている。身体は絶頂を求めている。登っている。もう見えている。なのに、最後の一段が永遠に現れない。

 

 階段を駆け上がって、踊り場に出たと思ったら、また階段が続いていた。どこまでも、どこまでも。

 

「何……これ……」

 

 ほむらの声が震えた。紫の瞳が揺れている。理解が追いつかない。身体はもう頂点に立っているはずなのに、そこに地面がない。

 

 指の動きは止まらなかった。Gスポットを抉るように、掻き上げるように。快楽が90%、95%、99%まで上がる。100%に届かない。あと1%。あと0.5%。手を伸ばせば届く距離にあるのに、指先が空を切る。

 

 潮が噴き出した。身体は反応している。膣がびくびくと痙攣し、愛液がどろりと溢れ、太腿を伝って椅子を汚していく。でもイケない。快楽の坂を登り続けて、頂上が見えているのに、一歩が永遠に届かない。

 

「寸止め1回」

 

 キュウべえが数えた。

 

「正確には絶頂未遂だね。快楽信号が99.7%まで到達して遮断されている。この0.3%の差が、最も苦しいはずだよ」

 

 二回目。三回目。五回目。

 

 そのたびに、ほむらの身体が頂点に向かって駆け上がり、最後の最後で引き戻される。快楽だけが蓄積されていく。発散できない快感が体の中に澱のように溜まり続ける。

 

 十回目。

 

 「イけないなら好都合」と言い放った余裕が、消え始めていた。

 

「はあっ……はあっ……」

 

 呼吸が乱れている。額の汗が顎を伝って落ちる。制服のリボンタイが汗で湿り、ブレザーの襟元がぐしゃぐしゃに歪んでいた。

 

「……何も……起きて、いないわ……」

 

 声が震えていた。言葉と声が一致していない。「何も起きていない」と言っている口が、荒い呼吸で途切れ途切れになっている。

 

 ほむらの腰が動き始めた。

 

 ほむらの意志に反して。自分の身体が、男の指を追うように、もっと深く、もっと強く、あと少しで届くはずの頂点に向けて、腰を揺らしている。

 

「……っ♡♡!」

 

 自分の動きに気づいて、止めようとした。止められなかった。身体が勝手に快楽を追っている。腰を振ることで指をGスポットに押しつけ、自分から刺激を求めている。その事実が、ほむらの矜持を内側から削っていた。

 

 十五回目。二十回目。

 

「ほむら、君の身体は正直だね」

 

 キュウべえの声が、廃屋の空気を切った。

 

「腰の動きが、快楽を求めていることを如実に示している」

 

「黙り、なさい……っ」

 

 ほむらの声には力がなかった。否定しようにも、腰が止まらない。男の指に自分から身体を押しつけている事実は、どう言い繕っても消えない。

 

 二十五回目。

 

 ほむらの目から、涙がこぼれた。

 

 声を殺す余裕はとうに失われていた。歯を食いしばろうにも顎の力が抜けて、噛み合わない歯の隙間から甘い吐息が漏れ続けている。全身が汗まみれで、制服がべったりと肌に張りつき、身体の線を浮き上がらせていた。

 

「待っ……」

 

 ほむらの唇が、震えながら動いた。

 

「待って。……今、は……」

 

 待って。

 

 ほむらの口から、初めて懇願の言葉が出た。命令でもなく、嘲りでもなく、侮蔑でもない。ただ、止めてほしいという、むき出しの懇願。

 

 男たちの指が、一瞬止まった。

 

 ほむらの目に光が宿った。止まった。休める。この地獄が、ほんの一瞬でも途切れる。

 

 指の動きが再開された。さっきより速く。

 

「……っ♡! 止まれと言っているの……!」

 

 声が裏返った。怒りと懇願が混ざって、どちらがどちらかわからない悲鳴になった。

 

「あ……っ、だめ、また……もう少しで……なのに……っ」

 

 二十八回目。二十九回目。三十回目。

 

 ほむらの矜持が、軋みを上げていた。

 

 発散できない快楽が身体中を駆け巡り、頭の中を真っ白にしていく。意識がある。感覚がある。快感だけが際限なく蓄積されて、出口がない。さっきの連続絶頂よりも、これのほうがずっとずっと辛い。イかされる苦しみと、イけない苦しみは、まるで別の拷問だった。

 

 もう、誇りも格も、何もかもどうでもいい。ただ。

 

 ただ、イきたい。

 

 ほむらの唇が震えた。紫の瞳が涙で滲んでいる。

 

「……イか、せて……」

 

 小さく、掠れた声。

 

 廃屋の空気が一瞬、凍った。

 

「聞こえなかったな」

 

 キュウべえの声は、相変わらず平坦だった。

 

「もう少し大きな声で」

 

「……イかせて、って言っているの……!」

 

 ほむらの声が跳ね上がった。怒りと懇願が混線している。紫の瞳にはまだ怒りの炎が揺れている。けれど、その炎の下に、もっと切実な感情が透けていた。

 

「お願い……少しだけ……っ、イかせて……!」

 

 男たちの手が止まった。指がほむらの中からゆっくりと引き抜かれる。

 

 ぬちゅ、と湿った音がして、ほむらの膣口が虚しく痙攣した。何もなくなった内部が、収縮を繰り返している。何かを求めるように。何かに縋るように。

 

「35回」

 

 キュウべえが数えた。

 

「君がそんな顔をするなんて。興味深いね」

 

 男たちの手が、ほむらの秘部を開いた。

 

 断続的に痙攣するおまんこ。膣口が虚しく収縮を繰り返している。中に何かを入れてほしくて、締まって、緩んで、また締まる。クリトリスはさっきより更に腫れ上がって、触れてもいないのに微かに震えていた。少しでも指が近づくと、ほむらの太腿がびくりと引きつる。愛液と潮が混ざった液体が、椅子の座面から床に垂れ落ちて水溜まりを作っていた。

 

「すっげえヒクヒクしてる。イきたくてたまんねえって感じだな」

 

「おい見ろ、ここ」

 

 男の指先が、クリトリスの根元を軽く押した。

 

「ひっ——♡♡! やめ……そこ、は……っ」

 

 ほむらの全身が跳ねた。たった一押しで、身体が壊れたように反応する。目尻から涙が溢れ、黒髪が汗で頬に張りつき、制服の下の肌が薄桃色に紅潮していた。

 

「寸止めによる蓄積は、解放されるまで消えない」

 

 キュウべえが、椅子の下の水溜まりを避けて一歩横に動いた。

 

「今の彼女は、軽く触れるだけで絶頂できる状態にある。もちろん、僕が許可すればの話だけどね」

 

---

 

「では」

 

 キュウべえが言った。

 

「解除」

 

 電マが、クリトリスに押し当てられた。

 

 振動が始まった瞬間。

 

「あ゛っ————————ッ♡♡♡!!!」

 

 ほむらの絶叫が、廃屋の壁を震わせた。

 

 三十五回分。三十五回分の寸止めで蓄積された快楽が、一気に爆発した。身体の中で堰き止められていたものが、全部、一度に、出口を見つけて殺到する。

 

 最初の絶頂が、これまでの全てを上回る強さでほむらを貫いた。

 

 潮が勢いよく噴き出した。びしゃあ、と椅子の座面を越えて床に飛び散る。全身が痙攣し、目が見開かれ、背もたれに肩甲骨を押しつけたまま腰だけが浮き上がった。黒髪が振り乱され、口が大きく開いたまま固まる。

 

 声の抑制が、完全に崩壊した。

 

 さっきまでどうにか保っていた最後の一枚が、粉々に砕けた。歯を食いしばる余裕も、唇を噛む意志も、何もかも吹き飛んだ。ほむらの喉から出てくるのは、もう悪魔の声ではなかった。ただの、快楽で壊された少女の叫びだった。

 

 一回では終わらなかった。電マは止まらない。

 

「あっ、あっ、だめっ——また——また来るッ——♡♡!」

 

 二回目。腰が跳ね上がる。三回目。涙が飛び散る。四回目。声が裏返って悲鳴になった。間隔がない。前の絶頂の余韻が消えないうちに次が押し寄せてくる。寸止めの蓄積が全て解放されるまで、身体は止まってくれない。

 

「1回……2回……5回」

 

 キュウべえが数えている。

 

「間隔は平均8秒。寸止めの蓄積効果が顕著に出ているね」

 

 五回目の絶頂と同時に、大量の潮が噴き出した。椅子の下の水溜まりが広がっていく。男たちが一歩下がった。靴が濡れたのだ。

 

 ほむらの口調が変わり始めていた。高圧的な丁寧語の残骸を保ちながら、中身が崩壊している。「やめなさい」ではなく「止めて」。命令から懇願へ。語尾に力がなくなり、言葉が途切れ途切れになっていく。

 

「止めて……お願い、少しだけ……っ」

 

 六回目。腹筋が痙攣して、ほむらの上半身が折れるように前に倒れかけた。椅子に縛りつけられた足が引きつり、ガムテープが肌に食い込む。

 

「わからな……い……身体が、勝手に……っ」

 

 七回目。ほむらの手が椅子の肘掛けを掴んでいた。爪が白くなるほど握りしめている。何かにしがみつかないと、自分がどこかに飛んでいってしまいそうだった。

 

「声が……出るわけ、ない……のに……あっ♡あっ♡」

 

 八回目。出ている。声は出ている。自分の耳に聞こえている。それがほむら自身の声だと認識するのに、何秒かかかった。こんな声を、自分が出している。こんな甘い、こんな無様な、こんな壊れた声を。

 

 九回目。十回目。

 

 もうカウントが追いつかなかった。イっている最中に次の波が来る。絶頂と絶頂の間の谷間が消えて、ずっと頂上に立たされ続けているような感覚。降りられない。降ろしてもらえない。

 

 十二回目。ほむらの瞳から焦点が消え始めた。紫の虹彩が涙に揺れて、天井の染みを見つめている。見つめているのではなく、何も見えなくなっているのだった。

 

「イきたく……ない……のに……ひうっ♡」

 

 十三回目。身体が跳ねて、潮がまた噴き出す。

 

「もう……イかせないで……お願い……っ♡」

 

 さっきまで「イかせて」と懇願していた口が、今度は「イかせないで」と懇願している。

 

「……っ、黙り……なさ……あっあっあっ——♡♡」

 

 最後まで言えなかった。十四回目の絶頂が言葉を呑み込んだ。「黙りなさい」と誰に向かって言ったのか。キュウべえか。男たちか。それとも、止まらない自分の声に向かってか。

 

「15回」

 

 キュウべえが告げた。

 

「さっきまでの寸止めでは絶頂を求め、今は絶頂を拒んでいる。どちらの状態でも君は苦しんでいるわけだ。興味深いね。快楽の制御が不可能であることの、完璧な証明だ」

 

 ほむらは答えなかった。答える余裕がなかった。口が半開きのまま、荒い呼吸を繰り返している。涎が唇の端から垂れかけていた。

 

「最後に、もうひとつ試したいことがある」

 

 キュウべえの足元に、細い棒状の器具が転がっていた。男の一人が拾い上げる。小指ほどの太さの、滑らかな金属製のバイブレーター。表面に細かい凹凸が刻まれている。

 

「陰核は、外部に露出した頭部だけの器官じゃない」

 

 キュウべえが解説を始めた。いつもの調子だった。被験者の精神状態がどうであろうと、この白い生き物の声のトーンは変わらない。

 

「内部に二本の脚が伸びている。陰核脚と呼ばれる構造体で、尿道海綿体の裏側を走っている。通常の性交では直接刺激されることがない部位だ。普通の女性が一生経験しない場所に、快楽神経が最も密集している」

 

「……何を……する気……」

 

 ほむらの声が掠れた。見たことのない器具。聞いたことのない解説。直感が、これまでとは質の違う恐怖を告げていた。

 

「尿道から挿入して、陰核脚を直接刺激する。指では物理的に触れられない場所だからこそ、防御も耐性も存在しない」

 

 男がほむらの脚の間にしゃがみ込んだ。指先で尿道口を探り、器具の先端を当てる。細いとはいえ、本来そこに入るべきではないものだった。

 

「待っ……そこは……だめ……入れないで——」

 

 ゆっくりと、挿入された。

 

「——ひ゛っ♡♡♡!!!??」

 

 ほむらの身体が、これまでとは次元の違う反応を見せた。

 

 背中が椅子から浮き上がるほどの痙攣。目が限界まで見開かれ、口が大きく開いたまま固まる。声にならない悲鳴。喉の奥から空気だけが押し出されて、音にならなかった。

 

 凹凸のある表面が尿道壁を擦り、その裏側にある陰核脚を直接刺激する。外からクリトリスを触るのとは根本的に違う。快楽神経の塊を、内側から直接揉みしだかれる感覚。知らない。こんなものは知らない。今まで経験した全てのセックスの記憶を束にしても、この一点の刺激に及ばない。

 

「何……っ、これ……知らな……い……こんなの……っ♡」

 

 気丈だったほむらが、泣き叫んでいた。声を殺す余裕など、もうどこにもない。矜持も抵抗も吹き飛んで、ただ刺激から逃れようと身体をよじっている。椅子が軋む。ガムテープが肌に食い込む。どこにも逃げ場がない。

 

「いやあっ……そこ……やめっ……死ぬ……死んじゃ……っ♡♡!!」

 

 電マがクリトリスに押し当てられた。外からの振動と、内側からの陰核脚刺激。クリトリスを外と内から挟み撃ちにされている。知らない快楽。経験の範疇にない、底なしの感覚。性を知っているから管理できる。そう信じていた最後の自信が、粉々に砕けた。

 

 尿道バイブが入っている間は、潮が止まっていた。噴き出したくても噴き出せない。尿道が塞がれて、快楽の圧力が身体の中に溜まり続ける。出口を失った快感が内臓を圧迫し、下腹が痛いほどに張り詰めていく。

 

「興味深いね」

 

 キュウべえが首を傾げた。

 

「スキーン腺からの分泌が尿道バイブで堰き止められている。体内に快楽の圧力が蓄積されているはずだ。……抜いてみようか」

 

 男の手がバイブを掴み、引き抜いた。凹凸が尿道壁を擦りながら出ていく。

 

「あ゛あ゛あ゛ッ————————!!♡♡♡」

 

 堰き止められていた潮が、噴水のように噴き出した。

 

 身体の中身が全部出ていくような、壮絶な解放だった。ほむらの全身が激しく痙攣し、紫の瞳が白く反りかけ、椅子ごと揺れる。潮が男の腕を、床を、椅子の脚を濡らしていく。量が尋常ではなかった。

 

 そして、またバイブが挿入された。

 

「やだっ……また……っ、入れないでッ……!!」

 

 入った。凹凸が尿道壁を擦り、陰核脚を内側から刺激する。また快楽が溜まり始める。また出口が塞がれる。抜かれる瞬間の壮絶な解放感を身体が覚えてしまっているから、挿入されただけで身体が震え始める。抜かれるのが怖い。でも入っているのも限界。どちらも地獄。

 

 挿入。蓄積。引き抜き。大噴射。

 

 地獄の循環が繰り返された。入れられている間の底なしの快感。抜かれるときの全てを持っていかれるような解放。どちらにも逃げ場がない。

 

 絶頂が二十回を超えた。

 

 ほむらの目から焦点が消えていた。紫の瞳が虚ろに天井を見つめている。涙が止まらない。涎が顎を伝って、制服のリボンタイを汚している。尿道バイブが抜き差しされるたびに、身体が壊れた玩具のようにびくんと跳ねる。

 

「イきたく……ない……のに……ひうっ♡」

 

「もう……イかせ、ないで……お願い……っ♡」

 

 同じ言葉を繰り返していた。壊れたレコードのように。もう意味を理解して言っているのかどうかも怪しかった。

 

 電マがようやく離された。尿道バイブが引き抜かれた。最後の潮が噴き出して、ほむらの全身から力が抜けた。

 

 椅子の上で、ほむらはぐったりと崩れ落ちていた。

 

 黒髪は汗と潮でぐしゃぐしゃに絡み合い、額や頬に張りついている。制服は汗で半分透けかけて、下の肌がうっすらと見えていた。ブレザーのボタンがいくつか外れ、リボンタイは解けかけて首元に引っかかっている。紫の瞳は虚ろで、焦点が合わない。涙の跡が何筋も頬を伝っている。

 

 荒い呼吸。時折、余韻で身体が小さく跳ねる。

 

 椅子にもたれかかっているのは、ただの、快楽で壊された女の子だった。

 

 男たちが、ほむらの秘部を大きく開いた。

 

 電マとGスポットと尿道バイブで散々イかされ尽くしたおまんこ。クリトリスは限界まで充血して真っ赤に腫れ上がり、まだ微かに電マの余韻で震えている。 膣口はどろどろに濡れて、待ちきれないように収縮を繰り返していた。何かを求めるように。男性器を受け入れる準備が整ったと、ほむらの意志とは無関係に告げ続けるように。

 

 男が興味本位でクリトリスに指先をこつんと当てた。

 

 ほむらの身体が、弾かれたように跳ねた。

 

 泣いていた。声を上げずに、ただ涙が流れていた。クリトリスを触られるのが怖い。でも膣は何かを求めている。その矛盾に、身体が引き裂かれている。

 

「もう入れていいだろ」

 

 男の一人が言った。

 

「おい見ろよ、ここ」

 

 別の男が指で膣口を広げた。

 

「中グチョグチョだぜ。パクパクしてやがる」

 

「こっからが本番だ」

 

「……入れ、ないで……お願い……」

 

 力のない声だった。けれど目の奥には、まだ微かな光が残っている。消えかけた炎。最後の抵抗の残り火。

 

「膣口の弛緩、愛液の分泌量、子宮口の位置。全て、挿入に最適な状態だ」

 

 キュウべえが最終報告のように告げた。

 

「ダークオーブが君の身体を、本人の意志とは無関係に準備させている。さあ、最終段階だ」

 

---

 

 先頭の男が、ベルトを外していた。

 

 金具の音が廃屋に響く。ジッパーを下ろす音。薄汚れたズボンの前を開いて、勃起したチンポを取り出した。太く、血管が浮いている。先端から先走りが糸を引いていた。

 

 男が椅子の上のほむらに覆いかぶさった。ほむらの両脚は肘掛けに固定されたまま大開脚になっている。その間に体をねじ込むように、男がのしかかる。ほむらの足を押し上げ、腰を折り曲げるように体重をかけた。種付けプレスの体勢。

 

 黒髪が椅子の背もたれから垂れ下がる。紫の瞳が、間近に迫った男の顔を見上げていた。脂じみた肌。無精髭。酒臭い息。ほむらの世界にこれまで存在しなかった類の人間が、目の前にいる。

 

「……やめなさい……入れないで……っ」

 

 声に力がなかった。命令の形をしているのに、懇願の響きしかない。

 

 チンポの先端が、ほむらの膣口に触れた。

 

 ずぷっ♡

 

 入った。

 

「あ——っ♡!!」

 

 ほむらの背中が反った。椅子の背もたれに叩きつけられ、黒髪が揺れる。ボロボロの身体に、男の太いものが入ってくる。連続絶頂で敏感になりきった膣壁に、硬い肉の塊が押し入ってくる感覚。普通の挿入が、何倍もの刺激になって身体を貫いた。

 

「熱っっつ……やべえ、中すげえ締まってる……!」

 

 男が呻いた。腰を押し込みながら、額に汗を浮かべている。

 

「なんつーマンコだ……吸い付いてくるみてえだ……!」

 

 ほむらの意志に反して、膣が男を受け入れていた。散々クリトリスを責められ続けた膣が、ようやく訪れた充足に反応している。膣肉がぴったりと密着し、きゅうきゅうと締め付ける。電マで弄ばれるだけで何も入れてもらえなかった膣が、挿入物を逃すまいと吸いついている。ほむらは「やめなさい」と言っている。身体の奥は、真逆の反応を返していた。

 

「膣圧が挿入前の3.2倍に上昇しているね」

 

 キュウべえが数値を読み上げた。

 

「不随意収縮だ。クリトリスへの長時間刺激で膣壁が飢餓状態にあったところに挿入が来たことで、いわば膣が歓迎反応を起こしている」

 

 種付けプレスの体勢で、男が腰を動かし始めた。

 

 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

 

 腰が打ちつけられるたびに、ほむらの身体が揺れる。椅子が軋み、古い木の床が悲鳴を上げる。男の体重がほむらの腰を押し潰し、深い角度で奥まで届く。

 

「だめ……そこ……深い……あっ、あ゛っ……♡」

 

 奥を突かれるたびに、ほむらの顔が歪んだ。高圧的な仮面の残骸すら維持できない。紫の瞳は潤んで焦点が合わず、口が半開きのまま、突かれるリズムに合わせて甘い声が漏れ続けている。

 

 腰の動きに合わせて潮が噴き出した。ぴちゃっ、ぴちゃっ、と結合部から水音が弾ける。男の下腹とほむらの秘部がぶつかるたびに、愛液と潮が飛び散った。

 

 待てなくなった男たちが、群がり始めた。

 

「おい早くしろよ、俺にも入れさせろ」

 

 体格のいい男が、椅子の横で苛立たしげにチンポを握っている。

 

 三番目の男が、ほむらの横に立った。勃起したチンポを、ほむらの頬に押し付ける。

 

「なあ、口でもしてくれよ」

 

「……汚い……やめ……っ」

 

 顔を背けようとした。男の手がほむらの顎を掴み、頬に亀頭を擦りつけた。先走りの粘液が、涙の跡の残るほむらの頬に光の筋を描く。

 

 四番目の男は、黙ったままほむらの黒髪を掴んでいた。サラサラだった長い髪は汗と潮で乱れていたが、それでも男の手に絡みつく質感は残っている。男はその髪の毛先を、自分のチンポに巻きつけていた。先走りが黒髪を汚していく。無言で、目だけがぎらぎらと光っている。

 

「髪に……触るな……あっ♡!」

 

 突かれて言葉が途切れた。先頭の男が腰の速度を上げている。ぱんぱんぱんっ、と肉の打ちつける音が速くなり、ほむらの身体が激しく揺さぶられる。

 

 男が唸った。腰の動きが不規則になり、奥に押し込むように突いて、そのまま動きを止めた。

 

「クソッもう保たねえ……っ! 出る……!」

 

 どくっ、どくっ、と脈打つ感覚が膣の奥に伝わった。男が中に射精している。熱い精液がほむらの子宮口に向かって注がれていく。

 

「出さないで……中に……っ!」

 

 遅かった。男のチンポが膣の中で痙攣するたびに、精液が注ぎ込まれる。熱い。液体の温度が膣壁に伝わって、ほむらの腹の奥がじんと疼いた。

 

「……あ……熱い……♡」

 

 呟くような声だった。嫌悪の表情を作ろうとしているのに、身体が精液の温度に反応して、膣がきゅっと締まった。

 

 先頭の男が腰を引いた。ぬちゅ、とチンポが抜ける。膣口から、白濁した液体がどろりとこぼれ落ちた。

 

 間を置かず、体格のいい男が動いた。

 

 ほむらの足首のガムテープが剥がされた。椅子から引きずり出され、背後から抱え上げられる。大きな手がほむらの腕を背中で組ませ、膝の裏に腕を回して脚を大きく開かせた。

 

 フルネルソン。

 

 ほむらの全身が宙に浮いた。両腕は背中で拘束され、脚は左右に大きく開かれて、身体の全てが晒されている。制服はぐしゃぐしゃだった。スカートはめくれ上がり、ブレザーのボタンは半分外れて胸元が見えている。ニーハイソックスが片方ずり落ちかけて、太腿の中程で止まっていた。下から、精液と愛液が混ざった液体が太腿を伝って垂れ落ちていく。

 

「降ろして……こんな格好……っ」

 

 宙に浮いて、自分では何もできない。手も足も使えない。体格のいい男の腕力だけで全体重を支えられて、身体の自由が一切ない無力感。力が封じられる前の悪魔ほむらなら、瞬きの間にこの男ごと消し飛ばしていた。今は、ただ抱え上げられて晒されるしかない。

 

 下から突き上げられた。

 

 ずぷっ♡

 

「あっ——深っ……奥……っ♡ だめ……壊れ……っ♡♡」

 

 重力と男の腕力で、奥の奥まで届いた。さっきの種付けプレスよりもさらに深い。子宮口に亀頭が押しつけられる感覚に、ほむらの紫の瞳が大きく見開かれた。

 

 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

 

 下から突き上げるたびに、ほむらの身体が跳ねる。宙に浮いているから、衝撃を逃がす場所がない。全部が身体を貫通して、頭の天辺まで突き抜けていく。黒髪が揺れ、制服の裾が翻り、汗と愛液の雫が宙に散った。

 

「こっち向けよ」

 

 三番目の男が、ほむらの顎を掴んだ。揺れるほむらの口に、チンポを押し込んだ。

 

「んぐっ……んっ……っ」

 

 口が塞がれて声にならなかった。下から突き上げられながら、口の中でもチンポが動いている。前後から同時に使われている。唾液が顎を伝って垂れ、首筋を汚した。

 

 四番目の男は、ほむらの揺れる胸に手を伸ばしていた。ブレザーの隙間から手を差し入れ、制服越しに乳首を摘む。

 

 四人がほむらに群がっている。一人の少女に、欲望むき出しの男たちが群がる構図。持ち上げられ、突かれ、口を使われ、胸を弄られ、身体の全部が四人の男の快楽のために使い尽くされている。

 

 体格のいい男の動きが速くなった。ほむらの身体が激しく揺さぶられ、口の中のチンポが喉の奥を突いて、ほむらがえずいた。涙と涎が顎から垂れ落ちる。

 

 男が奥に押し込んで、止まった。

 

「くらえ!出るっ……!」

 

 どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡♡

 

 二人目の中出し。フルネルソンの体勢のまま、精液が膣の奥に注がれていく。重力で逃げ場がない。全部が、ほむらの一番奥に溜まっていく。

 

 降ろされた。床に足がついた瞬間、膝が折れた。立っていられない。崩れ落ちるほむらの股間から、白濁液がどろりと流れ落ちた。二人分の精液が、愛液と混ざって太腿を汚していく。

 

 休む暇は与えられなかった。

 

 ほむらの身体が椅子の座面にうつ伏せに押しつけられた。腹が冷たい座面に当たり、尻だけが突き出される。スカートはもう意味をなしていない。めくれ上がったまま、汗と体液で布地が肌に張りついている。

 

 三番目の男がほむらの腰を掴んだ。背後に回り、膝を曲げて位置を合わせる。

 

 ずぷっ。

 

 バックから挿入された。二人分の精液が残っている膣に、三本目のチンポが入ってくる。ぬるぬると滑って、抵抗なく奥まで沈んだ。

 

「うわ、中ドロドロだぞ。他の奴の精液でぬるっぬるだ」

 

「……っ……♡」

 

 ほむらは声を出さなかった。出す気力がなかったのか、出すことを諦めたのか。うつ伏せの体勢で、頬が椅子の座面に押しつけられている。潮で濡れた座面が頬を冷やしている。紫の瞳が、壁の一点を見つめていた。

 

 四番目の男が、ほむらの顔の前に回った。

 

 無言で、チンポをほむらの唇に押し当てた。この男は最初から最後まで、ほとんど言葉を発しなかった。ただ目だけが、異様な執着を帯びてほむらを見つめている。

 

 ほむらの唇がこじ開けられ、チンポが口の中に入った。

 

 前後から同時に貫かれる。

 

「んぐっ……んっ……っ」

 

 口が塞がれて喘ぎ声が出ない。バックの体勢で腰を叩きつけるように突かれるたびに、身体が前に押されて、口の中のチンポが喉の奥に当たる。えずきそうになって、涙が滲む。

 

 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡ 

 

 腰の打ちつける音と、精液と愛液が混ざった水音が重なって、廃屋に下品な合奏を響かせていた。

 

「おい、俺も」

 

 先頭の男が、射精後にもう回復し始めていた。ほむらの腕を掴んで、自分のチンポを握らせる。反対側では、体格のいい男も同じことをしていた。

 

 ほむらの両手が、左右のチンポを握らされた。

 

 口と膣と、両手。四人同時。

 

 ほむらの身体が、四人の男の快楽のために使い尽くされていた。うつ伏せの身体が突かれるたびに揺れ、口の中でチンポが出入りし、両手に握らされたチンポが前後に動く。自分の意志で動いている部分は、もうどこにもなかった。

 

 三番目の男が、腰の動きを速めた。

 

「出る……っ、中に出すぞ……!」

 

 ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡

 

 奥に押し込まれて、男が果てた。三人目の中出し。バックの体勢のまま、精液が膣の奥に注がれる。ほむらの身体がびくっと震えた。三人分の精液が、膣の奥で混ざり合っている。

 

 ほぼ同時に、四番目の男がほむらの口の中で射精した。

 

 喉の奥に直接注がれた精液に、ほむらが咳き込んだ。口からチンポが抜け、白濁液が唇の端からこぼれ落ちる。むせて、げほげほと咳をする。精液の味と匂いが口の中に広がっていた。

 

「……げほっ……汚い……」

 

 最後の侮蔑の欠片だった。声に力はない。頬に精液がこびりつき、唇が白く汚れている。それでも「汚い」と吐き捨てるだけの意識は残っていた。

 

◇ ◇ ◇

 

 そこからの時間を、ほむらは正確に覚えていない。

 

 男たちは一度射精しても、すぐに回復した。三番目の男が笑いながら言った。

 

「こんな可愛い子を好きに犯せるんだからよ、チンポが萎える気がしねえ」

 

 いつの間にか、制服を剥がされていた。ブレザーは床に放り投げられ、ブラウスは引き裂くように脱がされ、スカートは足元から引き抜かれた。抵抗する気力はもうなかった。残されたのはニーハイソックスだけ。黒い布地が膝上まで覆っているだけで、それ以外は何も纏っていない。白い肌が廃屋の薄暗い空気に晒されて、汗と体液で湿った素肌がぼんやりと光っていた。

 

 体位が変わった。何度も。

 

 仰向けにされて脚を押し開かれ、正常位で突かれた。先頭の男が腰を振りながら、ほむらの顔を覗き込む。

 

「やべえわ、この顔。泣きながらイく顔マジでエロい」

 

「……見る、な……っ」

 

 顔を背けようとした。男の手が顎を掴んで戻した。紫の瞳が涙で滲んでいる。その目を覗き込みながら中に射精された。どくっ、どくっ、と子宮口に精液が注がれるたびに、ほむらの膣がきゅっと締まる。

 

「うおっ、イく瞬間めちゃくちゃ締まるじゃん。このマンコ最高だろ」

 

「おい交代しろ、俺にもやらせろって」

 

 横向きに寝かされて、後ろから抱きすくめるように犯された。体格のいい男が、ほむらの片足を持ち上げて奥まで突いた。裸の背中が男の胸板に押しつけられて、汗と体温が直接伝わってくる。精液がまだ膣の奥に残っている状態で、新しいチンポがぐちゅぐちゅとかき混ぜていく。

 

「なんだよ、中パンパンじゃねえか。他の奴の精液で溢れてやがる」

 

「……汚い……もう、やめ……っ♡」

 

 やめて、と言っている口から♡がこぼれた。嫌だと思っている。汚いと思っている。なのに身体は反応している。突かれるたびに膣が締まり、腰が男を迎えるように揺れてしまう。

 

 壁に手をつかされて、立ったまま後ろから突き上げられた。膝が笑って立っていられない。壁に額を押しつけて、それだけで身体を支えている。背後から腰を掴まれ、ぱんぱんと打ちつけられるたびに、裸の身体が揺れる。ニーハイソックスだけを履いた全裸の少女が、壁に手をつきながら犯されている。

 

「おい見ろよ、壁に手えついてケツ突き出してんぞ。自分からやってほしいみてえだな」

 

「……違う……立てない、だけ……あっ♡」

 

 四番目の男が、ほむらを椅子に座らせた。その上に跨がらせるように、ほむらの腰を引き寄せる。対面座位。ほむらの体重がチンポの上に落ちて、一番奥まで届いた。

 

「ひっ……深……っ♡♡」

 

 四番目の男は、最後まで一言も発しなかった。ただ黙って腰を突き上げ続けた。ほむらの黒髪を片手で掴みながら、もう片方の手で腰を固定して、下から何度も何度も突く。目だけが、ほむらの表情を食い入るように見つめている。ほむらがイくたびに、その目が微かに細まった。

 

「……っ、見ないで……その目で……あっ、あっ、あっ♡」

 

 何回犯されたのか。何回中に出されたのか。男たちは飽きることなく、ほむらの身体を求め続けた。

 

「このマンコになら何発でもいけるわ。チンポが萎える気がしねぇ」

 

「わかる。中ぐちゅぐちゅなのに締まるんだよ。出した後も吸い付いてくるし」

 

「顔もいいし身体もいいし。こんなのもう二度とねえぞ。おい!もう一発やらせろ」

 

 ほむらはもう抵抗していなかった。

 

 快楽と疲労で朦朧とした意識の中、身体だけが反応し続けている。突かれるたびに小さく喘ぎ、イくたびに潮を吹き、中に出されるたびに身体が痙攣する。精液が膣から溢れ、太腿を伝い、床に垂れ落ちる。それを気にする余裕すらなかった。

 

 何時間が経ったのか。ほむら自身にもわからない。椅子の下の水溜まりが広がって、男たちの靴底を濡らしていた。廃屋の中は体液と汗と男の体臭が充満して、空気自体が粘ついている。

 

「挿入からの絶頂回数は累計で42回。中出しは延べ24回」

 

 キュウべえが告げた。最初から最後まで、この白い生き物の声だけは変わらなかった。

 

「データとしては十分だろう」

 

 全てが終わった後。

 

 ほむらは椅子にもたれかかるように崩れ落ちていた。

 

 精液まみれだった。髪も顔も身体も、白濁液と潮と汗で汚れている。黒髪は乾きかけた精液で束になり、頬や額にこびりついている。裸の肌に白い液体がこびりつき、小ぶりな胸にも腹にも、乾きかけた精液の跡が幾筋も残っていた。身に纏っているのはニーハイソックスだけで、それすら片方が足首まで落ち、もう片方は膝の裏で丸まっている。口の端から精液が垂れ、股間からもどろどろと流れ出し続けていた。

 

 紫の瞳は虚ろだった。焦点が合っていない。天井でもなく壁でもなく、何も見ていない目。時折、身体が不意に痙攣する。快楽の余韻が、まだ身体の奥で燻っている。

 

 悪魔の面影は、もうどこにもなかった。

 

---

 

 キュウべえが、ほむらの前に歩み出た。

 

 小さな白い身体。丸い赤い瞳。表情のない顔。けれど声には、淡い満足のようなものが滲んでいた。

 

「検証は成功だ」

 

 キュウべえが宣言した。

 

「悪魔の権能を持つ君でも、快楽の前では無力だった。苦痛には耐えられても、快楽には耐えられない。仮説は証明されたよ」

 

 ほむらは答えなかった。椅子にもたれたまま、虚ろな瞳をキュウべえに向けてすらいない。

 

「これでダークオーブの干渉手段が確立できた。次は、もっと長期的に——」

 

「……ふふ」

 

 キュウべえの言葉が、途切れた。

 

 途切れさせたのは、ほむらだった。

 

 ぐったりと崩れ落ちていた口元に、微かな笑みが浮かんでいる。精液で汚れた唇が、小さく弧を描いていた。

 

「……ほむら?」

 

「ふふ……ふふふ」

 

 紫の瞳に、光が戻った。

 

 虚ろだった焦点が、ゆっくりとキュウべえを捉える。涙の跡が残る頬。精液がこびりついた黒髪。剥き出しの肌のどこもかしこも白い液体で汚れている。それでも、その瞳の奥に灯ったものは、紛れもなく暁美ほむらの意志だった。

 

「なかなか、気持ちよかったわよ♡ キュウべえ」

 

 声は掠れていた。喉がまだ枯れている。けれど口調は、あの冷たい丁寧語だった。上から見下ろす声。格上だけが使う、距離のある言い方。

 

 ほむらがゆっくりと立ち上がった。

 

 足が震えている。膝が笑っている。体重を支えるだけで精一杯だった。内心は、ギリギリだった。

 

 それは、誰にも見せない。

 

 一歩を踏み出した瞬間、廃屋の空気が変わった。

 

 温度が下がった。光が歪んだ。闇が、床の隅から這い出してくるように、ほむらの足元に集まり始めた。

 

「馬鹿な」

 

 キュウべえの声から、初めて平坦さが消えた。

 

「ダークオーブの干渉は——」

 

「あなたの干渉は確かに厄介だったわ」

 

 ほむらが、キュウべえを見下ろした。

 

 この高さだった。この角度だった。どれだけ犯されても、どれだけ壊されても、暁美ほむらが世界を見る視線は、ここにある。

 

「でもね、キュウべえ」

 

 黒い羽根が、ほむらの背中から広がった。

 

 一枚。また一枚。闇が実体化するように、漆黒の翼が展開していく。精液にまみれた裸の肌を、闇が覆っていった。ニーハイソックスだけだった身体に、禍々しくも美しい悪魔の装いが顕現する。黒い衣装が肌を隠し、胸元に大きな赤いリボン飾りが現れ、頭に大ぶりな飾りが戻る。

 

 精液の汚れは消えなかった。悪魔の衣装の上に、まだ白い痕跡が残っている。髪にも、頬にも。けれどほむらはそれを拭おうともしなかった。

 

「私は、悪魔よ」

 

 封印結界が砕けた。

 

 内側から。ほむらの権能が、キュウべえの構築した全てを踏み潰すように瓦解させた。透明な箱が粉々になるように、密閉されていた空気が弾ける。外界の夜風が廃屋に流れ込んで、澱んだ体液の匂いを押し流していく。

 

「あなた程度の小細工で、私の心が折れるとでも思った?」

 

 ほむらの紫の瞳が、キュウべえを射抜いていた。

 

「痛みも、苦しみも、快楽も。全て、私の世界の一部よ」

 

 実際には、ギリギリだった。快楽で本当に壊れかけた。あの連続絶頂の最中、自分が誰かもわからなくなった瞬間があった。名前を忘れかけた。何のために戦っているのかを見失いかけた。

 

 けれど悪魔ほむらは、それすらも取り込んで立ち上がる。壊れかけた破片を掻き集めて、元の形に戻す。表面上は完璧な余裕を見せる。

 

 それが、悪魔であるということだった。

 

「待ってくれ、ほむら。これは学術的な——」

 

「黙りなさい」

 

 闇がキュウべえを包み込んだ。

 

 がつん。ばきっ。びたん。

 

 白い毛が宙に舞った。赤い目が回転し、小さな身体が床を転がっていく。壁にぶつかり、跳ね返り、天井に叩きつけられ、また床に落ちる。闇が意志を持ったように、白い生き物を弄んでいた。

 

「次は、もっと上手くやることね」

 

 ほむらが髪をかき上げた。精液で汚れた黒髪が、指の間を滑り落ちる。

 

「もっとも、次があるとは思わないけれど」

 

 四人の浮浪者たちは、事態の急変に腰を抜かしていた。

 

 さっきまで犯していた少女が、黒い翼を生やして立っている。白い動物が叩きのめされて転がっている。廃屋の壁に亀裂が走り、天井から埃が降ってくる。何が起きているのか理解できる知能はあったが、対処できる手段は持っていなかった。

 

 ほむらが男たちを一瞥した。

 

 冷たい紫の瞳。さっきまで犯されていた相手を見る目ではなかった。道端の石ころを見る目だった。怒りすらない。ただ、存在を認識して、処理するかどうかを判断している。

 

「あなたたちのことは……消すまでもないわ」

 

 指を鳴らした。

 

 ぱちん。

 

 男たちの目が、一斉に閉じた。ぐらりと身体が傾き、一人、また一人と床に崩れ落ちる。意識を失っている。記憶も消した。目が覚めたら公園のベンチで、今日のことは何も覚えていない。夢すら見ない。

 

 一人になった。

 

 廃屋の窓から、夜風が吹き込んでいた。月が雲間から顔を出し、壊れかけた窓枠の隙間から青白い光が差し込んでいる。

 

 ほむらは悪魔の姿のまま、窓辺に立っていた。夜空を見上げている。表面上は完璧に平静で、余裕の微笑すら浮かべていた。

 

「……っ♡」

 

 ふとした瞬間に、太腿が震えた。

 

 身体の奥に残る快楽の余韻が、不意に蘇る。あの底なしの感覚。クリトリスを内側から直接抉られたときの、知らない快楽。身体は覚えてしまった。意志で消せない記憶が、神経の奥に刻まれている。

 

「……くだらない」

 

 小さく呟いて、黒い羽根を広げた。

 

 夜の空に飛び立つ。月明かりの中を、悪魔の影が滑るように消えていく。見滝原の街並みが眼下に広がり、遠くのビルの灯りが瞬いている。

 

 その背中は、いつもより少しだけ、翼が震えていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。