【ビッチ疑惑】の有名冒険者ちゃん!―責任取りたくないから処女は嫌だけど! ビッチなら!― 作:BIBI
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『夜景でキスの後は、ラブホに直行!』
立ち寄ったコンビニ。週刊誌の記事を見て、僕は絶句していた。
ダンジョンでレベル上げして遊んでたから知らなかったぁ……。何かテレビでも報道されまくってるっぽいし、凄い事なってるなぁ。
ルナ……、付き合い始めた途端に浮気って。僕が切っ掛けでセックスに嵌っちゃったのかな? 気持ち良さそうにしてたからねぇ。
まぁ別にいいけど、僕が何か損した訳でもないし。タダで手に入れた飯を、知らん奴につまみ食いされた程度の事。もういらねぇやって捨てる事を、勿体ないと僕は思わない。
そもそも僕が最強になれば、面の良い女はまた手に入るはずだし。今は自分がどれだけ強くなれるのか。それに集中するべきだ。
「――あ」
僕はコンビニ前で不意に思い至る。いきなり声を出した所為か、入店しようとしていた客がビクッと驚く。
ルナの浮気を上手く利用すれば、ガーネットと上手く専属契約解消できるかもな……。
そう考えると凄い豪運だな……、僕。
ダンジョンコアを無料で沢山貰った挙げ句、ルナやガーネットを切る口実も得た訳だ。最高じゃん。
これからは少し小さいギルドに移って、目立たない範囲でお金を稼ごう。そして地道にダンジョンコアを集めるんだ。
何か凄い順調だなぁ、僕の人生。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あの……、すみません。シュナさんって今何処にいますか?」
ギルド本部のビル。僕は桜色の髪を腰まで伸ばした少女――ナヅナさんに声を掛けた。ギルドの顔写真付き証明書を開いて渡し、僕が怪しい者ではないと確認して貰う。
「え? あ……。は、はい。案内しますね……?」
「すみません。お手間をとらせてしまい」
「いえいえ。丁度暇だったので、全然……」
戸惑いつつも一瞬で目を通したナヅナさんは、少しオドオドした様子で自ら案内してくれる。テレビでも少し見た事はあるが、コミュ障なだけで凄く良い子っぽい。
隊長で忙しいだろうに、わざわざ僕の為に案内してくれるなんて、有り難いけど少し申し訳ないくらいだった。普通のギルドなら三番隊隊長なんて任せられる人は、もっと傲慢で威圧的なはず。
そう考えると彼女は、人間としてかなり出来ているのだろう。暴力という点では強いのにも関わらず、気弱なのは何となく共感もできるし、勝手に親近感が湧いてしまう。
「いや、あの……、えっと……、リンさんって……、ルナ先輩と付き合ってる、リンさんですよね……?」
「あれ? 僕の事を知らされてるんですか?」
震える声で尋ねてくるナヅナさんに、僕は少し頬を引き攣らせてしまう。
「一応私、三番隊隊長なんで、そういう話も伝えられています……。もしかして……、今回の要件はやっぱり、あの浮気の一件ですか……?」
「まぁそうですね……。流石に超気不味いんで……、ギルドを辞めようかなって」
「ルナちゃんから浮気の話は聞いていなかったんですか?」
「聞いてませんよ。そもそもルナが処女って後出しで言うから、責任取ろうと僕も思った訳ですから……。ビッチだと知っていたら別に付き合う事もなかったんで」
実際、ビッチだったらヤリ捨て直行だし、嘘じゃない。というかルナの事をテレビくらいでしか知らないし、何より知り合ったばかりで何の愛着もないってのが僕の本音だ。
「け、結構ドライな感想ですね……。怒ってるとか、悲しいとかはないんですか? それならわざわざギルドを辞めなくても……」
ナヅナさんはオドオドした様子で足を止め、振り返って僕の目を見る。
「怒りや悲しみはありませんよ。冒険者なんて男女問わず性には奔放で当たり前ですし。ただ三級のミシェル君から恋敵だと認識されてる状況が怖くて……。情けない話ですが僕は弱いんで、手も足も出ない。流石に命の危険が……。ははは……」
それっぽい言い訳は既に考えている。というか言い訳ばかりのゴミみたいな人生だったからな。僕は馬鹿だけど、言い訳を考えるのだけは大得意だ。
「…………。情けなくありませんよ。命懸けになるのは仲間の為で十分。色恋やお金は安全な場所で求める方が賢いと思います。私も多分、貴方と似た価値観なので、凄く共感できます……」
本音なのだろう。先程まで落ち着きなくオドオドした様子だったのに、今のナヅナさんは少しだけ自然な微笑を浮かべていた。
「あの提案、何ですが……。専属契約を解消したら、私の率いる三番隊の寮でしばらく生活しますか……? 別に働く必要はないです……。ミシェル君から命を狙われる可能性もあるので、少し一緒に居れば安心かなって……」
見て分かる百パーセントの善意。そう伝わる程にナヅナさんの提案は僕に都合が良かった。天然なルナとは別種の純真無垢な印象。
ルナに裏切られた僕から見れば、彼女の優しさは少し眩しいものがある。ルナよりナヅナさんみたいな人と付き合いたかったと、肩を竦める。
「いつでも辞められるバイトって形で良いなら、寮に住まわせてもらっている間は働きますよ」
ギルドという怖い人が多い中で、ルナは天然過ぎて少し頼りなかったんだよなぁ。ナヅナさんみたいな常識ありそうな人の傍だったら、凄く働きやすいかも。
何より、穏やかというか弱気な所が良い。冒険者は気が強い人が多くて、高圧的な職場ばかりだと噂だし、少し怖かったんだよね……。
しかもナヅナさんって顔もメッチャ可愛いし、好みだし! 最近の僕はホントについてるぞ!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私はリンが夜遅くまで女友達と遊んでいても、別に何も思わない……。
その程度の事で嫉妬されるって、恋愛は難しい。というか、リンが凄く嫉妬深い? 普通はどうなの……?
私とミシェルがエッチした証拠を見つけた訳でもないのに……、そこまで怒る事? それに、あの時は急に迫られて、戸惑っただけで……、リンを裏切るつもりはなかった。
外ではキスを避けて……、何ならミシェルの頬も叩いた。ちゃんと話せば、私がリンを裏切る気持ちはなかったって、理解してもらえるはず……。
「…………」
顔を赤くし、照れたように下腹部辺りを優しく
痛いくらい何度も突いてきて……、またやりたいけど、流石に駄目……。中に一杯出されたけど……、多分子供はできてないから……、振られる事も……――。
「…………」
ルナは手の震えを落ち着かせる為、自分の中で考えを整理する。実感はないが、激しい動揺が自分の中にあるのは確か。
彼女は自分が世間知らずで恋愛の知識に
気分を変える為に風呂に入り
その時、
ナヅナとリンが二人で歩いていた。どこか親し気で笑い合う関係。何より手が触れ合いそうな程に距離が近い。
「――――ッ」
ルナは金づちで頭を殴られた様に、視界がグラグラする様な激しい動揺に襲われた。別に二人は手を繋いでいる訳でもない。それなのに――。
胸が苦しくて、声を掛ける気力すら湧かなかった。
「だ、大丈夫です……! 何かあれば私を頼ってください!」
話の流れは分からないが、ナヅナは力強く宣言していた。普段のオドオドした彼女とは違う、凄く張り切った、上機嫌な姿。まるで好みの男子を前にした女子の様な眩しいくらい純粋な笑顔で……――。
それを見て、聞いて、ルナは更に動揺して心臓の鼓動が早くなる。というか体が少し震え、呼吸が乱れた。
あれ? 私達、まだ付き合ってる……、はず……。あれ? だって、この前……、結婚しようって話したばかり……。
メールの返事をくれないって……。もう別れたつもりだったって事……?
でも、早いと思う……? 何で私を振ってすぐに次の女を作るの? ミシェルと浮気した私も悪いけど……、でも、結婚しようって言ってくれたのに……。
この日以降、ルナは精神的に病んでしまったのか、自分が知識がないのが悪いんだと責め、少しでも沢山男を知ろうと努力した。
今の自分じゃ相手にされない。リンと次会った時に魅力的だと思われたい。奉仕して気持ち良くなって欲しい。そう思った彼女の気持ちに嘘はなかった。
リンにまた抱いて欲しい。ストレスを紛らわす様に快楽を求める気持ちもルナを後押ししてしまったのだろう。こうして少しずつ、少しずつ服の趣味や生活習慣が変わり、ギルド内で良くない噂が流れる様になった……――。
【あとがき】
一度4話目で打ち切った作品なんですが、続きを投稿して良かった! 「お気に入り」、「評価」、「感想」が一気に増えて嬉しいです!
感謝です! モチベが上がります!