【ビッチ疑惑】の有名冒険者ちゃん!―責任取りたくないから処女は嫌だけど! ビッチなら!― 作:BIBI
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良かった……。三番隊がイケイケな人ばかりだったら、絶対に僕馴染めないし……。ホントに何から何までついているぞ――――。
……って思っていたんだけどなぁ。
「――ナヅナさん。恐らく敵襲です。備えて下さい」
山道を眺めながら、助手席に座っていた僕はシートベルトを外す。
「え?」
流石に不意打ちされたらナヅナさんでも不味そうなので、僕は早めに助言する。あまり力を見せたくないが緊急事態なら仕方ないと割り切った。
「全く魔力を感知できないんですけど……?」
「恐らく二級が一人。三級が五人です。勿論敵ではない可能性もあります。心当たりはありますか?」
戸惑いながらもその場で停車するナヅナさんに、僕はドアを開けて山奥に視線を向けた。
「恐らく賊でしょうね……」
余計な会話はせず端的に答えるナヅナさん。
「だったら迎え撃ってもらえますか? 僕は魔力感知はBというだけで雑魚なんで……」
ガードレールを踏み付け、崖から飛び降りようする。当然、僕も冒険者であり魔力で強化された体は物理ダメージを無効できる。ここから飛び降りた所で傷一つ付かないので問題はない。
「はい! 逃げてください! 私が命懸けで時間稼ぎをするんで!」
自分だけ逃げようとする僕に対し、ナヅナさんは何も責めてこなかった。やる気満々で拳に力を入れている様子。だが此方の不安を取り除こうと笑顔でハキハキとした口調。
何とか逃げ切れる、もしくは撃退できる算段がありそうな気もしたが、よく見ると顔色が悪くて少し緊張気味に震えている。
「…………」
この人、馬鹿正直に僕の言う事を信じて当然の様に自分が犠牲になろうとしてるのか? 出会ったばかりの僕を……? 何で?
「…………ッ! ホントに近くに! リン君、早く逃げ――――」
ようやく近づいてくる敵の気配に気づいたのか、真っ青な顔で焦るナヅナさん。彼女の呼び掛けを僕は遮り、「いや、やっぱり僕も戦います、ナヅナさんより強いんで……」と溜息混じりにガードレールから降りて敵の方に足を進める。
「…………!? え、えぇ……!?」
「はぁ……」
意味が分からないと驚き声を上げるナヅナさんに、僕は溜息混じりに肩を竦めた。
こんな善良な人を見捨てるのは流石に良心が痛む……。
「ホントは力を隠していたかったんですけど……、流石にナヅナさんが死ぬのは嫌なんで一緒に戦います……」
「…………!?」
妙な言い方になった僕は気づき振り向くと、ナヅナさんは顔を真っ赤に染めていた。
「そもそも僕を狙った襲撃かも知れない訳で……、よく考えたらナヅナさんに敵を押し付ける訳にはいかなかった」
それっぽい言い訳を適当に口にしつつ、僕はナヅナさんを庇う様にして立つと――。
車道を片側にある
「…………ッ」
ナヅナさんが緊張で震え、死を覚悟している様子だった。
「凄いな……。気づくの早すぎだろ、君ら。僕の魔力隠蔽ってそんなに下手だった?」
肩まで伸ばした黒髪を真ん中分けした
だが今は圧倒的な強者の彼よりも、その隣にいる男に僕とナヅナさんの目は釘付けとなっている。
フード付きの黒いローブを着ているが、先程車道に飛び降りてきた時にチラリと顔が見えたのだ。「気になるかい?」と優男が笑うと、隣の男が深く被っているフードを取った。
「「――――ッ!」」
その姿に僕とナヅナさんは息を呑む。
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『先日遭った本部襲撃事件。その首謀者は不明だが、暗躍していた一人を突き止めた。奴の名は貴様も聞いた事がある。有名な人物だ』
携帯越しに聞こえるサギリの声。シュナは買い食いをしながら、「勿体ぶらないでくれるかしら? 突き止めたというなら素直に教えて頂戴」と歩きながら会話を続ける。
『奴の名は――
「「…………ッ」」
携帯から聞こえるサギリの声に、シュナだけではなく隣を歩くカオルも驚愕する。
『正直、賊に堕ちるのも仕方ないとは思ったな……。何せ奴の発現した固有スキルは、恐らくだが――死体の操作だ。極めて珍しく強力な力だが、こんな力を持っている奴が表舞台で生きれる訳がない。賊に堕ちるしかなかったのも納得してしまう』
この手の忌み嫌われる類の力を発現したら、一生使わず生きる冒険者も多い。だが折角手似れた力なんだから、それを使いたいと思うのも人のさが。
強力な固有スキルなら尚さら使ってみたくもなるだろう。サギリとしては理解できる範疇の感覚であり、少しドウマに同情気味だった。
「死体の、操作……? まさか……。くそ、しくじっった……。そんな固有スキルを持つ賊が、このタイミングで……!」
シュナは足を止め、「帰るわよ」と隣のカオルに言った後に帰路へ向かう。
『…………? 何かあったのか?』
携帯から聞こえるサギリの声。それにシュナは歯噛みして――。
「恐らく、ミシェルの死体を使役されている……!」