【ビッチ疑惑】の有名冒険者ちゃん!―責任取りたくないから処女は嫌だけど! ビッチなら!― 作:BIBI
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「いやぁ僕の方こそ助かったよ。どうしようかなって困ってたんだよ、正直」
剣を構えながら僕は、背中を預けたルナに向かって話す。
「……何に困ってたの?」
先程まで僕が着ていたパーカーを着て、ルナはコテンと首を傾げる。
「ダンジョンコアを宿すボスを倒せば、現世に帰れる。でもさ、すぐにゲート閉じちゃうでしょ。僕が出て行った後にゲートが閉じたら……」
想像して肩を落とす僕。
そこに「――リンがボスを倒したって周りは判断する」とルナは当然の結論を察して口にした。
「そういう事」
「……リンは強い事を隠したいの?」
肯定する僕に、ルナは不思議そうな様子で尋ねる。あまりにも自然に落ち着いた口調で話す彼女だが、今は絶賛戦闘中。しかもダンジョンボスを前に、取り巻きのモンスターを狩り続けている最中。
だが彼女の顔には一切の疲れもない。当然と言えば当然の事。何せ彼女の実力からすれば軽く剣を振るうだけで、この場のモンスターは肉塊と化すのだから。
「目立つ事が嫌いなんだよ……。それに――出る杭は打たれる。命を狙われたり、周囲から頼られたり、面倒事が増えるだけ。強いと思われても良い事ないんだよ」
負けじと僕も襲い掛かって来るモンスターを無駄のない動きで倒し、ボスの取り巻きにいた最後のオーガも両断した。
「……それは、そう」
言いながらルナは一振りで、5メートルを越える黒いオーガを真っ二つに切り裂く。オーガの巨体が崩れ落ち、ドスンと音を立て土埃が舞う。
何ともない様子で剣を下げて、ゆったりとした足取りでルナはオーガの死体を踏み付けた。淡々と慣れた手つきで心臓辺りを剣で抉り、紫色の輝く結晶体を掴んで取り出した。
「やっぱり二級冒険者なだけはあるね。ボス相手でもゴブリンを倒すみたいにアッサリと倒すだなんて……」
今の僕じゃあルナには勝てないな……。レベルも上がりにくくなったし、これからどうするべきか……。
「…………リンこそ、何者? 何で〈回復〉使えるのに、〈剣術〉も使えるの?」
「そういえば、普通はスキルって適性が偏るんだっけ? 聞いた事がある様な……」
「攻撃系統のスキルと回復は両立しない……。でもリンは満遍なく、色んなスキルに適性を持ってる。固有スキルは〈
「さぁ? 僕もよく分からない」
固有スキルは普通一人一つだしね……。そりゃあ不思議に思うか……。
「…………」
黙ってジッと見てくるルナ。誤魔化す様に僕は「……〈ダンジョンコア〉か。始めて見た」と彼女の手に視線を移す。
「あげる」
「…………いいの? ありがとう」
ルナから掌サイズの〈ダンジョンコア〉を差し出され、僕は躊躇いつつも素直に受け取る事にした。その時だった――。
「「――――ッ⁉」」
僕の掌に収まったはずのダンジョンコアが、霧の様に消えてなくなったのだ。
「…………あれ? 僕、何かした?」
「消えた……、というより……――、リンが吸収した?」
何が起こっているのか呑み込めない僕に、ルナは目に映った事象を戸惑いつつも指摘する。
「…………」
手に違和感が残ってる。それにさっき、何か僕の固有スキルが自動で発動した感覚が……。さっき〈
「まぁ気にしても仕方ない。帰ろう。早く脱出しないと、ゲートが閉じちゃうよ」
気を取り直して踵を返す。考えても仕方がないし、それに後で固有スキルの詳細は自分で調べれば良いだけだ。
「…………」
納得していない様子でジッと見つめるルナだが、余計な詮索はしてこなかった。
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「そう。良かったぁ。ルナはダンジョンを脱出できたのね!」
フワリと街に降り立ち、携帯を耳に当てたシュナは絶句する。上空から落ちて来た彼女を見て周囲は動揺し、「シュナじゃん……」「めっちゃ綺麗……」「しゃ、写真より美人じゃん……」と目を奪われた様子で足を止めていた。
『はい。傷一つなく無事でした。どうやらダンジョンに迷い込んだ少年に偶然、助けられたみたいですね』
先程と同じく、一番隊副隊長のカオルの声。しかし先程と違い緊張が解けたような、どこか優しい声音になっていた。
「ルナは重傷だったのよね? それを治すって言ったら少なくとも〈回復〉の熟練度はCのはず……。随分と優秀な少年ね、その子……。どこのギルドの子かしら?」
周囲の反応を不快に思う事もなく、寧ろ注目を浴びて嬉しそうにし、歩きながらシュナは会話を続ける。
『無所属ですね。冒険者にはならず生活していたらしいです。〈回復〉の他にも、〈
「凄く優秀な子じゃない! ウチに引き入れなさい!? 絶対! その子が一人いたら、今ウチの抱える経営難が全て丸ッと解決するわ!」
カオルの返答に、思わずシュナは歓喜の声を上げる。
『私としても同意見です。ですが金に興味が薄そうなので、正直ルナに期待するしかありませんね』
電話越しでも頭を抱えているのが伝わる、溜息交じりの声。何やらルナに頼るしかない様な態度だが、あまり乗り気ではない様な、期待薄な反応だった。
「ルナ? 二人の関係に何かあるの?」
もしかしてルナに惚れてるとか? ダンジョン攻略は命懸け……。だけどルナに惚れているとしたら乗り気になるかもしれない……。
問題はルナか……。あの子、不思議ちゃんというか……、恋愛感情とか全くないタイプだし。その少年を突き放したりしそうなのが、少し不安――。
『命を救われた事でルナが恋愛感情抱いているっぽいので、上手く恋人関係になれたら、自然とウチのギルドに少年を歓迎できるのではないかと……』
「逆に惚れてるの? 良いじゃない! それ! サクッと子供を作って、その少年に責任取らせなさい!」
カオルの歯切れの悪い態度を気にした様子もなく、楽観的なシュナはルナの恋愛を応援していた。
『…………。ルナはそんな自分からグイグイ行く様な淫乱じゃありませんよ……。今まで仕事以外だと男と会話した経験すら殆どないんですから……』
カオルは幼い頃から母親代わりでルナを育ててきた。そんな彼女から見たルナは、いつまでも子供。恋愛感情を知らない所か、男に一切興味を持たない無垢な印象が強いらしい。