【ビッチ疑惑】の有名冒険者ちゃん!―責任取りたくないから処女は嫌だけど! ビッチなら!― 作:BIBI
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『堂々とデート! まさか噂の二人が本当に付き合っていたとは!』
『まだ本人達から確認は得られていませんが、ほぼほぼ間違いなさそうですね!』
『夜景をバックに、二人がキスしている所がしっかり撮られているからねぇ』
『幼い頃からお似合いの二人だと言われ続けていましたが、まさか本当に付き合う事になるとは……! 我々も年を取るわけですね!』
『ホントですよ。二人共大きくなって……』
『こんな堂々と手を繋いでデートして、夜にはガッツリとキスして……。記者達も驚いたでしょうね。まさか人目を全く気にせず、ここまで思う存分に写真を撮らせてくれるなんて……』
『ははは。確かに。コソコソせず堂々と、ですからねぇ』
テレビで芸能人達が談笑し盛り上がっていた。どのテレビ局も似た様なもの。それほどにルナとミシェルは注目度が高い話題なのだ。
「…………ルナ。年頃だから色恋に嵌るのは仕方ないけど、流石にリン君と付き合って初日に浮気はやり過ぎじゃない? もっと段階があるでしょ」
事務室のソファ。シュナは腰を降ろし、足を組んで偉そうな姿勢で溜息を吐いていた。その隣で黒い長髪で女――カオルは「…………」片手で眼鏡の位置を整え、静かにルナの返答を待っている。
「違う……。キスはしてない……。三センチは離れてた……」
淡々とした口調。少し戸惑った様子だが、何ら悪びれた感じはしない。
何の後ろ暗い所もないといった調子で、殆どいつもと変わりなく堂々とルナはシュナの向かい側の席に座っていた。
ただ目元に薄らとクマが有る事を見ると、この数日はまともに睡眠が取れていない事が伺える。顔に殆ど出さないだけで、何か思う所があるのだろう。
「どんな言い訳よ……。がっつり写真撮られてるし……。このギリギリでキスを中断したとか信じられないんだけど……。ちゃんと受け入れているって感じの態度だし」
ローテーブルに並べられた新聞。そこに載っている写真はキスしているとしか見えないミシェルとルナの姿だった。
確かに唇が重なっているのは分からない。ルナは殆ど後姿で顔もまともに見えないのだから。ただこの二人の距離を見て、キスしてないと信じられる人は少ないだろう。
「少なくとも無理やりではなさそうですね。嫌がっている顔はしてませんし」
カオルは視線を新聞に向ける。吐息が当たる程ミシェルが顔を近づけているのに、彼女は素直に受け入れ唇が触れるのを待っている様に見えた。
「違う……。私はちゃんと、拒否したから……」
少し分が悪くて、無理筋な言い訳という自覚があるのか、ルナの声が小さくなる。
「……真実はどうであれ、もう話は出回ってるし。リン君はどう言ってるの? 連絡は済ませてるんでしょ?」
全くシュナは言い訳を信じていなかった。というか苦し過ぎる。
そもそも私、ミシェルからルナとセックスしたって聞いているから、変な言い訳されても困るのよねぇ……。
昔からルナは純粋だと思っていたけど、こんな流されやすい性格だなんて……。純粋というより自分がないだけだったか……。
「…………。リンからは、連絡が取れない……。一応メールしたけど……、何の返事もない……。私の部屋に荷物もないから、戻って来るかどうかも、分からない」
声が震えて、少し目を伏せルナはギュッと着用しているギルドの制服を握る。自分でも過ちを犯した自覚があるのだろう。僅かに息遣いが乱れるのが何となく伝わる。
「……告白して付き合えたと思った次の日に、この報道だもんねぇ。そりゃあショックを受けるのは当然ね」
どんなに弱っていたとしても、家族同然の仲だとしても、同情する訳もなく――。シュナはゴミを見る目でルナを見ていた。
「キスが誤解だとして……、手を繋いでデートしていたのは何故ですか?」
新聞を手に取り、写真の一部を指差す。カオルはシュナと違ってルナを信じているが、それでも言い逃れできない箇所があるのは確か。その点を言及しない訳にはいかない。
「あ、あれくらいなら……、普通のことだから……?」
自分の言っている事に、自信がなくなっているのか。本当に悪い事を思っていないのかルナは首を傾げて、不思議そうに答えた。
「お、おう……。思ったよりエグイな、この女……。意外と恋愛玄人じゃん……」
恋人がいるのに、別の男と手繋ぎデートは当然と言われ、シュナは愕然とした。いつもの凛々しい態度や口調が崩れ、素の態度が少し表に出てしまう。
「手を繋いでデート。映画観て、オシャレな店を回って、夜中まで一緒に居て、キスするギリギリまで顔を寄せて……。これで浮気じゃないって、本気で思っているんですか?」
「エッチはしてないから浮気じゃない……、はず……」
厳しい目を向けて追及するカオルに、ルナは自信あり気に堂々と答えた。
「へ、へぇ……、ビッチじゃん。すげぇや、ついてけねぇや……」
シュナはもう突っ込む気も起きないらしく、ドン引きした表情のまま震える手で焼き菓子をパクパクと食べていた。
だから私、貴女がミシェルとガッツリとセックスしていたの知ってんだけど……。ここまで堂々と嘘吐かれると、逆に清々しいわね……。
こっちは二人がラブホに出入りしている映像も確認済みだってのに……。
「セックスしてないから浮気じゃないとか……、そんな頭の悪い水商売の女みたいなセリフをルナの口から聞く事になるなんて……。言っておきますが、浮気かどうか決めるのは相手です。自分で浮気の内に入らないって言い張る事に意味なんてありません」
至極真っ当な指摘。カオルは蔑む様に眉間に皺を寄せていた。初めてそんな顔をされからだろう。ルナは今になって不味い事をしてしまった自覚が芽生えたらしく、「…………」と押し黙る。
「……振られたくない。本当に、誤解だから」
消え入りそうな小さな声。ドクドクと心臓が鳴り、床を見つめながらルナは一瞬ミシェルに迫られた事を思い返す。
あの時……、拒否していたら……。でも、動揺してたから……、突然の事に対応できなくて……。
「いや、ミシェルと手繋ぎデートして夜まで遊び惚けていたのは事実なんだし、一ミリも誤解の要素ないでしょ……」
呆れた様子でシュナは突っ込み、カップを口に寄せる。もう責める気分にもならず、静かにルナには落胆していた。
この熱愛報道が流れた時点で、流石にリン君はガーネットを脱退するだろうなぁ。今回はルナが原因だし、同情しかない……。
違約金は全額免除してあげないと。
「確かに冒険者はハーレムやら、逆ハーレムやら、自由奔放なイメージはありますが、大抵は全員から了承を得てやってますからね……? 決して恋人に内緒で浮気してる訳じゃないんですよ? 分かっていますか?」
もしかしたら冒険者という特殊な職業故に、間違った常識を覚えてしまったのかも知れない。そう思い至ったカオルはルナに認識を確認する。だが、彼女の言葉は今のルナには届かなかった。
「リンは、分かってくれる、はず……」
な、なに……?
ガタガタと手が震えて携帯を床に落としてしまう。
「…………」
その様子を見て、シュナは少し驚く。
動揺で手が震えるなんて……、映画の世界だけの話だと思ってた……。ホントにこういう事ってあるのね……。
というか、ルナは天然過ぎて貞操観念が緩かっただけで、悪気はなかったのかも。ミシェルに抱かれたのも、何か強気に迫られた結果ズルズルと流されただけっぽいし……。
でも、ミシェルから中出しを何度もされたのよね……。という事は嫌がっていた訳でもないだろうし、本質的にビッチなのかしら……。