久遠妖妻奇譚〜おくさまはロリババア?!〜 作:Grand.D
必ずハッピーエンドで終わるのでよろしく。
そこは妖怪たちが隠れ住む異界――、<
――その中央山脈の麓に聳える大皇城。
その女王たる大妖狐――、齢千年を超えるというかの天狐・久遠が睨むその前に、一人の大男が膝をついて頭を下げていた。
そのかしこまった様子に天狐・久遠は満足そうに頷いて、その男を見下ろすように話し始める。
「……
その天狐・久遠の幼気な声音が響く。
――そう、その天狐は……、とても千年以上生きているとは思えない、幼い少女の姿をしていた。
その栗色の長い髪と、そこに揺れる狐耳。金色の美しい瞳。見た目幼い肢体に着崩した着物で妖艶さを付加して。
その尻から生える
<天狐>
齢千年を超えて生きた妖狐が変ずる魔性。
その下の階位である気狐となって、その尾が最大九本にまで分裂した妖狐が、それを越えて<空狐>と呼ばれる尾のない精霊神と化すことなく肉体を維持した存在。
別れていた尾は再び四本に統合されて、肉体を持つ妖物の中でも最大級の力を得た妖怪の頂点である。
「ククク……、おぬしの活躍……、胸がすく思いであったぞ……。かの玄狐どもの顔は思い出すと笑いが込み上げてくる……」
「ありがたき幸せでございます……」
その
「クフフ……、肩を並べてかの者と戦った
「……む、そうか……」
そう言って勇士郎苦笑いして黒髪を掻いた。
「……で、久遠……」
「クフフ……分かっておるわ……。貴様は元々女が欲しくて我がもとで戦ったのであろう? 本当に……困った男よ……」
そう言って天狐・久遠は楽しげに笑う。
そして、背後に控える侍女たちに手を上げて合図を送った。
「……?」
勇士郎が困惑の表情で振り向くと、その大広間の入口から数十人もいようかという美女の群れが現れる。
それを示して天狐・久遠は勇士郎を見下ろす視線で言った。
「……ここに集めたのは我が国最高の美女ばかり……、ここにいなくとも、貴様が望めば連れてくるぞ?」
「……え、ああ……」
その困ったような表情に天狐・久遠は眉を寄せて言う。
「どうした勇士郎……、ここにいる美女では不満か?」
「……ん、ええと……」
言葉を詰まらせる勇士郎に天狐・久遠はすこし怒ったような表情で言う。
「不満があるのならばはっきり申せ……。貴様が望むならば誰であろうと貴様の嫁にしてやる……」
「……本当か?」
勇士郎がすこし俯いてそう答える。天狐・久遠は静かに頷いて答えた。
「
その言葉に、勇士郎は静かに決意に満ちた表情を久遠に向けた。
「じゃあ……、言うぞ?」
「はっきりせい……、貴様らしくもない……」
そして勇士郎は――、偉大なる<
「久遠!! お前を嫁にしたい!!」
その言葉に周囲の妖怪たちが騒然とする。しかし、天狐・久遠は得意げに何度も頷いて言った。
「おおお!! そうか!! 分かったぞ!! その想い確かに受けとって……、その者を貴様の嫁に……」
隣に立つ侍女が久遠の肩を叩く。久遠は眉を寄せて侍女に言う。
「なんじゃ……、今、勇士郎と……、久遠とやらの婚姻を……」
――久遠?
一瞬、大妖怪にして齢千年を超える偉大なる天狐・久遠が、それまでの長い年月でしたことのない、とぼけた表情で動きを止める。
そして――、隣の侍女に聞こえるかどうかと言う小さな声音で呟いた。
「……え?
そして勇士郎は大きく頷く。
そうして――、その直後に大皇城全体に響くほどの絶叫があがったのである。
「なんとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……?!」
◆◇◆
<
それは最近そこに引っ越して来た新婚夫婦の愛の巣であった。
その新婚夫婦――、夫は大柄な人間……、その妻は小柄な妖狐であった。
なお、その妖狐の尻尾は四本であり――、近所の皆は気高い四本尾の
――うん、無論それは彼らの盛大な勘違いなんだけどね。
そして、畑で育った野菜を売りに出ている夫を――、頬を赤らめながら待つ妻。
その身はまさしく全裸であり、ただ
「……むう……、こ、これでよいのかのぅ? 旦那様はこれで喜ぶ……などと侍女どもに言われたが……」
それはまさしく男のロマン!! 裸エプロンである!!
それも美少女狐娘ちゃんが、その頬を赤らめながら身につけているのである。
――その小さなおしりから生えた栗毛の尻尾が揺れている。
「ううう……、勇士郎……、まだかのぅ?」
流石にこんな姿を、夫である勇士郎以外には見せられない。
もうすぐ帰ると予測して彼女はその姿になったのだ。
「勇士郎……」
顔を真赤にしながら夫・勇士郎の、その妻となった天狐・久遠はひたすら帰りを待った。
そして――、
「久遠! 帰った……ぞ」
扉を開けて笑顔で家に入ってきた勇士郎が、その可愛すぎる妻・久遠の余りにスケベエな姿にその思考を停止させた。
久遠は赤い頬を隠さずに笑顔で夫を迎える。
「……おかえりなさい勇士郎……。では……」
侍女からもらったカンペのそのセリフを正しく口に出す久遠。
「……食事にする? お風呂にする? ……それとも……」
――
その言葉に意識を復活させた勇士郎は――、
その全身から人間離れした闘気を吹き上げつつ答えた。
「……そんなこと……、久遠にきまってるだるおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そしてその人間は一匹の
――そして、哀れ……可愛い狐娘は――、
――その家の寝室でたっぷりと
――めでたし、めでたし(え?)。