採点用の赤ペンを持つ手が、また止まった。
三日前のことが、頭から離れない。
結城君の指が肩に触れた感触。首筋を這った指先。脇腹で身体が跳ねた瞬間。
そして——乳首をつままれた時の、あの声。
わたしは赤ペンをぎゅっと握った。
(次に何かあったら、ちゃんと言わないと)
前回は甘すぎた。
「やめようね」なんて——あれはお願いだ。注意じゃない。
教師として、もっと毅然とした態度を取るべきだった。
手を握ってしまったのも——あれは間違いだった。
注意している相手の手を、なぜ握る必要がある。
ない。ないのに、握った。しかも離せなかった。
(今度こそ、「やめなさい」って……ちゃんと……)
心の中でリハーサルした。
結城君が何かしてきたら。
目を見て。教師の声で。背筋を伸ばして。
「結城君、こういうことはやめなさい。先生と生徒の関係として、ふさわしくありません」
……言えるだろうか。
言えるはず。言わなきゃ。
ミカドからも「ティアーユ、あの子には気をつけなさい」と何度も言われている。
気をつけている。気をつけているつもりだ。
でも——
右手が、まだ覚えている。
結城君の手の温度を。
「……大丈夫。次は、ちゃんとする」
自分に言い聞かせて、採点に戻った。
*
放課後の廊下は、部活に向かう生徒たちの声で賑やかだった。
採点済みの答案を抱えて、職員室に向かっていた。
「ティアーユ先生」
背後から声がした。
振り返る前に——声の主が分かった。
心臓が、一拍だけ跳ねた。
結城君が、少し息を切らせて立っていた。
走ってきたのだろう。額に薄く汗が滲んでいる。
「あ、結城君……どうしたの?」
「先生、ちょっといいですか。話したいことがあって」
話したいこと。
質問だろうか。またテストの範囲の確認だろうか。
それなら準備室で——いや。
(準備室は、だめ)
前回のことがフラッシュバックした。
あの密室で、二人きりで、椅子に座っているわたしを見下ろす結城君の距離感——。
「えっと……何の話かしら? ここで聞けることなら——」
「ここだと、ちょっと」
結城君が周囲を見回した。
廊下には何人かの生徒がすれ違っていく。
「人がいない場所がいいんです。少しだけ」
わたしの中で、微かな警報が鳴った。
鳴った——けれど、結城君の目が真剣だった。
ふざけている目じゃない。前回の、あの実験的な冷たい光もない。
真っ直ぐに、わたしを見ている。
「……分かったわ。じゃあ——」
廊下の先に目をやった。
特別教室棟。放課後はほとんど使われていない教室がいくつかある。
二人で並んで歩いた。
結城君は何も喋らなかった。
いつもの爽やかな雰囲気が、少し硬い。
特別教室棟の、一番奥の教室。
ドアを開けると、午後の西日が差し込んでいた。
机と椅子が端に寄せられて、広い空間ができている。しばらく使われていない教室特有の、埃っぽい空気。
中に入ると、背後でドアが閉まる音がした。
振り返った。
結城君が、ドアの前に立っていた。
わたしとの間に、三メートルほどの距離。
「結城君……? 話って——」
「先生」
結城君の声が、変わった。
いつもの爽やかさが消えている。
声が——低い。でも、冷たくはない。
熱を帯びている。
「先生のこと、好きです」
空気が、止まった。
手から、答案用紙の束が滑り落ちた。
ばさっ、と音を立てて教室の床に散らばった。
「え——」
「好きです。先生として、じゃなくて。女の人として」
結城君が一歩、近づいた。
頭が——処理を拒否した。
告白。生徒からの告白。教師への告白。
これは——これは、即座に断るべき場面だ。
ミカドなら何と言う。「ありがたいけど、先生と生徒ですから」と毅然と断るだろう。
そうすべきだ。そうしなければ。
「ゆっ、結城君、あの——」
「ずっと考えてました。先生と話してる時間が、一番好きで」
もう一歩。
「先生のおっとりしたところも、ドジなところも、真面目に授業してるところも」
もう一歩。
距離が——一メートルを切った。
「全部好きです。嘘じゃないです」
口が開いた。
断らなきゃ。今すぐ。この瞬間に。
「結城君……その気持ちは、嬉しいけど……先生と生徒は——」
「分かってます」
結城君の右手が——わたしの左手を、そっと握った。
びくっ、と身体が震えた。
手の温度。三日前と同じ温度。
右手が覚えていた温度が——今度は左手に伝わってきた。
「分かってて、言ってます。先生が、困るのも分かってます」
結城君の目が——わたしを見上げていない。
同じ高さで見ている。167センチのわたしと、背の伸びた結城君の目線が——ほぼ同じ。
「でも、我慢できなくて」
結城君のもう片方の手が——わたしの腰に添えられた。
「ぁ——」
引き寄せられた。
ゆっくりと。でも、逆らえない力で。
結城君の顔が近づいてくる。
唇が——視界の中心に。
(だめ——)
頭が叫んだ。
だめ。教師として。大人として。ここで止めなければ全てが終わる。
「結城くん、だめ——」
唇が、塞がれた。
ちゅっ。
柔らかい。温かい。十六歳の唇が、二十六歳の唇を捉えている。
軽い、けれど確かな圧力。
身体から——力が抜けた。
膝が震えた。腰のあたりがふわふわする。
頭の中が真っ白になって、何も考えられない。
結城君の手が腰にある。その手だけがわたしの身体を支えている。
唇が離れた。
数秒——いや、もっと短かったかもしれない。
でもわたしには、時間の感覚が溶けていた。
「せん、せ——」
自分が何を言おうとしたのか分からなかった。
結城君の顔がまだ近い。吐息が唇にかかる距離。
「先生、もう一回」
ちゅう……っ。
今度は深かった。
唇を重ねるだけじゃない。結城君の舌が——わたしの唇をこじ開けた。
歯列の間を割って、舌先がぬるりと口内に滑り込んでくる。
「んっ——!」
背中が、壁に当たった。
いつの間にか教室の壁際まで追い詰められていた。
結城君の舌がわたしの舌に絡みついた。
じゅる……っ。唾液が混ざり合う音が、静かな教室に響く。
膝が——もう立っていられなかった。
力が入らない。
キスされると力が抜ける——そんな体質、知らなかった。
知らなかった。だって——まともにキスされた経験がほとんどないから。
結城君の腰に添えていた手が——背中に回った。
わたしの身体を支えながら、壁に押し付ける。
「んんっ……ん、ちゅ……っ♡」
舌が、口の中で動いている。
上顎をなぞって、歯の裏側を舐めて、舌の裏側に滑り込んで。
わたしの手が——だらりと下がっていた。
抵抗する力が、どこにもなかった。
頭の中で「押し返して」と命令しているのに、身体が言うことを聞かない。
れろ……っ♡
結城君の舌が、わたしの舌を吸い上げた。
「ひぁっ♡」
甘い声が漏れた。
自分の声じゃないみたいだった。二十六歳の教師が出す声じゃない。
結城君の右手が——ブラウスの上から、胸に触れた。
ぐにっ♡
Iカップの膨らみが、指の間で形を変えた。
今度は三日前のような探るような触れ方じゃない。
明確な意志を持って——揉んでいる。
「あっ——ゆっ、ゆっ、結城くんっ——!」
「先生の胸、やっぱりすごい」
結城君の掌が、ブラウスの上から胸の形を確かめるように揉みしだいた。
ぐにゅっ♡ ぐにっ♡
Iカップの弾力が、指の圧力に負けて沈み込み、離すと跳ね返る。
「やっ……だめっ……さわっちゃ——」
「好きな人に触りたいんです。我慢できない」
ずるい言い方だった。
好きだから。我慢できないから。
それを言われたら——「やめて」が「あなたの気持ちを拒否する」になってしまう。
わたしは——人の気持ちを拒否することが、できない。
結城君の手が、ブラウスのボタンに触れた。
一つ目が外れた。二つ目。三つ目。
壁に背中を預けたまま、ボタンが外されていくのをぼんやりと見下ろしていた。
ブラウスが開かれた。
白いブラジャーが露出した。Iカップの膨らみを必死に支えている薄い布。
谷間に薄く汗が光っている。
結城君の指がブラジャーのフロントホックに触れた。
ぱちん。
外れた。
ぶるんっ♡
支えを失ったIカップの胸が、重力に従って溢れ出した。
白い肌。薄いピンク色の乳輪。その中心で、すでに硬く尖っている乳首。
三日前に覚えさせられた反応を、身体が忘れていなかった。
「きれい」
結城君がそう言った。
その声に——嘘がなかった。少なくとも、わたしにはそう聞こえた。
きれい。
この胸を、そう言った人は初めてだった。
わたしにとってこの胸は、ずっと——重くて、邪魔で、走れば揺れて痛くて、足元が見えなくて、白衣のボタンを飛ばすだけの厄介なものだった。
それを——きれい、と。
結城君の両手が、剥き出しの胸を掴んだ。
ぐにゅうっ♡
「ひぁああっ♡」
直接触れられた。
ブラウス越しとは全然違う。掌の温度が、肌に直接伝わる。
指が柔らかな肉に食い込んで、形を歪ませる。
ぐにっ♡ むにゅっ♡ ぐにゅうっ♡
両手で交互に揉まれる。
Iカップの巨大な膨らみが、結城君の手の中で踊るように揺れた。
「っ……あ♡ ん、んっ♡ だめ……っ♡」
乳首が、指と指の間に挟まった。
きゅっ♡
「ぃあっ♡♡」
三日前に覚えた反応が、増幅されて返ってきた。
痛みと快感の境界線が——もう分からない。
お腹の底が、じんじんと熱い。
結城君の顔が、胸に近づいた。
舌先が——右の乳首に触れた。
ぺろっ♡
「ひっ♡♡」
舐められた。乳首を。生徒に。教室で。
れろ……れろっ♡
舌が乳首の周りを円を描くように舐め回す。
硬く勃ち上がった突起を、舌の腹で押し潰すように。
「やっ……あっ♡ それ……っ♡」
ちゅうっ♡
吸われた。
「ん゛あっ♡♡」
乳首を唇で咥え込まれ、強く吸引された。
びくんっ、と身体全体が跳ねた。
膝が完全に崩れて——壁伝いにずるずると崩れ落ちた。
教室の床に座り込む。
結城君が膝をついて、わたしの目の前に。
「先生、気持ちいい?」
質問。また質問。
答えたら——認めたことになる。
教師が、生徒に胸を触られて「気持ちいい」と認めたら——。
「……ぃ……やぁ……っ♡」
いや、と言おうとした。
でも声が——拒否の形をしていなかった。
甘くて、震えていて、「いやぁ」は嫌悪ではなく困惑だった。
結城君の手が、スカートの裾に触れた。
「っ——!」
意識が、一瞬だけ覚醒した。
ここから先は——ここから先に行ったら、取り返しがつかない。
「まっ——待って、結城君……これ以上は……っ」
「先生」
結城君の手が、わたしの頬に触れた。
目が合った。
「好きです」
二度目の告白。
同じ言葉。同じ真っ直ぐな目。
わたしの「待って」が——喉の奥で溶けた。
結城君の手が、スカートの中に滑り込んだ。
太腿の内側を指が這い上がる。
「ぁ……っ♡」
ストッキング越しに伝わる指の熱。
太腿の付け根まで辿り着いた指が——下着の上から、秘部に触れた。
くちゅっ♡
「——っ♡♡」
濡れていた。
いつから——分からない。キスされた時から? 胸を触られた時から?
もしかしたら——呼び出された時から、もう。
「先生、こんなに濡れてる」
結城君の声が——三日前のあの声に戻っていた。
冷静で、観察的で、計算された声。
「ち、ちがっ——汗で——」
「汗じゃないですよね」
指が下着を横にずらした。
直接、指先が秘裂に触れた。
ぬるっ♡
「ひぁっ♡♡ あっ♡ だめぇ……っ♡」
指が割れ目をなぞった。
濡れた粘膜が指の腹に吸い付く。とろとろの蜜が、結城君の指を濡らしていく。
くちゅっ♡ くちゅっ♡
「やっ……やぁっ♡ そこ……っ♡」
結城君の指が、入り口をくるくると撫で回した。
入れない。まだ入れない。でも入り口のすぐそばで——焦らすように。
わたしの腰が、勝手に動いた。
指を求めるように——前に押し出された。
「先生、自分から腰動いてますよ」
「うそっ……そんなの……っ♡」
嘘じゃなかった。
わたしの腰は、確かに結城君の指を追いかけていた。
結城君がベルトを外す音がした。
かちゃん、と金属の音。
目の前に——結城君のものが露わになった。
硬く、張り詰めている。
十六歳の少年のそれは、血管が浮き上がるほど充血して、先端のカリが怒張して傘のように広がっていた。
先端から透明な液が一筋、糸を引いている。
目を逸らそうとした。
逸らせなかった。
「先生」
結城君がわたしのストッキングを、両手で引き裂いた。
びりっ。
「ぁっ——!」
下着を横にずらされた。
結城君の熱い先端が——秘裂に押し当てられた。
「待って——結城くん、だめ……これだけは……っ」
「先生、嫌ですか」
嫌。嫌だと言わなきゃ。
教師として。大人として。ここで「嫌」と言えば——まだ引き返せる。
結城君の目が——わたしを見ていた。
真っ直ぐに。純粋に。好きだと言った時と同じ目で。
「……ぃ……ぃや、じゃ……ないけど……」
——言ってしまった。
結城君の腰が——押し込まれた。
ずぶっ……♡
「ん゛っ♡♡♡」
入った。
硬い。熱い。カリの段差が膣壁を押し広げながら、奥へ奥へと進んでいく。
二十六歳の——ほとんど使われたことのないこの身体は、異物を受け入れるのに時間がかかった。
きつい。きつくて、痛くて——でも痛みの奥に、じんわりとした充足感が広がっていく。
「せ、んせ……きつ……っ」
結城君の声が震えていた。
余裕が——少しだけ崩れている。
わたしの中が、侵入者を締め上げている。
「あ……ぁあ……っ♡ おっき……い……っ♡」
奥まで入った。
子宮口に、先端が触れた感覚。
お腹の奥で、どくんっ、と脈打つ熱。
結城君が、動き始めた。
ずちゅっ♡ ぬぷっ♡
「ひっ♡ あっ♡ あっ♡♡」
ゆっくりと引いて、奥まで押し込む。
カリが膣壁の襞を一つ一つ擦り上げながら、抜けかけて——また奥まで。
ぬぷっ♡ ぐちゅっ♡ ずちゅっ♡
「やっ♡ あっ♡ だめ♡ だめぇ♡♡」
背中が床に倒された。
冷たい教室の床。埃っぽいリノリウム。
結城君が覆いかぶさるように——わたしの両脚を持ち上げて、腰を打ちつける。
ぱんっ♡ ぱんっ♡
肌と肌がぶつかる音が教室に響いた。
乱れたブラウスの間から、Iカップの胸が揺れている。
突かれるたびに——ぶるんっ♡ ぶるんっ♡——と大きく波打つ。
いつもはただ重いだけの胸が、突き上げの衝撃で跳ね上がって——視界を塞ぐ。結城君の顔が、胸の谷間の向こうに見え隠れする。
「せんせ、中すごいですよ。きゅうきゅう締めてくる」
「あっ♡ やっ♡ 言わないでぇ♡♡」
結城君の腰の動きが速くなった。
ぱんぱんっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぬちゅっ♡
「ひぁっ♡♡ あっ♡ あっ♡ おくっ♡ 奥にっ♡♡」
カリが子宮口を突くたびに、身体がびくんっと跳ねる。
腰が勝手に持ち上がって、結城君のものをもっと奥に迎え入れようとする。
「先生、腰動いてますよ」
「ちがっ♡ ちがうのっ♡ 勝手にっ♡♡」
違わなかった。
わたしの腰は、完全に結城君のリズムに合わせて動いていた。
迎え入れて、締めつけて、離したくなくて——引き抜かれる瞬間に膣壁がきゅうっと吸い付く。
ずっぽ♡ ずっぽ♡ ぐちゅっ♡ ぬちゃっ♡
水音が——教室中に響いていた。
わたしの中から溢れた蜜が、太腿を伝って床を濡らしている。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡♡ なにこれ♡ なにこれぇ♡♡」
分からない。こんなの分からない。
身体が——おかしい。おかしくなっている。
お腹の底から背骨を駆け上がるような、ぞくぞくした波が——止まらない。
ぱんぱんっ♡ ぱんぱんっ♡
結城君が、わたしの足首を掴んで大きく開かせた。
M字に開いた脚の間で、繋がっているところが丸見えになっている——はず。
自分では見えない。胸が大きすぎて、お腹の先が見えない。
でも音で分かる。ぐちゅぐちゅと、いやらしい音が聞こえる。結城君のものがわたしの中に出入りするたびに、ぬるぬるの蜜が音を立てている。
「先生、イきそう?」
「ぃっ♡ わかんないっ♡ わかんないのっ♡♡」
分からなかった。本当に分からなかった。
こんな感覚は初めてで——身体が勝手に、何かに向かって登り詰めていく。
結城君の腰が——加速した。
ばちゅんっ♡ ばちゅんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡
「ひぁああっ♡♡ だめっ♡ だめだめっ♡ こわいっ♡♡」
怖い。怖い。何かが来る。お腹の奥で膨らんでいる何かが——弾けそう。
「っ——イっていいですよ、先生」
許可された。
生徒に。十六歳の生徒に。二十六歳のわたしが。
ぱんぱんぱんっ♡♡
「ぁっ♡♡♡ あ゛あ゛あ゛あっ♡♡♡ ——っ♡♡♡」
びくんっ♡♡
身体が、弓なりに反り返った。
背中が床から浮き上がって、足の指がぎゅっと丸まる。
膣壁が結城君のものを締め上げるように痙攣して——きゅうっ♡ きゅうっ♡——波打つように収縮した。
「っ——先生、締めすぎ——っ」
結城君の腰が、奥まで押し込まれた。
どくんっ……♡
先端が子宮口に密着して——熱い。中で、熱いものが広がっていく。
どぴゅっ♡ びゅるるっ♡
「あ♡ あ♡ あったか……っ♡ 中でっ……♡♡」
注がれている。
生徒の精液が——わたしの子宮に。
どくんっ♡ どくんっ♡ と脈打ちながら、白い熱が奥を満たしていく。
意識が——遠のいた。
真っ白な光の中に落ちていくような。
身体中の力が抜けて——ぐったりと床に沈む。
びくっ♡ びくっ♡
余韻の痙攣が、まだ止まらない。
*
どのくらい時間が経ったのか、分からない。
教室の床に横たわっていた。
天井の蛍光灯が視界にぼんやりと映っている。消灯している。西日だけが教室を橙色に染めていた。
身体が動かない。
腰から下が、ぐにゃぐにゃに力が抜けている。
ブラウスは開いたまま。ブラジャーは外れたまま。
スカートは腰の辺りで丸まっていて、ストッキングは引き裂かれたまま。
太腿の内側を——白い液体がとろりと流れている。
(結城、君……?)
首を巡らせた。
教室に——誰もいなかった。
わたしは一人だった。
使われていない教室の、埃っぽい床の上に。乱れた服のまま。
太腿を精液で汚されたまま。
結城君は——いなくなっていた。
散らばった答案用紙が、西日を受けて橙色に染まっている。
天井を見つめた。
涙が——頬を伝った。
泣いている。
なぜ泣いているのか——分からない。
悲しいのか。悔しいのか。怖いのか。
それとも——。
(先生のこと、好きです)
結城君の声が、耳の奥で反響している。
あの声は——嘘だったのか、本当だったのか。
分からない。
分からないけれど——身体が覚えている。
キスの感触。胸を揉まれた掌。中に入ってきた熱。注がれた温度。
全部——気持ちよかった。
自分の顔を両手で覆った。
「……わたし……なにして……」
声が震えている。
教師が。大人が。生徒と。教室で。
身体を丸めた。
胎児のように膝を抱えて、床の上で。
西日が——少しずつ傾いていた。
教室が暗くなっていく。
動けなかった。
太腿を伝う白い液体が——冷たくなり始めていた。
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