湯船に沈んでいた。
自宅のバスルーム。小さなユニットバス。一人暮らしの部屋にはこれで十分だった。
ぬるくなったお湯が、身体を包んでいる。
三日が経っていた。
あの教室の、あの出来事から。
(……大丈夫。忘れよう)
忘れなきゃ。教師として。大人として。
あれは——間違いだった。流されてしまっただけ。結城君の勢いに、ただ流されて——。
でも——。
目を閉じると、浮かんでくる。
結城君の唇の感触。重なった瞬間に膝から力が抜けた、あの感覚。
舌が口の中に入ってきた時の——じゅる、という音。
(やめて。思い出さないで)
お湯の中で膝を抱えた。
胸がお湯の水面からぷかりと浮いている。Iカップは浮力があるから、お風呂に入るといつもこうなる。普段は重力に引っ張られて肩が痛いのに、お湯の中だけは軽い。
——結城君に持ち上げてもらった時も、軽かった。
(だから、やめてって……)
自分に言い聞かせた。
でも身体は覚えている。
胸を掴まれた時の指の食い込み方。乳首を舐められた時の、ぺろっ、という小さな音。吸われた時に身体がびくんと跳ねて——。
ぞくっ。
太腿がきゅっと閉じた。
お湯の中で——下腹部がじんわりと熱くなっている。
(これは……お湯のせい。お風呂だから。身体が温まっているだけ——)
違う。分かっている。
思い出しているから。結城君のことを。
あの教室で、背中を床に押しつけられて。
結城君のものが——入ってきた時の。
ずぶっ、という感覚を——身体が、覚えている。
硬くて、熱くて、カリの段差が中を押し広げて——。
奥まで入った時の、充足感。
子宮口に当たった時の、どくんっ、という脈動。
(やだ……なんで……)
手が、無意識に太腿の間に向かいかけた。
はっと我に返って、両手で顔を覆った。
お湯が跳ねた。
「……わたし、なに考えて……」
声が、バスルームに反響した。
情けない声だった。
湯船から上がった。
身体を拭いて、パジャマに着替えた。
柔らかいコットンのパジャマ。ノーブラ。家にいる時は——というか、あの胸を支えるブラジャーは肩紐が食い込んで痛いから、家では着けない。
パジャマのボタンの間から、胸の谷間がのぞいている。ボタンが弾けそうなくらい——こんなもの、ないほうがいい。
……「きれい」って、結城君は言った。
ベッドに入った。
天井を見つめた。
明日は月曜日。学校がある。
結城君に——会う。
(会ったら、どうなるの)
結城君は——また、何かしてくるだろうか。
あの日、教室に一人置き去りにされた。服を乱されたまま。太腿を汚されたまま。
あれは——あれは、わたしを「使った」ということなのか。それとも——。
(先生のこと、好きです)
あの声が——まだ耳に残っている。
あの目が——嘘には見えなかった。
でも——もし本当に好きなら、あんなふうに置き去りにするだろうか。
何も言わずに、いなくなるだろうか。
分からない。
分からないけれど——。
もし。
もし、また結城君に呼び出されたら。
人のいない場所に連れて行かれて。
また——キスされたら。
身体が覚えてしまった。
キスで力が抜けて、胸を触られて声が出て、中に入れられて——。
(次は……なにを、されるんだろう)
怖い。怖いはずだ。
教師として、こんなことを考えてはいけない。
なのに——身体が。
太腿の奥が、じんわりと熱い。
パジャマの上から——下腹部に手が触れた。
(やめなきゃ……)
やめなきゃ。やめなきゃいけない。
でも——結城君の手が、ここに触れた時の感覚が——。
くちゅっ。
指先が、下着の上から秘部に触れた。
「っ……」
濡れていた。
お風呂上がりだから——じゃない。
結城君のことを考えていたから。
指が——下着の中に滑り込んだ。
ぬるっ。
「ぁ……っ」
自分の指なのに——結城君の指を思い出す。
あの時、入り口をくるくると撫でまわされた感覚。焦らされて、腰が勝手に動いた——。
くちゅっ♡ くちゅっ♡
「ん……っ♡ ぁ……っ♡」
結城君の顔が浮かぶ。
あの真剣な目。好きですと言った声。
そして——冷静に「先生、こんなに濡れてる」と指摘した、あの声。
指が、奥に入った。
ずぷっ♡
「ひぁっ♡」
自分の指じゃ——足りない。
結城君のものは、もっと太くて、硬くて、カリの段差が——。
(もっと……奥を……っ)
指を増やした。二本。中をかき回すように。
でも——届かない。結城君のものが届いた場所に、自分の指では届かない。
「あっ♡ んっ♡ ……結城、くん……っ♡」
名前を——呼んでしまった。
暗い部屋の中で。一人で。生徒の名前を。
ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡
「やっ♡ あっ♡ だめ♡ ……もっと……っ♡」
もっと。
もっと——結城君に。
壊されたい。
その思考が頭をよぎった瞬間——びくんっ♡——と身体が跳ねた。
「ん゛っ♡♡♡」
イった。
自分の指で。結城君のことを考えながら。
びくっ♡ びくっ♡
余韻の中で——涙が流れた。
(わたし……もう……)
*
月曜日の朝。
黒のスカートスーツに袖を通して、鏡を見た。
顔色は——悪くない。化粧で隠せる程度。
目の下の隈は——少し、ファンデーションを厚めに。
学校に向かう電車の中で、何度も深呼吸した。
普通にしなきゃ。いつも通り。何もなかったように。
結城君に会っても——教師の顔で、にこやかに——。
二限目の授業が終わった。
生物の授業。二年B組。結城君のクラスじゃない。
だから——大丈夫。今日は結城君と顔を合わせなくて済む。
教室を出て、廊下を歩いた。
「ティアーユ先生」
心臓が、止まりかけた。
振り返った。
結城君が——廊下の角に、もたれかかるように立っていた。
制服の袖を少しまくっている。見たことのないポーズ——いや、いつもこうだったかもしれない。今まで気にしていなかっただけで。
制服の上からでも分かる、均整の取れた身体。
顔が——整っていると、初めて思った。
(やだ……なんでそんなとこ見てるの、わたし……)
「あ……結城くん……」
声が——裏返りかけた。平静を装う。
「おはようございます、先生」
にこっと笑った。爽やか。いつもの結城君。
あの教室で何があったか分からないくらい——何事もなかったように。
「先生、ちょっと話したいことがあって」
また、この言葉。
「え……えっと、今はちょっと——」
「すぐ終わります。ほんの一分」
結城君が——歩き出した。
特別教室棟への廊下。前と同じ方向。
足が——動いた。
(だめ。ついて行っちゃだめ。行ったら——)
行ったら、また——。
分かっている。分かっているのに——足が止まらない。
結城君の背中を追いかけている。制服の背中。まっすぐな背筋。
あの背中が、わたしの上に覆いかぶさった時の——。
(やめて、思い出さないで——!)
使われていない教室のドアが開いた。
前と——同じ教室。
中に入った。
ドアが閉まった。
結城君が振り返った。
「先生」
「……なに?」
声が震えていた。自分でも分かった。
震えている理由も——分かっていた。怖いからじゃない。
期待しているから。
結城君が近づいてきた。わたしは後退らなかった。
「先生、この前のこと」
「えっ——あ、あれは……その……」
「俺、ひどいことしましたよね」
結城君の声が——低く、真剣だった。
反省の色がある——ように聞こえた。
「先生を置いていって。ごめんなさい」
謝られた。
あの時一人にされたことを——。
「う、ううん……大丈夫……」
(大丈夫じゃなかった。一時間近く動けなかった。太腿を汚されたまま——)
でも許してしまう。わたしは——許してしまう人間だ。
謝られたら。反省されたら。
追い打ちなんて——できない。
「先生って、本当に優しいですよね」
結城君の手が——わたしの頬に触れた。
「っ……」
触れただけ。掌で頬を包むように。
なのに——身体が反応した。
頬が熱くなって、心臓が速くなって、お腹の底が——じんわりと。
「先生」
結城君の目が——わたしを見ていた。
見下ろしていない。同じ高さ。
(この目が……こわい……)
怖い。この目で見られると——もう、だめになる。
「俺、先生のこと——もっと知りたいんです」
「もっと……?」
「先生って、されたいことある?」
「え……?」
質問の意味が——分からなかった。いや、分かっていた。
分かっていて、頭が処理を拒否した。
「先生みたいな人って、意外とさ——」
結城君の手が——わたしの手首を、きゅっと握った。
「っ——!」
手首を。掴まれた。
握られたんじゃない——掴まれた。
指が手首に食い込んで、骨が軋むような——でも痛いというには足りない、ぎりぎりの圧力。
身体が——反応した。
びくっと震えて——お腹の底に、熱い塊が落ちた。
「……っ♡」
声が——漏れた。小さく。でも確実に。
結城君の目が——光った。
獲物を見つけた時の、あの光。
「先生、今の」
「え……? な、なんでもない……」
「手首掴んだだけで、そんな声出る?」
「で、出てない……!」
出ていた。自分でも分かっていた。
手首を掴まれただけで——身体が震えて、甘い声が漏れた。
結城君のもう片方の手が——わたしの髪を、ぐっと掴んだ。
「ひぁっ♡」
引っ張られてはいない。掴まれただけ。
でも——髪を掴まれるという行為そのものが——身体の奥を、ぞくぞくと震わせた。
「先生、もしかして——」
結城君の声が——ゆっくりと、確かめるように。
「乱暴にされるの、好き?」
「っ——!」
否定しなきゃ。すぐに。即座に。
「何を言ってるの」と。教師の声で。
口が——開いた。
でも——声が出なかった。
否定の言葉が、喉の奥で凍りついている。
それは——嘘になるから。
結城君の両手が——わたしの胸を、鷲掴みにした。
ぐわしっ♡
「ひぁあっ♡♡」
乱暴だった。
前回の「揉む」とは全然違う。
スーツの上から。ブラジャーごと。Iカップの膨らみを、両手で鷲掴みにして——。
指が深く食い込んで、柔らかな肉が指の隙間から溢れ出す。
「おっきいなぁ、先生の胸」
面白がっている声だった。愛でているのではなく——おもちゃで遊んでいる声。
ぶるんっ♡ ぶるんっ♡
上に持ち上げて——ぱっと手を離す。
重力に従ってIカップが落下して、ぶるんっと弾む。
「あっ♡ やっ♡」
また掴んで——今度は左右に揺する。
ぶるるんっ♡ ぶるるんっ♡
「っ♡ や、やめっ……♡ あそばないでっ……♡」
ふざけている。完全にふざけている。
胸を——おもちゃにしている。
両手で持ち上げて、ぶるぶる揺すって、離してバウンドさせて——また掴む。
ぐにっ♡ ぶるんっ♡ むにゅっ♡ ぶるんっ♡
「先生の胸、すげえ弾力」
「あっ♡ んっ♡ やっ♡ そんな——おもちゃじゃ——っ♡」
おもちゃじゃないのに——声が。
声が——嫌がっている声になっていない。
甘い。震えている。困惑と——それだけじゃない何かが混じっている。
結城君の手が——胸の下面を、ぱんっと叩いた。
「ぃっ♡♡」
スパンキング。胸への。
ぱちんっ、と乾いた音がスーツの上から響いた。
Iカップの胸が、叩かれた衝撃でぶるんっと大きく揺れる。
「痛い?」
「い、痛い……っ♡」
痛い。痛い——はず。なのに。
叩かれた場所が——じんじんと熱い。痛みが——快感に変換されていく。
お腹の底が、きゅうっと締まった。
結城君がもう片方の胸も叩いた。
ぱちんっ♡
「ぁっ♡♡」
ぶるんっ♡
左右交互に。ぱちんっ♡ ぱちんっ♡
叩くたびにIカップが揺れて、叩くたびにわたしの声が——甘くなっていく。
「先生、痛いのに声エロいですよ」
「ちがっ……ちがう♡ これは……っ♡」
違わなかった。
全然——違わなかった。
わたしの身体は、乱暴にされることで——明確に、反応していた。
結城君の手が——わたしのお尻を、ぱんっと叩いた。
「ひぁっ♡♡♡」
スカート越しに。お尻への平手打ち。
ぱちんっ、と響いた衝撃がお尻の肉を伝わって、奥の奥まで——。
「せ、せんせ……お尻も叩くと、こんな声出るんですね」
「やっ……やめてっ……♡」
やめて、と言った。
でも——腰が、叩かれた方に押し出されていた。
もう一回、と身体が求めていた。
結城君の手が——わたしの顎を持ち上げた。
「先生って——ドMなんですね」
「ちがっ——」
「違わないですよね。全部身体が答えてる」
結城君の目が——笑っていた。
優しくはない笑み。計算された——でもどこか楽しそうな。
「前から気づいてたんです。乳首つまんだ時の声とか、手首掴まれた時の反応とか」
全部——見抜かれていた。
わたし自身が気づいていなかったことを——結城君は、最初から。
「先生、可愛いですよ。こういう先生」
可愛い。
二十六歳の教師に向かって、十六歳の生徒が——可愛い、と。
それなのに——嬉しかった。
ぞくぞくした。身体の芯が、震えた。
こんな自分を認めてくれる人が——初めて、いた。
(やだ……やだ、こんなの……嬉しいって思っちゃ、だめ……)
結城君が——わたしの肩を押した。
下に。
膝が折れた。教室の床に——膝をついた。
結城君が立っている。わたしが跪いている。
見上げる形になった。
結城君のベルトが外れる音がした。
かちゃん。
ジッパーが降りる音。
目の前に——結城君のものが現れた。
硬く張り詰めて、血管が浮き上がっている。先端のカリが怒張して傘のように広がり、すでに透明な液が滲んでいた。
「先生、お願いしていいですか」
お願い。
命令ではなく——お願い。
それがまた、ずるかった。
お願いされたら——断れない。わたしは、お願いを断れない人間だ。
「……わたし、こういうの……したことなくて……」
「大丈夫。先生なら上手くできますよ」
根拠のない言葉。でも——不思議と、安心した。
手を伸ばした。
結城君のものを——指で包んだ。
熱い。硬い。指の中で脈打っている。
顔を近づけた。
先端に——舌先を当てた。
ぺろっ。
「っ……先生……」
結城君の声が——低く震えた。
わたしの舌が——彼を震わせている。
その事実が——嬉しかった。
舌で先端を舐めた。カリの段差を舌先でなぞる。透明な液の味がした——しょっぱくて、少し苦い。
れろ……れろっ♡
「んっ……♡」
舌が——勝手に動いている。
したことがないはずなのに。身体が知っているかのように。
先端を唇に含んだ。
ちゅぽっ♡
「っ♡」
口の中に——入った。
硬いものが舌の上に乗って、口内を押し広げる。
太い。熱い。顎が少し痛い。
「先生、歯当てないように」
「んっ……ん……♡」
唇を丸くすぼめて、歯が当たらないように。
ゆっくり——奥まで咥えた。
ずぽっ♡
喉の奥に当たった。
「んぐっ♡」
反射的に喉が締まる。でも——吐き出さなかった。
引き抜いて——また咥える。
じゅぽっ♡ じゅぽっ♡
「っ……先生、上手い……」
褒められた。
生徒に。こんなことをして——褒められた。
それが嬉しくて——もっと頑張ろうとする自分が、怖かった。
ちゅぽっ♡ じゅぽっ♡ ちゅぽっ♡
唾液が溢れて、結城君のものを濡らしていく。てらてらと光る柱を、唇が往復する。
結城君の手が——頭に乗った。
髪を撫でるように——でもしっかりと、後頭部を押さえて。
ぐっ、と押し込まれた。
「ん゛っ♡♡」
奥まで。喉に当たるくらい。
涙が——目尻に浮かんだ。苦しい。でも——。
じゅぽっ♡ ぐぽっ♡ じゅぽっ♡
「先生、顔真っ赤ですよ」
「ん……んんっ♡ んぐっ♡」
答えられない。口がふさがっている。
涙で視界が滲んで、唾液が顎を伝って指に垂れている。
結城君のものが——口の中で、びくっと脈打った。
「っ——先生、出る——」
引き抜こうとした。
でも——結城君の手が、頭を押さえていた。
どぴゅっ♡
「ん゛っ♡♡♡」
口の中に——出された。
熱い。粘っこい。舌の上に広がる独特の味。
量が——多い。口から溢れそう。
びゅるっ♡ どくっ♡
「ん……んんっ……♡」
飲めない。飲めないのに——飲み込んでしまった。
喉がごくっと動いて、白い熱が食道を下りていく。
結城君のものが——口から抜けた。
唇の端から、白い液が——糸を引いて垂れた。
「先生……すごい。全部飲んでくれたんですね」
「……っ……は……っ……♡」
息が荒い。
顔が熱い。涙と唾液でぐちゃぐちゃになっている。
教室の床に膝をついたまま、見上げている。
結城君が——微笑んだ。
「ありがとうございます、先生」
丁寧な言葉。
教師に対する、生徒としての礼儀正しい言葉。
それが——こんな状況で発せられることの、異常さ。
いつの間にか結城君はベルトを直して、何事もなかったような顔になっていた。
「じゃ、次の授業あるんで」
背を向けて——ドアに向かう。
振り返らない。今度は振り返らない。
ドアが閉まった。
わたしは——教室の床に座り込んだまま、口を手の甲で拭った。
唾液と精液が混ざった跡が、手の甲に光っている。
胸の奥が、ぎゅっと締まる。口の中にまだ味が残っている。
(わたし、生徒の……飲んだ……)
*
水曜日。
放課後、職員室で書類を整理していたら——携帯が鳴った。
メッセージ。結城君から。
『先生、理科準備室空いてますか? 質問があります』
指が震えた。
「空いていません」と打てばいい。「今日は忙しい」と。
指が——打った。
『空いてるわ。来てね』
送信してしまった。
理科準備室で待った。
心臓がうるさかった。
結城君が来た。
ドアを閉めた。鍵をかけた——結城君が。
「先生、こっち向いてください」
椅子に座っているわたしの前に——結城君が立った。
ベルトの音。
見上げた先に——もう硬くなっているものが。
「お願いしていいですか、先生」
(また……)
「……うん……」
頷いてしまった。
抵抗する気力が——どこにもなかった。
椅子から降りて、膝をつく。
口を開けた。
舌を出した。
結城君のものを——迎え入れた。
ちゅぽっ♡
もう——迷わなかった。
*
金曜日。
体育館裏の、誰もいない場所で。
壁に手をついて、膝をついている。
結城君のものが——口の中にある。
じゅぽっ♡ じゅぽっ♡ ちゅぽっ♡
「先生、三回目なのにもう上手くなりましたね」
「ん……んんっ♡」
上手くなった。
褒められた。
嬉しい——と、思ってしまった。
生徒のものを咥えることが上手くなって、嬉しい。
二十六歳の教師が、十六歳の生徒に——。
どぴゅっ♡
「ん゛……っ♡♡」
今度は——自分から飲み込んだ。
ごくっ。ごくっ。
「……ごちそうさまです♡」
——なぜ、そんなことを言ったのか。
分からない。口が勝手に動いた。
結城君が——笑った。
嬉しそうに。本当に嬉しそうに。
「先生、最高」
その言葉に——子宮がきゅんと疼いた。
結城君が去った後。
体育館裏の壁にもたれて、空を見上げた。
口の中にまだ——味が残っている。
(わたし……どうなっちゃうんだろう)
分からない。
分からないけれど——次に結城君に呼ばれたら、また行くだろう。
膝をついて、口を開けて、迎え入れるだろう。
それが怖い。
怖い——はずなのに。
身体の奥が——次を待っている。
夕焼けの中で、わたしはしばらく動けなかった。
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