※この作品はR-18です。

ヤリチンリトに寝取られるお話   作:大軍

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ナナ・アスタ・デビルークの場合(6)終

 放課後の結城家。リビング。

 

姉上は自室。リトはまだ帰ってない。美柑は友達の家。

あたしとモモ——二人きり。

 

前と——同じ構図だった。

あの日と。モモにあたしの一番柔らかいところを全部剥がされた、あの日と。

 

ソファに座って、テレビを見ていた。

今日はニュースだった。地球の政治家が何か難しいことを言っている。

 

「——ナナ」

 

モモが——声をかけてきた。

 

「なんだよ」

 

「最近、あなた——変わったわね」

 

モモの緑色の目が——あたしを見ている。

探るような目。いつもの——腹黒い、計算する目。

 

「変わった? 別に何も変わってないけど」

 

「嘘。表情が違うわ。前のあなたは——もっと、刺々しかった」

 

「……ふうん」

 

あたしは——テレビに視線を戻した。

 

モモの言葉が——刺さらなかった。

前だったら——「お前に何がわかるんだよ」と噛みついていたはずだ。

 

でも——今のあたしは、違う。

 

何が違うのか——自分でもうまく説明できない。

ただ——あたしの身体には、あたしだけのものがある。

それを——知っている男がいる。それだけのことだ。

 

「……ナナ。聞いてるの?」

 

「聞いてるよ」

 

「この前のこと——わたし、言い過ぎたわ」

 

あたしは——少し驚いて、モモを見た。

 

モモの目が——いつもと違った。

腹黒い計算の目じゃない。少しだけ——気まずそうな。

 

「あなたの胸のこと——あんなふうに言うべきじゃなかった」

 

「……なんだよ。今さら」

 

「今さらだから、言ってるのよ。——ずっと気にしてた」

 

ふうん——と、あたしは鼻で笑った。

 

前のあたしだったら——この謝罪に泣いていたかもしれない。

モモが謝ってくれた、って。あたしの痛みをわかってくれた、って。

 

でも——今は。

 

「別にいいよ。事実だし」

 

「——え?」

 

モモが——目を丸くした。

 

「事実だろ。あたしの胸は小さい。ぺたんこだ。それは変わってない」

 

「ナナ——」

 

「でも——それだけじゃないって、わかったから」

 

モモの目が——戸惑っている。

あたしが傷つかない——というのが、想定外だったらしい。

 

「それだけじゃないって——どういう意味?」

 

「別に。あんたに教える義理はないだろ」

 

あたしは——ソファから立ち上がった。

台所に麦茶を取りに行くつもりだった。

 

「——ちょっと待ちなさい」

 

モモが——あたしの腕を掴んだ。

 

「なんだよ」

 

「あなた——何か隠してるでしょう。最近のあなた、おかしいわ」

 

モモの目が——鋭くなった。

猫かぶりが剥がれた、あの目。探るような。暴くような。

 

「何も隠してない」

 

「嘘よ。——まさか、リトさんと何か——」

 

「——は?」

 

あたしの声が——一瞬、固くなった。

 

モモの目が——光った。あたしの反応を、見逃さなかった。

 

「やっぱり。リトさんよね。何があったの」

 

「何もねぇって言ってるだろ——」

 

「ナナ」

 

モモが——あたしの前に立ちはだかった。

あたしより一センチ低い身長。でも——詰め寄られると、圧が違う。

 

「あなた、リトさんに何かされたの? されたなら言いなさい。わたしが——」

 

「されてない! 別に——」

 

「じゃあ何がそんなに変わったのよ! 前はあんなに傷ついてたのに——」

 

モモの手が——あたしの胸を、ばんっと押した。

 

突き飛ばすつもりだったんだと思う。

あたしを壁際に追い詰めて、問い詰めるための——腕の動き。

 

でも——モモの掌が、あたしの胸のど真ん中を押した瞬間。

 

掌の付け根が——左の乳首を、ぐにっと潰した。

 

「————❤❤❤⁉」

 

視界が——白く弾けた。

 

全身に——電流が走った。

ヤスリで薄くされて、毎晩リトに開発されて、異常な感度になった乳首が——モモの掌の圧力を、全部拾った。

 

ぐにっ❤——と潰された一瞬の、強い圧迫。

それだけで——あたしの脳が、一瞬で真っ白になった。

 

膝が——折れた。

 

がくん、と。糸が切れたみたいに。

 

「——ナナ⁉」

 

モモの声が——遠くで聞こえた。

 

あたしは——床に崩れ落ちていた。

目の前が暗くなって——身体の力が、全部抜けて——。

 

意識が——落ちた。

 

         *

 

「——ナナ! ナナ!」

 

モモの声で——目が覚めた。

 

リビングの床に倒れていた。

モモが——あたしの上半身を抱え起こして、顔を覗き込んでいる。

 

緑色の目が——潤んでいた。

 

「ナナ——ごめんなさい。あたし——また——」

 

モモの声が——震えていた。

いつものお嬢様口調が剥がれて——素の声で。

 

「また——あなたを傷つけた。胸を押して——痛かったわよね。あんなに薄い胸を——叩くみたいに——ごめんなさい——」

 

モモは——あたしが胸を押されて、痛みでショックを受けたと思っている。

あの平坦な胸を叩かれて——骨に響いて——傷ついて倒れた、と。

 

違う。

 

全然——違う。

 

あたしが気を失ったのは——痛みじゃない。

快感だ。乳首を潰された——あの一瞬の、とんでもない快感で——脳がショートしたんだ。

 

でも——そんなこと、言えるわけがない。

 

「……大丈夫。別に——痛くなかった」

 

「嘘よ。倒れたじゃない。——わたし、本当に最低ね。あなたの胸のこと、一番わかってるのに——また——」

 

モモの目から——涙がこぼれた。

 

あたしは——モモの涙を見ながら、胸の中が複雑に渦巻いていた。

 

妹が泣いている。あたしを傷つけたと思って、泣いている。

でも——本当のことを言ったら。「快感で気絶しました」なんて言ったら。

 

モモは——どんな顔をするだろう。

 

「モモ。泣くなよ」

 

「だって——」

 

「泣かなくていいって。——本当に大丈夫だから」

 

あたしは——モモの頭を、ぽんぽんと撫でた。

妹の、柔らかいピンクの髪。くせ毛を直したショートボブ。

 

前は——あたしが泣いていた方だ。

モモの言葉で——あたしの全部が崩れて、枕を濡らした。

 

今は——あたしが、モモを慰めている。

 

変わったのは——あたしの胸じゃない。

あたしの——中身だ。

 

乳首に価値がある。あたしの身体は——面白い。

そう言った男がいて——あたしは、それを信じ始めている。

 

それが——正しいことなのかどうかは、わからない。

でも——少なくとも、モモの言葉で壊れるほど脆い自分は——もう、いない。

 

「……ごめんね、ナナ」

 

「いいって。もう忘れろ」

 

あたしは——立ち上がって、モモに手を差し伸べた。

 

         *

 

夕方。

 

あたしは——街を歩いていた。

 

買い物に出た帰り道。夕焼けがオレンジ色に広がっていて、電線の上に鳥が並んでいる。

茶色いやつが——「ツインテールのお姉ちゃん、今日は元気そうだね」と言った。

 

「……まあな」

 

あたしは——小さく笑って、歩いた。

 

ホットパンツとキャミソール。いつもの格好。

胸は——ない。ぺたんこのまま。キャミソールの布が余って、風で揺れている。

 

でも——その布の下に。

誰にも見えない場所に——あたしだけの武器がある。

 

リトに削られて、鍛えられて、育てられた——あたしの乳首。

見た目は何もない。ぺたんこの胸に、乳首がちょこんと乗っているだけ。

 

でも——あれは、御門先生のHカップにも、姉上のGカップにもない。あたしだけの——性感帯だ。

 

足取りが——軽かった。

前を向いて、まっすぐ歩いていた。

 

         *

 

夜。

 

リトの部屋。

 

あたしは——リトのベッドの上にいた。

裸だった。上も、下も。

ツインテールだけが、シーツの上に広がっている。

 

リトも——裸だった。

 

「——いくぞ」

 

リトの声が——低かった。

スウェットも何も着ていない、裸のリト。

硬く張り詰めた陰茎が——あたしの太ももの間で、先端を入り口に押し当てている。

 

「……ん。——いい、よ」

 

あたしは——目を閉じた。

 

ぬぷっ……❤

 

リトの陰茎が——あたしの中に、入ってきた。

 

ゆっくり。少しずつ。カリの部分が入口を押し広げて——膣壁を擦りながら、奥へ奥へと——。

 

「ぁ——❤ あ——❤ おっきい——❤」

 

声が——勝手に漏れた。

 

中が——いっぱいになっていく。

リトのちんぽが、あたしの膣の中を——埋めていく。

 

そして——リトが、根元まで入った瞬間。

 

「——っ⁉」

 

リトの動きが——止まった。

 

「おい——ナナ」

 

「な——なんだよ——❤」

 

「お前の中——なんだこれ」

 

リトの声が——普段の軽さとは、完全に違っていた。

驚いている。本気で。

 

「なに——が——❤」

 

「天井。お前の膣の天井——ぶつぶつしてる。すげぇ当たる」

 

あたしは——意味がわからなかった。

 

数の子天井——という言葉を、あたしは知らなかった。

でも——リトの声の温度で、それがただごとじゃないことは——わかった。

 

リトが——ゆっくり、腰を引いた。

 

ずるっ——❤

 

カリの段差が——膣壁の凹凸を、ぶつぶつぶつ——と擦る。

 

「あ❤ あ❤❤ なに——それ——❤❤」

 

あたしの中の——天井。

そこにある凹凸が——リトのカリに引っかかるたびに、全身がびくびくと震えた。

 

でも——リトも、震えていた。

 

「くっ——マジかよ——全部当たる——」

 

リトが——息を荒くしている。

あたしの中の天井の凹凸が——リトのちんぽを、ぎゅうぎゅうと擦り上げているらしい。

 

リトが——腰を前に突き出した。

 

ずぷっ❤

 

「あ❤❤ やぁ❤❤」

 

また——引く。

 

ずるっ❤——ぶつぶつぶつ❤❤

 

「ひぁ❤❤❤ あ❤❤ なにこれ❤❤ すご——❤❤」

 

あたしと——リトが——同時に声を上げていた。

 

リトの顔が——暗闇でも見えた。目を見開いて、唇を噛んでいる。

いつもの余裕が——ない。あたしの身体に——翻弄されている。

 

「やば——ナナ、お前——マジでやばい」

 

リトの声が——興奮で上擦っていた。

こいつの——こんな声、初めて聞いた。

 

あたしの中の——何かが——リトを夢中にさせている。

 

胸はない。膨らみもない。

でも——あたしの膣の中に、こいつが夢中になるものがある。

 

(——あたしの身体にも、あるじゃん)

 

乳首だけじゃなかった。

あたしの身体は——胸がない分、別の場所が——とんでもないことになっていた。

 

リトが——ピストンを始めた。

 

ぱんっ❤ぱんっ❤ぱんっ❤

 

「あ❤ あ❤❤ あ❤❤❤ すご——❤ 奥まで——❤❤」

 

リトの腰が——速い。

カリが膣天井の凹凸を擦るたびに——ぶつぶつぶつ❤——と、お互いの身体が震える。

 

「ナナ——お前の中——マジで——」

 

「あ❤❤ あたしの——❤ あたしの中——❤ いいの——❤❤?」

 

「最高——」

 

リトが——そう言った。

 

最高——って。あたしの身体が——最高だと。

 

あたしは——嬉しくて。嬉しくて。

調子に——乗った。

 

「ふ——ん❤ じゃあ——あたしの方が——❤ 気持ちいいんだ——❤ 他の奴らより——❤❤」

 

言った瞬間——リトの動きが、止まった。

 

「……なんだって?」

 

リトの声が——冷えた。

 

さっきまでの興奮が——一瞬で消えた。

冷たい。静かな。あの——何を考えてるかわからない、あの声。危ない笑顔。

 

「あたし——別に——」

 

「調子乗ってんじゃねぇよ」

 

リトの手が——あたしの胸に伸びた。

 

両方の乳首を——親指と人差し指で、挟んだ。

 

ぐりっ❤❤

 

「————❤❤❤❤⁉」

 

潰された。

 

乳首が——指の腹で、ぐりぐりと——ねじるように、押し潰された。

 

ヤスリで薄くされた皮膚が——リトの指の圧力を、全部——全部拾って——

 

「あ❤❤❤ やっ❤❤❤ だめっ❤❤❤ いたっ——❤❤ いたいの——❤❤ きもちいい——❤❤❤」

 

痛みと快感が——ぐちゃぐちゃに混ざった。

 

リトが——乳首を潰したまま、腰を動かし始めた。

 

ずぷっ❤ぱんっ❤ずぷっ❤ぱんっ❤

 

乳首を潰されて——中も突かれて——二つの刺激が同時に来て——

 

「あぁ❤❤❤ やめっ❤❤ やめてっ❤❤ あたし——❤❤ おかしくなる——❤❤❤」

 

リトの指が——乳首をさらに強く潰した。

 

ぐりぐりぐり❤❤❤

 

爪が——乳首の先端に食い込む。

薄い皮膚が——限界まで押され、ねじられ、引きちぎられそうな——

 

「あ❤❤❤ あ❤❤❤❤ ごめんなさい❤❤ ごめんなさい❤❤❤ 調子乗りました❤❤❤❤」

 

あたしは——泣いていた。

涙がぼろぼろ流れて、ツインテールの毛先が涙で濡れて——でも、身体は——気持ちよくて——

 

「わかったなら——覚えとけ」

 

リトが——乳首から手を離した。

 

ぱっ——と解放された瞬間——じんじん❤——と、乳首に血が戻って、更に敏感になった。

 

「お前の身体がいいのは事実だ。でも——調子に乗っていいとは言ってない」

 

リトの腰が——また動き始めた。

今度は——ゆっくり。深く。一番奥まで突いて——ぐりっと、カリで膣天井を擦る。

 

ぶつぶつっ❤❤

 

「ひぁ❤❤ あ❤❤ やぁ❤❤」

 

あたしは——ぐちゃぐちゃだった。

泣きながら、快感に震えながら——リトに完全に支配されていた。

 

乳首は——あたしの武器だと思った。

でも——その乳首は、リトが作ったものだ。リトが削って、育てて、開発した——リトのものだ。

 

あたしが調子に乗れば——この乳首で、いつでもわからせられる。

 

それが——あたしの身体の真実だった。

 

「……ごめん」

 

小さく——呟いた。

 

リトが——あたしの涙を、親指で拭った。

 

「よし。——じゃあ続けるぞ」

 

軽い声だった。

いつもの——あの、何考えてるかわからない、軽い声。

 

リトの腰が——再び動き出して。

あたしの身体が——また、震え始めた。

 

         *

 

朝。

 

目覚まし時計が鳴るより先に——あたしの意識は浮上した。

 

薄いカーテン越しに差し込む朝日が、ベッドの上を横切っている。

身体中が——だるかった。腰が重い。太ももの内側が筋肉痛で、乳首は——じんじんと、まだ昨夜の余韻を引きずっている。

 

シーツが——ぐちゃぐちゃだった。

汗と——それ以外のもので、何箇所か湿っている。

 

あたしは——のろのろと身体を起こした。

 

窓の外から、鳥のさえずりが聞こえた。

茶色いやつが、窓枠にとまって、こっちを見ている。

 

「おはよう、ツインテールのお姉ちゃん。——今日はなんか、いい匂いするね」

 

「……うるさいな」

 

あたしは——窓を少しだけ開けて、朝の空気を吸った。

 

冷たい風が——裸の肩に触れた。

乳首が——きゅっと硬くなった。

朝の空気だけで。

 

(……ほんと、敏感になったな)

 

キャミソールを拾って、頭から被った。

布が胸の上に落ちた瞬間——乳首に、繊維の感触。ちりっと、小さな刺激。

 

前は——これが、地獄だった。

今は——慣れた。慣れたっていうか——これが、あたしの普通になった。

 

鏡の前に立った。

 

ツインテールが——寝癖でぐちゃぐちゃになっていた。片方がほどけかけて、毛先が肩にかかっている。

目の下に——薄いクマ。寝不足。当然だ。夜通しリトに——。

 

顔を洗って、髪を結い直した。

いつものツインテール。ピンク色の、長い髪。

 

鏡の中のあたしが——あたしを見ている。

 

胸は——ない。

ぺたんこのまま。キャミソールの布が余っている。何も変わってない。

 

でも——目が、違う。

 

以前のあたしは——鏡を見るたびに、自分の胸を見て、溜め息をついていた。

モモと比べて。姉上と比べて。コテ川と比べて。

何もない自分を——嫌いだった。

 

今は——溜め息は出ない。

 

キャミソールの下で、乳首が——布に触れるたびに、ちりちりと存在を主張している。

あたしだけの。リトが育てた。でも——あたしのものだ。

 

数の子天井——とかいう、あたしの中のぶつぶつも。

あれは——リトが作ったものじゃない。最初から、あたしの身体にあったものだ。

リトは、それを見つけただけ。

 

あたしの身体には——あたしが知らなかったものが、あった。

 

それで十分だった。

 

「……よし」

 

鏡に向かって——小さく、呟いた。

 

         *

 

台所に降りたら——モモが、朝ご飯を作っていた。

 

トーストとスクランブルエッグ。コーヒーの匂い。

モモが——エプロンをつけて、フライパンを振っている。

 

「おはよう、ナナ」

 

「……おう」

 

モモが——あたしの顔を見て、ほんの少しだけ——目を細めた。

探る目——じゃなかった。何か言いたそうで、でも飲み込んだような。

 

「——今日、顔色いいわね」

 

「そう? 別に普通だけど」

 

あたしは——テーブルについて、トーストをかじった。

 

姉上が——二階からドタドタと降りてきた。ペケが変形した寝間着を着たまま、目を擦っている。

 

「おはよ〜ナナ、モモ〜! 今日のご飯なに〜?」

 

「トーストとスクランブルエッグですわ、お姉様」

 

「やった〜! モモの卵、おいしいんだよね〜!」

 

姉上が——ニコニコしながらテーブルについた。

いつもの朝だった。いつもの——結城家の、朝。

 

美柑が降りてきて、「リト、まだ寝てるの? もう——」と呆れたように階段を見上げた。

 

あたしは——トーストを噛みながら、窓の外を見た。

電線の上に——灰色の丸っこい鳥がいて、こっちをちらちら見ている。あの恥ずかしがり屋のやつだ。

 

「……おはよ」

 

心の中で——声をかけた。

灰色の鳥が——ぱたぱたと羽を動かした。

 

いつもの朝だ。

何も——変わっていない。

 

胸はない。ぺたんこのまま。モモの胸はブラウスの下で膨らんでいて、姉上はペケの寝間着越しでもわかるくらい豊かで。

あたしだけが——何もない。

 

でも——それで、いいと思えた。

 

少しだけ。ほんの少しだけ——あたしは、自分の身体が嫌いじゃなくなっていた。

 

         *

 

玄関で靴を履いていたら——リトが、階段を降りてきた。

 

「おー、ナナ。おはよ」

 

軽い声。いつもの。何もなかったみたいな。

昨夜——あたしの中を何度も突いて、乳首を潰して泣かせて、最後にあたしの涙を拭った——その同じ手で、カバンを持って。

 

あたしとリトが——玄関ですれ違った。

 

リトの手が——さりげなく伸びた。

 

制服の上から——右の乳首を、ちょん、とつまんだ。

 

きゅっ❤

 

「——っ❤」

 

びくっと——肩が跳ねた。

 

リトは——何事もなかったみたいに、靴を履いて、先に玄関を出ていった。

 

「じゃ、先行くわ」

 

背中を向けたまま——手を一回、ひらっと振る。

 

あたしは——玄関に立ったまま、乳首の余韻が消えるのを待っていた。

制服の下で——つままれた乳首が、じんじん熱い。

 

「……くそ」

 

小さく——呟いて。

 

でも——口元が、ほんの少しだけ、笑っていた。

 

あたしは——靴を履いて、朝日の中に出た。

ツインテールが、風に揺れた。

胸は——ぺたんこのまま。ブラウスの布が、風で膨らんでは——すぐに、萎む。

 

それでも——あたしは、前を向いて歩いた。

 

いつもの朝。いつもの道。いつもの——あたしの日常。

 

少しだけ——変わった、あたしの日常。

 




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