※この作品はR-18です。

ヤリチンリトに寝取られるお話   作:大軍

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結城美柑の場合(1)

 放課後の校舎裏。

 

風紀委員の仕事は——多岐にわたる。

 

教室の見回り。遅刻者のチェック。服装の乱れの指導。校則違反の報告書作成。

そして——人気のない場所の巡回と清掃。

 

私は——ゴミ袋を片手に、校舎裏の植え込みの中を歩いていた。

 

誰も来ない場所だ。

体育館と旧校舎の間。日当たりが悪くて、じめっとした空気が淀んでいる。

植え込みの茂みが背丈ほどに伸びて、外からは見えない死角。

 

こういう場所に——いつも、ゴミが落ちている。

 

「まったく……」

 

溜め息をつきながら、植え込みの下に手を突っ込んだ。

 

空き缶。ペットボトル。お菓子の袋。タバコの吸い殻。

高校生がこんなところで喫煙するなんて——風紀委員として見過ごせないわ。後で報告しないと。

 

さらに奥を探ると——手にぬるっとした感触が当たった。

 

引っ張り出す。

 

銀色の——小さな正方形のパッケージ。

 

コンドーム。

 

「……っ」

 

破廉恥な。こんなところで——何をしているの、まったく。

 

顔が——熱くなった。

風紀委員として冷静に対処しなければ。ゴミはゴミだ。回収するだけ。

ビニール手袋を嵌めて、ゴミ袋に入れた。

 

さらに奥——茂みの根元に、雑誌が一冊。

表紙が雨で波打って、色褪せている。

 

グラビア雑誌。

水着の女性が——豊満な胸を寄せて、カメラに向かって笑っている。

 

「……破廉恥」

 

もう一度呟いて——ゴミ袋に入れた。

 

こういうものが落ちている場所。こういうことが行われている場所。

校舎裏の死角。誰も来ない、誰にも見えない場所。

 

私が守っている風紀の外側で——こういうことが、起きている。

 

         *

 

掃除を終えて、校舎に戻る途中。

渡り廊下で——同じクラスの女子二人が、ひそひそ話をしているのが聞こえた。

 

「——ねえ、聞いた? 結城くんの新しい噂」

 

足が——止まった。

 

結城くん。

 

私は——柱の影で、足を止めた。聞き耳を立てるつもりはなかった。なかったけど——足が、動かなかった。

 

「なんか——小さい子の胸を叩いてたとか」

 

「えっ……叩いてた?」

 

「うん。なんか、胸が小さい子の——胸を叩いたり、弄ったりしてたって」

 

「やば……さすがヤリチンっていうか——胸が小さい子にまで手出すんだ」

 

「しかも——その子、最初すごい落ち込んでたのに、最近なんか元気になったらしくて」

 

「こわ……洗脳?」

 

「わかんない。でも——結城くんだし、何してもおかしくないよね」

 

二人の声が——遠ざかっていった。

 

私は——柱に背中を預けたまま、眉を寄せていた。

 

小さい子の胸を叩いていた。

 

噂だ。噂にすぎない。

この学校では——結城くんに関する噂が、毎週のように生産される。

その大半は尾ひれがついた嘘か、誇張された半真実。

 

でも——「小さい子」「胸が小さい」「落ち込んでいた」「最近元気になった」。

 

私の頭に——一人の顔が浮かんだ。

 

ナナさん。

 

ララさんの妹。ツインテールで、元気で、生意気で——胸が、小さい女の子。

 

最近——確かに、ナナさんの様子がおかしかった。

一時期、学校を休んでいた。ご飯も食べていないと聞いた。

モモさんが心配そうな顔をしていたのを——私も見ている。

 

それが——ある時期を境に、急に元気になった。

 

表情が変わった。

前は——どこか棘があって、いつも怒っているような顔だったのに。最近は——少し柔らかくなった。丸くなった、というか。

 

結城くんが——何かしたのかしら。

 

まさか。まさか——あの子にまで。

 

私は——想像しないようにした。

でも——頭の中に、映像が浮かんでしまう。

 

ナナさんの——薄い胸。あの子は確かAカップもないはず。制服のブラウスが余っている。

結城くんが——その胸を。あの大きな手で。

 

叩いた? 弄った?

 

あの子は——泣いたのかしら。嫌がったのかしら。

それとも——噂通り、最初は落ち込んで、でも今は——。

 

「——やめなさい」

 

自分に——言い聞かせた。

 

妄想するのは——風紀委員として不適切だわ。

証拠もないのに——人の私生活を想像するなんて。

 

でも——胸の奥が、ざわざわした。

いつもの——あの、嫌な感触。結城くんの噂を聞くたびに、お腹の底に沈む、重たい石。

 

嫌悪——のはずだ。

嫌悪。嫌悪でしかないはず。

 

         *

 

教室に戻って——鞄を持って帰ろうとした時。

ふと——思い出した。

 

結城くんには——妹がいる。

 

結城美柑ちゃん。小学生。確か——五年生か六年生。

 

料理が上手で、しっかり者で、お兄ちゃん大好きな——普通の女の子。

 

小学生。

 

さっきの噂——「小さい子」。

 

まさか——美柑ちゃんのことじゃ、ないわよね。

 

ナナさんは高校生だ。「小さい子」と呼ぶには違和感がある。

でも——美柑ちゃんなら。小学生なら——「小さい子」という表現は、自然だ。

 

私は——鞄を持つ手に、力が入った。

 

妹に——手を出す?

実の妹に?

 

いくら結城くんでも——いくらヤリチンでも——実の妹には。

 

でも——美柑ちゃんの顔を思い浮かべた。

 

あの子は——お兄ちゃんが大好きだ。

結城くんの周りに女の子が増えるたびに、寂しそうな顔をしている。

独占欲が強くて、甘えたがりで——お兄ちゃんに構ってもらえないと、不機嫌になる。

 

もし——結城くんが、あの子に何かしたら。

美柑ちゃんは——拒否できるのかしら。大好きなお兄ちゃんに。

 

小学生の身体。まだ成長途中の——華奢な身体。

 

私は——その先を、想像しそうになって——ぶんぶんと首を振った。

 

「何を考えているの、私は……」

 

ありえない。ありえないわ。

実の妹に手を出すなんて——さすがの結城くんでも、そんなことは——。

 

「……そんなわけないか」

 

呟いて——鞄を肩にかけた。

 

教室を出て、廊下を歩く。

夕日が——窓からオレンジ色に差し込んでいた。

 

ないわよね。

ありえないわよね。

 

結城くんは——ヤリチンかもしれない。

御門先生にも、モモさんにも、ナナさんにも——手を出しているのかもしれない。

 

でも——妹だけは。実の妹だけは——そんなこと、しないわよね。

 

私は——そう自分に言い聞かせて、校門を出た。

 

帰り道。いつもの道。

夕焼けが——綺麗だった。

 

なのに——胸の奥の、ざわざわした感触だけが——消えなかった。

 




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