※この作品はR-18です。

ヤリチンリトに寝取られるお話   作:大軍

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古手川唯とモモ・ベリア・デビルークの場合

 呼び出しのメモを受け取ったのは——五時間目の休憩時間だった。

 

「モモさん、放課後に空き教室に来てくれない? 風紀委員として、少し聞きたいことがあるの」

 

古手川さんの筆跡。几帳面で——角の立った文字。

風紀委員の便箋——わざわざ公式の用紙を使っている。

 

(……何かしら)

 

メモを二つに折って、ポケットに入れた。

表情は——微笑みのまま。

周りの女子が「どうしたの?」と覗き込んできたが、「なんでもないですわ」と流した。

 

風紀委員から呼び出し。

わたくしに——何を聞きたいのかしら。

 

リトさんのことだろうか。

それとも——別の用件。

 

どちらにしても——猫をかぶって対応すればいい。

モモ・ベリア・デビルークの仮面は——完璧。

 

         *

 

放課後——指定された空き教室に向かった。

 

東棟の——三階。使われていない音楽準備室。

古手川さんらしい選択——人目につかない場所。

 

扉を開けた。

 

「失礼しますわ。古手川さん、お呼びということで——」

 

言葉が——途中で止まった。

 

古手川さんが——いた。

窓際に立って——腕を組んでいる。黒髪が午後の日差しに透けている。

 

そして——。

 

リトさんが——いた。

 

机に腰かけて——片手をポケットに入れている。あの涼やかな笑顔。

 

二人が——同じ部屋にいる。

 

「あら——リトさんも聞きたいことが?」

 

声は——揺れなかった。完璧な猫かぶり。

 

「結城くんにも同席してもらっているの。風紀の件で——少し確認したいことがあって」

 

古手川さんが——硬い声で答えた。

 

風紀の件。曖昧な理由。

でも——深追いするのは得策ではない。

 

「わかりましたわ。何でも聞いてくださいな」

 

微笑む。可愛らしく、無害に、お嬢様らしく。

 

古手川さんが——リトさんの方を見た。

 

そして——動いた。

 

古手川さんが——リトさんの隣に移動した。

机に腰かけているリトさんの——すぐ横に立った。

 

近い。

明らかに——近い。

 

古手川さんの肩が——リトさんの腕に触れている。

 

「結城くん——この書類、ちょっと見てくれない?」

 

古手川さんが——リトさんの方に身体を傾けた。

手元の紙切れを見せるように——上半身がリトさんの方に倒れる。

 

その動作で——古手川さんの胸が、リトさんの腕に押し付けられた。

 

ぐにっ——と。

 

ブラウス越しに——B88の胸が、リトさんの腕に密着して潰れている。

古手川さんは気づいていないフリをしている——いいえ、あの女は気づいている。

頬が——僅かに赤い。気づいた上で——やっている。

 

(……何をしているの——? この人)

 

笑顔が——凍った。

 

古手川さんは——リトさんに、くっついている。

風紀委員。あの堅物の。破廉恥を嫌う——あの古手川唯が。

 

リトさんの腕に胸を押し付けながら——「ここの数字なんだけど」と、何の意味もない書類を指差している。

 

リトさんは——困った顔をしている。

困った顔——だけど、避けていない。古手川さんの胸の感触を——受け入れている。

 

(——何かの罠?)

 

違う——罠にしては、古手川さんの頬が赤すぎる。

計算ではなく——衝動。自分でも止められない種類の。

 

でも——わたくしの前で。

リトさんに——くっつくの——?

 

胃の底が——じわりと、熱くなった。

 

古手川唯。

風紀委員。十六歳。B88/W59/H87。

黒髪ロングストレート。ツリ目。白い肌。

 

——わたくしより大きい。

 

胸が——古手川さんの方が大きい。

B88。わたくしはB78。

十センチの差。数字にすれば——たったそれだけ。でも視覚的には——圧倒的。

 

古手川さんの胸が——リトさんの腕に押し付けられるたびに、ブラウスの布地が引っ張られて、ボタンとボタンの間に小さな隙間ができる。

そこから——白い肌と、レースの——下着の縁が、ちらりと覗いている。

 

ラベンダー色——だ。

 

(……あの色——わざわざ選んできたの——?)

 

あの堅物が——下着を選んで——リトさんに会いに来ている——?

 

更に——古手川さんのウエスト。W59。くびれが——きちんとある。

お尻。H87。制服のスカートの下で——しっかりと丸い曲線を描いている。あの超ミニスカートで——太腿の肉感が——。

脚が——長い。白い。膝から脛にかけてのラインが綺麗で——。

 

(——何をわたくしは品定めしているの——‼)

 

違う。違う。観察しているのは——この女がリトさんに対してどういうつもりなのかを見極めるためで——。

 

古手川さんが——リトさんの肩に手を置いた。

 

「結城くん——ここもちょっと」

 

ぼそっと——囁くような声。

あの鋭いツリ目が——少しだけ潤んで——リトさんを上目遣いで見ている。

 

(——むっつり——‼ この女——むっつりスケベだわ——‼)

 

見抜いた。

古手川唯。あの風紀委員の正体。

破廉恥を叫びながら——自分が一番破廉恥なことを考えている。

だから胸が大きいのかしら——いいえ、それは関係ない——。

 

怒りが——沸き上がった。

 

いいえ——これは怒りではない。

 

嫉妬——だ。

 

あの女が——わたくしの目の前で——リトさんに触れている。

わたくしが何ヶ月も計算して——距離を測って——それでもまだ触れられずにいるリトさんに。

あの女は——風紀委員の看板を盾にして——堂々と——。

 

(許さない——)

 

微笑みが——消えた。

 

お嬢様の仮面が——剥がれかけている。

 

「あら——古手川さん」

 

声が——出た。自分でも驚くほど——甘い声。

 

「リトさんに随分とお近いですわね」

 

古手川さんが——びくっと、身体を硬直させた。

リトさんの腕から——胸を離した。

 

「な——近くない——書類を見せていただけよ——!」

 

頬が——真っ赤。図星。

 

「ふふ——そうですの?」

 

わたくしは——リトさんの反対側に回り込んだ。

机に腰かけているリトさんの——左側に。

 

古手川さんが——右側。

わたくしが——左側。

 

リトさんを——挟む形。

 

「リトさん」

 

「ん?」

 

「わたくし、少し肩が凝っていて——揉んでいただけませんか?」

 

古手川さんの目が——ぎょっと見開かれた。

 

リトさんが——少し笑って——わたくしの肩に手を置いた。

 

大きな手。温かい指。

肩に触れた瞬間——心臓が跳ねた。

 

「ここ?」

 

「ええ——もう少し——下」

 

リトさんの手が——肩から首筋に滑った。

鎖骨の上を——指先がなぞる。

 

「モモさん——‼ 何をさせてるの——‼」

 

古手川さんが——声を上げた。

 

わたくしは——古手川さんを見た。

 

微笑んだ——けれど、目は笑っていない。

 

「肩を揉んでいただいているだけですわ。——古手川さんこそ、さっきリトさんに胸を押し付けていましたでしょう?」

 

「お——押し付けて——なっ——‼‼」

 

古手川さんの顔が——爆発したように赤くなった。

 

その隙に——わたくしはリトさんの手を取った。

リトさんの右手を——ブラウスの第二ボタンの間から——中に。

 

リトさんの指先が——鎖骨の下の柔らかい肌に直接触れた。

 

「ひゃっ——」

 

声が——出た。自分の声。お嬢様の声じゃない。

 

リトさんの指が——ブラウスの中で、胸の上の肌を撫でている。

下着の縁に——指先がかかった。

 

「モモ——ここ?」

 

リトさんが——囁いた。低い声。あの声。

 

「ええ——そこ——ですわ——」

 

古手川さんが——固まっていた。

 

目の前で——わたくしがリトさんの手を自分の服の中に入れさせている光景を——凝視している。

 

ツリ目が——大きく見開かれて——唇が微かに震えている。

 

(見なさい——古手川さん)

 

わたくしの目が——古手川さんを捉えた。

 

(わたくしは——あなたとは違う。計算で生きている女ですの。リトさんに触れることも——触れさせることも——怖がらない)

 

これで——十分。

古手川さんを黙らせるには——これくらいの威嚇で。

 

あとはリトさんの手を引き抜いて——何事もなかったかのように微笑んで——「失礼しましたわ」と退場する。

 

計算通り——。

 

リトさんの指が——動いた。

 

ブラウスの中で——下着の縁を乗り越えて——柔らかい膨らみの上に、指の腹が直接触れた。

 

くにっ——♡

 

「——ッ」

 

息が——詰まった。

 

(——リトさん——?)

 

予定にない動き。わたくしが入れさせたのは鎖骨の下まで。そこから先は——威嚇のポーズだっただけで——。

 

リトさんの指が——胸の丸みに沿って、ゆっくりと滑っている。

掌が——ブラジェットのカップの中に潜り込んで、乳房を——直接、包み込んだ。

 

ぐにっ♡——。

 

「っ——‼」

 

声を——噛み殺した。

顎の力で——歯を食いしばって。

 

古手川さんが——まだ目の前にいる。

 

(リトさん——何をして——)

 

リトさんの顔を——横目で見た。

あの——涼やかな笑顔。

わたくしを見ている。目の奥に——あの光がある。

 

楽しんでいる。

 

この状況を——利用するつもりだ。

古手川さんの前で——わたくしに演技を強いるつもりだ。

 

(——この人は——本当に——‼)

 

「モモさん……? 大丈夫? 顔色が……」

 

古手川さんの声が——聞こえた。遠くから聞こえるように。

 

「え——ええ。リトさんのマッサージが——上手で——少し、効いているだけですわ」

 

声が——震えた。震えないで。お嬢様の声で。

 

「ここ——凝ってるな」

 

リトさんが——普通の声で言った。

マッサージをしている——ように見せている。

肩に置いた左手は動かさないまま——右手だけが、ブラウスの中で別の仕事をしている。

 

指が——乳房の膨らみを揉んでいる。

親指と人差し指の間で——乳首の近くの肌を、くにくにと。

 

こりっ♡——。

 

乳首を——掠めた。

 

「ひっ——」

 

声が——漏れた。

 

古手川さんの目が——鋭くなった。ツリ目が——わたくしを見ている。

 

「モモさん——本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫——ですわ。凝りがほぐれて——気持ちいいだけ——」

 

(——気持ちいい——なんて言葉を使ってしまった——‼)

 

リトさんの指が——乳首を摘まんだ。

 

こりこりっ♡——。

 

「——ぁ——っ♡」

 

甘い声が——口の端から、零れた。

 

古手川さんが——一歩近づいた。

懐疑的な——猜疑心に満ちた目で、わたくしとリトさんを交互に見ている。

 

「マッサージで——そういう声、出る?」

 

「出ますわ——ツボに入ると——んっ♡——こういう——」

 

指が——もう一度、乳首の先端を弾いた。

 

こりっ♡——。

 

声を殺す。殺す。殺す。

唇を——きゅっと閉じて——喉の奥の音を飲み下す。

 

でも——身体が裏切る。

頬が紅潮して——額に薄く汗が滲んで——。

ブラウスの下で——乳首が硬く勃ち上がっているのが——布地の上からでもわかってしまう。

 

(もう——限界——)

 

「すみません——少し——立ちますわ——」

 

立ち上がった。

リトさんの手が——ブラウスから抜ける。

 

ほっ——と、息がこぼれた。

 

終わった——これで——。

 

ぴたっ。

 

リトさんが——後ろから、わたくしの腰に手を回した。

 

そして——立ち上がった。

 

リトさんの身体が——わたくしの背中に密着した。

胸板の硬さが——背中全体に伝わる。

 

そして——。

 

お尻に——硬いものが、押し当てられた。

 

スカート越しに——結城リトの股間が、わたくしのお尻にぴったりと密着している。

 

硬い。

布地二枚を隔てても——わかるほど、硬い。

 

(——っ——‼‼)

 

これは——合図だ。

 

リトさんとの関係の中で——この体勢は——一つしかない。

 

凍った。

 

身体が——動かない。古手川さんが——目の前にいる。

 

視線だけで——後ろのリトさんを見た。

やめてください——と。目で訴えた。

 

リトさんの目が——わたくしの視線を捉えた。

 

微笑んだ。

 

無視——された。

 

「モモ——大丈夫か? 腰も凝ってるだろ」

 

リトさんの手が——わたくしの腰を撫でている。

マッサージの体裁で——スカートの上から、お尻のラインをなぞっている。

 

「え——ええ。だ、大丈夫ですわ——リトさん——」

 

古手川さんが——眉を寄せている。

でも——後ろで何が起きているかは、見えていない。

リトさんの身体が——わたくしの背中で壁になって、下半身を隠している。

 

リトさんの手が——スカートの裾を、めくった。

 

太腿の内側に——温かい指が這う。

ショーツの縁を——横にずらされた。

 

(——リトさん——だめ——古手川さんが——)

 

声に——出せない。

 

リトさんのもう片方の手が——自分のズボンを操作している。

ベルトの金具が——かちゃっ、と小さく鳴った。

 

(——ここで——? 本気で——?)

 

本気だった。

 

ぬるっ——♡

 

先端が——裸の肌に触れた。

先走り液で濡れた——カリ首の硬い感触が、太腿の付け根に。

 

「っ——ぅ——」

 

歯を食いしばった。

 

リトさんが——腰を微かに動かした。

先端が——陰裂に沿って、ゆっくりと滑る。

 

ぬるっ——♡ ぬるぅ——♡

 

(——ずるい——こんな——準備されたら——)

 

愛液が——じわりと滲み出てくる。リトさんの先走り液と混ざって——太腿の内側が、ぬるぬると光り始めている。

 

古手川さんが——こちらを見ている。

 

不審な目。何かがおかしい——とわかっている目。でも——何がおかしいのかは、まだ——。

 

「モモさん——本当に——何をして——」

 

「何も——していませんわ——マッサージ——ですの——」

 

声が——裏返った。

 

なぜなら——。

 

ずぷっ——♡

 

入った。

 

リトさんの陰茎が——わたくしの中に、挿入された。

 

カリ首が——入口をこじ開けて——ずるずると、奥に向かって沈んでいく。

硬い。太い。熱い。膣壁が——押し広げられて——内臓が押し上げられるような圧。

 

「——っっ——‼‼♡」

 

悲鳴を——飲み込んだ。

 

歯が——唇の内側に食い込んで、血の味がした。

 

リトさんの腰が——わたくしのお尻にぴったりとくっついている。

根元まで——入っている。

 

古手川さんの前で——立ったまま——繋がっている。

 

「モモさん——‼ 顔が真っ赤——」

 

「だい——じょうぶ——ですわ——少し——肩こりが——ひどく——て——」

 

何を言っているのかわからない。

肩こりで顔が真っ赤になる人間がいるわけがない。

 

リトさんが——ゆっくりと、腰を引いた。

 

ずるっ——♡

 

陰茎が——半分だけ引き抜かれる。カリの段差が——膣壁を擦って——。

 

ぬぷっ——♡

 

また押し込まれた。

 

「んっ——♡♡」

 

声が——漏れた。

 

古手川さんが——固まっている。

ツリ目が——わたくしの顔を見つめている。

 

もう——誤魔化せない。

 

でも——認めるわけにもいかない。

 

リトさんの腰が——ゆっくりと、リズムを刻み始めた。

ぬぷっ♡ ずちゅっ♡ ぬぷっ♡

 

水音が——小さいけれど、静かな教室に響いている。

この音が——古手川さんに聞こえているのかいないのか——。

 

「古手川——さん——」

 

わたくしは——古手川さんの目を、真っ直ぐ見た。

 

声を作る。作れ。お嬢様の声を。この場を——この一秒を——乗り切れ。

 

「リトさんと——わたくしは——なんとも——ありま——せんわ——」

 

ぬぷっ♡——。

 

奥を——突かれた。一際深く。

 

「ただの——マッサ——ぁ——ッ♡♡」

 

——来た。

 

お腹の底から——津波のように——快楽が駆け上がった。

 

ぎゅうっ♡♡♡——と、膣がリトさんの陰茎を締め付ける。

全身が——びくんびくんと痙攣して——脚が震えている。

リトさんの腕に支えられていなかったら——崩れ落ちていた。

 

イった。

 

古手川さんの——目の前で。

リトさんとなんともない——と言いながら——。

 

古手川さんは——立っていた。

 

わたくしの顔を——見ていた。

 

ツリ目が——大きく見開かれて——瞳孔が僅かに揺れている。

頬は赤く——唇は薄く開いて——呼吸が浅い。

 

何が起きたのか——頭が処理できていない顔。

 

あるいは——処理したくない顔。

 

「…………そう」

 

古手川さんが——一言だけ、言った。

 

平坦な声。感情を——全部削り落としたような声。

 

「そう——なんともない——のね」

 

古手川さんは——踵を返した。

 

扉を開けて——出ていった。

 

静かに——扉が閉まった。

走る足音は——聞こえなかった。

 

         *

 

教室に——わたくしとリトさんだけが残された。

 

リトさんの陰茎が——まだ、中に入っている。

余韻で——膣壁がひくひくと痙攣している。

 

わたくしは——振り返った。

 

リトさんの顔が——すぐそこにある。

 

涼やかな目。あの笑顔。

 

「……リトさん」

 

「ん?」

 

「——いけない方ですわ」

 

声が——震えていた。

怒り——ではなかった。

 

わたくしは——背伸びをして——リトさんの唇に、自分の唇を重ねた。

 

ちゅっ——♡

 

柔らかい。温かい。

リトさんの腕が——わたくしの腰を抱き直した。

 

唇を——離した。

糸が——一本、引いて、切れた。

 

「……ひどい方」

 

呟いた。声が——かすれていた。

 

脚が——がくがくと震えている。

立っているのが——やっと。

リトさんの腕に体重を預けなければ——崩れ落ちる。

 

「わたくし——古手川さんを、ちょっと牽制するだけのつもりでしたの」

 

「知ってる」

 

「知ってて——こんなことを——」

 

「うん」

 

悪びれない。この男は——まったく、悪びれない。

 

「……最低ですわ」

 

言いながら——額を、リトさんの胸板に押しつけた。

 

脱力——だった。

全身から——力が抜けていく。

演技で張り詰めていた神経が——一気にほどけて、どっと疲れが押し寄せてくる。

 

ブラウスの下で——乳首がまだ硬いまま、布地に擦れて——じんじんと痺れている。

太腿の内側が——べたべたで——スカートの裏地が肌に張り付いている。

お腹の奥で——リトさんのものが、まだ——脈打っている。

 

(……もう——何もかも——ぐちゃぐちゃ——)

 

計算は——完璧だったはずなのに。

古手川さんを威嚇して——わたくしの存在を見せつけて——余裕の笑みで退場するはずだったのに。

 

全部——リトさんに壊された。

 

古手川さんの前で——声を漏らして——顔を歪めて——イかされた。

お嬢様の仮面が——木端微塵。

 

最悪——だ。

 

でも——。

 

(……古手川さんに——見せつけてやれた——)

 

リトさんと——わたくしは、こういう関係なのだと。

猫をかぶった言葉ではなく——身体で。

 

あの女に——わかったでしょう。

わたくしの場所は——あなたが入り込める場所ではないと。

 

小さな——卑しい——達成感。

 

「……リトさん」

 

「ん」

 

「わたくし——もう立てませんわ」

 

「じゃあ座ろうか」

 

リトさんが——わたくしを抱えるようにして、椅子に座らせた。

繋がったままの体勢で——わたくしはリトさんの膝の上にいる。

 

お腹の中に——リトさんがいる。

 

ずっしりと——重くて——温かい。

 

「……疲れた」

 

ぽつりと——本音が漏れた。

 

猫をかぶる余力が——もう、残っていない。

 

尻尾が——リトさんの太腿にきつく巻きついている。

離す気力すらない。

 

リトさんの手が——わたくしの頭を、そっと撫でた。

くしゃっ——と、髪が乱れる。

 

「頑張ったな——モモ」

 

「……頑張りたくて頑張ったわけでは——ありませんわ」

 

いじけた声——だと、自分でもわかっていた。

 

頑張ったのは——あなたのせいでしょう。

あなたが——わたくしの計画をめちゃくちゃにしたから。

古手川さんの前で——あんなことをしたから。

 

でも——リトさんの手が、頭を撫でている。

ごつごつした指が——優しく——髪を梳いている。

 

悔しい。疲れた。恥ずかしい。

それなのに——この手に撫でられると——全部、溶けていく。

 

目を——閉じた。

 

放課後の教室——夕日が窓から差し込んでいる。

オレンジ色の光が——二人の身体を包んでいる。

 

リトさんの膝の上で——繋がったまま——わたくしは、ほんの少しだけ微笑んだ。

 

もう——計算は、いらない。

 

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