保健室のドアが——背中で閉まった。
ぱたん。
小さな音。それだけの音に——胸が、締まった。
廊下に立っている。一人で。風紀委員の腕章をつけたまま。
さっきまでいた保健室の向こう側に——御門先生と、結城くんが、二人きりでいる。
(——追い出された)
その言葉が、頭の中を横切った。
追い出された——なんて、大げさかもしれない。先生は笑顔だった。穏やかな声で、「カルテの整理が立て込んでいて」と言っていた。
でも——あの一瞬。
ドアに誘導される直前——御門先生の目が、ほんの一瞬だけ、横を向いた。
結城くんの方を——ちらりと見た。
あの視線に浮かんでいたのは——迷惑。
うっすらとした、微かな、でも確実な——迷惑そうな色。
私が保健室にいることが——邪魔だ、と言っている目。
(……先生は——私を——邪魔だと思った?)
胸が——きゅっと縮む。
あの先生に——憧れている先生に——迷惑がられた。
話を聞いてほしかっただけなのに。結城くんのことが心配で——先生に相談したかっただけなのに。
(——でも)
唇を噛んだ。
立ち止まっている場合じゃない。
スマホを——取り出した。
画面に残っている——結城くんからのメッセージ。昨日の夜に送られてきたもの。
『明日の放課後、保健室に行け。先生と話してこい。
俺が行くから、追い出されたら外に回れ。窓が開いてる。
見たいもの——見せてやるから』
最初に読んだ時——意味がわからなかった。
見たいもの? 何を?
結城くんが保健室で何をするのか——それを、見ろ、と?
(……罠かもしれない。結城くんのことだから——何か企んでいるに決まっている)
でも——行った。
保健室に行って、先生と話して、追い出されて——今、廊下にいる。
メッセージの通りだ。全部——結城くんの言った通りになった。
(窓が開いてる——って)
足が——動いた。
考えるよりも先に。判断するよりも先に。
知りたい——という衝動が、身体を動かした。
廊下を歩く。階段を降りる。昇降口を出る。
校舎の裏側に回って——保健室のある一階の窓の列を確認する。
保健室の窓は——三つ並んでいる。
一番右の窓——カーテンが、微かに揺れていた。
他の二つは閉まっているのに——そこだけ、風が入っている。
開いている。
結城くんの言った通り——窓が、開いている。
(……なぜ開いているの。保健室の窓を——わざわざ開ける理由なんて——)
知っている。
結城くんが開けたのだ。さっき、窓辺に立っていた。「換気」と言って。
私のために——開けた。
足音を殺して——窓に近づいた。
壁に背中を付けて——端から、中を覗く。
カーテンの隙間——ほんの数センチの隙間から——保健室の中が見えた。
*
最初に見えたのは——御門先生の背中だった。
白衣を脱いでいる。ピンクのノースリーブと黒のタイトスカート。
廊下を——左右に確認して——ドアを閉めて——振り返って——。
「やっと——いなくなったわ」
先生の声が——聞こえた。
窓が開いているから——風に乗って、声が。
でも——その声は。
(——え?)
甘い。
とろっとした——蜂蜜を溶かしたような——女の声。
さっきまでの穏やかで知的な「御門先生」の声じゃない。
「あの子には——ちょっと困ってるのよね、実は」
先生が——くすっと笑った。
穏やかな笑い声。でも——さっき私に向けてくれた笑顔とは——何かが、違う。
あの子——。
私のこと。
「困ってる」——と。笑いながら——。
「あの子が保健室にいると——リトくんと、二人になれないでしょう? それがね——ちょっと……ふふ」
(——リトくん?)
リトくん——と呼んでいる。結城くんを。
先生が——生徒を——下の名前で——。
「もう、わかってよ。あの子がいる間——私がどれだけ大変だったか。スカートの中、ぐちゃぐちゃだったのに——ずっと平気な顔してたのよ?」
——。
頭が——真っ白になった。
スカートの中——ぐちゃぐちゃ——。
あの、大人の余裕のある先生が——。
私が保健室にいる間——先生は——スカートの中が——。
笑いながら言っていた。上品に——ふふ、と。
でもあの「ふふ」の裏側に——私への苛立ちが——にじんでいた。
「可愛い子よ。本当に。でも——もし知っちゃったら、どうなるかしらね。あの子が憧れてる『御門先生』が……ふふ、こんなことしてるなんて」
「可愛い子」——と言った。褒めている——ように聞こえる。
でも——あの笑い方。あの「ふふ」。
私のことを——見下ろしている。子供扱いしている。
「泣いちゃうかもしれないわね——だから、気をつけないと」
気をつけないと——。
泣いちゃうかも——って。
先生は——笑いながら——私が泣く姿を——想像して——。
膝が——震えた。
壁に背中を押し付けて——かろうじて立っている。
手が——震えている。スマホを持つ指が白い。
(嘘——嘘よ——先生がそんなこと——)
嘘じゃない。聞こえている。この窓から——全部——。
カーテンの隙間から——また覗いた。
目を逸らせない。逸らしたいのに——逸らせない。
御門先生が——結城くんの前に——膝をついていた。
保健室のリノリウムの床に。あの美しい先生が。
タイトスカートが太腿のあたりで突っ張って——ストッキングの白い肌がむちりと露出している。
手が——結城くんのズボンに伸びて——ベルトを外して——ジッパーを下ろして——。
(——やめて——先生——何を——)
硬く張り詰めたものが——先生の手の中に現れた。
「ふふ——やっぱり、私がいないとダメなのね」
先生が——上目遣いで——結城くんに笑いかけている。
あの薄緑色の知的な目が——とろんと蕩けて——恋人に甘える女の目になっている。
先生の唇が——先端に触れた。
ちゅ……♡
保健室に——ぬちゃぬちゃと水音が響き始めた。
先生の栗色のショートボブが——前後にゆっくり揺れている。
Hカップの胸が——前屈みの姿勢で——ノースリーブの胸元からたわわに覗いている。
じゅぽ♡——じゅぽ♡——。
あの音が——窓の隙間から、外に漏れている。
(御門先生が——口で——生徒の——)
信じられない。信じたくない。
先生みたいな大人になりたいと——思っていた。
知性があり、能力があり、男に媚びない強い女性——そう、思っていたのに。
先生は——途中で口を離した。息が荒い。顎が疲れたように——肩で呼吸している。
謝っている。「ごめんなさい」と。「調子が悪くて」と。
そして——。
「喉の奥——使っていいわよ……♡」
自分から——頼んだ。
「喉でシゴくから——リトくんが、好きに動いて……♡ 私の頭——掴んでいいから……♡」
(——先生が——自分から——そんなこと——)
結城くんの手が——先生の頭を掴んだ。
ずぶっ♡♡——ぐぽっ♡♡——
喉を犯される音が——保健室に反響した。
先生の両手が——結城くんの太腿を押さえている。抵抗するように——。
でも——押し返す力は入っていない。
指が——ズボンの布地をくしゃっと掴んでいるだけ。
その顔は——涙と唾液でぐちゃぐちゃで——あの知的な目は焦点が合っていない。
完全に——従属している。
ぐぽ♡♡ ぐぽ♡♡ ずちゅっ♡♡——
先生の鼻から——鼻水が垂れている。
喉を犯されるたびに——えずく音が漏れている。
(——先生——先生——やめて——そんな——)
やがて——結城くんが、先生の頭を強く押さえつけた。
「ん"ん——♡♡♡♡♡♡」
先生の喉で——出した。
引き抜かれた後——先生の口から、白い液体がごぽっと溢れた。
むせている。激しくむせている。肩ががくがくと震えて——涙と唾液と精液で——顔中が——。
それなのに——。
先生は——笑った。
「気持ちよかった♡?——リトくん♡」
枯れた声で。精液が垂れた顔で。蕩けた目で。
「私ね——リトくんのためなら、なんでもするわ♡」
「この保健室は——リトくんと私だけの場所。誰にも——渡さないわ♡」
——誰にも渡さない。
私にも——渡さない。
あの保健室は——もう、私の居場所じゃない。
私の指が——窓枠を掴んでいた。
爪が——白くなるほどきつく。痛いのに——離せない。
*
終わった——と思った。
もう見なくていい——と思った。
でも——終わらなかった。
先生が——唾液でべとべとの顔を拭いながら——結城くんに微笑みかけた。
「今日は——迷惑かけちゃったわね」
「迷惑?」
「古手川さんのこと。あの子のせいで——リトくんとの時間、短くなっちゃったから」
私のせい——だと。
「お詫びに——胸、好きにしていいわよ♡」
先生が——自分のノースリーブの裾に手をかけた。
するっと引き上げる。下着を着けていない——Hカップの白い胸が——むき出しになった。
乳首が——薄紅色に染まって、ぷっくりと硬くなっている。
結城くんは——少し考えるような仕草をした。
「足、疲れた」
「足——?」
「立ちっぱなしだったから」
結城くんが——椅子に座った。
先生が——にこっ♡と笑った。
あの甘ったるい顔で。結城くんの意図を——瞬時に汲み取って。
「踏む♡?」
自分から——床に横になった。
保健室のリノリウムの床に。仰向けに。
Hカップの胸が——天井に向かって二つの白い丘を作っている。
「どうぞ♡」
(——え?)
目を——疑った。
結城くんが——椅子に座ったまま——足を伸ばした。
靴下越しの足の裏が——先生の胸の上に——乗った。
ぐにっ♡
「ん♡——」
Hカップの柔肉が——足の裏に押しつぶされて——横にぐにゅっと潰れた。
白い肌が——足の指の間から、ぷにぷにとはみ出している。
(先生の胸を——足で——踏んでいる——)
信じられない。信じられない。信じられない。
あの御門先生の——あの美しい胸を——足で——まるで——物みたいに——。
結城くんの足が——ゆっくりと動いた。
胸の上を——ぐりぐりと踏む。左右に転がすように。乳首を——足の指で挟んで——こりこり♡と弄ぶ。
先生が——笑っている。
「どう♡? 足、気持ちいい♡?」
笑っている。胸を足で踏まれながら——笑っている。
嫌がるどころか——嬉しそうに。
足で踏んでくれること自体が——ご褒美だとでも言うように。
(先生——なぜ——なぜ笑えるの——?)
あの保健室で——私の頭を撫でてくれた手。
「いつでもおいで」と言ってくれた声。
「古手川さんみたいな子がいるから安心」と——微笑んでくれた顔。
あの先生が——床に寝転がって——生徒に胸を踏まれて——喜んでいる。
記憶が——崩れていく。
先生への尊敬が——優しかった先生の笑顔が——一つ一つ——ひびが入って——砕けていく。
結城くんの足が——先生の胸を、く♡っと強く踏んだ。
「あっ♡♡——」
先生の口から——嬌声が漏れた。
甘い。切ない。喘ぎ声——だ。
足で踏まれて——あの先生が——声を上げた。
「下の準備は?」
結城くんの声が——涼しい。
足が——胸から滑り降りて——お腹を通って——スカートの上から——先生の股間を、ぐっと踏んだ。
(——そんなところを——足で——‼)
可哀想——と、思った。反射的に。
女として——そんな場所を足で踏まれるなんて——屈辱の極みじゃない。
痛いに決まっている。可哀想——先生——。
でも——。
先生の顔は——苦悶に歪んでいた。
眉が寄って——目がぎゅっと閉じて——唇が震えて——。
「あぅ——っ♡♡——そこ——足で——っ♡♡」
——甘い声。
苦悶の表情——なのに。声は——甘い。
足でぐりぐりと押し付けられて——先生の腰が——浮いた。逃げるように——じゃない。押し付けるように——。
「んんっ♡♡——リト——くん——♡♡」
可哀想——じゃなかった。
先生は——感じている。足で踏まれて——感じている。
結城くんが——先生の手を取って、起き上がらせた。
先生のノースリーブは捲れたまま——胸がむき出し。スカートが腰の辺りまでずれ上がっている。
結城くんが——先生を窓辺に連れていった。
窓辺——。
私がいる——すぐ向こう側。
カーテンを挟んで——数十センチ。
(——近い——近すぎる——バレる——‼)
息を殺した。
口を両手で押さえて——呼吸を止めた。
心臓が——うるさい。こんなに大きな音で鳴っていたら——聞こえてしまう。
カーテンの向こうで——先生が、窓枠に手をついた。
前屈み。お尻が——結城くんの方に突き出される。
タイトスカートが——捲り上げられた。
ストッキングの太腿。下着のない——そのまま——晒された。
結城くんが——後ろから——先生に密着した。
ずぶっ——♡♡
「ひぁっ♡♡♡——」
先生の口から——涎が、垂れた。
挿入の衝撃で——舌が出て——唾液が唇から糸を引いて——顎から、ぽたりと落ちた。
あの知的な薄緑色の目が——一瞬で——焦点を失った。
白目が——ちらりと覗いた。
(先生——負けないで——)
心の中で——祈った。自分でも何を祈っているのかわからなかったけれど——。
先生なら——先生なら大丈夫。あの強い先生なら——結城くんなんかに——。
ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡——
ピストンが——始まった。
結城くんの腰が——先生のお尻に叩きつけられる。
肉と肉がぶつかる音。ぬちゃぬちゃと——水音が——窓の隙間から——直接——。
「あっ♡♡ あっ♡♡ やっ♡♡——きもちっ——♡♡♡」
あっけなかった。
先生は——あっけなく——壊れた。
ぱんぱんっ♡♡ ぱんぱんっ♡♡——
「イっ——イっちゃ——♡♡♡ もうっ♡♡ だめっ♡♡♡——」
先生の目が——完全に上を向いた。
白目を剥いている。舌がだらんと出て——涎が糸を引いて垂れている。
Hカップの胸が——ピストンのたびにぶるんぶるんと揺れて——乳首が硬く突き出ている。
(——先生——もう——)
負けている。完全に。あっさりと。
あの強い先生が——あの「いい女」が——結城くんの腰の一振りで——簡単に——。
先生の手が——窓枠をがしっと掴んだ。
私の指から——ほんの数十センチ先。カーテン一枚隔てて。
先生の爪が白くなっている。私の爪と——同じように。
ずちゅっ♡♡ ぐちゅっ♡♡ ばちゅんっ♡♡——
結城くんが——先生の腰を掴んだまま、一際深く突き上げた。
「ひぃっ♡♡♡♡♡——イぐっ♡♡♡♡♡——」
先生の全身が——びくびくと痙攣した。
窓枠を握る指がかたかたと震えて——膝ががくがくと折れかける。
結城くんの手だけが、先生の腰を支えている。
どくんっ♡♡♡——
中に——出した。
先生の身体が——ぶるっ♡♡と大きく震えた。
背中が弓なりに反って——栗色の髪がばさっと揺れた。
「あ゛っ♡♡♡♡——なか——あつっ——♡♡♡♡♡」
精液が——太腿を伝い始めた。白い筋が——ストッキングの上をゆっくりと流れ落ちていく。
一回目——。
先生の膝が——がくんと崩れた。
結城くんが——腰を支えたまま——繋がったまま。
「やぁっ♡♡ イッたばっかりぃ♡♡ むりっ♡♡♡——」
無理——と言いながら——先生の腰は——自分から、結城くんに押し付けている。
私は——窓枠から手を離した。
指が——攣っていた。どれくらいの間、握りしめていたのか——わからない。
帰ろう——。
今なら——帰れる。見てしまったけれど——ここで引き返せば——。
でも——足が動かない。
膝が——硬直している。地面に根が生えたみたいに——一歩も——。
校舎裏の植え込みの影に——しゃがみ込んだ。
制服のスカートが土に触れるのも構わず——壁にもたれて——呼吸を整える。
手の甲で口元を押さえた。吐きそうだった。吐きそう——なのに——吐けない。
保健室の中では——まだ、音がしている。
先生の声。ベッドが軋む音。結城くんの足音。
(——終わった、んじゃないの——?)
終わっていなかった。
結城くんが——先生を窓辺から引き剥がした。
ぐったりした先生を——保健室のベッドまで、ずるずると引きずるように。
先生がベッドに——仰向けに倒された。
白いシーツの上に——ノースリーブは胸の上まで捲れたまま。タイトスカートは腰に巻きついたまま。
Hカップの胸が——左右にぷるんと揺れて——乳首がぴんと天井を向いている。
結城くんが——先生の脚を掴んだ。
太腿を——ぐいっと左右に開かせた。
先生の——あそこが——見えた。
ぐちゃぐちゃだった。一回目の精液がまだ溢れていて——陰裂全体がてらてらと光っている。
(——見えちゃ——だめ——私——何を——)
目を逸らせない。
先生の——女の部分が——さっき結城くんに犯されたばかりの——あの場所が——。
結城くんが——先生の脚を肩に乗せた。
正常位。向き合う形。先生の顔が——窓の方を向いている。
ずぶっ♡♡♡——
「ぁあっ♡♡♡♡——」
二回目の挿入。
先生の目が——見開かれた。
薄緑色の瞳に——涙が溜まっている。精液と愛液で濡れた中に——また——押し込まれて——。
ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡♡——
ベッドが——軋んだ。
ギシギシと——保健室に響く。規則正しく——速く。
先生の両手が——シーツを掴んでいる。
指が白くなるほどきつく。でも——逃げようとはしていない。
脚は——結城くんの肩の上で——力なく揺れている。
「リトくん♡♡ リトくんっ♡♡ そこっ♡♡ そこばっかりぃ♡♡♡♡——」
先生が——名前を呼んでいる。甘い声で。蕩けた声で。
教師が生徒の名前を——あんな声で呼ぶなんて——。
ずちゅっ♡♡ ぬぷっ♡♡ ばちゅんっ♡♡——
結城くんの腰が——速くなった。
先生の身体が——ベッドの上でばたばたと跳ねる。
Hカップの胸が——上下に激しく揺れて——柔肉がぶるんぶるんと弾ける。
「あっ♡♡ あっ♡♡ だめっ♡♡♡ またっ♡♡ イっちゃ——♡♡♡♡」
先生の脚が——結城くんの首にきゅっと絡みついた。
引き寄せるように。もっと奥まで——と言うように。
口では「だめ」と言いながら——身体は——求めている。
ぱんぱんぱんっ♡♡♡♡——
「イぐぅっ——♡♡♡♡♡♡——」
先生が——二回目のイキ方は、一回目よりもひどかった。
全身が弓なりに反り返って——シーツを掴む手が、ぶるぶると震えて——半開きの唇から涎が止まらない。
どくんっ♡♡ どくっ♡♡ どくっ♡♡♡——
結城くんが——先生の中に沈んだまま——二回目を出した。
先生の腹が——微かに膨らんだように見えた。一回目の分と混ざって——中が——いっぱいに——。
「はぁ♡♡……あつぃ♡♡……おなかぁ……♡♡♡」
先生の声が——もう呂律が回っていない。
目の焦点が合っていない。天井を見ているようで——何も見ていない。
二回目——。
結城くんが——抜いた。
ずるっ♡♡——と引き抜かれた瞬間——先生のあそこから——白い液体がどろっと溢れた。
精液が——シーツに染みを広げていく。
(——二回も——中に——出された——のに——)
ふと——空を見上げた。
さっきまで青かった空が——橙色に変わり始めている。
西日が校舎の壁を赤く染めて——私の足元にまで、長い影を落としている。
もう——何分、ここにいるのだろう。
十分? 二十分? 足の感覚がない。しゃがんだまま——ずっと——。
校舎裏を通る人は——いなかった。放課後の部活動は、みんな校庭の向こう側。
ここは——死角だ。結城くんは——それも、わかっていたのだろう。
窓の向こうに——また視線を戻した。
帰れない。もう——帰れないことを——わかっていた。
途中で立ち去ることが——できないことを。
たとえ見たくなくても——結末まで見届けなければ——この胸の中の何かが——収まらない。
先生は——壊れない。壊れているのに——壊れない。
ぐったりと横たわって——肩で息をして——それでも——結城くんを見上げている。
あの目は——まだ、結城くんを求めている。二回出されて——ぐちゃぐちゃにされて——それでも。
結城くんが——ベッドの上で仰向けに寝転がった。
先生を——見下ろすように——じゃない。隣に——横になった。
「涼子さん。三回目——上、乗って」
(……上に——乗れって——先生に——?)
先生の身体が——びくっと震えた。
でも——拒否しなかった。
ゆっくりと——腕を震わせながら——起き上がった。
結城くんの腰の上に——跨った。
タイトスカートが腰に巻きついたまま——ストッキングの太腿が結城くんの腰を挟む。
Hカップの胸が——前屈みで垂れ下がって——揺れている。
先生の手が——結城くんのものを握った。
まだ硬い。二回出したのに——まだ——。
自分で——先端を——あそこに当てた。
ずぶっ——♡♡♡
「んぁあっ♡♡♡♡——」
先生が——自分で腰を下ろした。
自分から——飲み込んだ。
三回目——先生は、自分から——求めている。
誰に強制されたわけでもなく。結城くんに命じられたわけでもなく。
ぐちゅっ♡♡ ぬちゅっ♡♡——
先生の腰が——ゆっくりと動き始めた。
前後に——くねくねと。円を描くように。
一回目の精液と二回目の精液が混ざった中を——自分で——掻き回している。
「リトくん♡♡ きもちぃ♡♡? わたしので——きもちぃ♡♡♡?」
先生が——結城くんに聞いている。
上に跨りながら——腰を振りながら——自分から気持ちよくしておいて——「気持ちいい?」と。
(先生——やめて——お願い——もうやめて——)
見たくない。見たくないのに——目が離せない。
先生は、上で腰を振りながら——両手を自分の胸に当てた。
Hカップの乳房を——自分で揉んでいる。指が柔肉に沈んで——乳首を自分でこりこりと——。
「あぁっ♡♡ んっ♡♡ リトくんっ♡♡ すきっ♡♡ すきぃ♡♡♡——」
好き——って。
先生が——結城くんに——「好き」って——。
ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡♡——
先生の腰が——速くなった。
自分で激しく打ち付けている。結城くんの腰に——お尻を叩きつけている。
肉と肉がぶつかる音が——保健室に反響して——窓を通り抜けて——私の耳に——直接——。
結城くんの手が——先生の腰を掴んだ。
下から——突き上げた。
ばちゅんっ♡♡♡——
「ひぁああっ♡♡♡♡♡♡——」
先生の身体が——のけぞった。
白目を剥いて——舌が完全に出て——母音だけが——壊れたスピーカーのように繰り返される。
「あっ♡♡ うっ♡♡ いっ♡♡ あっ♡♡——」
結城くんが——先生の腰を掴んだまま——最奥に押し込んだ。
どくんっ♡♡♡——びゅるるっ♡♡♡——
三回目の射精。
先生の身体が——びくんっ♡♡ びくんっ♡♡ びくんっ♡♡——と、大きく痙攣した。
騎乗位のまま——反り返って——もう自分で腰を支える力がない。
結城くんの腹の上に——ぐったりと、崩れ落ちた。
先生の腰が——まだ小さく震えている。
繋がったまま——中から精液がごぷっ♡♡と溢れて——結城くんの太腿を伝い——シーツに流れ落ちていく。
先生は——もう動けなかった。
結城くんの胸の上にうつ伏せになって——人形のように——ぐったりと。
私は——目を逸らせなかった。
最初から——最後まで。
一度も——目を閉じることができなかった。
*
結城くんが——先生をベッドに運んだ。
仰向けに横たえて——白いシーツの上に。
先生の顔が——見えた。
ぐちゃぐちゃだった。
涙と涎と汗と——精液。全部が混ざって——あの美しい顔を覆い尽くしている。
栗色のショートボブが額に張り付いて——唇は半開きで——舌がちろりと覗いている。
結城くんが——先生の顔に、自分のものを押し当てた。
まだ半勃ちのそれで——先生の頬を——なぞるように擦った。
額に。鼻筋に。唇の上に。
ついていた精液と愛液を——先生の顔で——拭っている。
(——先生の顔を——雑巾みたいに——)
先生は——されるがままだった。
目を薄く開けて——結城くんを見上げて——。
笑った。
とろん、と蕩けた——幸せそうな顔で。
頬に精液を塗りつけられながら——肩で荒く息をしながら——。
微笑んでいた。
あの笑顔は——保健室で私に向けてくれた笑顔と、形は同じだった。
穏やかで——柔らかくて——包み込むような。
でも——目の色が、全然違う。
私に向けていたあの目は——教師としての、作られた優しさ。
今——結城くんに向いているあの目は——女として、本当の——。
(——本物の先生は——こっちだったんだ)
私が知っていた先生は——嘘だった。
あの保健室の、白い空間で、コーヒーの匂いの中で、「いつでもおいで」と言ってくれた先生は——。
本当は——結城くんが来るのを待っていた。
私がいなくなるのを——待っていた。
(——知りたくなかった)
足が——動いた。
いつの間にか——窓から離れていた。
校舎裏の草を踏んで——フェンスの向こうに出て——通学路に——。
記憶が——途切れている。
どうやって学校を出たのか覚えていない。
どの道を歩いたのかも覚えていない。
気づいたら——自分の部屋にいた。
ベッドの上。制服のまま。靴だけ脱いでいる。
天井を見ている。
風紀委員の腕章が——まだ腕についている。
時計を見た。七時。
二時間——空白がある。何をしていたのか、わからない。
「…………」
天井のシミを——見ている。
頭の中が——ぐちゃぐちゃだった。
先生の声。先生の顔。先生の——あの——蕩けた目。
結城くんに従属する先生の姿。床に寝転んで胸を踏ませる先生。喉を犯される先生。白目を剥いてイく先生。
全部——頭の中で——ぐるぐると——回っている。
(また——見させられるのだろうか)
ぽつり——と、口から漏れた。
結城くんのセックスを。
結城くんが——女の人を——。
メッセージ一つで——私は来た。
結城くんが「見せてやる」と言って——私は——見た。最後まで。
目を逸らせなかった。逸らさなかった。
(——気持ちよさそうだった)
先生は——気持ちよさそうだった。
あんなにぐちゃぐちゃに壊されて——雑巾みたいに扱われて——それでも——幸せそうだった。
最後のあの顔。
精液を頬に塗られながら——とろんと笑った、あの顔。
あの顔は——偽物じゃなかった。本物の——幸せだった。
(——なんで)
なんで——そんなに幸せそうなの。
あんなことをされて——教師の尊厳を全部捨てて——。
なのに——あの顔は——。
(……気持ち——よかったのかしら)
あの先生が——あんなに——。
「——っ」
唯は——頭を振った。
激しく。枕の上で。
「だめ——そんなの——だめ——」
声に出した。自分の耳に聞かせるために。
「あんなの——おかしいに決まってる。先生は——騙されてるの。結城くんに——操られてるの」
「私は——あんな風にはならない。絶対に——」
腕章を——ぎゅっと握りしめた。
風紀委員の腕章。私のアイデンティティ。
「私は——風紀委員よ。結城くんの——手口なんか——全部——知ってるんだから——」
声が——震えていた。
結城くんのメッセージが——また来る。きっと来る。
次も——「見せてやる」と言う。
その時——私は。
(——見ない。もう見ない。二度と)
そう決めた。
決めた——のに。
スマホの画面が——暗いまま、枕元にある。
結城くんからのメッセージが——来ていないか——確認する自分がいる。
(——来てない。まだ——来てない)
「まだ」——と、思った。
「まだ」——ということは、「いずれ来る」と思っている。
来たら——私は——。
唯は——枕に顔を埋めた。
「だめ——だめだめだめ——」
くぐもった声が——誰もいない部屋に吸い込まれた。
心臓が——まだ速い。
太腿が——きゅっと——閉じている。
なぜ閉じているのか——考えたくない。
考えたくないから——考えない。
「明日——先生に——会ったら——普通に——挨拶する——普通に——」
先生の顔を——まともに見られるだろうか。
あの穏やかな笑顔を向けられた時——私は——何を思い出す?
思い出す。
絶対に——思い出す。
床に仰向けに寝転がって——「踏んで♡」と言った先生を。
白目を剥いて——イった先生を。
精液を顔に塗られて——幸せそうに笑った先生を。
全部——思い出す。
唯は——枕から顔を上げて、天井を見た。
暗い天井。街灯の光が——カーテンの隙間から、細い線を引いている。
保健室のカーテンの隙間と——同じ。
「…………」
唯は——目を閉じた。
眠れないとわかっていた。今夜も——。
風紀委員の腕章が——手の中で、くしゃくしゃに丸まっていた。