※この作品はR-18です。

ヤリチンリトに寝取られるお話   作:大軍

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古手川唯と結城美柑の場合(2)

 

ドアが——開いた。

 

結城くんが——先に出てきた。何食わぬ顔で。手を拭きながら。

 

美柑ちゃんが——その後ろから出てきた。

 

歩き方が——普通だった。

 

普通——に見えた。少しだけ歩幅が小さい気もするけれど——気のせいかもしれない程度の。

 

「お待たせ、古手川さん」

 

美柑ちゃんが——にこっと笑った。

 

あの笑顔。さっきと同じ——しっかり者の小学生の、丁寧な笑顔。

 

「ハンバーグ——もう焼けるよ。もうちょっと待っててね」

 

「え——え、ええ——ありがとう——美柑ちゃん——」

 

声が——裏返った。自分でもわかった。

 

美柑ちゃんが——キッチンに戻った。

 

エプロンの紐を結び直して——フライパンの前に立つ。

 

「リト——お皿、出してくれる?」

 

「はいはい」

 

結城くんが——食器棚から皿を取り出している。

 

日常——だ。兄妹の——何の変哲もない、夕食前の光景。

 

美柑ちゃんが——フライパンを傾けて、ハンバーグを皿に移している。

立って——歩いて——料理して。

 

(——あの子の——お尻の中に——今——あれが——)

 

思考が——止まらない。

 

(——どうすればいいの——どうすれば——)

 

私は——風紀委員だ。間違ったことを正すのが仕事だ。

でも——ここは学校じゃない。他人の家だ。他人の家の——家族の問題。

 

(——家族の問題——? こんなものが——?)

 

違う。これは——犯罪だ。兄が——小学生の妹に——。

でも——美柑ちゃんは嫌がっていなかった。自分から——膝をついて——。

 

(——嫌がっていなかったから許されるの——? 小学生よ——?)

 

頭の中で——問いと答えがぐるぐると回って——一つも結論が出ない。

 

美柑ちゃんが——皿を持って、テーブルに運んだ。

 

歩くたびに——スカートが揺れる。太腿の上で——ふわりと。

 

あのスカートの下に。下着の下に。あの小さなお尻の穴の中に——黒いプラグが——今この瞬間も——。

 

(——やめて——考えないで——)

 

考えたくないのに——目が、美柑ちゃんの腰から離れない。

 

美柑ちゃんが——私の前に、皿を置いた。

 

「はい——古手川さんの分。デミグラスソース、たっぷりかけたよ」

 

笑顔——だ。何ともない笑顔。

 

この子の顔を見るたびに——あのドアの隙間から見た光景が——フラッシュバックする。

 

(——私は今——何を見ているの——料理を出してくれる小学生? それとも——お尻の穴に——栓を——)

 

テーブルに座る時——美柑ちゃんの動きが、ほんの一瞬だけ——固まった。

 

椅子に腰を下ろす瞬間。お尻が座面に触れる瞬間。

 

「——っ」

 

微かに——唇が、きゅっと結ばれた。眉が——ぴくりと動いた。

 

(——今——感じた——の——? 座った衝撃で——あれが——奥に——)

 

でも——すぐに、何事もなかったかのように座り直した。

 

「いただきます」

 

美柑ちゃんが——手を合わせた。

 

結城くんが——隣に座った。

 

「古手川も——食えよ」

 

「い——いただきます——」

 

フォークを——持った。手が——震えている。

 

ハンバーグを——切った。デミグラスソースが——皿の上に広がる。

 

口に運んだ。

 

おいしい——と思った。本当に——おいしかった。

肉汁が溢れて、ソースが絡んで。小学生が作ったとは思えないクオリティ。

 

(——おいしいのに——なんで——こんなに苦しいの——)

 

ハンバーグの味が——舌の上で広がるたびに、さっきのフェラの水音が——耳の奥で反響する。

この手で作った料理。あの口で——結城くんを——。同じ口で。

 

「おいしいでしょ? 美柑の得意料理なんだ」

 

「ええ——本当に——おいしいわ——美柑ちゃん」

 

声が——引き攣った。上手く笑えていない。

 

「えへへ——ありがとうございます」

 

美柑ちゃんが——照れたように頬を染めた。

 

その顔が——さっきの「えへへ——♡」と重なった。

 

プラグを入れられて——「いい子」と言われて——照れた、あの顔と——同じ顔。

 

(——同じなの——? この子にとって——料理を褒められるのと——お尻に栓を入れられるのが——同じ——?)

 

(——やめなさい——古手川唯——‼ 食事中に——そんなこと——)

 

ハンバーグを——もう一口。

 

おいしい。おいしいのに——味が、頭に入ってこない。

 

(——誰かに相談すべきなの——? 先生に——? でも——どの先生に——?)

 

御門先生——は、だめだ。あの先生は——もう——。

ティアーユ先生——? あの先生も——結城くんと——。

 

(——誰にも——言えない——)

 

私しか——知らない。この異常を知っているのは——私と、結城くんと、美柑ちゃんだけ。

 

「美柑ちゃん——毎日、こうやってご飯を作ってるの?」

 

「うん。リトの分と——あたしの分。お父さんは——仕事で遅いから」

 

「お母さんは——?」

 

「マンガ家で——ずっと缶詰。ほとんど家にいないの」

 

美柑ちゃんが——にこにこしながら話している。

 

(——両親が——いない——この家に——二人きりで——毎晩——)

 

「だから——あたしがリトのご飯を作って、洗濯して、掃除して。全部——あたしがやるの」

 

「大変——ね。小学生なのに——」

 

「大変じゃないよ。だって——リトのためだもん」

 

美柑ちゃんの目が——きらきらしていた。

 

リトのため——と言う時の、あの目。

 

料理を作るのも。洗濯をするのも。掃除をするのも。靴を揃えるのも。着替えを用意するのも。

 

トイレで——口で——するのも。

お尻に——あれを入れられるのも。

 

全部——「リトのため」。

 

全部が——この子にとっては、同じ重さの「お世話」。

 

(——洗脳——されているの——? それとも——これが——この子にとっての——愛——?)

 

(——愛なわけないでしょう——こんなの——こんなのは——)

 

こんなのは——何なの。

 

名前がつけられない。

 

虐待? でも——美柑ちゃんは幸せそうだった。

恋愛? でも——兄と妹で——小学生で——。

共依存? でも——美柑ちゃんの目は——澄んでいた。

 

美柑ちゃんが——ハンバーグを食べながら、足をぷらぷらさせている。椅子が高くて——足が床に届かないのだ。

 

子供——だ。まだ——子供。

 

足が届かない椅子に座って。手作りのハンバーグを食べて。お兄ちゃんの隣で、にこにこして。

 

その小さなお尻の中に——黒いプラグを埋め込まれたまま。

 

座るたびに——奥を突かれているはずだ。

フォークを口に運ぶたびに——身体が微かに揺れて、プラグの角度が変わっているはずだ。

 

なのに——美柑ちゃんの顔は、平気だった。

 

ハンバーグを——おいしそうに食べている。結城くんに「おかわりは?」と聞いている。笑っている。

 

私にだけ——わかる。

 

さっき椅子に座った瞬間の——あの、一瞬の硬直。唇が結ばれた、あの一瞬。

あれだけが——唯一の綻び。

 

それ以外——完璧だった。

 

この子は——あの異物を体内に抱えたまま、日常を演じている。

兄の客をもてなし、料理を振る舞い、笑顔で会話をしている。

 

小学五年生が——。

 

「古手川さん——おかわり、いる?」

 

「い——いえ——十分よ——ごちそうさま——」

 

「そっか。じゃあ——お皿、下げるね」

 

美柑ちゃんが——立ち上がった。

 

立ち上がる瞬間——また、一瞬だけ。

 

腰が——ぴくっと揺れた。

 

プラグが——動いたのだ。座っていた分、奥に押し込まれていたものが——立った衝撃で、角度が変わって——。

 

美柑ちゃんの耳が——ほんの少しだけ、赤くなっていた。

 

でも——皿を重ねる手は、震えていなかった。キッチンに運ぶ足取りは、乱れていなかった。

 

この子は——壊れている。

 

壊れているのに——壊れていないフリが、完璧すぎて——壊れていることに気づけない。

 

私以外の誰かが見たら——ただの、しっかり者の妹にしか見えないだろう。

 

私だけが——知っている。

 

あのスカートの下の秘密を。あの笑顔の裏側にあるものを。

 

(——言わなきゃ——)

 

美柑ちゃんが——皿を重ねて、キッチンに向かって歩き出した。

 

(——今——言わなきゃ——このまま帰ったら——私は——一生——)

 

身体が——動いた。

 

「美柑ちゃん——」

 

声が——出た。思ったより——大きかった。

 

美柑ちゃんの背中が——ぴくり、と止まった。

 

私は——立ち上がって——美柑ちゃんに近づいて——。

 

手が——伸びた。

 

美柑ちゃんの肩を——掴んだ。

 

小さな肩。華奢な骨。制服の生地の下の——子供の身体。

 

美柑ちゃんが——振り返った。

 

目が——合った。

 

あの丸い目が——大きく見開かれていた。

 

(——バレた——?)

 

美柑ちゃんの目に——その二文字が浮かんでいた。

 

唇が——微かに震えている。皿を持つ手が——強張っている。

さっきまでの完璧な笑顔が——一瞬だけ——剥がれかけた。

 

私は——美柑ちゃんの目を見ている。

 

美柑ちゃんは——私の目を見ている。

 

沈黙——が、落ちた。

 

キッチンの換気扇の音だけが——低く唸っている。

結城くんが——テーブルに座ったまま、こちらを見ている気配がある。

 

言わなきゃ——。

 

何を——。

 

「あなた——」

 

声が——出た。掠れた、小さな声。

 

美柑ちゃんの肩が——私の手の中で、びくっと震えた。

 

「あなたの——その——」

 

続かなかった。

 

何を言うの——古手川唯。

 

「お尻の中に異物が入っているのを見たわ」——と?

「お兄ちゃんにフェラしてるところを見たわ」——と?

「あなたは被害者よ、助けてあげる」——と?

 

この子は——被害者の顔をしていない。

この子は——「おいしかった」と笑って——結城くんの精液を飲んだのだ。自分から。

 

でも——。

 

今——この瞬間も。

 

あの小さなお尻の穴の中に——黒い栓が——埋まっている。

括約筋が——シリコンのくびれに嵌まって——内側から、ずっと、穴を押し広げている。

 

この後——結城くんと二人きりになったら。

 

私が帰ったら——結城くんが、美柑ちゃんのスカートを捲り上げる。

あの手で——プラグの台座を掴む。

 

ゆっくりと——引き出すのだろうか。

それとも——一気に。

 

一番太い部分が——穴の入り口を、内側からぐいっと押し広げて——括約筋が限界まで引き伸ばされて——。

 

ずぼっ——と。

 

容赦なく——捻り出される。

 

長時間入っていたプラグが——抜けた瞬間、穴は閉じきれずに——ぽかんと、開いたままになるのだろう。

空気がすう、と入り込んで——空っぽの感触が——。

 

そして——その開いた穴に。

 

結城くんが——自分のものを——。

 

(——やめなさい——‼)

 

頭の中で——叫んだ。でも——映像が止まらない。

プラグで広げられたまま柔らかくなった穴に——結城くんの陰茎が——ずぶっと——。

 

美柑ちゃんの声が聞こえる——気がした。あの甘い声。「リト——♡」と。

 

「——っ」

 

私の手が——震えていた。美柑ちゃんの肩を掴んだまま——指が、ぶるぶると。

 

何秒——経ったのか。

 

五秒。十秒。二十秒——。

 

私は——何も言えなかった。

 

口が——開いたまま。声が——喉の奥で詰まったまま。

 

美柑ちゃんの目が——変わった。

 

最初の動揺が——薄れていく。代わりに——警戒。そして——計算。

 

この女は——何を知っているのか。

どこまで——見たのか。

でも——何も言わない。言えない。ならば——。

 

「古手川さん——?」

 

美柑ちゃんが——首を傾げた。

 

声が——少し上擦っていた。でも——笑顔を取り繕って。

 

「どうしたの——? あたし——何か——」

 

「——いえ——なんでもない——」

 

私の手が——美柑ちゃんの肩から、するっと落ちた。

 

力が——入らなかった。

 

何も——言えなかった。

 

「ごめんなさい——急に——」

 

「ううん——大丈夫だよ——」

 

美柑ちゃんの声が——明るかった。でも——目が。あの丸い目が——安堵と焦りの間で、ちらちらと揺れている。

 

「あたし——お皿洗わなきゃ——リト——手伝って——‼」

 

美柑ちゃんが——声を上げた。

 

少し——大きすぎる声。自然さを取り繕おうとして——かえって不自然になった声。

 

皿を抱えたまま——足早にキッチンへ向かった。

 

歩幅が——さっきより、ほんの少しだけ大きい。急いでいる。私から——離れようとしている。

 

結城くんの隣に——駆け寄った。

 

結城くんの腕に——ぴたっと身体を寄せた。皿を流しに置いて——エプロンの裾を結城くんのTシャツの袖に引っ掛けるようにして——。

 

安全な場所——に逃げたのだ。

 

結城くんの隣。お兄ちゃんの隣。

 

この子にとっての——世界で一番安全な場所。

 

結城くんが——美柑ちゃんの頭を、ぽん、と撫でた。

 

さっきと——同じ手つき。プラグを入れた後の——「いい子だ」の手つき。

 

美柑ちゃんの肩から——力が抜けた。

 

私は——リビングに一人、立ち尽くしていた。

 

         *

 

窓の外が——オレンジ色に染まっていた。

 

夕日が——リビングのカーテン越しに差し込んで、テーブルの上の食器跡を——長い影に変えている。

 

私は——ソファに座ったまま、何もしていなかった。

 

美柑ちゃんと結城くんは——キッチンの奥に消えていた。

皿を洗う水音と——小さな笑い声が、ときどき聞こえてくる。

 

二人きりの——世界。私が入り込めない——日常。

 

(——何も——言えなかった)

 

あの時——美柑ちゃんの肩を掴んで。目を見て。口を開いて。

 

何も——言えなかった。

 

(——最低だわ——私)

 

風紀委員。正義。秩序。常識。

全部——私の看板だ。私が誇りにしてきたもの。

 

なのに——小学生が兄に性的なことをされているのを目撃して——何もできなかった。

声を上げることも。止めることも。誰かに伝えることも。

 

(——伝えて——どうなるの)

 

美柑ちゃんは——嫌がっていなかった。

結城くんは——美柑ちゃんを傷つけているようには見えなかった。

あの二人の間には——暴力も脅迫もなかった。

 

あったのは——信頼。歪んだ——でも確かな——信頼。

 

(——だから何も言えなかった——? 違う——言えなかったのは——)

 

言えなかった——本当の理由を、私はまだ直視できていない。

 

時計を——見た。六時半。

 

帰らなきゃ——。

 

これ以上——この家にいたら。これ以上——見てしまったら。

 

私は——立ち上がった。

 

ソファのクッションを——手で直した。風紀委員の癖。散らかしたものは元に戻す。

 

リビングから——廊下に出た。

 

「結城くん——美柑ちゃん——そろそろ——帰るわね」

 

声が——かすれていた。

 

廊下の奥から——美柑ちゃんの声が返ってきた。

 

「あ——はーい。今行くね——」

 

少し——間があった。

 

衣擦れの音。ごそごそと——何かを準備する気配。結城くんの低い声が——何か一言、二言。聞き取れなかった。

 

私は——玄関に向かった。

 

靴を——履いた。ローファーの踵に指を入れて——つま先を床に打ち付ける。

 

靴を履きながら——ふと、美柑ちゃんが結城くんの靴を揃えていた光景が浮かんだ。

あの丁寧な手つき。何百回と繰り返した——妻の手つき。

 

廊下の奥から——足音が近づいてきた。

 

二つの足音。一つは——結城くんのゆっくりした歩幅。もう一つは——美柑ちゃんの、ぱたぱたとした小さな足音。

 

でも——何かがおかしかった。

 

美柑ちゃんの足音が——さっきまでより、もっと小さい。もっと——慎重な歩幅。

 

二人が——廊下の角を曲がって、姿を現した。

 

結城くんが——先を歩いている。右手は——ポケットに入っている。

 

左手——に。

 

何か——持っている。

 

細い——紐。白い——紐。

 

紐の先が——結城くんの左手から垂れて——後ろに伸びて——。

 

美柑ちゃんの——スカートの裾の中に——消えていた。

 

「——」

 

声が——出なかった。

 

紐。結城くんの手から。美柑ちゃんのスカートの中へ。

 

スカートの中——。

 

(——あの紐は——どこに——繋がって——)

 

頭が——回転した。高速で。

 

スカートの中。下着の中。お尻の——。

 

プラグ——だ。

 

あのアナルプラグに——紐がついている。

結城くんが——その紐を、手に持っている。

 

犬の——リードみたいに。

 

美柑ちゃんを——紐で——繋いでいる。お尻の穴の中にある栓から——結城くんの手まで。

 

(——うそ——うそでしょう——)

 

美柑ちゃんの顔を——見た。

 

さっきの——しっかり者の笑顔は、なかった。

 

唇が——半開きで。頬が——赤い。目が——潤んでいる。

呼吸が——微かに荒い。鼻先が——ほんのりと上気している。

 

発情——している。

 

あの異物を——入れられたまま——歩くたびに中で動いて——もう何十分も——。

 

美柑ちゃんの目が——一瞬、結城くんの左手を見た。紐を握る——あの手を。

 

そして——私には聞こえないくらいの——小さな小さな声で。

 

「——やめて——リト——」

 

聞こえた。

 

私の耳が——拾ってしまった。

 

「やめて」——と。あの子が。

 

でも——その「やめて」は、悲痛な懇願ではなかった。

甘く——震える声だった。本気で止めてほしいのではなく——止めてほしいのに止めてほしくない——その境界線で揺れている声。

 

結城くんは——聞こえないフリをした。

 

「古手川——もう帰るのか?」

 

結城くんの声は——普通だった。

 

あまりにも——普通。妹のお尻から伸びる紐を握りながら——日常会話。

 

「え——ええ——そろそろ——」

 

声が——震えた。喉が引き攣って——うまく音にならない。

 

「美柑の飯——うまかっただろ」

 

「——っ」

 

結城くんが——にっ、と笑った。あの爽やかな笑顔。

 

(——この状況で——料理の話を——?)

 

「ええ——おいしかった——わ——本当に——美柑ちゃんの——料理——」

 

言葉が——途切れ途切れになった。

結城くんの左手の紐が——視界の端で、ゆらゆらと揺れている。

 

美柑ちゃんの顔を——正面から見られない。

 

「な、美柑——よかったな」

 

結城くんが——美柑ちゃんに声をかけた。

 

美柑ちゃんは——俯いていた。

 

顔が——真っ赤だった。耳の先まで。

 

「…………うん」

 

小さな声。蚊の鳴くような。

 

両手を——スカートの前で握り合わせている。指と指を——もじもじと絡めて。

 

俯いたまま——顔を上げられない。

 

さっきまで——しっかり者の妹として、完璧に振る舞っていたこの子が。

今は——ただの、恥ずかしくてたまらない小学生に戻っている。

 

お尻の中の異物のせいで——顔を上げることすらできない。

 

(——可哀想——)

 

(——でも——この子は——嬉しそうにも——見える——)

 

俯いた美柑ちゃんの口元が——ほんの少しだけ——上がっている。

 

恥ずかしい。でも——嬉しい。

結城くんに——繋がれている。紐で——お尻の穴で——繋がっている。

 

それが——この子にとっては——。

 

「美柑——見送ってやれ」

 

結城くんが——言った。

 

美柑ちゃんの肩が——びくっと震えた。

 

見送る——ということは。玄関まで——歩く。

今——美柑ちゃんは廊下の奥に立っている。玄関まで——数メートル。

 

その数メートルを——歩くと。

 

紐が——張る。

 

結城くんの手は——ここにある。動かない。

美柑ちゃんが——玄関に向かって歩けば——紐が伸びて——限界まで張って——。

 

その先にあるものが——引っ張られる。

 

(——まさか——歩かせる気——?)

 

美柑ちゃんが——一歩、踏み出した。

 

ゆっくりと。足が——震えている。

 

一歩。二歩。

 

紐は——まだ緩い。結城くんの手から——弧を描いて——美柑ちゃんのスカートの中に消えている。

 

三歩。四歩。

 

紐が——少し、直線に近づいた。弧が——浅くなっている。

 

美柑ちゃんの歩幅が——さらに小さくなった。すり足——のように。足裏を床から離さずに——滑らせるように。

 

五歩——。

 

紐が——ぴんっ、と張った。

 

「——っ♡」

 

美柑ちゃんの腰が——ぐっと引かれるように、後ろに傾いた。

 

紐が——お尻の穴の中のプラグを——引っ張っている。

括約筋が——プラグの一番太い部分を内側に抱え込んでいる。それが——引かれて——入り口を、内側から——押し広げ——。

 

美柑ちゃんの呼吸が——乱れた。

 

「は——♡ は——♡♡」

 

肩が上下している。小さな胸が——ブラウスの下で、荒い呼吸に合わせて動いている。

 

顔が——さっきまでの赤からさらに深く——紅潮している。

目が——潤んで——焦点がぼやけかけている。

 

でも——歩く。

 

六歩——。

 

もう——玄関の近くだ。私の——目の前。

 

紐が——ぴんっ、と。限界に近い角度で——張っている。

 

美柑ちゃんの目が——私を見た。

 

あの丸い目が——涙で滲んでいた。

 

唇が——ぷるぷると震えて——何かを堪えている。

 

快感——か。痛み——か。羞恥——か。全部——か。

 

私は——靴を履いたまま、玄関に立ち尽くしていた。

 

目の前の小学生の身体に——何が起きているか、全部わかっている。

プラグが——穴の入り口まで引き出されかけている。一番太い部分が——括約筋を内側から圧迫して——。

 

あと一歩——踏み出したら。

 

抜ける——。

 

美柑ちゃんが——最後の一歩を、踏み出そうとした。

 

足が——持ち上がった。

 

「も——だめ——」

 

美柑ちゃんの唇から——かすれた声が漏れた。

 

声——ではなかった。息——だった。声にならない——息。

 

「リト——もう——だめ——♡」

 

その瞬間——。

 

結城くんの左腕が——振り抜かれた。

 

釣り竿を煽るような——一閃。手首のスナップが——白い紐を、ばちんっ、と空気ごと引き裂いた。

 

紐が——一直線に張り詰めて——美柑ちゃんのスカートの裾が、ぶわっと捲れ上がった。

 

ずぼぉっ♡♡♡——‼

 

鈍い——でも、確かな——抜栓の音。

 

黒い塊が——美柑ちゃんの身体から射出された。

 

弾丸のように——スカートの裾から飛び出して——紐に引かれて弧を描いて——結城くんの背後の壁に——ごっ、と。

 

跳ね返って——廊下の床を、ころころと転がった。

 

黒いシリコンのプラグ。唾液とローションで——てらてらと光っている。

 

美柑ちゃんの身体が——跳ねた。

 

床から——両足が浮いた。ほんの一瞬——重力を忘れたみたいに。

 

「——あっ♡♡♡♡♡♡——————‼」

 

声にならない——絶叫。喉の奥から——空気だけが搾り出された。

 

背中が——海老反りになった。

 

小さな身体が——弓のように反り返って——頭が後ろに仰け反り——つま先が床から浮きかけて——。

 

「あ♡♡♡♡♡——あ♡♡♡♡♡♡——」

 

そのまま——私に——抱きついた。

 

美柑ちゃんの身体が——私の胸に——ぶつかるように倒れ込んできた。

 

小さな手が——私の制服のブラウスをぐしゃっと掴んだ。

 

「——っ⁉」

 

私は——反射的に、美柑ちゃんの身体を受け止めた。

 

両腕の中に——小学生の身体がある。軽い。華奢な。震えている。

 

びくっ♡♡——びくっ♡♡——びくっ♡♡♡——

 

美柑ちゃんの全身が——痙攣していた。

 

止まらない。私の腕の中で——びくびくと。規則的に——断続的に——全身の筋肉が勝手に収縮を繰り返している。

 

小さな指が——私のブラウスを、離さない。爪が——布地に食い込んでいる。

 

「み——美柑ちゃん——⁉ 大丈夫——⁉」

 

声を——上げた。でも——何が起きているのか、わかっていた。

 

イッている——のだ。

 

アナルプラグを——一気に引き抜かれて——穴が限界まで押し広げられた衝撃で——この子は——今——。

 

私の腕の中で——絶頂している。

 

びくっ♡♡♡——びくっ♡♡♡♡——

 

美柑ちゃんの顔が——私の胸に押し付けられている。

 

小さな額が——私のブラウスの上から、胸の谷間に。

熱い。子供の体温——よりも、もっと熱い。全身が——火照っている。

 

吐息が——私の胸元に、ふう♡、ふう♡、と。

温かい息が——ブラウスの薄い生地を通して——肌に触れる。

 

太腿が——私の太腿に挟まれるようにして——ぶるぶると震えている。

 

「は♡——は♡♡——は♡♡♡——」

 

二十秒——。三十秒——。

 

痙攣が——少しずつ、間隔を広げていく。

 

びく♡——。

 

——びく♡。

 

——————びく——。

 

弱くなっていく。でも——止まりきらない。

 

美柑ちゃんの指が——私のブラウスをぐしゃぐしゃに握ったまま——ゆっくりと、力が抜けていった。

 

「は——♡♡……はぁ——♡♡……」

 

息が——荒い。でも——戻ってきている。

 

美柑ちゃんが——私の胸から、顔を離した。

 

ゆっくりと——見上げた。

 

あの丸い目が——涙で濡れていた。

頬が——べしゃべしゃに濡れている。涙なのか汗なのか——わからない。

 

唇が——震えている。まだ——余韻が残っている。

 

「ご——ごめん——なさい——古手川さん——」

 

声が——息絶え絶えだった。

 

「ころ——転んじゃって——」

 

「——」

 

転んだ——と。

 

今のが——「転んだ」——と。

 

「足が——もつれちゃって——ごめんね——」

 

美柑ちゃんが——笑った。泣きながら——笑った。

 

ぐちゃぐちゃの顔で——涙と汗で——頬を光らせながら——必死に——笑顔を作って。

 

「大丈夫——あたし——ドジだから——えへへ——」

 

「えへへ」——が。

 

さっきの「えへへ」と——同じ音。

でも——全然違う。声が裏返って——震えて——壊れかけた「えへへ」。

 

「……ええ——大丈夫——? 美柑ちゃん——」

 

私の声も——壊れていた。

 

「うん——大丈夫——」

 

美柑ちゃんが——私から離れた。

 

私のブラウスが——ぐしゃぐしゃにされている。美柑ちゃんの爪の跡が——布地にくっきりと残っていた。

 

結城くんが——後ろに立っていた。

 

左手の紐は——もう見えなかった。ポケットにしまったのか。

 

「古手川——気をつけて帰れよ」

 

結城くんの声は——いつも通りだった。涼やかで。穏やかで。何事もなかったように。

 

妹がアナルプラグを引き抜かれて絶頂したことなど——最初からなかったかのように。

 

「美柑——ドアの外まで見送ってやれ」

 

「うん——」

 

美柑ちゃんが——よろよろと、玄関のドアに手をかけた。

 

ドアを——開けた。

 

夕暮れの——オレンジ色の光が、玄関に差し込んだ。

 

美柑ちゃんが——ドアの外に、一歩。

 

私も——導かれるように、一歩。

 

玄関の外。住宅街の——静かな夕暮れ。

 

美柑ちゃんの横顔が——夕日に染まっていた。

 

まだ——頬が赤い。まだ——目が潤んでいる。

 

「古手川さん——今日は——来てくれて——ありがとう——」

 

声が——まだ震えている。でも——笑顔は、戻りかけていた。

 

「また——来てね——」

 

私は——何も答えられなかった。

 

ただ——頷いた。

 

美柑ちゃんが——一歩、後ろに下がった。

 

玄関の中に——戻っていく。

 

ドアが——閉まった。

 

かちゃ——と、鍵の音。

 

私は——結城家の玄関の前に、一人で立っていた。

 

夕日が——長い影を作っている。私の影が——アスファルトの上を、ずっと遠くまで伸びている。

 

ブラウスが——ぐしゃぐしゃだった。

美柑ちゃんが掴んだ跡。爪の跡。

 

胸元に——まだ、あの子の体温が残っていた。

あの子の吐息の——温度が。

 

(——何だったの——今の——何だったの——)

 

足が——動かない。

 

ドアの向こうで——今——何が起きているのか。

 

プラグを抜かれた穴が——まだ閉じきれずに——ぽかんと開いたまま——。

 

結城くんが——あの穴に——。

 

(——やめ——やめなさい——私——‼)

 

私は——一歩、踏み出した。

 

帰る——帰らなきゃ。

 

でも——足が重い。鉛を引きずっているように——重い。

 

いや、でも。

気になる。

 

私は振り返って結城くんの家を見る。

あの後どうなってるのか。

二人は何をしてるのか。

 

少しだけでいい。

見にいこう。

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