帰る——帰らなきゃ。
私は——歩き出した。一歩。二歩。アスファルトの上を——ローファーが、こつ、こつ、と叩く。
三歩——で、止まった。
足が——止まった。頭が止めたのではない。足が——勝手に。
(——見なきゃ——)
その思考が——どこから湧いたのか、わからなかった。
(——見て——どうするの——古手川唯——)
見てどうする。見たら——もっと苦しくなる。もっと——壊れる。
見なければ——今日はただの「変な夕食」で済ませられる。美柑ちゃんが転んだ——それだけの話にできる。
でも——。
あのドアの向こうで——今。
プラグを抜かれた穴が——開いたまま——結城くんが——。
(——確かめなきゃ——風紀委員として——‼)
嘘だ。そんなの——建前だ。
風紀委員の管轄は学校の中だ。他人の家の中で何が起きているかなんて——関係ない。
それなのに——足が、勝手に反転した。
私は——結城家の玄関に、戻っていた。
夕闇が——濃くなっている。街灯が一つ、ぽつんと灯り始めていた。住宅街に——人影はない。
ドアの前——に、立った。
左手で——ドアノブに触れた。指先が——冷たい金属に触れて——ひやりとした。
回した——ほんの少しだけ。
鍵は——かかっていなかった。
美柑ちゃんが鍵を閉めた音を——さっき聞いた。かちゃ、と。
でも——鍵が開いている。
(——結城くんが——開けた——?)
いつ。なぜ。
わかっている。
わかっている——のに、認めたくない。
私が——戻ってくることを。覗くことを。結城くんは——わかっていた。
だから——鍵を開けた。
(——罠だ——これは——罠——)
わかっている。わかっていて——私は、ドアを引いた。
三センチ——だけ。
夕暮れの外気が——隙間からすう、と玄関の中に流れ込む。
中は——薄暗かった。廊下の照明はついていない。リビングの奥から——暖色の光が、ぼんやりと漏れている。
音が——聞こえた。
ちゅ——。
くちゅ——。
んっ——ちゅる——♡
キスの——音。
ドアの隙間から——三メートル先。玄関の——上がり框のすぐ奥。
二人が——いた。
美柑ちゃんが——結城くんを、押し倒していた。
正確には——廊下のフローリングの上に、結城くんが仰向けに転がっていて——その上に、美柑ちゃんが馬乗りになっていた。
美柑ちゃんの——小さな両手が、結城くんの胸元のTシャツをぐしゃっと掴んでいる。
そして——唇を——重ねていた。
美柑ちゃんの方から——押し付けるように。食いつくように。
ちゅ♡——ちゅぅ♡——ん、ちゅるっ♡♡
「——っ‼」
息を——飲んだ。声は出さなかった。出せなかった。
美柑ちゃんが——結城くんに、キスしている。
さっきの——しっかり者の妹が。「転んじゃって」と笑った女の子が。
その女の子が——兄の上に跨って——自分から——舌を入れている。
美柑ちゃんの肩が——怒っていた。
小さな肩甲骨が——ブラウスの下でぎゅっと寄って、背中全体に力が入っている。
「——ばか——」
美柑ちゃんの声が——キスの合間から漏れた。唇を離した一瞬——糸を引く唾液が、薄暗い廊下の光にきらりと光った。
「ばか——リト——ばか——っ」
怒っている——のだ。
「古手川さんの前で——あんなこと——っ」
ちゅ♡♡——と、また唇を押し付ける。怒りをぶつけるように——噛みつくように。
「あたしが——どんだけ——恥ずかしかったか——わかんないの——?」
「わかってるって——」
結城くんの声が——笑いを含んでいた。宥めるような——余裕のある声。
「だから——ごめんって」
「ごめんじゃ——ないのっ——」
ちゅるっ♡——と、深いキス。怒っているはずなのに——離れない。口が——結城くんの唇を、手放せない。
結城くんの両手が——美柑ちゃんのスカートの裾から中に入った。
自然な動きだった。呼吸をするように——当たり前に。
両手が——スカートの中で、美柑ちゃんのお尻を掴んだ。
ぐにっ♡——
「——ぁ♡」
美柑ちゃんの口から——甘い声が漏れた。
小さなお尻を——結城くんの大きな手が、鷲掴みにしている。スカートが——手の動きに引っ張られて、ずるずると捲れ上がっていく。
白い——下着が見えた。子供用の——シンプルな白い下着。
結城くんの指が——下着の上から、ぐにぐにと尻肉を揉みしだいている。
「ん——♡ やっ——♡ リト——話——聞いてっ——」
怒りたいのに——身体が声を裏切る。
結城くんの指が——下着の縁から中に入った。白い布地を横にずらして——直接、素肌を。
「んっ——♡♡」
美柑ちゃんの腰が——びくんと跳ねた。
そして——結城くんが、美柑ちゃんのお尻を——こちらに向けた。
美柑ちゃんの頭は——結城くんの胸の方。お尻は——玄関の方。つまり——私の方。
わざと——だ。
下着をずらした手で——両方の尻たぶを、左右に開いた。
「——」
声が——出なかった。
穴が——開いていた。
美柑ちゃんの——肛門が。
さっきまでプラグが入っていた穴が——閉じきれずに、ぽかんと——開いていた。
暗い廊下の中でも——わかる。あの小さな穴が——括約筋が弛緩したまま——丸く——。
すう——と。
玄関から流れ込む夕方の空気が——美柑ちゃんの開いた穴を撫でた。
ぶるっ——♡
美柑ちゃんの全身が——震えた。小刻みに——背中全体が、ぞくりと粟立った。
「ひゃ——っ♡♡」
甲高い——声。
「な——なに——っ♡ 何か——入ってきた——冷たい——っ♡♡」
空気——だ。ただの——外気が。開いた穴の中に、すう、と入り込んだだけ。
美柑ちゃんの身体が——それだけで、びくびくと震えている。腸壁の粘膜に——外気が直接触れて——。
結城くんの手が——さらにお尻を左右に引き開いた。
ぐっ——と。容赦なく。小学生の小さな尻を——両手の指で、最大限に。
穴が——もっと開いた。
(——っ‼)
ドアの隙間から——見えた。
赤い——内壁。薄いピンクが混じった赤。つやつやと——粘液に濡れて光っている。腸壁の——ひだが。柔らかく——波打って。
グロテスクなはず——だった。
グロテスクなはずなのに——美しかった。
小学生の——白い肌。薄い脂肪に覆われた柔らかなお尻の丘。その谷間の奥に——ぽかんと開いた、赤い穴。純白の下着がずれたまま——太腿に引っかかっている。
人形のような——肌の白さと。内臓の——生々しい赤。
その対比が——残酷なほど——綺麗だった。
「あ——♡♡♡ やだ——リト——開かないで——♡♡」
美柑ちゃんの声が——泣きそうに震えている。
「変な感じ——する——♡♡ お腹の中——すぅすぅする——♡♡♡」
空気が——穴の中に入り続けている。閉じられない穴に——外気が侵入して——内壁を冷やしている。
美柑ちゃんの腰が——ふるふると震えていた。
「リトのばか——♡♡」
怒っている——はずなのに。声は——甘い。
「あたしの——こんなとこ——開いて——♡♡ 古手川さんに——見られたらどうするの——♡♡」
見られて——いる。
今——まさに。
私は——ドアの隙間に張り付いたまま——三メートル先の、小学生の肛門の内部を——凝視していた。
結城くんが——穴の中に、両手の人差し指を差し入れた。
ぬるっ——♡
「ひっ——♡♡♡」
指が——穴の縁に引っ掛かって——左右に、ぐいっと。
さっきより——もっと、開いた。
赤い腸壁が——さらに露出する。ひだのひとつひとつが——見える。てらてらと光る粘膜の皺が——ぴくぴくと蠕動している。生きている——内臓の動き。
美柑ちゃんの身体が——がくがくと震えた。
「や——♡♡♡♡♡ やだ——♡♡♡♡♡ 見ないで——リト——♡♡♡♡」
「見てない——見てないって」
結城くんが——笑いながら言った。見ていないのは——結城くんだけだ。穴を開いているのが結城くんで——見ているのは——私。
「うぅ——♡♡」
美柑ちゃんが——結城くんのTシャツに顔を埋めた。
「ばか——ばか——ばかっ——♡♡♡♡」
小さな拳が——結城くんの胸を、ぽかぽかと叩いている。力なんか——入っていない。いじけた子供の——ぐずりの動作。
でも——お尻は、結城くんの手の中にある。逃げていない。逃げる気が——ない。
穴を開かれたまま——いじけている。感じながら——怒っている。
美柑ちゃんの腰が——くねっ、と動いた。
無意識——だ。開かれた穴に入り込む空気に——身体が勝手に反応して——腰が、淫らにくねる。
「リト——♡♡」
「ん?」
「——もう——お尻元に戻してよ——♡♡♡」
美柑ちゃんの声が——泣き声と甘え声の中間で——結城くんのTシャツに吸い込まれていく。
結城くんは——指を動かさなかった。
穴を——開いたまま。赤い内壁を——晒したまま。
「戻してほしい——?」
「うん——♡♡♡♡」
「じゃあ——『お兄ちゃん、ごめんなさい』って言ったら——閉めてやるよ」
「なんで——あたしが謝んの——っ‼♡♡」
美柑ちゃんが——顔を上げた。涙で濡れた目が——結城くんを睨んでいる。
でも——睨みながら、腰が——また、くねっと動いた。
結城くんが——片手で美柑ちゃんのお尻を押さえたまま——もう片方の手で、自分のズボンのベルトを外した。
がちゃ——と、金具の音。
ジッパーを——下ろす。布擦れの音が——静かな廊下に、やけに大きく響いた。
ズボンが——膝まで下がった。ボクサーパンツの上から——もう、わかる。
布地を——押し上げている。硬く——太く——脈動するように。
結城くんが——パンツの腰ゴムに指を引っ掛けて、下ろした。
陰茎が——跳ねるように飛び出した。
(——っ⁉)
私は——ドアの隙間に張り付いたまま、息を止めた。
大きい——。
あのプラグよりも——遥かに。
怒張した竿が——薄暗い廊下の中で、鈍く光っていた。カリの部分が——きのこのように張り出して——幹から先端まで、太い血管が浮き上がって脈を打っている。先端が——すでに透明な液で濡れて——てらてらと。
あのプラグは——美柑ちゃんの穴を「準備」していたのだ。
これを——入れるために。
結城くんが——美柑ちゃんの開いたままの穴に、先端を当てた。
ぴたっ——と。カリの丸い頭が——弛緩した括約筋に触れる。
「——っ♡♡」
美柑ちゃんの背中が——びくんと反った。
「や——リト——まっ——♡♡」
美柑ちゃんが——慌てて結城くんのTシャツを引っ張った。
「古手川さん——帰ったばっかり——なのに——♡♡」
声が——裏返っていた。焦り。羞恥。でも——その下に——期待が、滲んでいる。
「ずっと我慢してたんだから——いいだろ?」
結城くんの声が——低く、穏やかだった。
「美柑が——あのプラグ入れて、古手川の前で頑張ってる間——ずっと、こうなってた」
先端を——穴の入り口に押し付けたまま——ぐりっ、と回すように動かした。
「あ♡——あ♡♡——だめ——ぇ♡♡♡」
「いいだろ——?」
返事を——待たなかった。
ずぶ——♡♡♡
腰を——ゆっくりと、押し込んだ。
プラグで広げられていた穴が——陰茎の先端を、するりと飲み込んだ。括約筋が——カリの傘の部分をぬるっと呑み込んで——その先の、竿の太さに——ぎゅう、と締まる。
「あっ——♡♡♡♡——入って——くるっ——♡♡♡♡♡」
美柑ちゃんの声が——壊れた。
さっきまでの——「ばか」も「恥ずかしい」も——全部、吹き飛んだ。
ずぶ♡——ずぶぶ♡——ずぶぶぶ♡♡♡——
ゆっくりと——奥へ。一センチずつ——内壁の凹凸を確かめるように。
美柑ちゃんの穴が——陰茎の形に沿って、ぬるぬると開いていく。プラグで慣らされた粘膜が——人間の体温を持った異物を——シリコンとは比較にならない熱量を——受け入れていく。
「あ♡♡♡——あ♡♡♡——あっ♡♡♡♡——おっきい——♡♡♡♡♡——プラグより——ぜんぜん——♡♡♡♡♡♡」
美柑ちゃんの両手が——結城くんのTシャツから離れた。力が——入らない。指が——廊下のフローリングの上を、ぱたぱたと叩いている。
身体が——受け入れることだけに集中している。他の動作が——全部、止まった。
結城くんの腰が——根元まで押し込まれた。
ずぷん♡♡♡——
「——ぁ♡♡♡♡♡♡♡——————」
美柑ちゃんの目が——見開かれた。口が——大きく開いて——声にならない息だけが漏れた。
全部——入った。
小学生の小さな身体に——結城くんの陰茎が、根元まで。
「——♡♡♡♡♡♡」
美柑ちゃんの全身が——ぶるぶると震えている。内臓を——押し広げられている。腸壁の襞が——一つ一つ、陰茎の形に押し潰されて——密着している。
結城くんが——ゆっくりと、腰を引いた。
ずるっ♡——
「ひぁ♡♡♡♡——」
抜けかける感触。内壁が——陰茎に吸い付いて、一緒に引っ張られる。ぴんくの粘膜が——穴の入り口から少しだけ、めくれるように外に引き出される。
そして——また、押し込む。
ずぶっ♡♡♡——
「あっ♡♡♡♡♡♡——」
ゆっくりと——往復。内壁の凹凸を——一つずつ、なぞるように。カリの傘が——腸壁の襞を一枚ずつ押し開いて——通過するたびに——美柑ちゃんの身体が、びくっと跳ねる。
ずる♡——ずぶ♡——ずる♡♡——ずぶ♡♡——
「あっ♡——あっ♡♡——やっ♡♡——リト♡♡♡——」
美柑ちゃんの声が——止まらなかった。
我慢——できていない。さっきまで古手川さんの前で完璧に演じていた「しっかり者の妹」が——声を制御する力を、完全に失っていた。
結城くんの腰が——速くなった。
ずぷっ♡——ずぷっ♡♡——ずちゅっ♡♡♡——
「あ♡♡♡——あ♡♡♡♡——あ♡♡♡♡♡♡——だめっ♡♡♡♡——声っ——出ちゃ——♡♡♡♡♡♡」
もう——出ている。廊下に——美柑ちゃんの喘ぎ声が反響している。天井と壁と床に——甘い声が跳ね返って——私のいる玄関まで、はっきりと届いている。
「我慢——しなくていいだろ。古手川はもう帰った」
結城くんの声だけが——冷静だった。腰の動きとは裏腹に——呼吸すら乱れていない。
帰って——いない。
帰っていないのを——結城くんは知っている。
ぱんっ♡——ぱんっ♡♡——ぱんぱんっ♡♡♡——
結城くんの下腹が——美柑ちゃんの小さなお尻にぶつかる音。肉と肉が——叩きつけられる破裂音が、リズミカルに刻まれていく。
美柑ちゃんの身体から——力が、抜けていた。
腕が——だらんと、フローリングの上に投げ出されている。足が——結城くんの腰の横で、ぶらぶらと揺れている。自分の力では——何も支えられない。人形のように——結城くんの腰の動きに合わせて、ゆさゆさと揺すられているだけ。
結城くんが——美柑ちゃんの身体を持ち上げた。
軽々と——片腕で。
美柑ちゃんの背中を——フローリングの床に、べたっと押し付けた。
そして——両足を掴んだ。
美柑ちゃんの両足首を——結城くんの両手が握って——頭の方へ——ぐいっと押し込んだ。
美柑ちゃんの身体が——二つ折りになった。
膝が——美柑ちゃん自身の耳の横まで押し込まれる。腰が——持ち上がって——お尻が天井を向く。背中だけが床についている。
マングリ返し——だ。
美柑ちゃんの股間が——剥き出しになった。スカートが——重力で顔の方にずり落ちて——下腹部が丸見えになる。白い下着は——もうとっくに、太腿の途中までずり下がっている。
陰茎が——まだ刺さったままだ。根元まで。その接合部から——透明な粘液が、つう、と垂れている。
結城くんが——美柑ちゃんの上に覆いかぶさった。
体重を——かけた。
上から——押し潰すように。
美柑ちゃんの小さな身体が——結城くんの体重で、さらに二つ折りに圧縮された。膝が——床に押し付けられて——腰が完全に浮いて——。
そのまま——腰を、振り下ろした。
ずどんっ♡♡♡♡♡——‼
「ひぃっ♡♡♡♡♡♡♡——————‼‼」
真上から——垂直に。重力と体重を乗せた一撃が——美柑ちゃんの腸の一番奥を突き上げた。
身体が——跳ねる場所がない。床と結城くんの身体に挟まれて——衝撃の逃げ場がない。全部——内臓で受け止めるしかない。
どんっ♡♡♡——どんっ♡♡♡♡——どどんっ♡♡♡♡♡♡——
結城くんが——美柑ちゃんの身体を、杭のように打ち込み始めた。
上から——下へ。重力に従って。腰を持ち上げて——落とす。持ち上げて——落とす。
単純な——反復運動。射精のための——動き。
美柑ちゃんの身体は——もう、人間の動きをしていなかった。
結城くんが腰を打ち付けるたびに——全身が、びくんびくんと跳ねるだけ。意思のない痙攣。声すら——途切れ途切れの、壊れた音になっていた。
「あ♡——あ♡♡——あ♡♡♡——あ♡♡♡♡——♡♡♡♡♡♡——」
目が——白く反転しかけている。涙が——こめかみを伝って、髪の中に流れ込んでいる。唇が——半開きで——唾液が糸を引いて頬に垂れている。
イッている——のだ。ずっと。
一回の絶頂が終わらないうちに——次のピストンが、次の絶頂を押し上げている。波が——重なって——一つの巨大なうねりになっている。
ばちゅんっ♡♡♡♡——ばちゅんっ♡♡♡♡♡♡——
粘液が——飛び散っていた。結合部から——白濁した泡が弾けて——美柑ちゃんの太腿を、結城くんの下腹を、べちゃべちゃと汚している。
廊下に——水音と肉音と、壊れた喘ぎ声が——反響していた。
「あ♡♡♡♡♡♡♡——リ——♡♡——リト——♡♡♡♡♡♡——しゅご——♡♡♡♡♡♡——」
言葉に——なっていない。舌が——まともに動いていない。
「——ぃく♡♡♡♡♡♡——また——ぃく——♡♡♡♡♡♡♡♡——」
美柑ちゃんの全身が——びくんっ♡♡——と大きく跳ねた。三度目——いや、四度目か。もう——数えられない。
結城くんの腰が——止まらない。
美柑ちゃんの絶頂など——関係ないかのように。締まる穴を——さらに貫いて——突き上げて——。
道具——だ。
結城くんにとって——今の美柑ちゃんは——射精するための道具。
あの「いい子だ」と頭を撫でていた手が——今は、小さな足首を掴んで——身体を折り畳んで——自分の快楽のために使い潰している。
ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡♡♡♡——‼
リズムが——加速した。
結城くんの呼吸が——初めて、わずかに乱れた。
「——美柑」
低い声——が、落ちた。
美柑ちゃんの意識が——あるのかないのか。半開きの目が——虚ろに天井を見ている。口から——「あ♡♡♡♡♡♡」という音が、自動的に漏れ続けている。
結城くんの腰が——深く——最も深く——沈んだ。
美柑ちゃんの身体を——上から、全体重で、押し潰した。
ぐちゅうぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡♡——————
「——っっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡——‼‼」
美柑ちゃんの背中が——床から浮いた。結城くんの体重の下で——弓なりに反り上がった。あり得ない——人間の筋力では不可能な反り。全身の筋肉が一斉に痙攣して——無理やり押し上げた。
どくっ♡♡——どくっ♡♡♡♡——どくどくどくっ♡♡♡♡♡♡♡♡——
射精——している。
結城くんが——美柑ちゃんの腸の一番奥で——精液を——吐き出している。
美柑ちゃんの身体を——潰すようにして。体重を全部——腰に集めて——一番深い場所に——注ぎ込んでいる。
美柑ちゃんの口から——声が消えていた。
目が——完全に白く反転している。口が——開いたまま。舌が——だらんと横に垂れている。
意識が——飛んでいた。
びくっ——びくっ——びくっ——
身体だけが——反射的に痙攣を繰り返している。主人のいない——空っぽの身体が、子宮の奥に注がれる熱量に反応して、勝手に震えているだけ。
結城くんが——ゆっくりと、腰を引いた。
ずるっ——ぬぷっ——。
陰茎が——美柑ちゃんの穴から、抜けた。
穴は——さっきよりもっと、開いていた。プラグの時とは比較にならないほど。
奥から——白い液が、とろっと溢れ出した。美柑ちゃんのお尻の谷間を——ゆっくりと伝って——フローリングの床に、ぽたっと落ちた。
美柑ちゃんは——動かなかった。
マングリ返しの姿勢のまま——自分では戻れない。足が——結城くんに放されて、ぱたんと床に倒れた。
目は——閉じている。口は——半開き。頬が——涙と唾液と汗でべしゃべしゃに濡れている。
結城くんが——立ち上がった。
ズボンを——上げた。ベルトを——締め直した。
何事もなかったように。
そして——しゃがんで。
美柑ちゃんの身体を——抱き上げた。
お姫様抱っこ——だ。
小さな身体が——結城くんの腕の中に収まった。美柑ちゃんの頭が——結城くんの肩にこてんと預けられて——ぐったりとした腕が、だらんと垂れている。
結城くんが——歩き出した。
玄関に——向かって。
私の——方に。
足音が——近づいてくる。
一歩。二歩。三歩。
ドアの隙間の——三メートル先が、二メートルになり——一メートルに——。
私は——逃げなかった。
逃げられなかった。金縛りのように——ドアに張り付いたまま——動けなかった。
結城くんが——ドアの前に立った。
隙間の——向こう側に。
目が——合った。
結城くんの——あの涼やかな目が、ドアの隙間を通して——まっすぐに、私を見ていた。
知っていた——のだ。最初から。
私が戻ってくることも。覗いていることも。全部見ていたことも。
結城くんの表情は——穏やかだった。汗すら——ほとんどかいていない。
腕の中の美柑ちゃんが——すう、すう、と寝息を立てている。気絶から——眠りに落ちたのだ。安らかな顔。結城くんの腕の中が——世界で一番安全な場所であるかのように。
結城くんが——にっ、と笑った。
あの——あっけらかんとした、爽やかな笑み。
「——こんな感じ」
声が——聞こえた。ドアの隙間越しに。
「こんな感じ」——と。
今の全部が——「こんな感じ」。
アナルプラグも。紐のリードも。キスも。挿入も。マングリ返しも。射精も。意識を飛ばすほどの絶頂も。
全部——「こんな感じ」。
日常——なのだ。この二人にとっては。
結城くんが——美柑ちゃんの頭を、空いている方の手で——ぽん、と撫でた。
あの手つき——だ。「いい子だ」の手つき。
美柑ちゃんが——眠ったまま、ん——♡、と小さく声を漏らした。
「じゃあな——古手川」
結城くんが——ドアの隙間に向かって、言った。
ドアが——内側から、ぱたんと閉められた。
鍵が——かちゃっと、かかった。
今度こそ——本当に。
私は——結城家の玄関の前で、膝が崩れた。
ローファーの踵が——アスファルトに引っかかって——そのまま——しゃがみ込んだ。
スカートが——地面に広がった。構わなかった。
両手で——口を押さえた。
声が——漏れそうだった。何の声か——自分でもわからない。悲鳴か。嗚咽か。
(——全部——見た——全部——)
目を——閉じても。
赤い腸壁が——見える。
陰茎が穴に沈んでいく光景が——見える。
美柑ちゃんの白目が——見える。
「こんな感じ」の笑顔が——見える。
(——消えない——消して——消えない——‼)
夕暮れが——終わろうとしていた。空が——オレンジから紫に変わっている。
住宅街の——静かな夕闘。どこかの家から——テレビの音。晩ごはんの匂い。犬の鳴き声。
日常——が、私の周りにある。
私だけが——日常の外にいた。