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目を覚ました彩花(あやか)は、上半身だけをベッドから起こしてぼうっと周囲を見回す。
「……」
寝起きなこともあって彩花の鋭い眼差しも今は穏やか。事情があってパジャマが着られない彩花はキャミソールにショートパンツ姿で、美しい身体の稜線は大部分があらわになっている。キャミソールの細い紐は肩から滑り落ちていて、彩花は肩紐を元に戻しながら、カーテンから差し込む陽光に目を細める。
「ん……」
きらめく朝の光に照らされると、クールな雰囲気の強い顔もどこか柔らかな印象に見える。
ベッドの隣に顔を向ければ、そこには少年――翔(かける)が眠っている。
長い前髪に隠れて目元は見えないが、すやすや寝息を立てる彼はまだ夢の中にいるらしい。穏やかな寝息を聞いていると心地よくて、彩花は翔の小さな頭をそっと撫でる。
(……嘘みたい)
こんなに安心しきった朝を迎えられることを不思議に思うのは、彩花が某社のスパイだったからだ。
厳しい訓練をこなす日々はとても安寧とは遠く、スパイとして潜入すれば一秒だって気を抜けない。精鋭揃いのスパイ組織の中でもエースだった彩花は二ヶ月前、とある製薬会社への潜入をするよう組織から指示を受けた。
(違法薬物……それに不正……)
その製薬会社が違法な薬物を製造している、との情報が入ったのだという。
彩花の任務は、製薬会社に潜入し、彼らの不正を暴くこと。
簡単ではなくとも、特段難しい任務でもないはずだった。彩花はいつも通り、十分な警戒の上で製薬会社に潜入したが――敵の罠にかかり、捕らえられてしまったのだ。
(あの時は――)
うつむく彩花の頭の中、敵に捕まってからの日々が駆け巡る。
●
罠にかかった彩花は、地下実験室に運び込まれた。
「……」
全身にフィットするラバースーツは脱がされ、彩花は製薬会社の上層部たちの前で裸体を晒していた。
スパイとしての訓練の中で、己の裸を晒すことへの羞恥を押し殺すすべは心得ていた。男たちに囲まれてた全裸の彩花は表情一つ変えないまま、後ろ手にかけられた手錠を外す方法を静かに考えていた。
「まさかスパイが潜んでいるとはな」
忌々しげに呟く男の一人が、注射器を手に彩花に近付く――拘束されて不自由な身体をひねり、全力で抗おうとするも叶わず、彩花はその薬を打ち込まれてしまった。
「ッく……!」
途端に全身が熱を帯び、裸身が赤く色づく。
「ぅ……くうっ……!!」
たまらない性衝動に苛まれて膝をついてしまった彩花に、男たちはにじり寄る。
「や……やめなさい! 来るなッ!!」
鋭く叫ぶも彩花の裸身は取り押さえられ、彼らは肉棒を突き立てる。
「うぅうッ!!」
膣肉に押し込まれる剛直が不快なはずなのに、薬物の影響を受けた彩花の秘芯はたっぷりの水気を帯びてしまっていた。
「この女、もう濡れてやがる!」
「やはり媚薬効果はバッチリだな」
笑いながら、男たちは彩花の膣穴を穿ち、豊かなバストを荒っぽく揉みしだく。
「触るなッ……やめろ、ッぁあ――やめろッ……!!」
猛然と抵抗を示すも、背中で手錠がガチャガチャ鳴るだけで彼らを押しのけることすら出来ない。
「乳首にも媚薬を塗ってやるぞ」
「もちろん、クリトリスにもな!」
犯されている間も、怪しげなクリームを持った男たちの手が迫る。
素肌にクリームが塗り込まれると、その場所から淫熱が膨らむ。
「やめ――ッううう……!!」
歯を食いしばっても嬌声が漏れてしまう。
「ふ……っく、ううッ……!!」
媚薬に神経を狂わされ、望まないレイプなのに感じてしまう彩花。
(でも……助けは、来るはず……!)
強制的にエクスタシーに追い込まれ、身悶えしながらも、自分の所属するスパイ組織が助けに来るはずだと信じる彩花。
――しかし、いつまで経っても彩花の元へ助けは来なかった。
●
「っは……ぁあ……っ! っ……!!」
その日も凌辱され尽くして、彩花は床に倒れていた。
連日にわたる輪姦凌辱と媚薬調教のせいで、彩花の身体は淫靡に作り変えられてしまった。豊かなバストの先端はちょっとの刺激にもオーガズムを覚えるほど敏感になり、クリトリスもすぐに勃起してしまう。身体の他の部分も敏感になってしまって、今や誰かに貫かれるたび、彩花は抗いながらも深く達してしまうほどだった。
「明日からは次の段階に進むか」
彩花を散々犯した男は、倒れたまま快感に震える彩花を見下ろしてそう呟く。
「ですね、全身を性感帯にして――ああ、入墨の準備もしないと」
「どんな卑猥な文字を入墨にしてやるか楽しみだな。それと、ピアスもだ」
「乳首とクリトリスにピアス開けてやったら、どんな声で鳴くんでしょうね?」
「まだ女スパイぶって生意気ですんで、人格矯正もしましょうか」
(――!!)
恐ろしい調教計画を耳にして、彩花はゾッと総毛立つ。
(そんなこと、絶対にさせない……!!)
本格的な、不可逆の調教は明日から行う予定のようだ。つまり逃げ出すなら今日のうちでなければいけない。そう理解して、彩花は一か八かの脱出を試みる。
――運の良いことに、彩花はその日の夜、裸のまま研究所を抜け出すことに成功した。
本当なら時間をかけて、衣服や連絡手段などの最低限の持ち物を確保してから逃げたかったが、時間がなかったせいで何も持たない真っ裸で逃げるしかなかった。何とかして製薬会社の研究所を抜け出した彩花だが、夜風が裸身に触れるたびに狂いそうな快感が募り、しばらく走ったところで道端に倒れてしまった。
(ああ……わたし、もう……)
連日の凌辱の疲れが祟った。
快感と疲弊に脚はガクガク震えて動かず、彩花の意識は今にも途切れそう。
這うようにして人目のない路地裏までは逃げられたが、そこで完全に身動きは取れなくなる――ここまでか、と観念して目を閉じかけた時、彩花の目の前に一人の少年が立った。
「あの……大丈夫ですか……?」
声変わりもまだの高い声で尋ねる彼こそ、翔だった。
近道を探して路地裏に入った翔は裸で倒れる彩花を見つけたのだ。心配そうな表情の翔を前にして、彩花は素早く思考を巡らせる。
(誰かに知られたらまずいわね。黙らせるには――)
口封じの方法はいくつも思いつくが、今の彩花に出来るのは身体を差し出すことくらい。
「……わたしの身体は好きにして良いわ。だから――このことは、誰にも言わないで……」
言いながら、自ら股を開く彩花。
初対面の少年に身体を使われるのはぞっとしないが、生き延びるためにはそれしかない――そう覚悟を決めた彩花を前に、翔は着ていたパーカーを脱いで。
「これ……着てください。ぼくの秘密基地があって、ハンモックもあるから……そこで休みませんか?」
「……」
パーカーを差し出しながらの言葉に、彩花は静かに彼へついていくことにした。
秘密基地に着いて少し休めば、彩花は少しは元気が戻る。翔は水筒のお茶を渡しながら、遠慮がちに問いかける。
「……えと、なんで、倒れてた……んですか……?」
「……。ちょっと、仕事に失敗したの」
それ以上のことは言わない彩花に、翔も尋ねようとはしない。
ぽつぽつと言葉を交わして、彩花は翔のことを知った。翔くらいの年齢の子どもが出歩くには遅い時間だと思っていたが、翔もまた帰る場所がないのだという。
「そういうことなら、わたしが借りているマンションにいても良いわ」
「え……いいんですか?」
尋ねる翔の顔に、希望の光が差し込む――こうして二人は、一緒に暮らすことになったのだ。
●
(それから少し経つけど、平和そのものね)
ベッドから起き上がった彩花は、いつものように朝食の支度を進める。
製薬会社への潜入をしてから数えれば二ヶ月が経っている。製薬会社の本社と研究所からは車で三十分ほどの距離にあるこのマンションで翔と共に暮らし始めてからは平穏そのもので、製薬会社からもスパイ組織からも接触はない。
(静かな分には良いけれど――)
考えていると、遅れて起きだした翔がリビングにやってきた。
「おはよう。朝ごはんの準備をするから、顔を洗ってきて」
「おはようございます……」
まだ眠たそうに目をこする翔に微笑む彩花は、朝食のパンの準備を。
洗面所から水音がしたかと思えば、顔を洗い終えた翔が戻ってきた。顔を洗って目が覚めたらしい翔は改めて彩花に目を向けて、それからぽっと頬を染める。
(き、今日も……すごい格好だ……)
長袖長ズボンのパジャマを着た翔に対し、彩花はキャミソールにショートパンツ姿。
製薬会社での調教で媚薬漬けにされた彩花は肌が敏感になりすぎて、服を着ることもままならない状態。翔はそれらの事情は知らされていないものの、必要があって露出の激しい服を着ていることくらいは分かっている。
頭では理解していても、年頃の男の子としては成熟した女性の素肌はあまりにも目に毒だった。
「バターと……ジャムは何がいいかしら」
「えと……いちごジャムを……あ、お茶の準備しますね」
朝食の支度をする彩花のそばで翔は手伝いに取り掛かる。
二人の振る舞いはごく自然で、年齢差さえ考えなければ付き合いの長い同棲カップルのようでもある。二人で協力すれば朝食の支度はすぐ済み、翔と彩花はダイニングテーブルに向かい合って朝ごはんを食べる。
「……」
マグカップの紅茶を飲みながら、ちらっと彩花に視線を向ける翔。
シャープな美貌は何度見ても惚れ惚れするほど美しく、長い髪がサラリと揺れるところは芸術品のようですらある。
(最初に見たときから、きれいな人だと思ってたけど――)
裸で路地裏に倒れ込む彩花を見た瞬間、翔は雷に打たれたような衝撃を覚えたのだ。
事情ありげな彼女を秘密基地に匿い、ここで一緒に暮らすようになったのだって、彩花があまりにも完璧な美を誇っているから。いつまで見ていても飽きないほど麗しい彩花の姿に、翔はそばにいるだけで鼓動が速くなってしまう。
そんな美しい彼女が谷間の覗くキャミソール姿で座っている姿を見ると翔は下半身がムズムズして、ついつい紅茶をこぼしてしまう。
「あ……っ」
「大変、拭きましょう」
タオルを手にした彩花はすぐさま翔に近付いて、ズボンにそっと手を伸ばす。
「ぼ、ぼくがやります……!」
ズボンの膨らみに気付かれてしまいそうで慌ててそう言う翔――そんなハプニングはありながらも、今日一日も穏やかに過ぎていく。
●
平和な一日が終わり、夜になっても、翔は彩花のことで頭がいっぱい。
(うう……)
目を閉じると、彩花の胸元やショートパンツから伸びる脚、サラサラの髪が瞼の裏に現れて落ち着かない。同じベッドで眠る彩花の香りもたまらなくて、翔はもどかしくパジャマを下ろし、自分のペニスを握り込んで秘めやかに自慰行為を始める。
(からだ……すごい、きれい……)
翔に背を向けて眠る彩花に見惚れて、翔は一心に陰茎をしごく。
キャミソールの背中からあらわになった形良い肩甲骨に、くびれたウエスト。そして女性的なヒップの円みを見ていると手の動きはどんどん早くなって、そう時間を置かずに翔は精を放ってしまう。
「ぁ……!」
小さく声を漏らして、青い淫欲に身を委ねる翔。
ぴゅるっと勢いよく発射した精液は、彩花のお尻にかかってしまう――ハッと目を見開いた翔は、大慌てで傍らのティッシュを引き抜く。
(か、かけちゃった……!)
彩花のヒップを包むショートパンツに、白いものがこびりついてしまった。
そっと手を伸ばし、慎重にティッシュで精子をぬぐう。しかし布地は早くもシミを作ってしまっていて、完全には取りきれない。
(やっちゃった……ぼく、最低だ……)
性の高揚感はたちまち失せて、嫌悪の念でいっぱいになってしまう翔。
そそくさとオナニーの後始末を済ませると、翔は苦い後悔を抱いて眠る……すう、と穏やかな寝息を立てる翔の隣で、今度は彩花がモゾモゾと動きだす。
(今……オナニーしてたわね)
翔に背を向ける形で目を閉じてこそいたが、彩花は眠っていなかった。
衣ずれの音から、翔が自慰行為に耽っていることは分かっていた。男性器をしごき上げる微かな摩擦音と翔の荒い呼吸を間近で聞いただけでもドキドキした彩花は、ショートパンツのお尻に熱いものがかかった時は思わず声を上げそうになってしまったほどだ。
(わたしのこと、そういう風に想っているのは分かっていたけど……)
翔との二人暮らしの中で、翔から熱を帯びた視線を受けることはあった。
年頃の男の子が、女盛りの二十四歳と一緒に暮らしているのだ。しかも彩花は媚薬の後遺症のせいで露出の激しい服を着ているから翔には刺激的に過ぎるのだろう。
翔が自分に気持ちを向けていることは分かっていて、彩花も決して悪い気はしない。大人しくて遠慮がちなところはあるものの確かな優しさを持つ翔は好ましく、翔と一緒にいると温かな気持ちになるのだ。
そんな翔が、自分の隣で――おそらく自分をおかずにオナニーをしていたのだ。彩花はドギマギしてしまって、ヒップに触れた精子の熱に気持ちが収まらない。
(わたしで射精したの?)
眠る翔に思いを馳せながら、己の下腹部に手を添える彩花。
お尻に精子がかかった瞬間、その場所が――子宮がキュンと疼いたような気がした。