鷹村蘇芳は夏服ホットパンツのショタ美脚を探られて…痴漢の犯人は制服美少女 作:高牧園
(これが満員電車か……)
鷹村蘇芳は、朝のホームに立ったまま、物珍しそうに周囲を見回した。
残によれば、朝の満員電車には痴漢が出ることが多いらしい。
女性を大切にするCLAMP探偵団としては、そんな状況は放っておけない。
蘇芳は満員電車に乗って、女性たちを守る心づもりなのだ。
幸い、蘇芳には武術の心得がある。
大の大人に囲まれようと、絶対に勝てる……そんな自信を持って、蘇芳は電車に乗り込んだ。
(確かにギュウギュウだな。身動きが取れないではないか)
通勤・通学のピークタイム真っ只中の電車内は、ほとんど身動きが取れない。
蘇芳と違って武術の心得がない者であれば、痴漢をされても抵抗もろくにできないだろう。
(まったく、痴漢とは卑劣なものだな)
卑劣さに怒りを覚えながらも、蘇芳は周囲の様子を伺った。
痴漢を見付け、退治するために、蘇芳は女子生徒の近くに立っている。
彼女たちは制服からしてCLAMP学園の生徒ではなさそうだが、学外の者であっても女性ならば守らなくてはならない。
そう心に決めて、蘇芳が色の薄い瞳を周囲に巡らせた時――
「!」
何かが、蘇芳の太ももに触れた。
(これは、手か?)
手は、蘇芳の背後から伸びている。
姿勢を変えるのも難しいほど混雑した車内、振り向いて犯人の顔を見ることは叶わない。
(おおかた、近くの女性と間違えたのだろう)
考える間も、犯人の手は蘇芳の太ももを指先で押して、その弾力を楽しんでいる模様。
夏服を着用する蘇芳の腕や脚の露出は激しい。
腕は二の腕がすべて出ているし、ホットパンツ並みに短いズボンはハリのある太ももを丸出しに。
少年らしく直線的な太ももを、犯人の指先はつぅっと滑った。
「……!」
この手は、間違って触っているのではない。
蘇芳の身体だと分かって、意図的に触っている……!
(一体、誰が……!)
身動きも取りにくい電車の中、首だけで振り向こうとした時、
どんっ
「……!」
カーブに合わせて車内の人々の身体が傾いで、蘇芳は前から押されてしまう。
倒れることなく踏みとどまることは可能だが、そうすれば蘇芳にぶつかったOL風の女性とぶつかって痛い思いをさせてしまうかもしれない。
そう思うと、蘇芳は軽く下がり、衝撃をやり過ごすことしかできない。
「――」
半歩ほど下がった蘇芳の身体が、蘇芳の後ろにいた誰かと触れる。
(この人が……)
いまだに太ももを撫でまわし続ける手は、きっとこの背後の人物の手。
許すまじと思う蘇芳だが、同時に、触れ合った身体から伝わってくる感触が気になった。
痴漢と聞いて、蘇芳がイメージしたのは卑劣な男の姿。
だが、蘇芳が背中を触れ合わせた人物は――おそらく、女性なのだ。
(これは、どういうことだ?)
混乱する頭を振ると、青髪が揺れると同時に女性の服がこすれる音が聞こえる。
サラサラとした、薄手の布が重なる音に、蘇芳はとっさにセーラー服の胸元を飾るスカーフを連想する。
(セーラー服を着た女性……ということは……!)
考えから犯人像を描き出した蘇芳は、首をひねって後ろの女性を目にする。
「うふ」
目が合うと、淑やかに彼女は微笑む。
同時に、蘇芳の太ももがつるりと撫で上げられる。
自らが犯人だと暴露するような行動に、蘇芳はカッと頬が熱くなった。
(ばっ……バカにするな!)
この場を離れてしまえば、彼女はこれ以上の狼藉を働けない。
そう思った時、ちょうど電車が停まり、ドアが開いた。
人波をかき分けて行けば、電車を降りて彼女から離れることだって出来るだろう。
蘇芳がそう考えて一歩踏み出しかけた時、
「逃げないで」
彼女は呟いて、蘇芳の手首に指を絡める。
腕を引かれた、ただそれだけのこと。
「な……!?」
だが、それだけで蘇芳は彼女を振り払えなくなってしまう。
(この女性……只者ではないな)
武術に秀でる蘇芳は、彼女が尋常でない身体能力を秘めていることを看破した。
(剣道の経験者か? かなりの手練れだろう)
大人顔負けの能力を持つ蘇芳をしてそう思わせるほどに、セーラー服の袖から伸びる彼女の細腕は、確かな体軸を持っている。
(この状況は、まずいぞ)
本気を出せば振り払えるかもしれないが、ここは満員電車。
周囲の女性に危害を加えず、彼女だけを制圧することは不可能だ――。
ガタン、と電車が揺れて、再び動き出す。
逃げるチャンスを失った蘇芳の背後、少女の両手は蘇芳の二の腕をそっと包み込む。