ラ・ピュセル生存記録 ―その後のボクとリップルとスノーホワイトと― 作:神谷萌
「今日、見回り終わったあとのことなんだけどさ」
ある日の放課後。いつものように、市街地のどこかの雑居ビルの屋上。
ラ・ピュセルが切り出した。
「スノーホワイトもリップルの
「えっ……」
言われて、スノーホワイトは一瞬面食らってしまう。
「えっと……リップルはいいの?」
スノーホワイトは、リップルに視線を移して訊ねる。
「来てくれると嬉しい」
リップルはそう答える。スノーホワイトに “声” は聞こえてこない。来られるのが嫌ならリップルの “困っている声” が聞こえてくるはずだ。
「じゃ、じゃあ、お邪魔しようかな……」
スノーホワイトは少しおずおずとしつつも、笑顔で言った。
ラ・ピュセルはいつものように笑顔だ。リップルは無表情なようでいて、険のない、明らかに明るそうな表情をしている。大丈夫そうだ。
──── 2人を支えたい、応援したいと言っておきながら、2人の間に自分の居場所を作ろうとしている自分がいる。スノーホワイトはそれを自覚していた。
トップスピードと4人で行動していた頃は、うまく2対2で分かれる事ができたし、年長で既婚者のトップスピードがうまく仕切ってくれていたが、彼女が出産の為に離脱してからは、スノーホワイトは、3人の中で1人浮いている感じを自分の心の中から消せなかった。
加えて。
魔法少女になりたての頃は、変身中、 “困っている人の声” が無差別に聞こえてしまい、たまにパニックに陥ってしまう事が何度かあったが、ファヴとクラムベリーの事件後、それを
だが、それでも至近距離にいれば嫌でも聞こえてしまう。
“困る” という感情は、存外簡単に発生するものだ。他者から見て順調に回っているように見えても、本人はなにか不満を感じている、などという事は珍しくない。
つまりどういう事かと言うと、2人の恋愛事情のかなり生々しいところまで、スノーホワイトは否応なく知ってしまう事になる。
スノーホワイトは、恋愛的な嫉妬をしているつもりはなかった。ただ、自分が置いていかれているような感覚があって、切なく感じるのは止められなかった。
──── 普通のスマートフォンの方で、母親に外泊する旨のショートメッセージを送信した。
深夜。
一度交換されてはいるものの、それでもこの中の誰より年上という年季の入った玄関扉の中で、唯一、真新しいシリンダー錠に、リップルが鍵を差し込んで解錠する。
「変身は解かないでおいて」
ラ・ピュセルにそう言われ、スノーホワイトのその姿のままだった。
リップルもその姿のまま。ラ・ピュセルも “変身した状態” だ。最近のラ・ピュセルの “本来、変身を解除している状態” の時は、すっかり凝ってしまっている ── ただし未だにスカートは履かないらしい ── 他所行きのお洒落をしているか、オーバーサイズのシャツにジャージのパンツというラフな格好、という両極端の何れかだ。 ──── 閑話休題。
「どうぞ」
先に中に入り、玄関灯と通路を兼ねている台所の照明を
「お邪魔します」
と、スノーホワイトは玄関をくぐった。ラ・ピュセルはその後に続いている。
とは言え、スノーホワイトがここに来ることは初めてではない。週末の昼間にここに来ている事は今更珍しいという程でもなかった。
「ちょっと、スノーホワイトは台所で待ってて」
リップルがそう言い、ラ・ピュセルと2人で、事実上の居間である和室に入っていった。
── 散らかってるのかな?
スノーホワイトは、一度はそう考えるものの、
── そうちゃんには、見せても平気なんだ。
どうしても考えがそこまで進んでしまい、切ない。
目の前の引き違い戸越しに中が見える訳ではないが、なんだか疎外感を感じて、部屋の扉に背を向ける。
生活臭のある台所が見える。レンジフードではない換気扇には目立つほどではないが油汚れがあり、ほとんどがリサイクルショップで揃えたという、シンプルな電気炊飯器、電子レンジ、オーブントースター、VE魔法瓶、小型の冷蔵庫が置かれている。
最近交換したのか、年式は旧いが使用感が一度消されている両面焼グリル付のガステーブルと、CF式風呂釜から交換された外部給湯機能付きFF式風呂釜の台所リモコンだけが、場違いに21世紀を主張している。
「…………」
今までは、リップル、細波華乃が1人でなんとか生活してきた空間なのだろう。
── でも、今は。
仲良く並んで料理している2人の後ろ姿が、幻視されたような気がした。
「スノーホワイトー」
後ろの扉が開き、ラ・ピュセルが呼ぶ声が聞こえてきた。
スノーホワイトは、ビクッ、と背中を撥ねさせてしまう。
「いいよ、中に入って」
「う、うん」
そう言って、スノーホワイトは、慣れているはずの場所に、妙に緊張しながら入る ────
「!?」
部屋に入ったところで、目の前の状況が理解できず、スノーホワイトは停止した。
ラ・ピュセルとリップルが、ともに一糸纏わぬ裸体で立っている。
「え、え!? これ、どういう事……」
「ほら、こっちに来て」
何が何だか分からない。目の前の状況に理解が追いついていないスノーホワイトを、ラ・ピュセルが手を握って手繰り寄せる。
「スノーホワイトの衣装は……あ、こうか」
ラ・ピュセルが背中から衣装を探ったかと思うと、スノーホワイトは、あれよあれよという間に脱がされてしまった。その間に、リップルに頭飾りを外される。
「え、えっと、その」
スノーホワイトは、何をどうしていいのかわからないまま、2人と同じように全裸にされて、反射的に手で局部を隠そうとするものの、逃げよう、抵抗しようという考えに至れない。
「スノーホワイト、綺麗」
リップルの声が聞こえてきた。
── 綺麗って、え? 私が? 2人の方がおっぱいも大きくてスタイルいいのに?
思考が錯綜するスノーホワイトの頭は、そんな事を考えてしまっていた。
「ほら……」
リップルがスノーホワイトを自身の方に向けさせ、そのまま抱き寄せる。
背後から、スノーホワイトの肩にラ・ピュセルの手が、重さを感じさせないように載せられた。
思考の錯綜が改善されないまま、スノーホワイトが、肩の手に妙な安堵感を覚えていたら、リップルの顔が迫ってきて、そのまま唇を重ねられた。
── リップルの顔……
眼の傷が痛々しいが、それでも綺麗だった。
── そうちゃんが見惚れるのも解る…………ってそうじゃなくて!
スノーホワイトが、ようやく、内心で現状にツッコミを入れられたかと思ったら、その直後に、
「じゃあ、今度はボクと」
と、身体ごとくるっと後ろを向かされたかと思うと、今度は逆に、リップルにそっと肩を押されながら、ラ・ピュセルにキスされる。
「ぷは……、なんで、2人とも、こんな事……」
「嫌?」
スノーホワイトが意図を問い質す言葉を出すと、リップルがスノーホワイトに囁く。
── え? 嫌?
スノーホワイトが、それを肯定すべきなのか疑問を持ってしまった隙に、
「よいしょっ」
と、2人に軽々と身体を持ち上げられ、お尻を付くかたちで布団に転がされてしまう。
自然と、脚を開いた状態で投げ出すような姿勢になっていると、スノーホワイトの秘所に、2人の指がその恥丘を軽くつつき始めた。
「優しくね?」
「わかってる」
ラ・ピュセルの言葉に、リップルが返す。
もう、何をされるのかはスノーホワイトにも解っている。
でも、どうしたらいいのか解らない。
本当に解らなかった。
最初は小さなすじをラ・ピュセルの指が優しくなぞり、スノーホワイトの小さな秘所を優しく綻ばせる。
最初にラ・ピュセルの指がそこに侵入して、すぐに、リップルの指も入り込んだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ただでさえ混乱している頭に、身体から熱が昇ってくる。
「ひゃう!」
ラ・ピュセルの指がまだ陰唇を優しくなぞっているうちに、リップルは少し勢い余って、スノーホワイトの膣内に指先を進めてしまう。
「痛かった?」
リップルが訊いてくる。首を横に振った。
「嫌? やめて欲しい?」
── えっと、えっと……
耳元で囁いてくるリップルの問いかけに、スノーホワイトは、思考が完了するより早く、
「嫌じゃない」
と、口から声が出ていた。
混乱と驚愕はあった。抵抗もあるにはあった。ただ拒絶は最初からなかった。なんのかんの言っていつも安心をくれる2人だからというのも大きかったかも知れない。ただ、それよりも ────
「スノーホワイト、私達の間に自分の居場所作ろうとするから」
リップルが囁いてくる。
「でも、私はその気持ち、解るの」
そうだ。リップルは、細波華乃はそうだった。家族とすら上手くいかず、いつも1人きり。トップスピードに出会って、私達に会って ────
「だから、居場所は作ってもいい。その代わり、私達がいいという所まで降りてきて」
── あ。
そう言う事か、と妙に納得した。実際、自分は2人の “隙間” に入ろうとしていた。ただ、その “隙間” が、自分が思っていたより深かった。
だから、今回の事は、言ってしまえば2人の “隙間” に入ろうとした自分への罰 ────
── 罰!?
スノーホワイトの思考がそこまで巡って来た時、その単語に酷い違和感を覚えた。
── 大切な人が、それも2人も、私を受け入れてくれているのが “罰” なんて、あり得ない!
「あっと……スノーホワイト?」
ラ・ピュセルの声が聞こえてきた。
「やっぱりやりすぎだよねこれ……やめる?」
スノーホワイトは、首を左右に振る。
「やめないで……やめちゃ嫌」
「え……う、うん、わかった」
スノーホワイトの答えに、ラ・ピュセルは、少し戸惑いつつ、その背中を支えるように抱え上げる。
「ラ・ピュセル、あれやってあげて」
「え……小ゆ……スノーホワイトにやって大丈夫かな」
── なんの事かは、わからないけど。
「して……」
「え、う、うん、じゃあ、キツかったらちゃんと言ってね」
スノーホワイトからの要求に、ラ・ピュセルは念押ししながら、改めてスノーホワイトの秘所に手を伸ばす。
「すごいのよラ・ピュセル。女を “オスイキ” させるから」
「ちょっ、言い方」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルは、困惑した声を出しつつも、それを始めた。
「ひ、ひゃ、ひゃぅ!」
スノーホワイトは、強い刺激に嬌声を漏らす。人差し指の腹でクリトリスを強めに擦られながら、親指と中指で尿道口の周りを圧迫するように擦られる。
「キツいけど、一度やられると病みつきになる」
リップルは、そう言いつつスノーホワイトの性器を観察しながら、自分の指をその膣に優しく沈める。
「ひゃ、ひゃっ、ぴゃっ、ひゃっ……」
強い刺激に収縮する膣で、リップルの指を何度も締め上げさせられる。
「キツくない? 大丈夫?」
── キツいけど、やめないで。
声に出せない。
「あ、ふぁ、あっ、はぁっ……ぁ、はぁぁぁ……っ」
スノーホワイトは、自身の肢体が収縮しようとするような感覚に陥った。その芯に感じる熱が最大になった時、まるで小水を漏らしたかと思うほどの潮を吹き出した。
後ろからリップルに抱きとめられ、そのリップルを振り返るようにしてキスしてもらう。
声には出せなかったが、態度でキスをせがんだのはスノーホワイトの方だった。リップルとも改めて絆をつなぎ直したいとの欲求がそうさせた。
キスと並行して、スノーホワイトの慎ましい乳房をリップルが弄んでいる。そして、スノーホワイトの脚の間に身を屈ませたラ・ピュセルが、スノーホワイトの秘所を舌で弄んでいる。陰唇を丁寧に舐め取られ、スノーホワイトに快楽を与えてくる。
── わかった、そうなんだ。
感情と身体からの快楽の両方に浮かされながら、スノーホワイトは理解と決意をする。
── もう、ラ・ピュセルは
以前の “そうちゃん” なら、絶対、 “守るべき姫” にこんな事をするはずがなかった。今、 “ラ・ピュセル” はリップルの騎士なのだと。
── でも、それは元々、私が言い出した事だから。
それは理解していた。その上で都合よく居場所を作ろうとしていた自分がいた。そうしたら、どんな形であれ居場所を作ってくれた。
── だから、これからは、私が2人の騎士にならないと。
自分が居られる場所はそれだ。2人からしたら、頼りないかも知れないけれど。
甘い快楽に身体を蕩かされながらも、スノーホワイトは心の中で強く決意した。 ──いずれははっきりそうだと言えるようになりたいと。
覚書
リンナイ RF-863FFS-SAB
本編もよろしくお願いします
『ラ・ピュセル生存記録 ―魔法少女育成計画Bloopers―』
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