ラ・ピュセル生存記録 ―その後のボクとリップルとスノーホワイトと― 作:神谷萌
「買っちゃったね……」
「…………」
全裸で、なぜか正座して向かい合っているラ・ピュセルとリップル。
その間に置かれている某大手通販サイトの箱。
開いたその箱に入っている、つい最近、リップル、細波華乃の誕生日が来るまでは届いちゃいけない代物。
ラ・ピュセルは苦笑し、リップルは、ラ・ピュセルから目を逸らしがちにしつつ赤面している。
身体の繋がりができた ──── とは言っても、女性の身体同士だと、その深くまで入り込む器官がないため、その深度に不満が出てきた。
加えて ────
ラ・ピュセルが精神的に男であるために、かえって行為のバランスが悪くなりがちだった。
つまり、簡単に言うと「一緒に気持ちよくなれない」のだ。
向かい合って各々手で弄ったり、貝合せと呼ばれる行為も試したりしたが、いまいち満足できずにいた。
加えて。
とっくに性交渉をしている間柄なのに、身体的には処女のままというのも妙な、不満というか居心地の悪さを感じていた。
ただ、それらの不満はあくまで “手段の不足” なのだ。所謂 “性の不一致” とはまた違った。
なので ────
買ってしまった。
ペニスバンドを。
“繋がりたい” “お互いで感じ合いたい” という欲求だから、装着部が貫通していて、付属するディルドはその両端どちらもが男性の逸物の先端を模している双頭型のやつである。
ついでに。
“最初は痛い” という普遍的な情報から、ローションまで購入してしまった。特に変な興奮剤・刺激剤の添加がないタイプだ。
「か、開封するよ?」
「うん……」
自分から手を伸ばせずにいるリップルに対して、ラ・ピュセルの方が、顔を真っ赤にしつつもおずおずとそれに手を伸ばす。
包装を開封する。それ自体はなんてこともない行為なのに、羞恥と興奮が混じった微妙な表情で、それを取り出していく。
タグの類を外したところで、一度それを箱に戻す。
「じゃ、じゃあ、その、リップルの方から先に……ボクにしてもらっていい?」
ラ・ピュセルは、頭の高さで両手を振りながら、照れや羞恥を誤魔化すように笑いつつ、そう言った。
「…………なんで?」
リップルが訊き返す。
「ほ、ほら、最初痛いって言うけどさ、自分で最初に経験しておけば、相手にはどうしちゃいけないかとか解るような気がするからさ……」
「それは……どっちも同じことなんじゃ……」
ラ・ピュセルが苦笑したまま言うと、リップルはそう返す。
「やっぱり、女の子は大事にしたいし? ましてカノジョなら、なおさら……」
「今はお前だって女の身体でしょ」
「まぁそうだけど……」
リップルに言い返されて、ラ・ピュセルは、苦笑を決まり悪そうな物に変えて、後頭部を掻く仕種をする。
「で、でも解った、わ、私がやっていい……のね?」
「う、うん」
リップルが動き出し、のそのそと箱の近くまで寄る。
ラ・ピュセルは、いつも情事に使っている、古い煎餅布団の方にころん、と寝転んだ。
「チッ……」
「え!?」
リップルが舌打ちしたので、ラ・ピュセルは何があったかと身を起こしかける。
「大丈夫。なんでもない」
「う、うん」
実際にはなんでもなくはなかったのだが、なんでもないと言ってしまっていい些事だった。単に、ローションの方の包装が剥がされていなかった。ただ、それでも今は、それがもどかしく感じてしまった。
ボトルのキャップを外し、片側の先端に滴るほどのローションを塗りつける。
「これぐらいでいいのか?」
どれぐらいが適正なのかわからないが、とりあえず滑らないところがないように塗りつけてから、その反対側を手に持って、ラ・ピュセルの方を向く。
そっと近寄っていく。
「……これが男の子の姿?」
「うっ……」
リップルが少しだけ意地悪そうに言い、それに対してラ・ピュセルは決まり悪そうな顔をする。
準備万端とばかりに脚を開いた上、その被裂はもう綻んで、陰唇からジクジクと滲み出始めている。
「でも、私が好きな証拠でしょ?」
「ふぁっ、ふっ!」
リップルが、言いながら、ラ・ピュセルの浅いところを指でくちゅくちゅとかき回すと、ラ・ピュセルは甘い声を漏らした。
「じゃあ、行くよ」
左手の指を退かし、右手で持っていたディルドの先端をあてがう。
ゴクリ……
どちらもがそこを凝視して、喉を鳴らす。
じゅっぷ……
ディルドの先端が、ラ・ピュセルの膣内に侵入する。
最初は割とすんなり入っていくように感じられた。
「あはは、思ったより簡単に入って ────」
ゴリッ、ブチッ
「──── っひっ、ぐっ……!!」
途中でディルドの抵抗が大きくなったかと思うと、ラ・ピュセルが、目を見開いてくぐもった悲鳴を漏らした。
「い、痛いの!?」
リップルが慌てて聞くと、ラ・ピュセルは、痛みに顔を
一旦、痛みのない、浅い所まで引き戻す。
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……」
ラ・ピュセルは、しばらくの間、深く息をして、痛みによる緊張を解こうとする。
「あ……でも、もう一度やってみて……」
息が整ってきたところで、まだ涙目のまま、ラ・ピュセルはそう言った。
「でも……」
流石に、リップルは相手の身を案じて眉を
「リップルにされるんだったら、多分我慢できると思うから……」
ラ・ピュセルは、潤んだようにも見える目をリップルに向けて、言う。
「無理しないでよ?」
「う、うん」
自分の言葉にラ・ピュセルが返事をするのを待ってから、力を入れつつもゆっくりと挿入していく。
「ひ……ぎっ、い……だ……ッ」
「大丈夫? 無理じゃない?」
反射的に漏れるラ・ピュセルの声に対して、リップルが心配そうに訊く。
ラ・ピュセルは、「大丈夫?」の問いに、コクコクと必死に頷く。
それを何度か繰り返しているうちに、これ以上はもっと力を入れないと入っていかない、という所まで進んだ。
「こ、これ以上は無理に入れない方がいいみたい……」
「かは……はっ、はーっ……はーっ……」
奥まで挿し込まれたまま、ラ・ピュセルは痛みに堪えようと深い息を続けていた。
「大丈夫?」
「はーっ……はーっ……あふ、痛み、引いてきた……ただ、奥、ちょっと、苦しい……かも」
切り裂かれるような痛みがジンジンとした鈍いものに変わるが、まだ、異物感、圧迫感が強かった。
「い、入り口のあたりは、ちょっときもちい、かも」
指でいじり合っていたあたりは、そこから愛液がたっぷりと出てしまっている。その愛液に、破瓜の血が混ざって溢れてきた。
「ちょっと、動かして……みて?」
「こ、こう?」
ラ・ピュセルが荒い息をしたまま言うと、リップルは、ゆっくりとした動きでディルドを抽挿させてみた。
「ぐっ、くっ、……ぐっ……はっ……」
ラ・ピュセルは布団のシーツを掴み、くぐもった声を上げる。
「大丈夫なの?」
リップルに訊かれ、ラ・ピュセルは、まずこくこくと頷いてから、
「よくわかんなっ……まだ、痛いけど……やめて欲しく……な……っ」
声こそ苦悶しているが、顔の紅潮や身の捩りは痛みによるものではないように見えた。
「あっ、こ、これっ、イっちゃ……っ」
普段の、そこそこ大人びて凛々しい顔が見る影もなく崩れ、圧迫感に舌を出しつつも、ラ・ピュセルは女のオーガズムを迎えた。ディルドの中間点あたりに向かって潮を吹く。
「はーっ、はーっ……はーっ……」
ぐったりとした様子は、最初、辛そうに見えたが、
「はぅっ! あー……はー、はーっ、はーっ……」
と、ディルドを引き抜かれると、今度は余韻で蕩けた表情になって、少しの間、横になっていた。
「そう言えば……ラ・ピュセル、というか、颯太の、男のムラムラってすることないの?」
ラ・ピュセルの身体が落ち着くまでの間に、リップルがそんな話を切り出した。
「なんか、リップルらしくない質問……」
「ネットで調べたのよ! お前のことを気にして!!」
ラ・ピュセルの言葉に、リップルはぶっきらぼうな口調で返した。
「ネットなら……ボクもいろいろ調べたんだけど……性同一性とか……」
言いながら、ラ・ピュセルは身体を起こすと、凄く気まずそうな顔になった。
「ボクの場合、男のムラムラは確かにあるんだけど、女の身体にもついてるものはついてるし、それでわりと発散できてるっていうか……」
「み、身も蓋もない……!」
「ホントに大丈夫?」
ラ・ピュセルが訊ねる。
お互いの立場が入れ替わったかたちだ。
「お前だってやった。私にだってして欲しい」
「それなら……するけど……ホントに最初、マジで痛いからね?」
「解ってるから……さっさとして!」
顔を真っ赤にしつつ、リップルは布団に横たわる。すでにそのシーツを掴んでしまっていた。
「じゃあ、行くよ? 本当に無理だったらそう言ってよ?」
ラ・ピュセルは、そう言いながら、ローションを漬け直したディルドを持ち、その先端をリップルの秘所に充てがう。
ぐちゅ……
「んっ、ふぁっ……」
挿入を始める。自分と同じように、普段から充分にほぐされている浅い部分を進んでいる間は、甘い声が漏れる。
やがて、やはりラ・ピュセル自身と同じように、抵抗が強まる部分があって ────────
グニッ、プチッ……
「ん、く、
リップルの表情が、一瞬歪む。身体が強張る。
「や、やっぱり痛い?」
不安げな表情になって、ラ・ピュセルが問いかけるも、
「…………」
と、リップルは、苦しんでいる、というより、驚いたような表情をしている。
「リップル?」
「えっと、確かに痛いんだけど……あ、あまり大したことないっていうか……」
少し表情を、痛みではなく自分に呆れたように引きつらせながら、リップルはそう言った。
「ええーっ」
ラ・ピュセルの方は、ショックを受けたような表情になる。
自分と同様に、溢れてくる愛液に血が絡み始めている。処女の破瓜があったのは間違いないだろう。それでも自分より痛みはずっと軽いようだった。
「これって……個人差大きいらしいから……」
痛みというより、快楽でゾクゾクとするように背を震わせつつ、リップルは苦笑しながら言う。
「それは知ってたけど……」
ラ・ピュセルも言う。どちらもWebからの知識だった。
実際の年齢差も関係あるのだろうか。それとも
「あ、でもリップルが辛くないなら、それでいいや」
と、ラ・ピュセルはそう言って、一度身を乗り出してキスをする。
その後、自分がしてもらったのと同じように、ディルドをリップルの膣奥までゆっくりと、優しく推し進める。
「っつ、痛ぅ……んっ、んっ……」
リップルは、痛みに一瞬表情を歪ませ、声を漏らすものの、やはり激しく悲鳴を上げる程ではなかった。
「少し……乱暴に動かしても大丈夫みたい」
「本当?」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルは少し不安そうな表情で訊き返す。
「ああ」
「じゃあ……」
リップルの答えを待って、ラ・ピュセルは、ゆっくりと、ただ、自分がして貰った時よりもリズミカルに動かしていく。
「ふぁっ……はっ……はぁっ……んっ、はぁっ……」
リップルは、悩ましげな声を漏らし、瞬間的な痛みを伴いつつ快楽を味わっていく。
「はぁっ、あっ、イク、イクッ……ッ!!」
リップルの身体がオーガズムに運ばれ、強張ったようになり、ディルドを握るラ・ピュセルの手に潮を吹きかけた。
「ちょ、ちょっと待って…………本当にするの?」
戸惑った声を出すものの、据え膳になりましたとばかりに布団の上に転がっている。
「不満?」
双頭ディルドをバンドに取り付け、内側を向いた先端を自分の膣に押し込み、アジャスターを締めつつ、近寄っていく。
「最初はボクの方からしてあげたかったんだけどな」
「でも、まだそんな余裕ないでしょ?」
布団の上のラ・ピュセルの言葉に、まるで男の逸物が備わったような姿のリップルが、問いかけるように言う。
ラ・ピュセルの方は、痛い痛いと騒ぐ段階ではなかったものの、まだ膣奥まで挿入されたまま身動きできる程でもなかった。
「それとも、やめとく?」
「…………」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルは視線を逸しつつ僅かに押し黙った後、
「する」
と答えた。
すでに無防備な姿のラ・ピュセルに、リップルはその脚の方から覆いかぶさるように近付いていく。
「行くよ」
「うん」
ディルドの外側の先端が、ラ・ピュセルの秘所にあてがわれる。
ずっ
「んひゃっ……」
リップルが腰を突き出して挿入を始める。侵入を受けて、ラ・ピュセルは小さく声を上げた。
ゆっくりと、ラ・ピュセルの中にディルドを沈めていく。
「はぁ……はぁぁ……はぁ……」
ラ・ピュセルは、上ずったような声を混ぜて、息を漏らして喘ぐ。
「んっ、ふっ……」
ラ・ピュセルの膣に押し返されたディルドが、リップルの側にも押し込む力を働かせる。リップルが鼻から甘い声を漏らす。
「はぁ……はぁ……まだ痛い……?」
自分も熱っぽい息をしながら、リップルは気遣って問いかける。
「ま、まだ少しだけ。で、でもそれ以上に気持ちいいかも」
「そ、そう……はぁ……はぁ……」
リップルは熱い息をしながらも、口元に笑みを浮かべながら、ゆっくりと抽挿を始める。
「ん、は、ぁっ、ぁっ……」
熱に浮かされたような表情で、ラ・ピュセルは声を漏らしていく。
「リップル……気持ちい……」
「ラ・ピュセル……」
普段は “男性” の感覚で観ているラ・ピュセルが、今日は年下の同性に見える。
── かわいい。
リップルは、素直にそう感じた。
「はぁっ……ん……ぁ……っ」
リップルの方も声を漏らしながら、腰を前後に動かす。
リップルの女性器からも愛液が滴り、バンドの隙間から溢れ出す。いくらかがディルドを伝わっていって、ラ・ピュセルのそれと混じり合う。僅かだがリップルの愛液がラ・ピュセルの膣に入っていく。
── こいつがしてくれる時は……
リップルはそれを思い出し、上半身をより深く前に倒す。
ちゅっ……
「んちゅ……ちゅ……」
しながら、顔を近づけてキスを交わす。
「はっ、はっ、リップル、ボク、イきそう……」
顔が再度離れたところで、切なそうな表情を熱に浮かされて紅くしたラ・ピュセルが息を荒くしながら言う。
「うん、……一緒に、イッてあげる、から……っ」
「うん、……は、は、は、はぁぁ……ふぁっ……」
ラ・ピュセルは、上ずった声を上げながら、軽くビクビクしつつ、身体をこわばらせる。
「んっ、は、ぁっ……」
絶頂によってラ・ピュセルの膣圧が強くなったからか、ディルドが押し返されて来てリップルの膣奥に食い込む。
「ぁ、ぁぁっ……」
ラ・ピュセルが女性のゆっくりした絶頂をしている中、その身体の上で、リップルも自身の身体を絶頂に昇らせていった。
「はーぁ……最初はしてあげたかったんだけどな」
情事に使った煎餅布団を片付け、
「そんなに悔しかった?」
「悔しいとは……ちょっと違うんだけど」
そうは言うものの、ラ・ピュセルは、なんとなく納得できない様子でいる。
「私が甘えるばかりじゃなくて、たまには甘えられたいし」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルはその顔に視線を向ける。
「私にも……年上の矜持ってものがあるから」
ネタの根源はだいたいホークビットさんとこの同人誌のせい。
っつーかあの作品のスノーホワイト、ラ・ピュセル殺されたらクラムベリー殺すんじゃないか?
本編もよろしくお願いします
『ラ・ピュセル生存記録 ―魔法少女育成計画Bloopers―』
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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