ラ・ピュセル生存記録 ―その後のボクとリップルとスノーホワイトと― 作:神谷萌
晩春の空が白み始めた頃。
華乃の家の和室は、四幅布団を敷いて、毛布をかけて寝ている華乃と、その隣で寄り添うように横になりつつも、毛布や布団のたぐいはかけず、あられもない格好で寝てしまっているラ・ピュセル ── 颯太がいる。
部屋の片隅には、某浦安植民地テーマパークのお土産袋が4つほど置かれている。
「ん……」
華乃が、覚醒して目を開いた。身を起こす。
枕元から、docomoモデルなのにau系のSIMが入れられているスマートフォンを手に取り、画面を点灯させた。
「え、もうこんな時間!?」
華乃は声に出して言ってしまってから、少し慌て気味に周囲を見回し、ラ・ピュセルが隣で横になっているのに気付いて、そちらに視線を向ける。
半睡眠状態で、自分の声にも反応しない状態でこっくりこっくりしている颯太の姿を見て、盛大に溜息をついて目元を手で覆った。
「ははは……ごめん」
畳の上にあぐらをかいて座りながら、ラ・ピュセルは決まり悪そうに苦笑する。
「まぁ、最初から泊まっていく予定だったんだし、いいけど」
華乃はそう言いつつも、呆れたような顔をしている。
途中、休憩や食事を挟んだとは言え、行き帰りの往復数時間、華乃がずっと運転しっぱなし。日付が変わる頃に帰り着いた頃には、全身が強張ってしまっていた。
少し仮眠したいと、華乃は、せいぜい長くて3時間ぐらいのつもりで、布団に横になったのだが、より深く眠ってしまったらしい。
ラ・ピュセルは、その華乃に添い寝して、その寝顔をじっと見ているうちにうつらうつらし始めて、そのまま一緒に寝てしまった形だ。
「早くボクが免許取りたいよ。ボクは疲れにくい身体だしさ」
ラ・ピュセルがボヤく。そのボヤきの言葉を発してから、視線で華乃の動きを追い直した。
華乃は、お土産の袋を持って一旦和室を出ていった。洋間のドアの音が聞こえたかと思うと、わずかに経って華乃は戻ってきた。
「え? なんでわざわざ……」
ラ・ピュセルが訊くと、
「流石に、他人に渡すおみやげの前、それも夢の国の包みの前ではしたくなかったから」
と、華乃は答えた。
「え?」
ラ・ピュセルは間の抜けた顔になってしまう。
「するの? 今から?」
「しないの?」
華乃の方も、素の、どこか緊張感に乏しい表情で聞き返す。
「えっと」
ラ・ピュセルは、華乃の表情を読むように見てから、
「したい」
と、答えた。
四幅布団を一旦片付け、情事に使っている古い煎餅布団の方を敷き直す。
華乃が、リップルに変身する。
「よっ、と」
それに合わせて、ラ・ピュセルも “本来、変身を解除している状態” から、変身した状態にする。衣装が変わり、尻尾が出現する。
──── 以前、交際が肉体関係に進んだばかりの頃、
「我ながら、変な格好だな」
今そうしたように、ラ・ピュセルの目前で……性交渉の為に変身したところで、リップルはそう言った。
「そうかなぁ?」
「魔法少女って言ったら、スノーホワイトやトップスピードみたいな格好が普通じゃないのか?」
苦笑混じりに疑問形の声を出したラ・ピュセルに、リップルは、キョトン、としながら訊き返した。
「あー、うーん……トップスピードはどっちかって言うと魔法少女っていうより、1970年代頃の “魔女っ子” のカテゴリだけどね」
頬を掻く仕種をしながら、ラ・ピュセルはそう言う。
「今のバトル系魔法少女モノは2004年の初代『キューティーヒーラー』からのムーブなんだけど、その初期のキューティーヒーラーのイメージは割とリップルに近かったりする」
古典魔女っ子モノから最新シリーズ、深夜枠までという筋金入りの魔法少女オタクが、そんな説明をする。
「そうなんだ」
「スノーホワイトみたいなフリフリのデザインは結構最近の方なんだよね」
ラ・ピュセルの説明を聞きつつ、リップルは自身の姿を自分で見る仕種をする。
「ボクは初期のキューティーヒーラーの方が好みでさ」
「ふうん」
ラ・ピュセルの、聞きようによってはデリカシーに欠けた発言に、しかしリップルは、その時は特に気にした様子もなく聞き流したように見えたのだが ────
いつものように、片サイドポニテを結っている手裏剣型の髪飾りを外そうとして、リップルはその手を止める。
「ねぇ」
「ん?」
リップルの声に、すでにほとんど脱いでしまっているラ・ピュセルが反応する。
「今日、着たまましてみたい」
「えっ」
リップルの唐突な提案に、ラ・ピュセルは軽く驚いたような声を出した。
「そ、それは……」
“着エロ”。本来、事実上の高校浪人1年目の男性が触れるべき情報ではないとされるが、オタクコミュニティにずっぷり浸かっている身として、それが定番中のプレイだとは知っている。魔法少女コスプレでは割とありがちな方だとも。
軽く狼狽えるラ・ピュセルを見て、リップルは、イメージに合っているようであまりしない、悪意を感じさせるニヤッとした笑みを口元で浮かべながら、
「私の衣装、好みの方なんでしょ?」
と、自分を抱くような姿勢で、衣装に包まれたままの胸を強調するようにしながら、そう言った。
ラ・ピュセルは、ゴクリ、と喉を鳴らす。
「えっと、それっ、困る……んじゃないの?」
「洗濯が必要になるかもしれないけど、試してみたい」
ラ・ピュセルが、リップル側のリスクを口にするものの、リップルはそれを押し切るかのように言った。
「…………」
ラ・ピュセルは、僅かな間、赤面しつつ視線を伏せがちにしたが、
「その、お、お願いします……」
と、結局そう言ってしまった。言ってしまってから、気まずそうに視線を逸らす。
「じゃあ、座って」
「え、えっと?」
「ご奉仕、してあげる」
「ちょっ」
リップルの口からそんな言葉が出てきて、ラ・ピュセルは驚き戸惑う。
「なんかさっきから、リップルらしくない言葉だと思うんだけど!?」
「お前を喜ばせたいし、知識を仕入れる手段はあるし」
「仕入れるって、どこから……」
リップルの答えに、ラ・ピュセルが重ねて問い返す。
すると、リップルは自分のスマホを指差した。
「私は天下御免でそう言う
「そうでした……」
自動車運転免許の取得ができるという事は、つまり、そういうことである。
「だから」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルは、もう一度ゴクリ、と喉を鳴らしてから、ぺたん、と煎餅布団に座り、脚を開いた。
リップルは、衣装から下駄と手袋だけ外すと、そこに軽く覆い被さるようにしながら、衣装をつけたままのリップルが抱きつく。
「ん……」
ちゅっ……
リップルの方から近付いていき、ラ・ピュセルがその身体を抱きとめる形で、キスをする。
未だディープキスに至らないが、とてもフレンチキスとは思えないような、しっとりとした押し付けを何度も繰り返す。鼻からの吐息が徐々に熱くなってくるのをお互い感じる。
「んっ……」
一旦少し離れる。口腔内に入れるわけではないが、名残惜しそうに小さく飛び出たラ・ピュセルの舌先を、リップルが一度軽く吸う。
ラ・ピュセルの表情がとろん、としているのを確認してから、リップルは顔の位置をラ・ピュセルの下の方へとずらしていく。
リップルは、くちゅくちゅ、と、口腔の中で舌を捏ねるようにして唾液を口先に貯めると、その唾液を舌に絡めて、その舌でラ・ピュセルの乳首を舐めた。
「ん、ふぁ……」
ラ・ピュセルが甘い声を出しながら、ピクピクと小さく身体を反応させた。
「気持ちいい?」
一度、乳首から僅かに口を離して、訊ねる。
「う、うん……」
「乳首も女みたいな感度よね」
「そこは男でも敏感なところだよ!?」
リップルの言い
とは言え、ラ・ピュセルは、精神と身体の性別が一致しない性別不合自体は起こしている。ただ、精神が異なる性別の身体に対する拒否を起こしていない。この為、苦痛がないどころか、精神と身体の間に効率ほぼ100%の整合器が入っているかのように反応する。
精神が男として勃起を予期させる興奮を覚えれば、女性外性器が疼き、湿る。
特に ────
ちろっ
「ひゃんっ!!」
更に下へと移っていったリップルの舌先が、ぷっくりと膨らんで先端を包皮から飛び出させたラ・ピュセルのクリトリスの先端を舐めた。
ラ・ピュセルの背中が一瞬跳ねるような反応をする。
「り、リップル、そこ……っ」
「痛い?」
リップルが、視線をラ・ピュセルの顔に向けて問う。
「ちょっと痛い感じもするけど、そのっ…………」
「気持ちいいでしょう?」
ラ・ピュセルはこくん、と頷く。
耳年増度では下手したらトップスピード以上のラ・ピュセルだが、女性の身体の歴としては18年超と1年未満の差がある。
リップルは、窄めた舌のごく先端でチロチロとラ・ピュセルのクリトリスの先端を少しの間刺激し続けた後、指先でそっとラ・ピュセルのクリトリス包皮を剥がすようにして、クリトリスの露出を増やす。
リップルは、ぺろ、ぺろ、と、より舌の広い面積を使って、ラ・ピュセルのクリトリスを舐め上げる。
「はぁ……はぁ……」
意識をラ・ピュセルの反応に傾けると、どこかうっとりしたようにしつつも、熱っぽい息に甘い声を絡めている。
リップルは舐め続けながら、指を1本、すでに開いてとろとろと愛液を垂らしているラ・ピュセルの膣口に差し込んだ。
「んふ……ぁっ……」
クリトリスを舐められながら特別太くもないリップルの指1本を挿し込まれて、ラ・ピュセルの膣はきゅうきゅうとそれを締め上げる。
「あ、は、あ、ぁ、リップル、ボクッ……」
ラ・ピュセルが、身体を浮かせるように跳ねさせたかと思うと、そのままオーガズムに放り込まれて、かなり激しい潮吹きをする。
「ごめ、ぼ、ボクイッちゃって……」
はぁはぁと荒い息をしながら、ラ・ピュセルが申し訳無さそうに言うと、
「イカせたんだ」
と、自分の手指に着いたラ・ピュセルの潮を舐め取りながら、リップルはそう返した。
「はぁ……はぁ……」
ラ・ピュセルが息を整えていると、リップルは、準備された双頭ディルド型のペニスバンドをラ・ピュセルに差し出すようにする。
「えっと……」
ラ・ピュセルが戸惑った声を出す。
「私がした方がいい?」
「あ…………ぼ、ボクがする!」
リップルの言葉に、ラ・ピュセルは、そう言って、ぐったりしていた身体を起こして、半ばひったくるようにペニスバンドを受け取る。
準備するためにラ・ピュセルが
「んん……っ? あれっ、ちょっとキツい、な……」
ラ・ピュセルは、ペニスバンドの内向き側を自分の膣に挿入しているが、強めの絶頂をさせられたばかりで膣壁が充血していて、もう慣れているはずの張り型が入り込む感覚が、過敏に感じられる。
「んんっ、くっ……くっ……はぁっ……」
なんとか自分の奥まで押し込んで、アジャスターを締める。
ラ・ピュセルの身体に、まるで男の逸物が着いたかのような姿になる。
「はぁ……はぁ……」
ラ・ピュセルは熱っぽい息をしながら、ローションの瓶を手に取る。正確な適量はわからなかったが、全体がぬめるように塗っておく。
そして、リップルの横たわっているその足元に寄る。膝を曲げて屈み、
「えっと、見るね」
「ああ」
と、リップルの了承を得てから、その和風調のミニスカートをたくし上げた。
「え……うわ……」
下着の両脇から愛液が漏れ出して、内腿を濡らしている。
つい、その下着のクロッチをずらして、その下を観察してしまった。
めくる前の印象よりも更にびちょびちょで、しかも露わになった秘裂は待っていたとばかりに軽く綻び、中から更に愛液が溢れ出してくる。
「え、えっと……」
「その、好きな相手が善がっているところ見れば、女だってこうなる……い、今はお前だって解るでしょ!」
つい照れ隠しで、リップルは、少しぶっきらぼうに言ってしまう。
「それは、まぁ……」
ラ・ピュセルは曖昧な返事をする。半分だけ理解できるが、純正の女性の場合は、男性の妄想と思っていた。
「えっと、じゃあ……」
ラ・ピュセルは、リップルの衣装の下着を下ろそうとするが、
「だから、今日は衣装のまましたいって」
と、リップルが、顔を真っ赤にしながらそう言い、ラ・ピュセルの手を押さえた。
「えっと……」
ラ・ピュセルが戸惑っていると、リップルは、先程ラ・ピュセルにされたように、下着のクロッチをずらす。
「え……いいの?」
“ずらし挿入” を示唆するリップルに、ラ・ピュセルが呆気にとられたようにしつつも聞き返すと、リップルはコクンと頷いた。
「その、女性は痛い、って聞いたこともあるけど……」
「いいから!」
ラ・ピュセルが躊躇していると、リップルは焦れたように声を上げた。
「じゃ、じゃあ、無理、しないでよ?」
そう言いながら、ラ・ピュセルはリップルの開きかけた秘裂にディルドの先端をあてがい、
ずっ、
と、リップルの膣口から、その奥へと挿入する。
「んあっ、はっ、ぁっ、ぁぁっ、はぁぁぁっ!!」
「リップル? リップル!?」
ラ・ピュセルの膣の方に押し返す圧をかけつつも、リップルの膣は、ぬるーっ、と、ディルドを奥まで呑み込んでいく。が、挿入のスムースさに反して、リップルは自分を抱えるようにして激しく悶える。
ラ・ピュセルはその反応に驚いて声をかけるが、
プシッ……
リップルの性器が、小さいが潮を吹いた。
「はぁ……はぁ……大丈夫……私も……イッただけ……」
熱っぽく荒い息をしているが、その一方で瞳がとろん、としている。
「えっと……どう、する?」
ラ・ピュセルは、少し戸惑った様子のまま問いかける。
「続けて……」
リップルのその言葉は、素っ気ないように聞こえて、ラ・ピュセルには背筋がゾクゾクとするほど艶かしく聞こえた。
「う、うん」
ラ・ピュセルはまず返事をすると、最初は腰を激しく動かさず、一旦きゅっと肩のあたりで抱きしめて、ちゅっ、とキスをする。
リップルの腰の両側に手を突き直して、ゆっくりと腰を動かし始める。
「はっ、ぁ、ぁ……んっ……ぁっ……」
リップルは、悩ましげな表情で、上ずった声を漏らし続ける。
「きも……ち……は……ぁ……っ……」
今度はリップルの膣が充血していて、ディルドに返す押し・引っ張りの圧が強くなる。それによって、ディルドはラ・ピュセルの膣でも動き、刺激し返す。
「んっ……ぅっ……」
ラ・ピュセルも鼻から甘い声を漏らす。
この感覚が欲しい。擬似的に男の行為ができればいいというわけではない。生来のそれに取って代わった膣や陰唇にフィードバックがないと満足できない。最初から漠然とそうだろうと考えていたから双頭型を買った。
「はぁ……はぁ……はぁ……んっ……また、またイッちゃ……」
「んっ、ぁっ、ボクも……一緒に……あっ……」
切なげなリップルの声に、ラ・ピュセルが、そう返しながら、ゆっくりだが深く腰を動かしていく。
「あ、は、ぁっ、ぁ……はぁっ……ぁ、あ、ぁ……っ」
「は……ぁ、ぁ……あっ、ぁっ……ぁ、あ、ぁ……っ」
身体が収縮するような感覚でお互いぴったりくっつきながら、2人は僅かにだけズレて、ゆっくりした女性の絶頂に上り詰めていった。
トゥルルルルル……トゥルルルルル……
『はい。細波です』
「あー、華乃? 今小雪ちゃん拾ったけど、このまま行って大丈夫か?」
『ふぇっ!? トップスピー……あっ! ちょ、ちょっと、今はだめ!!』
華乃が慌てた声を上げる電話口の向こうで、『えっ!? もうそんな時間なの!?』と、ラ・ピュセルの声も聞こえてきた。
「わかった。1時間ほど時間つぶしてから行くから」
『ごめん、そうしてもらえると』
「あと、お前らも昼、まだだよな?」
『あ、うん』
「了解。モノが何かは期待しないで待っててくれ」
『う、うん……』
ピッ
テンキー付きスマホを左手だけで器用に操作し、通話を終了する。
「まったく、お盛んなのはいいけど、土産取りに来いって言った自分の約束忘れんなっての」
姫河家の前に停車している運転補助仕様のジムニーノマドの運転席で、つばめは苦笑しながらそう言う。
助手席に座っていた小雪は、どう答えていいやらで顔を赤くしていた。
本編もよろしくお願いします
『ラ・ピュセル生存記録 ―魔法少女育成計画Bloopers―』
具体的な感想をいただけると、続きを書くことが捗ります。
Twitter https://twitter.com/kaonohito2
Discord https://discord.gg/WN23qmRnkQ
Discordは「一時メンバー」となりますので、私のオフライン時に来られた方は、「エントランス」及び「一時メンバーの連絡用チャンネル」のアナウンスに従って必要事項を書き残してください。