※この作品はR-18です。

家入さんのクズ彼氏くん   作:四半田要

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02 放課後の一幕

 

 呪術高専、二年の教室。

 午後の西日が差し込む放課後の教室には、4人の生徒たちの姿があった。

 

「……で、結局昨日もトイレでヤってたわけ?」

 

 教壇に腰掛けた五条悟が、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべて問いかける。

 その視線の先には、自分の机でだらしなく携帯を弄っている沖田と、その隣で机に突っ伏して眠たげに目を細めている家入硝子がいた。

 

「悟、あまりデリカシーのないことを聞くもんじゃないよ。それが事実だとはいえね」

 

 夏油傑は読みかけの本をパタンと閉じながら口を開いた。

 その言葉には幾ばくかの呆れが混じっていて、ついでにため息まで吐いていた。

 

「どうせ充が硝子を連れ込んだんだろう? せめて校内でそういう事をするのはやめた方がいいんじゃないか?」

 

「あー……。いやほら、硝子がどうしてもって言うからさ」

 

 沖田は悪びれる様子もなく、携帯の画面から目を逸らさずにそう応えた。

 その言葉を聞いた硝子は伏せていた顔を上げると、沖田の脇腹を容赦なくつねった。

 

「……誰がどうしてもって? そんな事言った覚えないんだけど」

「いってぇ! 別にどっちでもいいだろ。お前だって乗り気だったんだからさぁ!」

「二人とも相変わらず色ボケてるねぇ」

 

 五条がケラケラと笑う。

 硝子はじろりと五条に目を向けた後で短くため息を吐くと、沖田の胸ポケットに入っていた煙草の箱から勝手にタバコを抜き取って火をつけた。

 それを見た夏油が口を開く間もなく、あまりにも自然な動きで火をつけた硝子は煙草を口に咥えていた。

 

「まったく……」

「まぁいいじゃん。俺はそれの何がいいのかサッパリわかんねーけど」

 

 好き勝手する割に地味なところで育ちの良さを見せる五条の前で、沖田もまた胸ポケットから煙草を取り出した。

 そして、硝子が咥えている煙草の先端に自身のそれを押し当てて、スッと息を吸い込んだ。

 チリッ、と微かな音を立てて火が移る。

 

「……ん」

「サンキュ」

 

 それを見た五条は大袈裟に肩をすくめる。

 

「うーわ、出たよ。息をするようにそういうイチャつきするよねお前ら。ほんっと絵に描いたような不良カップルっぷり」

「全くだ。神聖な学舎で堂々と未成年喫煙を見せつけられる身にもなってほしいものだね。少しは自重という言葉を覚えたらどうだい?」

 

 夏油もやれやれといった様子でわざとらしく首を振る。

 そんな二人の小言を右から左へと受け流し、沖田は深く煙を吸い込んで天井に向かってふうっと吐き出した。

 

「うるせーよ、ひがみか? お前らだって顔はいいんだから女子とかに死ぬほどモテてんだろ。ひねくれてないでさっさと彼女くらい作れっての」

「俺は充みたいに節操なくないし」

「そういう事をするために呪術高専に来たわけじゃないからね」

「俺だって今は硝子一筋だっつーの。なぁ?」

 

 同意を求めるように視線を向けると、硝子は言い合う男子たちをよそに机に肘を突いて沖田を見上げていた。

 

「ねぇ、充。今日どこ行く?」

 

 五条たちのからかいなど全く意に介していない様子で、ぽつりと放課後デートの催促をする。

 

「あ? そうだな……渋谷で適当にブラついて、ゲーセンでも行くか?」

「いいね。からかった二人はついてくんなよー」

 

 そう言って立ち上がった硝子に続くように、沖田も煙草を咥えたまま席を立つ。

 そんな二人に向かって、五条と夏油はわざとらしく騒ぎ立てた。

 

「えー。傑、硝子が俺らのことお邪魔虫だってさ」

「これはひどい。たった四人のクラスメイトだっていうのに」

「だからデートだっつーの」

 

 笑いながら囃し立てる馬鹿二人を置いて、不良カップルは早々にデートへと繰り出していくのだった。

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