クラス転移で勇者召喚かと思ったら子作り奴隷召喚だった 作:稲月
侍女が部屋をノックする音で目が覚める。
扉の向こうの声はあまり馴染みがない。一般侍女さんか。
軽く返事をして身体を起こした。あと10分くらいで昼食らしい。
迫り来る現実を前にして、俺は考えないようにしていた事にようやく思考を触れさせる。
今日の夜伽と、翌朝の寵愛対象のことだ。
本心で言えば、再び夕凪を夜伽や寵愛対象に指名したい。
だが、最下層の女子達のこともやはり気になってしまう。
いや、違うな。最下層の事は俺が気にしてもどうしようもないことだ。
誰をどう選んだって、最下位には誰かがなる。不幸者をゼロにはできない。
じゃあ、俺はどうすべきだ?
夕凪のように、自分の気に入った女子をとにかく優先する。これは一番簡単だ。
帝国もその想定だろう。誰が相手でも、おそらく最終的には母胎Sになるから成果も出る。
だがこれは、それによって不幸になる子を切り捨てるという事だ。
できるだけ皆の母胎評価を一律まであげて、そもそも序列制度の意味をなくさせるというのもある。
極論、全員Sランクになれば定期的に子作りしていれば文句はないはず。
問題は、それにどれくらい時間がかかるか分からないことだ。
ランクをあげるのに長期間かかるとしたら、それを待つ間の他の女子に不満が溜まるだろう。
どうする。
俺は、何を選べばいい……?
「昼食はこちらになります。食事部屋以外でも、お好きな場所でお召し上がりいただいて構いません」
和室に集められた俺たちは、ノーラさんから昼食の説明を受けていた。
昼はお弁当らしい。蓋を開けてみると、豪華なおかずの盛り合わせが現れる。
「では、どうぞお召し上がりくださいませ」
そう言って去っていくノーラさん。
……あれ、目が合わなかった。いつもは必ず一度は俺を見るんだけどな。
え、もしかしてさっきのソフィアさんとの件でいよいよ嫌われちゃったのか……?
うう、コワイけど美人だし何でもテキパキでカッコいいお姉さんだから好きだったんだけど、けっこうショックだ。
落ち込みながら、部屋のすぐ外にある縁側へ向かう。
たったったっと、夕凪が俺の元へ寄ってくる。
「おつかれさま、竿斗くん! 検査、大丈夫だった?」
「おつかれ夕凪。何もなかったよ」
「よかった! ……ねえ、本当に、"何も"なかった?」
「ああ、う。ええっと……」
「……ごめん。恋人でもないのに、へんなこと聞いちゃった。……大丈夫、今はもう仕方ない状況だって、わかってるから」
微妙な空気が漂う。付き合ってるわけでもないのに、浮気を咎められてる気分だ。
何とか気を取り直して雑談しながら弁当を開けると、甘い声が後ろから聞こえてきた。
「さーおーとくんっ! くるみも、一緒にたべていーい?」
「あ、安里さん……えと……」
チラリと夕凪を見る。この二人は水と油な感じだったし、断っといた方が……
「……私は、いいよ。竿斗くんがイヤじゃなければ」
「え、あ、そう。……じゃあ、安里さん、どうぞ」
「やったぁ! ねね、苗字じゃなくて、くるみって呼んでっ。くるみ、自分の苗字すきじゃないの」
「く、くるみさん……は、検査大丈夫だった?」
意外にも夕凪からもオッケーが出たので、三人で縁側に横に並んで雑談しながら食事を摂る。
二人も少しずつ打ち解けていってるみたいだし、あれ、これなんか、楽しいかも!
女子と楽しくおしゃべりしながらの昼食という、日本では小学校以来味わったことのない青春イベント。
俺の弁当は二人のより豪華だから、分け合いっこなんかもしちゃう。さ、最高!
すっかりお腹も膨れてまったり話していると、また聞き覚えのある声がかけられた。
「釣谷くん、私たちもお話に混ざっていいかな」
俺の天敵、カースト最上位陽キャ勢。
逆らえるはずもなく、夕凪やくるみさんの許可を待たずに頷いてしまった。
やべ、と思って夕凪をみるが、彼女は特に何も言わない。
反対のくるみさんも、にこにこしたまま無言の同意を示していた。
五人で円になるように座る。
「お昼ご飯、おいしかったね。私たちのはうなぎが入ってたよ」
「へ、へぇ、すごいね。俺は豪華なおせちっぽいやつだった」
「すごーい! くるみ、うなぎ大好物っ」
「ん〜、明日はハンバーグだといいな〜」
普通に始まるほのぼのした会話。あれ、なんか仲良くなってる?
ほっとして俺も会話を続ける。……夕凪は口数が少ないが、それでも拒絶はしていないようだ。
何でもない平和な空気の会話を続け、少しずつ心の負担が和らいでいく。
それを自覚した途端、急に本題がぶち込まれた。
「ところで、釣谷くん。今日の夜伽相手はもう決めた?」
「……えっと、まだ、かな」
「もしよかったら、この五人で、とかどうかな。釣谷くんなら四人でも相手できそうだし」
「えっ、五人!? ど、どうだろう、俺の体力が持つか……」
「くるみ、さんせーい! くるみはぁ、初めてだから、夕凪ちゃんにも色々教えて欲しいなっ」
なぜか今日はノリノリのくるみさん。どういう気の変わり様だ?
うむむむ、四人か。ギリだな……。
いや、最大の問題はそこじゃない。俺は隣で黙り込んだままの夕凪へ、ゆっくりと視線を向けた。
「…………いいんじゃないかな。竿斗くんさえ、イヤじゃなければ……」
目は合わなかった。その表情からは感情は読み取れない。だが、発した言葉は確かに聞き取れた。
本当はイヤであろうことは俺にだってわかる。俺を独占して敵を作ってしまうのがまずい事は夕凪だって理解しているんだ。
ごめんな。でも、俺は選ぶよ。
「わかった。じゃあ、今日はみんなにお願いする」
「やったぁ! ねね、楽しみだねっ!」
「ありがとう、釣谷くん。よろしくね」
「ん〜、釣谷のアッチは、なかなか期待」
というか、え、5P!? 俺、今日の夜クラスメイトと5Pすんの!? 急に数が増えすぎでは?
れ、冷静になれ、俺っ。
だが無情なるかな、女子たちの緩んだ着物から覗く胸元も相まって、すぐに俺の肉棒がフライングスタートを切ってしまった。
着物を着ているとはいえ下着は履いてないので、肉棒の長さや太さがはっきりとわかるほど立派なテントが立ち上がる。
「……わあ。釣谷くん、やる気十分だね」
「きゃーんっ。竿斗くん、エッチ! くるみ、こわーい」
「おお〜、やはりなかなか。……つんつん」
うっ。寝白さんが着物の上から指で先っぽをつんつん突いてくる。
倒錯的な状況に性的興奮が猛上昇してしまう。
すると、星宮さんが長い髪を耳にかけながら、おもむろにあぐらをかく俺の股ぐらへ屈みこんだ。
「じゃあ、軽くご挨拶だけしておこうかな」
座ったまま一瞬で着物をはだけさせられる。たちまち露出する血走った屹立。
その先端へ、星宮さんは何の躊躇もなく口付けた。
んちゅ。ぺろ、ちろちろ。
「ちょっ、星宮さ……うっ!」
れろれろれろ、ちゅっ、るろぉ
咥えたりせず、あくまで舌と唇だけを使ったその動き。しかしとてつもない快感が襲ってくる。
腰がブルブル震え、なんとか腕を後ろについて上半身を支えた。
星宮さんは舌でれろれろと亀頭に唾液をまぶし、鈴口を掘るようにちろりと刺激する。
最小限の動きで最高の快感をもたらすそのテクニックに、俺は呻き声を返すことしかできない。
そしてついに、その艶やかな唇が先端を飲み込んだ。
ちゅぷ、にゅるるっ、れろぉん
咥えられたのは亀頭だけ。なのに目が眩むほどの快感が腰から広がっていく。
唇がカリを引っ掛けて、舌が鈴口の周りをぐるんぐるん舐め回す。
口を窄めた星宮さんが、おいしそうにペニスを吸引した。
じゅずずずっ! ちゅぷっ、れろれろれろっ! ちゅぱぁ、にゅるるる
「ふぅぅッ! ……うぐッ、それ、やば……ッ! ううッ」
なんだこれっ、なんだこれっ!? すごすぎるっ。
圧倒的な性技にとんでもない速度で高まる快感。 や、やばい! こんなのすぐ……ッ!
「……ぷはぁ。……ふふ、今はここまで。続きは今日の夜に、ね?」
あと数秒で射精しそうなところで、急にペニスが解放された。
唾液とカウパーでてらてら光る肉棒に、風があたってひんやりとする。
突然のスコールに全身を打たれたような気分だ。い、イキたかった……。
着物の袖で口元を拭った星宮さんが、俺に艶のこもった笑みを向ける。
そして呆然とする俺を置いて、何でもないかのような顔で寝白さんを連れて去っていった。
気づけば安里さんもいない。
「わ、私だって、練習したらもっと上手くなるもん……」
唯一その場に残った夕凪が、未だ滾る俺のペニスに向かって悔しそうな顔でそう呟いた。
午後はその日によってやることが異なるらしい。
今日はまるで日本の学校でそうしていたように、帝国式の授業を受けていた。
過去の勇者たちの影響なのか、黒板や席の配置などはまんま日本の学校のそれと同じだった。
「……ので、この単語は"hentai"と発音します」
教育担当の侍女が文字や言葉の授業を行う。今はメイド服を着替えてスーツっぽいのを着ている。
いかにも女教師って感じだ。……この離宮、勇者の趣味出すぎだろ。最高。
正直、授業にはまるで身が入らない。俺の頭の中は、ついさっき受けた圧倒的性技による蹂躙の記憶でいっぱいだった。
机の下ではバキバキのペニスが涎を垂らし、着物を汚して気持ち悪い。
「では、小テストを実施します」
……えっ。や、やばい! 全ッ然聞いてなかった!
今から気合いで覚えようとするが、手元の教材は侍女に没収され、板書も消されてしまう。
お、オワタ。
「開始の前に、成績優秀者への褒賞および落第者への処罰をお知らせします。
上位三名の方は、食事または寝床の待遇を本日に限り一つ上のものといたします。
最下位の方は、食事と寝床の双方が本日のみ二つ下のものとなります。
……では、開始してください」
う、うわああっ。やばいやばい、最下位あるぞこれっ。
必死に解こうとするが、さっぱりわからん……。
数十分後、俺は死んだ顔で机に突っ伏していた。
さらば、俺の豪華メシ……。
夕食前、和室の壁に貼られた成績表に俺はほっと胸を撫で下ろしていた。
どうやら離宮内では日本語表記も使ってくれるらしい。
17人中、16位。ひ、ひどい。でもセーフ!
皇女セレンの名前だけは何とか覚えたからな。美少女の名前は忘れないぜ。ファーストネームしか書けなかったけど。
そして、最下位の欄には。
『17位 宇佐美 瑠奈 0点 本日に限り食事および寝床を2段階降格とする』
無機質な一文が、冷たく現実を告げていた。
張り紙の前に立ち、真っ青な顔で固まる宇佐美さん。
隣には暗い顔の星宮さんと、頭を抱えた寝白さんもいる。
授業、全く聞いてなかったんだろうなぁ……。
俺は張り紙の上の方へ視線を動かす。
1位
2位
3位 秋穂夕凪 45点
50点満点だったらしい。夕凪が上位3位に入ってる。
その事実を喜ぶとともに、大きな違和感が俺を困惑させる。
美澄さんや栗栖さん、
この三人はいつもあらゆるテストで最上位を勝ち取る、超秀才たちのはずだ。
だが今回は、みんな順位の真ん中あたりにとどまっている。
……そうか、わざとなんだ。
美澄さんと栗栖さんはSランク、水無月さんもAランク。
すでに待遇は確保されているから、わざわざここで上位を取ったところで反感を買うだけだ。
一人納得して、食事の席へ着く。
座席は朝とまったく一緒だ。テストによる影響は序列にはなく、メニューだけが変わるということらしい。
左右目の前に座ったSランクの二人をみる。
栗栖さんは相変わらず暗い表情で俯いている。可哀想とは思うけど、生活は安定しているから今はそっとしておく。
美澄さんもあまり明るい様子ではない。……何度見ても完璧な美人だ。暗い横顔すら画になってしまう。
……ん? 美澄さん、なんだかよく見たら震えているような……。
ぎゅ、と美澄さんが自分の手を握った。もう震えは感じない。
気のせい、だろうか。
全員が着席したところで食事が始まる。
昼の時とは違い、静かな空間だ。座席の配置的にも和やかに話す感じではない。
しかも俺が座ってるとこだけちょっと床が高いんだよな。殿様すぎて居心地が悪い。
ふと、一人だけ全く手が動いていないのに気づく。
距離は割と近い。周りはわりと豪華な食事が並ぶ中で、そのお盆の上だけはひどく寂しい。
宇佐美さんだ。小さなお椀に盛られた白米と、小皿の漬物、具の少ないお吸い物。
すぐ隣の下座側。宇佐美より序列が低いはずのお盆の上ですら、もっと色んなおかずが乗っている。
上座側の隣にいた寝白さんが、自分のエビフライをこっそりあげようとして侍女に止められる。
朝食と夕食は他人にあげるのも禁止らしい。
絶望的な表情でようやく箸を手に取った宇佐美さん。
後から食べ始めたはずなのに、周囲では一番最初に彼女が完食した。
食後、1時間ほどの休憩で腹を休める俺は、悲しそうな顔の星宮さんと話をしていた。
周囲には今日の夜伽の相手たちが揃っている。
「テストって聞いた瞬間にこうなる予感はしたんだけど……どうすることもできなかった」
「ウサミン、勉強嫌いだからね〜」
母胎評価などと違い、これは彼女が自分の行動で招いた結果だ。
可哀想ではあるが、仕方ない。
だが俺は、どうしてもある可能性が気になってしまった。
「……もしかしたら、俺が最下位なら、ペナルティはなかったかも」
女子と違って男は一人しかおらず、夜は体力も必要になる。
たとえ最下位を取ってもペナルティは下されなかったんじゃないか。
夕凪があわてて俺をフォローする。
「竿斗くんが反省することじゃないよ! それに、その場合は次に順位の低い女子にペナルティがあったかもしれないでしょ?」
「ん〜、そもそもウサミン、0点だったし。竿っちが何点取っても変わんないよね〜」
確かに、そうか。俺の順位は無視される可能性の方が高いな。じゃないと意味が薄くなる。
「ねね、そんなことよりさっ、お風呂の時間だよっ! やっぱり、みんなで入るの?」
「私は釣谷くんと一緒に入らせてもらおうかな」
「あーしも〜。竿っちと一緒なら人来なくて広い、さいこー」
「私も、竿斗くんと入る」
えっ、女子四人と混浴! て、天国だ!
昨日は混乱と気まずさの方が大きかったけど、今日は雰囲気も悪くないし、ウハウハである。
「くるみ、竿斗くんの背中流してあげるっ! ほら、いこっ」
「あっ! わ、私もっ!」
くるみさんに手を引かれて立ち上がる。夕凪が慌てて反対の手を握った。
小柄な少女二人に手を引かれ、陽キャ美人二人が俺を追って歩く。
あ、あれ。
ごめん桃田。これ、やっぱ役得かも……!
すみません! 異世界の文字読めないことを忘れてました。
前にノーラさんがくれた序列制度の紙は、日本語だったということで……。