クラス転移で勇者召喚かと思ったら子作り奴隷召喚だった 作:稲月
大和室へ戻ってくると、身体検査を終えた女子たちがくつろいでいた。
目敏く俺を見つけた夕凪がものすごい笑顔で走ってくる。
俺を見つけただけという喜びようではない、どうしたんだ?
「竿斗くんっ! 私っ、Bランクにあがったよ!」
「っ! よしっ! おめでとうっ、夕凪!」
大きな声で報告しながら飛び込んできた夕凪。
俺は彼女を抱き止めて、ぎゅうっと抱きしめながら祝福する。
思ったより早かったな。これで夕凪はある程度安心できる状況にはなった。
本当に良かった。もし今日で母胎評価が上がっていなければ、少しまずい状況になるところだったんだ。
午前の検査でソフィアさんから聞いた話を思い出す。
『ランクが低いとステータスがあがりやすいってことですか?』
『まだ確定とまでは言えません。ただ、私と秋穂さんのステータスの伸び方には大きく差があったことは確かです。
それがランクの差に比例するものなのか、召喚された方々が成長しやすいのかは判断材料が足りませんね〜。
きっと、たった今行っている女の子たちの検査が終われば、はっきりすると思いますよ』
もしこれが事実なら、俺の考える作戦には都合がいいな。
『それとこれも大事な発見なんですが、サオトくんの固有スキルの効果が詳しく分かってきました。
一つ目は、スキルの発動条件がサオトくんの精液を摂取する事だと判明しました。
つまり、膣内にぴゅっぴゅしたときだけじゃなくて、お口でごっくんした場合でもステータスが上がるようです。
ただし、摂取効率はお口だと三分の一くらいに落ちちゃっていました』
おお……相変わらずエロゲ的効果だ。
効率が悪いというのも見ようによっては長所かもしれないな。母胎評価の細かい調整に使えるかもしれない。
『そしてもう二つ。精液はたくさん摂取するほどステータスが伸びるという事。
一方で、連続で摂取するほど吸収に時間がかかり、ステータスへの転嫁が緩やかになるという事です。
……要するに、同じ相手への夜伽は間を開けた方が効率が良い、という事ですね』
え。そんな効果だとしたら、もしかして、今後は……。
『はい。同じ相手への夜伽は、連続で二日までというルールになりました』
『そ、そんな……! で、でも、すでにランクが高い子達は関係ないんじゃ?』
『実は淫紋には、膣内に射精を受けた際、赤ちゃんの卵を子宮に送らせる効果があるんです。
なので通常よりもずっと妊娠しやすいのですが、逆に何日も連続すると子宮に大きな負担となっちゃうんです。
だから元々、避妊薬を飲まない方は夜伽を連続二日までとする予定でした。
——ここまでの話は、女の子たちにも伝えられるはずですよ』
なんだよ、それ。先に言ってくれよ。
……いや、ステータスに関しては向こうも今わかった事なのか。
『ごめんね、サオトくん。色々サポートしてあげたいんですが、お姉さんにも色んな制限があるんです』
申し訳なさそうなソフィアさんへ、俺は首を横に振って返す。
そしてお詫びとばかりに差し出されたぷるぷるおっぱいへ、無我夢中でむしゃぶりついたのだった。
腕の中ではしゃぐ夕凪の頭を撫でながら考える。
夕凪は一日目、二日目と連続で夜伽に選んだから、今日は選べない。
これでCランクのままだったら明日は13位以下が確定になっていたが、ギリギリで昇格してそれは回避できた。
それ以外の女子は全員選べる。
そして今日の相手のうち、三人はもう決まっていた。
相手さえ、拒絶しなければ。
「夕凪、話があるんだ。これからのことについて、大事な話」
「……うん。何となく、わかってるよ。……竿斗くんは、優しいからね」
どこか寂しげな顔で夕凪が頷く。どうやら本当に察しているらしい。
俺がこれから目指す、無謀で長い道のりの事を。
「俺は、誰も見捨てない。少なくとも、相手が助けを求める限り手を差し伸べたい。
そして、壊すんだ。この陰湿で悪意に満ちた、勇者離宮の序列システムを、完全に……!」
もう、あのどんよりとした朝食はうんざりだ。
負け組に己の立場を見せつけるかのような、この序列システムが気に入らない。
——16人全員、Sランク。
それこそが、俺の力で実現できる唯一の勝ち筋だった。
間違いなく、途中で不満や悲劇も起こるだろう。非のない誰かが割りを食う日だってあるだろう。
どれくらい時間がかかるのかも分からない。反対する女子だっているかもしれない。
こんな綺麗事が正しい道なのかも、俺には正直分からない。
でも、もう俺は決めた。
不平や不満も俺が潰す。嫌われたって言い聞かせる。
どうせ決定権は俺にあるんだ。誰かに流されておろおろ選ぶより、自分で決めた道のために覚悟をもって選びたい。
だから、今日の夜伽の相手は決まっている。
残ったCランク、その三人。彼女たちを俺が抱く。
そして、最初の第一歩を刻むんだ。
Cランクを皆昇格させて、Bランクを七人から十人へ。序列最下位は第7位が同着十人になるように。
俺の野望に、夕凪が呆れたようで嬉しそうな笑いをくれる。
「あはは。優柔不断な竿斗くんらしいね。誰か一人なんて選べないから、みんな助けちゃうんだ」
「正直、本当に実現できるかは自信ないよ。でも、俺が選ぶとしたらやっぱりこれしかない」
——だから、ごめん。夕凪。俺はお前一人を選んでやれない。
「…………うん。本当はとっくにわかってたんだ。竿斗くんならそうするだろうなって。
だから、私を後悔させないでね、竿斗くん。"あの時、死んでもあなたを止めればよかった"なんて、絶対思わせないで」
「ああ。そして、待ってて欲しいんだ。いつか序列が本当に壊れたら、その時にこそ、夕凪を選ぶよ」
うん。約束ね。と目を伏せて呟いた夕凪を優しく抱きしめ、そして俺は彼女を置いて歩き出した。
和室の後方、部屋の隅で暗い顔をする、取り残されたCランクの女の子の元へ。
もう、見て見ぬふりはしないんだ。
■
三日目午前。女子の検査室。
本日の女子の身体検査を終えたその部屋で、担当の女性検査員が一人、興味深そうな顔で座っていた。
手元の紙にはついさっき調べ終えた、女子たちのステータス。
部屋に侍女長ノーラが入ってくる。その顔は珍しくほのかに赤く染まっていたが、検査員の表情を見てすぐにそれも内に隠した。
「予想外の事態と聞きました。何があったのです?」
「ノーラ、ようやく来たか。ほれ、これを見ろ。この二人だ」
「……これは! どういう事ですか?」
驚きに鋭い目を大きく開いて事情を確かめるノーラ。
検査員は女子から聞き取った事を彼女へ伝えた。
「……そんな。皇女殿下の魔法が完全では無かったという事でしょうか」
「否。儀式魔法そのものは間違いなく成功した。
おそらくだが、サオト・ツリヤの固有スキルが儀式に影響したのだろう。皇女殿下も儀式で胎に精を受けているからな」
「今後の離宮運営にも大きく影響いたしますね」
「ああ。だが、ルールを変える必要は無いだろう。放っておけば勝手に上手くやるはずだ。
それにある意味、我が国にとっても都合がいい。引き続き、低ランクで停滞する者は追放。それで全て解決する」
「確かに、そうですね。しかし要らぬ諍いが起きる可能性もあります。公表はせずにおきましょうか」
検査員は可笑しそうに嗤った。
——Sランクが、消えるかもしれんな。
■
昼。暖かい陽の差す縁側で、俺は五人の女子と一緒にそれぞれの弁当を食べていた。
……正確には、俺の弁当を分け与えていた。
「お、おいしい……っ! これもっ! これもぉっ!」
小学生くらいの子供にしかみえない幼児体型だが、とっても真面目で努力家の頼れる子である。
今は俺の弁当を片っ端から摘んでは、瞳をうるうると感動させながらひたすら食べている。
……口も小さいので、食べ続けている割にあまり減っていない。
「ぅ、うまぁ……! ぁ、こ、これも、いいかな……ダメかな……」
黒い髪は腰まで届くほど長く、ぼそぼそと声が小さい。漫画大好きオタク女子だ。
全く遠慮のない委員長とは対照的に、常に俺の顔色を伺いながらちまちま箸を伸ばしている。
ぜんぜん食べまくってもらっていいんだけどな。なんかハリネズミみたいな警戒心を感じる。
「うーん。これはイケそう。……んーうま。これは要らない。これも」
真っ黒なボブカットを肩上でそよがせながら、こともあろうに激しく好き嫌いをしている。
こいつ、肉しか食ってねぇ。野菜も魚もぽいぽい脇へ避けていく。
いや、沢山あるし、いいけどさあ。他の二人が素直なもんだから、なんかモヤっとする。
俺がCランクの三人を昼食に誘った時、委員長と菅沼さんは空腹が限界だったのか半泣きだった。
意外と平気そうな明智さんも誘いに乗ってくれて、こうして初めて食事を共にしたのである。
それはそれはおいしそうに幸せそうな顔でもぐもぐ口を動かす委員長を見ていると、なんだかこっちまで笑顔になってくる。
俺は三人をぼんやり眺めながら、俺の左右にくっつくようにして座るもう二人の女子の存在を、努めて意識の外に置いていた。
「はいっ! あーん♡ どおっ? くるみのお弁当、おいしい?」
「それ、くるみちゃんが作ったわけじゃないでしょ! ほら、竿斗くん、あーん」
「あー! 夕凪ちゃん、ズルいッ! そのプリン、くるみのやつから取ったよねッ!」
「くるみちゃんは箸を使ってるからスプーンは使わないじゃん。プリンは私がやるから、全部よこして」
言われるがままに口を開けては咀嚼する。うう、まだ口の中に残ってます……。
きゃんきゃんとうるさ……じゃなくて賑やかな彼女たちが、俺にくっついて次々と口元に運んでくる。
ひたすら騒ぐ二人にやや疲れないでもないが、それよりも二人の仲が明らかに良くなっていることが嬉しかった。
何というか、お互い一切遠慮のない関係に見える。昨日のエッチで打ち解けたのかな。
とにかく、昼食は終始明るい雰囲気で終えた。
Cランクの彼女たちの弁当はそれはもう貧相だったので、声をかけてほんとに良かったと思う。
食後の余韻でトリップしかけている委員長を起こしつつ、俺は早速本題へ入った。
「単刀直入に言うね。三人とも、今日の夜伽の相手を受けてくれないかな」
Cランク組へ言葉を送ると、三者三様の表情が返ってくる。
最初に口を開いたのは、ちっとも驚きや躊躇を見せない明智さんだった。
「おっけー。ぼく初めてだから、いい感じによろしく」
え、かるっ。初めてなのにそんなコンビニ行くみたいなノリでいいの?
まあとりあえず、一人目決定。
驚く委員長とビビる菅沼さんは、やがて心の葛藤を顔に出して口をもごもごし出した。
俺は二人へ決断を迫る。
「答えは今すぐじゃなくてもいい。今日の夜、夕食のあとに聞かせて欲しい。
ただ、二人もわかっているとは思うけど改めて伝えるね。
もし俺に抱かれたくないのなら、今なら街へ降りられるはずだ。身の安全は保証されないけど、一時の貞操は守れる。
逆に俺を受け入れてくれるのなら、ここからはもう二度と外へ出られないと覚悟して欲しい。母胎評価が上がったら、きっと逃してもくれなくなる」
命が惜しくば俺にヤラせろ。
これは要するにそういう提案だ。最悪だけど、これが現実。
二人は互いに目を合わせながら、あわあわと揺らいでいる。
それじゃ、と立ちあがろうとして、二人は一緒に声をあげた。
「「よ、よろしくお願いしますっ」」
「……本当にいいの? セックスするんだよ、俺と」
「あぅ、うん。昨日、二人で相談したの。不確かな状況で命を投げ出すわけにはいかないって」
「……ぁの〜、その。できれば二人一緒が、いいなーとか、思ったり……」
「ああ、それはもちろん、いいけど」
恐る恐るだが、返事は貰えた。
よし、三人とも、俺が抱く。そしてそれは今日だけじゃない。
「三人をBランクに上げたいんだ。だから今日で昇格しなければ明日も抱きたい」
「あっ明日もっ!? あえ、うう、お、お願いします……」
「あばば、二日連続種付けセックス……え、エロ漫画展開、追加でキタ〜……」
明智さんは何でもなさそうな顔のまま指でオッケーサイン。かるいなぁ。
よし、これであとは俺が腰を振るだけ。
夕凪の例を考えれば二回か三回で昇格できるはずだが、三回目は間に日を挟むことになるから避けたい。
……場合によっては、明日の昼あたりに口で精液を飲んでもらう必要があるかも。受け入れてくれるかな……。
「ねっ、ねっ、くるみはっ? くるみもエッチ、したぁい! 竿斗くん、いいでしょぉ?」
「ああ、いいよ。二回目だからね。……また、ぐっちょぐちょにしてやるよ」
「あ……! あはぁ♡ くるみ、うれしい。竿斗くん、だいすきっ」
むくれる夕凪もそっちのけで、くるみが妖艶に笑う。
……なんか、今朝から言葉の雰囲気が変わったよな。あざといしゃべり方は変わってないのに。
昨日は甘ったるさが重たく前面に出てたけど、今はなぜか、甘さが軽くなった気がして素直に言葉を受け取ってしまう。
ぴょこと跳ねるくるみの頭をぽんぽん撫でて、講義室へ移動を始める。
話がまとまったところで、午後のメニューの時間だ。