クラス転移で勇者召喚かと思ったら子作り奴隷召喚だった 作:稲月
16歳で結婚し、たった半年で夫を亡くした。
平民のノーラに一目惚れした貴族の夫との、身分を超えた大恋愛。
出会った頃は鬱陶しかったけれど、素直で誠実な人柄にいつしか心を許していた。
2年にわたる彼の真っ直ぐで積極的なアプローチの末にノーラが根負けし、最高のゴールを迎えて。
少しだけ優秀で、とても人望のある夫。少しだけ余裕のある暮らしに、とても幸せな生活。
それら全てが砕けたあの日を、ノーラは生涯忘れないだろう。
確かに、愛していた。間違いなく、愛されていた。
世界が終わってしまった悲しみに、瞳を腫らして眠れぬ日々。
子供もまだだった。彼が残してくれたのは、数少ない写真とノーラを着飾るための贈り物、あとは頭の中の思い出だけ。
貧しいとはいえ貴族の家。しかも夫はその当主だった。
急の事態に夫の弟が家を継いでからは、子を持たぬノーラにもはやその家で暮らす意味などなかった。
義弟夫妻はノーラを心から気遣って、家に残る選択肢もくれた。
だが、夫の痕跡が残っているのに夫だけが居ない家など、住んでいたって辛いだけ。
ノーラは少ない荷物を持って家を出た。
仕事はすぐに見つかった。せめて不自由ない暮らしをと、義弟夫妻が探してくれた。
幼い"精霊皇女"の専属侍女。破格の待遇にも関わらず、なぜか誰も就きたがらない役目。
ノーラはそこで、第二の孤独な人生を歩み始めたのだ。
第三皇女セレンの侍女という役職が人気のない理由は、すぐに把握できた。
帝国王族はみな、類まれで強力無比な固有スキルを持って産まれる。勇者の血を最も濃く受け継ぐからだ。
あらゆる秘奥を極める剣技の才。空模様さえ自在に操る魔法の発現。百年先まで見通せる天才的な頭脳。
勇者などいなくとも、数人の魔族くらいなら容易く蹴散らせてしまう圧倒的な才能を持つ血族。
それこそが、帝国王族が千年変わらず世襲によって大国家を統べてこられた理由だ。
幼い頃から誰よりも優れた美貌を持っていたセレン。
顔の造形が美しいほどステータスも高くなるという相関性が知られるために、彼女は大いに期待されていた。
だが、セレンの固有スキルはずっと謎のままだった。
王族の子供など、物心ついた頃にはスキルを暴発させて周囲を巻き込む騒ぎを起こすのが常であったのに、彼女は何一つ才を見せない。
五歳の誕生日を迎えても変わらぬ事態に、ついに王宮は最終手段をとった。
貴重な魔道具を消費しての、固有スキルの強制解析である。
その日を境に。
皇女セレンの固有スキルは「存在しないもの」として扱われた。
あまりに限定的で、用途が難しく——そして何より、悍ましいが故に。
ノーラはその詳細を知らない。
ただ一つ、「第三皇女に近づけば、魂ごと呪われる」——そんな噂だけは、嫌というほど耳にしてきた。
そして己が毎日世話をする幼く美しい少女の元へ、誰一人として家族が訪れたことがないのもまた、紛れもない事実だった。
ノーラがそんな恐ろしい少女に十年も仕え続けたのは、ただ、魂など呪われたところで失うものが無かったからだ。
あるいは、家族を失い居場所を無くした者同士、心のどこかで親近感を抱えていたのかもしれない。
気づけばノーラは専属侍女長となって、セレンの最も近くで彼女を支える立場になっていた。
到底口にできることではないが、歳の離れた妹のようにすら想ってもいた。
自分は喪ってしまったが、せめてこの哀れで美しい姫には、ささやかな幸せを掴んで欲しい。
そう、本心から願えるようになった、その時だった。
冷酷で、無慈悲で、最低な。
救いの欠片も無い王命が、セレンへと下されたのだ。
——「異世界の男を犯して、勇者を孕め」
皇女セレンは、幼い頃からノーラにすら本心を打ち明けない。
常に硬い氷に心を封じて、ただ冷たく淡々と責務をこなすだけ。
今回の勇者離宮の復活と運営だって、平然と準備を進めているように見える。
正直、昔は本当に心を持たない人形なのかと疑ったこともある。
民衆へ向ける仮面のような笑みには感情が乗らず、私室においては常に無表情。
だが十年にわたる奉仕の中で、それが厚く硬く塗り固められた外面に過ぎないと理解していた。
きっと、そうしないと耐えられなかったのだ。
幼くして家族に見捨てられた彼女は、誰かを信じることをひどく恐れている。
失望、拒絶、嫌悪、排斥。
一度味わったその暗く重い記憶は、幼い彼女に猜疑と諦観を深く刻み込んだ。
ノーラには、どうしようも無かった。
たとえ彼女が、内心で絶望の底に落ちていようと。
ノーラでは、あまりに無力だった。
たとえ彼女が、もう二度と幸せを掴めないとしても。
だから私にできるのは、せめて彼女の一番近くでずっと支え続けることだけ。
異世界からの来賓は、きっと私が制御してみせる。
そして願わくば、彼女と番う男性があの子の氷を溶き解してくれますように。
——あれは、誰?
『あぁっ……! ……こ、こんなに気持ち良いなんて……んぅぁっ!』
召喚された男性の中で、ただ一人離宮へとやってきたその男。
王命によってセレンが子を宿すべき、唯一の伴侶。
その顔の上に跨って熱い秘部を擦り付けている少女を、ノーラは驚愕の視線で見ていた。
僅かに赤らんだ顔、はしたなく下品な体勢、素直に心から出てきた言葉。
どれも、十年の間にたったの一度も見たことがないものだった。
『んああッ! そこはっ……! んぁッ! あ、ふあああ!』
冷たい仮面を放り投げて快感に喘ぐセレン。
その声は今まで知っていた少女のものとは到底思えないほどに熱く、高く、美しい。
やがてセレンは大きく身を震わせて、絶頂の快感を全身で味わった。
痙攣が治ったその後に浮かべたのは、信じられないほど可憐で年相応な笑みだった。
……ああ、あれが、あの子の本当の笑顔。
そして、部屋中を桃色の風が吹き荒れた。
セレンの絶大な魔力の奔流。それも自身の固有スキルを起動した時に特有の、色付きの魔力。
圧倒的な美貌に秘める莫大なステータス。その全てを注ぎ込んで発動する彼女のスキルを、ノーラはついに初めて見た。
儀式が、始まる。
じゅっぷぷぷぷ、じゅぷん! ぬぷぷぷぷぷ、どちゅん!
『んあっ……ああっ……ッ、ぅうんぁ……っ、はぁ、はぁ、……んぅああッ!』
密かに妹のように想っていた少女の若いヴァギナへ、ぬらぬらと光る赤黒いペニスが出入りする。
響く水音は明らかに豊かで、少女の身体が歓喜のあまり自ら蜜を溢れさせていると嫌でも分かる。
ノーラは二人のまぐわいから目が離せなかった。
私の知っている子作りじゃない。あんなにいやらしく、激しく、魅力的なものなんかではなかったはずだ。
あのグロテスクなペニスだって、夫はあそこまで逞しくなかったはず。
『あッ! ま、待ってッ! んッ! ああッ! んんあああッッッ!!!』
絶頂に叫び、身体をびくびくと痙攣させる彼女。
ノーラはそれが信じられない。子作りの交合で絶頂するなど、あるはずがないと思っていたのに。
もっと作業的なものになると思っていた。
もっと地味で慎ましやかなものになると想像していた。
あんなに、羨ましいものを見せつけられるなんて、知らなかった……!
『……
そして触れる二人の唇。瞬間、彼女たちの輪郭がボヤけて、その境界が無くなったように見えた。
ぱっちゅ! ぱちゅん! ぐちゅんっ!
見たことのない艶麗な笑みで激しく腰を振るセレン。
信じられない。あれが、あの冷たい人形姫だなんて。
秘裂が強く突かれるごとに彼女の氷がどんどん砕かれ、熱に溶かされていく。
『あああッ! ああッ! またイくっ! んああッ!』
嗜虐と性欲に満ちた淫美な瞳。待ち侘び続けた甘露を味わうかのように悦ぶ声。
もはや、目の前の光景は夢と言われた方がすんなり受け入れられた。
男の方も自分から腰を振り出す。最初はあんなに必死に耐えようとしていたのに。
二人は二人だけの世界で激しく互いを求め合う。幸せそうに、満ち足りたように。
……ずるい。私はそんな幸せ、もう二度と手に入らないのに。
あれほど願ったはずの彼女の幸せを妬む自分に気づいて、自己嫌悪に陥る。
瞬きすら忘れて、乱れ狂う彼女の姿を目に焼き付ける。
魔法による音の遮断を一方通行にしたことを後悔した。
皇女の安全を期して念の為に外へ聞こえるようにしたが、こんな声を聞かされるなんて。
胎の奥がじゅくん、じゅくん、と疼く。
亡くした夫のペニスの感触、とうに忘れたはずのそれがほのかに蘇って。
しかし目の前でじゅぷじゅぷと上下する赤黒いペニスがそれをかき消そうとする。
やめて……! 見せないで……!
「夫のモノより気持ちいいかもしれない」なんて、思わせないで……ッ!
だが、本能が確かに理解していた。
私が失ったはずの幸せ、大切なはずのその記憶を全て忘れ去るほどに、胎いっぱいに。
パン! パン! パン! パン!
彼女たちが互いに腕を回し、強く抱きしめあった。
あれほど硬く分厚かったはずの彼女の氷は、もう完全に溶けて蒸発していた。
『あっ! あっ! んあっ! ……んあ゛あ゛ッ!』
セレンが強く大きく痙攣して、同時に肉棒がどっちゅん! と奥へ突き込まれる。
びゅうううと、ここからじゃ聞こえないはずの吐精の音すら幻聴した。
ぐったりと眠ったように男の身体へ伏すセレン。
目を閉じて幸せを噛み締めるようにふわり微笑む、解き放たれたような表情。
この子は、ようやく手に入れたのだ。
自分が心から信じることのできる、幸福を。
自分の心の全てを曝け出せる、唯一の居場所を。
そしてその美しい秘所を穢すようにたらりと流れる、一筋の白濁液。
——ああ、あの目の前の
本作のあらすじを少し訂正しました。流石に短すぎたので……。
こんな暗くて陰湿な世界だと思っていなかった方はごめんなさい。
そして、それでもここまで読んでいただけてありがたい限りです。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。