クラス転移で勇者召喚かと思ったら子作り奴隷召喚だった 作:稲月
「……意味わかんないッ! ウチが一体何したんだよッ!」
星宮に与えられた私室の中に、怒りと困惑に満ちた声が大きく響く。
四日目午前、身体検査後のことだった。
「うーん。時間経過で評価が落ちるなんて聞いてないよね〜」
「そうだね。もしそうだったら他の子達も騒いでいるはずだけど、そうはなってない」
「じゃあ何っ! ウチだけ何にもしてないのに評価落とされたってワケ!?」
荒ぶる声の主は宇佐美だった。午前の検査で、彼女の母胎評価がBに落ちていたのだ。
だがそうなった原因に心当たりなどまるでない。青天の霹靂だった。
「ちょっとまずい事態だね。今までウサミンがペナルティを受けてもなんとかなってたのは、Aランクだったからだよ」
「ううーん。他の子が原因知ってたらいいけど、教えてくれるとも限らないしな〜」
「検査の人は何も言ってなかったの?」
「……教えてくんなかった。あのニヤケ女、マジぶっ飛ばしてやりたい」
母胎評価は序列の維持に最重要だ。
評価が下がる理由を知っていたとしても、他人に教えない方が自分にとって有利に働く。
もしこのままステータスが下がり続けるとしたら、非常にまずいことになる。
「春風さんも、たぶん序列が落ちたんだよね。あの子なら何か知ってるかも」
「あーし、聞こうとしたけど逃げられちゃった。あの感じじゃあ何も教えてくんないね〜」
——彼女たちは知らない。
全ての原因は、昨日の午前、星宮と寝白が二人がかりで宇佐美をイかせまくったからだ。
宇佐美の陥った危機は、他ならぬ親友の手によって齎されたものである。
「ウサミン。もう、こうなったら道は一つだよ。……夜伽、受けるしかないと思う」
「うんうん、それが一番手っ取り早いね〜」
「…………」
頬を少し染めて宇佐美が俯く。まだ、納得できていない。
憧れの王子様に捧げるために大切にしていた処女なのに、あんなヤツにあげちゃうなんて。
「ほら、思い出してウサミン。私たちがシてた時も、お腹の模様から感覚が伝わってきてたでしょ?」
「竿っち、まじヤバいよね〜。なんか気持ち良すぎて、そのうち人格かわっちゃいそ〜」
「…………」
大丈夫。気持ちいいだけだよ。
そんな星宮の言葉に、嫌でもあの感覚が蘇ってくる。
入っていないはずの熱く硬いモノが、自分の胎をグチュグチュに掻き回してくる、あの感覚。
ジュクン。
宇佐美の理性が抱える抵抗感とは裏腹に、正直な秘裂はとろりと蜜を出してしまう。
じゅぷじゅぷと出入りされるたびに、腰から砕けそうになるあの得も言われぬ快感。
狂うほどに叩きつけられる胎への衝撃と、湧き上がる正体不明の愛おしさ。
宇佐美の心は、すでにぐちゃぐちゃに溶けて混ざって訳が分からなくなっていた。
釣谷をここまで拒絶するのだって、もう理由なんて自分でも分からない。
ただ、最初から自分があんなに拒絶していたフツ男に対して、今更身体を許してしまうのが格好つかないから。それだけ。
好きってワケじゃない。断じてない。
でも、嫌いかと言われれば……わかんない。
「ほら、竿斗くんもウサミンに寵愛点くれてるでしょ? 気に入ってるんだよ、ウサミンのこと」
「……二人がアイツに頼んだんでしょ」
「そーだけどさ〜、他にも女子はいっぱいいるのに、竿っちは何にも反対しなかったよ?」
宇佐美は昨日の夕食後のことを思い出す。
離れたところで床にごろんと寝転がったアイツと、目があった時のことを。
思いっきりガンつけてやったのに、まるで動じずに真っ直ぐ見つめ返してきやがった。
なぜだか無性に恥ずかしくなって、宇佐美の方から目を逸らしてしまったのだ。
『……か、かわいい……』
体育座りに顔をうずめた宇佐美へ、思わずといったように呟いたアイツの小さな声。
聞こえた瞬間、理性は烈火の如く怒りをあげて"今すぐアイツをぶっ飛ばせ"って言っていたのに、なぜだか身体は動かなかった。
顔中に集まる熱を自覚しながら、ただ黙って隠れるように俯いたのだ。
「お? ウサミン、もしかして竿っちのこと好きになってきた?」
「はぁッ!? ンなワケないでしょ! 誰があんな地味男にッ!?」
「あはは〜、ウサミン、リンゴみたい〜」
「うるさいっ! マジ、ムカつくんですけどッ!」
ムカつく ムカつく ムカつくっ!
枕を振り回して暴れるリンゴギャルの癇癪は、昼食の時間まで続いた。
■
ウキウキるんるん。
俺は離宮の廊下をいまにもスキップしそうな足取りで歩く。
ついさっきまで繰り広げていた夢のような肉の宴に、どうにも喜びを隠せない。
ソフィアさんのぷるぷる桃尻をぱんぱんと突きながら、横に立つノーラさんの美乳を揉んで熱いディープキス。
変態お姉さんの中にどっぷり出したら、間髪入れずにメイド侍女へバックでインサート。
何度も交互に二人を抱いては、壊してしまうほどに愛しまくった。
結局、二人の膣内に二回ずつ射精してようやくおさまりがついたのだった。
もはや呆れるほどに精力が増してきていた。
流石に今はもう相棒もだらんと腑抜けているが、半日もあれば完全以上に復活できてしまう、そんな確信がある。
「なんか、こんなに幸せでいいのか……?」
きっと他の男子たちはここまで爛れまくった生活なんてしていない。
それどころか低ランクの男子は命の危険すらある環境へ放り出されたのだ。
……もう死んでいるヤツだって、いるかもしれない。
桃田はどうしてるのかな。一番俺と状況が近いのはあいつだろうけど。
いずれは、あいつの彼女も抱くことになるんだよな。
俺は考えるうちにだんだん暗い気分になってきて、足取りも軽さを失った。
ほんとこの世界、希望と絶望の乱高下が激しくて嫌になる。
大広間まで戻ってきた。夕凪やくるみが俺を見つけて駆け寄ろうとするが、手で制する。
悪いが昼食前に話したい相手がいるからな。はっちゃけたせいで時間もあまりない。
「さーおーとくんっ! おつかれさまっ!」
「あ、ちょ、ちょっと!」
……俺の制止をガン無視で寄って来るくるみと、あわてて追いかける夕凪。
こいつ、俺の精子には素直な癖に……。
「ふふん、くるみ、分かってるよ。柏葉さんと春風さんだよねっ! ほら、あっちの端」
くるみが指を指した先、布の仕切りで隠された寝床。中は見えない。
なんだ、俺の考えを察知して伝えに来てくれたのか。こういうとこ目敏いよな、くるみ。
「ああ、ありがとう。探す手間が省けて助かった」
「えへへっ! くるみ、竿斗くんのことはぜーんぶ、お見通しなんだぁ」
「私も、わかってたもん」
へへん、とあざとくドヤ顔するくるみとぷっくり膨れっ面の夕凪の頭をよしよししてから、二人と別れてそこへ向かう。
近づくと声も聞こえてきた。盗み聞きになると悪いので咳払いしながら近づく。
「ゔゔん! ……あー、柏葉さんと春風さん、いる? ちょっと話があって」
「! ……ああ、私たちも君に相談があったんだ。入ってくれ」
布の仕切りをぐいとどかして入り込む。何気にこの仕切りの中を見るのは初めてだ。
ふかふかの敷布団と分厚い毛布に枕。サイズも広めなその布団をほぼぴったり囲うように仕切りが立てられている。
寝具以外に物は無く、どうやら本当に睡眠専用のスペースらしい。
その上で崩した正座で座る柏葉さんと、女の子座りしている春風さんが俺を迎えた。
柏葉さんは、俺よりも少し背の高いカッコいい系の美人さんだ。
艶のある黒髪は、耳に少しかかるくらいの長さで丸みを描くショートカット。軽く横に流された前髪が頬にかかっている。
すっきりとした目元には、小さな泣き黒子がほのかな色気を醸し出す。
自然と「格好いい」と思わせてくるような、飾らない魅力がある人だ。
隣の春風さんは、平均的な身長の元気な天然っ子だ。
ミルクティベージュの髪は、耳より高い位置で小さくツインテールにまとめられている。
好奇心に満ちた大きな瞳が特徴の、あどけなさが残る顔立ち。
いつも感情がそのまま表に出る無邪気な彼女は、箱入り娘すぎて世間知らずな事で有名だ。
柏葉さんが真剣な表情の上に軽く笑みを浮かべて、俺を迎えてくれる。
「私たちの方から話しかけに行くべきだったのに、悪いね。布団に上がってくれていい」
「じゃあ、遠慮なく。気にしなくていいよ、俺もこっちに戻るのが遅くなったし」
かなり分厚い敷布団だ。というかほぼマットレスだな、寝心地は相当にいいだろう。
二人の正面に胡座で座り込み、さっそく本題に入る。
「たぶん、察してると思うけど……単刀直入に聞くね。今朝の序列変動、事情を聞いてもいい?」
「……ああ、全て正直に話そう。だが、一つだけ約束して欲しい。今からする話は、他の女子には秘密にして欲しいんだ」
「確約はできないよ。他の子達の害になるような話なら俺は秘密にできない」
「それはおそらく心配ない、はずだ。……きっと、私たちくらいしか居ないだろうからな」
随分と覚悟の決まった表情だ。どうやらかなり深い事情があるらしいな。
隣の春風さんも緊張で顔が強張っている。
「結論から言おう。…………私と日向は、恋人同士なんだ」
「……え……あ、ああ、なるほど。とりあえず、秘密にしたい理由はわかったよ。それで?」
そして、重々しい顔で柏葉さんが事情を説明してくれた。
なるほど、女性同士のセックスでステータスが移動する、か。
「私たちくらいしか居ない」という言葉の意味も納得だ。自然に起こることではないな。
「だいたい、事情はわかったよ。話しにくい事なのに、ありがとう」
「いや……むしろ、普通に聞いてもらえて安心したよ。気味悪がられたらどうしようかと思っていた」
「え、まさか! 百合は尊いんだよ、むしろめっちゃいいと思う!」
「あ、ああ……そうか。これは、喜んでいいのか? 一応……礼は言っておこう」
まさかうちのクラスに百合ップルがいたとは。
王子様系女子として同性から大人気だった柏葉さんは、エロさとは対極にいるようなイメージだった。
そんな人の口から「イかせた方がステータスを……」とか明け透けに言われるとちょっと不思議な感覚。
とりあえず、原因がはっきりしたことに安堵する。訳も分からず序列が崩される事態にはならないと分かった。
だが、俺にとっては嬉しくない情報だ。間違いなく、大っぴらにすべきではない。
この離宮における俺の最大のアドバンテージは、母胎評価を上げられるのが俺しかいないという事だった。
だから交渉も優位に立てるし、序列のコントロールも効く。そのはずだった。
だが、この裏道が知られれば話が全く変わってくる。
女子だけで序列に影響を与えられるのだ。俺のコントロール下から離れてしまう。
わざわざ自分からステータスを譲渡する人なんかいるのかと言われれば、いる可能性もある。
Aランク以上の女子の中で、俺に抱かれるくらいなら追放された方がマシという女子だ。
今までは国が逃してくれなかったが、この裏道を使えば自分の価値を下げられるから。
……正直、全然ありえる。星宮と寝白以外の全員がそうなったっておかしくない。
そしてもう一つは、他人からの脅迫によってステータスを譲渡せざるを得ない場合だ。
異世界で弱みを握られることなんてあるのか分からないが、実現しうる。
はぁぁ〜、嫌な選択肢ができてしまった。
——高ランクの女子に、伝えるか、否か。
すなわち、他人にステータスを渡して離宮を出ていく手段がある事を、教えるか否か。
正直、知らない方が楽だったな。知るべきではあったけど。
"高ランクの女子については、たとえ嫌われてでも子作りして、代わりに離宮での生活を保証する"
そうする覚悟を決めていたのに。
彼女たちの内心はわからない。俺に抱かれる覚悟があるのかどうか。
そして離宮を離れる選択をさせるということは、その子の命を俺が見捨てるようなものだ。
たとえ本人の希望であっても、そう思ってしまう。
「……すまないな釣谷。面倒事を起こしてしまった」
「いや、二人に悪気がないことくらい分かってるよ。それにいつかは直面していた問題かもしれないし」
「君は、私が思っていた以上に責任感のある人だったらしい。悩んでいるんだろう? 伝えるかどうかを」
「俺のエゴだよ、こんなの。普通に考えれば伝えるべきだ。自分の生き方くらい自分で選べた方が、きっと幸せだとは思う」
柏葉さんがふっと笑う。さらりとした嫌味のない笑み。
「ただ一人ここにきた男が君で、よかったと思うよ。欲望のままに振る舞うだけの猿ではなくね」
「あー……。何というか、欲望には、よ、弱いかも……」
「男子だろう、多少はそんなものなんじゃないかい」
「あはは……そうだといいな」
ついさっきも離宮の職員二人にダブル中出しキメてきましたなんて言えない。
そしてスッと目を閉じて、深呼吸する柏葉さん。
真っ直ぐ開いた瞳が俺を貫いて、真摯な表情の彼女が言った。
「釣谷。私たちから頼みがある。……今日の夜伽に、私たちを選んで欲しい」
覚悟のこもった眼差しの中にはっきり覗く、緊張と恐怖。
「男なんかに抱かれて平気か」、なんて無粋なことは聞かない。
そんなものは割り切った上で言ってくれているんだ。俺が紡ぐべき言葉など、ひとつだけ。
「……ああ、わかった。お願いするよ」
「……つくづく、いい男だったんだな、君は。秋穂の気持ちにも納得がいったよ」
ちらつく恐怖は消えぬまま、それでも安堵を浮かべた彼女。
真正面から飾らない言葉で褒められて、正直すごく照れる。
この真っ直ぐではっきりした態度や言葉が、女子にモテる理由なんだろうな。
「春風さんも、それでいい?」
まだ一言も発していない彼女。教室でのあの元気っぷりが嘘のように大人しい。
やや俯いて緊張した様子の彼女だったが、少しの間を置いてから小さくコクリと頷いた。
「釣谷。抱く時は二人一緒に頼んでいいだろうか」
「もちろん。他にも要望があれば言ってくれていいよ。あー、何というか、中に出しさえすればいいから、俺が一人で扱いてから出る瞬間だけ挿入するとかでも」
少し悩んでから答えが返る。
「……いや、私は普通に抱いて欲しい。同性愛者とはいえ、処女だからね。作業みたいに捧げるのは御免だ」
「分かった。春風さんも、何かあれば言ってね」
ずっと黙っていた彼女が、意を決したように口を開いた。
「……あの! あたし、釣谷くんのおちんちんから出る、あの白いやつ……の、飲んでみたい」
「…………え?」
き、聞き間違いか?