※この作品はR-18です。

クラス転移で勇者召喚かと思ったら子作り奴隷召喚だった   作:稲月

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49話 今の俺の原点

 

 栗栖さんの個室を出た俺は、廊下を少し進んだ先にある部屋の扉の前に立つ。

 美澄さんの部屋だ。……き、緊張してきた。

 

 身体検査は全員終わったらしいから、美澄さんも中にいるはず。

 今から俺は、憧れのあの人にセックスのお誘いをするのだ。

 こ、断られたらどうしよう。立ち直れる気がしない。

 

 小煩い心臓をなんとか宥めながら、ノックをしようと扉に近づいて、気付く。

 ……声? 微かだが、何か聞こえる。

 

(……だ、だめ……! はぁッ!)

 

 

 ——ひ、悲鳴だッ!

 

 

 突然の事態に焦った俺は、深く考えぬまま扉を勢いよく開けた。

 その声に確かに含まれていた艶っぽさにもまるで気付かず、中へ突撃する。

 

 

 そして、はっきりと見てしまった。

 

 

 大きくはだけた着物から覗く、艶かしい谷間と下腹部。

 上気した赤い肌は湯気が出そうなほどの熱を持ち、長く美しい黒髪は乱雑に投げ出されている。

 

 そして細い二つの腕は、明らかに。

 ふくよかな胸元と、両脚の付け根に伸ばされていた。

 

 

「——あ」

 

 

 彼女の濡れた瞳が俺を射抜く。精巧なガラス玉のように美しいその瞳が、まん丸に見開かれた。

 口元は半開きになって、空気の抜けたような声が漏れている。

 

 俺は完全に固まってしまった。頭の中は真っ白で、声の一つも出てきやしない。

 なのに視線は彼女の痴態から離せない。白い肌と美しい顔が脳に焼き付く。

 

 普通に考えれば想像できたことだった。身体検査後は一日の中でも数少ない一人きりのタイミング。

 毎日淫紋で昂らされる身体の熱を鎮めるには、最適な時間。

 

 でも、彼女に対してだけはそんな性的な想像ができなかった。

 いつどんな時でも完璧だったあの美澄さんが、自分を慰めているだなんて。

 

 美澄さんが黙ったままゆっくりと着物の前を閉めて、ようやく俺は我に帰ったのだ。

 

「あ……ご、ごめんッ!」

 

 急いで部屋から逃げ出そうとして、背中に彼女の声がかかる。

 

「待って。行かないで」

 

 静かに凪いで、なのに耳に残る声。

 激しく鳴り響く心臓の鼓動を感じながら、俺はゆっくり振り返った。

 

 頬を染めた彼女が落ち着いた様子で言う。

 

「釣谷くん。ちゃんと、話をしよう」

 

 俺は真っ白な頭のまま、微かに頷くので精一杯だった。

 

 

 

 

「ごめんね。へんなもの見せちゃった」

 

 ベッドの上に、少しだけ距離を置いて並んで座っていた。

 さっきまでの光景が嘘のように、いつも通りの完璧美人が俺に謝る。

 俺は前屈みになって下を向いたまま、掠れた声で返事をした。

 

「い、いや、俺の方こそ本当にごめん。ノックもしないで入ったりして……」

 

「それは確かに、酷いね。女の子の部屋なのに」

 

「うう……ごめんなさい……」

 

 もう合わせる顔が無さすぎた。さっきから一度も彼女の顔を見れていない。

 絶対嫌われた。終わった。さよなら、俺の恋。

 

「もう、私より落ち込んでどうするの」

 

 静かな声に少しだけ笑いを含んだ彼女が、スッと距離を縮める。

 拳三つぶんくらいの距離。ほのかに甘い香りが鼻孔をくすぐる。

 

「別に、怒っても嫌ってもないよ。ちょっと恥ずかしいけど、それだけ」

 

 前屈みになった彼女が、俯く俺の顔を下から覗き込む。

 相変わらず、美しすぎる顔だ。ふぁさりと斜めに垂れる黒髪が彼女の美貌を引き立てる。

 俺は内心でホッとひと安心して、浅く息を吐く。

 

「釣谷くんこそ、幻滅してない? いつも真面目ぶってる私が、一人でシてたなんて」

 

「ま、まさかっ! 想像したことなかったけど、普通のことだしっ、めっちゃエロくて……」

 

 あっしまった。いらない事まで口に出た。

 再び絶望しかけた俺を、美澄さんは堪えきれずといったように笑う。

 

「っふふ。君は、ほんとに素直だね。……身体も正直」

 

 彼女の目線は、ずっと前屈みになったままの俺の股間へ。

 薄い着物を高く押し上げる、完全武装状態の肉棒。あまりの勃起に亀頭の形が浮き出ていた。

 

 もはや謝罪の言葉も出てこず、俺は赤面して俯くことしかできない。

 そんな俺の隣で、美澄さんがバサっとベッドへ仰向けに倒れた。

 

 顔を横に向ければ、なんだか吹っ切れた表情の美澄さん。

 ふくよかな胸元が着物を持ち上げ、完璧なシルエットを映し出す。

 

「……はあ、油断したなぁ〜……。もう限界だったのかも」

 

 初めて聞く、彼女の気の抜けた声。いつもの静けさを破る、どこか明るい雰囲気を纏った声。

 その響きには、自嘲的な響きが多分に含まれていた。

 

 彼女は抑え込んでいた内心をやっと吐き出すように、明るく言葉を紡ぐ。

 

「実はね、日本にいた頃からなんだ」

 

「……えっと、何が?」

 

「オナニー。……中毒なの。子供の頃から」

 

「……え……と……」

 

 返事は返せなかった。言葉の意味を咀嚼するだけで数秒かかった。

 ……あの美澄さんが、オナニー中毒? 完璧美人の、あの美澄英理が?

 

「この世界に来てからはもう大変。お腹に付けられたこれ(淫紋)のせいで、四六時中シたくてシたくて堪らないの」

 

 いつかの朝食で、微かに震えていた彼女の姿を思い出した。

 あれは恐怖や悲しみなんかで震えていたんじゃなく、性欲を抑えようと必死だったんだ。

 

「……夜伽の件で来てくれたんだよね、釣谷くん。

 いいよ。ずっと待ってたんだ。初日から誘ってくれればよかったのに」

 

「えっ!? ……ああ、うん。じゃあ、よろしく……」

 

 ずっと憧れ続けていたあの完璧美人の美澄さんが、実は淫乱なオナニー星人だった。

 しかもセックスの約束も簡単に貰えた。むしろ早くヤりたかったって言われたんだよな、今?

 意味のわからない、しかしあまりにも最高なシチュエーションに、俺は夢を疑ってすらいた。

 

 もしかして、星宮みたいに裏ではめちゃくちゃビッチだったり……?

 それは何だか、すんごく胸が苦しくなる。

 

「釣谷くんは何でも顔に出るね。失礼だなぁ……ちゃんと処女だよ」

 

「! やった! ……あ、その」

 

 彼女の初めてを俺が貰える! つい素直に喜んでしまった。

 子供みたいな台詞が出てしまって、誤魔化そうにも手遅れだった。

 ……あれ、"何でも顔に出る"って、じゃあもしかして俺が美澄さんの事が好きなのもバレて……?

 

「バレバレすぎ。ごはんの時はいつもこっそり見つめられるから、すごく食べにくかったよ」

 

「っ! えっとっ! ……うう、ごめん」

 

 どう答えていいのかもわからず、恥じ入りながら謝る。

 ああ……な、情けなさすぎる……告白するまでもなく全て察されてしまった。

 こんなヘタレに彼女が靡くはずもないし、そもそもここは異世界だし、あ〜、死にたい。

 

「ふふ、ごめんね。私は君の気持ちには応えてあげられない。

 君が好きじゃないとかではなくて、私には恋愛なんかよりもやらなきゃいけない事があるから」

 

 告白する前に振られてしまった。南無三。

 ……で、でも、その"やらなきゃいけない事"が終わったらチャンスはあるんじゃ!

 

 全力で勇気を振り絞って、言葉を捻り出す。

 異世界のことも離宮のことも今はどうでもいいっ!

 

「それが終わったら、俺と、付き合って貰えないですか……!」

 

「めげないね。そういう真っ直ぐなところは、素敵だと思うよ。

 皆が次々と堕とされていくのも、君のその素直さが理由なんだろうね。

 ……どうだろう、あんまり想像はつかないなぁ。保留でもいい?」

 

「全然いいっ! めっちゃ待ちます!」

 

 よしッ! 希望を繋いだッ! 諦めるなよ俺!

 でもなんか、遠回しに多重股のハーレム野郎だって言われたような。

 

 ……にしても、"真っ直ぐなところ"かぁ。

 また、言われたな。

 

 俺がこうやって人と素直に接する事を心がけだしたのは、他でもない美澄さんが理由だ。

 最初からこうだった訳じゃない。捻くれていた時期だってあった。

 

「……美澄さんは覚えてないだろうけど、初めて会話した時にも同じような事を言われたよ」

 

 俺もバサリとベッドに仰向けに倒れて、あの時のことを回想した。

 

 

 ■

 

 

 一年生、夏の終わり頃だった。

 

 秋の学園祭に向けた話し合いの中で、クラスの意見が対立して少し揉めた事があった。

 そんな中で俺に意見を求められて、つい正直に正論をぶつけてしまったんだ。

 

 何を言ったかはあまり覚えていない。

 ただ、教室の空気が少し冷えたことだけははっきりと覚えている。

 クラスの中心だった桃田が明るく場をまとめてくれて、話は無事に収まった。

 でも俺は、やらかしたなと一人で落ち込んでいたんだ。

 

 その日の帰り際だった。

 それまで一対一で話したことの無かった美澄さんが、俺に声掛けた。

 

『"私は、君の真っ直ぐな言葉も素敵だと思ったよ"』

 

 それだけ言って、彼女は優雅に去っていった。

 

 たった、一言。

 でも、俺はその一言が欲しかったんだ。

 誰でもいいから、俺の言葉を認めて欲しかった。

 

 別に、真っ直ぐでいたかった訳じゃない。正論を言いたかった訳でもない。

 クラスのために考えたい気持ちと、だけど言い争いに少し疲れてしまった気持ちが混ざって、ついぽろっと出た意見だった。

 

 結果、誰も俺の言葉には触れず、桃田の取りまとめだけがクラスの総意として採用された。

 俺の言葉はあの状況で正しい言葉じゃなかったし、だけど間違った言葉でもなかった。

 

 だから、本当に嬉しかったんだ。

 彼女だけは俺を認めてくれた気がして。

 

 優しいとか、面白いとか、気が利くとか、表面上の評価じゃない。

 取り繕えず誤魔化しの効かない、"真っ直ぐ"という自分そのものを認めてもらえた。

 

 その一言が、俺の中の何かを決めたんだ。

 

 それが、釣谷竿斗が美澄英理に恋した瞬間で。

 釣谷竿斗が、真っ直ぐな人間であろうと決意した瞬間だった。

 

 

 ■

 

 

「——"覚えてるよ"」

 

「……え?」

 

「一年生の時だよね。皆が帰り出す中で、随分と落ち込んだ顔をしていたから」

 

「……はは、その頃から顔に出やすかったんだ、俺」

 

 胸の奥が熱くなった。まさか彼女の方も覚えていてくれたなんて。

 俺にとっては自分の失敗談でもあるから胸を張って話せるものじゃないが、それでも本当に嬉しかった。

 あれこそが、今の俺の原点だ。思わず頬が綻び、目頭が熱くなる。

 

(……だめか)

 

 美澄さんの小声の呟きも、喜びに紛れて聴こえなかった。

 そんなことよりも、俺は彼女にお礼がしたくてたまらない。

 

「ありがとね、美澄さん。あの時は本当に救われた気分だったよ」

 

「私は思った事を言っただけ。君の長所は君自身のものだよ」

 

「かっこいいなぁ、美澄さんは。皆が憧れるだけあるよ」

 

「ふふ、ついさっき、君に恥ずかしいところを見られちゃったけどね」

 

 そんな台詞のせいで、また彼女の痴態を思い出してしまう。

 まるで想像したことの無かった、美しい彼女の剥き出しのオナニー。

 

 せっかく収まったはずの勃起が、再び熱を持って屹立する。

 今は仰向けに寝ているせいで、着物の上からでもあまりに目立つ隆起だった。

 

 しまったと思って隠そうにも、既に美澄さんの視線はソコにあった。

 あまりの気まずさと、見せつけている興奮でつい固まってしまう。

 

 すぐ隣で寝転がる美澄さんが、少しだけ頬を染めて俺に言った。

 

「ねえ。釣谷くんもシて見せてよ」

 

「え?」

 

「オナニー。……私、男の人のを近くで見てみたかったんだ」

 

 だめ? そう言ってイタズラっぽく笑う彼女に、俺は逆らう事などできるはずもなかった。

 

 

 

 

「ほんとに、不思議なカタチ」

 

 ベッドの縁に座る美澄さんが、目を少し見開いてまじまじと観察する。

 俺は彼女の目の前の床に立って、その眼前へと股間の屹立を見せつけていた。

 

 憧れの女の子にペニスを突きつけているという非現実的な状況。

 触れてもいないのにたらりと先走りが溢れてしまう。

 

「ふふ、泣いてるの? かわいいね」

 

 つん、と細い指が亀頭を優しく小突く。

 それだけで俺は興奮が最高潮に達し、肉棒が張り裂けそうなほどに膨らむ。

 

 美澄さんは着物を着たままで、俺だけが全裸だった。

 だが俺の方が頭の位置が高いので、彼女の着物の隙間から白く艶かしい谷間を覗けてしまう。

 

 つい押し倒したくなるのを堪えて、欲望のままペニスを握り締めた。

 ゆっくりと、見せつけるように上下に擦る。

 先走りをまとった指が、にちゃにちゃと下品な音を立てて亀頭を撫でる。

 

 美澄さんが、頬を染めて見つめていた。

 まるで触り方を覚えるように。肉棒の感触を理解するように。

 じっと、俺のペニスに見惚れている。

 

「ふッ……ぐ……う……」

 

「……すごい音だね。男の子も濡れるんだ」

 

 自分で扱いているのに喘ぎが漏れてしまう情けない俺。

 美澄さんは片時も目を離さずにペニスを見つめる。

 その距離はさっきから少しずつ近づいている。

 俺は足を前に動かしていくし、美澄さんは姿勢を前に倒している。

 

 にちゃにちゃ、ちゅこちゅこ、と部屋に響く粘着質な水音。

 既にペニスと美澄さんの顔は十センチ程度しかない。

 

「う……み、美澄さん、そろそろ……」

 

「うん……このまま出していいよ」

 

 目を逸らさずに言う彼女。このまま出せば、当然彼女の顔にかかる。

 憧れのあの子に、顔射する……! もう、限界だッ!

 

 ぐちゅぐちゅと激しく扱く。自分の気持ちいいところはよく知っている。

 あっという間に精子が登ってくる。

 

「だ、出すぞ……ッ! うッ……ぐゥッ!」

 

  どびゅるるるるるるッッ! びゅぶうううううッ!

 

「わッ! あ、あつい……!」

 

 この世で一番美しいと思っていた顔を、俺の精液が白く穢していく。

 どぴゅっどぴゅっと飛び出る子種汁が、次から次へと彼女に掛かる。

 

 やがて脈動が収まったとき、美澄さんの顔は白濁に塗れて汚れきっていた。

 彼女は目を閉じて、初めての熱を感じ取るように黙っていた。

 

 指で目元を拭った彼女は、ほのかに笑う。

 そして、唇の周りを舌でペロリと舐めた。

 ドロリとした白濁液が舌に乗って彼女の口の中へ潜る。

 

「……うそ。おいしい」

 

 汚れた顔のまま目を見開いて驚く彼女。その表情は穢れきったはずなのに尚美しい。

 指で顔を拭っては、ぺろぺろと精液を舐める彼女。

 あまりにもエロい光景に、俺の肉棒がたちまち雄叫びを上げた。

 

 気づいた彼女が、微笑みながら立ち上がる。

 そして机にあった水とタオルで顔を拭くと、妖艶さを滲ませる瞳で俺をベッドに押し倒した。

 着物を着たまま俺の身体に密着するように乗る美澄さん。

 至近距離まで近づいた美しい顔に、俺は呼吸の仕方を忘れた。

 

「ねえ。もう、シちゃおっか。初めては二人きりでもいいよね」

 

「……ああ、シたい。俺も、美澄さんとセックスがしたい……!」

 

 華奢な肩をそっと掴む。理性が粉々に爆発して、奥から覗いた欲望が脳髄を支配する。

 そして、憧れの彼女と熱い接吻を交わそうとして——。

 

 コンコン。

 

 控えめなノック音が俺たちを止めた。

 美澄さんが、眉を垂らしてふっと笑う。

 

「神様は"まだダメ"だって。残念」

 

 起き上がった彼女は扉の方へ向かう。俺も慌てて着物を着た。

 

 ガチャリと開いた扉から顔を出したのは、今朝も俺の部屋に来たあの若い侍女。

 底冷えするほど鋭い視線で俺を一瞥した彼女は、氷のような声で伝えてきた。

 

「昼食のお時間です。ご移動をお願いいたします」

 

 どうやら時間切れのようである。

 く、くっそおおお! お預けかよッ!

 

 俺は彼女と二人並んで、昼食会場へと歩を進めた。

 尚、激しく勃起する屹立を鎮めるのは諦めたことをここに付記する。

 

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