「おまえ、オーナーに気に入られて使ってもらってんだから、問題起こすんじゃねーよ」
新入りの少年に説教する。
「毎日お客さまとケンカしてたんじゃ、オーナーもおまえを首にせざるを得なくなる」
「だって、わりいのは、あいつらのほうだぜ」
反省してない。
「客だからって、えらそーなやつだったし」
「向こうは金を払ってるんだから、気に入られるようにサービスしなきゃいけないだろ。
たしかに中にはおかしな客もいるが、こういっちゃなんだが、おまえもそーとうおかしいぜ?」
「おれのどこがおかしいってんですか」
「客の口にノズルの先突っこんだり、タイヤをぶつけたり、いろいろだ。ふつう、とっくに首になってるぜ。おまえ、オーナーの親戚かなにかか?」
「親戚じゃねーよ。たまたまバイト先首になったとき、その場に居合わせたおっさんが、オレの生活をきいて、きみの面倒を見るとか、うちで働きなさいって言ってきたんだ」
「その好意をふみにじるようなことすんなよ。いいか、誰だって生きてりゃガマンすることなんかごまんとあるんだ。おまえも生活する金をオーナーからもらうんだけどよ、その金もがまんならねえお客様から頂いたものなんだから、しばらくがまんしろよ。これ以上迷惑かけると、せっかくの好意でおまえを拾ったオーナーも悲しむぞ」
「・・・わかったよ」
「そこはわかりました、だろ。まあいいや、終わったらめしを食いに行くか」
「説教のつづきかよ」
「いや、説教は終わり。正直なとこ、むかつく客におまえがガンガン言い返したり、手を出したりするから、けっこう気持ちいいんだ」
「なんだよ。・・・じゃあ、ケンカしていいのか」
「いいわけないだろ」
「ふはーっ、うひーっ」
「おう、いける口だな。ほんとに今まで酒飲んでないのか?」
「ビールって、まずくねえですか?? おとながうまいっていうの、わかんねー」
「のんでりゃそのうち好きになるさ」
「ジュースより高えし、うまくねえし、あまりのみたくねえな」
「そのうち、酔うのが気持ちよくなってくるさ。おまえの場合ふだんから酔っぱらっているみてえなことするからなぁ。でもさあ、あんなことしてると、そのうち客に訴えられて刑事事件になるぞ」
「おれ、もと刑事っつーか、似たようなもんだったから、つかまんねーですよ」
「うそつけ、おまえみたいなハチャメチャな刑事がいたら、警察がつぶれらあ」
「うそじゃねーんだな・・・」
「もう目がすわってきているじゃん。
お前のことでオーナーと一回相談したことがあるんだが、おまえ、孤児だったんだって? おれも家出して、犯罪まがいのことして生活してて捕まったんだ。で、結局オレもオーナーに拾われたのさ。オレの被害者だったのにな。・・・いい人だろ、おれはあの人のために働いているようなもんだ。ほかにもやろうと思や仕事はあるけど、あの人は恩人だからな。できるだけあの人のためにうちのスタンドを盛り上げていきたい。おまえも、オーナーに迷惑をかけるなよ・・・」
「あの人、いい人なんだな」
「そりゃそうさ」
「俺はクソみてえな大人ばっか見てきたから、にわかには信じらんねえ。何かうらがあるんじゃねーかと思って)
「・・・あの人に裏があるように見えるか?」
「・・・見えねえ」
まずいと言っていたビールを飲み干す。
「あの人は、奥さんと子供を悪魔に殺されて亡くしているんだ。たぶん、俺達をじぶんの息子みてえに思って、ほっとけないんだと思う。だから、あの人のために、とりあえず我慢ならねえ客にもがまんして、働こうぜ?」
「わかった・・・わかりました」
「ようし、今日は俺のおごりだ」
「最初からそのつもりだよ」
「あ、だからがつがつ食ってたのか。おまえってやつはよ」
「おれ、金ねえんだもん」
「おれだってだ」
「パパ、デンジ君、ちゃんとパパの職場で働いている?」
「ああ、ユカリ。デンジ君はちゃんと働いてるさ。ちょっと元気すぎるみたいだが、まあ、若者だからな。お前とちょうど同じ年で、妹さんを養っているそうだ。えらい子だ」
「デンジ君、やめさせないでね」
ユカリと呼ばれたショートカットの子の目がふたつ、光った。
その瞳の光に引き込まれるように、父親はうなづく。
「もちろん、そんなことしないよ。お前の願いだからね」
ユカリの唇の端が上がって、
「パパ、だいすき!」
イエローのセーターを着た、か細い身体が抱きつく。
「・・・わたしもだよ。天国に行ったママが残してくれた、わたしのたった一人の娘・・・」
連載初期と、アニメは見ていたんですけど、レゼ篇から後は、アニメで見るためにマンガは見ていません。ネタバレは目にしてますが、大体しか知らないです。
ただ、第2部が始まっていると知った時、どうやらデンジが学校に通い出したらしいと知って、学園もののチェンソーマンかあ、そりゃいいと思ってました。
レゼ篇を映画で見て、チェンソーマン読みたい、でもここまで来たら、アニメを待ってアニメで楽しもうかなと思って、第1部の詳細は分かっていません。大体しか。
それでも読みたい欲が出て、スマホで第2部を2話読んで、おもしろい! と思ってコミック買って読み進めました。
すごいと思うのですが、想像してたのと違ったので、こんな感じになるのかなと思っていたことを、形にしてみようと思った次第です。