※この作品はR-18です。

チェンソーマン バイト編   作:衣畑みなと

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手ぇ握るもんだろ

あんなは興奮していた。

デビルハンター部では雑用ばかりだった。校外活動で悪魔を倒すのに立ち会ったことはあるけど、悪魔を倒したことのない自分が、頼りにされている。

穴があいた柵から校内に入ると、自然にみんなが自分を見て指示を待っていた。

「…昨夜の職員室でケガした用務員さんは、犯人にすごい力で跳ね飛ばされたって言ってる。悪魔だっていう可能性は否定できない。みんな、十分注意して」

「犯人、今日も来るかな?」

「来てるさ。そこに」

男子のひとりがデンジを指さす。

「えー、オレえ??」

「デンジ君、おっきな声出さないで」

「図星だろ」

「おまえらまでオレを疑ってんのかよ?」

すると、デンジとペアにされたユカが、見かねたのか、デンジを擁護した。

「デンジ君って、犯人じゃないと思う。だって、いつも赤点だから。答案を盗み見ているんだったら、成績いいでしょう?」

「そうか、デンジ、疑ってすまなかった」

「そうだなぁ、いつも赤点のデンジが、そんなことしてるわけないよな」

「わかってくれたか…。だてに赤点じゃねえってことを」

「クラスでも点数の低さでは折り紙付きのデンジが、答案盗み見てるわけないもんな」

「デンジ、ごめんね。わたしたち、たんに頭が悪いからってテストを盗みに入るって思いこんでた。でも、デンジの赤点は圧倒的だってこと、忘れてたわ」

「オイオイ、ほめても何にもでねえぜ」

「…じゃあ、5分おきにスタートしましょう。メールで配布したルートで、2人で職員室まで行って帰ってくる。ルート通りに進めば、はちあわせることはないから。ライトはできるだけ使わないこと。じゃあ、わたしたちが最初に行くね」

あんなはみんなにうなづいて、ペアの男子と闇に浮かぶ校舎の影へ歩きはじめる。

「もし悪魔が出たら、でっけえ声出しな。チェンソーマンが助けてくれるかもな」

「学校に都合よくチェンソーマンが来るわけないだろ」

5分、10分と立って、ほかのペアも次々と出発し、最後にデンジとユカが残された。

月明かりの下、ユカが黙り込んで、うつむいている。

「そろそろ5分だな。オレたちも行こうぜ」

デンジは、目の前の子が微かにふるえているのを見た。

「…怖いのか?」

しばらくして、ユカがうなづく。

デンジが手をのばして、細い指を握った。

少女はびっくりして、腰を引くようにする。

声も出せないで、デンジを見る。

デンジは、

「怖いんなら…」

あたりまえのことのように言った。

「手ぇ握るもんだろ」

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