「デンジ君」
青黒い廊下を歩きながら、ユカが声をかける。
「デンジ君、どうしたの」
手をつないで学校に入ってから、デンジがひとこともしゃべらなくなったから。
何か考えごとしているみたいに黙り込んでいる。
「うん?」
「デンジ君も怖い、とか?」
そう訊きながらちがう、と思った。
彼は怖がっているわけじゃない、と思った。
何か考え込んでいるんだ。
「…わりぃ。ほんとにわりぃ」
そう言ってくれたものの、やっぱり心ここにあらずといった感じ。
階段を上って、踊り場にさしかかった。
思い切ってユカはつないでる手をぎゅっと握ってみた。
「…?」
彼は歩くのを止めて、こっちのほうを見る。
「デンジ君、気分が悪いの?」
「…んー」
目をそらされた。
「や…なんつーかさ」
デンジ君はちょっと下を向いて、
「だめだな、ほんというと女の子とふたりで手ぇつないで歩くのはうれしいんだが、オレ」
そう言ってデンジは、うつむいた。
それから、つぶやいた。
「ダメかもしれねぇ…」
「なにが、だめなの?」
「…」
「わたしだったから、がっかりした?」
「そんなことねーよ」
そう答えるデンジ君の口調が強かったので、少しうれしくなった。
「…良かった!」
わざと元気に言って、
「じゃ、ゆっくりいこ」
しばらく間があってから、デンジは、何とか笑ってくれて、ほんとに、笑ってくれた感じで、ああ、と返事した。
こんな時にすっかりエレクトしてしまっている自分が、ひどいやつだと思う。
警棒を手に彼女の股間をのぞき込んでいたが、ちらっとあんなの表情をうかがう。
暗がりの中、あんなは顔を横にむけている。
「ご、ごめん」
あやまりながら、指であんなの大切なところを開いて見ると、混乱した。
「あんなさん…ここ、ここだよ、ね」
ライトを当てながら、そっと人差し指でふれると、びくっと足を動かしたあんなのか細い声が
「…わかん、ない…」
と、頭上で聴こえた。
わかんないって、めっちゃ処女じゃん…。
ライトを当てながら目をすがめてのぞき込むが、
「うわ…」
声が出そうになる。
めっちゃ膜張ってるじゃんと、思った。
小さな孔のようのものを見つけたが、棒なんて絶対入りっこないと感じた。
手の中で警棒を持ち変えて、ためらった。
見上げると、あんなは目をとじていて、頬に涙のすじが見えた。
それを見て、心を決めた。
ヒーローなんて、じっさいは来ない。
でも…彼女が食べられるなんて、絶対あっちゃいけない。
自分がヒーローに、なろう…。
それから女の子のそこを目に焼き付けてから、警棒を引き伸ばして、立ち上がった。
「どうした?」
暗闇から、悪魔の低い声がする。
怖気立つ。
こんなでっかいやつ、どうやって職員室に入ったんだ。
けど、ふしぎに思っているひまはない。
涙を浮かべている彼女の耳に小さい声で
「あんなさん、逃げて」
と言うと、暗闇に向きなおって、ダッと悪魔のほうへ突進した。
駆け出しながら、叫ぶ。
「みんな、逃げろおっー!!!!」