「よお」
病院の駐車場で、デンジは手を上げた。
デビルハンター部のあんなっていった子だ。
つらはかなりいい方だけど、デートしたいかというとなんか違う。
つり目がちの顔つきはチャームポイントにもなりうるんだが、冗談を言ったり笑ったりしてることがなさそうなんで、きつそうな印象だ。
セックスさせてくれるてんなら喜んでするけど。
でも今なんか、本当に目を吊り上げているように見える。
「あんな…さん、近藤の見舞い?」
「…近藤君、今、忙しそうよ」
いそがしそう、ってなんだ? けっこうなケガだから入院してるって聞いたんだが。
「治療中とか?」
「治療ってゆうか…う…運動してるっていうか」
なぜか赤くなって、視線をそらしている。
「運動? もうリハビリとかしてんの? …まあ顔出すだけだから。でも治療中ならもしかすっと会えないかもな」
「近藤君もう元気なんじゃない。…心配いらないと思う」
「しんぱいいらないい?? 昨日の今日入院したのに?」
近藤のやつ、もしかすっと、すげータフなのか?
「あんな、さんのほうは、昨日いちばん最初に職員室行ってたけど、大丈夫だったのか」
「怪我とかしてないし、身体はね。全然大丈夫。でも、デンジ君、最後の組で良かったわね。本当に、地獄だった」
「へっ、オレはホントにホントの地獄に行ったことあるぜ」
というと、あんなは何のことを言っているのかわからないと言った顔をしている。
会話が途切れると、じゃあ、と行ってしまった。
なんていうか、やっぱ人を寄せ付けないって感じだよな。
外見だけならテレビにも出れそうなのに、もったいない。
「まー、オレには関係ねぇがな」
病院の玄関に向きなおると、入っていこうとする女を見かけた。何となく関係者っぽいなと思ってみてて、女が脇を通るとき、
「あんた、ここの病院のひと?」
「はい? わたしは、ここの病院の人じゃないわね」
「そっかあ」
「集配して回ってるだけよ」
「集配って、病院に?」
「ええ」
「じゃあ、いろんな病院に行ってるのか?」
「そうなるわね」
「じゃあさ、病院に悪魔とか、出るか知ってる?」
「悪魔が病院に? どうして」
「いや、例えば…血が盗まれてるとか、そういうことないかなって」
血っていやあ病院だが、病院内でこういうこと聞くと、無いと言われるのは経験で分かっている。
たとえあっても、なんか、言えねえみたいなんだよな。
「血液が盗まれるのは聞いたことは、ないけど」
目をとじているみたいな女性は、口に手をあてて、
「でも、病院に悪魔は出るわよ」
「!?マジ」
「私、巡り合わせが悪いんだろうけど、病院を回っていると、悪魔と遭遇することばかりなのよ」
「ほんとかよ、オレ、だんぜんおねえさんに興味湧いてきたぜ」
「もしかしてナンパ?」
「ちげーよ。じゃあ、おねえさんが目をとじてんのって、悪魔を見ないようにするためなのか?」
「ひどいわね、これは生まれつきの顔よ」
「目をとじてんのって、だいたい頭良くってつえーんだよな」
「漫画の読み過ぎ。それで、どうして悪魔が出るかとか聞くの」
「オレ、ある悪魔をさがしてるんだ」
「悪魔をさがしている? …どうして」
「大切な…うん、ともだちっつーか」
「悪魔が友達なの??」
「悪魔つうても、あれだぜ? 悪魔っていったって、そりゃたしかによ、そいつメチャクチャなこと言うし、メチャクチャなことするし、傲慢で人間を見下してて、ウソつきで、オレも殺されそうになったけどよ」
「友達やめなさい」