拉致が生んだ愛ー囚われの美少年と妖艶な美女軍人ー 作:ドミトリ
そしてライサが持つ悲しい過去とは……
「あっ、アキヒト、来てくれたのね。さあ、入って」
ドアをノックした秋仁をライサは笑顔で部屋に導き入れる。さすがにこの船の最高責任者の部屋であり、また女性の部屋だけあって洒落たインテリアが置いてあるし、ベッドも秋仁のいる部屋に比べてずっと上等だ。
「さあ、こちらへ来て」
ライサは秋仁の手を引いてベッドへと導く。
「あっ、ライサさん、少し良いですか?」
「えっ? 何?」
怪訝そうに振り向いたライサに秋仁はポケットから取り出したものを見せる。それは水族館などでよく売られている、プラスチック製の小さな透明な容器の中に水と可愛らしいイルカのアクセサリーが入ったものだった。ライサはそれに見覚えがあった。
(これ、この子がここに連れて来られた時にポケットに入っていたオモチャの内の1つよね……天才少年とはいっても、やっぱり子供っぽいところがあるって思ったけど……)
「ちょっとこれを見てください」
「えっ? 何か面白い仕掛けでもあるのかしら?」
(やはりまだまだ子供ね。可愛いわ♪)
ライサはクスッと笑ってそれを見つめる。その瞬間、秋仁は容器のふたを指でするっ! と撫でて開ける。すると刺激臭っぽい匂いがライサの鼻をつく。
「キャッ! えっ!? な、何っ? 身体が思うように動かないっ……!」
ライサが驚愕する。体が金縛りにでもあったかのようにまともに動かせないのだ。
「ア、アキヒトっ……な、何をしたの?」
「大丈夫だよ。ちょっとの時間だけですぐに動けるようになるから安心して。一時的にライサ、君を動けない状態にしただけだから」
秋仁は、もはやライサを呼び捨てにし、彼女に対する敬語もやめた。それは彼の【絶対に彼女の心を掴んで彼女を恋人にする】という強い意思によるもの。
(私を動けない状態にって……この子、人工的に金縛り状態を作るような薬を創製したっていうの? いくらこの子が天才的な科学者の能力を持っているっていっても、そんな事が出来る筈は……)
疑問がライサの脳裏を駆け巡るが、それより先に今のこの状況をなんとかしなくてはと思い、彼女は叫ぶ。
「わ、私をどうしようっていうの!? 何故、こんな事をするの!?」
(私を人質にして部下たちを脅してN国へ戻るようにするつもり……?)
気が動転しつつもライサは考えを巡らす。しかし秋仁からの答えは意外なものだった。
「ごめんね。でもライサ、君を僕だけのものにするにはこうするしかないの」
「えっ……? で、でも、私はあなたに体を許してあなたのものになってあげたわ。今もこの部屋に呼んであげたでしょ? それなのに何故、こんな事を……?」
「それは君が上層部から受けた命令によって、僕をR国政府の利益になるようにするためでしょ?」
「アキヒト……」
「でも僕は君を恨んだりなんてしてないよ。上層部からの命令なら従わなければ大変な事になるだろうし、君の立場なら当然の事だもの」
「………………」
「でもライサ、君の気持ちがどうあれ、僕は君の事が大好きなんだ。だから君を僕だけのものにする。君が国家の命令よりも、軍人としての立場よりも僕の事が好きで、僕への気持ちを優先させるようにこれからしてあげる」
「わ、私は誇りあるR国海軍軍人ライサ・フョードロブナ中佐よ! そんな事になるわけ……あっ!! ああっ!!」
ライサは思わずあえいだ。秋仁の指が軍服を着ていてもくっきりとその存在を示している彼女の大きな勃起乳首を指でぎゅっ! とつまんだのだ。
「ああ……ライサ、君の乳首すごい……! こんなに大きくて硬く勃起してっ……! そしてこんなに感度抜群で……」
秋仁は可憐な顔に歓喜の表情を浮かべつつ、右手でライサの勃起した大きな乳首を軍服の上からさすり、つまみ、ひねる。一方、左手はライサの尻を優しく撫で回す。
「あっ!! あっ!! あはっ!! ア、アキヒトっ、やめてっ、あっ!! ああんっ!!」
秋仁の乳首と尻への愛撫にライサは美貌を赤らめてあえぐ。彼女の右手は秋仁の頭の上に優しく置かれている。彼女の本来の力なら非力で小柄な秋仁の体など簡単に引き剥がせるが、彼女は秋仁のなすがままになっている。それは例の金縛りの薬の力か? それとも……
「さあライサ、昨日のように裸になってっ。あの君の素敵な体を見せてっ。僕が脱がせてあげるから。そしていっぱい愛してあげるね♪」
「ア、アキヒトっ……あっ……!」
自分よりずっと背の高いライサの襟下に秋仁は背伸びして、両手で彼女の軍服のボタンを外していく。
「ああっ……アキヒトっ……」
軍服のボタンが外れるたびに、ライサの張り詰めた巨大な乳房がユサリと揺れて、彼女の深い胸の谷間があらわになっていく。それが秋仁の目にまぶしい。
「ああっ……素敵だよ……ライサっ」
「ああ……アキヒト、やめてっ……」
瞳を輝かせてあらわになっていくライサの体を見つめる秋仁。ライサは言葉だけの抵抗をするだけで彼にされるがままになっている。
秋仁はライサの軍服のボタンをベルトのすぐ上まで外すと、ベルトの留め金をカチャッ! と外す。
「あっ……」
ライサの腰からスカートがバサッ……と脱げ落ち、彼女の引き締まったへそがあらわとなり、彼女の下半身を覆うのは白いパンティーのみとなる。秋仁は彼女の腰に両手をかけて、そのパンティーをずり下ろす。
「や、やめてっ……アキヒトっ……ああっ……」
白いパンティーが床に脱げ落ち、ライサの秘部と丸い美しい尻が丸出しとなる。彼女の秘部には彼女の髪の色と同じ金色の陰毛が生え、それが輝いている。
秋仁の白く滑らかな手が、ライサのその金色の陰毛で覆われた秘部をさする。
「ああんっ!!」
秋仁は彼が何よりも好きなライサの張り詰めた大きな乳房と、やはり大きく卑猥な彼女の乳首を丸出しにすべく、ボタンを全て外した彼女の軍服の両側を掴むと、それをバッ! と左右に押し開く。
「ああんっ!! アキヒトっ!!」
ライサの叫びと共に、彼女の巨大な乳房がぶるるんっ! と大きくダイナミックに弾みつつ晒され、彼女は一糸まとわぬ全裸となる。
ライサの重力に逆らうかのように張り詰めた巨大な乳房を、硬く勃起してビン! と突き出した大きく卑猥な乳首を、引き締まったへそを、くびれた腰を……非の打ち所がない彼女の至高の裸体を秋仁は感激の眼差しで見つめる。
「ああっ……! 素晴らしいよ……! ライサっ……! 君はこれまで数多くの男たちをこの素敵な体で虜にしてきたんだね……でも、今日からは君を裸に出来るのは、この素晴らしい胸といやらしい乳首を見れるのは僕だけだよ。他の男には絶対に見させないっ! 触らせないっ!」
恍惚とした表情を浮かべ、秋仁は細くしなやかな白い指でライサの大きく卑猥な乳首をすりっ……とさする。
「あはあっ!」
甘い声であえぐライサ。秋仁はさらにライサの左乳首を指でグリグリとひねり回しつつ、彼女の右乳首を舌で存分になめ回す。硬く勃起して突き出している彼女の大きく卑猥な乳首はムチムチした弾力感があり、その舌触りも指触りも最高で、秋仁は夢中で彼女の乳首を執拗に舐め回し、ひねり回す。
「ああっ……ライサっ! 君の乳首ってなんていやらしいのっ! なんておいしいのっ! なんて良い触り心地なのっ! 僕の最高の宝物だよっ! 君のこの乳首っ!」
「あはあんっ! ア、アキヒトっ……! 可愛い顔でそんなにいやらしく私の乳首攻めてっ! ゾ、ゾクゾクするわあっ! はあんっ! もっともっと乳首いじってえっ! 舐め回してっ! あああんっ!」
夢中でライサの乳首をむさぼる秋仁。ライサは彼に性感帯の乳首を攻められる快感に美貌に喜悦の表情を浮かべてもだえ、もはや彼女の脳裏から彼に対し優位に立たねばという思いは消し飛んでいる。
「ウフッ♪ ライサったら本当に乳首感じやすいんだね♪ そんな君のいやらしい乳首をもっと感じやすくさせてあげる♪ もっともっといやらしくしてあげるね♪」
「えっ?」
思わず聞き返すライサ。秋仁はポケットから、今度はクマノミのような魚のアクセサリーの入った小さなプラスチック製の水入り容器を取り出す。それを秋仁はさっきと同じやり方で開けて、それに指を浸す。
「な、何をするつもり……?」
動揺するライサ。秋仁はニヤリと悪戯っぽく微笑みつつ優しい声でささやく。
「大丈夫♪ 心配しないで♪ 君をもっともっと気持ち良くさせてあげるだけだから♪」
「ど、どういう事っ? あっ!! はああんっ!!」
秋仁が容器に浸した両手指でライサの大きく卑猥な勃起乳首をつまみ、乳首全体を激しくしごいた。その瞬間、これまで秋仁に乳首を攻められた時の数倍のすさまじい刺激をライサは感じて、彼女は裸体を大きくのけぞらす。
(な、何なのっ!! あの液体を塗った指でしごかれた瞬間、乳首がジンジンと熱くなってっ!! も、もう感じ過ぎてたまらないっ!!)
「そんなに効いたんだね♪ 嬉しい……! この媚薬、作っておいてよかった……! いつか僕が本気で好きになった女性に会えたら、これを使おうと思っていたの♪ そして僕はついにその女性に会った。それがライサ、君だよ♪」
(こ、この子ったら、あの私の動きを止めた薬といい、この媚薬といい、この歳でこれほどのものを創れるなんてっ……!)
秋仁の天才的な能力に驚くライサをさらに強烈な刺激が襲う。
「あはあああっ!!!」
秋仁がライサの金色の陰毛で覆われた秘部をジョリジョリと力いっぱい媚薬を塗り付けた手で強くこすりあげて媚薬を塗り込んだのだ。
「ふあああっ!! ぜ、全身が性感帯になったよう……!! た、たまらないっ!! あっ!! あはあああああっ!!」
全身を駆け巡る刺激にもだえるライサ。その彼女の張り詰めた巨大な乳房に秋仁の白く細い指がめり込み激しく揉みしだき、ライサはまた裸体をのけぞらせて絶叫する。
ぎりっ! と秋仁が指でライサの大きく卑猥な両勃起乳首をひねる。
「はひっ!!」
秋仁はさらにライサの両乳首を激しく連続してひねり回す。
「ふひいいいいいいっ!!! ふひゃああああああんっ!!! ア、アキヒトおおおっ!!! ダ、ダメええええっ!!! あああああーーーーっ!!!」
媚薬を塗り込まれた性感帯の大きな乳首へに連続して加えられる凄まじい刺激に、ライサは長く美しい金髪を振り乱し、張り詰めた巨大な乳房を弾ませ、裸体から汗を滴らせて絶叫する。
元から大きく卑猥なライサの乳首は秋仁の激しい攻めにあって、さらに大きく、硬く長くなってそのあまりにも卑猥な形と感触に秋仁は股間をたぎらせ、射精したくなるのを必死でこらえつつ彼女に問う。
「ライサ、【ダメ】って、やめて欲しいの?」
「はひいんっ!! ア、アキヒトっ!! や、やめないでっ!! ち、乳首攻められてっ!! わ、私っ、い、痛いけど物凄く感じちゃってるのおっ!! こ、こんなの初めてよおっ!!! はあああっ!!」
「そう? じゃあ、言ってっ!! 僕の事好きだって!! ずっと僕と一緒にいたいって!!」
「そ、それは……………っ!」
「言ってっ!!」
思わず口ごもるライサに秋仁は叫ぶと、彼女の両乳首をひねる指にさらに力を込める。
「ふ、ふぎいいいっ!!! ア、アキヒトっ!! す、好きよおっ!! あ、愛してるわあっ!! ずっとずっとあなたと一緒にいるわあっ!!! だ、だから、もっともっと私のいやらしい乳首攻めてええっ!! お願いいいっ!!!」
「う、嬉しいよっ!!! ライサっ!! 僕も君が大好きっ!! 愛してるよっ!! ずっとずっと君と一緒にいるよっ!! そしてこうやって君のこの素晴らしい胸を!! このいやらしい乳首を毎日存分に愛してあげるっ!! 僕のライサっ!!!」
「う、嬉しいわあっ!!! 私の愛しい可愛いアキヒトっ!!! 何があっても私を離さないでええっ!!! あひっ!! あひゃあああああああああああんっ!!!」
淫らにもだえつつ、ライサは秋仁に愛の言葉を絶叫しつつ、裸体を大きくのけぞらせて絶頂に達した。
「はあっ……はあはあっ……はあんっ……ア、アキヒトっ……大好きっ……」
生まれて初めて味わった極度の快感にライサの裸体は全身が火照り、もはや彼女の頭の中は秋仁の事でいっぱいになっていた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ねえ、アキヒト」
ベッドに全裸で横たわっているライサが、制服を着た姿でそばに腰かけている秋仁に話しかける。彼女の張り詰めた巨大な乳房は仰向けに寝ていてもその美しい球形を全く乱さない。
「何?」
秋仁は答えつつ、ライサの乳房の上にそそり立つ、彼女の大きく卑猥な勃起乳首をまたさする。
「あはんっ! ア、アキヒトったらダメよっ、今は大事な話をしようとしてるんだから……」
「うん……」
秋仁は自分の愛撫にライサがあえぎつつも、次の瞬間に見せた真剣な表情に彼女の言いたい事を察して佇まいを正す。
「あなた、さっき言ってくれたわね。【今日からは君を裸に出来るのは、この素晴らしい胸といやらしい乳首を見れるのは僕だけ。他の男には絶対に見させない、触らせない】と……」
「うん」
「嬉しいわ。でも……本当にそんな事が許されると思う? 私は何をしてでも、どんな手を使ってでも政府の命令を貫徹する事を求められている工作員なのよ。あなたに対してしたように、この顔と身体で相手を籠絡して目的を達成する事だけを求められている女……」
哀し気な表情で語るライサ。その彼女を真剣な表情で見つめている秋仁。ライサは美貌に切なげな表情を浮かべて彼に問いかける。
「そんな私にアキヒト、あなただけを愛して常にあなたと一緒にいる事を諜報部の上司が、我が国の政府が認めてくれると思うの?」
「それは……認めないだろうね。たとえ君が心からお願いしても彼らはそれを認めないと思うよ」
秋仁はライサの切なげな表情に愛おしさを感じつつ、彼女の問いに正直に答える。
もちろんライサのその願いはどんなに彼女が頼んでも一顧だにされないだろう。いや、それどころかそんな事をしようものなら彼女は「こいつは工作員なのに、事もあろうに標的に誑し込まれて堕落し、使い物にならなくなった女」とされて始末されてしまうだろう。
R国という独裁国家はそんな国なのだ。個人の想いなど国家の、それを支配する独裁者の意向にそぐわなければ平然と踏みにじって一顧だにしない、そんな国だ。
秋仁の言葉にライサは明らかに動揺した様子を見せて叫ぶ。
「じゃあ、私はどうしたらいいの!? 私はもう完全にアキヒト、あなたに心を奪われてしまったのよ!! もう、これまでのように好きでもない男とベッドを共にして誘惑して粛々と任務を遂行するなんて出来ないわ!!」
叫ぶライサの水色の瞳から涙が溢れ落ちる。
秋仁は彼女の頬にそっと手を当てて流れ落ちる涙を拭う。
「あっ……アキヒトっ……あっ!」
秋仁がライサの体に抱き付く。いや、秋仁は抱きしめているつもりなのだが、ライサの方が体格がはるかに大きいので、自然と彼が彼女に抱き付いている構図になってしまうのだが。
「うん……分かってるよ。僕は責任を取るよ。さっき言った通り、もう二度と君を他の男と交わらせたりしない! 君をそんな任務につかせたりしない!」
「で、でも、どうやって……?」
涙に濡れた瞳で不安そうに自分を見つめるライサに秋仁は自分の決意を伝える。
「ライサ、一緒に行こう。僕の国へ。N国へ」
「えっ?」
秋仁の提案にライサは驚愕して彼を見つめる。
「そ、それって……私に祖国を裏切れと言うの?」
「ライサ、よく考えて。君の祖国は本当に君が自分の命を、自分の生涯を捧げるにふさわしい国なの?」
「えっ!?」
思わず目を見開くライサ。秋仁は彼女の水色の瞳を真っ直ぐ見つめて語りかける。
「もし、本当に諜報部の君の上司たちが、そのさらに上の政府の上層部や君たちの指導者が君の事を大切に思っているなら、君にこんな任務をさせると思う? 相手国の要人たちを誘惑して籠絡して始末させる……こんな危険で辛い仕事を」
「こ、国家のために尽くすのは最高の名誉よ! それに比べれば私個人の命なんてずっと軽いものに過ぎないわ!」
秋仁の予想した通りの言葉を続けるライサ。それは彼女がR国政府の意向により、ずっと自我を奪われ、工作員としてどんな汚れ仕事でも【国に尽くす名誉を遂行する事】と実行するよう洗脳されてきた証。そんな彼女の心の奥底に秋仁は踏み込む。
「本当に君はそう思っているの?」
「えっ?」
「だって君はさっき言っていたじゃない。【私はもう、完全にあなたに心を奪われてしまった】って、【もう、これまでのように好きでもない男とベッドを共にして誘惑して粛々と任務を遂行するなんて出来ない】って。君が本当に国家に尽くす事が何よりも素晴らしいと心から思っているなら、そんな言葉が出てくるはずがないよ」
「そ、それはっ……」
動揺するライサに向かって秋仁は続ける。
「ライサ、君は本当は1人の女性としての幸せを求めている。誰にも強制されず、自由に人を好きになって、誰にも脅かされずに生きる事を望んでいる。そしてその思いを持つのは人として当然の事なの」
「アキヒト……」
「僕は愛しい君にこんな危険で辛い仕事をさせて、【任務に失敗したら処刑する】なんて脅迫して、失敗したら本当に殺すような連中を許せない! 君をそんな連中から引き離すためなら、僕は何だってするよ!」
「アキヒト……!」
ライサの水色の瞳が潤む。彼女は目を伏せてしばらく考え込む様子をしていたが、やがて顔を挙げて秋仁の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「アキヒト、私、あなたに話すわ。私のこれまでの事を。聞いてくれるわね?」
「うん!」
ライサの言葉に秋仁も彼女の瞳を正面から見て、しっかりとうなずく。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「私の父は、昔、R国が皇帝を戴く帝国であった時には貴族で、皇帝政府に仕える軍人だったの」
「君のお父さんは元、皇帝に仕えた貴族の軍人……」
歴史にも興味がある秋仁は知っていた。R国は元々は皇帝が治める専制君主制国家だった。しかし、30年前、皇帝の専制政治と貴族らの横暴に貧しい生活を強いられてきた平民たちの不満が高まり、それを帝政打倒を図った革命家らが煽った結果、革命が発生して帝政は崩壊、捕らえられた皇帝一家は幼い皇子や皇女たちを含め皆殺しにされ、貴族たちもその大半が殺され、殺戮を逃れた貴族たちは国外に亡命したと……
ライサの話は続く。
「ええ、でも私の父はとても優秀な軍人で指揮官だったし、平民を人間扱いしなかった他の貴族の将校や士官たちと違って平民の兵士たちにも思いやり深く接していたから、兵士たちの人望も厚かったの。そこで当時の革命指導者のミーニンは父が貴族出身だったのに関わらず、革命軍の将校に抜擢したの。父はその期待によく応えて反革命軍や、革命の波及を恐れて我が国に攻め込んできた外国軍との戦いで活躍したわ」
「そんな訳で革命で貴族の身分が失われても、私たちの一家の暮らしはさほど変わらなかったの。私は革命後の生まれだけど、家は裕福だったし、父と母からは学問や礼儀作法をしっかりと学ばされたわ」
(ライサがあんな汚れ仕事をさせられていたにも関わらず、あの粗暴な部下たちとは違って気品があって、教養もあるのはそういう生まれ育ちだったからなんだ……)
ライサと彼女の部下たちとのあまりの印象の落差に違和感を感じていた秋仁だったが、ライサの話を聞いて彼は納得した。
「でも、そんな私たちの生活が一変したのはミーニンが亡くなって、今の指導者、ザルツキー書記長が権力を握ってからだったわ……今から14年前、私が13歳の時、父が突然、国家反逆罪に問われて秘密警察によって連行され、続いて母も同じく連行されたの。そして尋問の結果、2人は罪を認めたとして処刑されたわ……」
「そんな……!」
「それは私にとって青天の霹靂だったわ。今まで父を【英雄】として讃えていた者たちが手のひらを返すように【忌まわしい反逆者】【卑劣な裏切り者】と口を極めて罵るようになり、私もそれまでは【英雄の娘】とちやほやされていたのが一変して【裏切り者の娘】と罵倒されて石を投げられるようになったの……」
「………………」
秋仁は沈痛な面持ちで聞いている。
「どこからもつまはじきにされる【裏切り者の娘】がその汚名をそそいでR国で生きていくには、特殊部隊に入って国家への忠誠心を示すしかなかったの。【私は裏切り者の両親とは違う、祖国に忠実な人間】だと……だから私は上層部の命令ならなんでもしたわ。人前で父を罵倒し、命令されるがままに標的の男を誘惑して彼らと寝て、抹殺した……私は生き延びるために誇りを忘れ、愛してもいない男たちと寝て、人殺しもした、恥知らずな女なのよ!」
自らの過去を告白しつつさめざめと涙を流すライサ。その彼女に秋仁はそっと身を寄せると、涙の流れ落ちる彼女の頬に優しく触れて、そっと唇を重ねる。
「あっ……アキヒトっ……」
「ライサ、君は恥知らずな女なんかじゃない。恥知らずなのは君にそんな事をさせてきた連中……君のご両親に無実の罪を着せて殺した連中だよ」
「アキヒト……あなたは私の両親が罪を犯していないと、冤罪だったと信じるの?」
ライサの問いに秋仁は優しく微笑み、うなずく。
「もちろん信じるよ。だって君の話を聞いて、君のお父さんがとても高潔で素晴らしい軍人だった事が、君のご両親が君を強い愛情を持って大事に育てた事が分かったもの!」
「アキヒトっ……!!」
(アキヒト……あなたは私よりずっと年下でこんなに可愛いのに、何でこんなに優しくて頼もしいの!! 私をこんなに温かな気持ちでいっぱいにしてくれて……!!)
ライサの目から嬉し涙が流れ、彼女の胸に、父と母が秘密警察に連行されていった日に、最後に言った言葉がよみがえる。
「ライサ、強く生きろ。何が何でも生き延びるんだ! そうすればきっといずれ、お前が幸せになるチャンスは訪れる。」
「ライサ、生きて! 何があっても心を強くして生き延びるのよ! そうすればきっと、あなたを幸せへと導く人が現れるわ! 私の可愛いライサ!」
(お父様……! お母様……! 私、言われた通り、今日まで恥を忘れて必死に生き延びたわ!! そしてついに、お父様とお母様が言った、幸せになるチャンスが、私を幸せに導いてくれる人に出逢えたわ!! それがこの子、アキヒトよ!! お父様、お母様、喜んでくれるわよね!!)
ライサはそう心の中で亡き父と母に伝えると、秋仁を見つめて決意を伝える。
「アキヒト、私、あなたと一緒にN国へ行くわ。だからお願い。何があっても私を離さないで。私はあなたを常に支える。だからあなたも私を支えて」
ライサの言葉に秋仁は歓喜の表情を浮かべる。
「ライサ……!! うん! 約束するよ! 何があっても君を離さないよ!! 僕が君を支えるから!!」
「アキヒトっ!!」
ライサが歓喜の表情で秋仁を抱きしめ、彼女の大きな乳房に秋仁の顔が埋まる。そして二人は唇を重ねた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ライサ、この船には脱出用のボートとかはあるの?」
「ええ、高性能の小型高速船があるわ」
「君はそれを運転できる?」
「ええ、大丈夫よ♪」
ライサが自信満々にうなずく。秋仁は改めて工作員としての彼女の優秀さを感じると共に、最大の懸念を口にする。
「後は、君の部下たちをどうするかだけど……確か、君を除いてこの船にいるのは10人だったよね?」
「ええ、そうだけど……彼らが私たちの計画に同調するとは、まず思えないわね……」
ライサが深刻な表情を浮かべる。秋仁としてもあの部下たちのライサや自分に対するあからさまに侮蔑的な態度から見ても、彼らが自分たちに共感するなどとは微塵も思えなかった。
「彼らの目を盗んで逃げる事は?」
「ほぼ不可能ね。24時間体制で誰かが交替で艦内の見回りをしているし、私が【見回りはしなくて良い】なんて言ったら、絶対に怪しいと思われるわ。彼らは素行はあんなでも、兵士としてはそれなりに優秀だし、カンも良いわ」
「それに逃げ出すのが気付かれたが最後、彼らはどこまでも私たちを追ってくるわ。この船には大砲も機銃も積まれているから、それで狙い撃ちされたら私たちの乗った小型高速船など、一撃で粉微塵にされるわ」
「そうか……なら、やはり仕方ないね」
秋仁は決意を固める。彼にとって何よりも優先される事は愛するライサの無事だ。彼女の身に、命に危険が及ぶ可能性のある事は出来得る限り避けなければならない。ライサの部下たちが彼女に従う可能性も、自分たちの思いに共感する可能性もないとなれば、危険を可能な限り避けてこの船から逃げ出すには取るべき道は一つしかなかった。
(でも、ライサがそれを受け止められるか……粗暴で反抗的で下衆な連中とはいえ、彼女の部下たちだし……いや、それでもやるしかない!)
「ライサ、聞いて」
秋仁は意を決して自分の【計画】をライサに打ち明ける……
「そ、それは……」
予想通りとはいえ、秋仁の【計画】を聞いたライサの顔には戸惑いの表情が浮かぶ。
「ライサ、僕は言ったよね。【君に危険で辛い任務を強制し、死をもって脅してそれをさせるような連中を僕は許せない。君をそんな連中から引き離すためなら何だってする】って……そう、そのためなら……愛しい君を守るためなら、僕は鬼にだってなるよ」
「アキヒト……!」
秋仁の決意を込めた表情にライサは水色の瞳を見開いて見つめる。だが、彼女の顔にはまだ、ためらいの色が浮かんでいる。それを悟った秋仁は彼女に尋ねる。
「ライサ、君は盗聴器を持っている?」
「ええ、私は工作員のリーダーだもの。最高度の性能の盗聴器を持っているわ。でも、それをどう使うの……?」
訝しげな表情を浮かべるライサ。
「あの連中が君に対してどんな気持ちでいるのか、今、何をしようとしているのかを確かめるの。ここから脱出するためには彼らの動向を正確に把握する必要があるからね。彼らがたむろするような場所に盗聴器をうまく仕掛けられる?」
「ええ、出来るわ。艦内を見回る風を装って仕掛けるわ。任せて」
秋仁は先ほどこの部屋に来る前に部下たちが見せていた不穏な言動から、彼らが何かを企んでいる事を疑っていた。それを明らかにすればライサも覚悟を決めると考え、彼女に盗聴器を仕掛ける事を提案し、彼女もそれに同意したという訳だ。
その日の夜。ライサの部屋にいる秋仁とライサの耳に、部下たちの密談が聞こえてきた。
「“じゃあ、明日、いよいよ決行といくか”」
「“ああ、あの淫乱艦長、明日の13時に今後の事について会議室でミーティングをするって言ってたからな。その時、俺たちが不意を突いて総掛かりで襲ってあいつをメチャメチャに犯してやるって手筈よ”」
「“でも、あの女、今、あのガキと自分の部屋でよろしくヤってるんだろ? 手っ取り早くそこを襲って犯しちまえばいいんじゃねえか?”」
「“バカ、あいつは射撃の名手なんだよ。いきなり行けば怪しまれ、感づかれて反撃食らう可能性もある。そうなりゃこっちにも死人が出る恐れが高い。大勢で不意をついて一気に仕留める必要がある”」
「“分かってるよね? あの女はアンタたちが存分に犯して、十分にもてあそんだら殺して死体は海に沈める。あたしたちがやった事を上にチクられたらヤバいからね。【死人に口なし】だ。あのガキさえ連れ帰りゃそれで良い”」
「“お、おい、イリーナ……さすがに上官を……中佐を殺すってマズイだろ……”」
「“なあに、上には【あの女があのガキにのめり込んで国を裏切ってガキを連れて一緒に逃げようとしたから反逆者として始末しました】って報告すりゃ良いのさ。元々、あいつは【忌まわしい貴族の血を引く反逆者の娘】だからね。あのガキさえ連れて帰れば上もそれで納得するさ”」
「“な、なるほど、それが良いな。だけど、イリーナ、お前、とことんあの女が嫌いなんだな”」
「“気に食わないんだよね、あいつ。忌まわしい貴族の血を引く反逆者の娘のクセに、ちょっと男好きのする顔と体を持ってるからって上に取り入って出世して、上官風をふかしてあたしたちに偉そうに命令しやがって……あのすました面が絶望の表情に変わるのが今から楽しみだよ! ハハハハッ!”」
部下たちの語るあまりにも卑劣で下衆な計画、それを一部始終聞いた秋仁の華奢な体が怒りにふるえる。彼らは単に上官のライサの悪口を蔭で言っていただけではない。彼女を陵辱して殺す計画まで立てていたのだ。
「あの連中……僕のライサになんて事を……!! 絶対に許せない!!」
秋仁の心の中に残っていた、彼らに対する後ろめたさが完全に消えた。
秋仁は隣にいるライサを見つめる。彼女の体はブルブルとふるえ、美貌は怒りで引きつっている。もはや彼女の心からもためらいは完全に消えた事を確信した秋仁は彼女に告げる。
「ライサ、あの連中が言っていた明日の13時、連中の先手を取って【あの計画】を実行するよ」
「ええ、私もこれで完全に吹っ切れたわ。もう容赦する気は全くないわ」
二人はうなずき合う。
「でもアキヒト、あなた、R語が話せたのね?」
秋仁が部下たちの忌まわしい言葉を完全に理解していた様子を見たライサが聞いた。
「うん。でも、あの連中の様子が最初からひどく不穏だったから、何かあった時のために僕がR語を話せないように装っておく方が良いって思っていたの」
「アキヒト、あなたって本当に頭が良くて先を見通せるのね! さすがだわ! 私の素敵な彼氏さん♪」
ライサが心からの笑顔でずっと年下で可憐な、しかし頼れる恋人を賞賛する。
そして2人は【計画】に向けての準備を進めた。
(次回に続く)
今回のお話では秋仁のライサに対する【逆性洗脳】により秋仁がライサの心をつかみ、さらにライサの悲しい過去を知った秋仁が彼女を優しく労り、励ました事でライサは秋仁と強固な愛の絆を結び、彼女はR国軍人の地位を捨てて秋仁と共に彼の国であるN国へ行く決意をしました。
秋仁が冒頭でライサに用いた彼女を一時的に金縛り状態にした薬。現実にはいまだそのような形で人工的に金縛り状態にする薬は発明されていませんが、これはあくまでも小説の中で秋仁の優れた科学者としての能力を示した架空の設定です。
さらに秋仁がライサに用いた媚薬。元々、2人の体の相性は抜群なのですが、これが秋仁の創製した媚薬によってライサの感度が数倍に上がった事で彼女は完全に秋仁に対してメロメロ状態になりました。
しかし、金縛りの薬といい、この媚薬といい、こんなものを日常的に持ち歩き、「本気で好きな女性が現れたからこれを使う」と言い放つ秋仁。可憐なショタっ子ですが、なかなか凄い性格の持ち主です……(;^^)
そしてライサの過去。彼女の両親の悲劇は、ソ連におけるあの独裁者スターリンによる粛正をイメージに書きました。作中の革命とそれにより倒された皇帝政府はもちろんロシア革命とロマノフ朝の皇帝政府がモデルであり、ライサの父は、ソ連で天才的な軍人として活躍し名を馳せながら、その名声に嫉妬して彼を脅威としたスターリンによってナチス=ドイツと内通したという反逆罪を着せられて処刑されたトカチェフスキー元帥をモデルとしています。
ライサの父が元は貴族で皇帝に仕える軍人で、革命後に革命指導者にその能力と人望を買われて貴族出身でありながら革命軍の指揮官に抜擢されたというのも、まさにトカチェフスキー元帥の経歴にならっています。ライサが汚れ仕事をさせられつつも、彼女の粗暴で下衆な部下たちとは違い、美しくて気品があり教養もある女性軍人という設定を思いついた時点で、この設定も併せて思いつきました。
幸せな少女時代を過ごしていたライサが、突然、両親が無実の罪を着せられて処刑された事で不幸のどん底に突き落とされ、それから工作員に志願して恥を忍んで辛酸をなめながら必死に生きてきた、その事実を秋仁は全て受け止めて傷ついた彼女を優しく包み込み、彼女を守るために自分の手を汚す事を決意する。そんな彼にライサは心を打たれ、祖国を捨てて彼と共にN国に渡り、生涯を共にする事を決意します。
ちなみに文中のライサの【今から14年前、私が13歳の時】という言葉から、ライサの作中現在の年齢が27歳であり、16歳の秋仁より11歳年上だという事が分かります。
秋仁とライサのライサの部下たちに対する【計画】。これが何を目標としているかは、作中の【ライサの部下たちが彼女に従う可能性も、自分たちの思いに共感する可能性もない】という秋仁の見解、また彼がライサに言った【愛しい君を守るためなら、僕は鬼にだってなるよ】という言葉、さらに部下たちの自分に対する卑劣で下衆な計画を知った後のライサの【もう容赦する気は全くないわ】の言葉などから察する事が出来ると思います。
秋仁とライサがわずか2人で(しかも秋仁自身には戦闘能力は皆無)、イリーナやイヴァンたち10人を相手にどう立ち向かうのか? それは次回をお楽しみに!