種馬の冒険者 作:こざかしい鳥
数年間、苦楽を共にしたパーティーが解散すると聞いたとき、どんな反応をしたのか。
イグニス自身、正解の対応が出来たとは、今でも思っていない。
突然の事では無かった気がする。
いつかこの日が来るのだと分かっていた気もする。
しかし、実際に来てしまったとなれば上手く反応出来ないものだ。
出来ることなら朝まで仲間たちと語らいたかった。
酒を飲み、思い出話に花を咲かせたかった。しかし皆、明日からの新生活に向けての準備がある。そうやって日が変わる前には解散となってしまった。
寂しさが募り、孤独が籠る。
それにただ耐えるには、そういうモノだと理解するには、イグニスはあまりにも若く、精神的な痛みに馴れていなかったのだ。
何かで誤魔化さなければ息が詰まる。別の何かで塗りつぶしてもらわなければ前も見えない。
新しい絆を結ぶには、どうしても今は、恐怖が勝ってしまうのだ。
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うっすらと目尻から水滴が伝い、耳へかけて一直線の筋を作る。寝起きの欠伸もせずに出る涙は、やはり寂しさから来たものなのか。自分の女々しさに情けなくなり、自嘲気味な笑みをこぼしてしまう。身体を起こそうと力を入れるが、寝起きのせいか上手く身体が動かない。
娼館での一夜を過ごす場合は、値段が低い場合は質も低く最悪のモノとなる。逆を言えば、値段を渋らなければ最高の安眠を約束されるのだ。
“ぐぽっ♥ ちゅず♥ ずろろ♥ じゅぞ♥ ずちゅる♥ ちゅば♥ ぢゅるる♥“
「んはぁ♥ あ、おはようイグく~ん♥ 今日は……じゅずずぅ♥ んじゅ、れるぅ……んはぁ♥ 今回は、起きるの遅いねぇ……じゅずっ♥ じゅぞぉ……でもぉ♥ こんなに朝勃ち……硬くしてぇ……んぁ♥ おマンコ疼いちゃう臭い……すっごぉ♥」
「ちょ、エレンさん朝から……っ!」
その寝起きに、毛布の中で蠢く美女、エレンの姿があった。
差し込んできた朝日に赤い髪が照らされ、いきり立つ剛直へ舌を這わせながらシュクシュク♥と幹を扱いてくる。昨晩は何回戦までシたか覚えていないが、それでもイグニスよりも先に目を覚まし、奉仕をしながら愉しませてくるのは、やはりプロの手腕だった。
「追加料金とか言いません、よね?」
“ずろろろろぉ♥ ぐぽッ♥ じゅぽ♥ れろれろ♥ じゅぞ♥ れる♥ じゅる♥ じゅぞぞぞ♥ ぢゅぷ♥“
「じゅるぅ♥ ん、ふぅ……どうかなぁ♥ 昨日は、すっごい激しかったしぃ……愉しんでくれたみたいだしぃ♥ れるれる……んじゅ、じゅるるぅ♥ もっともらっても良いんだけどぉ……♥ じゅずずぅ……んはぁ……まだおちんぽ、辛いみたいだから……サービスにシちゃおっかなぁ♥」
「あはは……それでお願いできると……んぃっ!」
イグニスが軽口を叩こうとした時、エレンが亀頭へと舌を這わせて啜り上げることで遮った。
腰が蕩けるような快感は、蠢く舌使いや緩急のある吸い付きが生み出すもので、高級娼婦としての実力が遺憾なく発揮されている。
昨晩はやはり、金に見合ったよがり方をしてくれたのだろう、と自惚れを恥じていると「じゅるるぅ♥ じゅずっ、じゅずずずぅ♥」と頬を窄めたエレンが肉棒を吸い上げてきた。
“どぼびゅっ♥ びゅるるる♥ ごぼっ♥ どびゅ♥ ぼびゅ♥ びゅく♥ びゅく♥“
「んっぶぅぅぅ♥ んぶぅ♥ じゅる♥ じゅずず……♥」
“どびゅっ♥ びゅるるる♥ どく♥ どびゅるるるる♥ びゅく……♥ びゅく♥ どぷ♥ どぷっ♥“
「んれぁ♥ じゅず♥ じゅるるぅ♥ くちゅくちゅ♥ んじゅ♥ ごきゅ……っ♥ ん、ふぅ……♥ ふぅ……♥ んべぇ……♥ はぁい、朝からご馳走様ぁ……♥」
寝ている間に溜まり、籠っていた精液がエレンの口内へ吐き出される。
大量の、強い粘性を持った白濁液を口内に蓄え、ズルリ♥と肉棒を引き抜く。口内を見せ、舌をれるれる♥と蠢かせて精液を掻き混ぜると、わざとらしく咀嚼音を鳴らして嚥下した。
ゴキュリ♥と喉が鳴り、舌を垂らして青臭い吐息を零す。
「まぁ、サービスはここまでかなぁ♥ イグくんもこの後お仕事だろうし、まぁたお仲間さんに怒られちゃうしねぇ」
軽く伸びをし、ユサユサ♥と乳肉を揺らしたエレンがベッドから降りる。手馴れた動作で纏めているのは、イグニスが持っていた美品やら装備だ。
馬小屋で過ごすより、多少値が張っても宿に泊まった方が安全で、さらに言えば高級な娼館にいた方が快適だ。
エレンが居るここは、その典型と言える。信頼と実績により成り立っているならば物が盗まれることも、寝込みを襲われることもない。
「お仲間……お仲間かぁ……」
「あれ、どうしたの?普段は楽しそうにしてるでしょ」
そんな風に見られていたのか、と思いながら差し出された服と軽装を付けていく。その流れでイグニスは、パーティが解散になったことと、今日から一人なことを軽く話していった。改めて現実を受け入れたせいか気分が沈んでいき、受け取った黒杖を支えにしながらため息を吐いてしまう。
「あらら……あ、じゃあさぁ、ウチの用心棒になるとかはどう?店長にお願いして、お給金も弾んでもらうよぉ?」
「魅力的な提案だけど……ごめん。もう少し冒険者を続けてみるよ。まだまだヤリ甲斐はあるだろうし」
「え~、残念。向いてると思ったんだけどな~」
どこまで本気で言っているのか。口調の軽さとは裏腹に、エレンの声音には色気が乗っていた。昨晩と今朝に射精していなかったら、思わず頷いていたかもしれない。
備品と武装の確認を終えたイグニスは、最後に追加の金貨だけを置いて娼館を去っていく。孤独に耐えながら、それを誤魔化しながら、何とかして冒険者を続けていくのだ。
**********
残されたエレンは、娼館から立ち去っていくイグニスを部屋の窓から眺めていた。
久方ぶりに見た彼の姿は、普段通りか、それ以上に男性的な魅力を纏っており、娼婦としてではなく、一人の女として彼へと自らを売り込んでしまった。
「はぁ……こぉれは、ウチもやばいかなぁ……?」
ベッドに倒れ込み、彼の雄臭が残った毛布とシーツに顔を埋める。スンスン♥と鼻をひくつかせ、獣のような異臭が肺へと流れ込み「んぅ゛っ♥ ふぅ……ほぉ゛っ♥」と間抜けな声を零してしまう。
仕事では無い、エレン自身が、彼の臭いに発情しているのだ。
「ふぅ……ふぅ……っ♥ んぅ……イグくん、イグくん……♥ あ゛ぁ……マジでヤッバイ……♥ ガチ恋、キメそうになるぅ……っ♥」
彼の黒髪を思い出し、獰猛な視線を感じ、組み伏せる雄の名残に下腹部をズクンッ♥と熱くした。鼻息を荒くしながら肉感的な太腿を擦り合わせ、陥落しきった子宮からの命令に何とか耐えようとする。
欲望を扱い、煽ることで日銭を稼いでいる自分が、欲望の虜に成ることは在ってはならないと、深く息を吸い思考を立て直す。
「あぁっ、もう……♥ 罪な男だよねぇ……イグくんはさぁ……っ♥」
太腿へ指を這わせれば、クチュリ♥と湿った音がする。愛液が指先に残り、舐めとれば青臭い精液の味が残っていた。この味を求めてしまえば、その他大勢の客など相手にするのが馬鹿らしくなる。
いずれ身請けをしてくれれば、などと言う夢想をしながら、エレンはイグニスを待ち眠りにつくのだった。
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朝一から少し遅れたせいか、冒険者に依頼を斡旋するギルド酒場はある程度の余裕を持っていた。以前までは割りの良い依頼や迷宮への探索申請を少しでも早く出そうと躍起になっていたが、今のイグニスにその必要はない。
残り物の、それこそ村に出たゴブリン退治や下水道の巨大鼠の駆除ですら問題ないのだ。
「とはいっても……今まで通りの生活をするなら実入りは考えないとなぁ」
張り出された依頼を見るが、残り物なだけあって報酬は少ない。
下手をすれば、備品や装備の維持費を考えれば赤字になりそうなものまである。やはり残り物には福があるなど嘘のようだ。
今までは忍者が魔術師と共にやり繰りをしてくれていたが、これからはそうもいかない。
「仕方ない。とりあえず探索申請に……ん?」
迷宮へ入るには、何処に行くのかと何人で行くのかをギルドに報告する義務がある。行方不明になった場合、捜索隊を手配しやすくなるためだ。
そのせいもあってか、案の定ギルドの迷宮探索申請の窓口はそれなりの列を作っている。
しかし、イグニスの目に止まったのは気だるげに並んでいる冒険者ではなく、依頼が張り出されたボード付近で屯している冒険者の背中だった。
「ですから、私たちは……」
「ねぇ、本当にしつこいんだけどあんたら……」
いや、正確に言えば屯しているのではなく、群がっている、という表現が正しいだろうか。見える背中は五つで、どれもこれもむさ苦しい男性のものだが、微かに通ってきたのは耳触りが良い女性の声だった。
片方は困惑しているのか、どこか気弱ながら可愛らしいもので、もう片方はうんざりとした色を纏った凛としたものに聞こえる。
「わ、私たちは依頼をしに来たんです!そんな、その……男漁りだなんて」
「おいおい、お嬢ちゃんよぉ。そんな依頼受けるやついねえって分かってんだろ?口実に上等な文句使ってんじゃねえよ」
「話通じないわけ?依頼を受けないんならどっか行ってくれない」
「だからぁ、そんな依頼受けるやついねえよ。相手シてやるってんだからさっさと来いアバズレ」
二人の言葉に耳を貸さず、男たちは下品な言葉を浴びせゲラゲラと笑う。姿は見えないが、囲まれている女性はきっと困惑や怒りの表情を浮かべているのだろう。
悪の戒律を持った冒険者は総じて品がない。なまじ歳を取っただけならば尚更だ。見ていて気分が良いものではなく、イグニスは思わず舌打ちをしそうになる。
「……はぁ、嫌になるな」
きっと忍者だったら、気づかれぬうちに彼らを仕留める。
きっと戦士だったら、ガタイで張り合い豪快に片付ける。
きっとリーダーだったら、言いくるめて話を終わらせる。
きっとイグニスにはどれも真似出来ない。しかし、共通していることは、やはり見捨てる選択肢なと持ち合わせていないということだ。
溜息をつきながら歩を進め、咳払いとともにリーダー格の男を杖で軽く叩く。
「あぁ?何だこのチビ」
「ガキは引っ込んでろ、ウザってえ」
リーダー格らしき二人が、イグニスを見下ろし罵声を浴びせる。それに便乗し他3人も何やら言ってくるが、殆どは意味を持たない威圧音だ。
チビとバカにされたのもイグニスは気にしていない。あくまで主観の話で、相手を傷つけるための言葉だ。だからこそ腰だめに構えた杖から手を放し平常心を保たなければならないのだ。
「ふぅ……すぅ……お、れは、アンタらじゃなくて奥の2人に用があるんだよ。依頼ってのを聞いてみたくてな」
「え……ほ、本当ですか?」
剣呑な空気を変えたのは、男たちではなく、彼らを押しのけて出てきた美少女だった。
男性としても小柄なイグニスより更に背丈の低い、金髪の三つ編みを携えた少女。
纏っている白の修道服は真新しく、使い込まれている様子はない。察するに、冒険者に成り立てで、未だ
若さというよりも幼さを感じさせる大きな瞳に、几帳面な服装などからも、敬虔な聖職者と言った印象を受けた。
「ちょっと、クロエ……また変な話になるでしょって」
その後ろからもう一人が、クロエと少女の名前を呼びながら追ってくる。
こちらは対照的で、凹凸をハッキリと浮き出たせる革鎧に、身の丈近くある長槍を持った美女だ。
少し背は高めながらも、ホットパンツから伸びる太腿がミッヂリ♥とレッグバンドを伸ばし、安産型と呼べるであろう巨尻がレオタード型のインナーにミチィッ♥と食い込んでいた。
深い藍色のロングヘアーに、何処か冷たげな瞳を持った彼女は、佇まいから前衛をこなしてきたことが良く分かった。
「内容次第だけどね。残り物よりは実入りも良さそうだし」
「わぁ! すごいですよリッカさん! やはり、神は救いの手を差し伸べてくれるのです!」
「いやいや、それさっきも……まぁいいけどさぁ」
はしゃぐクロエに言われながらも、槍使いの美女、リッカは溜息を吐きながらイグニスを見つめる。髪色よりも明るさを帯び、しかして冷淡な光を纏った瞳だ。
長槍から手を離さず、筋肉質な太腿は何時でも踏み込めるよう力が籠っている。
「手前ら、俺たちを無視してんじゃねえ!」
しかし、彼女らを眺めているイグニスへ男が再び怒鳴り声を上げた。
どこかで見たことがあると思ったが、どうやら娼館から叩き出されエレンに振られた冒険者のようだ。酒焼けした声や風貌も綺麗に合致する。
多方、その苛立ちを彼女たちへとぶつけていたのだろうが、あまりにも情けなく思ったイグニスは苦笑いを零してしまった。
「はぁ……アンタらまだ居たわけ?いい加減、鬱陶しいんだけど」
それに当てられたのか、リッカは長槍へ手をかけ、他の男たちも得物を構え始める。
相手の一党は戦士が三、盗賊は二といったところか。迷宮に潜るにはバランスが良いとはお世辞にも言えないが、乱闘には最適だ。
イグニスも杖に手をかけ、何時でも
抜くか、抜かいでか。
嫌な汗が背筋を流れ、息が詰まる。あと一歩でも動けば、少なくとも誰か一人は死ぬだろう。
その一人になるつもりは誰もない。抜かれる前に、抜く。殺意を引き出し、敵意を向けようとイグニスが息を吸った。
「なぁ、おい……」
「あぁ、もしかしてこのチビ……」
リーダー格の隣にいた二人が何かに気づいたのか、小さく耳打ちをして得物を収める。すると目を見開き、上から下までイグニスを睨みつけながら、頬に一筋の汗をかく。
手を足してはいけないものに触れてしまった子供のように、淀んだ瞳には恐れが見えた。
「く、くそっ……覚えてやがれっ!」
一体何を聞いたのか、ギリリとはを食いしばったリーダーは、得物を収めて立ち去っていく。一触即発の空気が霧散していき、残された三人は一息ついて顔を見合わせる。
「とりあえず、依頼ってのを聞かせてもらえないかな?」
一旦はここまで。
反応よければ、続きを書きます。