※この作品はR-18です。

相方が帰ってこねぇ……   作:性癖を開示する者

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料理ウメッ、ウメッ、あっ、フラグ踏んだ……

 両親への挨拶は問題無く終わり、母親のお腹が膨らんでいないことに安心した翌日。早朝からホリフェンの教会へ向かった姉とは別に、1年ぶりに得た1日全てが自由な時間を俺は謳歌していた。具体的には昼前まで惰眠を貪った後、いつもより緩い身嗜みで街をぶらぶらとほっつき歩きつつ、目についた美味しそうな料理を買って食べ歩きをしていた。

 

 俺達がただのシスターなら姉もわざわざ教会へ向かう必要なんて無いのだが、我が姉は実績だけ見るとガチモンの英雄級だからな。なんせ堕ちたことで下位の存在から与えられる害ある全てを跳ね返す絶対的な神性を失ったとはいえ、生物としては遥か格上の『神』を殺した神殺しだ。男達やモンスターからズッコンバッコンされている普段の淫乱モンスター状態を知っていると風邪をひきそうなくらい実績と普段の行動には温度差がある。

 

 そんな姉は教会でいろんな男のお偉いさん達と会う予定らしいが、当然ながらお偉いさん達の大半は下半身と思考が直結しているエロモンスターだ。実績良し肉付き良しの姉なので、お偉いさん達はゲームであったように姉をあの手この手で自分専用の肉便器または孕み袋にしようとするだろう。

 

 でも俺は心配していない。何故なら彼らの同列には俺達の面倒を見てくれているギデブがいるからだ。ギデブもエロゲー出身の竿役に相応しい思考を持ってはいるが、シスター見習い時代に同じ屋根の下で生活していたので俺達は彼のことをある程度は理解しているし、信頼もしている。

 

 ギデブが俺達の後ろ盾としてお偉いさん達を睨んでくれているうちはいくらお偉いさん達がエロモンスターとはいえ決定的な行動には移れないはず。精々お尻や胸を揉むぐらいの軽いセクハラをする程度だろう。

 

 そんなわけで姉は気にするだけ無駄である。

 

「次は何を食べようかなぁ」

 

 教会に顔を出した後は過去に共同でモンスター討伐へ挑み、敗北して仲良く苗床にされたシスターのところへ遊びに行くと言っていた姉のことを思い浮かべつつ、姉に関する思考を切り上げた俺はキョロキョロと辺りを見渡して店や屋台で売られている料理を物色する。

 

 現在地のホリフェンは首都と呼ばれるだけあって、センゼンの村とは比べものにならないくらい品揃えが充実している。遠方から品を運ぶ人材も豊富なのか、海から遠い内陸に位置しているにもかかわらず海に生息している魚などが店頭に飾られていた。くそぅ、ここの奴らは新鮮な魚も食べれるのか、羨ましいなぁ。

 

 センゼンの村では鮮度などの理由で売っていないものもあり、あれこれ手を尽くしても村に入荷させることが叶わなかったあの時の悔しさが胸の中をよぎるのを感じつつ、それを誤魔化すように手に握りしめていた別の店で買った串に刺された焼き魚の塩焼きに齧り付く。

 

 モグモグと咀嚼しつつ、目の前で解体されている鮮魚の刺身の値段を見てみれば、なかなかにお高い。とはいえここまで運ぶ手間や解体する手間、魚についた寄生虫を取り除く手間を考慮し、更に刺身とするために捌かれている魚が死ぬ際に強烈な腐敗臭を放つ『オッギョ』なのだから妥当な値段だろう。

 

 本来なら財布と相談し、泣く泣く購入を諦めている場面。しかし今回は紳士男のおかげでお金にも余裕があるのでお高いものにも気軽に手を伸ばせる。

 

 そんなわけで自分は死ぬとオッギョが理解する前に〆て解体する店主の腕に感嘆しつつ、ぷりぷりかつ歯応えがあるオッギョの刺身に舌太鼓を打ちながらも引き続き財布を握りしめてあっちへふらふらこっちへふらふらしながら気になった料理を購入し、口の中へと放り込んでいく。その最中で自分好みの味付けに目を輝かせることもあれば、逆に好きな食材を使っているのに味付けが残念で肩を落とすこともある。

 

 いやぁ〜、素晴らしい。首都最高。しかもこれが普段通りなのだからたまらない。あと少しで開催される聖女祭の時はさらに増えるんだぞ? 今から楽しみで仕方ないね。

 

 しかし食べ進んで行けば終わりは来るもので、ぶらぶら歩いているといつの間にかぐるっと一周してしまっていた。なのでこれ以上は進んでもさっきまで見てきた料理しかないというわけである。

 

 気になるものは全部食べたので、後は興味がないとか既に味を知っているものばかり。お金やお腹にも余裕があるのでそれらを食べてもいいとは思うが……。

 

「いや、今回はあっち側に行こう」

 

 食べ慣れた味を食べるというよりか、今回は別のものを食べたい気分だったため、俺は食品系が並ぶ通りを離れて別の道を進む。

 

 しばらく歩いたその先にあったのは地下へ続く巨大な階段。階段の両端には屈強な兵士が全身武装で待機しており、階段のすぐそばには兵士達が駐屯する兵舎もある。

 

 そんな厳重な警備を通り抜けて俺は他の通行人達と同じように階段を降りる。魔法で照らされて明るい階段を降りた先には、上の街とはまた違う街が姿を現した。

 

 地下の暗闇を多数の灯りが照らし、夜の街並みを彷彿とさせる地下街。正道と清潔をテーマにしたような首都ホリフェンの裏の顔であり、前者のテーマには邪魔だからと意図して排除されたものが集まって出来たのがホリフェンの地下を魔法でくり抜いて作られたこの地下街だ。

 

 ホリフェンには1つもない賭博や娼館もここに建っており、嬢達が客寄せをしている。路地裏には捕まえた女を押さえつけながら服をひん剥き、汚い肉棒を突き立てる浮浪者の姿もあれば、悪どい顔をした肥え太った商人が性奴隷達の首輪に連結された鎖を引っ張っている姿も見える。

 

 でも誰も助けない。地上が規律に厳しい分、この地下街はかなり緩い規律になっているのだ。そのため上では犯罪だったとしてもここでは当たり前。とはいえ最低限のルールはあるので、娼館や賭博目的で大人などは平気でやってくるし、地上の厳しいルールに疲れた若者などもちょっと危険な大人遊び程度の感覚でやってくる。そして男性は娼館などで色欲に染まっていき、女性はここに染まった男達に無理矢理犯されるわけだ。ちなみに奴隷達もキチンとした契約の経て奴隷となっているので、変な正義感を発揮してここの奴隷を買い取る以外の力技で助けてしまえば助けた側が罪に問われるから注意ね。

 

 とまぁ、そんな感じで地下街にも様々な人達がやってくるので、そんな人達が食べる食べ物もやってくる。今回はそれが俺の狙いだ。

 

「うわぁ、美味そう……」

 

 俺の目の前にずらりと並ぶ、何らかのモンスターが使われた料理群。料理の前には値札だけが置いてあり、何のモンスターの何を使ったかはどこにも書かれていないが、この街の支配者達のチェックを通さないと売りには出せないので毒は入ってないと確信出来る。……媚薬などは普通に入っているけど。

 

 いきなりハズレに当たるとこの後の屋台や店巡りが辛くなるので、初手は店の前で列が出来ているいかにも人気店みたいなところに並び、メニューをざっと眺めて目についた料理を注文。そう時間もかからずに渡された料理を近くのベンチで座って食べる。

 

 渡されたのはハンバーガー的な料理だが、挟まっている肉は紫色で明らかにモンスターのもの。野菜も人工じゃなくて自然に生っているものを収穫したのだろう。

 

 そしてソース。白濁としていてドロっとした……うん、どっからどう見ても精液だな。しかし射精した者の食管理でもしているのか、食べてみると村のおじさん達みたいな味ではなく、ほのかに甘い味がする。

 

 うーむ、これは恐らく男の奴隷でも使っているのかな? 手間かけてるなぁ。

 

 料理と俺の唇の間で糸を引く精液を拭いつつ、気になったからと天眼の透視で俺みたいな客だと見えない店の裏側を覗き込んでみれば、目出し帽みたいなものを頭に被った複数の男性奴隷が壁に拘束されて肉棒には搾精装置が取り付けられて絞られていた。彼らの前には露出が激しい服に身を包んだ巨乳の女性店員が複数待機しており、奴隷達の射精を手伝いながら精液で満タンになった容器を取り替えたり精液の量が減ってきた男性奴隷を控えと入れ替えたりと忙しなく働いている。

 

 丸見えとなった店の裏側の動きに興味がある商品の工場見学をしている時に感じるような知的好奇心が満たされていく感覚を味わいながら俺は食べ進め、食べ終えたら透視を切って次の料理を探し始める。

 

「ほほう、搾りたてミルクですか」

 

 次に目に入ったのは、女性の性奴隷を使った搾りたてミルク。顔写真が貼られた木の箱の中には女性が入っているようで、箱の中から胸だけが露出している。

 

 店前の看板に書かれた説明を読んでみたところ、どうやら指名したらその胸のミルクがいただけるようなので、姉に近い胸の状態の女性を指名して店員さんにお金を払い、手慣れた動きで搾られたミルクこと母乳を受け取る。

 

 ぐびっと飲んでみると、甘い味が口内に広がって先程のハンバーガー的な料理で若干パサついた口内が潤っていくのを感じる。うん、美味しい。

 

 前世では赤ん坊の頃にしか飲んだことがないのでしっかりと判別は出来ないが、この世界の母乳って普通に美味しいんだよな。そりゃモンスター達もメロメロになるわってレベルだし、世間も美味しいと思っているのか村はともかく街では探せば簡単に売っている店を見つけられる。

 

 しかも男の肉棒も美味しい。最初はオス臭いしなんかしょっぱいしで正確な味なんて分かったもんじゃなかったが、あたりめみたいな感じでしゃぶればしゃぶるほど味が出てくる……みたいな?

 

 肉棒の美味しさに気付いた時は愕然としたし、エロゲーでよくある女主人公のエロステータスの好物欄に淫乱度が上がればしれっと追加されている男の肉棒の意味も理解出来てしまった。

 

 これは自論なのだが、恐らくこの世界の人間は食材として美味しいのだと思う。美味しいものを食べているから自然と旨みが凝縮されて種族として美味しくなった、みたいな感じで。

 

 いやそれどこのグルメ漫画だよとこの考えに俺が辿り着いた時は自分でもツッコミを入れたが、仕方ないじゃん普通に美味しいんだから。っていうかそうじゃなきゃ男の肉棒が美味しく感じるほど俺がエッチな奴になっているってことになる。

 

 オークに犯された後に巣に持ち帰られてから24時間365日、時々出産を挟みつつも性行為という名の調教を経てエッチな奴になるのが俺の将来予定なのでそんな事実は到底受け入れるわけにはいかない。なので人類美味しい説を掲げているわけだ。

 

「ふぅ……」

 

 購入した母乳を飲み終え、頭の片隅で昔に仕方なく飲んだ姉の母乳の方が美味いと思いつつも立ち上がり、次の店に向かう。その最中にも脳内では母乳に関することがぐるぐると回っていた。

 

 姉が際限なく母乳を出せるなら揺籠の維持費確保のために姉をミルクサーバーにして屋台をする選択肢も出てくるのだけど、それを可能にするには人体改造に近いものを姉に施す必要がある。

 

 ……あれ? でもよく考えたら触手の助けを借りれば姉を永続的ミルクサーバーに出来るのでは? 人類が作った人体改造薬と違って後遺症は全く無いし、報酬として姉を数ヶ月貸すって言えば触手も姉も俺もハッピーハッピーだ。

 

 一考の余地ありか? うーむ、姉がOKをくれるなら村に帰ったら村の商人に姉の母乳を飲んでもらって値段を相談してみよう。

 

 よし、考えも纏まったし、改めて買い食いを続けようか。勿論路地裏で俺の身体を狙っている奴らには注意しながら、ね?

 

 

 

 

 

「ふぅー、食べた食べた」

 

 あれからも買い食いを繰り返し、途中からは魔法で胃の消化を早めて無理矢理空腹になることで食べれる量を増やしたりして一通りの気になる料理を食べた俺は、満足感と共に実家への帰路についていた。

 

 地下街では時間の流れが分かりづらいので既に夜になっていたことには驚いたが、事前に帰りが遅くなることは親に伝えているので大丈夫だろう。

 

 それよりも心配なのは俺の身の安全だろう。エロゲーの夜なんて不審者が何処からともなく湧いてくる時間帯だ。地下街にそういった者を押し込んだホリフェンとて例外ではなく、ここまで来る間に何人かの不審者の姿を見ている。

 

 なんなら現在進行形で俺の背後から誰かが駆けている音が聞こえてくる。それに対して俺は道の端へ寄って立ち止まり、片手にはパラライズを起動待機させて迎撃準備も整えておく。

 

 そして駆けてくる者の方へ俺はお前に気付いているぞと伝えるために振り返り──。

 

「はっはっはー‼︎ ホリフェンの疾風王とは俺様のことよォ‼︎」

「クソッ! 速ぇな⁉︎ だが狼王の名を持つ俺も甘くはねぇぞ‼︎」

 

 ──全裸で2人の男が全力で駆けっこしている姿に思考が硬直した。

 

 通り過ぎていった全裸男達を見送り、少ししてから俺は片手で目元を覆って夜空を見上げる。動き出した思考で考えるのはただ1つ。

 

 なんだ今の???

 

 戦闘職ではない祈手とはいえ、理解しづらいものを見たからと思考を止めるのはシスターとしてはあってはならないミス。それの反省は後回しだ。

 

 男2人が走っているのもわかる。そういう年頃だもんな。全裸も……まぁわかる。やむを得ず過去に全裸で野原を走ったことがあったけど、解放感があって気持ちいいもんな。

 

 でも女と性行為をしながら走り回るのはわからない。一体どういった経緯を経て性行為をしながら走り回ろうと思ったのか。っていうか疾風王とか自称してた奴に繋がってたの、男の首に顔を埋めていたから分かりづらかったけど我が姉じゃね??? 狼王側と合体してたのも知っている顔だったぞ。あれって姉が今日会う約束をしていた姉の友達じゃないの???

 

「……うん、早く帰ろう。なんか急に疲れが出てきた気がする」

 

『コラァ‼︎ 貴様ら‼︎ 何をやっている‼︎⁉︎』

『ヤベェ⁉︎ 巡回の兵士に見つかったぞ⁉︎』

『逃げるぞ‼︎』

『待て貴様ら‼︎ あっ、コラ! 結合部から精液を撒き散らしながら走るな‼︎ 掃除する人の気持ちも考えなさい‼︎』

『言われてるぞ! おら、早く膣を締めろ‼︎』

 

 急に湧いてきた疲労感にゲンナリとしつつ、ピピーッと夜の静寂を切り裂くように響く笛の音から始まった遠方の騒ぎに耳を貸さないようにしながら俺は路地裏から俺を捕まえようと伸びてきた腕へ起動待機したままのパラライズを放ってから実家まで帰宅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝になっても帰ってこない姉を探しに行けば、近くの公園の男性便所の小便器の中で逆さまになって放置されていたので回収し、綺麗に洗ってからセンゼンの村ならともかくホリフェンでエッチなことをするのは駄目だろうとお仕置きとして50回ぐらいお尻ペンペンしてから1週間後、俺達は教会前の広場に集まっていた。

 

 周囲にも多数の人が集まっており、思い思いに雑談している。しかし誰かが教会のバルコニーを指差したことで次第に喧騒が収まり、教会らしい厳かな空気が流れ始めた。

 

 俺達も会話を切り上げて教会のバルコニーへ視線を向けると、そこには俺達と同じぐらいの年齢の女性が立っている。左右に女性の騎士を侍らせた彼女は辺りを見渡し、人々の視線がしっかり自分に向いていることを確認すると息を整えてから微笑んだ。

 

 聖女オルタチ。このホリフェンの教会最高の権力者であり、最強のシスターである。

 

 何故最強なのかというと、俺達シスターが浄化者と祈手に分担して1つの村やその近辺をせっせと守っているのに対して、聖女は1人で国を守っているからだ。当然彼女の守護範囲には俺達の勤務地であるセンゼンも入っており、距離も彼女が放つ光の魔法は例え国の中心から放っても国の端へ届く驚異的な射程を誇るため関係ない。

 

 しかし聖女が戦うと魔法の火力が高すぎてモンスターごと地形も吹き飛ばしてしまうので、俺達でも対処出来るモンスターの討伐には出てこない。聖女が出てくるとするなら滅茶苦茶強いモンスターなどに村を守る俺達シスターが負けて村も占拠され、女達が孕み袋になってモンスターの軍隊が完成し、このままだと国がモンスターに支配される〜ってなった時だ。まさに最終兵器である。

 

 そんな聖女が聖女祭開催の宣言をすると、辺りが爆発したような歓声に包まれる。同時に空へ魔法が打ち上げられ、弾ける様子は花火のようだ。

 

 歓声を出す人々に手を振った後で聖女はバルコニーから引っ込み、彼女の姿が見えなくなってからここに集まっていた人達もバラけていく。

 

 聖女祭は教会主導のもと首都全体で行う大きなお祭りだが、ぶっちゃけ俺は詳しく調べてないので具体的に何に対して祈りなどを捧げたりするのかなんて何にも知らない。なので俺の認識は街いっぱいに屋台が出ていて、美味しいものも沢山でハッピーなお祭りだ。

 

 財布にも今日のためにキチンと余力は残しておいたので、問題なく楽しむことが出来るだろう。へへへ、美味しいものが俺を呼んでいるぜ……。

 

 ってことで沢山楽しんで、食べて、お金が無いせいで指を咥えて俺が食べている姿を見ることしか出来ない姉に買ったものを分けてあげて、知らん通行人にセクハラされて、俺を路地裏に引き摺り込んできた奴がギデブが雇ったであろう俺の護衛に路地裏の更に暗いところへ引き摺り込まれていくのを見送ったりしていると、あっという間に時間が過ぎて夜になっていた。

 

 大きなお祭りである聖女祭は1日では終わらないし、夜の部も当然ある。しかし昼と夜の違いはそこまでなく、食べ物目当てな俺からするとわざわざ向かう必要性は薄い。

 

「お久しぶりです。ギデブ様」

「お久しぶりです! ギデブおじ様‼︎」

「ブフフ、あぁ、久しぶりだな。今回もくつろいでいくがいい」

「わーい! 久しぶりのギデブおじ様の家です‼︎」

 

 てなわけで俺達は夜の部には参加せず、早々にギデブの家へ行っておく。家主であるにもかかわらず、俺達を玄関で迎えてくれたギデブは俺達の顔を見るとニチャァと笑みを浮かべた。

 

「ところでギデブ様、お付きの方が見当たりませんが?」

「お前達との時間だ。門番以外は下がらせた」

 

 大喜びで屋敷の中に走り去った姉を見送ってから感じた違和感を素直に聞けば、ギデブは全員帰らせたと言う。つまり、このだだっ広い屋敷でいるのは俺達3人だけってわけだ。

 

「……ってことは、ご飯などもまだなのでは?」

「ふっ、そうだな。実は昼から何も食べておらん」

「えぇ……?」

 

 メイドも居なければ料理人もいない。ギデブが料理を出来るとは思わないのでご飯はどうしたのかと質問すれば、ミスったと言いたげな表情で彼は自分のお腹を撫で、直後に彼の腹の音が鳴り響く。

 

 そんなギデブに俺は呆れた表情を向ける。本来なら無礼と言われても仕方ない態度だが、ギデブ直々に大丈夫って言われているから問題ない。なんなら今回は魔眼殺しも付けてないぞ。

 

「はぁ、仕方ないですね。今から作ります。それまではこれで凌いでください」

「……いいのか?」

「見習い時代にお世話になったギデブ様の空腹をそのままになんて出来ませんでしょ。ほら、行きますよ」

 

 持ってきた紙袋を漁り、続きは屋敷で楽しもうと思って途中まで口をつけた料理をギデブに渡す。それを見てギデブは少し困惑していたが、そんな彼の背中を俺は押して一緒に食堂まで向かう。

 

 俺が齧った痕跡が残っている料理を見て複雑な表情をしているギデブを椅子に座らせると、俺は調理場へ移動。その際に俺がこの屋敷で使っていたエプロンを見つけたのでつけておく。

 

 保管された食材を物色し、無難なものを選んで料理開始。そう時間もかからずに料理は完成した。といってもこの屋敷の料理人が作るやたらと手の込んだ料理ではなく、そこらへんの家庭を覗き見れば普通に見つけられる家庭料理だけどな。

 

「お待たせしました」

「おぉ……、美味そうだ」

 

 トレーに料理を乗せて待っているギデブの元へ運び、配膳するとギデブは子どもみたいに目を輝かせ、食前の祈りを済ませるとスプーンを手に取り早速食べ始める。

 

「ふむ、やはりレイホの料理は美味いな。頬が落ちそうだ」

「そんなに褒めても何も出ませんよ」

「そんなものは求めていない。これは素直なワシからの称賛だ。受け取ってくれ」

 

 ただの家庭料理に頬を緩ませるギデブ。お褒めの言葉も世辞だろうと俺は受け流そうとしたが、真っ直ぐとしたギデブの視線を受けて自然と頬に熱が篭る。

 

 あー、はいはい。いつもの本気で言ってるパターンね。ちょっと……いや、かなり照れ臭い。

 

 せめてもの抵抗で胸に抱いていたトレーを口元まで持ってきて緩む口をギデブから隠すが、あまり意味は無さそう。畜生、竿役が言うじゃねぇか。俺の負けだ。誇れよ。

 

 なんの勝負だと混乱した自分の思考に自分でツッコミを入れるが、ギデブは止まらない。汁物や惣菜に手を出しては本心から美味いと褒めてくる。これは死体撃ちに等しく、彼が料理を食べ終える頃には俺の頬は蓄積された熱から推測すると恐らく真っ赤になっている。

 

 今までも何度も聞かされているが、やっぱり慣れない。俺の料理を食べたことがあるのは姉とリリアと孤児院の子ども達ぐらいなんだから。

 

 多分俺って褒められるのに弱いんだろうなぁ。しかも全く慣れないから改善出来る可能性は0という。

 

「レイホの食事を食べれる将来の旦那は幸せだろうな」

「……旦那様ですか。見つかるといいんですが……」

 

 悶々としながらギデブから回収した食器を洗っていると、なんとなしに呟いたギデブの言葉が耳に入ってくる。

 

 旦那様かぁ……。はぁ、本当にオークはどこにいるのやら。早く俺を巨根肉棒で種付けプレスのガチ交尾で犯して孕ませて欲しい……。こちとらいつでも準備は出来ているんだが? 貴方様の雌豚はここにいますよ?

 

「もし見つからなければ……ワ、ワシが貰ってやるから心配するな」

「そうですねぇ。その時はお願いします」

 

 薄暗い巣穴に連れ込まれて覆い被さられて、手足をジタバタさせてもオークの巨体をどけることは出来ずに肉棒が挿れられて、下から内臓を押し上げられる感覚に俺は無様に喘いで、その声で旦那様のオークを喜ばせて褒美として射精されてその精液で孕んで……。

 

 そんな妄想に意識を集中させていたからか、ギデブが言った言葉に対してほぼ反射で俺は言葉を返していた。そのことに気付いて俺がギデブの方へ向けば、ギデブはポカンとした表情で俺を見ていた。

 

 やっべ、夜這いフラグを踏み抜いちゃった。今から誤魔化せるか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 取り敢えず冗談ですよと誤魔化しておいたがギデブの反応は望んだものではなく、残した仕事を処理するために執務室へ向かった彼を見送って暫く。

 

 既に寝る時間だったため、俺は見習い時代にギデブが用意してそのままだった自室で眠っていたのだが、姉の夜這い対策で展開していた結界に反応があったことで目覚めていた。

 

 しかし誰が来るかはわかっていたため、天眼だけ使用してそのまま寝たふりを継続。少しすると建て付けの良い部屋のドアが軋み音もなくゆっくりと開き、ギデブが部屋の中へと入ってきた。

 

「ふぅー! ふぅー!」

 

 緊張と興奮で荒い息を吐くギデブは俺のベッドに近寄ると、ジッと俺の顔を眺めている。その表情は険しく、正直に言うとちょっと怖い。

 

 メスガキがお兄さんを煽り過ぎたことで押し倒されてしまい、お兄さんの顔を見て、「どうしたの? 顔が怖いよ…?」ってメスガキな態度を引っ込めて怯えと共に思わず聞いてしまうようなレベルとなっているギデブの表情に、自然と俺の身体が強張ってしまう。

 

 そんな俺を知ってか知らずか、ギデブはゆっくりと俺の頭の横に手を置いた。

 

 だ、大丈夫だよな? ギデブのヤル気スイッチを入れたのは俺自身だから多少のセクハラは許すけど、本番まではいかないよな?

 

 ドキドキと緊張で鳴り響く心臓がうるさい。胸を揉まれてしまえばすぐに俺が狸寝入りをしているとわかってしまうだろうがと必死に落ち着かせようとするが、かえって喧しく鳴り響く。

 

 そうやって俺が自分自身を落ち着かせようとしていると、ギデブが腕をあげた。向かう先はよりにもよって俺の左胸だ。

 

 しかし胸まであと少しといったところでギデブの手がピタリと止まる。そしてその手で握り拳を作ると、思いっきり自分自身をギデブは殴り飛ばした。

 

「ぶげぇ⁉︎」

 

 ゴキャッと生々しい音が響き、変な声と共にたまらずギデブは床に倒れ込んだ。自分で殴った頬は赤黒く変色しており、かなりの威力が拳に込められていたことがわかる。

 

「ワシは何をしている⁉︎ 娘同然の子に一時の感情に身を任せて犯そうとするなど……‼︎」

 

 四つん這いで頭を落とし、小声で自身の行動を叱責するギデブ。だが彼の肉棒ははち切れんばかりに勃起しており、目の前の雌を犯せと言わんばかりにズボンに大きなテントを作っている。

 

 彼は屋敷にいる者は帰したと言っていた。つまり今ここで彼の性欲をぶつけられるのは俺か姉の2人だけ。お偉いさんである彼が地下街にある娼館へ向かうのはリスクが高い。

 

 今は衝動的に俺の場所に来たようなので、別にこのまま何もせずほっといてもギデブはそのうち自慰をして自分の性欲を落ち着かせることだろう。

 

 でもなぁ……、原作で知っていたのにもかかわらず彼のヤル気スイッチを押したのは俺だ。言葉選びを注意しておけば、今までみたいに何事もなく聖女祭が終わるまで過ごすことが出来たのは過去が証明している。

 

 んー、よし。本番はしないけど、滅茶苦茶久しぶりにギデブの性欲処理の手伝いをするか。

 

「ギデブ様」

 

 深呼吸をして息を整えてから目を開き、ベッドから起き上がった俺は唇を強く噛み締めて耐えているギデブへ声をかけるのだった。




地下街

ホリフェンの地下をくり抜き、魔法で補強した空間に存在するエロゲーお馴染みのエッチゾーン。別名ホリフェンの歓楽街とスラム枠。地下街に入って路地裏に突っ込めば、浮浪者が無理矢理仲良ししてくるので即行で処女を散らすことが出来る。

地下街は一種の無法地帯となっており、犯罪者の温床とも言える状態になっているが、あまりはしゃぎすぎると地上から制圧部隊が来るので大人しくしている。しかし一部が地上に出て悪さをする可能性があるので出口には兵士が配置されている。

地下街の更に下にはこの無法地帯が可愛く見えるレベルの無法地帯が存在していると噂されている。

そのため地上側もこんなものは無くすべきという意見がチラホラと出ているが、必要悪としてホリフェンのお偉いさん達が存在を許容しているらしい。




 生活の方が少し前から忙しくなっているので次の投稿は申し訳ないですが少し期間が開きます。時間が欲しい……。
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