※この作品はR-18です。

異世界ハーレムダンジョン生活   作:BLUE@

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十六話

両手で顔を庇い、目をギュッと閉じていたトウヤ達は、ゆっくりと目を開いて周囲を見渡す。さっきまで居た空間と違い、無機質な扉があるだけの部屋だった。後ろに振り返ると同じように周囲を見渡すヒルメ、アネス、クレージュの三人が居た。

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ」

「問題ありません」

「私も大丈夫です」

 

トウヤの呼びかけにアネス、クレージュ、ヒルメの三人が答える。

彼女達以外の声が無い事にチームごとに分断されたと見て間違いなかった。

 

「他の皆さん、大丈夫でしょうか?」

「彼等なら大丈夫ですよ。今はそう信じましょう」

「今は状況確認が先ね」

「そうですね。他のチームとの合流を最優先にしましょう」

 

ある程度の方針を決めて早速歩き出そうとした瞬間、目の前の扉が開き、その奥からゴーレムが一斉に剣や銃を構えて襲い掛かる。

 

「【プロテクション】!」

「お願い、ルミナ【ディバイン・レイン】!」

 

襲い来るゴーレム達をクレージュの防御魔法で阻みながらヒルメの精霊魔法である程度減らしたところでトウヤとアネスが飛び出して残ったゴーレムを瞬時に蹴散らす。

 

「これで全部ね」

「はい、行きましょう」

 

ゴーレムを倒したトウヤ達は長居は無用とすぐさま移動を開始する。長く続く通路の中、時折襲い来るゴーレムを倒しながら進むと爆発音が鳴り響いた。

 

「この音、近いわね」

「誰かが戦っていますね」

「行きましょう。トウヤさん!」

「はい、行きましょう!」

 

急いで音が鳴る方に向かうと【天剣】のメンバーが気絶しているアスモを連れながらゴーレムと戦っていた。

レンジャーの彼女が何とか抵抗していたが純粋な戦闘職じゃない彼女には荷が重かった。

 

「まずい、押されているわ。このままだと」

「助けに行きましょう!」

「せめて彼女達だけでも助けないと」

「そうですね。行きましょう」

 

トウヤ達は【天剣】を助ける為に彼女達の元へ向かい、襲っていたゴーレムを殲滅していく。そして最後の一体を倒して周囲の安全を確認すると【天剣】のメンバーに話しかける。

 

「大丈夫ですか?」

「は、はい。ありがとうございます」

「助かりました」

「ありがとうございます」

 

【天剣】のメンバー三人がトウヤ達にお礼を言うと気絶しているアスモを壁際に座らせる。

それを見たアネスは三人に気になっていることを聞いてきた。

 

「あんた達、そいつを守っていたみたいけど。もうそいつ何の役にも立たないわよ?」

「それは――!」

 

エンチャンターの女性が何かを話そうと口を開くが突如閉じてしまう。その様子にトウヤ達は首を傾げているとクレージュが彼女達の首元に何かの模様がある事に気付く。

 

「すみません。ちょっと首元を見させてもらってもよろしいですか?」

 

クレージュは彼女の首元を調べ始めるとその模様に眉を顰める。

 

「これは、呪いでしょうか?奴隷に使う隷属の術式に良く似ていますね。けど随分と大雑把な……」

 

クレージュは彼女の首元に触れた状態で解呪の魔法を唱えるとバキンッ!という音と共に模様が消え去る。残りの二人も同じように呪いを解く。

 

「あ、ありがとうございます!私達を開放してくれて。なんとお礼を言えば……」

「「ありがとうございます!!」」

 

涙を浮かべながらお礼を言う彼女達にクレージュは微笑みながら先ほどの呪いとアスモについて聞き始めるとヒーラーの女性が憂いの表情を浮かべる。

 

「そうですね。私達もこんな奴、生かしたいとは思いません。でも生かさないと取り返せませんから」

「取り返すって、何を?」

「あの人の力です」

 

彼女の言うあの人や力という言葉にトウヤは理解できずに首を傾げる。

 

「そうですね。順を追って説明しましょうか」

 

エンチャンターの彼女は自分たちの事について話始める。

彼女達は数年前、幼馴染の男性と共に中央大陸に渡り【天剣】というチームを結成して冒険者業を始めた。

 

辛いことが沢山あったがそれでも彼女達と幼馴染はめげずに着々と実力を積み重ねていった。そうして諦めなかった事でようやくEランクまで上り詰めた。そうして順調に進んでいた頃に、彼女達のチームにアスモが加入したのだ。

 

「最初の印象はとても真面目な青年という印象でした。どんなことにも嫌な顔をせず、あらゆる雑用を積極的にこなして。そんな彼に彼女達と幼馴染は信頼していた」

 

だがそれもアスモによって全てを打ち砕かれた。

 

ある日、とある依頼を受けた【天剣】は依頼中の事故で幼馴染みとアスモの二人と分断されてしまい。急いで二人の元に戻った時、彼女達の目に映ったのは地面に倒れ伏して苦しむ幼馴染みの姿と彼のスキルを使って魔物を倒すアスモの姿だった。

 

「あの時は意味が分かりませんでした。何故あの人が倒れているのか、何故こいつがあの人のスキルを使えるのか」

 

三人は魔物を倒したアスモに問い詰めるとアスモは余裕な笑みを浮かべながら自身の職業を明かして、更には自分に従うように強要してきたらしい。

 

当然、三人は拒否したが純粋な戦闘職ではない彼女達ではアスモに歯が立たずに負けてしまい、彼の能力で無理矢理従わされてしまったらしい。

そこでトウヤはアスモの職業が気になり、マナー違反と知りながらもあえて聞いてみる。

 

「この人の本当の職業って何ですか?」

「こいつの職業は【ユザーパー】、他者の力を奪い、支配する職業です」

「力ですか?」

「はい、こいつは他者の職業やステータス、更には精神すらも奪って支配する事が可能なのです」

 

彼女の口から語られたアスモの職業の能力にトウヤ達は息を呑んだ。

 

「ギルドにこのことは?」

「前に居た支部では既にこいつに支配されていました。それに本部に告発しようにも私達も精神の一部を支配されてしまって出来なかったんです」

「奪われた幼馴染みの方は?」

「今は宿屋に居ます。こいつに奪われてからは雑用係としてこき使われましたから。最初は自殺しようとしてましたけど、私達が説得して何とか思い留まらせています」

 

どうやら件の幼馴染は精神状態が不安定らしい。当然だ。自分が積み上げてきたものの全てが奪われる、その絶望は計り知れない物だ。

 

「こいつ、想像以上に下種野郎だったわけね」

「危険ですね」

「人を無理矢理従わせるなんて」

 

彼女達の話を聞いたアネス達は悍ましい物を見るかの様な目でアスモを見ていた。

 

「とりあえずアスモに関する事はリオさんに報告するとして、まずは他のチームと合流しないと」

「そうね、こいつをどうするかなんてギルドに戻ってから考えればいいし」

「【天剣】の皆さんもそれでいいですか?」

「ええ、お願いするわ」

 

とりあえず共に行動しようと提案すると三人はすぐに了承、移動の際の隊列など話し合おうとしたその時、アスモが突如呻き声を上げながら目覚めた。

 

「うぅ、ここは?」

「目が覚めましたか。アスモ」

「っ!お、お前は……」

 

アスモは虚ろな目で周囲を見渡していたが徐々に意識をはっきりさせると目の前のトウヤに気付いた。

 

「貴方の事は彼女達に聞きました。随分と悪事を働いていたようですね?」

「な!?お前達……!?」

「言っておきますが。彼女達の支配は解除させてもらいましたよ」

「く、ならお前の――」

 

アスモは残った左腕にオーラを纏わせて目の前のトウヤの力を奪おうと襲い掛かるが。

 

「ふん!」

 

そこにアネスが割り込んできアスモの左腕を砕いた。

 

「ぎゃあああああ!?」

「ふん、あんたのやろうとしてること見え見えだったわ」

 

アネスはポキポキと指を鳴らしながらアスモに近づいていく。

 

(くそ、くそ!どうすればいい!?)

 

八方塞がりという状況の中、アスモは必死に打開策を考えていたが。

 

「もう一度、寝てろ」

「げぼぉ!?」

 

アネスの拳を腹に叩きこまれて再び意識を失った。

 

「じゃあ、こいつは拘束しておきましょう」

「どうぞ、アネス。拘束術式を施した鎖です」

「ありがとう、クレージュ」

 

ひとまずアスモが再び暴れない様に鎖で雁字搦めにして拘束すると【天剣】の彼女達が拘束したアスモを担ぎながら他チームの捜索を始める。

途中から出てくるゴーレムを撃退しながら進むと一際広い空間に出ると目の前の光景に絶句していた。

 

眼前に広がるのは多種多様のゴーレム達の生産工場。様々な施設がゴーレムのパーツや武器をを作り、それを組み立て、別の場所に運んでいく。

よく見るとその中にトウヤ達が相手にしていた人型もあれば、見たことが無いタイプのゴーレムまで作られていた。

 

「何よ、これ」

「ゴーレムがこんなにも」

「ど、どうしましょう。トウヤさん」

「皆さん、落ち着いて。こっちから何もしなければ問題無いはずです。今は他のチームを探しましょう」

 

一同は周囲のゴーレムに気を配りながら工場の中を進むと目の前の扉から戦闘音が聞こえてきた。

 

「っ!誰か戦っているわ」

 

トウヤ達は急いで扉を通ると、戦っていたのはシキが率いる【羅刹】だった。

 

「皆さん!」

「ん?おお、チビ助!無事だったか!」

 

こちらの呼びかけに気付いたシキ達がゴーレムをなぎ倒しながらこちらに合流を果たす。

 

「援護します」

「おう、頼むぜ!流石にこの数は骨が折れる」

 

トウヤ達は【羅刹】と協力してゴーレム達を排除する。

 

「いやぁ、助かったぜ!こいつらゴキブリみたいにワラワラ出てくるから手こずってたんだ」

 

ガハハ!と笑うシキは鎖で雁字搦めに拘束されたアスモに気づく。

 

「なあ、チビ助。そいつはなんで拘束されてんだ?」

「……じつは」

 

トウヤは【天剣】のメンバーから聞いたアスモの所業を話す。

話を聞いたシキ達は顔を顰めながらアスモを侮蔑の眼差しを向ける。

 

「なるほどな。こいつがランクの割に戦い方が拙かったのはそういう理由だったのか」

「はい。だからリオさん達と合流後、この事を伝えるつもりです」

「その方がいいな」

 

シキ達【羅刹】と合流したトウヤ達は襲い来るゴーレム達を捌きながら探索を続けるが、どこに行ってもゴーレムばかりで他チームの足取りすら無かった。

 

それでも進んでいく内にヒルメが精霊を介して扉を見つけ出し、中に入ると四方に扉があるだけの何もない広い空間に出た。

 

「……この空間、覚えがありますね」

「ああ、前の四騎士と戦った場所に似ているな」

 

何が出ても対処できるように周囲を警戒しながら進むと右の扉が突然開いた。トウヤ達は敵かと思って身構えていると出てきたのは【獅子の牙】、【光の方舟】、【神羅万象】のチームだった。

 

「っ!みんな!良かった。無事だったんだね!」

「やれやれ、何とか合流できましたか」

「ひとまずは安心ね」

 

全員が無事である事を確認すると早速お互いに情報共有を始める。

その際にアスモの事を話すとリオはギルドに戻り次第、ギルド長に報告して彼に相応な罰を与えることを約束したその時にまた警報が鳴り、あの声がトウヤ達に牙を向いた。

 

『●●●●●●●、▼▼▼▼▼▼▼▼。【〇〇〇〇〇〇〇〇】■■。▲▲▲▲』

 

「ヒューズさん、これって」

「ええ、前と同じですね。内容は『防衛プログラム、セカンドフェイズ。【The Seven Angels】起動。排除開始』です」

「全員!警戒して!」

 

今度は七つの柱の一部が動き、そこから七体の天使の姿を模したゴーレムが出てきた。

 

一体目は身の丈を超える巨大な剣を持った赤色の天使。

二体目は六枚の浮遊する大楯を持つ緑色の天使。

三体目は三又の槍を持つ青色の天使。

四体目は全身に多数の重火器を備えた黄色の天使。

五体目は黒いローブを纏った杖を持つ黒色の天使。

六体目は背部に巨大な翼を持つ白色の天使。

七体目は背部に巨大な円盤を持つ灰色の天使。

 

七体の天使は前の四騎士と同じようにそれぞれの役割が違うと言うことが分かり、一同は警戒を緩めずに様子を見る。

 

「騎士の次は天使か。どういう繋がりだ?」

「あの騎士達の様に普通じゃないってことは分かりますが」

 

その時、七体の天使がそれぞれの武器を掲げながらトウヤ達に襲い掛かる。

 

赤色、青色の天使が前に出て近接戦を仕掛け、二体の援護をする様に黄色、白色の天使が銃弾や光線などの弾幕を張り巡らせる。

 

「ちっ!こいつらも連携するタイプかよ」

「増えた分、前の騎士たちと比べて更に攻撃が苛烈ですね」

「皆さん、魔法を撃ちます!下がってください!」

 

前衛組は降り注ぐ弾幕の雨に手こずっているのを見て、後衛組がこの状況を打開するために各々の魔法で天使達に攻撃を行う。

だがその直前に緑色の天使が前に出ると六枚の大楯を花弁の様に合体させ、そこから広範囲に障壁が展開されてこちら側の魔法を全て防ぎきってしまう。

 

「そ、そんな……」

「あの数の魔法を立った一体で防ぎやがった……」

 

あれだけの数の魔法を防がれた事実に一同は驚く中、トウヤはある事に気付いた。

 

(ん?黒い天使が居ない?)

 

何処を探しても黒色の天使の姿が無かった。この時点でトウヤの脳裏に嫌な予感が駆け巡った。

 

(一体どこに……!)

 

トウヤは慌てて周囲を見渡すと、後衛組の背後の空間が微かに揺らいでいるのを見た。

 

「っ!まさか!」

「あ、おいチビ助!何処に行くんだ!」

 

トウヤはシキの静止を聞かずに後衛組の所へ全力疾走する。突然の謎の行動に周囲は驚く中、トウヤは走り続ける。

 

(間に合え!)

 

トウヤは後衛組の中を突っ切るとその揺らぎに向かって剣を突き出すとガキン!という音と共に黒い天使が姿を現した。

 

一同は背後をいつの間に取られていたことに驚愕している中、トウヤは手を緩めず目の前の天使に攻撃を仕掛けるが。

 

―――バキン!

 

「あ!?」

 

これまでの戦闘による酷使と黒色の天使の反撃によってミスリルの剣が真ん中から折れてしまった。天使はその隙を逃さずに杖の先端から鎌状のビームブレードを展開して切りかかる。

 

「おらあ!」

「はあっ!」

 

そこでシキとエンジが黒色の天使に攻撃を仕掛けるが簡単に回避されて姿を消してしまう。

 

「大丈夫か?トウヤ」

「ええ、大丈夫です。助かりました」

「剣が折れているみたいだがどうする?」

「……まだ黒剣があります」

 

トウヤはそう言うとスキルで再び黒剣を呼び出す。

 

「大丈夫なのかよ?それってかなりの負担が掛かるんだろ?」

「普通の剣として使えば負荷はそれほどかかりません。それに早く終わらせれば良いだけです」

「そうか。無理はするなよ?チビ助」

「元より無理をするつもりはありません。その余裕があればですけど」

 

三人はお互いに背を預けて黒色の天使を探しながら周囲を警戒する。

 

「とりあえずあの黒いのをどう仕留めるかだな」

「姿が消えるなんてまるで死霊系の魔物みたいだな。良く気付いたなトウヤ」

「奴は姿を消しても若干揺らいでるところがあります。だから完璧ではないと思います」

 

トウヤのアドバイスを聞いて二人は不自然な所が無いか目を凝らすとヒルメ達の所に移動する揺らぎを見つける。

 

「っ!あそこか!」

 

トウヤは【深怨罪華】のオーラを斬撃として放ち、ヒルメ達の背後を取ろうとしていた黒色の天使の行く手を阻む。

 

「くたばれー!」

「チェスト―!」

 

透明化を解除した黒色の天使にシキとエンジが高速の突きを放ち胸部と頭部を貫いた。

 

「良し、まず一体目!」

「早く前線に戻るぞ!」

「そうですね。行きましょう」

 

三人は前線で戦っている仲間達の元に向かうために走り出す。その時、灰色の天使が三人を見て何かを喋りだした。

 

『●●●●●●●●。▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲。■■、■■■■■■■』

 

灰色の天使が何かを言った瞬間、白色、黄色、灰色の天使が三人に向けて攻撃を仕掛けてきた。

 

「「「っ!」」」

 

三人はとっさに散開して相手の弾幕を回避する。このまま三人を狙うのかと思いきや、三体の天使はトウヤに向けて弾幕の雨を降らせ続ける。

 

「なっ!?トウヤ!」

「あいつ等、何でチビ助だけを狙っているんだ!?」

 

二人は敵のトウヤに対する集中砲火に驚きながらも直ぐに助けに向かおうとすると、突然緑色の天使が持っていた四枚の大楯が飛来し、中央で一列に並ぶとトウヤとシキ達の間を分けるように結界を展開して行く手を阻んできた。

 

「不味いですね。あの天使達、トウヤ君を先に排除するつもりです」

「どういうこと?」

「灰色の天使の言葉はこうです『敵勢力の解析完了。対象を危険因子として認定。各機、対象を撃滅せよ』。どうやらあの天使は私達を分析していたみたいです」

 

何処か焦りを見せながら語ったヒューズの推測にシキ達は焦り始める。

 

「っち!面倒な事をしやがる。チビ助がやられる前にあの緑を倒さなきゃいけないってことかよ」

「そのようですね。無論相手もそれを防ぐために戦力を分けたんでしょう」

「くそ!やるしかねえか!」

 

シキ達はトウヤの元に行くために目の前の天使達に攻撃を仕掛け始めるが三体の天使は自身の武器の特性を生かして対処していく。

 

「この、いい加減やられなさいよ!」

 

アネスは緑色の天使に全力のラッシュを叩きこむが全て二枚の大楯で防がれ、その横から青色と赤色の天使が襲い来る。

 

「「ディバイン・ランス!」」

 

そこにヒルメとクレージュの光魔法が二体の天使を阻み、その隙にアネスは息を整える為に下がる。それに入れ替わる様に【羅刹】、【獅子の牙】、【光の方舟】が天使達の相手をする。

 

「アネスさん、大丈夫ですか?」

「一人で突出しすぎです。冷静になって」

「ごめんね、二人共」

 

前線で苛烈な戦いを繰り広げる中、三人は状況を打破するための策を考えていた。

 

「真面目にどうする?あの大楯の硬さは異常よ」

「アネスでも砕けないとなると他のチームの武器でも厳しいでしょうね」

 

二人は緑色の天使の防御力をどう突破するか考えているとヒルメが何かを思いつく。

 

「いっその事、緑の天使を放置して他の天使を狙うのはどうでしょうか?」

「どういうこと?」

「あの天使の守りは強固です。あれに集中しても無駄に私達が消耗するだけです。なら、先に緑以外の天使を先に倒してから全員で緑の天使を叩くのが良いと思います」

 

ヒルメが思いついた案に二人は「なるほど」と呟きながら頷く。

 

「確かにそっちの方が倒せる可能性がありそうね。皆にこの案を伝えてみましょう」

「はい」

 

三人は他のチームにヒルメが考えた案を伝える。それを聞いた各チームの代表はその案を採用、急ピッチで作戦が立てられ、周囲に伝達する。

 

作戦を聞いた一同はまず、【羅刹】、【光の方舟】の二チームが赤色の天使を、次に【獅子の牙】、【神羅万象】が青色の天使を相手にし、二体の天使を倒すまでの間、【ブレイブ・クエスター】が緑色の天使の動きを止め、【天剣】が周囲のサポートに徹するという四騎士の時と同じ方法で実行した。

 

「おらあ!」

「はあっ!」

 

【羅刹】と【光の方舟】はまずリクが相手の攻撃を受け止め、エンジとシキ達が死角からの攻撃を行い。

 

「せいっ!」

 

【獅子の牙】は【神羅万象】と【天剣】の強化魔法を受けながら、連撃で青色の天使の槍の特性を潰して追い詰める。

それを見た緑色の天使は援護しようと残りの大楯を飛ばそうとするが。

 

「させるか!」

「貴方の相手は私達です!」

「皆!力を貸して!」

 

アネス、クレージュ、ヒルメの三人が波状攻撃を仕掛けて緑の天使を防戦一方にさせる。

 

両陣営、一歩も譲らない激しい戦いを繰り広げる。剣劇で火花が散り、放たれた魔法が地面や壁を破壊しながら相手を仕留めようと武器を振るう。

 

一時間にも及ぶ戦いの中、長く続いた均衡が遂に崩れ始めた。

 

「そこだー!」

 

リクが赤色の天使が振り下ろした大剣を盾で横から殴り軌道を逸らしたところに剣で右手首を切り落とし、赤色の天使を無防備にさせる。その隙を【羅刹】は見逃さなかった。

 

「良くやった【光の方舟】!これで終いだあ!」

 

シキ達は四方向から槍を突き出し、胸部、腹部、脇腹、頭部の四か所に槍を突き立てて確実に仕留める。

 

一方で青色の天使の方は【神羅万象】の魔法と【天剣】のエンチャンターの強化魔法を受けたリオの連撃により手持ちの槍が破壊され、更に首を切り落とされた。

 

「残り一体!」

 

二体の天使を倒した五チームはすぐさま緑色の天使の方に向かい、攻撃を仕掛ける。盾以外の武器を持っていない緑色の天使は何とか抗おうとするが多勢に無勢、数の暴力で磨り潰されてしまった。

 

緑色の天使を倒した瞬間、隔てられた結界が消え去った。

 

「良し、これで」

「早く、トウヤを援護をしないと」

 

一同は孤立したトウヤに向かおうと走り出そうとすると巨大な爆発音が響いた。

 

「な、何!?」

「一体何が」

「お、おい!あれ……」

 

突然の爆発音に一同は驚く中、【羅刹】のメンバーの一人がある方向に指さす。

指された方角に目を向けると一同はその光景に絶句した。

 

そこにあったのは原型が分からないほどに破壊された三体の天使と。

 

心臓に剣が突き刺さり、全身を黒く染めたトウヤの姿だった。

 

 

―――

 

 

他のチームが三体の天使に苦戦している頃、トウヤは三体の天使による弾幕の雨の中を搔い潜り、回避しきれない攻撃は黒剣の黒いオーラを盾の様に展開しながら近づこうとするが、三体の天使は中~遠の距離を保ったまま砲撃を続ける。

 

(この距離だと黒剣の斬撃も黒槍でも躱されてしまうし、それをする余裕もない)

 

思考している間も三体の天使は着実にトウヤを追い詰めてくる。雨の様に降り注ぐ銃弾、予測していたかのように回避先に襲い来るミサイル、防御を取ってもその隙間から歪曲して通ってくる光線、それを回避したところに再び来る銃弾の雨と繰り返されていく。

 

休む間もない波状攻撃による疲労と黒剣を使い続けたことによる負荷でトウヤはどんどん追い詰められていく。

 

(……もう、無理をしないとこっちがやられますね。問題は、今の状態で何分自我を維持できるかですが。やるしかないですね)

 

トウヤはこの状況を打破するためにもう一つの奥の手を使うことを決める。

 

「……いくぞ」

 

トウヤは黒剣を掲げると自身の心臓に突き刺した。突然の自殺行為に天使達は一瞬攻撃の手を止めた。

 

「【心装具現】【憎禍の茨鎧】」

 

トウヤがスキルを発動した瞬間、心臓に突き刺さった黒剣から黒い茨が現れて全身を包み込む。

 

「ぐっ……くぅ!……」

 

全身に虫が這いずり回るような悍ましい感覚と内側から沸き上がる負の感情に苦しむが何とか耐える。そして茨が解かれるとそこには全身を黒く染め、黒い茨を纏ったトウヤの姿だった。

 

「ア”っ……ガァ……」

 

全身を襲う激痛と内から沸き起こる破壊衝動に苛まれ、もはや言葉すら出せない。それらを強靭な理性で何とか抑えながら目の前の敵を見据える。

 

「ア”アアアアアッ!」

 

獣の様な咆哮を上げながら三体の天使に真っ直ぐ向かう。天使達はすぐさま弾幕を展開するが、トウヤは避けることはせずに銃弾を真正面から受けるが全く効いていなかった。

 

予想していなかった事態に天使達は更に弾幕を厚くするがトウヤはそれに構わず、右手に黒い茨を槍状に纏わせて黄色の天使の胸部を貫いた。

 

「グルァアアアア!」

 

次にトウヤは白色の天使に飛び掛かり、その翼を引き千切りながらその頭部を潰す。残った灰色の天使は逃げようとするが黒い茨で拘束し、そのまま地面に叩きつけると急降下して胴体を中心に踏みつぶした。

 

「ガアアアアア!」

 

灰色の天使から離れたトウヤは三体の天使の爆発と共に雄たけびを上げた。

 

 

―――

 

 

そして現在、三体の天使を倒した一同はトウヤの変わり果てた姿に戸惑っていた。

 

「おい、あれってチビ助だよな?なんか凄い真っ黒なんだが?」

「ええ、確かにトウヤのはずですけど、あの姿は一体……」

「精霊の皆もあれはトウヤだって教えてます」

「俺達が苦戦していたゴーレムをたった一人で倒しちまうなんて……」

「あいつ、本当にEランクなのか?」

 

各々が今のトウヤは大丈夫なのかと不安で足踏みしているとその本人は自身の胸に差した剣を引き抜くと、元の姿に戻った。

 

「あれって、剣!?まさかトウヤ、自分の胸に剣を刺してるの!?」

「何してんだあいつ!?」

「早く、治療をしないと!」

「ああ、皆さん。無事だったんですね」

 

一同は慌てて駆け寄るとトウヤは何事もなかったかのように話しかけてきた。だがその顔色は酷く悪く、今にも倒れそうなほどに消耗していた。

 

「そんなことを言ってる場合!?」

「今すぐ、治療を!」

「お手伝いします!」

「え?ちょ、ま……」

 

その後、ヒーラー達によって上半身の鎧と衣服を脱がされ、その場で出来る方法で徹底的に体を調べられた。その結果、かなりの疲労があるだけでその他は問題ないと分かると一同は胸を撫でおろした。

 

その時、一同の足元に再び転移の魔法陣が現れた。

 

「っ!またかよ!?」

「今度はいきなりですね!」

「くそ!」

 

全員が悪態をつく中、魔法陣は再びトウヤ達を別々の場所に飛ばした。




三週間ほど前から始めたアンケートの票の差がが思ったより接戦している。
一応期限は昇級試験が終わるまでって決めているけど、その時に全部同数になってたらどうしよう。

残りの青薔薇の戦乙女メンバーのHな話をどれから先に見たいですか?(TS娘のカムイの話は一番最後に書く予定です)

  • ツクヨ 内容:誕生日イチャラブセックス
  • アイラ 内容:エロダンジョン攻略セックス
  • カミラ 内容:吸血されながらセックス
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