お読みいただきありがとうございます。
本作はFF7のティファ・ロックハートを主人公とした、成人向けの連作小説です。
クラウドとティファが恋人として歩み始めた「その後」を、ティファの一人称視点で綴っています。
いくつか、あらかじめお伝えしておきたいことがあります。
本作は「官能描写のある恋愛小説」として書いています。えっちな場面もありますが、それ以上に、二人が少しずつ本音を晒し合っていく過程を丁寧に描くことを大切にしました。
各話ごとに独立した構成ですが、通して読むことでより楽しめる連作形式です。
それでは、ゆっくりお楽しみください。
※本作はR18指定です。性描写を含みます。苦手な方はご注意ください。
※原作キャラクターの解釈は筆者独自のものです。
リスタートは、甘い夜から始めよう…
第一話
世界を救うなんていう大冒険が終わってから、早くも二週間。 北の大空洞での決戦を終えた私たちは、それぞれの「日常」という場所へ帰還していた。崩壊したミッドガルの傍ら、私たちは小さな借家を借りて、復興の手伝いをしながら新しい生活を組み立てている真っ最中だ。 バレットとマリンは二人で別の家へ。そして、私は……クラウドと。その、いわゆる「同棲」ってやつを始めていた。
思い出すのは、二週間前のあの夜のこと。 今でも、一人になると顔から火が出そうになる。生きて帰れないかもしれない。そんな極限状態だったからこそ、私はあんなに大胆になれたんだと思う。
「思いを伝えられるのは、言葉だけじゃないよ……」
自分でも信じられないようなセリフで彼を誘って、私たちは初めて一つになった。 人生最後のご褒美――本気でそう思うくらいの、熱くて、濃密な時間。初めてだったから、正直に言えば、その……ちょっとだけ、痛かった。けれど、それ以上に幸せで、身体の芯まで彼に溶かされていくような感覚。 今だって、ふとした瞬間にあの時の感触が甦って、下腹部がきゅっと締まるような、変な感じになっちゃう。そのたびに私は、真っ赤な顔をして自分を扇ぐことになるのだけれど。
……なのに! 復興作業の忙しさに紛れるみたいに、あの一夜がまるで悪い夢だったかのように、クラウドは私に対して「なしのつぶて」なのだ。 一緒に暮らしているのに。夜になれば同じ屋根の下にいるのに。彼は、私に指一本触れてこようとしない。
生活も落ち着いてきたし、その、恋人同士なら……普通、あるじゃない? 期待して、待って、空回りして。 部屋が静かになればなるほど、私の脳内は「どうして?」「嫌われちゃった?」「私から行くべきなの?」なんていう、恥ずかしい自問自答でパンク寸前だった。
二人での共同生活が始まって、一ヶ月。――もう、限界。 今夜こそ、自分から仕掛けるしかない。そう決めていた。
いつも通りの時間に夕食を済ませ、彼が先にシャワーを浴びる。それから、私が浴室へ。そんな、代わり映えのしないルーティーン。ほんの少し、湯船に浸かる時間を長くしただけで、私が寝室に戻る頃には、彼は既にベッドの中で背中を向けていた。 ……寝たふりだって、バレバレなのに。
寝室に並んだ二つのベッド。その微妙な隙間が、今の私とクラウドの「毎日」の距離だった。 私だって、指をくわえて待っていたわけじゃない。ほんのり甘い香水を付けてみたり、「もう寝ちゃうの?」なんて上目遣いで声を掛けてみたり。なんだったら、彼の気を引けるかな……なんて、恥ずかしさを必死にこらえて、バスタオル一枚で脱衣所から飛び出してみたりもした。
なのに、彼はそのたびに、露骨に顔を逸らすのだ。 ねえ、私ってそんなに魅力ない? あの夜の熱は、全部嘘だったの? そんな毎日。我ながら、健気だなぁと思う。……ねえ、抱いてよ。その一言が言えなくて、私は何度も言葉を飲み込んできた。
でも、もう十分すぎるほど時間は経った。 私は自分のベッドで上半身を起こし、隣のベッドに横たわる彼の背中をじっと見つめる。
「……ねぇ、クラウド。起きてる……?」
沈黙。でも、確信があった。彼は絶対に起きている。返答がないのは、彼なりの「逃げ」なんだ。 そっちがその気なら、もう、私は我慢しないから。
ピンク色の決意を胸に、私はベッドから足を下ろした。ひんやりとしたフローリングの感触が、高揚した足の裏に心地いい。 私はゆっくりと、背中を向けて寝たふりを続ける彼の背後へと近づいていく。 ドキドキと、心臓の音が耳元まで届きそうなくらい、激しく鳴っていた。
ぎっ、と安普請なベッドが不快な悲鳴を上げ、私の膝の重みで薄いマットレスが沈み込む。 窓から差し込む薄明かりの中で、自分の鼓動だけがやけに大きく、呼吸は自分でも驚くほど浅くなっていく。私は込み上げてくる恥じらいを必死に飲み込むと、彼が包まるシーツの隙間へと、滑り込むように忍び込んでいった。
そっと、彼の背中に掌を重ねる。 薄い布地越しに伝わってきたのは、彼の確かな体温と――そして、驚くほど速く打たれている心臓の音だった。
(……やっぱり起きてる。しかも、こんなにドキドキして……。私だけじゃないんだ)
その確信が、私に最後の勇気をくれた。 私は思い切って、その広い背中に自分の身体を預けた。彼のうなじに顔を埋め、逃げ場を塞ぐように密着する。これでもかと言わんばかりに――そう、私自身の「胸」を、あえて強く、彼の背中に押し付けてやったのだ。
密着した胸から彼の鼓動がダイレクトに響き、パジャマの下、さらにその下のブラジャーに包まれた先が、熱を持って固くなっていくのが自分でもわかる。 同時に、下腹部の奥……子宮のあたりが、甘い痺れとともにキュッと収縮して、じわりとショーツを湿らせていく感覚。 鼻先をくすぐる、彼の、男らしい少し濃い匂いが、私の脳髄を蕩けさせていく。
(あぁ……もう、無理……。ねえ、早くこっち向いてよ……っ)
それでもなお、必死に「寝たふり」という無意味な抵抗を続ける彼に、私の限界を迎えた左手が、ゆっくりと、けれど確かな意志を持って動き出すのだった。
私の左手が、彼の脇腹をゆっくりと滑り降りていく。 薄い生地越しに伝わる、彼特有のしなやかな筋肉の質感。ラフな寝間着のハーフパンツ、そのウエストのゴム部分を、震える指先でなぞる。
あと一歩。 ほんの少し指を伸ばせば、そこに――あの夜、私を狂わせた「彼」が眠っている。
(は、はしたない……って、思われないかな? 引かれたりしない……?)
不意に湧き上がってきた不安で、胸の鼓動が限界を突破しそうになる。ドクドクと鳴り響く音が、静かな寝室に漏れ出しているんじゃないかと思うくらい。 でも、もうここまで来てしまった。ここで引き返すなんて、今の私にはできない。
(……覚悟を決めるのよ、ティファ。ほしいなら、自分で捕まえなきゃ)
ぎゅっと奥歯を噛みしめ、私は心の中で自分を奮い立たせる。 震える指先は、ついにためらいを振り切った。一ヶ月前、私のすべてを暴き、そして最高に甘い悦びで満たしてくれた「彼そのもの」を確かめるべく、私の左手は吸い寄せられるように、熱の源へと潜り込んでいった。
――ッ。 私は驚きのあまり、思わず伸ばしかけた手を引っ込めてしまった。 ハーフパンツのフロント部分に指先が触れた瞬間、そこに、隠しきれないほどパンパンに膨らんだ「熱い塊」を感じたからだ。
(……え? まだ何もしてないのに。その……もう、こんなに大っきくなってるの?)
純粋な驚きが、私の頭の中を白く染め上げる。 一ヶ月前のあの夜は、ただ絆されるままに繋がり、訳もわからないままに彼を迎え入れていた。私の記憶に残っていたのは、ただ下腹部に残る甘く痺れるような熱い余韻だけ。 男の人のそこが、興奮すると大きくなることは知っていたけれど。まさか、こうして触れ合っているだけで、これほど劇的に変化するなんて思ってもみなかったのだ。
けれど、それは私にとって、望外の喜びでもあった。
(クラウドも……私で、こんなに興奮してくれてるんだ……)
この一ヶ月間、私をチクチクと苛んできた悩みや不安が、一瞬にして温かな安堵へと変わっていく。 私はもう一度、震える左手に意識を集中させ、改めて「彼」と向き合った。 指先が、ハーフパンツの表面をそっとなぞる。 びくっ、とクラウドの腰が小さく跳ねる。その子供みたいな反応の一つ一つが、今の私にはたまらなく愛おしい。
安堵はやがて、抑えきれない大胆さへと変わっていった。 私の左手は布地の上から、彼をなぞり、擦るようにして、ゆっくりと上下に動き出す。
(硬い……すごく、熱い……っ)
いつの間にか、私はハーフパンツ越しに「彼」をしっかりと握りしめていた。 自分の口からは、熱く甘い吐息が漏れ出し、彼のうなじへと白くかかっていく。もう、止まることなんてできなかった。
彼の顔の方から、浅く、熱を帯びた吐息が漏れてくる。 ハーフパンツの下では、行き場を失った「彼自身」が、窮屈そうに、けれど誇らしげに身悶えていた。 私は、左手で彼を優しく、慈しむように扱きながら、耳元でそっと問いかける。
「……ねぇ、クラウド。起きてるんでしょ?」
私の、隠しきれない熱が籠もった声に、ようやく彼は観念したようだった。
「……ああ。起きてるよ。……最初から」
その、消え入りそうなほど気恥ずかしそうな返答が、私の母性を激しくくすぐった。 (……可愛い。クラウドって、こんなに可愛かったんだ……) 無敵のソルジャーとして戦っていた彼とは違う、年相応の、ただの不器用な男の子。でも、安堵はしても、一ヶ月分の不満が消えたわけじゃない。ここで彼を逃がしたら、また元の木阿弥になってしまう。
「ねぇ、どうして……。どうして、何もしてくれなかったの?」 「そ、それは……その……タイミングを、だな。計って、いたんだ……」
途切れ途切れの、情けないくらいの告白。 けれど、そのいじらしさが、今の私にはたまらなく嬉しかった。乱暴に抱き寄せられるより、ずっと、ずっと大事にされているんだって、肌を通して伝わってきたから。
でも。ことここに至ってすら、まだ背中を向けて恥ずかしがっている彼に、私の中の「女」が、ついに暴走を始める。
「タイミングって何? 私は、ずっと待ってたんだよ? クラウドだって、気づいてたんでしょ?」
私は握りしめていた左手の力を緩めると、ハーフパンツのウエストの隙間から、そっと熱い掌を差し込んだ。 もう、布地越しじゃない。直接触れる彼の熱。指先がいまかいまかと歓喜に震えていた。
指先が、彼のペニスの付け根――柔らかな恥毛の草原に触れる。 指先をちりちりと焼くような微かな刺激が、私の中の興奮をさらに加速させていった。 ゆっくりと、その熱い芯を這い上がっていく指先。節立った感触から伝わってくるのは、彼の隠しきれない劣情と、私への愛情が織りなす力強い脈動だった。
「もう、こんなに硬くして……。もっと、早くしてよね? ずっと、ずっと待ってたんだから……っ」
威勢の良い言葉を投げかけてみるけれど、最後の方は声が震えて、消え入るような吐息になってしまう。指先から伝わる彼の熱が、私の理性をじわじわと溶かしていくから。
けれど、先端へ向かって指を滑らせたとき。私の指先に、想像とは違う感触が伝わってきた。 亀頭の張り出した部分があるはずの場所に差し掛かっても、根本と同じ、滑らかな感触が続いている。そして、ついに指先が決定的な事実を捉えた。 指先を進めても、急に形が変わる気配がない。つるりとした熱の下に、もう一枚、やわらかい膜みたいなものがついてきて――触れるたびに、逃げるように、でも離れない。
(これって……その、まだ……“被ってる”ってこと?)
記憶にある男性の身体なんて、遠い昔のニブルヘイムで、お父さんと一緒にお風呂に入った時の記憶くらい。お父さんのそれは、しっかり剥けていた。(……あれ? 思ってたのと、違う……?)先のほうまで触れているはずなのに、何かが覆ったままの感触が残っている。これって……普通、なのかな。知識として「包茎」という言葉は知っていたけれど。 (……私が、ちゃんとさせてあげなきゃいけないのかな)そんな考えが浮かんだ瞬間、胸の奥がきゅっと熱くなる。変なのに。なのに、嫌じゃない。
(こ、これって、ちゃんと剥けるのかな? 一ヶ月前は、どんな状態で……?)
性知識に乏しい私の脳内は、不意に湧き出た疑問符に占拠されてしまう。けれど、不思議なことに、それは嫌悪感なんてものじゃなかった。 むしろ、無敵のソルジャーであるはずの彼の、そんな「完成されていない部分」が、たまらなく愛おしくて。
――可愛い。
なぜだろう。私だけが知っている彼の秘密を見つけたような、甘い独占欲が胸を満たしていく。 私の淫靡な好奇心が、暗闇の中でそっと、彼を暴くための光を宿らせた。
亀頭の先端、鈴口のすぐ近くで、私の親指と人差し指が小さな輪を作る。 包むように握り込んだ掌の中では、彼のペニスが確かな熱と、暴れ出したいような劣情を脈打たせていた。 私は、少しだけ意地悪な気持ちになって、彼に囁く。
「ねぇ……クラウド。これって、“剥いても”痛くない?」
恥ずかしさを必死に押し殺しているのだろう。クラウドから、掠れた声で短い返答が返ってきた。
「い、痛くは、ない……。大丈夫、だから……」
その言葉に妙な安心感を覚えた私の左手は、さらに大胆さを加速させていく。 指で作った輪っかを、そのままゆっくりと、根元の方へ滑らせた。 ――つるん。 暗闇の中でそんな擬音が聞こえてきそうなほど、滑らかな感触が指先を通り過ぎていく。
「くっ、はぁ……っ!」
私の頭上で、彼が顔を後ろに逸らし、確かな喘ぎ声を漏らした。 (あぁ……可愛い。こんなこと、して…いいのかな?…でも、好き、クラウド……。)
剥き出しになった熱い芯に、私は改めて掌を被せた。 熱くて、硬くて、そしてどうしようもなく愛おしい。先端から滲み出した熱い雫が、私の指にねっとりと絡まる感触がたまらない。
「あぁ……ティファ……っ」
世界を救った、あの強くて頼もしい男が、今、私の掌の中でこんなにも無防備に震えている。その支配的な快感が、私の心を甘く擽る。
「気持ちいい? クラウド……」
悪戯な笑みを浮かべ、満たされていく充足感に浸っていた、その時。 不意に、彼が獣のような素早さで動き出した。
窓から差し込む、薄い月明かりを切り裂くように。 不意に視界が回転し、私は彼に組み伏せられていた。 ――目の前に、クラウドの顔。
「ティファ……」
その、祈るような、あるいは切望するような私の名前を合図に、彼の唇が私の唇を塞いだ。 火が着いた彼の欲望を物語るように、そのキスは少しだけ荒っぽくて、けれど逃がさないという確かな独占欲に満ちている。 すぐに差し込まれる、熱い舌。 うねる彼の舌を、絡み合うように私の舌が迎え入れる。
(あぁ……ずっと、ずっと待ってた……っ)
抑えきれない彼の興奮が、吸い付くような唇の感触からダイレクトに伝わってくる。それだけで、私の身体は歓喜のあまり、小刻みに震え始めていた。
「んぅ……はぁ……、クラウド……っ」
(もっと……もっと、して……)
一ヶ月もの「お預け」は、性の悦びを覚えたばかりの私には、あまりに酷で、長すぎた。 互いの唾液を交換し、ただ深く重なり合うだけのキスなのに、全身が甘い蜜のように蕩けていく。さっきまで彼を弄んでいたはずの私の手は、いつの間にか彼の首筋に回って、しがみつくことしかできなくなっていた。
彼の大きな掌が、震える指先が、私の全身を愛しむように這い回る。 一枚、また一枚と、邪魔な布地が剥ぎ取られていく。彼の手つきは急がず、確かめるみたいで――逃げ道を残さなかった。
首筋を這う、彼の熱い唇と舌先。 同時に、右の掌が私の左胸を包み込み、ゆっくりと揉みしだいていく。 彼の指の形に合わせて沈み込む、私の柔らかな肉。それが彼の確かな力によって形を変え、押し潰されるたびに、体の奥から熱がせり上がってくる。
やがて、彼の指先がその頂点――薄紅色に色づいた「しこり」を捉えた。 弾かれ、摘まれ、そして深く押し込まれる。 その愛撫のたびに、私はもう、喘ぎを堪えることなんてできなかった。
「はぁ……んぅ……っ、あぁ……」
私の反応を確かめるように、彼の指先はさらに下へと滑り落ちていく。 引き締まった腹筋のラインをなぞり、たどり着いたのは、柔らかな恥毛の海。 恥丘を薄っすらと覆うそこを、優しく、じらすように撫でていく彼の指先。そのたまらないくすぐったさと熱に耐えきれず、私は無意識に内ももをきゅっと擦り合わせていた。
彼の指先が、柔らかな恥毛を掻き分けながら、陰裂の端をゆっくりと滑り降りていく。 彼の手を……その熱を受け入れるために、少しだけ遠慮がちに開いた私の股間を、彼の指先が迷いながらもなぞり、ついに一番敏感な粘膜へとたどり着いた。 ここまでの焦らされるような愛撫ですっかり蕩けきった私のそこからは、溢れんばかりの愛液が染み出し、指が動くたびに、にちゃ、ぬちゃ……と、耳の奥まで痺れるような卑猥な水音を立てている。
やがて、指先がクリトリスに触れた。 おそらく、クラウドはそこが何という名前で、どんな場所なのか、正確には理解していないだろう。けれど、その不器用で優しい指先の動きだけで、私の腰はバネ仕掛けのように跳ね上がった。
「あぁっ! そこっ、だめ……っ、ぁあ!」
私のなりふり構わぬ喘ぎを聴きながら、彼の呼吸もまた、浅く、速くなっていくのがわかる。 私の足の間に、彼の膝が割り込んできた。 彼を、そのすべてを迎え入れるように、自然と割り開かれていく私の両脚。まるで自分の身体が自分のものではなくなったみたいに、甘くて、ほんの少しだけ怖い「何か」に支配されていく感覚……。
薄明かりの下、彼の顔が目の前まで迫る。 その白磁の肌は、暗闇の中でもわかるほど興奮に上気し、熱っぽく赤く染まっていた。
「ティファ……」
囁くような、けれど震えるほど切実な同意を求める声。 そんな顔で、そんな声で呼ばれたら、私はもう何もかもを投げ出して、彼にすべてを預けてしまいたいという思いに駆られてしまう。
「……来て、クラウド……っ」
湿った熱を帯びた私の聖域は、彼を受け入れる準備を、もうすっかり終えていた。
浅い呼吸が重なり、湿った熱気が渦巻くベッドの上。 私に覆いかぶさるようにして、クラウドがついに挿入の時を迎えた。濡れそぼり、はしたなく口を開いた私の陰裂に、彼の熱い亀頭が充てがわれる。 興奮と、隠しきれない不慣れゆえか。場所を探るように二度、三度となぞる彼の動きが、図らずも私のクリトリスを深く擦り上げた。
「んっ……あぁっ……!」
(気持ちいい……でも、早く、あなたの全部が欲しい……っ)
彼を誘うように、私の腰が自然と彼を迎え入れる角度へと動く。 そして、ついに「その時」は唐突に訪れた。 ――ずにゅ。 重く、深い擬音が、私の体内に直接木霊したかのような感覚。 彼のペニスの先端が、私の膣口へと割り込み、彼の熱が私を内側から割り広げていく。
「あぁ……クラウド……っ」
ゆっくりと、慈しむように腰を突き出し、奥へ、さらに奥へと進んでいく彼。 やがて、腰と腰が密着するほどの深さまで、彼は私に溶け込んだ。下腹部の最奥、子宮口に「ぐりっ」と響くような甘く痺れる衝撃が走り、私は彼をすべて受け入れたことを知った。
「あぁ……ティファ……」
彼の切なげな声に、私の下腹部が反射的にきゅっと締め付けられる。 (……早く動いて。もっと、私を掻き乱して……) そんな言葉が喉まで出かかり、羞恥のあまり思わず顔を背けてしまった。
セックスが、これほどまでに尊い行為だなんて。一ヶ月前の私は、何一つ知らなかった。 知識としては知っていた。けれど、神羅や星の命を巡る過酷な戦いの中で、私はいつの間にか、年相応の「女」としての自分を殺して生きていた。 セブンスヘブンで耳にする酔客たちの下世話な会話に、ただ苦笑いでやり過ごすしかなかった日々。性的な渇望なんて感じる余裕も、相手もいなかった。
そんな時に不意に訪れた、彼との再会。 荒みきっていた私の世界に、少しずつ色が戻っていくのを感じていた。 神羅の実験の影響で、彼は彼自身を見失いかけていたけれど、それでもクラウドは、私の大好きなクラウドだった。 ライフストリームの中で、共に見つめ直した私と彼の人生。 この人しかいない。……ううん。クラウドじゃなきゃ、嫌。
好きな人と、物理的に繋がること。 それがこんなに充足感をもたらし、心を通わせるための大切な、何より大事なコミュニケーションだったなんて。 繋がることでしか、得られない温もりがある。分からない想いがある。それを、私は初めて知った。 「したいなんて思わなかった」昔の自分を、叱ってやりたいくらい。
(でも、誰とでもいいわけじゃないんだよ? あなたと一つになることが、こんなに幸せなんだって、教えてあげたいだけなの……)
そんな甘い妄想が脳裏を掠める中、私は彼の首筋に腕を回し、より深く、その温もりを抱き寄せた。
ついに、彼の抽挿(ピストン)が始まった。 ゆっくりと、けれど確かな質量を持って私の中を出入りし始めた、彼のペニス。 深く押し込まれ、未練を残すように引き抜かれる。その一つ一つの動きがどうしようもなく愛おしく、体内を貫く甘い痺れが、私の脳をドロドロに蕩けさせていく。
「あぁ……うんっ、……ふぁ……っ」
無意識にこぼれ落ちる甘い喘ぎが、静かなベッドルームを二人だけの濃密な空間へと染め上げていく。
「はぁ……っ、ティファ……」 「んっ……クラウド……」
互いの名前を呼び合う。ただそれだけで、興奮と感度が際限なく跳ね上がっていく。ゆっくりとした動きのまま、彼の唇が再び私の唇に重なった。くぐもった喘ぎが、絡め合う舌を押しのけるようにして、熱い吐息と共に漏れ出す。 私は彼の首筋や、逞しい背中に腕を回し、もっと、もっと彼を近くに感じようとしがみついた。彼の体温も、激しい鼓動も、彼を形作るすべてが欲しかった。
(全部……全部、頂戴……っ)
徐々に速度を増していく彼の腰の動きに呼応するように、私の嬌声も高くなっていく。
「んぅ! クラウドっ、あぁっ!!」
耳元で、彼の呼吸がより浅く、速く、鋭く突き刺さる。その獣のような呼吸音が、私の感度を極限まで高めて止まない。 (好き、好き、もっと……もっと……っ!)
もはや、快感という名の奔流に支配された私の脳内は、クラウドの色に塗りつぶされていた。 挿入を繰り返すたびに形を変え、必死に彼を受け入れようとする私の内側。そこから溢れ出した愛液が、尻の谷間を伝い、窄まった肛門を通り過ぎて、ベッドシーツに私の想いを「情事の証」として広げていく。 腰同士がぶつかり合う鈍い打撃音。結合部から絶え間なく響く淫らな水音。 室内に満ちるすべての音が、私の悦びを代弁していた。
膣内で、彼の熱い芯が一層膨らむのを感じた、その時。 彼が、小さく限界を告げる声を漏らした。
「ティファ、もう……っ」
それは、自身の限界を告げると同時に、私への同意を求めるような切ない声。 その声に応えない理由なんて、どこにもなかった。
「いいよっ……クラウド……っ!」
彼の腰が、今日一番の力強さと速度で、限界へと向かって昇り詰めていく。 最後の一突きが、深く、深く。私の膣奥、子宮口を激しく突き上げた。
「あぁっ!! クラウドっ!!」 「くっ……ティファ……っ」
私は彼を丸ごと受け入れる覚悟を決め、その「熱」が内側に放たれるのを待った。 ――けれど。 結末は、私の予想とは違う方向へと、鮮やかに逸れていくのだった。
不意に上半身を起こした彼が、私の内側から強引にペニスを引き抜いた。 パンパンに膨れ上がった亀頭の「カリ」が、膣内を逆方向に力強く引き摺りながら抜けていく。そのあまりに鮮烈な摩擦に、私は最後の一際強い快感に跳ねた。
「あんっ!!」
しがみついていた両手の力が抜け、視界が白く明滅する。 (えっ……? なんで、抜いちゃうの……?) 純粋な困惑に突き動かされ、視線を自身の下腹部へと向けた、その時だった。
剥き出しになった彼の先端から、私の腹部を目掛けて、熱い「証」が迸った。
「あっ……はぁ、くっ……っ!」
快感という名の苦悶に表情を歪ませ、吐息を漏らすクラウド。 彼のペニスの先から、一定のリズムを刻んで白い精液が私の肌へと吐き出されていく。独特の芳香と熱量を持って、私の白い腹部を汚していくその光景に、私は思わず見惚れてしまった。 むき出しのピンク色の亀頭、縦に割れた鈴口から勢いよく溢れる生命の滴、そして、苦しそうに歪む彼の顔。 (初めて見ちゃった……クラウドが、イクところ……) 射精の勢いが衰え、最後の一絞りが私の恥毛に垂れ落ちていく。その無残で淫らな様すら、今の私にはこの上ない充足感を与えてくれた。
射精の快楽から解放されたクラウドは、まるで魔法が解けたようにベッドから飛び降りると、ティッシュケースを手に戻ってきた。 呆気にとられる私を余所に、彼は必死に、私の腹部に広がった精液を拭き取ろうとする。私は思わず、彼の手を遮るように握りしめた。
「ちょっと、待って……」 「……すぐに拭くから。その、汚したままだと……」
焦ったように口ごもる彼に、どうしても聞かなければならないことがあった。
「ねぇ。どうして、外に出したの?」
私の問いに、彼は頬を林檎のように赤く染めながら、沈黙したまま手を動かした。ひとしきり私の肌を拭い終えた後、部屋を支配する沈黙。私はもう一度、同じ質問を繰り返した。
「どうして、外に出したの?」 (あなたの全部、欲しかったのに……)
素直な渇望がそこにはあった。けれど、彼はさらに困ったように顔を伏せ、消え入るような声で答えた。
「……その、まだ。け、結婚もしてないし……。もし、に、妊娠とか……させたら、その……」
彼の口からこぼれ出た、「結婚」「妊娠」という二つの言葉。 今度は、私の顔が火を噴くほど赤く染まった。
(け、け、結婚……!? あっ、妊娠……っ)
そうだった。熱に絆され、すっかり忘れていた。 この行為の先にある、あまりにも当たり前で、けれど重大な結末。 けれど同時に、私の心には温かな陽だまりのような気持ちが広がっていった。 (そっか……クラウド、真剣に。私とのこと、考えてくれてたんだ……)
不器用な彼らしい、あまりにも真っ直ぐな気遣い。 その優しさが愛おしくて、私は堪らず彼に抱きついていた。
「そうだよね……ごめんね。忘れてた。でも、すごく嬉しい。ちゃんと、考えてくれてるんだね」
耳元で囁くように発した言葉に、彼は折れそうなほど強く私を抱きしめることで応えた。
「……あぁ。俺なりには、その。考えてるつもりだ」
熱が引いていくにつれ、彼はいつもの「クラウド」に戻っていく。 少しだけ寂しい。けれど、こんなに乱れた彼を独占できるのは私だけなんだと思うと、得も言われぬ悦びが心を満たしていく。
「そうだね……ちゃんと、一緒に考えていこう? ね、クラウド」 「……あぁ、そうしよう」
鼻から吸い込む空気の中に、彼の匂いと事後特有の残り香を感じながら、私は目の前の幸せを噛み締めた。 背中に回された彼の大きな掌。その温もりを感じながら、私の大胆な初挑戦は、幸福な余韻と共に幕を閉じるのだった。
【あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございました。
FF7という物語が終わった後、クラウドとティファはどんな夜を過ごしているのだろう——。
英雄譚の幕が下りた後の、ただの男と女の話。戦いの日々に「女」としての自分を押し殺してきたティファが、クラウドとの触れ合いの中で自分の本性と向き合っていく過程を書きたいと思いました。本筋ならACに繋がりますが、そこは私の想像ということで了承頂きたく思います。
えっちな場面も出てきますが、私にとっては「性を書くこと」と「愛を書くこと」は切り離せないものです。身体で繋がることで確かめられる感情があると信じているので、そういう話を、正直に書いていきたいと思っています。
弱くて、不器用で、それでもいじらしい——そんな二人のことを、どうかこれからも見守ってやってください。
続きもお付き合いいただけると幸いです。感想・評価、お待ちしております。