FEエンゲージ イルシオンの希望【R-18版】 作:あじさいファン
オルテンシアに取り付けられた擬似ペニスが、ゆっくり、ゆっくりと少年の肛門へ挿入されていく。
まずは亀頭の先端から。まだほんの僅かしか入っていないというのに、異物が身体の中へ入り込んでくる感覚だけで全身が強張った。
思っていたほど痛みは強くない。だが、それとは別に、得体の知れない恐怖がじわじわと押し寄せてくる。
「ま、待って、待ってください、オルテンシア様。やっぱり怖い、です」
「なによ。命懸けでダンデライに食ってかかったのは怖くなかったの? 死ぬわけじゃあるまいし、痛いのは最初だけよ。たぶん」
「あ、あっ、だめ……」
「ほら、力抜いて」
「ひいッ!?」
途中で突然、少年の身体に奇妙な感覚が走った。
痺れるような、それでいて脳の奥を焼かれるような、これまで経験したことのない刺激だった。封じられたペニスも魔法の檻の中でじんじんと疼き、ディルドが奥へ進むたび、我慢汁が溢れ出していることが、下腹部へ広がる液体の感触から分かる。
その様子を、オルテンシアは明らかに見ていた。しかし、敢えて何も言わない。いつものように茶化すこともなく、真剣な表情のまま、愛する彼氏の身体を慎重に押し広げていく。痛みを覚えさせないように。無理をさせないように。それでも、最終的には根元まで受け入れさせるつもりらしい。
「ふーっ! ふーーっ!」
少年は下唇を噛んだ。口を開けば、情けないほど大きな声を上げてしまいそうだったからだ。
だが、それを見たオルテンシアの声音が、ほんの少しだけ冷たくなる。
「ダメ。声、我慢しないで」
「……っ」
「彼氏くんの声、聞かせてくれなきゃ。あとで、おちんちん、あたしのナカに入れさせてあげないわよ」
ここまでされておいて、最後まで彼女と繋がることすら許されない。それでは本当に拷問だ。そう考えれば、大人しく従うしかなかった。
少年は震える息を吐きながら、体内へ押し入ってくる異様な感覚を受け入れていく。
何より不可解なのは、奥へ進まれるたびに、どこかひどく敏感な場所を直撃され、その刺激が封じられたペニスにまで暴力的な響きを与えてくることだった。
射精寸前まで高まった感覚だけを一定のところで押し留められ、その代わりにまったく別の快楽を身体へ流し込まれているような、そんな人生で初めて味わう感覚。
やがて、オルテンシアの擬似ペニスは少年の奥深くまで届いた。
クリトリスとの感覚の連結はまだ続いているのだろう。オルテンシア自身も頬を赤く染め、はあ、はあと熱っぽい息を吐いている。
少年はもう限界だった。いや、限界という言葉では足りない。深く差し込まれてしまった以上、身体を捩って逃れることすら出来ない。
痛みがないと言えば嘘になる。けれど、耐え難い激痛ではない。それ以上に、五臓六腑を包み込むような異様な心地よさが勝っている。あらかじめ注入された、魔力を帯びた液体の効能なのだろうか。
「動いていーい?」
「……はい。オルテンシア様が、望まれるままに」
震える声で答えると、オルテンシアは「えへへ」とはにかむように笑った。
そして、腰を動かし始める。最初はゆっくりと。少年の様子を見ながら、僅かな幅で。
やがて身体が受け入れ始めたのを確かめると、少しずつストロークを大きくしていく。オルテンシア自身も、自らの陰核へ伝わる刺激を楽しむように、目を細めながら腰を動かしていた。
互いに、びりびりと身体を駆け抜ける感覚から逃げることが出来ない。
「あっ! やぁっ、ぁっ、ああっ! あ、あっ! うう……!」
まるで生娘のような喘ぎ声を上げているのは、少年のほうだった。
内部の敏感な箇所を何度も擦られるたび、強烈な刺激が身体の中心から全身へ突き抜けていく。オルテンシアが腰を動かすたび、封じられたペニスから我慢汁が射精のように溢れ出していた。
「えへ、へ。どう? 彼氏くん。きもち、いい? あたしも、凄いの……さっきから、何度も、潮、吹いちゃっ……んッ!」
喋りながら、オルテンシアの身体ががくがくと震える。
それでも腰の動きは止まらない。むしろ快感に煽られるように、さらに強く前後へ揺れ始めた。
その振動がまた、少年の内部を刺激する。擬似ペニスの先端が敏感な場所へ小刻みに何度も触れるたび、羞恥も体面も忘れたような声が飛び出した。
「はぁっ、やっ、ああっ! ああ、オルテンシア様、オルテ……オルテンシア様! お願いです、もうやめて下さいっ、変なんです、身体が! 身体が変ですッ!!」
その叫びの最中だ。少年のペニスから、我慢汁とは違う液体が、どくどくと溢れ出した。
「えっ!」
オルテンシアが目を見開き、腰の動きを止める。
吐き出されたものは、間違いなく精液だった。しかし、ペニスは押し潰されるように貞操帯へ封じ込められている。そのせいで尿道まで圧迫されているのか、いつものように勢いよく放たれる射精にはならなかった。
じわじわと。
時間をかけて、漏れ出るように。
量も多くはない。本来なら吐き出されるはずだった分の一部は、十分に外へ出られなかったのかもしれない。そして何より、射精したにもかかわらず、少年にはいつものような解放感がまるでなかった。
せっかく出せたはずなのに。もどかしい。切ない。何ひとつ終わった気がしない。
「う、ううー……オルテンシア様が、こんなことするからぁ……!」
また、べそをかき始める。
だが、オルテンシアの反応は正反対だった。
「可愛い……! こんな射精の仕方も出来るのね、彼氏くん!!」
好奇心と愛しさに目を輝かせ、泣き言など耳に入っていないかのようだった。
彼女は魔法の貞操帯を汚す精液を指先で掬うと、それを眺めて微笑む。苦く、生臭く、普通なら好んで味わうようなものではないはずなのに、オルテンシアはそれすら愛おしいものでも扱うような表情を浮かべていた。
「も……もう、いいです、よね!? 射精、したんですからっ! 抜いて、抜いてくださいっ!」
これ以上、入れられたままでは本当におかしくなってしまう。すでに十分おかしくなっているという自覚すらないまま、少年は必死に恋人へ懇願する。
しかし。
「残念でした。まだ終わってあげませーん」
「ど、どうして! いくら僕を、はぁっ、クレマチス辺境伯とのっ、はぁっ、戦いに、制止を、ふぅっ……」
息も絶え絶えで、言いたいことすらまとまらない。
そんな彼氏へ、オルテンシアは実に端的に答えを与えた。
「まだ、あなたが正しい絶頂をしてないからよ」
「た、ただしい、ぜっ、ちょう?」
意味が分からない。射精なら、今まさにした。それなのに、まだ、何か別のものがあるというのか。
オルテンシアは答えを知っている様子だったが、説明する気はないらしい。実際に味わえば分かる……そう言わんばかりに。
「動くの、続けるわよ」
「やだ! オルテンシア様、やだ! お願い、待っ──」
懇願は聞き入れられなかった。再び、オルテンシアの腰が動き始める。
彼を傷つけない範囲を守りながら、それでも決して逃がさない、計算された動き。少年を模した偽物が、何度も、何度も体内を往復する。
「んっ……あッ! は、はあっ、やぁん! あっ、あぅ……」
オルテンシアの声が甘く響く。
「ああっ! あっ、だめ、ああ! やだ、なんか、あっ、ああああっ、あああッ!」
それすら掻き消すように、少年の悲鳴が石室へ響き渡った。
階上の仲間たちにまで届くのではないかと思えるほどの声。
先ほど、不完全な射精の直前に覚えた奇妙な感覚が、再び身体を支配し始める。
全身が麻痺していくような。頭の中が白く塗り潰されるような。何も考えられなくなるほどの刺激の中で、脳だけが、これは幸福なのだと錯覚している。
「ぉ、おる……てんしあ、様」
「あは。なあに、彼氏くん」
「あ、ぁ……愛して、ます」
荒い息の合間に、少年は言葉を繋いだ。
「ずっと、愛してます。不安にさせ、て……ごめ、ごめんな、さ……」
「彼氏くん……」
快楽に身体を捩りながら、それでも恋人への愛と謝罪を伝えようとする。
それを聞いたオルテンシアの胸に、僅かな罪悪感と、それを遥かに上回る愛しさが込み上げた。
自分は今、かなり無茶なことをしている。それでも彼は、怒るでもなく、拒絶するでもなく、自分を愛していると伝えてくれる。この情事の間だけで、二人は何度互いの気持ちを確かめ合っただろう。
もう互いなしには生きられない。そんなことを改めて思い知らされるには、十分すぎるほどの時間だった。
そして。
無茶をしようとする彼氏へのお仕置きであるかどうかとは別に、オルテンシアは愛する人へ、きちんと味わわせてあげたいと思った。文献に書かれていた、男にしか味わえないという特殊な絶頂を。
「あたしも愛してるわ。あたしだけの彼氏くん」
甘く囁き返した、その直後。
少年の身体がびくん、と跳ねた。
「~~~~っ!?」
声にならない悲鳴。
目を見開き、口を大きく開け、もう今感じているもの以外、何も考えられない。そんな状態だった。
今までの射精とは違う。いつものような、一度大きく解放され、そのあと一気に虚脱していく感覚ではない。
波が来る。頭が真っ白になる。一瞬だけ意識が戻る。そして。また波が来る。
「ひッ、あッ、あッ……~~~~~っ!?」
暴力的なまでの感覚が、何度も何度も押し寄せる。
同時に、彼のペニスを封じ込めていた魔法が、ぱりん、と再び弾け飛んだ。押さえつけられていたものが一気に本来の大きさへ戻り、オルテンシアを求めるように、小刻みに震えている。
だが、強烈な絶頂を味わっているにもかかわらず、今度は射精していなかった。
我慢汁と、先ほど僅かに漏れ出したものを除けば、ただ激しく震えているだけ。それでも感覚だけは止まらない。
短い時間の中で。
一度。二度。三度。そして四度。
少年は同じような絶頂を繰り返した。
もう、オルテンシアは腰を動かしていない。だというのに、残された刺激の余韻だけで、彼の身体は勝手に震え続けている。
「オルテンシア様ぁっ! 変なんです、変なんですっ! 全然、止まりません……! あ、また……!」
「彼氏くん……♡」
オルテンシアは、すぐには
あまりにも可愛い。それだけで胸がいっぱいだった。彼が絶頂するたび、体内が擬似ペニスを強く締めつけ、その感覚がオルテンシア自身にも伝わってくる。
彼へ挿入している最中、彼女も何度達したか分からない。結合部の下には、二人から溢れたものが混ざり合い、床を濡らしていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……う、うぅ……ぐすっ、ぐすっ……」
ようやく長い波が収まったらしい。
少年はもう言葉を作る気力さえ失い、肩で息をしながら涙を零していた。
そこで初めてオルテンシアは、彼の身体から擬似ペニスをゆっくりと引き抜く。
「えへへ。気持ちよかった?」
答えが返ってこないのを見て。
「……聞くまでもないか」
くすくすと笑った。
まだ十分に昂ぶりを残している少年のペニスを、指先でつん、とつつく。
もう拘束を続ける必要はないと判断したのだろう。オルテンシアは、机へ縛りつけられていた少年の腕を解放してやることにした。
ゼルコバによって締め上げられた布は、彼女の細腕では解けないほど強く結ばれている。仕方なく指先から小さく炎を出し、少年を火傷させないよう細心の注意を払いながら、器用に布だけを焼き切っていった。
これで腕もペニスもようやく自由になった。だが、少年自身は完全にぐったりしており、起き上がれる気配すらない。
「えっちは、まだ終わってないわよ」
「……へ……!?」
どれほど虚脱していても、その絶望的な宣言だけは聞き逃さなかった。
「次は、男の子であることを思い出させてあげるわ。第二王女を悦ばせなさい。そう……王女命令よ」
王女命令。そう言われれば、侍従である少年が動かないわけにはいかない。しかし、今は本当に身体が動かなかった。先ほど与えられた、あまりにも強烈な快感の波がまだ完全には引いていないからだ。
身体はぐったりとしている。それなのに解放されたペニスだけは、皮肉なほど元気に怒張していた。
「仕方ないわねー」
その様子を見てオルテンシアは楽しそうに微笑んだ。
「あたしがリードするの、彼氏くん大好きだもんね?」
言い終わるか終わらないかのうちに彼女は少年の上へ跨る。そして自らの身体へ迎え入れる準備を始めた。
すぐには入れない。焦らすように膣口へ擦りつけ、互いの敏感な部分を触れ合わせる。これからようやく、二人が本来望んでいた形で繋がる。そのための、小さな儀式のようだった。
「オルテンシアさ……あ、あああああっ……!」
挿入した瞬間、少年は達した。
これまで溜め込まれていたものが一気に解き放たれる。それまでの情事とは、比べものにならないほど強烈だった。
長く焦らされ。何度も絶頂寸前で止められ。別の形の快感まで与えられ続けた末の解放。悪魔的とすら言えるほどの至福だった。
「やぁ……ん!」
オルテンシアも大きく身体を震わせる。
「やっぱり本物は、オモチャとぜんっぜんっ、違う……!」
自分の身体を抱き締めるようにしながら爆発するような快感へ身を委ねている。
長い時間焦らし続け、焦らされ続け、ようやく本当に、恋人同士として繋がれた。その幸福が二人の身体だけでなく、胸の奥まで満たしていく。
「い……いっぱい、イジめてあげる、からね」
荒い息を吐きながら、オルテンシアはもう一度、腰を動かし始める。
「彼氏くんが、危ないトコに行く気力、なくすくらいに……!」
何としても止めたい。失いたくない。彼を危険な場所へ行かせたくない。そんな気持ちを全部ぶつけるように、オルテンシアは、何度も腰を上下させた。
恋人同士の喘ぎ声が石造りの部屋へ重なって響く。騎乗位から、別の体勢へ。少年が彼女を攻める側へ回ったあとでさえ、主導権だけは最後までオルテンシアの手の中にあった。
それから二人は何度も何度も互いを求め、抱き締め、絶頂を重ねた。身体が汗や液体に濡れることなど、もうどうでもよかった。
離れていた時間を、空白だった日々を。少しでも埋めようとするように。二人は互いを求め続ける。
それは、先ほどまでの倒錯した『お仕置き』とは違う。ただ。好きな相手がそこにいることを、触れられることを、生きて再び抱き合えたことを確かめるための甘く幸せな時間だった。
次回R-18版の更新は2026年11月18日の予定です。