※この作品はR-18です。

アニメ世界移行能力をもった俺がアニメヒロインを犯りまくる。※リクエストも可   作:みなぽん

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とある魔術の禁書目録 吹寄、インデックス、美琴、神裂、五和 連続NTR地獄 

放課後の教室は、夕陽に染まっていた。

 

窓から差し込む赤い光が机を長く引き伸ばし、騒がしかった教室にも少しずつ静けさが戻ってくる。掃除当番を終えた生徒たちが帰り支度を始める中、ひとりだけまだ教壇の前で腕を組んでいる女子がいた。

 

吹寄制理だった。

 

真面目そうに眉を寄せ、今日提出されるはずだったプリントを数え直している。

 

「……二枚足りない」

 

ため息が落ちる。

 

律儀で、責任感が強くて、融通が利かないくらい真面目。

 

そんな彼女を、教室の入口からぼんやり見ている男子がいた。

 

「まだやってんのか、吹寄」

 

声をかけると、吹寄は振り返った。

 

「上条。当たり前でしょう。委員長の仕事なんだから」

 

「いや、もう日暮れるぞ?」

 

「誰かがやらなきゃ終わらないの」

 

言葉はきつい。

 

けれど、疲れたように肩を落とした姿を見て、上条当麻は少し眉を寄せた。

 

吹寄は強い。

 

少なくとも、周囲はそう思っている。

 

成績優秀、運動神経も良く、責任感があって面倒見もいい。

 

だが、上条は知っていた。

 

彼女が、案外ひとりで抱え込みやすいことを。

 

「……手伝うよ」

 

「は?」

 

「プリント探し。どうせ誰かの机に挟まってんだろ」

 

吹寄は呆れたような顔をした。

 

「あなた暇なの?」

 

「不幸にも暇」

 

「帰れば?」

 

「そんな冷たいこと言うなよ」

 

ぶつぶつ言いながら、上条は教室の机を見て回り始める。

 

吹寄は一瞬だけ何か言いたそうな顔をした。

 

けれど結局、何も言わず視線を逸らした。

 

――こういうところだ。

 

放って置けない。

 

本人は平気そうな顔をする。

 

だけど、本当に困っている時ほど誰にも頼らない。

 

そんなところが、上条にはどうしても気になってしまう。

 

数分後。

 

机の隙間からプリントを発見した上条が「お、あった」と声を上げると、吹寄は少し驚いた顔をした。

 

「……ありがとう」

 

「珍しいな、素直」

 

「うるさい」

 

頬を少し赤くしながら、吹寄は視線を逸らした。

 

その瞬間。

 

教室の入口から、元気な声が響く。

 

「とうまー!」

 

飛び込んできたのは、修道服姿の少女。

 

インデックスだった。

 

「お腹空いたんだよ! ご飯!」

 

「うおっ!」

 

勢いよく抱きつかれ、上条がよろめく。

 

吹寄の眉がぴくりと動いた。

 

「……あなたたち、学校で騒がないでくれる?」

 

「吹寄だー」

 

「その呼び方やめなさい」

 

さらに廊下から別の声。

 

「おやおや、こんなところで密会?」

 

艶やかな声とともに現れたのは、常盤台のエース。

 

御坂美琴だった。

 

後ろには当然のように白井黒子までいる。

 

「類人猿、また女の子と二人きりですの?」

 

「誤解を招く言い方するな!」

 

「誤解じゃないんじゃない?」

 

美琴が少し頬を膨らませる。

 

吹寄はその空気を察し、軽く目を細めた。

 

(……面倒な連中)

 

そう思う。

 

だが同時に理解もしていた。

 

上条当麻という男は、困っている人間を放っておけない。

 

男女関係なく。

 

だからこそ、周囲に人が集まる。

 

誰かを助けるたびに。

 

誰かのために怪我をするたびに。

 

誰かが、彼を好きになっていく。

 

そして、その輪の中に自分がいることを吹寄は認めたくなかった。

 

「……私は帰る」

 

プリントを抱え、吹寄は歩き出す。

 

「え、吹寄?」

 

呼び止める声。

 

だが振り返らない。

 

夕焼けの廊下を歩きながら、吹寄は小さく息を吐いた。

 

(馬鹿みたい)

 

どうして少し期待したのか。

 

どうして、二人きりの時間を嬉しいと思ったのか。

 

自分らしくない。

 

そんなことを考えていた時だった。

 

後ろから駆ける足音。

 

「吹寄!」

 

息を切らせた上条が追いかけてきた。

 

「……なによ」

 

「いや、帰るなら途中まで送る」

 

「必要ない」

 

「暗いし」

 

「まだ明るい」

 

「転んだら危ない」

 

「子供扱いしないで」

 

強く返す。

 

だが上条は引かなかった。

 

「なんか怒ってる?」

 

「怒ってない」

 

「怒ってるだろ」

 

「怒ってない!」

 

思わず声が大きくなる。

 

沈黙。

 

吹寄は少し気まずくなって目を逸らした。

 

上条は頭を掻く。

 

「……上条さん、女子の機嫌読むの苦手なんだよな」

 

「知ってる」

 

「でも、吹寄が元気ないのは分かる」

 

その言葉に、吹寄は足を止めた。

 

夕焼けが二人の影を長く伸ばしている。

 

「……別に」

 

「無理すんなよ」

 

優しい声だった。

 

押しつけがましくない。

 

ただ、本当に心配している声。

 

吹寄は唇を噛んだ。

 

こういうところがずるい。

 

誰にでも優しい。

 

誰でも救おうとする。

 

だから競争相手が多い。

 

インデックスも、美琴も、五和も、神裂も。

 

きっと他にもたくさんいる。

 

その中で、自分は特別じゃない。

 

分かっている。

 

それでも。

 

「……上条」

 

「ん?」

 

吹寄は少しだけ視線を上げた。

 

夕陽の中で、彼の顔を見る。

 

「……あなた、本当にお人好しね」

 

「よく言われる」

 

「馬鹿」

 

「それも」

 

吹寄は少し笑った。

 

ほんの少しだけ。

 

その笑顔を見て、上条も笑った。

 

恋のライバルは多い。

 

きっと簡単じゃない。

 

でも。

 

この人を放って置けないのは、きっと自分も同じだった。

 

夕焼けに染まった廊下を、二人の影が並んで歩いていた。

 

さっきまでの会話の余韻が、少しだけ空気を温かくしていた。吹寄制理は視線を前へ向けたまま、隣を歩く少年の横顔を意識しないように努める。彼が隣にいてくれること、それだけでもう、十分だと思えるはずだった。

 

だが、その静寂は唐突に引き裂かれた。

 

「――見つけたぜ、おい」

 

粘着質な声が、廊下の奥から響いた。

 

ぬるりとした影が、空き教室の扉から滲み出るように現れる。制服を着崩し、脂ぎった顔にねっとりとした笑みを張り付けた男。円光雄(えん みつお)。彼は、この学園都市の理屈で語れない異物だった。

 

「へぇ、いい雰囲気じゃん。まさにアニメのヒロインと主人公って感じ? 読者の反感買いそうな展開だよねー」

 

円は大げさに肩をすくめ、わざとらしく拍手を送った。彼は知っているのだ。自分たちが「物語」の中にいることを。そして、自分がその理屈すらねじ曲げる「チート」を持っていることを。

 

上条当麻が眉をひそめ、吹寄の前に半歩出る。

 

「……誰だお前」

 

「ただのモブだよ、って言いたいとこだけど? 俺はこれから主役になる側さ。あのクソみたいなハーレム展開をぶっ壊すためのな」

 

円の視線が、舐めるように吹寄へと移る。その目には、明確な劣情と、上条への毒々しい嫉妬が混ざり合っていた。

 

「上条当麻。てめぇがムカつくんだよ。何でてめぇばっかり、いい思いしてんの? 誰も彼も助けて、みんなに好かれてさ。だからさ、お前の女、全部奪ってやろうと思ってさ」

 

言葉が終わるか終わらないかの瞬間だった。

 

ズズズ……と、校舎全体が低く振動したかと思うと、廊下の角から何人もの生徒たちがぞろぞろと姿を現した。制服の襟を立てた不良たち。だが、彼らの目はどこか虚ろで、顔には抑揚がなく、まるで操り人形のように一糸乱れぬ動きで二人の逃げ道を塞いでいく。

 

「洗脳はチートの基本だからねぇ。数さえいりゃどうとでもなる」

 

円が指を鳴らすと、不良たちが一斉に得物――鉄パイプやバットを構えた。

 

「上条!」

 

吹寄が息を呑む。上条は舌打ちをし、右拳を握りしめた。

 

「吹寄、下がってろ!」

 

上条が叫び、前に飛び出す。だが、洗脳された不良たちは容赦がなかった。鉄パイプが風を切り、上条の脇腹を深々と抉る。

 

「ぐっ……!」

 

悶絶し、膝をつく上条に向かって、バットが背中を、靴が腹を容赦なく襲う。ドスッ、グシャッ、という鈍い音が廊下に響き渡る。それは一方的な暴力の宴だった。幻想殺しは超能力には効いても、ただの物理攻撃には無力だ。たちまち上条の口から血が溢れ、制服が裂け、赤く染まっていく。

 

「やめて! やめてぇっ!」

 

吹寄が悲鳴を上げた。彼女の脅しも、冷徹な視線も、この暴力の渦の前では何の意味も持たない。助けに行こうとしても、不良の壁がそれを許さない。

 

上条は血まみれになりながらも、それでも手をついて立ち上がろうとする。その姿が、吹寄の心臓を鷲掴みにした。

 

「ははっ、見てて楽しいねぇ。どんなピンチでも逆転しちゃう主人公様がさ、こんな無様に蹂躙されてるのさ」

 

円が高笑いしながら、ゆっくりと吹寄の目の前に歩み寄ってきた。上条を蹴り飛ばしていた不良の一人が円に道を開ける。

 

「で、どうする? 吹寄制理さん」

 

円は血に塗れた上条を指差した。

 

「まぁこのままじゃ、あのバカは死ぬね。鉄パイプの角が頭にでも入ったら、幻想殺しもおしまいだ」

 

上条は咳き込みながらも、「に……逃げろ、吹寄……」と掠れた声で呟く。その声が、さらに吹寄を追い詰める。

 

円はニヤリと笑い、決定的な一言を放った。

 

「助けたきゃ、楽にしてやるよ」

 

彼は指をパチンと鳴らした。リズムよく。

 

「――お前がそこで、全裸になってみせろよ」

 

廊下の空気が凍りついた。

 

「服を一枚残さず脱いで、俺に土下座して『上条を助けてください』って懇願するなら、ま、考えてやってもいいぜ?」

 

屈辱的な要求。自尊心を粉々に砕く命令。吹寄の脳裏に、さっきの上条の言葉が蘇る。『無理すんなよ』と。『吹寄が元気ないのは分かる』と。

 

彼はいつもそうだ。自分が傷ついても、誰かを助けようとする。

 

吹寄は震える手で、自身のブレザーのボタンに手をかけた。

 

上条が血走った目で叫ぶ。「やめろ! 吹寄! そんなこと……!」

その声は、あまりにも無力だった。

 

吹寄の瞳から、光が消えかけていた。彼女の指先が、震えながらボタンを外していく。カチャリ、という小さな音が、暴力の跡が残る廊下にやけに大きく響いた。白いブラウスの胸元が露わになり、夕陽のオレンジ色が肌に反射する。

 

円光雄は満足げに目を細めた。これでいい。これであのいけ好かない正義漢は堕ちる。そして自分は新たな「ヒロイン」を手に入れる。

 

 

「遅いよ」

 

ブレザーが床に落ちる。カチャリ、とスカートのホックを外す音が響くたびに、吹寄製理の肩が小さく震えた。白いブラウス、その下の肌が夕陽に照らされていく。彼女はただ、机械的に指を動かしていた。上条当麻を助けるため。それだけが、彼女を動かす唯一の理由だった。

 

「へぇ、意外とあるじゃん」

 

円光雄が下着姿の吹寄を、ねっとりと舐めるように眺めた。視線が首筋から鎖骨、膨らんだ胸の曲線をなぞり、腰のくびれへと滑り落ちる。

 

「お前さ、いつもあのバカの後ろで顔冷たくしてるけどさ。中身はこんなに発育いいんだな。隠しておくには勿体無いね」

 

吹寄は唇を噛み、視線を床に落とす。その姿が、円の嗜虐心をさらに煽った。

 

「ほら、全部だよ。早くしないと、あいつの頭蓋骨割れちゃうかもよ?」

 

脅し文句と同時に、背後で鉄パイプが上条の背中を打つ鈍い音が響く。

 

「ぐっ……!」

 

上条の苦悶の声に、吹寄の指が止まる。彼女は震える手で、最後の布切れに手をかけた。

 

ブラジャーのホックが外れる。ふわり、と重みが解放されるように白い肌が露わになった。次にショーツが足首を通り抜け、冷たい廊下の床に落ちる。

 

全裸。

 

夕陽に染まった廊下で、吹寄製理はただ身一枚で立っていた。冷たい空気が肌を刺す。羞恥心で顔が熱く、耳まで赤く染まる。腕で身体を覆い隠そうとする彼女の姿が、円の目の前に晒される。

 

「ふーん、やっぱさ。モブ顔のくせに中身は上出来」

 

円が一歩近づく。吹寄が無意識に後退ろうとすると、背後の不良に肩を掴まれ、動きを封じられた。

 

「……っ」

 

「見ろよ、この乳」

 

円の手が、迷いなく吹寄の乳房に伸びた。

 

無遠慮な、乱暴な手つき。愛撫などではない。所有物を品定めするような、傲慢な触れ方だった。重さを量るように掴み、指先が肌に食い込む。

 

「やっ……!」

 

吹寄の口から、悲鳴にも似た声が漏れる。恐怖と屈辱で、身体が強張る。

 

「硬いこと言ってる割には、反応は普通なんだな。乳首なんか、こんなんなってるぜ?」

 

指先が先端を抓む。吐息が漏れ、身体がビクンと跳ねた。

 

「触るな……! 吹寄に触るなぁ!!」

 

血を吐くような上条の叫びが響く。だが、洗脳された不良たちの蹴りが、その声を鈍い音と共に遮った。

 

「うるさいな、お前」

 

円は上条を一瞥し、再び吹寄の顔に視線を戻した。

 

「邪魔すんなよ。今からもっと楽しいことするんだから」

 

そう言うと、円は空いている手で吹寄の顎を掴み、無理やり上を向かせた。

 

涙で潤んだ瞳が、円を睨みつける。その必死な抵抗の色が、円の欲望をさらに刺激した。

 

「……っ、離、して」

 

「何言ってんの? お前が望んだんだろ? あいつを助けてほしいって」

 

顔が近づく。粘着質な吐息が、吹寄の頬にかかる。

 

「ンッ――!」

 

唇が重なった。

 

強引で、粗暴で、味もしない強製された口づけ。円の舌が、唇の隙間から無理やりねじ込まれ、口腔内を蹂躙する。吹寄の口の中を、自分のものだと主張するかのように、歯莖を舐め、舌をからめ取る。

 

「んぅ……! ふぅ……っ!」

 

吹寄が息苦しさに呻く。顎を掴まれているため、逃げることもできない。必死に顔を背けようとするが、より強い力で固定される。口内を犯す異物の感触に、生理的な嫌悪感が込み上げる。涙がこぼれ落ち、頬を伝った。

 

円は唇を離し、唾液の糸を引く。満足げに笑うと、再び乳房を鷲掴みにした。

 

「味もそこそこ。ま、あいつの前で犯されるってシチュエーションのスパイスが一番デカいけどね」

 

吹寄は膝から崩れ落ちそうになりながらも、視線だけは上条に向けた。助けてほしいと叫びたい。でも、助ければ彼がまた傷つく。その葛藤が、彼女の瞳を曇らせていた。

 

円は下卑た笑みを浮かべ、さらに手を伸ばす。

無防備な白い肌に、彼の脂ぎった指が刻み込まれていく。

 

上条当麻は血まみれの視界の中で、その光景を見上げるしかなかった。右拳を握りしめようとするが、怪我と暴力で指に力が入らない。無力感が、傷よりも深く彼を刺し貫いていた。

 

彼の咆哮は、もはや音にならず喉の奥で潰れていくだけだった。

 

「――さて、メインディッシュといきますか」

 

円光雄が嗤い、全裸の吹寄に覆いかぶさった。夕陽が差し込む廊下は、歪んだ性欲と血の匂いに支配されていた。

 

上条当麻は地に伏せたまま、動かなかった。いや、動けなかった。円光雄の覇者のオーラ!全身の骨が砕けているんじゃないかと思うほどの激痛。肺を満たすのは血の匂いと酸素不足による酩酊感。視界は赤黒く濁っていて、自分の手足がきちんと付いているのかも判然としなかった。

 

痛みは、もはや個々の部位ではなく全身を覆う圧迫感として認識され始めていた。洗脳された不良たちからの殴打は止んでいた。おそらく目的は達成されたからだろう。嘲笑が遠くの方から聞こえてくる気がするが、それが現実なのか幻聴なのかもわからない。

 

ただ一つ、確実に届いている感覚があった。

 

 

――守れなかった。

思考回路の断片が、その一言だけを繰り返している。吹寄。あの真面目で不器用で強がりの同級生を、、。

 

円光雄が嗤った。それは勝利宣言であり、祝福の鐘のような響きだった。

 

「見えるかよ上条ぉ!?これがお前のヒロインの末路だぜ!」

 

上条の霞む視界に映るのは、円の背中越しに垣間見える白い肢体。そこに絡みつく醜く太い腕。押し広げられ、濡れ光る箇所に男根がゆっくりと埋まっていく様は、まるで生き物の皮膚が破られていくのに似ていた。

 

吹寄の唇から短い悲鳴が洩れたが、すぐに噛み殺される。それは痛みに対する抵抗でもあり、己のプライドに対する戒めでもあるように聞こえた。

 

円が腰を叩きつけるたびに、肉体と肉体がぶつかる乾いた音と湿った水音が混じり合い、上条の鼓膜を汚していった。結合部からは生々しい肉と粘液の香りが漂い始め、鼻腔を犯す。

 

「っ……ふ……ぅ!」

 

吹寄の額から汗が流れ落ちる。瞼を閉じ、唇を噛み締めて耐える表情には、誇りと屈辱が奇妙なコントラストで溶け合っていた。それがなおさら円の嗜虐心を昂ぶらせるらしい。

 

「おーい上条!お前の女のマンコ気持ちいいしぞぉ!」

円は嘲るようにそう言って吹寄を抱え直し、上条の眼前へと歩み寄った。

赤く染まった床に擦れる上条の顔のすぐ近くで、彼らが結合している部分が無遠慮に晒される。

 

勃起した楔が柔肉を押し広げて出入りする様。赤黒く充血した肉と、白濁した液体に塗れたピンク色の肉の対比は、悪夢のような光景だった。それは愛ではなく支配の象徴として刻み込まれていく。

 

「やめ……ろ…」

 

上条は血の味がする喉から掠れた声を絞り出した。

 

「あ?なんか言ったか?」

 

円は腰の動きを止めず、さらに深く楔を打ち込んだ。ズブズブと押し入る感触に吹寄が背を反らし、喉の奥から嬌声が漏れる。

 

「あぁっ……!」

 

「ほら、よく見ろよ。お前の好きな女が俺のモンになっていく様をよ」

 

円は低く唸りながら、最奥へと達した。

熱い飛沫が子宮を叩く感覚。屈服と支配の儀式が完了した瞬間だった。

 

「ぐっ……うぅ……!」

 

円が低く唸りながら、吹寄の奥へ欲望を吐き出した。

白濁した液体が膣内を満たしていく感覚に、吹寄は鳥肌を立てた。身体が痙攣し、意思とは無関係に蜜口が収縮する。その無慈悲な脈動が吹寄の内部を押し広げ、征服の証を刻み込んでいく。上条の目の前で。

 

「フン……まあまあ使える穴だな」

 

円が楔を引き抜くと、ドロリとした混合液が腿を伝い落ちた。白く泡立つ精液と赤く滲んだ鮮血が混じり合う。淫靡なコントラストは惨劇の象徴だった。

 

「おいテメェら!」

 

円が声を張り上げると、周囲の不良たちが一斉にこちらを振り向いた。皆一様に股間を硬くさせていた。

 

「持ってけ泥棒!しばらく貸してやるぜ!」

 

そう言って円は吹寄の髪を掴み、力任せに不良たちの中心へ放り投げた。

 

床に叩きつけられた衝撃で呻く吹寄を、飢えた野犬のように取り囲む男たち。理性という枷を外された獣性が剥き出しになった空間で、吹寄は文字通り餌食となった。

 

「綺麗な身体してんな」「抵抗すんなよ?」「まずはコイツを試してみるか」

 

下卑た会話が交わされる中、一人がズボンを降ろす音がやけに大きく響いた。その後を追うように複数のファスナーを下ろす金属音が連なり、獣じみた呼吸音が合唱のように廊下を満たした。

 

吹寄は地面に這いつくばったまま必死で身を捩る。だが四方から伸びる太い腕に両脚を押さえつけられると一切の自由を失ってしまう。逃げるどころか叫び声さえ容易く飲み込まれていった。

 

「待て待て順番決めようぜ」「いいから早くしろって!」「俺最初にケツやりたいんだけど」

 

混乱と興奮が入り混じった混沌とした空気。吹寄の純潔を踏みにじる権利について互いに牽制しあいながらも誰も本気で譲ろうとはしない。彼らにとってこれはゲームであり狩猟であり略奪なのだ。

 

 

やがて最も大柄な少年が吹寄の腰を掴むと強引に持ち上げ尻を高く上げさせる格好を作った。

既に潤みきった秘裂から溢れ出す粘液が太腿へ滴り落ちるさまは哀れであり淫猥であった。男は躊躇うことなく亀頭で割れ目を撫で回し狙い澄ました一撃を与える。

 

「ひっ!」

 

吹寄が息を詰める。先程までの荒々しい抽挿とは異なる質量のある肉塊が侵入してきたのだ。苦痛で顔が歪み背中が弓なりになる様子は見る者がいれば憐憫を感じただろう。しかしここにはそんな感情を持つ者はいない。

 

「マジかこれ……キッツ……最高じゃん!」

 

歓喜の声とともにピストンが始まり周囲から羨望と嫉妬の眼差しを受けながら男は狂ったように責め立てるのであった……

 

上条当麻は意識の底で蠢く。身体中の細胞が悲鳴をあげ脳内麻薬だけが辛うじて繋ぎ止めてくれている状態であることは明白だった。

 

そんな彼に届くのは吹寄の啜り泣きと嗚咽そして何重にも重なる不快な喘ぎ声だけである

 

どれほど時間が経ったであろうか彼は教室で目覚めた。

彼の隣では壊れた人形のように、吹寄が横たわっていた。

 

 

上条当麻は、幽霊のように歩いていた。

 

学生寮への道のりは、いつもなら夕暮れの気配に包まれ、インデックスの「お腹すいた」という文句を思い出して苦笑する時間だ。だが今の彼には、その風景がひどく遠い異世界のものに思えた。

 

足を一歩踏み出すたび、肋骨の奥から鋭い痛みが突き上がる。それは洗脳された不良たちに暴行された代償だが、肉体の痛みよりも遥かに深い傷が胸に空いていた。

 

吹寄制理のあられもない姿。

彼女が身を挺して守ろうとした自分。

そして、何もできずに蹂躙される吹寄を見ているしかなかった無力感。

 

「守れなかった……」

 

呟きは乾いた風にさらわれ、どこへも届かない。右手にある『幻想殺し』は、異能の力なら消し去れる。だが、ただの暴力と、歪んだ欲望の前では何の役にも立たなかったのだ。

 

重い足を引きずり、ようやく辿り着いた自室の前。

上条はドアノブに手をかけた。

いつもなら鍵のかかっていないドア、出迎えてくれる小さなシスターの声。

それが彼の日常だった。

 

しかし、今日は違った。

 

「――っ!」

 

ドアの向こうから、空気を引き裂くような悲鳴が聞こえた。

聞き間違えるはずもない。インデックスだ。

 

上条の心臓が跳ね上がる。全身の痛みが一瞬で霧散し、代わりに悪寒が背筋を駆け上がった。彼はノックする余裕もなく、ドアを乱暴に押し開けた。

 

「インデックスッ!!」

 

視界が開けた瞬間、上条の時間は止まった。

 

狭いワンルームの床。

そこはいつも彼らが食卓を囲み、他愛のない会話をしていた場所だ。

しかし今、そこには地獄絵図が広がっていた。

 

純白の修道服は布切れと化し、無造作に床に散乱している。

その中心に、小さな白い肢体が横たわっていた。

銀色の長い髪が汗と涙で張り付き、華奢な体は小刻みに震えている。

 

そして、その上に馬乗りになった男。

 

「んっ……はっ……!」

 

円光雄だった。

彼はズボンを膝まで下ろし、獣のように腰を打ちつけていた。ギシッ、ギシッと床板がきしむ音と、肉と肉がぶつかる湿った音が部屋に充満している。円の背中の筋肉が波打つたび、インデックスの華奢な体が跳ねさせられる。

 

「あぁ……と、うま……とうまぁ……!」

 

インデックスの口から漏れるのは、断片的な言葉と、嗚咽だけだった。

彼女は助けを求めていた。彼女にとっての最大の希望であり救済である、たった一人の名前を呼び続けていたのだ。

 

その声は、上条の胸を抉り取るほど残酷だった。

 

円が顔を上げる。

脂ぎった顔に、下卑た笑みを浮かべていた。

 

「よぉ王子様、遅かったな!」

 

円は腰の動きを止めず、挑発するように声を張り上げた。

 

「ちょうど前のメスガキを食っていたところだよ。お前の名前を呼んでピーピー泣いてて面白かったぜ」

 

その言葉は、上条の魂を凍らせるには十分すぎた。

 

「お前……!」

 

上条は震える手でドア枠を掴んだ。怒りで指が白くなる。

目の前で大切な少女が汚されている。なのに、身体が動かない。恐怖ではない。あまりにも凄惨な光景に、脳が現実を受け入れることを拒否しているようだった。

 

円はさらに激しく腰を振り始めた。

ズブズブと奥まで抉りながら、インデックスの最も敏感な場所を容赦なく攻め立てる。

 

「ひぃっ! あぁっ! だめぇ……!」

 

「ほらほら、主人が帰ってきたぜ? もっと大きい声で頼んでみな!」

 

円はインデックスの銀髪を掴み、無理やり顔を上向かせた。

涙でぐしゃぐしゃになった顔が上条に向けられる。

その瞳にはもう、あの無邪気な輝きはなかった。ただ、屈辱と絶望、そして上条への許しを請うような色だけが浮かんでいた。

 

「とうま……ごめん……なさい……」

 

「インデックス……!」

 

謝る必要なんてない。悪いのはすべて、この目の前の男だ。

なのに、上条は踏み出せなかった。吹寄の時と同じだ。また何もできないのか。また、ただ見ていることしかできないのか。

 

「何してんだよ、テメェ……!」

 

絞り出した声はか細く、震えていた。

 

円は鼻で笑うと、インデックスの中に深々と楔を埋めたまま、上条を見下ろした。

 

「ん? 何って、決まってんだろ。お前の大切なモンを壊してるんだよ」

 

そう言って、円はインデックスの胸を鷲掴みにした。小さな果実が男の手の中で形を変える。

 

「やめろ……やめてくれ……!」

 

上条は膝から崩れ落ちた。

力が入らない。あまりにも圧倒的な悪意の前に、彼は無力なただの少年だった。

 

「見てみろよ、この顔。さっきまでお前に甘えてた顔がさぁ、俺のチンポでヨガってんだぜ? 興奮するだろ?」

 

円の嘲笑が響く。

上条の目の前で、インデックスの唇から再び甘い喘ぎが漏れた。

それは彼女の意思とは裏腹に、肉体的な快楽に抗えない反応だったのだろう。その事実がさらに上条を追い詰める。

 

「さて……」

 

円が低く唸りながら、最奥へと達した。

インデックスの体がビクンと跳ね、白目を剥く。

 

「中出しだ。受け取れよ、王子様!」

 

ドクッ、ドクッという脈動とともに、円の欲望がインデックスの中に注ぎ込まれていく。

白濁した液体が子宮を満たす感覚。それは純潔の破壊であり、上条当麻という少年の日常を焼き尽くす業火だった。

 

上条はただ呆然と、その光景を見つめることしかできなかった。

部屋には男の臭いと精液の生臭い匂いが充満し、彼の居場所はもうどこにもなかった。

 

 

寮の自動ドアを乱暴に押し開け、外の冷たい空気に晒された瞬間、上条当麻の足は鉛のように重かった。

頭の中を占めるのは、床に散乱した修道服の切れ端と、助けを求めるインデックスの声、そして自分の無力さだけ。逃げ出したかった。あの場所から、あの現実から、一刻も早く遠ざかりたかった。

 

「待ちなさいよ、バカ!」

 

背後から、鋭くもどこか懸命な声が飛んできた。

上条はびくりと肩を震わせ、足を止める。

振り返ると、学生寮のエントランスに立ち尽くす一人の少女の姿があった。

 

禦坂美琴。

常盤台のエースであり、学園都市第三位の超能力者。

彼女は、いつもの短いスカートと製服のブレザー姿のまま、息を切らして上条を睨みつけていた。その瞳には、激しい怒りと、それ以上の何かが揺らんでいた。

 

「……禦坂」

「何よその顔。世界の終わりでも見たようなツラしちゃって」

 

美琴は近づくと、上条の顔を覗き込んだ。その頬に流れた涙の跡も、服に付いた血の跡も、彼女の目には映っていたのだろう。美琴の表情が一瞬だけ痛ましげに歪むが、すぐに毅然とした強さへと変わった。

 

「あんたの部屋の前、通りかかったの。……中の状況、空気で分かるくらいよ。私だって、女だからね」

美琴は言葉を濁したが、上条には彼女が何を悟ったのかが痛いほど分かった。彼女もまた、あの悪夢のような現実に触れてしまったのだ。

 

「悪い……見せられないモンを見せちまって……」

上条は視線を落とした。情けなかった。自らの無力さが、今の自分の全てだった。

 

「――だから何よ!」

 

美琴が一歩踏み出し、上条の胸倉を掴んだ。グイッと顔を近づけ、彼女の Electro-master(電撃使い)特有のバチバチとした気迫が上条の顔に当たる。

 

「あんたがやられたままでいる。男じゃないのは私も知っているわ! いつも無茶して、血まみれになって、それでも誰かの前に立つのがあんたのスタイルなんでしょ!?」

「でも、俺は……!」

「黙って聞きなさい!」

 

美琴は語気を強めた。その瞳は、真っ直ぐに上条を射抜いていた。

 

「相手がとんでもないのは私も知っているわ。……一緒に戦ってあげる」

 

その言葉は、上条の凍りついた心に熓スパークを走らせた。

彼女は、あの高慢な常盤台のエースが、不器用な言葉で手を差し伸べてくれている。泣き言を許さず、ただ前を向かせようとしてくれているのだ。

 

上条は震える右手を握りしめた。まだ痛む身体。消えない無力感。だが、彼女のその手があるなら、まだ立てる気がした。

 

「……ああ、悪い。甘えるのは似合わねぇんだよ」

上条が顔を上げると、そこにはいつもの、少しだけ不器用な笑みが戻っていた。

 

 

夜の学園都市。街灯の明かりが冷たくアスファルトを照らすその広い路上に、円光雄は立っていた。

上条と美琴が寮を出てきたことなど最初から分かっていたかのように、彼は余裕綽々で指を鳴らしている。

 

「お、お揃いでご来場かよ。学園都市の第三位様と、不幸少年の豪華なカップル登場ってわけだ。コミックスの表紙飾れそう」

「テメェが円光雄だな……!」

 

美琴が一歩前に出る。ショートの髪の間から、バチバチと青白い電撃のスパークが飛び散った。常盤台のエースとしての威圧感が、夜の空気を震わせる。

 

「インデックスや吹寄に何をしたか……全部吐いてもらうわよ!」

 

美琴はポケットからゲームコインを取り出し、親指で弾こうとする構えを見せた。

超電磁砲(レールガン)。

銃弾の50倍の速度で飛ぶ破壊の閃光。学園都市最強の攻撃の一つが、今にも放たれようとしていた。

 

「残念だったなぁ、禦坂美琴」

円は全く動じていなかった。むしろ、待ち構えるように両手を広げている。

 

「消えなさいッ!」

 

美琴が親指を弾いた。

ドォォォォォォン!!

凄まじい轟音とともに、橙黄色の雷光が一直線に円の眉間へと殺到する。アスファルトを巻き上げ、衝撃波が周囲を薙ぎ払う圧倒的な破壊力。

 

勝負は一瞬のはずだった。

だが。

 

「はい、無効」

 

雷光が円の眼前数センチの地点で、不自然に霧散した。

物理法則を無視したかのように、超高速のコインが空中で靜止し、ポロリと地面に落ちた。

 

「なっ……!?」

美琴の目が見開かれる。レールガンが効かない? そんな馬鹿な。だが、現実として彼女の目の前で攻撃は跡形もなく消え去った。

 

「俺のチート設定にはな、『アニメ的展開における攻撃無効』ってのがあんだよ。主人公補正もライバルの必殺技も、演出としてカッコよく決める以外、ダメージ通じないの。だって俺が作者みたいなもんだから」

 

円がニヤリと笑い、指を差す。

「お前のそれも、ただの光る小細工だよ」

 

「ふざけないでッ!」

 

美琴はさらに電力をチャージする。周囲の街灯が一斉に破裂し、電流が彼女の元へと収束していく。

「電撃の量が問題なら、フルパワーで喰らいなさい!」

 

ビリビリと空間が歪むほどの高圧電流が、円へと殺到する。

だが結果は同じだった。何万ボルトの雷撃が円に触れる直前で虚空へと溶け、彼の髪の毛一本揺らすことはできない。

 

「効かない……!?」

美琴が絶句したその瞬間だった。

 

「残念賞」

 

円が指をパチンと鳴らす。

その瞬間、美琴の足元の影から、黒い手のようなものが伸び、彼女の両足をガッチリと掴んだ。

 

「きゃっ!?」

 

「足元がお留守だぜ、ヒロインちゃん」

「放して! 砂鉄の剣(!)」

 

美琴が咄嗟に周囲の砂鉄を集め、刃を作り出して影を切り裂こうとする。しかし、砂鉄の剣もまた円の目の前で砂のように崩れ落ちた。

 

「無駄無駄。」

「くっ……!」

 

足を掴まれたままの美琴に、円は冷酷に近づいた。

 

「あんたの能力も、俺のチートの前じゃただの花火だ。さて、レールガンも撃てない無力な女に、何してやろうか?」

 

「やめろッ!!」

 

上条が叫び、右拳を振り上げて突っ込んだ。

幻想殺し(イマジンブレイカー)。異能を打ち消す彼の右腕なら、この理不尽なチートも消せるはずだ。

 

「おおぉぉぉぉ!!」

 

上条の拳が、円の顔面へと迫る。

しかし。

 

「またそれかよ。つまんねぇなぁ」

 

円は避ける素振りさえ見せなかった。上条の右拳が円の顔に触れた瞬間、円の身体がスライドするように一瞬で後方へと退避したのだ。まるでアニメのカットの飛び越しのように、不自然なまでの速さで。

 

「幻想殺しが効くのは『異能』だけだろ? 俺のチートは異能じゃない。アニメの『法則』なんだよ。お前のその右手じゃ、シナリオは消せないぜ」

 

円の膝が上条の鳩尾(みぞおち)に深々とめり込んだ。

「ぐはっ……!」

 

上条の身体がくの字に折れ、胃液が込み上げる。追撃として、円の拳が上条の頬を横から叩き潰す。視界が回転し、アスファルトの冷たさが頬を打った。

 

「上条ッ!」

 

美琴が叫ぶが、影の手は彼女を解放しない。もがけばもがくほど、影は彼女の身体を這い上がり、自由を奪っていく。

 

「終わりだな、常盤台のエース。お前もあの男の後を追って、俺の肉便器にでもなるか?」

 

円が冷酷に見下ろす。

圧倒的な力の差。レールガンすら通じない絶対的な壁。

幻想殺しすら届かない理不尽な法則。

 

美琴は震えながらも、睨みつける力だけは衰えさせていなかった。

だが、物理的な勝敗はすでについていた。二人のヒーローは、ただの泥の上に這いつくばる敗者へと成り下がっていた。

 

上条当麻は仰向けに倒れていた。胃の内容物が逆流し、酸っぱいものが喉を焼く。肋骨は悲鳴を上げ、指先すら重くて持ち上がらない。

幻想殺し(イマジンブレイカー)を持ちながら、この男の前では何もできなかった。その無力感が、全身の痛みよりも鋭く心を抉る。

 

「ほら、起きろよ」

円光雄の冷たい声とともに、無造作に右腕が掴み上げられた。上条の身体は釣り上げられた魚のように宙吊りになり、血混じりの唾液が顎を伝った。

 

「まだ遊んで欲しいのか? 泣き虫ヒーロー君」

「……やめなさい……!」

 

声がした。砂塵と瓦礫に覆われたコンクリートの地面に縫い付けられながらも、禦坂美琴は尚も諦めていなかった。

彼女の四肢を拘束する黒い影は、濃厚かつ柔軟で、単純な身体能力では抗えない。それでも美琴は全身を捻り、拘束を解こうともがいていた。

「おいおい健気だねぇ」

円は愉悦に満ちた笑みを浮かべた。

 

「雑魚が!」

 

円光雄の怒声が、夜の路上に響き渡った。彼は倒れ伏す上条当麻の顔を蹴り上げる。鈍い音と共に上条の首が不自然な角度で振れ、アスファルトに擦れる。

 

「お前の弱さが周りの女を不幸にするんだぜ!? 分かってんのか? あぁ!?」

 

円はさらに上条の腹部を靴の踵で踏みつけた。呻き声すら出せない上条の口から血の泡が溢れる。

 

「そこでこいつがメス堕ちするところ見てろや! お前のその無力な目でよォ!!」

 

円は視線を美琴へと移した。影に拘束され、身動きが取れない彼女は、それでも睨みつけることだけは忘れていなかった。

 

「ふん……誰がメス堕ちなんてするもんですか! 私は禦坂美琴よ! あんたなんかのチートに負けるわけない!」

 

美琴は強気に言い放った。しかし、その声にはわずかに震えが混じっていた。目の前で上条が一方的に暴行される様を見せつけられ、己の無力さを痛感しているのは彼女自身も同じだったからだ。

 

「へぇ、まだそんな減らず口が叩けんのかよ。感心感心」

 

円はニヤリと笑うと、美琴の前に立った。そして、躊躇なく彼女の制服のブレザーに手をかけた。

 

「やめて! 何する気!?」

 

バチバチと電撃が走るが、それは円の肌に触れる前に霧散してしまう。物理法則すら無視する絶対的な防御壁。美琴の攻撃は一切通用しなかった。

 

「決まってんだろ? お前を壊すんだよ」

 

力任せにブレザーが引き裂かれる。ボタンが飛び散り、白いシャツが露わになる。さらにそのシャツも容易く引き裂かれ、夜気に晒された肌に鳥肌が立った。

 

「いやぁっ! 見ないで! 見ないでよッ!」

 

美琴は必死に身を捩り、腕で身体を隠そうとする。だが、影の拘束は厳しく、腕は高々と頭上で固定されたままだ。未発達ながらも形良い胸と、滑らかな肌が無防備に晒される。

 

「おいおい、上条見てるぞ? 学園都市三位様の貧相な体」

 

円は下卑た笑みを浮かべながら、美琴の胸を鷲掴みにした。無遠慮で粗雑な手つき。

愛撫ではなく検品のような触れ方だった。

 

「ひぅっ……!」

 

美琴の口から短く高い声が漏れた。屈辱と恐怖。そして自分の意思とは裏腹に反応してしまう身体への嫌悪感が彼女を苛む。

 

「やめろ……やめてくれ……美琴に触るな……!」

 

上条は血を吐くように叫んだ。指先一つ動かせない身体で、ただ絶叫することしかできない。

 

「うるせぇよ! これがお前のせいなんだぞ!」

 

円は怒鳴り返し、美琴のスカートを乱暴に引き下ろした。残された下着すらも引き裂き、彼女は全裸のまま夜風に晒されることとなった。

 

「いやぁ……!」

 

美琴は顔を真っ赤にして目を固く閉じた。普段は強気で誰にも弱みを見せない彼女が、今はただの無力な少女として辱められている。その光景は上条の心を絶望で塗り潰していく。

 

「さて、お披露目といくか」

 

円はズボンのベルトを外し、既に屹立した自身の欲望を晒した。それは暴力的なまでに凶々しく、美琴の小さな秘部を脅かしていた。

 

「入るわけない! そんなもの……!」

 

「大丈夫、俺のチート設定には『絶対服従』と『快楽調教』ってのもあるんでね。どんなメスでも俺のモンになっちまうのさ」

 

円は美琴の両脚を大きく開かせた。影の手が彼女の膝を押さえつけ、逃げ場を奪う。露わになった秘所はまだ閉ざされていたが、そこへ容赦なく凶器が押し当てられた。

 

「ひっ!」

 

「ほらよッ!」

 

円は腰を一気に突き出した。

 

「あああぁぁぁっ!!」

 

悲鳴が夜空を引き裂いた。

処女を失う痛みと、異物が身体を割り開く恐怖。美琴の目から涙が溢れ出し、白い首が反り返る。

 

「ぎゃはは! どうよ上条! お前の大事な女が俺に貫かれてる様はよ!」

 

円は狂ったように笑いながら、ピストン運動を開始した。ズブズブと肉が擦れ合う湿った音と、美琴の悲鳴が混じり合う。

 

「いやっ! やめて! 抜いて……お願い抜いてぇっ!」

 

美琴は必死に懇願した。しかし円は耳を貸さず、むしろその抵抗を楽しむかのようにさらに激しく腰を打ち付ける。

 

「硬いこと言ってた割には、すぐに感じるようになるぜ? これがチートの力だ」

 

円の手が美琴の胸を弄びながら、腰を深く沈めるたびに特定の場所を狙って擦り上げた。

 

「あっ……あぁっ……! ふぅっ……!」

 

美琴の声が変化し始めた。悲鳴の中に混じり始めた甘い響き。身体の中で何かが溶かされていくような感覚。抗えない快感の波が、理性を侵食し始める。

 

「ほらほら、どうだ? いいだろ?」

 

「ちが……う…これは……っ!」

 

美琴は首を横に振り抵抗しようとするが、身体は正直に反応してしまう。内壁が収縮し、侵略者を締め付けようと無意識に動いてしまう。背徳的な感覚が彼女の脳髄を痺れさせていく。

 

「見ろよ上条! このメス、もう濡れてきやがったぜ! 口じゃ嫌だって言ってるけどな、身体は俺を求めてんだよ!」

 

円の嘲笑が突き刺さる。上条は震える拳で地面を叩いた。助けたい。助けたいのに。何もできない自分自身が憎くてたまらなかった。

 

「うそ……私…こんな……」

 

美琴は自分の身体の変化に気づき愕然としていた。痛みはいつの間にか快楽へと変わり、身体の芯が熱く疼いている。自分の意志とは無関係に声が漏れ、腰が揺れてしまう。

 

「あぁっ! そこ……だめぇっ!」

 

「ここか? ここがいいのかよ?」

 

円は的確に彼女の弱点を攻め立てた。チート能力によって相手の快感帯さえも把握しているかのように。

 

「あぁぁっ! あっ! あっ! いいっ!」

 

美琴の目から理性の光が消えかけていた。もはや彼女は上条を見ていなかった。ただ眼前の男から与えられる快楽に身を委ねようとしていた。

 

「ほら、素直になれよ。お前は俺のモンだってよ」

 

円は耳元で囁きながら、最奥へと猛進した。

 

「いっ……くぅっ……!」

 

美琴の背中が弓なりになり、全身が痙攣した。絶頂。抵抗することすら忘れ、彼女はただ快楽の渦へと呑み込まれていく。

 

「どうだ? 味はよかったぜ」

 

円は余裕たっぷりに上条を見下ろした。

 

「お前が弱いからこいつは堕ちたんだ。全部お前のせいだぜ?」

 

美琴は虚ろな目で天を見上げていた。もうそこには誇り高き超能力者の姿はなかった。ただ快楽に溺れ、男に屈服した一人のメスが横たわっているだけだった。

 

円は美琴の中から自身を引き抜き、白濁した液体が彼女の太腿を伝い落ちるのを見て満足げに笑った。

上条当麻は何も言えなかった。ただ唇を噛み締め、血を流し続けることしかできなかった。

 

「さて……次はどうしてやろうかな?」

 

円光雄が嗤い、満足げに美琴の白濁液で汚れた自身を拭おうとした、その時だった。

 

空間が、軋んだ。

 

物理法則が軋ぶような、奇妙な音。それは常盤台のエースが現れる前触れなどではなく、より異質で、より凶暴な異能の胎動だった。

 

「お姉様に何をしたですのォォォォッ!!!」

 

夜空を引き裂くような絶叫と共に、虚空から一人の少女が飛び出してきた。

常盤台中学の制服。四本のリボンで結わえられたツインテールが激しく揺れ、その瞳には理不尽な暴力を見咎めた裁きの炎が宿っていた。

 

白井黒子。

学園都市第七位の超能力者であり、空間移動(テレポート)の使い手。

彼女は着地するよりも早く、状況を理解した。辱められ、虚ろな目で横たわる美琴の姿。血まみれで倒れる上条。そして、その中心で勝ち誇る男。

 

「あぁ? なんだテメェ?」

 

円が顔を上げるよりも早く、黒子は行動に移っていた。

 

「空間移動(テレポート)!」

 

瞬間、黒子の姿がかき消えた。

次の瞬間、彼女は美琴と上条の両脇に現れていた。細腕で二人の身体に触れると同時に、意識だけを空間座標へと叩き込む。

 

「消えなさいですの!」

 

ボゥンッ!という空気の置換音が響き、三人の姿はその場から完全に消失した。

残された円光雄の手は空を切り、彼は舌打ちをした。

 

「チッ……逃げられたか。まあいい、後で狩り直せば」

 

 

数ブロック離れた路地裏。

古びたダストシュートの影で、三人の姿が現出した。

 

黒子は美琴をそっと地面に横たえた。その指先が震えている。怒りだ。

 

 

大切な「お姉様」が、男の手で汚され、壊されてしまった現実。その事実が黒子の理性を焼き尽くさんばかりに煮えたぎらせていた。

 

「お姉様……お姉様……!」

 

美琴は虚ろな目で天を見上げたまま、反応がない。ただ時折、身体を小刻みに震わせ、漏れ出る粘液が太腿を伝ってアスファルトを濡らしていく。その惨状が、黒子の心をさらに深く抉った。

 

そして、黒子はゆらりと立ち上がった。

その視線は、地面に這いつくばる上条当麻へと向けられていた。

 

「……黒子……」

 

上条は血の気の失せた顔で、彼女を見上げた。助かった、と思ったのかもしれない。だが、黒子の瞳にあるのは慈悲などではなかった。

 

パァンッ!!

 

乾いた音が路地裏に響き渡った。

黒子の平手が、上条の頬を容赦なく打ったのだ。

 

「黙れですの!」

 

続けて、逆の手での平手打ち。

一度や二度ではない。左右交互に、力の限り叩きつけられる。それは制裁であり、悲鳴であり、やり場のない怒りの爆発だった。

 

「あんたは! あんたは何をしていたんですの!?」

「ぐっ……う…」

「お姉様が! お姉様があんな男に! 目の前で! あんな風に穢されるのを! ただ見ていただけなんですの!?」

 

黒子の拳が上条の胸倉を掴み、力任せに引き寄せた。涙で潤んだ瞳が、狂気じみた憎悪で上条を射抜く。

 

「あんたが守るって言ったんじゃないですの!? あんたがいるから大丈夫だって! お姉様だって信じてたじゃないですの!」

 

上条は反論できなかった。ただされるがままに打たれるしかなかった。黒子の言う通りだったからだ。彼は何もできなかった。吹寄も、インデックスも、そして美琴も。守ると誓いながら、誰一人守れなかった自分自身の無力さだけが残っていた。

 

「お姉様はね! あんたみたいなバカな男のために戦ったんですのよ!? なのに! なのにあんたは……!」

 

黒子は上条を突き放した。ゴミを見るような目で見下ろす。

 

「もういいですわ……あんたなんかに頼るからこんなことになるんですの……あんたなんかがいるから……!」

 

黒子は荒い息を吐きながら、震える声で言い放った。

 

「もう二度とお姉様に近づくなですの!」

 

その言葉は、上条当麻という少年をこの世界から拒絶する宣告だった。

 

「この街から出て行きなさい! 疫病神!」

 

疫病神。

その言葉が、上条の胸に深々と突き刺さった。

彼女たちに近づけば近づくほど、不幸が降りかかる。それが自分の宿命だと自嘲していたが、今度ばかりはその宿命が彼女たちを壊してしまった。

 

上条は何も言えず、ただ血と泥にまみれた顔でアスファルトを見つめることしかできなかった。

路地裏には、美琴の啜り泣きと、黒子の激しい息遣いだけが冷たく響いていた。

 

 

暗い路地裏で、上条当麻は自分の右手を見つめていた。

 黒井黒子に「疫病神」と罵倒され、禦坂美琴を守れなかった罪悪感が、鉛のように心に沈んでいる。幻想殺しは異能を消せる。だが、暴力も、人の悪意も、そして己の無力さも消すことはできない。ただ泥のように疲れ果てていた。

 

「……随分と荒れているわね」

 

 不意に、凛とした声が降ってきた。

 顔を上げると、そこには長い黒髪を夜風になびかせた和装の女性が立っていた。イギリス清教の魔術師、神裂火織。彼女は傷だらけの上条の姿を見るなり、痛ましげに眉を寄せた。

 

「神裂……さん」

「詳しい話は後よ。今はまず、その傷を」

 

 神裂は膝をつき、上条に手を伸ばそうとしたが、彼は弱々しく首を振った。

「いや……俺に触らないでくれ。また、誰かを不幸にする……」

 

 自己嫌悪に呟く上条の耳元で、神裂は静かに、しかし力強く言い放った。

「愚かね。たかが一度の敗北で何を言っているの。あなたは今まで幾度も地獄を抜けてきたはずよ」

 

 神裂の瞳には揺るぎない光があった。

「私は私の道を貫く。たとえ相手が理不尽な力を持っていようと、この刀で断ち切るわ。……上条当麻、あなたは守られるだけの存在じゃないはずよ」

 

 その言葉は、凍りついた上条の心に微かな炎を灯したようだった。神裂はすっと立ち上がり、刀の柄に手をかけた。

 

「待ちなさい!」

 

 路地裏の出口に、円光雄が現れた。余裕綽々の笑みを張り付けたまま、手をポケットに突っ込んでいる。

 

「おっと、次は巫女さんかよ。ツインテールに続いて和風美女とは、俺のシナリオもハーレム路線一直線だな」

 

「その不敬な口を閉じなさい。魔術師の名において、あなたのような外道を看過するわけにはいかないわ」

 

 神裂の周囲に魔術的霊気が渦巻く。彼女は抜刀術の構えを取り、円へと肉薄した。

「閃ッ!」

 

 速さと重量を兼ね備えた一撃。常人なら反応すらできない斬撃が、円の首を狙って奔る。

だが。

 

「無駄だってーの」

 

 カキンッ! という甲高い音と共に、神裂の刀は円の首筋数ミリ手前で見えない壁に阻まれた。

 

「なっ……!?」

「だからよォ、俺のチートは最強なんだよ。お前みたいなクールな必殺技は、カッコよく決まる前に終了だ」

 

 円がニヤリと笑い、手を掲げる。

「影縫い(シャドウ・バインド)」

 

 神裂の足元から伸びた黒い影が瞬く間に彼女の両手足を縛り上げた。

 

「くっ……!」

 

 神裂が抵抗しようとした瞬間、円は懐から小さな札のようなものを取り出し、彼女の額に貼り付けた。

 

 

「これは……!?」

「俺様オリジナルのチート札だ。『絶対発情』と『羞恥心破壊』。どうせお前みたいな真面目な女ほど、堕ちる時は派手なんだよ」

 

 札が淡い光を放った瞬間、神裂の身体がビクリと跳ねた。

「あぁっ……!? な、なんだこの熱は……!?」

 

 身体の芯から湧き上がる悍ましいほどの熱情。理性が溶かされ、下半身に鋭い痺れが走る。神裂は膝から崩れ落ちそうになりながらも、必死に歯を食いしばった。

 

「やめろ……! 神裂に何をしたッ!?」

「見ての通りだよ。お前の新しい助っ人を、発情期のメスに変えてるんだ」

 

 円は神裂の着物の袂に手をかけ、力任せに引き裂いた。

サッと夜気が肌に触れ、神裂の白く艶やかな肢体が露わになる。

 

「いやっ……見ないで……!」

 

 普段の凛とした表情は崩れ落ち、恥辱に顔を紅潮させた神裂がそこにいた。

円は彼女の髪を掴み無理やり立たせると、そのまま路地裏から表通りへと引きずり出した。

 

「さあ行くぞ。特等席へな」

 

 立川駅の繁華街。

 金曜の夜、人通りは多く、ネオンの光が淫らかに街を照らしている。その喧騒の中へ、全裸の神裂が放り出された。

 

「ひっ……!」

 

 周囲の視線が一斉に集まる。驚愕、嘲笑、欲望。無数の視線が神裂の裸体を舐め回した。

 

「おいマジかよ」「何だあれ? イベントか?」「撮ろう撮ろう!」

 

 スマートフォンのレンズが向けられ、ひそひそと笑い声が聞こえる。神裂は隠れようと身を縮めたが、チート札の効果は残酷だった。

 

「さあ、やれよ。自分でな」

 

 円が背後から囁く。その声は強制力を持って神裂の身体を支配した。

 

「あ……あぁ……」

 

 神裂の右手が意思とは無関係に動き出し、震えながら自らの胸を鷲掴みにした。

「いや……こんなところで……やめて……!」

 

 左手はゆっくりと下腹部へと降りていく。閉ざされた太腿の間に指を割り込ませると、すでに蜜が溢れ出しているのが分かった。

 

「ほらほら、みんな見てるぞ。あの有名な魔術師様が、表通りで発情してマンズリしてるってよ!」

 

 円の声に合わせて、神裂の指が秘所を割り開いた。

ピチャッと湿った音が響き、街灯の光が愛液に塗れた秘裂を照らし出す。

 

「あぁっ……! うぅっ……!」

 

 羞恥心が脳髄を焼き尽くす。なのに指は止まらない。クリトリスを擦り上げ、濡れた割れ目を掻き回すたびに、快楽の波が理性を破壊していく。

 

「んっ……はぁっ……あっ、あっ!」

 

 神裂の口から甘い喘ぎ声が漏れ始めた。衆人環視の中で自慰行為を強要されるという極限の羞恥が、逆にチートによる発情を加速させていた。

 

「見ろよ上条! お前の頼れる女魔術師は、ただの変態露出狂だぜ!」

 

 上条は繁華街の雑居ビルの影から、その光景を見ていた。叫び出したかった。助けに行きたかった。だが、円の配下たちに両腕を拘束され、為す術がない。

 

「お願い……許して……もう……」

 

 神裂は涙を流しながらも、激しく指を動かし続けていた。腰が波打ち、白い肌が羞恥と快楽で赤く染まっていく。集まる野次馬たちは興奮し、神裂に向かってスマホのフラッシュを焚き始めた。

 

 

「イッ……しまう……みんなの前で……イッちゃうぅぅッ!!」

 

 神裂の背中が反り返り、ビクビクと全身が痙攣した。

潮を吹きながら絶頂に達した神裂は、力なくアスファルトに崩れ落ちた。野次馬たちから歓声と嘲笑が巻き起こる。

 

「ハハッ! ざまぁみろ!」

 円は高笑いしながら、失神した神裂の髪を踏みつけた。

 

「さてと……お次はどう料理してやろうかな?」

 

 上条当麻はあまりにも圧倒的な悪意と理不尽の前に、ただ震えることしかできなかった。神裂火織が全裸で衆人環視の中オナニーに及ぶという悪夢のような光景は、彼の精神を粉々に打ち砕いた。

逃げなければ。本能が告げていた。ここで留まれば次は自分がどうなるか分からない。例え誰かを犠牲にしてでも生き延びなければ。そうでなければ皆殺しにされるだけなのだ。

 

「……っ!」

 

上条は近くにあった雑居ビルの非常階段へと駆け出した。腕や肋骨が悲鳴を上げる。だがそれ以上に心が悲鳴を上げていた。円光雄の配下たちは慌てて追いかけてくるが、怪我をしたとはいえ高校男子の全力疾走を即座に捉えられる者はいない。

 

「くそっ! 待て糞野郎!」「追えッ!」

 

怒号と足音を背中に感じながら、上条は息を切らせて階段を駆け上がった。五階建てビルの屋上に出るとフェンスを乗り越え隣接する建物へ飛び移る。猫のように器用ではなく、時には手すりを掴み損ね落下しそうになるが爪や牙を使わずとも生き延びてきたこれまでの経験が活きていた。

 

 

神裂火織が薄れゆく意識の中で感じたのは、アスファルトの冷たさと、粘つくような視線の熱だった。

 

「へへっ、いい女だぜ」「マジかよ、夢じゃねぇのか?」「円さん、後は俺たちでいいんすか?」

 

耳障りな下卑た声。焦点の合わない目を無理やり開けると、そこには数人の男たちが唾を飲み込んで自分を見下ろしていた。スーツにくたびれたネクタイ。金曜の夜の繁華街で鬱憤を溜め込んできたであろうサラリーマンたちだ。

 

円光雄の姿はない。彼は神裂をここへ放り出した際、「後は好きにしな」とでも言ったのだろうか。男たちの目には、道徳も理性も残っていなかった。あるのは、極上の獲物を前にした獣の欲望だけだった。

 

「離れなさい……!」

 

神裂は気力を振り絞って睨みつけた。声に力は入らない。チート札の効果で身体は鉛のように重く、それでいて芯だけが熱く疼き、立つことすらままならない。

 

「おっと、暴れるなよお姉さん」

 

男の一人が神裂の腕を掴み上げた。その手は汗ばみ、臭った。

 

「放してッ!」

 

神裂は腕を振り払おうとした。だが、身体が言うことを聞かない。それどころか、男の荒い手触りに触れた瞬間、背筋に甘い痺れが走り、膝が崩れそうになった。

 

(なぜ……!? これは魔術的な干渉ではない、ただの……)

 

屈辱だった。かつて天使の力を振るい、世界の危機に立ち向かった魔術師。その彼女が、ただの一般人の男の手に抗えないなど。

 

「いい反応だぜ。ほら、立てねぇだろ? おぶってやるよ」

 

男たちは神裂を担ぎ上げた。まるで戦利品のように。神裂は無惨にも裸のまま、彼らに運ばれていく。行き先は路地裏の安っぽいラブホテルだった。

 

「いや…連れて…行かないで……!」

 

抵抗の声は、歓声に紛れて誰にも届かない。自動ドアが開き、安っぽいピンク色の照明が彼女の肌を照らした。

 

狭いエレベーター。密室の中で、男たちの手が遠慮なく神裂の身体をまさぐり始めた。

 

「おい、すげぇよ。マジで濡れてるぜ」「ほんとだ。感じてんのかよ、この女」

 

太腿を這い上がる指。胸を捏ね回す手。神裂は身を捩って逃れようとするが、それが逆に男たちを煽るだけであった。

 

「やめて……触るな……!」

 

神裂は心の中で上条当麻の名を呼んだ。

あの少年を守るために戦ったのだ。彼が逃げ延びる時間を稼ぐためなら、この程度の屈辱、耐えてみせる。己の誇りにかけて。

 

(上条当麻……ッ! 私は、間違っていない!)

 

彼女は必死に自分に言い聞かせた。どんな目に遭おうとも、あの不器用な少年を守れたという事実だけは、誰にも奪えない。

 

 

それが彼女の支えだった。

 

「ここだ」

 

部屋に放り出された。ベッドのスプリングがきしむ音。

男たちは野獣のように服を脱ぎ捨て、神裂に襲いかかった。

 

「さあて、たっぷり楽しませてもらおうか」

 

最初の男が体重をかけてきた。ムッとした体臭。荒い息遣い。

神裂は目を固く閉じた。これはただの試練だ。心さえ渡さなければ、私の魂は汚されない。

 

しかし。

 

「んっ……!」

 

男が神裂の胸に吸い付き、太い指を秘所にねじ込んできた瞬間、鋭い快楽が背骨を駆け上がった。

チート札の効果は残酷だった。「絶対発情」。身体はすでに限界まで感度を高められ、わずかな刺激でも甘い汁を溢れさせてしまう。

 

「ほらほら、口じゃ嫌って言ってるけどな、ここはこんなんだぜ」

 

男の指が濡れた内壁を掻き回すたびに、神裂の口からは意思とは裏腹に甘い喘ぎが漏れた。

 

「あぁっ……! んぅっ……!」

 

(違う……これは私の意思じゃない……!)

 

心が叫ぶ。だが身体は正直だ。男の指を締め付け、さらに深くを求めてしまう。

 

「けっ、高潔な魔術師様ってよぉ、中身はただの淫乱かよ」

 

男が嘲笑しながら、自身の怒張した欲望を神裂の秘口に押し当てた。

 

「いやっ! 入れないで……! お願い……!」

 

「遠慮すんなよ!」

 

ズブッ!!

 

肉が裂けるような感覚。異物が身体を割り開き、最奥まで侵食してくる。

かつて一度も触れられたことのない場所。守るべきだった純潔が、見知らぬ男の欲望によって無惨に踏みにじられた。

 

「あああぁぁっ!!」

 

悲鳴は快楽と痛みの混じったものであった。神裂の目から涙が溢れ出す。

(上条当麻……! 私は……私は……!)

 

心の中で少年の名を呼び続ける。それだけが彼女を正気に繋ぎ止める糸だった。

しかし、男のピストン運動が激しくなるにつれ、その糸もまた快楽という酸によって溶かされていく。

 

「くっ……うぅっ……! あっ、あっ!」

 

「どうだ? いいだろ? これが一般市民の生のチンポだぜ!」

 

男が腰を打ち付けるたびに、神裂の身体はベッドの上で跳ねさせられる。

最初は苦痛だったはずの摩擦が、次第に鋭い快感へと変質していく。子宮が暴かれ、羞恥心という最後の堤防が決壊していくのが分かった。

 

「いやぁ……こんな……こんなこと……っ!」

 

神裂は首を激しく横に振った。認めたくない。こんな男に抱かれて感じているなど。

 

「ほらよッ!」

 

男が敏感な場所を的確に突き上げた。

それは偶然か、あるいはチートによる身体の制御か。いずれにせよ、神裂の理性を焼き尽くすには十分すぎる一撃だった。

 

「ひぃっ! あぁぁっ! そこ……だめぇっ!!」

 

ビクンッ! と神裂の背中が弓なりに反った。

目の前が真っ白になる。頭の中で上条当麻の顔が弾け飛び、代わりに白濁した快楽が充填されていく。

 

「イッたか? イッちまったかよ! ざまぁみろ!」

 

男が勝ち誇ったように叫び、そのまま最奥へと欲望を吐き出した。

ドクドクという脈動とともに、汚らわしい液体が子宮を満たしていく感覚。

 

それは神裂火織という魔術師の尊厳を破壊し、ただの肉便器へと作り変える烙印だった。

 

「次は俺だ!」「俺も俺も!」

 

男が退くと同時に、次の男が乗りかかってきた。

もはや神裂に抵抗する力は残っていなかった。

次々と変わる男。次々と注ぎ込まれる体液。

 

「あっ……あっ……んっ……!」

 

口から漏れるのは、悲鳴ではなく喘ぎだけになっていた。

高潔だった魔術師は消え失せ、そこにはただ男根を求めて喘ぐメスがいた。

 

(私……は……)

 

意識の片隅で、最後の灯りが消えかけていた。

上条当麻のために戦ったことは後悔していない。それは真実だ。

だが、その結果として得たのは、守るべき対象から見放された虚無と、肉体的な快楽への屈服だった。

 

「あぁっ……もっと……もっとください……ッ!」

 

神裂は自ら腰を振り始めた。男たちの欲望を貪るように。

それはあまりにも残酷な堕ち方だった。

彼女の気高い心は、物理的な凌辱によって完全に汚され、快楽という泥沼へと沈んでいったのである。

 

ラブホテルの一室。時間がどれだけ過ぎたのかも判別できない。窓の外から聞こえるのは深夜タクシーのエンジン音と、どこかのカラオケ店からの煩い歌声のみだった。

室内の安っぽいピンクの照明は長時間点けっぱなしで目に痛いほど。けれどもベッドの上に横たわる神裂火織にとって、そんな外界の情報はもはや重要ではなかった。

 

「……んっ……ぁ……」

 

掠れた喘ぎ声。白い肌には幾つもの赤い痕と乾いた体液の痕跡。何度目かわからない絶頂の余韻が身体の芯に残り、思考は霞がかかったように曖昧だった。

 

「おい、まだ元気そうだな」「もう一回くらい行けるんじゃないか?」

 

ベッドの周りには3人の男たち。全員がスーツを脱ぎ捨て、下着一枚もしくは完全に全裸で彼女を取り囲んでいた。全員が脂ぎった顔をしており、手にはスマートフォンを持っている。カメラのレンズが何度も神裂の裸体を捉え、シャッター音と動画の録画開始音が小さく響いた。

 

「や……め……て…………」

 

抵抗の言葉はもはやか弱い嗚咽にしかならない。身体は疲弊しており抵抗する体力など残っていない。けれども心の中には依然として一点の灯火があった。「上条当麻」という少年を守る為に戦った誇り。それを思うたび、快楽と屈辱に満ちた地獄の中でも僅かに自我を取り戻すことができた。

 

――上条当麻……貴方はきっと生き延びてくれる……

 

だがその思いこそが皮肉なことに彼女を更なる苦痛へ陥れた。「お前の為に戦ってくれた奴はどこへ行ったんだぁ~?」と円光雄の声が幻聴のように脳内で響いたからだ。

 

「さぁ続きを始めようぜ」と一人目が覆い被さってくる中、他の2人も手際よく携帯電話で動画撮影体制に入った。

 

パンッ! パンッ!

 

乾いた肌同士のぶつかり合う音と共に上下運動が始まり再び喘ぎ声を漏らすこととなる。

 

「はあっ♡ あああ〜〜〜!!♡♡」

 

意識せずとも甘い声が出てしまう。

 

「ああ゛あ゛あ゛!!♡♡ イグぅぅぅっ!!」

 

ビュルルッ!

 

膣内射精されながら神裂火織は盛大なアクメを迎えた。

 

深夜の鉄橋。冷たい風が上条当麻の頬を刺していた。

 

街の喧騒は遠く、下を流れる川の音だけが低く響いている。濁った水面は街明かりを反射し、底なしの闇へと誘うように揺らめいていた。

 

上条は柵に手をかけた。錆びた鉄の冷たさが掌に伝わる。

脳裏をよぎるのは、圧倒的な力の前に為す術もなかった無力感。哀れな吹寄、人形のように犯されるインデックス、美琴の悲鳴。神裂の慟哭。黒子の憎悪に満ちた眼差し。

 

「俺が……俺が弱いせいで……」

 

自分の存在そのものが間違っているのではないか。誰かに関われば関わるほど、不幸をばら撒く疫病神。幻想殺しは異能を消せても、人の悪意も、自分自身の弱さも消せはしない。

 

「もう……疲れたんだ」

 

唇から漏れた言葉は、風に浚われて消えた。

これ以上誰かを傷つけるくらいなら、いっそこの世から消えてしまった方がいい。そんな自暴自棄な結論が、疲弊しきった心を支配していた。

 

上条は柵を乗り越えた。足元には何もない。ただ黒く濁った川の流れがあるだけだ。

彼は目を閉じ、身体の力を抜いた。

重力に従い、身体が落ちていく感覚。風が耳元で鳴いた。

 

ドボンッ!

 

冷水が全身を包み込んだ。

息をする間もなく水が気管を逆流し、激しい咳嗽が込み上げる。だが、もがけばもがくほど身体は沈んでいく。

重い。制服が水を吸って鉛のように重い。

ああ、これで終わるんだな。どこか他人事のように思いながら、上条は意識を手放そうとした。暗い水の中で目を閉じる。

 

その時だった。

 

バシャァッ!!

 

水面が激しく弾ける音がした。誰かが飛び込んできたのだ。

黒い影が濁流の中を泳いでくる。迷いのない、一直線な軌跡。

冷たい水の中で、温かい何かに腕を掴まれた。

 

「……っ!」

 

水中で見開いた目に映ったのは、必死な形相の少女だった。

長い黒髪が水に揺らめき、潤んだ瞳が上条を真っ直ぐに見つめている。

天草式十字凄教の巫女、五和だった。

 

五和は上条の身体を力任せに抱きかかえ、水面へと引き上げた。

「ぷはっ……! げほっ……ごほっ……!」

 

冷たい空気が肺を満たす。上条は激しく咳き込みながら、川岸へと引きずり上げられた。

 

「上条さん! 上条さんッ!」

 

五和の切羽詰まった声が耳元で響く。彼女は上条の頬をパチパチと軽く叩き、意識を引き留めようとした。自身もずぶ濡れで、華奢な身体から熱を奪われ小刻みに震えているはずなのに、その手は上条を支えることを決してやめなかった。

 

「なんで……」上条は掠れた声で呟いた。「なんで助けたんだよ……」

 

「当たり前です!」五和は泣きそうな声で叫んだ。「大好きな人が目の前で死のうとしているのに、見捨てられるわけがないでしょう!」

 

「でも俺は……俺なんか生きてても……」

「違います!」

 

五和は上条の言葉を遮るように、その胸ぐらを掴んだ。濡れた制服が肌に張り付き、彼女の細い骨格が露わになる。だがその瞳には、揺るぎない強い光が宿っていた。

 

「あなたは……あなたは上条当麻です! 多くの人を救ってきた、私たちの恩人です! どんなに理不尽な相手だろうと、決して諦めなかったあなたです! なのに……なのにどうして自分自身を諦めるんですか!?」

 

五和の瞳から涙が溢れ出した。川の水ではなく、心からの涙が。

 

「お願いですから……死なないでください……! 私は……私は上条さんに生きていてほしい! あなたが生きていてくれなきゃ、私……!」

 

言葉にならない想いが、夜気に震える声となって溢れる。

その必死な訴えは、上条の凍りついた心に鋭く突き刺さった。

 

自分を責め、死を選ぼうとした自分。それでもなお、こうして必死に自分の命を繋ぎ止めようとしてくれる少女がいる。

五和の温もりが、冷え切った身体にじわりと染み込んでいくようだった。

 

「五和……」

 

上条は震える手を伸ばし、彼女の頬に触れた。冷たい水に濡れているはずなのに、そこには確かな命の熱があった。

 

「……悪い。俺は……最低だな」

 

上条は自嘲気味に笑った。自分の弱さを曝け出し、他人に助けを求めることしかできない。それでも、五和の涙を見ていたら、消えようとしていた「生きたい」という本能的な願いが微かに息を吹き返した気がした。

 

「生きよう……」

 

上条はふらつく足で立ち上がろうとした。五和はすぐに彼の身体を支えた。二人の体温が重なり合い、冷たい夜風の中で小さな灯りのように温もりを分かち合う。

 

「はい……上条さん」

五和は泣き笑いのような表情で頷き、上条と共に闇の中へと歩き出した。

川の流れは相変わらず冷たく暗い。だが、二人の手は固く握り合われており、決して離れることはなかった。

 

リバーサイドのホテルは、川面を反射する街明かりと同じくらい寂寥感を纏っていた。古びたビジネスホテルのような外観だが、今の上条と五和にとっては十分すぎる避難所だった。

 

 フロントを済ませ、鍵を開けた部屋は簡素なツインルーム。窓の外には濁流が今も冷たい音を立てていたが、部屋の中はストーブの効いた暖かな空気に満ちていた。

 

 「まずは温まらないと……風邪を引いてしまいます」

 

 五和は上条をベッドの端に座らせると、自身もずぶ濡れの制服を脱ぎ始めた。躊躇いはなかった。巫女としての清廉さよりも、一人の女性として彼を守りたいという本能が勝っていたのだ。水を吸って重くなったスカートが床に落ち、続いてブラウスのボタンが外されていく。下着姿になった五和の肌もまた、寒さで鳥肌が立っていたが、その瞳だけは熱を孕んでいた。

 

 上条は力なく俯いたまま、その様子を見ていた。自己嫌悪の泥沼から引き上げられはしたものの、心にはまだ重い鉛が残っている。自分のような男のために、彼女が身体を晒している。その事実が、また新たな罪悪感を刺激した。

 

 「五和……俺は……」

 

 「シッ……何も言わないでください」

 

 五和は上条の唇に人差し指を当てた。そして、彼の濡れた制服に手をかけた。ジャージの上着、シャツ。冷え切った布地が肌から剥がれるたび、上条の身体が小さく震える。

 

 やがて二人は下着だけの姿で向かい合った。

 ベッドのスプリングが軋む音すら嫌に大きく響く静寂の中、五和がそっと上条に抱きついた。

 

 「温かい……」

 

 五和の囁きとともに、肌と肌が触れ合う。冷え切っていたはずの身体が、触れ合った部分からじわりと熱を取り戻していくようだった。彼女の華奢でありながらも柔らかな感触が、上条の硬直した身体を包み込む。

 

 「上条さん……貴方は何も悪くないんです。誰かを守ろうとしたその想いは、決して間違ってなんかない」

 

 五和は上条の胸板に頬を寄せ、心臓の鼓動を聞くように目を細めた。そして、その唇を上条の鎖骨へと這わせた。

 

 「んっ……」

 

 上条の喉から小さな声が漏れた。五和の唇が温かい。そして、そこに込められた深い愛情が、言葉以上に上条の心を解きほぐしていく。

 

 五和の手が上条の背中を撫で上げ、首筋を伝い、最後にはその頬を包み込んだ。そして、彼女は自分から唇を重ねた。

 

 それは深く、優しい口づけだった。

 舌先が触れ合い、互いの唾液が混じり合う。飢えるような激しさはなく、ただ互いを確かめ合うような、慈しむような口づけ。

 

 「五和……」

 

 「私を……見てください。上条さんだけを見てください」

 

 五和は上条の手を取り、自身の胸へと導いた。

ブラジャーの上からでも分かる、小振りだが形の良い膨らみ。上条の手が触れた瞬間、五和の身体がビクリと跳ねたが、彼女は逃げなかった。むしろ、その手をさらに強く押し付けた。

 

 「触って……ください。私を感じてください」

 

 上条の手が震えながらも動き出す。ブラウスのホックを外すと、白く柔らかな双丘が露わになった。その頂にある淡い桜色の突起は、すでに硬く尖っていた。

 

 「……綺麗だ」

 

 上条は本心からそう呟いた。絶望に塗り潰されていた視界に、五和という清らかな存在が染み込んでくる。

 

 五和は微笑むと、上条の下半身に手を伸ばした。トランクスの上からでも分かる彼の変化に、彼女は嬉しそうに目を細めた。

 

 「……元気ですね」

 

 からかうような口調とは裏腹に、五和の頬も赤く染まっていた。彼女は震える指でトランクスを下ろし、彼自身をそっと握りしめた。

 

 「くっ……」

 

 「大丈夫です……私が……私が受け止めますから」

 

 五和は上条を押し倒すようにベッドに横たえた。そして、彼女は跨るようにしてその身体の上に乗った。潤んだ瞳で見つめ合い、五和はゆっくりと腰を沈めていく。

 

 秘所はすでに愛液で濡れていた。彼女自身の想いが溢れ出していたのだ。

 上条自身が秘口に触れ、徐々に身体の中へと迎え入れていく。

 

 「んぅっ……はぁっ……」

 

 五和の口から甘い吐息が漏れる。

 初めての経験。身体が裂けるような痛みと、心が満たされていく感覚。彼女は必死に痛みを堪え、上条を最奥まで飲み込んだ。

 

 「五和……五和……」

 

 上条は彼女の名前を呼び続けた。彼女の中の熱さと狭さに包まれ、絶望と無力感で冷え切っていた心臓が、再び激しく鼓動を打ち始めるのを感じた。

 

 「動きますね……?」

 

 五和は上条の胸に手をつき、ゆっくりと腰を揺らし始めた。

 上下するたびに彼女の黒髪が揺れ、汗ばんだ肌が灯りに照らされて艶めかしく輝く。

 

 「あっ……上条さん……上条さんが……私の中に……」

 

 五和は恍惚とした表情で喘いだ。愛する人と一つになれているという事実が、彼女を最高の幸福へと導いていた。

 

 「五和……五和……」

 

 上条は震える手で五和の腰を掴んだ。かつてないほどの温もりと安心感。これまで彼が味わってきた暴力や憎悪とは正反対の、純粋な愛情による結合。

 

 突き上げる動きには激しさはなく、ただ互いの熱を分かち合うようなゆったりとしたリズムだった。それが逆に、上条の心に染み入るように広がっていく。

 

 「あぁっ……いい……温かいよ……」

 

 上条の目から涙が溢れ出した。

 悲しみの涙ではない。長く続いた痛みと寒さが溶かされ、温かいものに置き換えられていく感覚に耐えきれずに溢れる涙だった。

 

 「泣かないで……上条さん……私がいますから」

 

 五和は上条の涙を唇で拭い取った。そして、さらに深く抱きしめられるように身を寄せ、耳元で甘く囁いた。

 

 「私が……貴方の全てを受け止めますから……」

 

 その言葉が決定打となった。

 上条当麻という少年は、ただの快楽以上の何かに身を委ねた。

自分の弱さも、醜さも、すべて包み込んでくれる柔らかな闇へと。

 

 「五和……っ! 五和ぁッ!」

 

 上条は五和の背中を強く抱きしめ返した。爪が食い込むほど強く。

 そして、彼は彼女の中へと深く深く沈んでいった。

 

 「んっ! あぁっ! 上条さん……!」

 

 二人の声が重なり合う。

 激しい摩擦音と湿った水音が部屋に響くが、それは淫靡というよりは神聖な儀式のようにすら思えた。互いの魂を慰め合い、癒やし合うための交わり。

 

 五和は夢中で腰を振り続けた。上条にもっと自分を感じてほしい。もっと彼を温めてあげたい。その一心で。

 

 「イッてください……私の中に……全部……!」

 

 「あぁっ……! くぅっ……!」

 

 上条の身体が大きく反り返り、五和の最奥へと熱を放った。

 同時に五和も背筋を駆け上がる絶頂に達し、甘い悲鳴を上げながら彼を受け止めた。

 

 ビクビクと脈打つ感覚。互いの鼓動が一つになる感覚。

 二人はそのまま抱き合い、激しい呼吸を繰り返した。

 

 やがて、静寂が戻ってきた。

 上条は五和の細い身体を抱きしめたまま、シーツに沈んでいた。彼女の髪から漂うシャンプーの香りと汗の匂いが、鼻腔をくすぐる。

 

 「……ありがとう」

 

 上条は掠れた声で言った。

 五和は彼の胸に顔を埋めたまま、嬉しそうに微笑んだ。

 

 「いいんです……私も……幸せですから」

 

 彼女の手が上条の手を探り当て、指を絡め合った。

 窓の外ではまだ川が流れていたが、部屋の中にはもう寒さも絶望もなかった。ただ、互いの体温だけが確かな現実としてそこにあった。

 

 上条当麻は目を閉じた。

 心地よい疲労感と満ち足りた感覚の中で、彼は久しぶりに安らかな眠りにつくことができた。五和という優しい光に抱かれて。

 

 夜が明けた。

カーテンの隙間から差し込む朝日が、昨夜の出来事を夢ではなかったと教えてくれた。

上条当麻はゆっくりと瞼を持ち上げる。枕元には五和の寝顔があった。規則正しい寝息を立てながら、静かに目を閉じている。

その無垢な表情を見ているだけで胸の奥が熱くなり、昨晩感じた安堵と幸福感が蘇ってきた。

 

しかし、その一方で現実の厳しさも同時に意識に浮かび上がる。

円光雄の能力が彼女の心を蝕むような存在であることを考えると、単純な幸福に浸ることは許されないのだ。この束の間の安寧がいつ破られるのかわからない恐怖は常にあった。特に昨日の出来事を経てからは尚更だ。

 

それでも──

 

上条はそっと手を伸ばし、五和の頬に触れた。柔らかな温もりが指先を通して伝わり、自然と安堵の息が漏れる。

「君がそばにいてくれて良かった」

その呟きに呼応するように五和の睫毛が震え、ゆっくりと瞼を開いた。翡翠色の瞳がしばらく焦点を探すように揺らいだが、やがて上条と視線が合った

 

「おはようございます、上条さん」

 

掠れた声で紡がれた言葉は、朝の光そのもののように暖かかった。五和の翡翠色の瞳には涙の膜が張っていたが、そこにあるのは悲しみではなく、深い愛情と安堵だった。

 

上条は彼女の頬に触れた指をそのままに、静かに首を振った。

 

「……俺は、逃げてたんだな」

 

「え?」

 

「誰かを守れない無力さから、みんなを不幸にするっていう呪いから。川に飛び込むことで、全部リセットできると思ってた。それはただの逃げだった」

 

上条はシーツを握りしめた。昨夜の五和の温もりが、冷え切っていた心臓を確実に蘇らせていた。彼女が命がけで自分を引き留めてくれたように、自分もまた立ち向かわなければならない相手がいる。

 

「円光雄……あいつを、止めなきゃいけない」

 

その名前を口にした瞬間、五和の肩がビクリと震えた。神裂火織の無残な姿が脳裏をよぎったのだろう。しかし、彼女はすぐに表情を引き締め、力強く頷いた。

 

「はい。私も……私も上条さんと共に戦いたいのです!」

 

五和は上条の手を両手で包み込んだ。その華奢な手からは、巫女としての覚悟とは違う、一人の女性としての強い意志が伝わってきた。

 

「もう二度と、あなたを独りにはさせません。私の命も、体も、魂も全部使って、あなたの隣に立ちます!」

 

「五和……」

 

「お願いです、連れて行ってください!」

 

上条は彼女の瞳を見つめ返した。そこには迷いはなかった。彼女の覚悟を汚すようなことはしたくない。それに、独りではまたあの絶望に飲み込まれてしまうかもしれない。今の上条には、この温かい手を握りしめてくれる存在が必要だった。

 

「……分かった。でも、死ぬなよ。絶対に生きて帰るぞ」

 

「はい!」

 

二人は固く握手を交わした。それは、命を懸けた契約だった。

 

昼下がりの立川駅前。人通りは多いが、どこか張り詰めた空気が漂っていた。

繁華街の中央にある広場。そこは異様な光景に染め抜かれていた。

 

円光雄は特設ステージでも設置したかのように悠然と佇んでいた。その足元には、全裸のまま意識を失った神裂火織が転がされている。さらに周囲には、彼に魅入られたかのように恍惚の表情を浮かべる男女や、恐怖に顔を歪ませながらも逃げ出せない人々がいた。

 

「さぁて、次はどいつを遊んでやるかねぇ」

 

「おい、円光雄!!」

 

怒号が響いた。

群衆をかき分け、一人の少年が進み出る。ボロボロの制服を纏い、全身に傷を負いながらも、その背筋は伸びていた。上条当麻。

その後ろには、巫女服に袖を通した五和が杖のようにフリウリ=セデスを持って付き従っていた。

 

「おやおや? 昨晩川に飛び込んだはずの疫病神さんが、何しに出てきたんだ?」

 

円が鼻で笑う。その視線は上条の後ろにいる五和に向けられた。

 

「ほう……次の獲物は巫女ちゃんかよ。昨日の女よりいい穴してそうだな」

 

「てめぇ……! 神裂さんをよくも……!」上条が怒りに声を震わせる。

 

「ああ、あの女か? いい鳴き声だったぜ。一般ピーポーのチンポでイキ狂うとか、魔術師様も大したことねぇな」

 

円は神裂の身体を軽く蹴り飛ばした。「んっ……」と微かな呻きが漏れる。

 

「やめろぉぉぉッ!!」

 

上条が地を蹴った。右拳を振り上げ、円に向かって突進する。

 

「遅えよ!」

 

円が指を弾く。

ヒュンッ! 空間を切断する不可視の刃が上条の目の前に現れた。

 

「させませんッ!」

 

五和が前に出た。彼女の手にあるフリウリ=セデスが白銀の光を放ち、空中に複雑な十字模様を描く。

 

『天草式十字凄教・術式展開!』

 

五和の術式が空間の歪みと干渉し合い、不可視の刃を霧散させた。空気が震え、火花のような魔術的光芒が散る。

 

「なっ……!? 魔術で俺の切断を防いだだと!?」円の目が驚愕に見開かれた。

 

「今です、上条さん!」

 

「おおぉぉぉッ!」

 

五和が道を切り開いた瞬間、上条がその背中を蹴って跳んだ。

円は慌てて影縛い(シャドウ・バインド)を発動しようとするが、

 

「読んでるぞ!」

 

上条は自分の影ごと円へと肉薄した。過去の戦いで何度もその技を見ている。影を利用するタイプの術への対処法は、身体で覚えていた。

 

「チッ! 近距離なら……!」

 

円は空間切断の範囲を狭め、至近距離での斬撃を放つ。避ける暇はない。

 

ドガッ!!

 

鈍い音が響いた。

だが、血を流したのは上条ではなかった。

円光雄の腹部に、上条の右拳がめり込んでいたのだ。

 

「なぜ……なぜ斬れねぇ……!?」円が苦悶の表情を浮かべる。

 

「てめぇのその理不尽な力はよぉ……他人の不幸や絶望を糧にしてるからこそ、人の想いの前じゃ脆いんだよ!!」

 

上条の右拳『幻想殺し(イマジンブレイカー)』は、異能のみならず、その異能に込められた悪意すらも打ち消した。円の空間切断は、「相手を切り刻む」という残酷なイメージによって固定されていたが、上条の「守り抜く」という強烈な意志がそれをねじ伏せたのだ。

 

「ガハッ……!」

 

円が吹き飛ぶ。アスファルトを削りながら後退する円に対し、上条は畳み掛ける。

 

「五和ッ!」

 

「はい! 『光焔陣(こうえんじん)』!!」

 

五和が地面に十字架を描きながら詠唱すると、円の足元から爆発的な炎が噴き上がった。天草式の術式による束縛と攻撃の同時展開。

 

「ぐあぁぁぁっ! 何だこの火力!? ただの巫女じゃねぇのか!?」

 

「彼女はただの巫女じゃねぇ! 俺の命を救ってくれた……俺の誇り高き戦友だ!!」

 

上条は炎の中を突き進んだ。五和が制御する炎は上条を避けて通り、円だけを焼き尽くす。

 

「上条当麻ぁぁぁッ! 俺のシナリオを……俺のチートを否定する気かぁぁぁ!!」

 

円が絶叫し、全身から黒い霧のような空間断層を放出した。もはや狙いなどない、ただ周囲の空間ごと消し去る無差別攻撃。

 

「終わりだ! 死ねぇぇぇッ!!」

 

黒い波動が広場を飲み込もうとしたその時。

 

上条当麻は叫んだ。

「否定してやるよぉぉぉッ!! お前のシナリオも! お前の絶対的な力も! そんなモンで決めつけられた世界なんて認めるかぁぁぁッ!!」

 

右腕を限界まで振りかぶり、迫り来る空間の崩壊そのものに向かって拳を突き出す。

 

ドォォォォォォォォォォンッ!!!!

 

激突した瞬間、世界が裏返るような轟音が轟いた。

上条の右拳から放たれた異能打消しの波動が、円光雄の空間崩壊と真っ向から衝突したのだ。

 

黒い霧が白い光によって侵食され、バチバチと紫電が走る。

力と力の拮抗。しかし、上条の背後には五和がいる。彼女の紡ぐ術式が上条の身体を後押ししていた。

 

「お前には……仲間がいないからだぁぁぁ!!」

 

その一言が決定打となった。

円光雄の力は『絶対孤独』による支配だった。誰も寄せ付けず、見下すことで成り立つ力。

対して上条当麻の力は『繋がり』だ。誰かと手を取り合い、支え合うことで発揮される底力。

 

パキィィィィィンッ!!

 

鏡が割れるような音と共に、円の空間断層が砕け散った。

 

「バカな……俺の……俺のチートが……うわぁぁぁぁぁっ!!」

 

反動を受けた円の身体が空中に弾き飛ばされ、そのまま近くのビルの壁に叩きつけられた。ズズズ……と崩れ落ちる瓦礫の下から、円が血反吐を吐いて横たわる。その目からは光が消え失せていた。立ち上がろうとする気力すら、上条の拳によって打ち砕かれていた。

 

静寂が訪れた。

空間断層が消え去り、拘束から解放された人々がへたり込む中、上条当麻は荒い息を吐きながら立ち尽くしていた。

 

「上条さん……!」

 

五和が駆け寄ってきた。その顔には涙と笑顔が同居していた。

彼女は迷うことなく上条に飛びつき、その身体を強く抱きしめた。

 

「勝ちました……私たち、勝ったんですよね……!?」

 

「ああ……勝ったよ。五和のおかげだ」

 

上条もまた彼女の背中に腕を回した。泥と汗にまみれた身体だったが、二人の温もりだけが鮮明に感じられた。

 

そして上条は足元に倒れている神裂火織に視線を落とした。

彼女はまだ意識がない。心身ともに深い傷を負っているだろう。だが、もうこれ以上彼女を傷つけるものはいない。

 

「すぐに手当てしよう。今度こそ……俺が守る」

 

上条は固く誓った。

自分は疫病神なんかじゃない。誰かを不幸にするからこそ、その不幸を殴り飛ばすためにここにいるのだと。

 

円光雄という理不尽な絶望は打ち砕かれた。

東京の空に、久しぶりに澄んだ風が吹き抜けていった。

 

虚空より五和と手を取り合う上条当麻を見つめる影があった。

「さすが俺の推し!五和ちゃん、いい笑顔だ❤️幸せになれよ」円光雄は闇に消えていった

 

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