※この作品はR-18です。

アニメ世界移行能力をもった俺がアニメヒロインを犯りまくる。※リクエストも可   作:みなぽん

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ジブリ名作 耳をすませば 月島雫 NTR 少女の夢が花開くとき 

夕暮れの地球屋には、乾いた木の香りと、古い時計の静かな鼓動が満ちていた。

 

窓から差し込む西日が、硝子ケースの中のバロンを黄金色に染めている。

 

月島雫は、膝の上の原稿用紙を見下ろしたまま、小さくため息をついた。

 

「……うーん」

 

「言葉を飾りすぎているね」

 

柔らかな声が返ってくる。

 

カウンターの向こうで紅茶を淹れていた西司朗は、いつもの穏やかな微笑みを浮かべていた。

 

「本当に悲しい場面は、案外、静かなものなんだ。説明を重ねるより、一つの仕草を書いたほうが胸に残ることもある」

 

「仕草……」

 

「例えば、泣いている、と書く代わりに、“冷めたお茶に口をつけた”と書くとかね」

 

雫は感心したように目を丸くした。

 

聖司がイタリアへ戻ってから、こうして地球屋で西老人に小説を見てもらう時間が、彼女の日課になっていた。

 

受験勉強もある。

けれど雫は、物語を書くことをやめたくなかった。

 

西老人はそんな彼女を、急かすでもなく、否定するでもなく、ただ静かに導いてくれる。

 

――はずだった。

 

「君はね、雫ちゃん」

 

不意に、西老人がそう呼んだ。

 

雫は顔を上げる。

 

今まで、西老人は彼女を「雫さん」と呼んでいた。

 

ほんの些細な違和感。

 

けれど、その小さな棘が胸に引っかかった。

 

「え?」

 

「君には才能がある。普通の作家では届かない場所へ行ける」

 

西老人は微笑む。

 

だが、その笑みが妙に“整いすぎて”見えた。

 

まるで誰かが、西司朗という人物を真似して作った仮面のように。

 

「そんな、大げさですよ」

 

「大げさじゃない」

 

即答だった。

 

あまりにも速い返答。

 

西老人はカップを置く。

 

コトリ、と音が鳴る。

 

――西さん、こんな喋り方だったっけ?

 

彼はもっと、遠回しに話す人だった。

 

優しく、相手が自分で答えに辿り着くのを待つ人だった。

 

なのに今日は違う。

 

言葉が妙に鋭く、真っ直ぐ心の奥へ入り込んでくる。

 

「君は今の自分に満足していない、壁にぶつかっているね。私ならその壁を越えさせてあげることができるよ。」

 

「……」漠然とした不安に彼は見事に形を与えた

 

「自分が成長できずに聖司に置いていかれるのが怖いんだろう?」

 

雫の呼吸が止まった。

 

誰にも言っていない。

 

聖司の夢を応援したい気持ちは本当だ。

 

でも同時に、不安もあった。

 

彼が遠くへ進んでいくたび、自分だけ取り残される気がしていた。

 

それを。

 

どうして。

 

「どうして……そんなこと」

 

西老人は静かに立ち上がった。

 

古い床が軋む。

 

夕陽の影が、長く伸びる。

 

「雫ちゃん、この特別ブレンドのハーブティーを飲みなさい。君に新しい世界が開けるはずだ。」

 

その瞬間だった。声が変わった。

 

いや、“混じった”。

 

西老人の穏やかな声の奥に、別の男の声が重なる。

 

若いような。

老いているような。

奇妙に粘つく声。

 

「才能ある人間を見ると、少しだけ手を貸したくなるんだ」

 

雫の全身が凍りつく。

 

西老人の瞳。

 

その奥に、一瞬だけ見知らぬ光が宿っていた。

 

まるで舞台裏から別人が覗いているような、不気味な目。

 

「これで私、変わることができるんですか?」

 

 

「当然、効果は無類だ!」

 

男は笑った。

 

カップから立ち上る湯気が、鼻腔をくすぐる。

甘い。花のような、それでいてどこか腐熟したような、濃厚な香り。

 

「……いただきます」

 

雫は震える指先でカップを持ち上げた。

西老人が勧めるものを疑うことなど、これまで一度もなかった。

それに、今の自分は逃げ場がなかった。

心の奥底にある不安を言い当てられ、絡め取られたような心地がしていた。

 

熱い液体が唇を濡らし、喉を滑り落ちていく。

最初はただのハーブティーだと思った。

けれど、胃の腑に届いた瞬間、それは突然、熱を持った。

 

「っ……!?」

 

カップが手から滑り落ちる。

床に落ちたそれが、ガシャンと鋭い音を立てて割れた。

紅褐色の液体が、古い木板の上に広がっていく。

 

けれど、雫はそれを見られなかった。

視界が揺れていた。

 

「あ、つ……」

 

体の芯が、焼けるように熱い。

胃の中で火種が爆ぜ、その熱が血管を伝って全身へと駆け巡っていく。

頬が熱い。首筋が熱い。太腿の内側が、じんわりと痺れるように熱くなる。

 

「大丈夫、すぐに慣れるよ」

 

目の前の男――西司朗の皮を被った『円光雄』は、割れたカップを一瞥もせず、穏やかな声で言った。

その声が、今はまるで粘着質な糸のように耳に絡みつく。

 

「な、にを……のませた……んです、か……!」

 

雫は自分の体を抱きしめた。

スカートの布地越しに感じる自分の体温が、異常だった。

脈打つ心臓の音が、耳の中で反響している。

足に力が入らない。膝が崩れ落ちそうになる。

 

「ただの才能の開花剤だよ。……君の中に眠っている可能性を、無理やり引っ張り出すためのね」

 

男はゆっくりとカウンターを出て、雫に近づいてきた。

軋む床の音が、心臓を締め上げる足音のように響く。

 

「ひっ……!」

 

後ずさろうとするが、体が言うことを聞かない。

それどころか、恐怖とは裏腹に、体の奥底から奇妙な痺れが這い上がってくる。

否定したいのに、甘い感覚が背筋を駆け上がる。

 

(ちがう、これは……)

 

「聖司くんに置いていかれるのが怖いんだろう? だから、早く強くならなきゃいけない。……そう願っていたはずだよ」

 

男の言葉が、呪いのように頭の中で反響する。

認めたくない。けれど、否定しきれない。

その揺らぎに漬け込むように、熱がさらに激しくなった。

 

「あぁっ……ぁ……」

 

肌が汗ばみ、ブラウスが肌に張り付く。

息が荒くなる。

ただの熱ではない。もっと本能的な、どうしようもない衝動が体を突き上げる。

 

 

足を擦り合わせたい。誰かに触れてほしい。そんな思考が、泥水のように湧き上がってくる。

 

「ほら、見てごらん。君の体はもう、変わろうとしている」

 

男の影が雫をすっぽりと覆う。

夕陽はもう沈みかけており、店内は薄暗い闇に包まれつつあった。

その闇の中で、男の目だけが妖しく光っていた。

 

「いや……っ、はな、して……!」

 

雫は震える声で訴えるが、その声には力がなかった。

むしろ、甘い響きが混じってしまっていることに、彼女自身が気づいて戦慄した。

 

(わたしは……どうなってしまうの……?)

意識の端で、割れたカップの欠片が夕闇に黒く光っているのが見えた。

けれど、それを拾う手ももうなかった。

抗えない熱の波が、雫の理性を少しずつ、確実に削り取っていく。

 

「いや……っ」

 

拒絶の言葉は、しかし熱に濡れた吐息に変わって漏れた。

 

男の手が雫の頬に添えられる。

節くれだった、けれど温かいはずのその手が、今は火傷しそうなほど熱く感じられた。

 

「可愛いね、雫ちゃん。怯える瞳も、震える唇も、実に美しい」

 

男は陶然と呟き、顔を近づけてくる。

西司朗の穏やかな顔立ちが、歪んだ欲望を孕んだ別人の表情に書き換えられていくのが見えた。

 

「んっ……!」

 

唇が重なった。

最初は触れるだけだったそれが、すぐに深く、貪るようなものへと変わる。

 

男の舌が、雫の唇を割って侵入してくる。

ぬるりとした異物の感触に、雫は背筋を震わせた。

必死に顔を背けようとするが、男の手が後頭部を押さえつけ、逃げ場を奪う。

 

「んぅ……っ、ふ……ぅ…」

 

舌が口腔内を蹂躙する。

歯列をなぞり、舌を絡め取り、強引に吸い上げられる。

酸素が足りない。

頭がぼうっとする。

それなのに、体の芯の熱はさらにはじけ、痺れるような甘い感覚が脊髄を駆け上がってきた。

 

自分のものではないような、甘い声が喉の奥からこぼれ落ちる。

男はそれを聞いて満足げに目を細め、さらに深く口づけた。

 

長い、長い口づけがようやく解かれたとき、雫はぱくりと口を開けて荒い息を吐いていた。

銀色の糸が二人の唇の間に引いては、プツリと切れる。

 

「はぁ……っ、はぁ……ぁ…」

 

涙で滲んだ視界の中で、男が自分の体を見下ろしているのがわかった。

その目は、職人が原石を見つめるような、飢えた獲物を見るような、異様な輝きを放っていた。

 

「ああ……なんて無垢で、なんて未熟な体だろう」

 

男の手が、ブラウスの上から雫の肩を辿る。

細い鎖骨。まだ発育途上の、控えめな膨らみ。

男の指先がそこをなぞるたび、雫の体はビクンと跳ねた。

 

「まだ誰にも触れられていない、純白の肌だ。聖司も、まだこの白さに指一本触れていないんだろう?」

 

「やっ……言わないで……!」

 

聖司の名前を出され、羞恥と罪悪感で顔が沸騰する。

けれどその感情さえも、体を駆け巡る熱に溶かされていく。

 

「いいんだよ、雫ちゃん。まだ蕾のままでいい。その幼さが、可能性が、ひたすらに美しい」

 

男の声は恍惚としていた。

まるで神に祈るような、あるいは冒涜するような響き。

 

カチャ、カチャと小さな音が静寂の中で響く。

男の手がブラウスのボタンを一つ、また一つと外していく。

その動作は、西司朗のものならば丁寧で優しいはずだ。

だが今は、焦燥を孕んだ、剥き出しの欲望の手つきだった。

 

「あ……ぁ…」

 

胸元がはだけ、外界の空気に晒される。

夕闇の冷たい空気が肌を撫でたはずなのに、そこからさらなる熱が噴き出すような感覚に陥った。

 

「見事だ……」

 

男の目が、露わになった肌に釘付けになる。

まだ少女のそれを脱したばかりの、傷一つない白磁のような肌。

ほんのりと桜色に染まったそれは、媚薬の影響で過敏に反応し、微かに震えていた。

 

「これから君は、どうしようもない快楽の中で再構築される。その幼い体は、新しい才能を宿すための器として、より深く、より豊かに作り変えられていくんだよ」

 

西老人の手が背中に回り、スカートのファスナーを下ろす。

ジッという微かな金属音が、雫の最後の理性を引き裂く音のように響いた。

 

布地が足首へと滑り落ちる。

残されたのは、一枚の下着だけ。

雫は両腕で自分の体を庇おうとしたが、男はそれを許さなかった。

 

「隠さないでおくれ。その美しい体を、私に見せておくれ」

 

手首を掴まれ、軽く頭上へと引き上げられる。

抵抗する力など残っていなかった。

ただ無防備に、あるがままの姿を晒すしかない。

 

「いや……もう……やめて……」

 

涙声で懇願する雫を見下ろし、男は恍惚とした笑みを深めた。

その瞳は、もう西司朗の優しい色ではなかった。

底なしの欲望を湛えた、円光雄の目だった。

 

「素晴らしい。これこそが神の奇跡だ」

男の手が、露わになった雫の肌の上を這い回る。

太腿の内側へと滑り込む指に、雫は息を呑み、背中をのけぞらせた。

 

 

男の手が、下着の薄い布地の上から、雫の秘所をなぞった。

 

「ひぅっ……!」

 

ビクンと全身が跳ねる。電流が走ったような衝撃。

指先が、割れ目に沿って上下に往復する。

布越しでもわかる。そこが、信じられないほど濡れていることを。

自分の体から滲み出した粘液が、下着をしっとりと濡らしていた。

 

「ほら、こんなにしている。体は正直だね」

男の声が耳元で囁かれる。

その吐息だけで、背筋に甘い痺れが走る。

 

「ちが……っ、これ、は……!」

 

否定しようと唇を動かした瞬間、男の手が下着の脇から滑り込み、直接肌に触れた。

「あぁっ!?」

熱い指が、無防備な花びらに触れる。

誰にも触れられたことのない場所。聖司にすら明け渡していない聖域。

 

指先が濡れた襞を割り開き、一番敏感な突起を探り当てる。

「いやぁっ……そこ、だめぇ……!」

 

クリトリスを摘まれ、軽く捻られた。

目の前が真っ白になる。

腰が浮き、無意識に逃げようと身をよじるが、男のもう片方の手が腰をがっしりとホールドして逃がさない。

 

「まだだよ、雫ちゃん。ここだけじゃない」

 

男の顔が雫の胸元に埋まる。

ブラウスをはだけたまま晒された、未成熟な乳房。

男の舌が、ふっくらとした膨らみを舐め上げた。

 

「んくっ……ぅぅ……!」

 

ざらついた舌の感触。濡れた熾火のような熱さ。

乳首をなぞられ、舌先で転がされる。

最初はただ恥ずかしかっただけの刺激が、回を重ねるごとに鋭い快感へと変わっていく。

 

「あっ、あぁ……っ、んんっ……!」

 

チュッ、チュッと吸い上げられるたび、乳首は赤く充血し、硬く立ち上がっていく。

子宮の奥と乳首が繋がっているような、奇妙な感覚。

胸を弄られるたびに、下腹部がドクンと脈打ち、蜜が溢れるのがわかった。

 

「いや……感じたくない……感じたくないのに……!」

 

雫は必死に唇を噛み締めた。

声を漏らしてはいけない。快楽を受け入れてはいけない。

一度でも声を上げてしまえば、堰は切れてしまう。

自分が「落ちて」しまう。

 

男の指が、濡れそぼった秘口に添えられる。

「入れるよ」

短い宣告。

「いやっ!やめてっ!入らないでっ!」

 

人差し指が、ゆっくりと、しかし確実に沈み込んでいく。

処女の狭い通路。異物が侵入してくる圧迫感。

痛みは……なかった。媚薬のせいだった。体はすでに、男を受け入れる準備を整えてしまっていた。

むしろ、指を締め付け、飲み込もうとするほどに潤んでいた。

 

「あぐっ……ぅぅ……おおきい……!」

 

指が第二関節まで飲み込まれる。

内壁を掻き回される。

「ここかな?」

 

指先が、特定の場所を擦り上げた。

 

「ひぃっ!? あっ、ああっ!」

 

背中が弓なりに反り返る。

見たことのない景色が視界に広がる。

頭の中で花火が弾けたような強烈な快感。

Gスポット。自分ですら知らなかった場所を、男はたやすく見つけ出した。

 

「やだっ、そこっ……だめっ……変になっちゃうっ!」

 

「変になっていいんだよ。君の才能が開花する音だ」

 

男は容赦なく、その場所を指の腹で擦り続ける。

出し入れを繰り返すたびに、水音が部屋に響く。

ジュプッ、ジュプッという卑猥な音が、雫の羞恥心を更に刺激する。

 

「あぁっ、あっ、あっ……! んんぅっ……!」

 

乳首への愛撫と、秘所への指のピストン。

二重の攻めに、雫の理性は限界に近づいていた。

声を殺そうと唇を噛みすぎて、血が滲むほどだった。

 

(聖司くん……聖司くん……!)

 

心の中で恋人の名を呼ぶ。

彼以外の男に触れられている。

彼以外の男に快楽を与えられている。

その事実が、処女を守ろうとする最後の砦だった。

 

けれど、体は裏切る。

男の指が動くたびに、腰が勝手に動き、もっと奥へと求めてしまう。

快感の波が押し寄せるたびに、抗う力が削がれていく。

 

「まだ耐えるのかい? 偉いね。でも、無理はいけないよ」

 

男は指を一本増やした。

二本の指が内壁を押し広げる。

「あぐぅっ……! ひろがるぅっ……!」

 

太くなった指が、更に激しく敏感な場所を責め立てる。

同時に、硬く立ち上がった乳首を歯で軽く噛まれた。

 

「いやあああっ!?」

 

ついに、悲鳴とも嬌声ともつかない声が漏れた。

唇を離してしまった瞬間、もう堰は切れていた。

 

「あっ、あっ、あっ! だめっ、だめぇっ! おかしくなるっ! 頭、おかしくなっちゃうぅっ!」

 

涙がとめどなく溢れる。

快楽の波が、理性を容赦なく叩き壊していく。

足先が痙攣し、爪先が丸まる。

 

「いいよ、雫ちゃん。全部吐き出してしまいなさい」

 

男の指の動きが加速する。

内壁が痙攣し、男の指を締め付ける。

 

「いやっ、いやっ……これ……なんかくるっ……! 怖いっ……!」

 

見知らぬ感覚が下腹からせり上がってくる。

これがイキなのか。

これが、堕ちるということなのか。

 

(だめっ……! いっちゃだめっ……! 聖司くんのごめんなさい……っ!)

 

雫はシーツを握りしめ、最後の力を振り絞って快楽の奔流に抗った。

処女を散らすのは、聖司でなければならない。

この男に快楽を刻み込まれてはいけない。

 

「あぁっ……あぁっ……んんぅぅぅぅっ……!!」

必死に声を殺し、体を硬直させて波に耐える雫。

けれど、その体は限界だった。

ビクンビクンと大きく跳ね

 

「あぁっ……あぁっ……んんぅぅっ……!!」

 

必死に声を殺し、体を硬直させて波に耐える雫。

けれど、その体は限界だった。

ビクンビクンと大きく跳ね、彼女の意思とは無関係に、快楽の奔流が全身を駆け抜けた。

 

「いっ……ああああぁぁっ!!!」

 

目の前で白い光が弾けた。

脳髄が溶かされるような圧倒的な快感。

指先まで痺れさせ、魂ごと引き抜かれそうな絶頂が、雫を残酷に貫いた。

 

「んぅぅぅぅっ……!!」

 

唇をきつく噛み締めたまま、喉の奥からくぐもった悲鳴が漏れる。

背中が限界まで反り返り、引きつるように震えたかと思うと、次の瞬間、ガクンと力が抜けて床に崩れ落ちた。

太腿の間から、透明な液体がとめどなく溢れ出し、古い床板にシミを作っていく。

 

「はぁ……はぁ……ぁ……」

 

意識が白濁する。

世界が回っている。

涙でぐしゃぐしゃになった顔で、雫は虚ろな呼吸を繰り返すことしかできなかった。

聖司を守りたかった最後の砦は、あっけなく崩れ去った。

 

男は、痙攣を続ける雫の秘所からゆっくりと指を引き抜いた。

ヌプッ、と粘つく音が響く。

指には雫の愛液と、ほんの少しの処女の血が混じって絡みついていた。

 

「……いい反応だ」

 

男は恍惚とした表情で、その指に絡みついた蜜を舌で舐め取った。

チュパッ、と卑猥な水音が響く。

 

「んっ……」

 

甘く、そしてどこか鉄錆びたような味が口腔に広がる。

男は目を細め、まるで極上のワインを味わうようにそれを嚥下した。

 

「サナギから蝶になる時が来たんだよ雫ちゃん❤️」

 

その声は、西司朗の穏やかな響きを完全に失い、円光雄という男の歪んだ歓喜のみが滲んでいた。

甘く、ねっとりと絡みつくような囁き。

それは祝福ではなく、魂の殺害宣告のように聞こえた。

 

「え……?」

 

雫は虚ろな目で男を見上げる。

言葉の意味が理解できない。

ただ、自分がもう後戻りできない場所まで堕ちてしまったことだけが、本能的に理解できた。

 

「あぁ……」

 

男は屈み込み、力が入らない雫の体を抱き上げた。

優しく抱き寄せるのではない。

逃がさないとばかりに、力強く抱き潰すように。

細い雫の体は、男の厚い胸板に押し付けられ、形を変えるほど圧迫された。

 

「ひっ……」

 

息が詰まる。

骨が軋むような圧迫感。

けれど同時に、媚薬の影響で熱く火照った肌が触れ合い、背徳的な安心感を覚えてしまう自分がいた。

 

「さあ、新しい世界の門を開けよう」

 

男は雫の耳元でそう囁くと、そのまま彼女を床に押し倒した。

軋む古い木の感触が背中に伝わる。

見上げれば、西司朗の顔をした異形の男が、自分を見下ろしている。

夕闇の中で光るその瞳は、獲物を貪る獣の目だった。

 

男は雫の両足を大きく割り開かせた。

抵抗する力はない。

剥き出しにされた秘裂は、先ほどの絶頂で濡れそぼり、ヒクヒクと無言で男を求めて収縮を繰り返している。

 

「いや……きて……」

 

雫は掠れた声で拒絶したつもりだった。

けれど、その声はあまりにも弱々しく、むしろ誘っているように聞こえた。

 

男はズボンの前を寛げ、猛った楔を露わにした。

処女にはあまりにも凶悪なほど太く、血管が浮き上がった肉塊。

それが、雫の濡れた割れ目に押し当てられる。

 

「っ!?」

 

火傷しそうなほどの熱量。

そして重み。

現実的な恐怖が、快感の霧を一瞬で引き裂いた。

 

「やだっ! 入らないっ! 無理っ!」

 

雫は本能的な恐怖で手足をバタつかせ、男の胸を押し返そうとした。

しかし、それは蟷螂の斧だった。

 

「大丈夫。君の体はもう、私を受け入れるために作り変えられているんだから」

 

男は残酷な宣告とともに、腰を一気に沈めた。

 

ズブッ!!

 

「ぎゃあああああっ!!!」

 

裂けるような痛みが走った。

処女の膜が引き裂かれる感覚。

内臓を強引に押し上げられるような圧迫感。

異物が自分の体の一部としてねじ込まれる、到底受け入れがたい現実。

 

「あぐっ……ぅぅ……おおきい……! ちぎれるっ……! お腹っ……お腹壊れちゃうぅっ!」

 

雫は悲鳴を上げた。

痛みで涙が溢れる。

聖司でもない男に、無理やり貫かれる屈辱と恐怖。

 

しかし、媚薬の効果は残酷だった。

痛みと同時に、内壁が異物を締め付け、さらに深く飲み込もうと蠕動運動を始める。

痛みが快感に変換されていくわけではない。

痛みの上に、どうしようもない快楽が被さり、感覚を狂わせていくのだ。

 

「くっ……なんて狭いんだ……! きつい……締め付けがすごいぞ、雫ちゃん!」

 

男は苦悶に満ちた顔で唸りながら、さらに奥へと楔をねじ込んでいく。

子宮口まで到達した先端が、最奥を小突く。

 

「ひぃっ!? ついたっ……そこ……だめぇっ!」

 

子宮を突かれるたびに、背筋に電流が走る。

痛みなのか快楽なのかわからない感覚に、雫の思考はさらに混濁していく。

 

男は完全に根元まで埋め込むと、しばらくその余韻を味わうように動きを止めた。

そして、抱き潰すように雫の体を強く抱きしめ、耳元で囁いた。

 

「これで君はもう、戻れないね。聖司の純粋な雫ちゃんは死んだんだよ」

 

「っ……!」

 

その言葉が胸に突き刺さる。

聖司。

その名前が、今は残酷なほど遠い場所に感じられた。

 

「さあ、羽化だ。苦しくても、もがいても、羽を抜かなきゃ飛べない」

 

男はそう言うと、激しく腰を振り始めた。

パンッ!パンッ!パンッ!

肉と肉がぶつかる乾いた音が、静かな店内に響き渡る。

 

「あっ!あっ!あぐっ! いやぁっ! 抜いてっ! 抜いてぇっ!」

 

雫は無慈悲なピストンに翻弄される。

突き上げられるたびに体が跳ね、涙と涎で顔を汚す。

痛みはまだ残っている。けれど、媚薬に侵された体は正直だった。

激しく突かれるたびに、快楽の波が押し寄せ、抗う力を削いでいく。

 

「んあっ! あぁっ! そこっ……ぶつかるっ! 子宮っ……ぶつかってるぅっ!」

 

「感じているね? 体が喜んでいるよ。ほら、もっと声を出して!」

 

男は容赦なく最奥を責め立てながら、敏感な乳首を指で捏ね回した。

 

「ひぃあああっ!!」

 

二重の刺激に、雫の理性は完全に焼き切れた。

聖司への想いも、処女の誇りも、全てが快楽の泥沼の中に沈んでいく。

ただただ、与えられる刺激に従い、雌のように喘ぐことしかできなかった。

 

「あぁっ! あっ! あっ! すごいっ! なにかっ……くるっ! またっ……くるぅっ!!」

 

「いいぞ! イキなさい! 私の中で蝶になるんだ!」

 

男の一際強い突き上げとともに、雫は再び白濁した世界へと弾き飛ばされた。

聖司ではない男の腕の中で、声にならない嬌声を上げながら。

 

西司朗の皮を被った円光雄は、意識を失った雫を浴室に運んだ。

服を全て剥ぎ取り、裸のまま椅子に座らせる。

シャワーのノズルを手に取り、ぬるま湯を雫の体にかけ始めた。

 

「汚れを落とさなければね」

 

男は丁寧に、しかし執拗に雫の体を洗った。

指先で背中の曲線をなぞり、太腿の内側を泡立てる。

濡れた白い肌は、蝋燭の灯りを反射して艶めかしく光った。

 

「ん……ぅ…」

 

意識を取り戻し始めた雫が、小さく呻く。

その反応に気づき、男はシャワーを止め、顔を覗き込んだ。

 

「目が覚めたね、雫ちゃん」

 

「……西さん?」

 

雫はぼんやりとした目で、自分を抱きしめる男を見上げた。

自分が何をされたのか、まだ理解が追いついていない。

 

「気持ち良かっただろう?」

男の声が、西の優しい響きに戻る。

慈愛に満ちた笑みを浮かべながらバスタオルで雫の身体を拭いた。

 

浴室から出ると、店内の奥にある古びたダイニングテーブルに、湯気を立てる丼が二つ置かれていた。

甘辛い出汁の香りが鼻腔をくすぐる。

それはあまりにも日常的で、あまりにも穏やかな光景だった。

 

「さあ、お座り。温かいうちに食べないといけないからね」

 

西司朗の皮を被った男は、エプロンをつけたまま、穏やかな笑みを浮かべて椅子を引いた。

その姿は、いつもの地球屋の主人そのものだった。

まるで、さっきまでの地獄のような行為が、雫の見た悪夢ででもあったかのように。

 

雫はバスタオルで体を包まれたまま、ふらふらと椅子に腰を下ろした。

肌に残る水滴が冷たい。

けれど、体の芯にはまだ男の熱が残っているようで、寒気とは違う奇妙な震えが止まらなかった。

 

「月見うどんだよ。卵は新鮮なものを用意したからね」

 

目の前に置かれた丼の中には、白濁したつゆに沈んだうどんと、山盛りのネギ。

そしてその中心に、黄色い黄身がぷっくりと姿を現していた。

琥珀色の水面に浮かぶ月。

美しく、そしてどこか無防備な丸い塊。

 

「……うどん」

 

雫は虚ろな声で呟いた。

胃が空腹を訴えていることに気づく。

恐怖と快楽で酷使された体は、エネルギーを求めていた。

 

「さあ、遠慮しないで」

 

男は自分も向かいの席に座り、手を合わせた。

「いただきます」

 

その声に促されるように、雫は震える手で割り箸を割った。

カチリという小さな音が、静かな部屋に響く。

 

うどんをつゆに潜らせ、持ち上げる。

白い麺が湯気と共に踊る。

それを口に運ぶと、濃いめの出汁がじんわりと広がった。

 

「……あたたかい」

 

温かい液体が食道を滑り落ち、胃の腑に落ちていく。

染み渡るような温かさ。

生き返るような感覚。

けれど同時に、その温かさは、自分の中に注ぎ込まれた男の体液の熱さを思い出させた。

 

「美味しいかい?」

男が優しく問いかける。

西司朗の目は細められ、慈愛に満ちた光を宿している。

けれど雫は知ってしまった。その瞳の奥に、別の欲望が棲み着いていることを。

 

「……はい」

 

雫は小さく頷いた。

否定する気力もなかったし、味覚は正直に反応していた。

美味しい。

こんな状況だというのに、このうどんは確かに美味しかった。

 

「セックスの後はしっかり栄養を取らないと」

 

男はそう言うと、自分の丼の黄身を箸で突き刺した。

プルンと震える黄色い球体が弾け、中から濃厚な液体がとろりと流れ出す。

白いつゆの中に黄色が滲んでいく様子は、まるで――

 

雫は目を逸らした。

自分の処女が散らされた時の光景と重なって見えたからだ。

白濁した液の中に広がる赤。

今は黄身がそれに代わっているだけだ。

 

「黄身は潰して食べたほうが美味しいよ」

 

男は潰した黄身を絡ませた麺を、おいしそうに啜り込んだ。

ズズッという音が響く。

その音さえも、何か卑猥な響きを持って聞こえてくるのは、雫の感性が歪んでしまったせいか。

 

「……」

 

雫は自分の丼の黄身を見つめた。

手付かずのまま、波打つ水面に浮かんでいる。

これを壊さなければならない。

自分の手で。

 

(聖司くん……)

 

心の中で恋人の名を呼ぶ。

彼と食べるはずだった食事。

彼と過ごすはずだった時間。

全てが壊された。

 

けれど、今ここで食べなければならない。

この男と共に。

そうしなければ、またあの恐ろしい快楽の牢獄に連れ戻される気がした。

 

雫は箸を伸ばし、黄身の端を突いた。

 

プチッ。

 

小さな抵抗感の後、黄身が割れた。

濃厚な液体が溢れ出し、白いつゆと混ざり合っていく。

渦を巻きながら広がる黄色。

それはまるで、自分の純潔が白濁に染まっていく様そのものだった。

 

「いい子だ」

 

男が満足そうに呟く。

 

雫は黄身の溶けたつゆをすくい、口に含んだ。

濃厚な味が舌にまとわりつく。

それは甘く、そして背徳的だった。

 

(わたしは……食べている)

(この人の作ったものを、この人と一緒に)

 

その事実が、胃の中の温かさと共に重くのしかかる。

食事を共にするという行為が、これほどまでに残酷な服従の儀式になるとは思ってもみなかった。

 

「お代わりもあるからね。遠慮しないで」

 

男は丼を置き、頬杖をついて雫を見つめていた。

その目は、愛犬に餌を与える飼い主のように、優しく、そして絶対的な支配者としての色を帯びていた。

 

雫は機械的に箸を動かし続けた。

味わうことなく、ただ胃袋を満たすために。

温かいうどんが喉を通るたび、自分がこの男のものになっていくような錯覚に陥る。

 

割れた卵のように、もう二度と元の形には戻れないのだと理解しながら。

 

エピローグ

 

季節は巡り、地球屋の窓枠を縁取る木々はすっかり葉を落としていた。

 冬の冷たい空気が街を包むこの時期、月島雫の日常はあの日から決定的に変質していた。

 

 放課後の図書館で本を開く時間も、自室で原稿用紙に向かう時間も、彼女の思考の端々には常に「あの熱」がこびりついていた。西司朗の皮を被った円光雄に注ぎ込まれた媚薬の熱は、いつしか彼女の体内で居座り、彼女自身の意思とは無関係に疼き始めるようになっていたのだ。

 

 最初は恐怖だった。

 けれど、二度、三度と体を重ねるうちに、その恐怖は甘い毒のように彼女の精神を蝕んでいった。

 「才能の開花」という甘言は、背徳的な行為を正当化するための免罪符となった。

 聖司に置いていかれる不安。その不安を埋めるために、彼女は西老人に縋った。小説の腕を上げるためだと自分に言い聞かせながら、その実、彼女が求めていたのは老人の与えるどうしようもない快楽の方だった。

 

 雫はもう、小説を持って地球屋を訪れることはなかった。

 代わりに、誰もいない店内の奥へと足早に向かい、カウンターの向こうで待つ男の胸に自ら飛び込むようになったのだ。

 

 「今日も来たね、雫ちゃん」

 男はいつもの穏やかな笑みを浮かべて彼女を迎える。けれど、その目は決して笑っていなかった。獲物が罠にかかったことを確認する捕食者の目だった。

 

 「西さん……ぁっ……」

 

 制服のブレザーを脱ぎ捨てるより早く、男の手が雫の体を抱き寄せる。

 唇が重なり、舌が絡み合う。西司朗のものとは思えないほど強引で粘着質な口づけに、雫は膝を崩し、身を委ねた。

 ブレザーが床に落ちる。

 スカートのファスナーが下ろされる。

 下着の上から秘所をまさぐられ、すでに濡れそぼっていることに羞恥しながらも、体は歓喜して震えた。

 

 「もうこんなにしている。聖司くんに会いたくて仕方がないんだね」

 「ちが……っ、そんなこと……ぁんっ!」

 

 否定する言葉は、甘い喘ぎに飲み込まれる。

 男の手が直接肌に触れ、敏感な突起を弄るたび、雫の理性は霧散していく。

 聖司への想いは罪悪感となって胸を締め付けるはずだった。

 なのに、その罪悪感さえも今の雫には強力な媚薬となって作用していた。

 

 「聖司くんじゃ満たされないんだろう? 君の体が求めているのは、私なんだよ」

 「いやぁ……っ、そんなこと言わないで……!」

 

 拒絶の言葉とは裏腹に、雫の腰は男の指に合わせて淫らに動いていた。

 

 クリスマスも間近なある日の夕暮れ時。

 空からは冷たい雪が舞い始めていた。

 イタリアから一時帰国した天沢聖司は、懐かしい町並みを歩いていた。

 一番に会いたい人の顔が浮かぶ。

 月島雫。

 彼女がどんな顔で自分を迎えてくれるのか想像するだけで、長旅の疲れも吹き飛ぶようだった。

 

 彼女はきっと、いつものように地球屋にいるはずだ。

 聖司は足早に路地を曲がり、古びたアンティークショップの扉の前に立った。

 店は閉まっているようだったが、鍵はかかっていなかった。

 静かに扉を開き、中へと足を踏み入れる。

 

 「おじさん、雫! ただいま」

 

 声をかけようとして、聖司は口を噤んだ。

 店内は薄暗く、静まり返っていた。

 だが、奥の居住スペースの方から微かな音が聞こえた気がした。

 物音。そして、くぐもった声。

 

 (雫……?)

 

 聖司は嫌な予感を振り払うように、音を立てないように奥へと進んだ。

 古い床板が軋まないよう、慎重に足を運ぶ。

 カウンターの横を過ぎ、奥の部屋への扉がわずかに開いているのが見えた。

 その隙間から、暖色のランプの光が漏れ出していた。

 

 聖司は息を止め、その隙間から中を覗き見た。

 

 次の瞬間、彼の心臓が止まるかと思った。

 

 部屋の中央にある古びたソファ。

 そこで繰り広げられている光景は、聖司の理解を絶するものだった。

 

 服を脱ぎ捨てられ、一糸まとわぬ姿になった雫が、同じく裸の西老人の上に跨っていた。

 白磁のような滑らかな肌は汗で艶めき、栗色の髪が乱れて肩に掛かっている。

 彼女の太腿は大きく開かれ、その間に男の腰があった。

 

 「あぁっ……あぁっ……西さん……っ!」

 

 雫だった。

 聖司がよく知る、あの物静かで芯の強かった少女だった。

 けれど、今の彼女は別人のようだった。

 

 目は潤み、虜のようにとろけている。

 口元からは聖司が一度も聞いたことのない甘い嬌声が漏れ続けていた。

 そして何よりショックだったのは、彼女が自ら腰を振っていることだった。

 

 「んっ……んくっ……すごい……奥まで……当たってるぅっ……!」

 

 雫は浅ましく腰をくねらせ、自分から男の楔を深く飲み込もうと沈み込んでいく。

 上下する白い臀部。

 パンッ、パンッという肉と肉がぶつかる卑猥な音が、静かな室内に響き渡る。

 それはあまりにも生々しく、そして残酷なほどに淫らだった。

 

 「そうだよ、雫ちゃん。もっと欲しいだろう? 私ので君の奥底を満たしてあげる」

 

 西司朗の手が雫の腰を掴み、下から激しく突き上げた。

 

 「ひぃああっ!!」

 

 雫の背中が反り返る。

 揺れる未成熟な乳房を、男の節くれだった手が容赦なく捏ね回す。

 赤く充血した乳首を指先で弾かれるたびに、彼女は悲鳴にも似た甘い声を上げた。

 

 「あっ!あっ!そこっ……だめぇっ!またっ……おかしくなっちゃうぅっ!」

 

 「聖司じゃ届かない場所だろう? 君の才能はここで芽吹くんだよ」

 

 「聖司くん……っ!」

 

 自分の名前が呼ばれたことに聖司はハッとした。

 だが、それは聖司への呼びかけではなかった。

 快楽に溺れながら、別の男に貫かれながら口にする恋人の名前。

 それは裏切りではなく、聖司への言い訳だった。

 

 「聖司くんには悪いけど……っ! わたし……これが必要なのっ……! 才能がっ……開花するためにはっ……!」

 

 雫は涙を流しながら叫んだ。

 罪悪感と快楽が入り混じった表情。

 その顔は苦悶に歪んでいるようでいて、どこか恍惚としていた。

 彼女はこの背徳的な行為の中にしか救いを見出せなくなっていた。

 

 「いい子だ。その言葉が聞きたかったんだよ」

 

 西老人は満足げに笑い、さらに激しく腰を振った。

 パンパンパンと加速するピストン運動。

 雫の嬌声が一段と高くなる。

 

 「あぁっ!あぁっ!いくっ!いくぅっ!! 西さぁんっ!!」

 

 聖司を目の前にして「西さん」と呼ぶ背徳感。

 それが決定打となり、雫は激しく痙攣しながら絶頂に達した。

 白濁した液が交わりの場所から溢れ出し、男の腹を濡らす。

 

 聖司は立ち尽くしていた。

 指先が震えている。

 息ができない。

 目の前で行われている現実を受け入れたくなかった。

 

 信じていた人間に裏切られた痛み。

 尊敬していた西老人への失望。

 そして何より、最愛の少女が別の男に抱かれ、自分には決して見せない顔で快楽に溺れている光景。

 

 彼女の口から語られた「才能」という言葉が、聖司の胸に突き刺さるナイフのように響いた。

 彼女は自分のためではなく、「才能」のために身を売ったのか。

 それともそれは、自らの淫乱さを誤魔化すための方便に過ぎないのか。

 

 答えはわからなかった。

 ただ確かなのは、自分が完全に「お邪魔虫」であるという事実だけだった。

 

 二人はまだ後戻りできない行為に没頭している。

 聖司がそこに立っていることなど誰も気づきはしない。

 彼らにとって世界には互いしか存在していなかった。

 

 「……」

 

 聖司は一歩も動けず、ただその光景を網膜に焼き付けられた。

 雫が絶頂の余韻に浸りながら男に口づけを求める姿。

 それを見て西老人が慈愛と欲望が入り混じった表情で彼女を抱きしめる姿。

 

 それはあまりにも完結した世界で、聖司が入り込む隙間などどこにもなかった。

 

 やがて、限界が来た。

 これ以上見ていたら心が壊れてしまう。

 聖司は音もなく踵を返し、来た道を戻った。

 雪の降る外へと出ると、冷たい空気が肺を刺した。

 けれど、それすらも感じないほどに彼の心は凍てついていた。

 

 振り返ることはできなかった。

 あの浅ましく腰を振る雫の姿が、永遠に脳裏から離れないことを予感しながら、聖司は雪の中へと歩き去った。

 

 店内では、絶頂を迎えたばかりの雫が西老人の腕の中で荒い息をついていた。

 汗ばんだ肌が擦れ合う感触。

 まだ体内に残る男の熱。

 

 「素晴らしいよ、雫ちゃん。君はどんどん美しくなっていく」

 

 西老人は雫の髪を撫でながら囁く。その声には隠しきれない興奮が滲んでいた。

 

 「西さん……わたし……」

 

 雫は虚ろな目で男を見上げた。

 罪悪感はとっくに麻痺していた。

 ただ、体の奥底から湧き上がる充足感だけが残っていた。

 聖司への愛しさと裏切りの痛みはまだ心の隅に残っている。

けれど今はもう、それ以上に西老人との行為によって得られる「才能」という名の快楽の方が重要になりつつあった。

 

「次はどんな小説が書けるかな?」

 

西老人の問いかけに、雫は小さく微笑んだ。

 

「……きっと、今までで一番深いものが書けると思います」

 

その言葉は嘘偽りのないものだった。

彼女の中で新たな欲求が生まれているのを感じていた。

それは背徳的な行為を通してしか得られないインスピレーションだった。

 

「楽しみだね」

 

西老人は満足げに頷き、もう一度雫に口づけをした。

 

静寂の中、二人の吐息だけが響く。

窓の外では雪が降り積もり、何もかもを白く塗り替えていく。

それはまるで彼らの歪んだ関係を覆い隠すかのように。

 

聖司が見た光景は、雫にとってはすでに過去のことだった。

彼女が求めるのは未来であり、それは西老人と共にあるものだった。

 

窓辺に佇む西老人の横顔を見つめながら、雫は小さく囁いた。

 

「聖司くん……ごめんなさい……」

 

謝罪の言葉は、夜の闇に吸い込まれていった。

 

⭐️聖司のその後

 

イタリア・フィレンツェ郊外の小さなアトリエは、もはや工房というより廃墟に近かった。

窓は分厚いカーテンで閉ざされ、昼なお暗い室内にはカビの匂いが立ち込めている。数ヶ月前の聖司の道具は、壁に立てかけられたまま埃を被り、行き場を失ったまま彷徨っていた。

床には幾冊かの「魔女の宅急便」。表紙には大きな矢印と電話番号が印刷されている。パン屋の宣伝チラシだ。

聖司は今日も毛布にくるまり、薄暗い部屋の隅でパンを齧っていた。それは生命維持のための作業でしかなく、味など感じる余裕はなかった。

職人の修行も今の彼にとってはどうでもよかった。

彼の頭の中には常に同じ映像が再生されていた。

薄暗い地球屋の奥で繰り広げられていた痴態。聖司の知らない女が、聖司の知らない男に跨り、浅ましく腰を振っていた。あれは本当に雫だったのか?

何度も何度も消そうとしても脳裏に蘇る。

女は誰だってああやって男に媚びて生きているのではないか――そんな歪んだ妄想が聖司の中で固まりつつあった。

 

コンコン。

 

不意に扉を叩く音がした。無視すればよいはずなのに、なぜか今日は足が動いた。

ゆっくりと立ち上がり、重い足取りで玄関へ向かう。

扉を開けると、そこに立っていたのは小さな魔女だった。

「こんにちは! 魔女の宅急便です!」

黒い猫を連れた少女が明るい声で言った。その屈託のない笑顔に、聖司の記憶の中の雫の笑顔が重なった。次の瞬間、それはすぐにあの日に見た彼女の嬌声と歪んだ顔へと切り替わる。

 

「……パン屋さんか」

絞り出すような低い声。

「はい! 新しいパンをお届けに参りました。えっと……」

キキはちらりと部屋の中を覗き込んだ。その純粋な好奇心に満ちた瞳が、今の聖司には刃物のように痛かった。

「どうぞ」

唐突に聖司はキキの腕を掴んだ。

「えっ?」

驚く少女を力任せに引き込み、後ろ手で扉を閉める。

外の眩しい光が遮断され、アトリエは再び漆黒の闇に沈んだ。

 

「ちょっ……ちょっと! 何をするんですか!」

キキは必死に抵抗したが、十七歳の少年の力に敵うはずもない。床に引き倒され、ホウキはどこかに転がった。

「やめてください! 助け―っ」

叫ぼうとした口を聖司の掌が塞いだ。

「うるさい」

短く吐き捨てる。

「キキ……とか言ったな」

聖司の眼差しは憎悪に燃えていた。まるで目の前の少女が雫本人であるかのように。

「どうせお前も同じなんだろう? 下半身で考えて、男に媚びて生きるのが女の仕事なんだろ? 俺を裏切った雫みたいに……!」

感情の昂ぶりと共に手に力が入る。キキの顔が苦悶に歪む。

「女なんて……みな一緒だ。おまんこなんだ。雫も……お前も……キキ……お前も!」

聖司の手が粗野にキキの衣服に伸びる。ボタンが弾け飛び、布地が裂ける音が響いた。

「やめてっ……お願い……っ!」

裸身を晒され、キキは泣き叫んだ。しかし聖司の耳には届かない。彼の目には目の前の少女が既に人間ではなく、ただの生殖器官を持つ雌にしか見えなかった。

暴力的な愛撫が始まる。

愛撫というより破壊行為と言った方が正しいかもしれない。

キキの柔肌に青痣が浮かび上がり、彼女の声は嗚咽へと変わる。

「俺を見下すな……!」

聖司は叫びながらキキに覆いかぶさった。己の激情を物理的に解消することでしか、この憎しみと虚無を忘れることができないと思っていた。

行為の最中でさえ、彼の脳裏には雫の裏切りのイメージがこびりついていた。彼女が他の男の上で笑っている。聖司が知らなかった彼女の一面が、今の聖司をここまで追い詰めていた。

聖司の肉体が反応し、快感に似た何かが背筋を這い上がる。けれどそこに幸福感などは微塵もない。あるのはただ、破壊と喪失による刹那的な解放感だけだった。

絶頂の瞬間、聖司は無意識に呟いていた。

「雫……お前もこうやって他人のものを咥えこんでたんだろう? ……お前も……キキも……!」

吐精の後、聖司は何一つ満たされていないことに気づいた。虚しさが穴を広げただけだった。

キキはぐったりと横たわっている。身体は小刻みに震え、時折嗚咽が洩れていた。

彼女を見る聖司の目には侮蔑よりも憐憫にも似た何かが浮かんでいた。壊れてしまったのはお互いだったのかもしれない。

「出ていけ」

静かに言い放ち、パンの袋を拾い上げる。

キキはよろよろと起き上がり、無言でアトリエを後にした。外に出た途端、安堵と恐怖が入り混じった大きな涙が頬を伝った。

聖司は再びカーテンの奥へと引っ込み、毛布に包まった。部屋には血と精液の臭いが漂っている。咀嚼するパンはまるで砂を噛んでいるようだった。

外では自由の翼を持ったはずの魔女が泣いている。彼女はこれからも世界の様々な人間たちと出会い、成長していくだろう。しかし聖司だけはこの閉じられた箱庭の中で終わりのない悪夢に囚われ続けていた。

女はみな一緒なのだという歪んだ信念と共に。

 

港の冷たい風が、破れた服の隙間から容赦なく吹き込む。キキは防波堤の隅にうずくまっていた。身体は小刻みに震え、それが寒さのせいなのか恐怖のせいなのか、もう自分でもわからなかった。

 

「ミャオ……」

 

足元でジジが私を見上げている。その瞳には心配そうな光が宿っていたけれど、いつものように軽口を叩くことはなかった。

賢い彼女は、今の私に何を言っても無駄だと悟っているのかもしれない。あるいは、言葉をかけることすら躊躇われるほどに、私が惨めな姿を晒しているからかもしれない。

 

身体のあちこちが痛む。

とくに下半身には、鋭利な刃物で切り裂かれたような鈍い痛みが走り続けている。

あの人は……天沢聖司という男は、キキの身体をただの器として扱った。

彼の中にあったのは欲望なんかじゃなかった。ただ、抑えきれない怒りと絶望が、暴力的な形になって私に向けられただけだった。

 

『どうせ女なんてみんな一緒だ。おまんこなんだ。雫もキキ!お前も!』

 

あの言葉が耳から離れない。

呪いのように繰り返される。

キキはただパンを届けただけだった。明るく挨拶をして、いつものように笑顔を見せただけだった。それなのに。

女はみんな同じ。下半身で考える生き物。

そんなはずはない。私はそんな風に考えたことなんて一度もない。けれど、あの男の目にはそうとしか映らなかったのだ。

彼の中にある傷はあまりにも深くて、些細な善意や明るさなんかで癒せるものじゃなかった。

悔しい。

あんな男に、大切なものを奪われてしまうなんて。

魔女としての誇りも、乙女としての純潔も、全て泥にまみれてしまった。

飛べなくなった箒がそこに転がっている。

かつて空を自由に舞っていた翼も、今はただの重い棒切れに見えた。

「私……これからどうすればいいの?」

誰に問いかけるわけでもなく、キキは呟いた。

空はまだ明るい。海は静かだ。世界は何も変わらずに動いている。

でも。

不意に腹の底から熱いものが込み上げてきた。

悲しみでも悔しさでもない。怒りだった。

「ふふふ、あははは ヒヒヒ」

ゆっくりと立ち上がる。

足が震える。膝が笑う。それでも、キキは前を向いた。

 

あの日から、キキの中で何かが決定的に壊れた。

それは悲しみではなかった。悲しみならば涙と共に流せたかもしれない。

彼女の中に棲み着いたのは、底なしの沼のような暗い情念だった。

夜ごと、あの男の息遣いと熱さが蘇る。

嘔吐感と共に背筋を駆け上がる戦慄。

けれど不思議なことに、それを思い出すたびにキキの内側で何かが熱く脈打ち始めた。

恐怖が憎悪に変わり、憎悪が昏い悦びへと歪んでいく。

 

「ミャオ……」

 

ジジが心配そうに声をかけるが、その黒い瞳には映り込む主人の姿は、もはや以前の無邪気な少女ではなかった。

キキは鏡を見つめていた。

かつて栗色の瞳は太陽のように輝いていた。

今はその光が消え、代わりに蠱惑的な焔が揺らめいている。

唇は赤く熟れ、白い肌には病的なまでの艶があった。

魔女の衣装は彼女の身体に馴染み、その曲線を強調するかのように歪んでいた。

巨大なリボンは蛇のように蠢き、彼女の肢体を装飾していた。

 

「大丈夫よ、ジジ」

 

キキは笑った。

その笑みにはかつての屈託なさはなく、毒を含んだ花のような妖艶さがあった。

空を飛ぶ力だけが魔女の力ではない。

男を惑わし、骨の髄までしゃぶり尽くす。

それこそが、より深淵なる魔女の業であるとキキは悟ったのだ。

 

フィレンツェの街は秋雨に濡れていた。

石畳を叩く雨音が、アトリエの静寂をより一層深めている。

聖司は相変わらず薄暗い部屋で蠢いていた。

目は充血し、髭が無精に伸びている。

目の前には冷え切ったパンの残骸が転がっている。

彼の中では雫への思慕と憎悪が入り混じり、混沌とした欲望となって渦巻いていた。

 

コンコン。

 

ノックの音が響いた。

聖司はゆっくりと顔を上げた。

またあの魔女か?

否、今日は注文していないはずだ。

けれど彼の身体は無意識に反応した。あの日の感触を求めて。

 

「……誰だ」

 

扉を開けると、そこに立っていたのは闇色の魔女だった。

雨に濡れた黒いワンピースが肌に張り付き、発育途中の肢体のラインを露わにしている。

濡れた髪から滴る水滴が白い足を伝い落ちる様は、扇情的ですらあった。

 

「お届け物です」

 

キキは微笑んだ。

その声は甘く湿り気を帯びていた。

聖司はごくりと唾を飲み込んだ。

理性が警鐘を鳴らす前に、欲望が彼を支配した。

 

「入れ」

 

聖司は乱暴にキキの腕を掴み、部屋の中へ引きずり込んだ。

扉が背後で重く閉まる。

闇の中で二人の荒い息遣いだけが響く。

 

「また来たね。欲しかったんだろう?」

 

キキは聖司の耳元で囁いた。

熱い吐息が耳殻を舐めるように過ぎる。

聖司の理性が焼き切れた。

 

「淫乱魔女が……!」

 

彼はキキを床に押し倒した。

今度は抵抗がない。

むしろキキは自ら足を開き、聖司を誘い込んだ。

 

「そう、それでいいの。私を壊して」

 

その言葉は呪いだった。

聖司は獣のようにのしかかり、服を引き裂いた。

白い肌に赤い手形が浮かぶ。

彼は夢中でキキの中に侵入した。

 

「あぁっ!」

 

嬌声が部屋中に響き渡る。

激しい律動。

肉と肉がぶつかる湿った音。

聖司は夢中で腰を振った。

雫への恨み言を吐きながら、目の前の少女を犯し続ける。

 

「雫……雫……! 俺を見ろ……!」

 

「ふふっ……違うわ。私はキキ。あなたを殺す魔女よ」

 

聖司にはその言葉が届かなかった。

快楽の波が彼を押し流していく。

彼は溺れるようにその波に身を委ねた。

 

絶頂が近づく。

身体が震え、筋肉が収縮する。

視界が白く染まるその瞬間――

 

「終わりよ」

 

キキの目が怪しく光った。

彼女の内部が異常なまでに締め付けた。

それは快楽ではない。強大な吸引力だった。

聖司の精だけでなく、彼の生命そのものを吸い取ろうとする暗黒の渦。

 

「なっ……!?」

 

聖司は初めて恐怖した。

逃げようとしたが、抜け出せない。

彼女の中は底なしの闇だった。

 

「女はおまんこなんだろう? だったら存分に味わいなさい!」

 

キキは聖司に口づけをした。

唇から生命力が奪われていく感覚。

聖司の目から光が消えていく。

彼の中で最後に蘇ったのは雫の笑顔だったかもしれない。

あるいは彼を裏切ったあの日の一瞬だったかもしれない。

 

やがて聖司の身体から力が抜け落ちた。

干からびた死体のように軽くなった彼は、音もなく床に崩れ落ちた。

 

「ふぅ……」

 

キキはゆっくりと立ち上がり、乱れた服を直した。

身体の中に満ちる強大な力。

それは聖司の命から引き剥がしたエネルギーだった。

 

「ありがとう。おかげで本当の魔女になれたわ」

 

冷たい床に横たわる聖司を見下ろしながら、キキは残酷な笑みを浮かべた。

雨音だけが響く部屋で、少女は一人立ち尽くしていた。

 

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