シスターはショタコンサキュバス 作:おねショタの波動
1
古いステンドグラス越しに射し込む陽光が、埃の舞う礼拝堂を極彩色の光で満たしていた。辺境の教会に併設されたこの孤児院において、正午を過ぎたこの時間は、もっとも穏やかで、そしてもっとも残酷な刻である。
サキュバスのシスター、ユルヴィは、中庭に張り渡されたロープに洗い立てのシーツを干していた。
濡れた白い布が風に揺れ、石鹸の香りと太陽の匂いが混ざり合う。その白さよりもなお白く暖かな彼女の肌は、日陰にあっても輝くように浮き上がって見えた。
頭上の捻じれた黒山羊の角や、修道服の背を割り裂いて突き出した小さな蝙蝠の翼は、この神聖な場所において本来なら異物でしかない。しかし庭を駆け回る子供たちにとって彼女は恐るべき魔物ではなく、単なる「優しいユルヴィお姉ちゃん」であった。
「まてー!」
「にげろー!」
無邪気な歓声が鼓膜を震わせる。ユルヴィはシーツの皺を丁寧に伸ばしながら、その騒がしさに目を細めた。金色の瞳が、慈愛という名の仮面を被って子供たちを追う。
ここ数週間、彼女の精神は安定していた。吸精への飢え、サキュバスという種族に刻み込まれた業とも言える淫らな衝動は、祈りと労働、そして何よりも「子供たちの笑顔を守る」という強固な意志によって封じ込められている。自分はもはや闇夜に男を惑わす夢魔ではない。神に許しを請い、清貧に生きるシスターなのだ。そう自らに言い聞かせていた。
その時だった。
「ユルヴィ姉ちゃん、あそぼ!」
不意に背後から、腰回りに衝撃が走った。
振り返るよりも早く、鼻腔をくすぐる匂いがあった。汗と土、そして日向の匂い。未成熟な生命だけが放つ、甘く、柔らかく、どこか乳臭い独特の芳香。
それは純粋な嗅覚のみではなく、滲み出ている魔力の味も見ているのだと、かつての仲間はユルヴィに語っていた。
ユルヴィの心臓が早鐘を打つ。矢じりのような先を持つ尻尾が、修道服のスカートの中でビクリと跳ねた。
見下ろせば、十歳にも満たない少年が、彼女の豊かな腰にしがみついていた。短い茶髪、泥だらけの頬、好奇心に輝く大きな瞳。
その無防備な体温が、何枚もの布越しであるにもかかわらず、ユルヴィの敏感な肌へと直接伝わってくるようだった。
「……こら、いけませんよ。今は洗濯の最中です」
口から出た言葉は、奇跡的なまでに落ち着いていた。
だが、内実はどうだ。少年の細い腕が自分の腰に回されているという事実だけで、脳髄の奥が痺れるような甘い毒に侵されそうになる。
──食べたい。
そのあどけない唇から吐き出される精気を、一滴残らず啜り尽くしたい。まだ男性として形を成していない、蕾のような魂を汚し、悦楽の色に染め上げたい。
そんな冒涜的な思考が、瞬きの間に脳裏を駆け巡る。
ユルヴィは祈るように胸の前で手を組んだ。ただし、その手は微かに震えており、自身の豊満すぎる胸を強く圧迫することで、動悸を物理的に抑え込もうとしていた。
「えー、つまんないの」
少年は不満げに頬を膨らませると、さらに強くユルヴィにしがみつき、あろうことかその顔を彼女の下腹部あたりに埋めた。
規格外の体躯を持つユルヴィにとって、子供の身長はその程度にしか届かない過ぎない。しかし、その位置は致命的だった。
「っ……!」
声にならない悲鳴が喉の奥で詰まる。
少年の柔らかい髪が、敏感な腹部を撫でる。
ダメ、そこは。いけません。私はシスター。聖職者。子供を守る者。
理性の防波堤が決壊寸前まで軋む。視界が僅かに揺らぎ、金の瞳が怪しい光を帯びて潤んだ。
それでも、彼女は耐えた。震える手で少年の肩に触れ、優しく、しかし拒絶の意志を持って引き剥がす。
「もう……甘えん坊さんですね。……さあ、そろそろお昼寝の時間ですよ。みんなを呼んできてくださいな」
努めて明るく、母性的な響きを含ませて言う。
少年は「はーい」と素直に返事をすると、くるりと背を向けて走り出した。その無垢な背中を見送りながら、ユルヴィは深い、深い溜息を吐き出した。
熱い呼気が、唇から漏れる。
彼女は自分の太腿を──スリットから覗く、白く肉感的なそれを──爪が食い込むほどに強く抓った。痛みで欲動を散らすために。
「……主よ、罪深き私をお許しください」
懺悔は誰にも届かない。ただ風だけが、彼女の熱を帯びた頬を撫でていった。
***
孤児院の寝室は、教会の北側に位置する広い板張りの部屋だ。
粗末なベッドが並ぶその空間に、午後の柔らかな光が満ちている。
子供たちは昼食を終え、遊び疲れ、満腹感も相まって、すでにまどろみの淵にいた。
「ユルヴィー、こっち来てー」
「おれんとこ!」
「やだ、わたしのとなり!」
部屋に入るなり、小さな手招きが四方から殺到する。
子供たちにとって、ユルヴィは最高の寝具でもあった。
人間離れした巨体は安心感の象徴であり、脂肪と筋肉が絶妙なバランスでついたその肉体は、どんな高級な羽毛布団よりも柔らかく温かい。さらに言えば、サキュバス特有の甘い体臭──麝香と花蜜を混ぜたような香り──は、催眠効果すらあるかのように子供たちを安眠へと誘うのだ。
「はいはい、喧嘩しないの。……みんなで一緒に寝ましょうね」
ユルヴィは部屋の中央、子供たちが雑魚寝できるように敷かれた大きなマットの上へと進んだ。
彼女が腰を下ろすと、マットレスがその重量で大きく沈み込む。
それを合図に、子供たちが一斉に群がってきた。
右腕に少女が抱きつき、左腕には先ほどの少年が潜り込む。太い太腿を枕にする者、豊かな胸に顔を埋めようとする者、背中の翼を珍しそうに撫でる者。
あっという間に、ユルヴィは子供の山に埋もれた。
「ふふ、くすぐったいですよ……」
ユルヴィは困ったように微笑みながら、身体を強張らせないよう細心の注意を払っていた。
サキュバスの皮膚は敏感だ。子供たちの高い体温、湿った呼吸、柔らかな肌の感触。それらすべてが、情報の奔流となって彼女の神経を逆撫でする。
特に、左脇に潜り込んだ少年の寝息が、胸の側面にかかるのが辛い。
彼の頭はちょうどユルヴィの心臓のあたりにあり、トクトクと脈打つ鼓動が彼に伝わってしまわないか不安だった。この鼓動が、聖職者のそれではなく、獲物を前にした獣のそれであることがバレてしまわないかと。
(なんて、温かい……)
目を閉じれば、四方八方から幼い生命力が押し寄せてくる。
それは食欲をそそる香気であると同時に、彼女の空虚な心を埋める光でもあった。
かつては精気を奪う対象でしかなかった人間。けれど今は、こうして無防備に身を委ねてくれる。その信頼が、ユルヴィにとってはたまらなく愛おしく、そして痛かった。
彼女は慎重に、左腕の中の少年の頭に手を置いた。
絹糸のような髪を梳く。少年は心地よさそうに喉を鳴らし、さらに深くユルヴィの懐へと擦り寄った。
その拍子に、少年の手がユルヴィの胸の谷間に触れる。
布越しではない、直接の接触。
「んっ……」
微かな喘ぎが漏れた。
脊髄を駆け上がる電流のような快楽。
それを噛み殺し、ユルヴィは少年の背中を一定のリズムで叩き始めた。トントン、トントン。子守唄代わりのリズム。
それは子供を寝かしつけるための動作であると同時に、自分自身の荒ぶる本能を鎮めるための儀式でもあった。
(大丈夫。私は何も奪わない。何も壊さない)
心の中で呪文のように繰り返す。
右側の少女が、ユルヴィのスペード型の尻尾を抱き枕にして眠りに落ちた。尻尾の先が少女の頬をくすぐらないよう、意思を持って制御する。
膝の上に乗っていた幼い子は、すでに船を漕いでいる。
静寂が、ゆっくりと部屋を満たしていった。
窓の外では、小鳥のさえずりが聞こえる。
子供たちの呼吸音が、規則正しいリズムへと変わっていく。
スースーという安らかな寝息の合奏。
その中心で、ユルヴィだけが覚醒していた。
彼女の顔は、聖母のように穏やかだ。しかしその額には、うっすらと脂汗が滲んでいる。
彼女を寝床にして眠る子供たちは、自分たちが恐ろしい魔物の上にいることを知らない。
もし今、ユルヴィがその気になれば、この部屋にいる全員の未来を摘み取ることなど造作もないのだ。
その絶対的な力の差と、それを決して行使しないという誓い。
その狭間で、ユルヴィは自らの肉体が熱を持つのを感じていた。
欲望がないと言えば嘘になる。
このまま彼らを抱き潰し、その未熟な唇から魂を吸い出してしまいたいという暗い欲望は、常に足元で口を開けている。
だが、少年の寝顔を見下ろした時、その無防備な信頼に胸が締め付けられる感覚の方が、今はわずかに勝っていた。
「……おやすみなさい、愛し子たち」
ユルヴィは誰にも聞こえない声で囁いた。
そして、そっと少年の額に口付けを落とす。
吸精のためではない。ただの、祝福のキス。
唇が触れた瞬間、ほんの少しだけ、甘い精気が流れ込んできたような気がした。それはプラシーボかもしれないし、あるいは漏れ出た余剰な生命力かもしれない。
けれど、それだけで十分だった。
満たされたような、それでいて焦がれるような心地のまま、ユルヴィもまた、子供たちの体温という檻の中で、浅い微睡みへと落ちていく。
その表情は、魔物のものでも聖女のものでもなく、ただ一人の、愛に飢えた女性のものだった。
2
早朝の空気は冷たく、吐く息が白く染まる季節だった。
教会の鉄柵の門扉が開かれ、錆びついた蝶番が悲鳴のような音を立てる。それが、巣立ちの合図だった。
ユルヴィは門の前に立ち、一人の若者の旅立ちを見送っていた。
背負った鞄は大きく、腰には古道具屋で調達した無骨な剣が吊るされている。かつてはユルヴィの腰にまとわりつき、膝の上で鼻水を垂らしていた少年も、今では見上げるほどではないにせよ、それなりに背が伸びていた。
都の法で定められた成人年齢である十五歳。孤児院を出て自立しなければならない年齢だ。
「元気でね。剣の道は険しいでしょうけれど、神のご加護がありますように」
「……ああ。ありがとう、ユルヴィ姉」
彼はぶっきらぼうに答えたが、その視線はユルヴィの瞳を直視できずに彷徨っている。
他の子供たちはまだ寝ているか、あるいは朝の掃除中だ。この静寂は、別れのために誂えられた舞台のようだった。
ユルヴィは胸の前で十字を切り、聖職者としての定型句を口にした。これで別れは済んだはずだった。しかし、彼は門を出ようとはせず、躊躇うように革靴のつま先で地面を擦っている。
「あのさ、ユルヴィ姉」
「はい? 忘れ物ですか?」
「いや……ちょっと、あっちで話せないかな。みんなに見られたくないんだ」
彼が指差したのは、礼拝堂の裏手にある大きな樫の木の陰だった。
ユルヴィの金色の瞳が、一瞬だけスッと細められた。
(……ああ、また、ですね)
胸の内で小さく溜息をつく。
この展開は、これまでに何度も経験してきたものだ。
親鳥の庇護下から飛び立つ雛鳥が、最後に巣への執着を見せる瞬間。あるいは、異性として認識していた育ての親に対する、未熟で熱烈な求愛。
「ええ、いいですよ。少しだけなら」
ユルヴィは微笑みを崩さず、彼に従った。
巨乳を揺らし、スリットから太腿を覗かせながら歩く聖女の背中を、少年がどんな熱っぽい目で見つめているか、彼女は背中の翼で感じ取っていた。
木陰に入ると、朝の光が遮られ、二人だけの閉ざされた空間が生まれた。
彼は意を決したように振り返り、真っ赤な顔でユルヴィに向き直った。
「俺、どうしても言っておきたくて! ずっと……ずっと、ユルヴィ姉のことが好きだったんだ!」
張り裂けんばかりの声。若さゆえの直情的な告白。
ユルヴィは静かにそれを受け止めた。
「俺、絶対に強くなる。立派な騎士になって、迎えに来るから! だから……俺と一緒になってほしい! それか、今すぐ一緒に来てくれたっていいんだ、俺が守るから!」
その言葉には、嘘偽りのない純粋な情熱が込められていた。
しかし、数百年を生きるサキュバスであるユルヴィにとって、それは愛らしい戯言に過ぎない。
人間の一生など、彼女にとっては瞬きのようなもの。ましてや、十五歳の少年が語る「永遠」など、朝露よりも儚い。
(……可愛いらしいこと)
ユルヴィは内心で舌なめずりをした。
国の法で定めた成人になっていても、サキュバスの感覚からすれば、彼はまだ十分に「子供」だ。
変声期を過ぎて少し低くなった声も、筋肉がつき始めたばかりの未完成な四肢も、産毛の残る首筋も。すべてがユルヴィの嗜好のストライクゾーンにある。
理性的な大人の男には微塵も感じない劣情が、この未熟な雄に対しては泉のように湧き上がってくる。
けれど、ここで頷くわけにはいかない。
彼女は彼ら、無軌道な若さを正しい道へと導くシスターなのだから。
「……気持ちは嬉しいです。でも、ごめんなさい」
ユルヴィは悲しげに眉を寄せ、聖母のような慈愛を湛えて首を振った。
「私は神に身を捧げたシスターです。特定の誰かと結ばれることは推奨されません。それに、あなたはこれから広い世界を知るのです。私のような年増ではなく、もっと素敵な女性と出会うはずですよ」
「そんなことない! 俺にはユルヴィ姉しか……!」
「いいえ、今はそう思うだけ。……でも、あなたのその純粋な想いは、私の宝物にします」
彼が食い下がろうとするのを遮り、ユルヴィは一歩、彼に近づいた。
軽く見下ろすその長身と、布地を限界まで酷使する爆乳が、少年の視界を埋め尽くす。
彼女から漂う甘い麝香の香りが、彼の理性を麻痺させる。
「卒業、おめでとう。……私からの、最初で最後の贈り物です」
ユルヴィは少年の首に腕を回し、抵抗を許さずに抱き寄せた。
柔らかな肉の壁に、少年が押し潰される。
そして、その顔を覗き込み、唇を重ねた。
「んっ……」
チュ、などと可愛らしい音ではない。
絡め取るような、粘度のある水音。
ユルヴィの舌が、驚いて開いた少年の口内へ蛇のように侵入する。
それは挨拶代わりのキスではなく、サキュバスが獲物の魂を啜るための捕食行動に近い。
熟練の舌使いが、未経験の少年の敏感な粘膜を蹂躙し、脳髄を直接愛撫するかのような快楽信号を送り込む。
「んむ……、ちゅ、る……っ」
「ん……ぁ……」
少年は最初こそ驚いて身を固くしていたが、すぐに膝の力が抜け、ユルヴィの身体にしがみついた。しがみつかざるを得なかったのだ。そうしなければ、地面に崩れ落ちてしまいそうだったから。
ユルヴィは彼を抱き留めるように背中に手を回し、さらに深く、濃密に唇を合わせる。
サキュバスの唾液には、微弱な催淫効果と幻覚作用が含まれている。
少年の頭の中は真っ白になり、ただ目の前の圧倒的な「女」の存在と、下腹部に集まる熱だけに支配されていく。
ユルヴィの豊満な胸が、彼の胸板に押し付けられ、形を変えて密着する。太腿が彼の股間に触れる。
その刺激は、初心な少年が耐えられる許容量を遥かに超えていた。
「ん……ふふ、熱いわね……」
唇を離さず、吐息だけで囁く。
彼女の手が、少年の背中を優しく、しかし妖しく撫で下ろした。
ズボンの生地越しに、彼の昂ぶりが限界に達しているのが分かる。
彼女にとっては、これもまた「食事」の一環であり、そして何よりの「ご褒美」だった。
(出しなさい。全部、私に)
言葉にはせず、念じる。
その魔性の波動に当てられたかのように、少年の身体がビクリと大きく跳ねた。
喉の奥から、くぐもった獣のような喘ぎが漏れる。
「っ、ぅ、ぁああ────っ!!」
彼の身体が硬直し、ユルヴィの腕の中で小刻みに震えた。
旅立ちの日の、真新しいズボンの中で、彼自身も制御できない生命の奔流が溢れ出す。
通常であれば、それは不快な染みを作り、後の彼に強烈な羞恥と後悔を与えるはずのものだ。
だが、ユルヴィはそれを許さない。
彼女は抱擁を解かず、接触している腹部を通して魔力を循環させた。
放出された精気、その物理的な液体になる前のエネルギー、そして物質化してしまったものさえも、瞬時に魔力へと還元し、自らの体内へと吸収していく。
布を汚す間もなく、命の滴はサキュバスの糧となって消え失せた。
「はぁ……、はぁ……」
少年は事切れたようにユルヴィの肩に額を預け、荒い息を吐いていた。
何が起きたのか、自分でもよく分かっていないだろう。ただ、強烈な快楽と、その後の奇妙な浮遊感だけが残っているはずだ。
彼のズボンは一切汚れていない。ユルヴィがすべて「美味しく」いただいたからだ。
「……落ち着きましたか?」
ユルヴィはゆっくりと身体を離し、何事もなかったかのように彼の襟元を整えた。
その頬は、先ほどよりも艶やかに輝き、血色が良くなっている。
対照的に、少年は憑き物が落ちたように呆けた顔をしていた。
「あ、俺……」
「ふふ、驚かせてごめんなさいね。大人のキスは、少し刺激が強すぎたかしら?」
ユルヴィは悪戯っぽく片目を瞑ってみせた。
そう、これは単なるイタズラであり、彼にとっては「淡い初恋の思い出」として処理されるべき出来事だ。
性的な暴発の事実は、ユルヴィの魔術的な処置と、あまりの衝撃によって記憶の彼方へとかすんでいる。彼に残るのは、柔らかい感触と甘い香りの記憶だけ。
「いってらっしゃい。……あなたはきっと、良い男になるわ」
背中をポンと叩く。
少年は夢遊病者のようにふらりと一歩下がり、それからハッと我に返ったように姿勢を正した。
顔はまだ赤いが、その目には先ほどまでの粘着質な執着はない。ある種の達成感と、諦めが混ざったような清々しさがあった。
「……うん。行ってきます、ユルヴィ姉」
「ええ、神のご加護を」
少年は踵を返し、一度だけ振り返って手を振ると、街道の方へと駆け出していった。
その背中が見えなくなるまで、ユルヴィは見送っていた。
姿が見えなくなると、彼女はふぅと艶めかしい吐息を漏らし、自分の唇を指先でなぞった。
まだ、未熟な若者の熱が残っている。
「……ごちそうさまでした。元気でね、私の可愛い子」
その呟きは、聖女の祈りのようでもあり、魔物の食後の感想のようでもあった。
ユルヴィはスカートの埃を払い、教会へと戻る。
中庭からは、まだ幼い子供たちの声が聞こえ始めていた。
次の「可愛い子」たちが、彼女の帰りを待っている。
3
月の光が雲に遮られ、修道院の回廊は深い闇に沈んでいた。
深夜、皆が寝静まった時刻。シスター・ユルヴィは音もなく石畳を踏みしめ、男子寮の一室へと向かっていた。
彼女の手には、先ほどリネン室で畳んだ洗濯物の山があった──はずだった。しかし、そこには決定的な欠落があった。
彼女の規格外の巨乳を支えるための、特注のブラジャー。布面積だけで子供の頭を包み込めるほどのそれが、一つ足りないのだ。
今日の洗濯当番は、孤児院に来て三年になる少年、ユウだった。
内気で真面目な彼が、まさか。
けれど、サキュバスとしての勘が、そして鼻孔をくすぐる微かな「匂い」が、正解を告げている。
ユルヴィの心臓は、怒りではなく、甘く重い期待で早鐘を打っていた。もし本当に彼がそれを盗んだのだとしたら。その理由が、自分への抑えきれない情欲によるものだとしたら。
(悪い子ですね……ユウくん)
口元が勝手に綻びそうになるのを、厳格なシスターの表情筋で強引に押し留める。
目的の部屋の前に着く。普段ならば必ず行うノックを、今夜だけはわざと省いた。
これは巡回であり、指導であり、そして──誘惑なのだから。
ガチャリ、と無遠慮にドアノブを回す。
「……っ!?」
部屋の中、粗末なベッドの上で跳ね起きた影があった。
窓から差し込む僅かな月明かりが、その罪の現場を残酷なほど鮮明に照らし出す。
ユウは下半身を露出し、その未成熟なイチモツを固く勃たせていた。そして何より、彼の手には黒い布の塊が握りしめられている。
ユルヴィのブラジャーだ。
巨大なカップに顔を埋め、残り香を貪りながら、己を慰めていたその瞬間を、家主に見られたのだ。
「あ、あ……ユルヴィ、姉……」
ユウの顔から血の気が引いていく。
恐怖と絶望。尊敬するシスターに、母親代わりの女性に、こんな浅ましい姿を見られた。その事実は、彼の興奮を一瞬で氷点下まで叩き落としたようだった。
元気よく天を衝いていた彼の一部が、みるみるうちに萎びていく。
ユルヴィは背手で静かにドアを閉め、鍵をかけた。
カチャリ、という金属音が、密室の完成を告げる。
「……ユウくん。洗濯物の数が合わないと思って来てみれば、まさかこんなことをしているなんて」
声色は努めて穏やかに、慈悲深く。しかし、逃げ場のない圧力を込めて。
彼女はゆっくりとベッドへ歩み寄る。
寝間着代わりの薄い白のシュミーズ一枚。下着は着けていない。盗まれたのだから、着けられるはずもない。
ベッドの端に腰を下ろすと、軋んだスプリングが悲鳴を上げ、マットレスが彼女の重みで大きく傾いた。
「どうして、こんなことをしたのですか?」
「ご、ごめんなさい! 違うんだ、これ、魔が差して……っ、許して、くださいっ!」
パニックになり、涙目で懇願するユウ。
ユルヴィは答えを急かさず、さらに身を乗り出した。
計算された動作だった。
前傾姿勢になったことで、緩いシュミーズの襟元が重力に従って大きく垂れ下がる。
その奥にあるのは、ブラジャーという拘束具を失い、たぷん、と自由に揺蕩う二つの柔肉だ。
白磁のような肌。青白く透ける血管。そして、熟しきった果実のような先端。
すべてが、至近距離でユウの視界に飛び込むように調節されていた。
「正直に言いなさい。……この布切れの、何があなたをそうさせたのです?」
「ひっ……」
ユウの視線が、叱責するユルヴィの顔と、その下にぶら下がる圧倒的な果実との間を往復する。
叱られているという恐怖。しかし、目の前には想像だけで扱いていた「本物」が無防備に晒されている。
布一枚越しに伝わってくる、ムワッとするような濃厚な体臭と熱気。
シスターの聖なる威厳と、サキュバスの淫らな肉体。その矛盾する情報が、少年の脳を焼き切ろうとしていた。
「ぼ、僕は……ユルヴィ姉のことが、好きで……その、匂いを嗅いだら、我慢できなくて……」
「……そうですか。私のことが、そんなに」
ユルヴィは目を細めた。
金の瞳が、暗闇の中で妖しく光る。
視線を下に向ければ、正直な反応が見て取れた。先ほど恐怖で萎縮していたはずのユウの股間が、再び熱を帯び、ピクピクと脈打ちながら鎌首をもたげ始めている。
叱責されている最中だというのに。恐怖よりも、目の前の肉への渇望が勝っている。
その事実は、サキュバスとしてのユルヴィの自尊心をこれ以上なく満たし、同時に腹の底を疼かせた。
(ああ、なんて卑しくて……なんて可愛いのでしょう)
もはや、隠す必要などないのかもしれない。
いや、あくまで「教育」という体裁は保たなければ。
ユルヴィは小さく溜息をつき、困ったように眉を下げてみせた。
「いけませんね、ユウくん。こんなに硬くして……。私がお話をしている最中ですよ?」
「う、うぅ……ごめんなさい、でも、勝手に……」
「ふふ。……でも、これは私の責任でもありますね」
ユルヴィはベッドの上に膝立ちになり、ユウの真正面に移動した。
薄い布越しに、125センチの爆乳が彼の顔の目の前に迫る。
圧倒的な質量。視界のすべてが肌色に染まる。
「こんなふしだらな身体で、あられもない姿を見せてしまった私が悪いのです。……神に仕える身として、迷える子羊の昂ぶりを鎮めてあげるのも、私の役目でしょう」
「え、ユルヴィ、姉……?」
「じっとしていなさい」
ユルヴィは両手で自らの豊満な胸を抱え上げるように持ち上げた。
ずしり、という重量感。
そして、戸惑うユウの亀頭を、その深淵なる谷間へとあてがった。
「……っ!」
熱い。
ユウの分身が、ユルヴィの胸の皮膚に触れた瞬間、互いの体温が溶け合うような錯覚に陥る。
ユルヴィはゆっくりと、しかし確実に、その巨大な肉の峡谷で少年の猛りを挟み込んだ。
柔らかいなどという生温かい言葉では表現できない。それは、理性を溶かす泥沼だ。
左右から押し寄せる肉の波が、彼の未熟なモノを完全に呑み込み、包み隠してしまう。
「んっ……♡ あら、暖かい……」
思わず、甘い声が漏れた。
硬直した少年のイチモツが、敏感な胸の内側を擦り上げる感覚。
子宮の奥がキュンと疼き、背中の翼がびりびりと震える。
「あ、あ……あぁっ!?」
ユウが悲鳴のような声を上げた。
視覚的な刺激と、物理的な圧迫感。四方八方をユルヴィの匂いと肉に囲まれ、彼は自分がどこにいるのかさえ分からなくなっている。
「盗んだ下着で慰めるよりも、こっちの方が……ずっと気持ちいいでしょう?」
ユルヴィはユウの首に腕を回し、彼を抱きすくめるように密着した。
さらに強く、胸に力を込める。
むにゅぅ、という淫らな音が肉の間から響く。
「さあ……反省なさい。そして、全部出しなさい……♡」
「ユルヴィ姉、だめ、こわれ、ちゃう……ッ!」
「壊れませんよ。……私が、優しく搾ってあげますから……んっ♡」
もはやシスターの仮面は剥がれ落ちかけていた。
瞳孔が開き、とろりと潤んだ瞳で少年を見下ろす彼女は、紛れもなく夜の魔物だ。
ユルヴィは腰を揺らし、胸の肉だけで彼を犯し始めた。
今夜の「お説教」は、夜明けまで終わらないだろう。
4
「……んっ、ん……っ、もう、限界ですか? 可愛い……♡」
ユルヴィの耳元で、ユウの呼吸が断末魔のように荒くなる。
肉と肉が擦れ合う淫らな水音が、静寂な夜の個室に反響していた。
逃がさない、と言わんばかりに、ユルヴィは両腕で胸をギチギチと締め上げる。巨大な乳房の圧力が、怒張した少年の先端を容赦なく圧迫し、逃げ場のない快楽の煉獄へと突き落とす。
「あ、ああッ! ユルヴィ姉、だめ、もうッ、で、出るぅううう!!」
少年の叫びは、もはや言葉になっていなかった。
脊髄を駆け上がった電流が脳を焼き切り、彼の身体が弓なりに反る。
「出して……全部、私の胸に……っ♡」
ドクン、と。
挟み込んだ肉壁越しに、脈動が伝わる。
次の瞬間、熱い奔流が放たれた。
「──ッ!!!」
ユウの身体がビクンビクンと痙攣し、若さゆえの勢いで白濁した生命の種が迸る。
それは二つの乳房の谷間で弾け、行き場を失って白磁の肌に飛沫を上げた。
ユルヴィは僅かに眉を寄せ、甘い吐息を漏らす。熱い。焼けるように熱い少年の精気が、敏感な胸の皮膚を直接灼いていく。
「ん……ぁ……♡ いっぱい、出ましたね……」
彼女は抱擁を解かず、ユウの絶頂が完全に収まるまで、その余韻を慈しむように背中を撫で続けた。
数度の痙攣の後、ユウは魂が抜けたようにぐったりとユルヴィの肩に頭を預けた。
部屋に、重たい沈黙と、栗の花に似た独特の芳香が満ちる。
通常であれば、ユルヴィはこのまま魔術を行使し、皮膚から直接精気を吸収してしまうところだ。それが一番効率的であり、痕跡も残さない。
けれど今夜は、そのあまりに濃厚な匂いと、盗みを働いた「悪い子」への嗜虐心が、彼女の手順を狂わせた。
「……ユウくん。顔を上げて、よくご覧なさい」
ユルヴィは意地悪く囁き、ゆっくりと身体を離した。
そして、彼に見せつけるように、ぴったりと閉じていた両の胸を、左右へと開いた。
「あっ……」
ユウの目が釘付けになる。
二つの巨大な丘が割れると、その谷間に溜まっていた大量の白濁液が、粘り気を帯びて糸を引いた。
とろり、と。
白い橋──ザーメンブリッジが、右乳と左乳の間に架かり、重力に負けてぷつりと切れる。
切れた雫が、彼女の白い腹部へと垂れ落ち、艶めかしい軌跡を描いていった。
「見て。あなたの我慢できなかった証拠が、こんなにべっとりと……」
「う、あ……」
自分の放出したものが、聖女のように慕っていた姉の、あろうことかその自慢の胸を汚濁している。
その背徳的すぎる光景に、虚脱感の中にいたはずのユウの理性が、再び揺さぶられた。
恥ずかしさで顔を覆おうとする彼の手首を、ユルヴィは優しく掴んで阻止した。
「目を逸らしてはいけません。……これが、あなたの罪の色ですよ」
言い聞かせながら、ユルヴィは人差し指で谷間の白濁を掬い取った。
糸を引くそれを、ユウの目の前でまじまじと見つめ、そして──。
ちゅぷ、と。
自身の口へと含んだ。
「──え?」
ユウが息を呑む。
ユルヴィは恍惚とした表情で指を舐め上げ、舌先で唇についた白い雫を丁寧に絡め取った。
金の瞳が、快楽にとろけて細められる。
「ん……、んっ……♡」
喉が鳴る音が聞こえた。
魔力への還元などしていない。物理的な摂取。
サキュバスにとって、精液は極上の蜜であり、生命の結晶だ。特に、初恋を拗らせた純潔な少年のそれは、どんな高級なワインよりも芳醇で、脳髄を痺れさせる味がした。
「ふぅ……。濃くて、元気な味ですね……♡」
ペロリと唇を舐め、ユルヴィは妖艶に微笑んだ。
その笑顔には、聖職者の慈愛と、魔物の捕食欲がカクテルのように混ざり合っていた。
ユウはただ、真っ赤な顔でパクパクと口を開閉することしかできない。
ユルヴィは懐からハンカチを取り出すと(本来はブラジャーを回収するつもりだったのだが)、残りの汚れを丁寧に拭き取り、改めて居住まいを正した。
はだけたシュミーズを直し、谷間を隠す。それでも、その奥に刻まれた淫らな記憶は、もはや消しようがない。
「……さて、ユウくん。分かっていますね?」
声色を少しだけ厳格なシスターのものに戻す。
「人の物を盗むのは、仮に神様が見ていなくても、私が悲しみます。二度と、あのような真似はしてはいけませんよ」
「は、はい……ごめんなさい、もう絶対にしません……」
ユウは小さくなって頷いた。
その殊勝な態度に、ユルヴィの母性本能──そして、いけない庇護欲が鎌首をもたげる。
このまま厳しく突き放して終わるのが教育者としての正解だ。
しかし、彼女の口は、脳の指令を無視して甘い毒を紡ぎ出してしまった。
「もし……どうしても、どうしても我慢できなくなったら」
ユルヴィはユウの耳元に顔を寄せ、吐息混じりに囁いた。
「また、私に言いなさい。……おっぱいえっち、してあげますからね」
「へ……っ?」
ユウが弾かれたように顔を上げる。
ユルヴィは人差し指を自分の唇に当て、悪戯っぽくウィンクしてみせた。
「盗んだ布切れでするより、本物の方がずっと気持ちよかったでしょう? ……だから、ね? 私だけの、特別ですよ」
それは更生への誘導なのか、それとも底なし沼への勧誘なのか。
恐らくは後者だろう。一度知ってしまった極上の快楽を、条件付きとはいえ「許可」されたのだから。
「う、うん……! わかった、約束する……!」
ユウは茹でダコのように顔を赤くしながらも、コクコクと必死に首を縦に振った。その目には、反省の色と共に、明日への歪んだ希望が灯ってしまっている。
「ふふ、いい子です」
ユルヴィは満足げに彼の頭を撫でると、回収した自分のブラジャーを手に立ち上がった。
「それでは、おやすみなさい。……これは、二人の秘密ですよ」
カチャリと鍵を開け、彼女は廊下へと滑り出た。
扉が閉まるその瞬間まで、彼女の口元には隠しきれない笑みが浮かんでいた。
冷たい夜風が火照った頬に心地よい。
胸の奥で消化されていく少年の熱を感じながら、ユルヴィは軽やかな足取りで自室へと戻っていった。
また一つ、愛すべき罪を背負って。
名前:ユルヴィ
身体データ:
身長 / 体重: 174cm / 68kg
スリーサイズ: B125cm (Sカップ) / W58cm / H108cm
外見特徴:
髪型: 腰まで届く艶やかな白銀のロングヘア。
目つき: 常に慈愛に満ちたタレ目。瞳の色は魔物特有の怪しい輝きを放つ金色。
肌の色: 白く透き通った肌。
特徴: 頭部から生える捻じれた黒い山羊のような角と、腰から伸びるスペード型の尻尾、背中の小さな蝙蝠の翼は隠さずに露出させている。
服装: 聖職者としての黒と白を基調とした修道服。しかし、規格外の肢体を収めるには布地が悲鳴を上げており、特に胸部は布が極限まで張り詰め、たまにロザリオが胸の谷間に深く埋没してしまう。スカートのスリットからは肉感的な太腿が歩くたびに覗く。
性格:
表層: 穏やかで献身的、母性に溢れた聖女のような性格。丁寧な言葉遣いと柔らかな物腰で、種族を問わず慈悲を与える。過去の罪を悔い改め、神に仕える身として常に清廉であろうと努めている。
深層: 本能レベルで「未成熟な人間の雄」に対して異常な執着と性的嗜好を持つ。少年の無垢な瞳や未発達な肢体を見ると、サキュバスとしての淫らな本能が疼き、理性との激しい葛藤に苛まれる。その背徳感に身を震わせながらも、決して手を出してはいけないと自分を戒めているが、ふとした瞬間に熱っぽい視線を送ってしまうことがある。
設定:
辺境の教会に身を寄せるシスター兼孤児院の保母。
人間との融和を掲げ、教会の象徴的存在として振る舞っているが、実際には教会を訪れる少年たちの世話を焼くことが最大の生きがいであり、同時に最大の試練となっている。魔物であることを隠していないため、一部の住人からは恐れられつつも、その献身的な奉仕により信頼を得つつある。