対魔忍は洗脳に弱くアナルも弱い オーク・プリンスに堕とされる強く美しい女達 作:ASSタリスク
『計画は承認された』
ヨミハラの歓楽街を見下ろすホテルの一室で、スマートフォン越しに井河アサギの声を聞いた高坂静流は思わず背筋を伸ばす。彼女の前には、テーブルに広げられた地図があった。
『あなたの申請した人員は全て、オークション開催日までにヨミハラへ送られる。神崎が招待した議員のアシスタントとしてね』
「助かります。政治家たちが、そこまで物分かりが良いとは」
『ええ。魔族と繋がり私腹を肥やす者は容認できない。それが自由国民党からのメッセージよ』
アサギの言葉に静流は吹き出した。
「彼らがそう言ったんですか?」
『神崎清十郎はやり手だった。魔族とつるんだ若手議員の中では最も手が早く、最も多くの利益を得た。あなたになら分かるでしょう? 世の中には、他人の成功を許せない人間が山ほどいる』
バスローブ姿の金髪爆乳ツインテールが、苦笑いしながら首を縦に振る。
『後は、不知火からの情報がどれだけ正しいか次第ね』
「ヒラサカ・ドームと警備の状況については此方でも確認しました。ノマド本隊の動きについては未知数ですが……」
言葉を切った静流がベッドに視線をやる。ニヤつく財前太が、勃起した自身のオークチンポを見せつけ、ゆるやかに扱いていた。反り返った黒緑色の肉棒に頬を染めた静流は大げさなほどに顔を背け、咳払いする。
「ヨミハラの利権を譲歩させられた彼らが、他者を守るために血を流すとは考えられません。ただ、不知火の動機まで突き止められれば良かったとは思います」
『そうね。ノマドに寝返った理由も、情報提供者となった理由も、本当の所は分からない。ただいずれにせよ、オークションがゆきかぜを救い出す最後の機会になる』
「はい」
静流は頷いた。アサギの言葉には全てが込められている。リスクは承知の上で、やり抜くほかないのだ。しばしの沈黙の後、スマートフォンから最強の対魔忍の吐息が零れる。
『健闘を祈っているわ』
「……ありがとう。必ず、ゆきかぜさんを連れ帰ります」
通話を終えた静流は改めて地図を見下ろした後、ベッドの上の太を見遣る。そしてバスローブを脱ぎ落とし、オークの少年へと歩み寄った。
3日後、オークション会場となったヒラサカ・ドームにやってきた太は、不知火が手配したチケットでステージを見下ろすVIP席へと案内され、丸々とした緑色の小さな身体をゆったりしたひじ掛け付きの椅子に深く沈めていた。糊のきいたシャツに蝶ネクタイ、サスペンダー付きのパンツに磨き上げた革靴を身に着けたオークの少年は目立つものの、場所が場所だけに誰何する者はいない。
手にした双眼鏡で、太は最前列の席を見る。自由国民党議員の神崎清十郎が、自身が招待した若手議員1人1人と握手をし、肩を叩き、仰け反って笑っている。神崎は彼らを政界における子分と見なしており、今回の招待も自分の懐の深さをアピールするためだった。
「いやはや、政治家の堕落は相変わらずですな」
「まったくです」
VIP席に座る太の耳に、上品ぶった男たちの声が届く。
「聞いた話だと、視察と称してAV女優まで同伴させているとか」
「けしからん。我々の血税を何だと思っておるのか……ん?」
いかがわしいオークションに参加している自分たちを棚に上げる彼らの愚痴が不意に途切れた。代わりに艶やかな女の声が上がる。
「間もなく開会いたします。お飲み物をどうぞ」
「おお、ありがとう。……良い眺めですねえ」
「まったくです。私はあの、スレンダーな方が好みで」
太が双眼鏡から顔を離した丁度その時、揺れる金髪ツインテールと弾む乳房がオークの少年の視界に入った。バニーガールに扮した静流が銀のトレイ片手に微笑みかける。
「ヨミハラへようこそ。あら、随分お若いお客様」
「えへへっ、どうも。……ん?」
好色な笑みを静流に向けた太が、瞬きして首を傾げる。静流の真後ろにもう1人いた。ライトブラウンのロングヘアと紫色の目を持つ小柄なバニーがぎこちない笑みを浮かべつつ両手でトレイを持っている。
「あれ? 君」
太に声を掛けられ、バニースーツを着た上原鹿之助は小刻みに首を横に振った。女装する鹿之助を自分の背後に隠した静流が、他のと色の違う液体を注がれたグラスを太に差し出す。
「はいどうぞ。ノンアルコールですよ」
「ありがとう。頂きます」
「オークションをお楽しみくださいね」
ついつい鹿之助を目で追い、睨まれて首を竦めた太は、静流に渡されたグラスを一気に呷る。琥珀色の液体は強い甘みを感じさせたが、鼻に抜けるのは燻したようなきつい香りだ。美味とは言えないそれを飲み下し、オークの少年は再びステージに目をやる。
程なくして一段高い舞台の袖からラメ入りスーツ姿の司会者が登場し、大仰なお辞儀をした。ステージがひと際明るく照らし出され、客席の照明が弱まる。と同時に壁に仕掛けられた空調から、催淫効果と興奮作用を持つ低濃度のガスが室内に流れ込み始めた。ヨミハラで開催されるイベントではよくある「サービス」だ。
そんな中、マイクで増幅された司会者の声がドーム内に響き渡る。
『紳士淑女の皆々様! ようこそヨミハラへ! ようこそヒラサカ・ドームへ! 今宵お目にかけますのは、魔界由来の珍品の数々でございます。千載一遇の好機、ぜひ選りすぐりの逸品を手にお入れくださいませ!』
そしてオークションが始まる。特定の薬品で爆発的に成長する魔界の植物の種子、極上の媚薬の原料となる蜜を体内で生成する肉食虫の卵、男を知らぬ処女を一晩で堕とす魅了の力が込められた首飾り、などなど。そういった品物は次々に落札され、ついに最後の品が引き出された。
『さあ皆様! 御覧くださいませ! そう、見間違いではございません。本日最後の一品!そう……雷撃の対魔忍、水城ゆきかぜの処女でございます!』
『っふ……あっ……あぁんっ♡』
ステージの袖から引っ立てられたゆきかぜは、どよめく観客を見下ろして身を捩り、悩
まし気な声を上げた。黒と赤の対魔忍スーツの上から重厚な金属製の首輪をはめられ、乳首とクリトリスの場所にローターを貼り付けられた小麦色の肌の美少女が薄赤色の瞳を潤ませる様子が、ドーム内部のスクリーンに大写しとなる。
『どれほどの魔族の方々が、彼女の雷の犠牲となったでしょう! どれほどの魔族のご友人方が、彼女の蛮行で屈辱と損失を味わわされたでしょう! しかしそれも今日までの話! ゆきかぜは今や皆様の物! 全てを許し愛人にするも、奴隷娼婦に堕として罪を償わせるも皆様次第! さあ、いかがでしょうか!』
笑顔の司会者が入札を促す。ガスが効き始めた人々は僅かな間互いの顔を見合わせた直後、とりつかれたような表情とともに値段を叫び始めた。先ほどまで政治家の乱行を批判していた男たちも、ゆきかぜに下品な言葉を吐きかけながら入札する。そんな中、静流から受け取ったグラスの中身を飲んだ太は特に変わった様子もなく、双眼鏡でゆきかぜとその周囲の様子を窺っていた。
『2000万! ……2500万いただきました! 3000万! さぁ皆様、3100万はございませんか? ここで本人の話も聞いてみましょうか。ゆきかぜ、今の心境は?』
『えっ!? あ、わ、私は……』
注入されたナノマシンを解除する除去剤の注射器を持つ司会者に水を向けられたゆきかぜは頬を染め、大興奮の会場を見る。そして一歩前に踏み出し、大きく息を吸い込んだ。
『い、幾らでも良いわよ……そもそもオークションとか興味ないし。さっさと決めたら良いじゃない。早く決めて……私の処女マンコに、お、おちんちん突っ込みなさいよ! それとも、今日はインポしかいないのっ!?』
赤面しながら叫ぶゆきかぜ。次の瞬間、会場のどよめきが何倍にも膨れ上がった。皆、彼女の正体について半信半疑だったのだ。何となれば、ゆきかぜはその激しい戦いぶりから他の対魔忍と比べても多くの人の目に触れており、現代の美容整形技術をもってすれば「そっくりさん」を造るのは難しくない。
だが今の発言で、ゆきかぜ似の奴隷娼婦を買うか迷っていた参加者の心が一気に傾いた。彼女は間違いなくゆきかぜだ。対魔忍なのだ。ガスで精神を揺さぶられた欲まみれの男たちはそう結論付け、入札に更に熱が入る。
『9000万に達しました! 素晴らしい! 他にございませんか! 雷撃の対魔忍の純潔にしてはいささか控えめな値付けかと愚考いたしますが! ……はい9500万! もう一声ございませんか! もう一声、区切りの良いところで……1億うぅ!!』
男たちの怒号の中、鐘が打ち鳴らされる。最高値を付けた男が最前列のかぶりつき席から立ち上がり、肌が緑色でない以外はオークと変わらないでっぷり太った身体と、それを包むシルクの白スーツを、太の持つ双眼鏡が捉えた。そして男がステージに上がり、満面の笑みを浮かべた司会者からナノマシンの除去剤を受け取り、落札した男を睨むゆきかぜの頬に手を伸ばしたその時、オークの少年はポケットに入れたスイッチを押し込んだ。
次の瞬間、ドーム内の全ての照明が消え、完全なる暗闇の帳が下りた。興奮の声が困惑、あるいは怒りの声へと変わる。
「どういうつもりだ!」
「演出にしてもこれは駄目だろう!」
「危ないじゃないか!」
『も、申し訳ございません! これは演出ではなく事故……あ、いえいえ!照明は直ぐに復帰しますので……』
しどろもどろになった司会者が弁解する中、混乱する人々の間を小柄な影がすり抜け、舞台に飛び乗った。真の闇の中で、中性的な声が上がる。
「大丈夫ですかお客様! 危ないですから、どうぞこちらへ」
「あ、ああ。……ん? な、何をする! ぎゃあぁっ!?」
『へ? あっ』
男の悲鳴の後、マイクが床に叩きつけられハウリング音が観客の耳に飛び込む。程なくしてステージ上のスポットライトが点灯したが、そこにはうつ伏せに倒れた落札者と、仰向けに倒れた司会者、そしてぶちまけられた黒い液体しか無かった。
「お、おい、どうなったんだ!?」
「ゆきかぜは何処に行った!?」
慌てふためく人々の中で、太はただ1人悠然と座っていた。暗視装置付きの双眼鏡で一部始終を見ていたからだ。
電遁による生体レーダーでステージ上の人と物の位置を把握し、落札者の手にあるナノマシン除去剤を奪ったバニー姿の上原鹿之助を。
鹿之助の声を頼りに舞台へ上がりながら獣遁の力を解き放ち、除去剤を取り返そうとする落札者の顔面にタコ墨を吹きかけ、司会者をタコ足で殴り倒した後、ゆきかぜを抱きかかえた作業服姿の相州蛇子を。
そして、あっという間に舞台袖へ姿を消した鹿之助と蛇子を。
「ちょっと待て、オークションはどうなったんだよ!」
「ふざけるな! ヨミハラなんて洞穴に呼びつけといてこの仕打ちか!」
「さっさと金を返せ!」
解決されない異変を目の当たりにして怒りの声が続々と湧き上がるが、その声は直ぐに悲鳴へと変わる。会場を満たしていた催淫効果と興奮作用を持つガスが、静流の木遁で生成された麻痺ガスへと置き換わり始めたからだ。富と力を持つ欲深い人々が、身体を痙攣させながら折り重なるように倒れていく。
「な、何だ! 身体が動かない!」
「助けてくれ! テロだ! 化学テロだぞ!」
「お、おいオーク! ワシをここから連れ出せ! 10万……いや100万やるから!」
けろっとした様子の太に、上品ぶっていた男が震える手を伸ばす。バニー姿の静流から解毒剤入りのグラスを受け取っていたオークの少年は、命乞いの言葉に笑みを浮かべて席を立った。
「ヒラサカ・ドームで事故が起きたらしい」
「事故?」
ヨミハラ最深部。闇の宮殿に見下ろされた魔界の門へと続く大型の斜行エレベーター前を警備する魔族の女戦士が、同僚に頷く。
「照明と空調が故障したそうだ。ドーム前が大騒ぎになっている」
「はっ! 我々ノマドに仕切らせておけば良かったものを。ケチ臭い人間どもの自業自得だ」
軽蔑しきった表情で笑い飛ばす女戦士。そんな彼女の視線が、近付いてくる存在に向けられた。1人の女が、キックボードに乗って道路を走っている。青みがかったロングポニーテールと薄紫の瞳、男顔負けの長身、すらりと伸びた長い手足に爆乳巨尻を持つ彼女は、アサルトライフルを携えた女戦士たちの前でボードから降りた。その手には、味気ないフォントで「ヨミハラ」と彫られた土産物屋の木刀が握られている。
「引き返せ人間! ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「私はAV女優のR子! ヨミハラへは観光目的で来た。完全なプライベートだ」
背筋を伸ばし誇り高く告げた斬鬼の対魔忍、秋山凛子は、銃口を向けられても意に介することなく歩き続ける。
「AV女優だと!? ふざけるな!」
「プライベートで学生服を着るAV女優がいるか!」
「趣味のコスプレだ!」
気色ばむ女戦士たちに返しながら、五車学園の制服を着た凛子は言葉を続ける。
「ヨミハラ観光の仕上げとして、最高の「映え」を求めるべくやってきた! 魔界の門を背負っての自撮りをもって、万バズを祈念する!」
「くそっ! ヤクでもやってるのか! 撃ち殺……」
女戦士たちが次々にアサルトライフルを構えサイトを覗き込んだ刹那、凛子の姿が掻き消える。
「なっ……がっふ、ぁ゛っ」
木刀の先端を鳩尾にめり込まされた魔族が、ビキニに収まった乳房を揺らし、身体を折り曲げ崩れ落ちる。空遁による短距離テレポートで銃を構える女戦士たちのただ中に出現し、まず1人を打った凛子が、薄紫の瞳に底光りを宿して身を躍らせ、2人目の胴を薙ぐ。鋭い打撃音と共に、鍛えられた女戦士が吹き飛んだ。トリガーにかかった指が曲がり、アサルトライフルがあらぬ方へ小銃弾を撒き散らす。
「こ、こいつっ!」
「斬り刻んでやれッ!!」
瞬く間に2人やられても、魔界の門を守る戦士たちの士気は高い。フレンドリーファイアの危険を避け我先に文明の利器を放り出し、手に馴染んだ魔界産の剣を次々に抜き放つ。ヨミハラの薄闇の中、白刃の林に身を置いた凛子が薄紫の目を細め、青みがかったロングポニーテールが風に靡いた。
突きこまれた刃を弾き、振り下ろされる一撃に身を翻し、横薙ぎを真上に跳ね上げ、舞うような体捌きで痛烈な反撃を叩き込む斬鬼の対魔忍。女戦士たちの悲鳴が上がり、へし折れた角が道路に転がった。
「警報を鳴らせ! 狙撃チームを、早くっ!」
剣を折られ、ホルスターからハンドガンを抜きながら叫んだ魔族の眉間を木刀で打ち据えた凛子は素早く息を吸い込み、振り返りざまの斬り上げで更に1人を倒した。
「面目次第もございません! どうか処罰を!」
「そんな悠長に構えている場合ではない」
30分後。魔界の門へと続く大型の斜行エレベーターに立つ女が、跪く女戦士たちを見下ろしながら冷たく言い放つ。薄桃色の髪に金色の瞳。深紅のマントを羽織っていながらミルクチョコレート色の肌を惜しみなくさらけ出した魔界騎士イングリッドは、改めて自身の配下の散々なやられっぷりを見渡し、鼻を鳴らした。
「賊は最後まで木製の刀を使っていたのだな」
「は……」
「魔界の戦士が慈悲を受けたというわけだ」
「……返す、言葉も……」
イングリッドの言葉に、女戦士たちは震える吐息を零すばかりだ。
「お前たちをして手傷ひとつ負わせられなかったとはな。大した腕だ。是非とも剣を交えたかったが惜しいことをした。容貌を聞くに、かの斬鬼の対魔忍と似ている……」
襲撃の報を受け急行したイングリッドが眉根を寄せてかぶりを振った後、自身の足元で跪く戦士を手ぶりで立たせる。
「してそのR子という女、魔界の門を害する行為には及ばなかったのだな?」
「は、はい。我々を……打ち倒した後、こちらの増援が到着する前に姿を消しました」
表情を歪め唇を噛む女戦士から視線を外した魔界騎士が、ヨミハラの歓楽街を見やった。
「街でも騒ぎがあったそうだが」
「は、ヒラサカ・ドームで事故が。おそらく敵はドームの騒ぎに乗じて魔界の門を襲撃したものと」
「であれば時機が合っていない気がするが。ときに、そこで何か催し物でもあったか?」
「オークションが開かれ、我が社からも水城ゆきかぜを出品……」
「何だと!?」
長らく魔界で要人警護の任にあたっていて、ヨミハラの事情にすっかり疎くなっていたイングリッドが、金色の目を剥いて眦を吊り上げた。
「ゆきかぜは魔界に送られ、淫魔族の手で苗床に改造されるはず!」
「え? あ、む、無論です! なので洗脳した奴隷娼婦を、ゆきかぜそっくりに……」
女戦士が口ごもり目を逸らす。それを見逃さなかったイングリッドは、今にも斬りつけんばかりの勢いで詰問した。
「確かか? なら本物のゆきかぜは宮殿にいるのだな?」
「……いえ、存じません。我々の役目は警備なので、ゆきかぜと顔を合わせることは」
「水城不知火はどこだ? あの女がゆきかぜを調教していたはず」
「先ほど、ドームでの騒ぎを受け歓楽街を偵察する、と」
「直ぐに連絡を取れ」
魔界騎士の命令に、女戦士たちは顔を見合わせた。
「ま……魔界の門の警備と防諜部門とでは管轄が異なりますので、通信回線が……」
「それを寄越せ」
女戦士のスマートフォンを引っ手繰ったイングリッドが、彼女の胸を指さす。
「私も市街地へ出向く。その方は速やかに宮殿へ取って返し、不知火との繋ぎを付けよ。連絡はこれで受ける」
「イングリッド様が、歓楽街へ? いや、敵の陽動作戦はタイミングずれで失敗したのですから、今更」
「命に従え!!」
「仰せの通りに!」
一喝された女戦士は腕が折れた痛みも吹き飛び、ノマドの本社ビルへと走っていく。遠くの歓楽街を睨みつけるイングリッド。
「もしも……」
正確な情報を得られず、そのことを疑問に思ってすらいなかった配下のふるまいを思い出し、魔界騎士の手に持つ剣から黒紫色の炎が立ち上った。
「もしも、魔界の門への襲撃こそが陽動作戦だったとしたら……?」