対魔忍は洗脳に弱くアナルも弱い オーク・プリンスに堕とされる強く美しい女達 作:ASSタリスク
「何で出れないんだよ! テロリストがいるんだぞ!」
「エレベーターの使用には優先順位がありまして……」
「ふざけんな! ヒラサカ・ドームで毒ガスが使われたんだぞ!」
「俺たちに死ねっつってんのか!」
「寄越せよそれ!!」
地下都市ヨミハラと東京荒谷区を繋ぐ巨大エレベーターホールの前で、ガスマスクや密閉型パワードスーツを装着した警備チームに対し、ヨミハラ住人と、それほど裕福でない観光客が食って掛かる。付近の通りにある店には混乱に便乗した強盗が押し入り、一帯は暴動の様相を呈していた。
その混乱の中、色落ちしたよれよれのTシャツを着て、染みのついたハーフパンツと泥汚れのついたスニーカーを履き、パンパンに膨れ上がったリュックを背負うオークの少年が暴徒と化した人々の背を見つつゴミだらけの大通りを歩く。
警備チームの1人が構えたショットガンを真上に発砲し、彼に掴みかかろうとしていた人間が轟く銃声に悲鳴を上げた。急ごしらえの防衛線の向こう側では、大企業の重役その愛人ら、奴隷娼婦を買いに訪れた国内外の富豪などが一足先にエレベーターへ乗り込んでいる。
「財前!」
左脇からかかった声にオークの少年、財前太は立ち止まった。エレベーターホール前を一望できる路地裏のアパート。その2階のベランダに、パーカーとダメージジーンズを着こなす青少年と思しき年頃の男が立ち、手すりに両肘を乗せて地面を見下ろしている。毛先が首に触れるほどの青みがかった銀色の髪と、閉ざされた右目を見た太が笑みを浮かべた。
「ふうまくん!」
「こっちは見るな。念のためだ」
五車学園の学生対魔忍にしてふうま宗家の現当主、ふうま小太郎にそう言われたオークの少年は、アパートの非常口前に積み上げられた箱の上に腰を下ろし、スマートフォンを取り出して画面を操作するフリを始めた。
「会えて良かったよ。あとはお前だけだったからな」
「ボクだけ? 相州さんと上原くんは?」
「蛇子も鹿之助も無事だ。エレベーターホールのコンテナに隠れてる。」
「……水城さんは?」
「ゆきかぜは、静流先生がナノマシンの除去剤を注射してひとまず命が助かった。ただ副作用で衰弱していて、1人じゃ歩くことも出来ない。今は蛇子が面倒を見てる筈だ」
小太郎の言葉に、太は深く息を吐いた。ゆきかぜ救出作戦を立案した静流の判断により、太は自分がやることしか教えられていなかったのだ。スマートフォンから少しだけ顔を上げたオークの少年が口を開く。
「ふうまくんが、指揮を執ってるってこと?」
「指揮官は静流先生だよ。俺は良く言えば行動隊長、悪く言えば先生の使い走りだな。今は、みことに撤退の指示を出すタイミングを待ってる」
「みこと、さん?」
「学園に帰って、機会があったら紹介してやるよ」
話を切り上げた小太郎が、エレベーターホール前の騒ぎを撮影する演技をしながらメッセージアプリの画面に目をやる。書き込みのほとんどは、ハンドルネーム「Mikoto@ヨミハラ観光CHU♡」によるものだった。
『ヒラサカ・ドーム前! 人が沢山倒れててやば!』
『ノマドのビル近くでも事件発生っぽい!』
『エレベーターに乗れないって! 帰れなくなったかも~!』
といったお気楽な文章の殆ど全てにヨミハラの監視カメラ映像が添付されており、各企業の警備部隊や市街地にいるノマド社員の動向、そして暴徒の流れを丹念に追跡している。
「でも良かった。ボクたち、成功したんだよね?」
「まだまだ。エレベーターが動くまで後30分はあるし、ゆきかぜを脱出させた後は俺たちもどうにかして逃げなきゃ……何だと?」
メッセージアプリの流れが急に速まり、小太郎の隻眼が忙しなく動く。
『イングリッド様来たー!』
『超かっこいい!』
『エレベーターホールの前で会えるかも♡』
「どうかした?」
「イングリッドが……魔界騎士が来る。ノマドの本社ビルから、真っすぐここに! バレたのか? よりにもよって……!」
それまで落ち着き払って太に状況を説明していた小太郎が、声を荒げて手すりを掴む。その様子を、太が不安そうに見上げた。
「高坂先生に連絡を取ったら?」
「ダメだ。静流先生に勝てる相手じゃないし、俺たちなんか戦いにもならない! 凛子先輩なら、もしかしたら……いいや、ゆきかぜを守れなくなる! どうするか……」
ノマドCEOエドウィン・ブラックの最側近であり、ブラックを守るノマド最強の護衛。凡人はもちろん、アサギなど極少数の例外的な実力者を除けば対魔忍ですら端から勝負にならない上位存在。それが魔界騎士イングリッドなのだ。冷静さを失おうとしている小太郎を見つめる太の脳裏に、不知火との会話が蘇る。
≪魔界騎士イングリッド。彼女の命を受けた魔族の戦士たちは死をも厭いません≫
不知火は、イングリッドを彼女と呼んだ。一度目を閉じた太が深呼吸し、ゆっくりと赤い目を開ける。
「……ボクが行く。イングリッドを足止めするよ」
「はぁ? 無理だ! 殺されるぞ!」
「うん。最後には殺されると思う。けど、絶対に足を止めてみせる」
「何を根拠に……」
「井河先生はボクをヨミハラに行かせる時、課外授業って言ったんだ。だからやり遂げたい。水城さんを、絶対に学園へ帰す」
向こう見ずなことを言い出した太に、小太郎は何かを言いかけた。だが深々とため息をついて首を横に振り、スマートフォンを操作する。直ぐに、太の端末から通知音が鳴った。
「なぁ財前」
「うん?」
「稲毛屋のアイス、覚えてるか?」
積みあがった箱から飛び降りた太の背中に、小太郎は言葉を続ける。
「今度は、俺が奢る」
オークの少年は小太郎に背を向けたまま、上げた右手を大きく振った。
歓楽街の入り口で降車し、一夜で荒れ果ててしまったヨミハラの通りを単身歩くイングリッド。その彼女の頭上から叫び声が上がった。
「泥棒めっ!! ウチから盗めると思うなよ!!」
「……チッ」
声と共に降ってきた、口を結んだピンク色のコンドームを、イングリッドは見もせずに剣を一閃させて切り裂いた。中に入っていた液体が零れ、微量の飛沫が深紅のマントと褐色の太ももにかかる。魔界騎士は不快げに口角を下げるも特に気にした素振りを見せない。ほぼ全ての毒物や劇物はイングリッドの肉体に害を及ぼせず、傷を負ったとてたちどころに癒えるからだ。
「もっ! 申し訳ございませえぇんっ!!」
「下郎、道を開けよ」
何事も無かったかのように歩き出したイングリッド。その前に走り出て這い蹲った太が、自身を傲然と見下ろす魔界騎士の美貌を泣きながら見上げた。
「まさかイングリッド様とは思わず、大変なご無礼を! 御覧の通り、馬鹿で臆病な人間どもが暴れ回った後で!」
「道を開けよと言っている。斬り捨てられたいか!」
イングリッドの鋭い言葉にオークの少年は土下座したまま、真後ろへ後ずさった。
「何卒! 何卒お助け下さい!対魔忍の奴らが、暴徒を扇動しているようなんです!」
「……対魔忍と言ったか?」
「はいっ! 奴ら、怪我をしたか病気になったらしい仲間をかくまっていて、それで騒ぎを起こしてるんです!」
太の涙ながらの訴えに、イングリッドは剣の柄にかかった手を離す。ヒラサカ・ドームのテロ、魔界の門への襲撃、エレベーターホール前の暴徒たち、行方不明となったゆきかぜ。ヨミハラの混迷に関わる全ての出来事が対魔忍というキーワードで結び付けられ、イングリッドは頷いた。
「良かろう。奴らの巣に案内せよ」
「有難うございます! こちらです!」
短い足をちょこちょこ動かし早歩きで先導しようとする太を、イングリッドが睥睨する。久しくヨミハラへ来ていなかった彼女の目には、静流の指示で見すぼらしい服に着替えた太が地元のオークにしか見えなかった。だからヨミハラの中でもひと際薄暗い路地裏へ、しかも袋小路へ案内されるまでは疑問を呈することさえしなかった。
「さあどうぞ! どうぞこちらへ」
「行き止まりのようだが」
「はい!」
媚びへつらう笑みを浮かべた太が、怪訝な表情を浮かべたイングリッドに揉み手する。
「勇名轟くイングリッド様にお運び頂いたからには、ご助力を賜るより先に、心ばかりのおもてなしをさせて頂かねばと」
「オークの饗応など受けるつもりはない」
「どうかそう仰らずに。確かにボクは卑しいオークです。けど、オークのペニスの良さはお認め下さいますよね?」
「痴れ者が……」
金色の目を怒りにぎらつかせた魔界騎士。その瞳が不意に焦点を失い、数秒経った後、露骨な軽蔑の表情を浮かべてオークの少年を見下した。
「思い上がりも甚だしい。我が身、我が心の主はブラック様ただおひとり。オークのチンポに我がマンコを穢させるなど考えられぬ」
「勿論です。なのでおもてなしはアナルセックスのみで。イングリッド様の尊いオマンコには、お許しを頂かない限り指一本触れるつもりはありません」
「尻の穴だと。つくづく生殖猿は見境がないのだな」
鼻で笑うイングリッドに、太もへつらい笑いを返す。
「良かろう。だが尻穴とはいえオークの薄汚いチンポを挿れるのだ。事が済んだ後はその無礼を罰しなければならない。我が剣でチンポを斬り落とされ、我が炎で生きながら全身を焼かれる覚悟が、果たしてその方にあるのか?」
「……はい、イングリッド様。命がけで務めさせて頂きます」
「フッ、よくぞ言った」
凛とした美貌に微かな笑みを湛えたイングリッドはマントの下の黒衣をはだけさせ、形の良い乳房の頂に咲く濃い目の色の乳首と、ハート型にカットされた陰毛を茂らせた秘所をさらけ出す。
先ほど投げつけられたコンドームに入っていた液体は、静流が太の精液から生成した、女を堕とすための特製軟膏を水で薄めたものだったのだ。それを極少量とはいえ肌に浴び、更に太からセックスの誘いを受けた魔界騎士はマントを脱ぎ捨て、オークの少年に背を向け双臀に手を掛け広げてみせる。
「せいぜい、私を愉しませることだな」
「出すよっ!」
「お゛っほお゛おぉんっ!?♡」
ヨミハラの薄汚い路地裏。両手を頭の後ろで組み、ガニ股になって腰をヘコヘコと使っていた半裸のイングリッドは、背後から太に貫かれて汗だくの褐色ボディを仰け反らせ、舌を突き出しながら11回目のアナルアクメに達した。
「その辺の対魔忍なんか相手にならない実力者っていうけど、ここまでアナルが弱いなんてね」
「お゛っ♡……お゛っ♡……ほぉっ♡」
太の初射精で直腸を精液漬けにされたイングリッドは、2度目の射精で結腸から大腸まで白濁に染め上げられた。しゃくりあげるオークチンポの動きに合わせ、窄めた唇から野太いオホ声を絞り出す。
「しかもお尻の穴はとっくに洗浄済みだったし。何? 魔界の上流階級ってアナルセックスが流行ってるの?」
「だぁっ、だまれえっ♡ 愚弄はゆりゅさんっ♡ 私は、おぉっ♡ あの御方にいつ、どのように求められてもよいように……そっ、そこ、ぐりぐりやめりょぉっ♡」
肛門絶頂を繰り返してろれつが回らなくなってきたイングリッドが、許しがない限り触れないはずだった濡れ濡れマンコに中指を突っ込み、皮を剥いたクリトリスを転がす太を肩越しに振り返り、潤んだ金色の瞳で睨みつける。
「ブラックさんだっけ? その人としょっちゅうズコバコしてる割にはチンポ欲しがり過ぎじゃない? もしかして最近ご無沙汰だったのかな?」
「ふううぅっ♡ し、してないっ♡ 一度も……一度も、抱いて下さったことは……」
「えーっ?」
オークの少年の短足に合わせてガニ股になったままのイングリッドの肉感的な尻を撫で上げた太は、腰を上下左右に動かし根元まで突っ込んだオークチンポで精液まみれのアヌスを掻き混ぜつつ、わざとらしく驚きの声を上げる。
「イングリッドみたいな人に好かれてるのに手を出さないなんて、その人の周りはよっぽど美女揃いなんだねえ。そうだとしたって、ボクなら絶対そんな寂しい思いをさせないのになぁ」
「くひぃんっ♡ お、オークが……身の程を弁えろ、おぉっ♡」
黒緑色のイボ付き肉棒で腸内を荒らされ、魔界騎士はオークの少年の腰遣いに合わせてむっちりした褐色尻をぷるんぷるんと降りたくる。くびれた腰ともあいまって、大型の肉食蜂を思わせるしなやかでセクシーなイングリッドの後姿を眺めながら、太は言葉を続ける。
「君みたいな人が、それこそお尻まで綺麗に洗って待つほどの人なわけだから、ブラックさんは臆病とかインポとかじゃなくて、凄く思慮深い人なんだよね」
「そ、ぉっ♡ そうだっ♡ 我が主、ブラック様の……深遠なる御考えは、私如きには測りがたくっ♡……あおぉっ♡」
2度目の射精後、あっという間に活力を取り戻したオークチンポの出し入れで腸内を掘り返されるイングリッドは、太の言葉に頷きながらも抽送に応じるように腰を振った。イボを生やし血管を浮き立たせた黒緑色の男根の侵略を腸壁で味わう誇り高き魔界騎士が、半開きの口から涎を垂らした。
「てことは、手を出されないのはイングリッドが悪いんだ。性欲強すぎなんじゃない?」
「何をっ……んおっ♡ おおっ♡ おぉんっ♡ おう゛ぅっ♡」
イングリッドの汗だくの顔が気色ばんだが、たんったんっとリズミカルに腰を尻に打ち付ける太のピストンに金色の瞳が焦点を失い、割れ目から白く濁った本気汁を滴らせて桃色の髪を打ち振る。
「普段からあんな、おっぱい揉んでください、おまんこに指入れてくださいって感じの服着てるのもそうだけどさ、見下してるオークにお尻掘られただけでここまでオホっちゃうのは、やっぱり問題アリだと思うよ」
「でたらめを言うな! オークに掘られてオホるなど有り得っ……おほおぉっ♡」
アヌスを抉られクリトリスを抓られた魔界騎士が、何度目かのアクメを極めて仰け反った。そんな彼女の、熱のこもった桃色髪の香を胸一杯吸い込んだ太は、褐色の背中にキスしながら言葉を続ける。
「だからさ、ボクが助けてあげるよ」
「ふーっ♡ふーっ♡ 何、だと?」
「イングリッドだって、24時間365日ブラックさんの隣にいるわけじゃないでしょ? その時はボクとエッチして少しでも性欲を発散させるんだよ」
魔界屈指の強さを誇るイングリッドの褐色尻をオークチンポでほじくる太が、にんまりと笑った。
「そうすれば、ブラックさんはきっと落ち着いた雰囲気のイングリッドを気に入って、その内ベッドにも誘ってくれるはず。そう思うでしょ?」
「し、しかし……オーク如きと交わるのは……」
「細かいことに拘ってちゃダメだよ!」
「あ゛ひぃんっ!♡」
パァン!と尻をひと叩きされ、赤い手形をつけられた魔界騎士が腰をくねらせ、直腸の締め付けが増すのを感じながら、太はピストンを速めていく。
「状況を分かってるの? イングリッド。このままブラックさんと結ばれなかったら、君はオークのハメ穴で終わっちゃうんだよ? それで良いの?」
「……わ、分かった。これからも、そ、その方と」
「太って呼んでね」
「これからも、太に抱かれるっ♡」
「へへっ! 良いよぉ、幾らでもケツハメしてあげるからね」
「おっ♡ ほっ♡ ほっ♡ おお゛っ♡」
太との今後のアナルセックスまで受け入れさせられたイングリッドは、猛烈なピストンに押し出されるようにしてオホ声を上げ、自身も懸命に腰を振り、尻を後ろへ差し出す。舌を突き出して荒い呼吸を繰り返すその痴態に、魔界騎士としての誇りは既にない。
「出すよ、イングリッド!精液浣腸、愉しんでね……っ!」
「んおおぉっ♡ イぐっ♡ か、浣腸でっ♡オークの精液浣腸でイっく、ううぅんっ♡」
3度目の迸りを腸奥に感じ、その熱と悦びに溺れたイングリッドが鼻にかかった悩まし気な声を上げ、褐色の肉体をくねらせながら深い絶頂に身を委ねた。そして太が最後の一滴まで注ぎ終えた後、前のめりに倒れて尻を高々と掲げる。犯され終えたアヌスがぽっかりと開くも、媚薬成分を含んだオークの特濃精液は糊のように腸壁にへばりつき、零れ出てこない。
「イングリッド様! どちらにいらっしゃるのですか!」
「くっ! 何だ、この入り組んだゴミ溜めは……」
「GPSが機能しない。ドローンを飛ばせ!」
背後から聞こえる魔族の女戦士たちの声に、太はよろめきながら後ずさり、その場に座り込んだ。ノマドは魔界の門の防衛を優先させる、というのは不知火の言葉だったが、この非常時に指揮官と連絡がつかなければ当然、捜索隊が出される。そして彼女らが袋小路にいる犯されたてのイングリッドとオークを見つけた後、どう行動するかは自明だ。
「時間は稼いだ……皆、上手くやってね」
迫る足音を耳にしつつ、極度の緊張の所為で体力の尽きた太は震える吐息を零しながら目を閉じ、両手で顔を覆う。その時、丸々とした緑色の身体を泡音を立てる水球が包み込んだ。水の表面が発光し、周囲の景色を取り込む。直後やってきたノマドの警備隊員らが、何もない袋小路を一瞥した後、ローター音と共に飛び去るドローンを見上げ、そのまま走り去っていく。
呆然とした表情で、自分の周囲を取り囲む不思議な水を見上げるオークの少年。不意に水球の一部が広がり、そこから現れた対魔忍スーツ姿の水城不知火が微笑を浮かべ、太に手を差し伸べた。
「君にしては上出来よ、財前太くん。降って湧いた幸運を、勇敢に掴み取った」
ヨミハラ歓楽街の裏通り。廃アパートの一室に匿われた太は、不知火の太腿を枕に、彼女の爆乳を顔の右半分に押し付けられながら、呆けた表情で口を開いた。
「ゆきかぜを助けさせる所までは、何となく予想してた。対魔忍を裏切ったって、自分の娘だけは逃がしたくなったりするのかなって」
「悪くない読みね。ありきたりだけど」
「でも、ボクをまだ殺していない理由が分からない。もしこの後捕まって拷問されたら、不知火がノマドを裏切ったことがバレちゃう」
ぽかんとした様子のオークの少年に、不知火は笑いながら首を横に振る。
「君が自白した程度で私の立場が悪くなるはずないでしょう? 今回のことは、充分に計画した上で実行に移したの」
「ゆきかぜを助けるために?」
またしても首を横に振った不知火が、口元の笑みはそのまま、赤い瞳に冷たい光を湛えた。
「ゆきかぜを魔界に送り苗床に改造する計画を防ぐ為に、よ。そして、ノマドの内部情報を五車学園に渡す為でもある」
「内部情報、って……」
「あの子の首輪は工具無しじゃ外せない。そして外そうとすれば必ず、中に仕込んだ記録媒体に気付く」
太の頭を撫でながら、不知火は続ける。
「静流の手並みは相変わらずだったわね。抜かりはないけれど、自分の賢さをひけらかす機会は逃さない」
「貴女は……」
「さっきからどうしたの? もう不知火って呼んでくれないのかしら、ご主人様?」
艶やかに微笑む不知火を見上げながら、太は唾を飲み込む。
「前にも、訊いたけど……一体、何でなの?」
その問いかけに、不知火は赤い視線を一時外し、窓の外の景色を見た。収まりつつあるエレベーターホール前の暴動を瞳に映り込ませる。
「太くん。対魔忍とは一体何だと思う?」
「魔族から人間を守る超能力者たち」
「100点中50点の答えね」
口角を下げた美熟女が深呼吸する。
「遥か昔より人魔の間で守られてきた相互不干渉という暗黙の掟は、人が外道に堕ちたことで破られた。分かる? すべて人間が始めたこと。魔族は招きに応じただけ」
不知火は続ける。
「そして人間の堕落はますます酷くなるばかり。だから、魔の侵略から人の世を守るという五車学園の戦い方は、既に敗北が運命付けられている」
太から離れ、オークの少年をやさしく床に横たえた不知火が窓辺に歩み寄り、目を細めて再び口角を上げる。
「人魔の境に立つ守護者。それこそが対魔忍の本分。体制の手先となるだけでは足りない。誰かが、「向こう側」にも立たなければ」
「その為なら、自分の娘にも奴隷娼婦の調教をするってこと?」
「勿論。この戦いに、大き過ぎる犠牲などない」
かつて裏切り者の汚名を自ら被った美熟女が嫣然と微笑み、胸を張って爆乳を弾ませた。
「そして私は君の戦いを見届けた。財前太。今日をもって、君は対魔忍になったの」
「……喜んで良いのかな」
「さぁ? 自分の持つ才能を仕事に活かせるっていうのは、悪くないんじゃない?」
口元に手を当て喉を鳴らした不知火は、血のような赤い目で太を見下ろす。
「君も気付いているでしょう? 自分の持つ特別な力に。確かに太くんはコロコロして可愛らしい所もあるけど、オークと進んでセックスしたがる女の子なんて、本来そう多くない筈だわ」
答えない太を見て笑みを深くした不知火が部屋から出ようとする。そんな彼女を、オークの少年が目で追った。
「これからどうするの?」
「最後の後始末が残っているのよ」
「ゆきかぜには、会ってあげないの?」
太の最後の問い掛けに、「幻影の対魔忍」は泡音ひとつ残して姿を消した。