常識改変プロデューサーとアイドル 作:湯けむり桶
「……っていう夢を見たんだよ!Pサマ、聞いてる!?夢の中のぼく、マジで終わってたんだけど!アイドルの尊厳とか、ぼくがこれまで必死に守ってきた、清純派なイメージが、全部宇宙の彼方に吹き飛んでたんだからね!」
午後の柔らかな日差しが、会議室のブラインド越しに縞模様を描いている。その光の中で、夢見りあむはいつものように落ち着きなく足をバタつかせ、身悶えしながら、勢いよく身を乗り出してきた。
彼女の表情は、恐怖と、どこか自虐的な興奮が入り混じった、実に見事な「りあむ顔」になっている。
彼女が語り始めたのは、SNSでまたしても派手に大炎上し、事務所の株価すら動かしかねない事態に陥った結果、その「禊」として行われたという、世にも恐ろしく、そしてあまりにも卑猥なイベントの夢だった。
その名も、より深く、より直接的にファンへと感謝を伝えるための前代未聞のイベント――「握棒会」。
「『安心しろ、ファンの方々は普通に握手をしている、と認識するように常識を書き換えておくから』って笑顔で送り出すPサマ、マジで冷酷無比なサイコパスだったからね!?ぼくがどんなに泣いて叫んでも、会場のセキュリティはぼくの味方をしてくれないの!しかも、ぼくの衣装、マイクロビキニ一点張りなんだよ!?面積少なすぎだし、乳首目立ちすぎだし、もはや隠してる場所の方が少ないじゃん!」
ヤケになった夢の中の彼女は、長蛇の列をなす限界オタクたちのモノを、次々と自分の手で、優しく、時にはヤケクソ気味に激しく握りしめていったという。
握手をするはずの手が、熱を持った異物を包み込む。そのあまりにも柔らかな手の感触と、アイドルに直接奉仕されているという背徳的な事実に耐えきれず、会場内で絶頂を迎えるファンが続出。
イベントが終盤に差し掛かる頃には、りあむの白い肌はファンの放出した無数の体液でドロドロに汚れ、彼女は虚ろな瞳で「ぼく、もうお嫁にいけない……これ、なんてジャンルの動画……?」と力なく呟いていたのだとか。
「感想? 感想なんてあるわけないじゃん! 屈辱以外の何物でもないよ! ……でも……なんだろう、その……。ぼくの目の前で、皆がぼくの手の中でガクガク震えて、情けない声出しながら果てていくのを見たら……。オタクちょろすぎる……何やかや言うオタクもぼくがちょっと握ったらすぐにイっちゃうの。ぼくが唯一の救いなんだなーって……。反省……というか、ちょっとだけ優越感……? ああああ、今のなし! 今のなしだってば! 変な属性つけないで!」
顔を耳まで真っ赤にして絶叫するりあむ。俺はそんな彼女を、コーヒーを啜りながら冷めた目で見つめた。
「そうか。実はSNSでの例の炎上について、どうお仕置きするかアイデアに詰まってたんだ。……正夢にしてやろうか? りあむの言う通り、ファンの執着心を繋ぎ止めるには、それくらい極端な禊が必要かもしれないな」
「――っ!? ちょっ、待っ……! 無理無理無理! 本気で言ってる!?Pサマの目は笑ってないから怖いんだよ! 全力で謝るから!ぼく、もう二度と深夜の勢いでクソツイートしたり、炎上を煽るような自撮り上げたりしないからぁ!」
顔を真っ青にした彼女は、椅子から転げ落ちるようにして俺の腕に必死に縋り付いてきた。涙目で命乞いをする姿は、いかにも彼女らしい「負けヒロイン」の様相を呈している。俺はわざとらしく重いため息をつき、おもむろに立ち上がった。
「分かった。握棒会は一旦中止だ。……その代わり、別の形で、もっと直接的なお仕置きを受けてもらうぞ。そこに手をついて、後ろを向け、りあむ」
「え……。あ、お仕置きがそっちの方向なのは、Pサマも大概おかしいよね! マジキモい、職権乱用じゃん! 訴えたらぼくが勝つレベルだよ!?」
口では威勢よく文句を並べ立てながらも、りあむの瞳にはどこか安堵と、抗いがたい期待の色が混じっている。彼女は慣れた手つきで、会議室の重厚なテーブルに両手を突き、誘うようにして腰を高く上げた。
「……でも、いいよ。夢の中みたいに変なオタクたちに一斉に握らされるよりは、Pサマにめちゃくちゃにされる方が……一億倍マシだし。……それに、ぼくが悪いってわかってるから、好きなだけ……やっていい……よ」
何をされるか察して、頬を赤らめながら期待の眼差しを向けてくるりあむ。だが、俺は彼女の脳内に能力を叩き込む。
どんなに昂ぶっても、絶頂の瞬間に感覚が強制的にリセットされる。そんな地獄のような快楽の檻に、彼女を閉じ込める。
「……期待しているところ悪いが、これは『お仕置き』だ」
俺は彼女の秘部を指で容赦なく責め立てた。
「んっ……あぁっ♡何それ、Pサマ指使いエロすぎ……っ。こんなお仕置きなら、いくらでも受けてあげる……よぉ……ふふっ、もっと、激しくしてっ……!」
俺が能力を込めて指を鳴らすと、会議室は外界から完全に隔絶された。防音壁を超えた静寂が部屋を支配し、空気は密度の高い官能の色に染まる。
「ひゃうんっ!? ……あ、あぁ……っ。やば……マジでくる……っ。お仕置き、激しすぎ……っ。ぼく、溶けちゃうよぉ……っ」
「あ、くる……っ、いっちゃう、イっちゃ、……え?」
絶頂が弾けるはずの瞬間、りあむの表情が固まった。脳を突き抜けるはずの快感が、霧が晴れるようにスッと消え、代わりに強烈な焦燥感だけが残る。だが、体はすぐに次の波を求め、また一気に限界へと昇りつめる。
「あぁっ! ……えっ? また……あ、ああああぁぁっ!! ……なんで!? いけない、イけないよぉ!!」
絶頂の寸前でリセットされ、またすぐに絶頂を突きつけられる。終わりのないループ。脳が焼き切れるような焦燥と、満たされない快楽の暴力に、りあむの瞳から余裕が消え、涙が溢れ出した。
「た、たすけて……っ、もう無理、気が狂っちゃう……っ!Pサマ!お願い!イかせて、イかせてぇ!!」
「反省したか?」
「したっ、したからぁ!! 炎上させない、ぼくいい子にするからぁ! ごめんなさい、ごめんなさいぃ!!」
泣き叫び、許しを請うりあむ。俺は能力を解除し、りあむの弱い所を一気に突いた。
「んおお゛お゛ぉぉおっっん゛んんんんーーーーっ!!!」
声にならない悲鳴を上げ、りあむは全身を激しく痙攣させ果てた。堰き止められていた快楽が奔流となって彼女を飲み込み、そのまま意識を失いそうなほどの衝撃に震えている。
「……ふぅ、ふぅ……。すごかった……りあむちゃん、もう……Pサマの言うことしか聞かない……。炎上、もう、しません……」
俺の胸に顔を埋め、多幸感に包まれながら呟くりあむ。
……数時間後。
事務仕事が一息つき、ふと気になって彼女のSNSをチェックした。
『【速報】りあむちゃん、Pサマに仮眠室でボコボコにされて無事死亡wwwマジで腰抜けたわ。これからは清純派アイドルとして生きていく所存(大嘘)』
……画面には、頬を赤らめてピースサインをする彼女の自撮り。
俺は深いため息をつき、今度はどんなお仕置きを執行すべきか、静かに指を鳴らした。