常識改変プロデューサーとアイドル 作:湯けむり桶
雲一つない五月の青空から、柔らかな陽光が降り注ぐ午後。櫻井桃華の邸宅にある広大なローズガーデンの一角で、俺たちは優雅なティータイムを過ごしていた。
今日は丁度、櫻井桃華と休日の日が重なり彼女にお茶会に招かれていた。俺の前には、彼女が自ら吟味し、淹れてくれた特製のダージリンが、繊細なボーンチャイナのカップの中で琥珀色の輝きを放っている。
「プロデューサーちゃま、お口に合いますかしら? あなたのために、わたくし自ら茶葉を選び抜きましたのよ」
「ああ、最高だよ。桃華の淹れる紅茶は、いつ飲んでも心が落ち着く」
「ふふっ、光栄ですわ!わたくしの心を込めたおもてなし、存分に味わってくださいましね」
改めて見渡す櫻井家の邸宅は、何度訪れてもその威容に圧倒される。手入れの行き届いた庭園、重厚な石造りの外壁。そこで年相応の、それでいてどこか高貴な淑女の佇まいで微笑む桃華。他愛もない仕事の話や、最近見つけた可愛らしい小物の話など、穏やかな時間は砂時計の砂のように静かに流れていった。
だが、置時計が午後三時を告げる鐘を鳴らしたとき、俺は名残惜しさを感じつつも腰を上げた。
「……そろそろ時間だな。桃華、今日は本当にありがとう。素晴らしい休日になったよ」
俺が別れを告げようとしたその瞬間、桃華の瞳の奥で、一瞬だけ鋭い光が走ったのを俺は見逃さなかった。
「……あら、もうお帰りになってしまいますの? せっかくわたくし、今日は一日中おもてなしをさせていただくつもりでしたのに」
「そうしたいのは山々だけど、あまり長居してもご家族に悪いしね」
「心配には及びませんわ。今日、両親は夜遅くまで不在にしておりますの。それに……お帰りになる前に、プロデューサーちゃまにどうしても、見ていただきたいものがあるんですの」
桃華はどこか悪戯っぽく、それでいて有無を言わせぬ優雅な所作で俺の手を取った。案内されたのは、邸宅の奥深く、普段の客間とは明らかに趣の異なる重厚な扉の前だった。
「ここは……?」
「わたくしの、とっておきのお部屋ですわ。どうぞ、お入りになって」
扉の向こうに広がっていたのは、ローズガーデンの華やかさとは対照的な、深い赤と金を基調とした豪華絢爛な一室だった。壁を埋め尽くす蔵書、最高級の調度品。そして部屋の中央には、天蓋の付いた巨大なベッドが鎮座している。
圧倒され、言葉を失って部屋の奥へと歩みを進める俺。その背後で、カチャリ……という、金属が噛み合う小さな、だが決定的な音が響いた。
「桃華……?」
振り返ると、そこには扉の鍵を閉め、鍵をその細い指先で弄ぶ彼女の姿があった。
「そんなに驚かないでくださいまし。わたくし、申し上げましたでしょう? 今日は一日中、おもてなしをさせていただく……と」
桃華はゆっくりと、獲物を追い詰めるような足取りで俺に歩み寄る。その瞳に宿っているのは、幼い少女の純真さではなく、すべてを手に入れようとする支配者のような、妖しくも美しい色。
「お仕事もお外の喧騒も、今のあなたには必要ありませんわ。今日はのんびりといたしましょう。……さあ、こちらへ。今はここだけが、あなたの居場所なのですから」
彼女の小さな手が俺のネクタイを優しく引き、甘い香りの漂うベッドへと誘う。櫻井桃華のおもてなしは、どうやらここからが本番のようだった。
「ふふっ、驚いたお顔も素敵ですわ。……でも、ここからはレディの真心のたしなみ、その身でしっかりとご覧あそばせ」
桃華はそう告げると、櫻井の名の誇りを象徴するかのように、身に纏ったものを潔く脱ぎ捨てた。露わになったのは、まだ幼さを残しながらも、一点の曇りもない真珠のような肌。
彼女は迷うことなく俺の胸に飛び込み、その小さな身体で俺をベッドへと押し倒した。
俺は無理に抵抗することなく、彼女のなすがままに身を委ねた。桃華は勝利を確信したような笑みを浮かべ、俺の首筋に腕を回して深い接吻を交わす。彼女の舌が俺の口内を貪欲に、それでいて優雅に探索し、二人の吐息が熱く混ざり合う。
しばらくして唇が離れると、銀色の糸が二人の間に橋を架け、彼女の頬は熟した果実のように赤く火照っていた。
「……プロデューサーちゃま。冷めないうちに、わたくしを……お召し上がりになって?」
桃華は潤んだ瞳で俺を見つめ、震える指先で自らの秘部をそっと左右に開いて誘った。そこはすでに、彼女の情熱を物語るように蜜で溢れ、琥珀色の輝きを放っている。俺は彼女の純粋でいて大胆な誘いに応え、服を脱ぎ捨てると自らのモノを、その熱い入り口へとあてがった。
「っ、ふあ……。さあ、こちらへ……わたくしが、受け止めて差し上げますわ」
彼女の小さな手が俺の腰に添えられ、導かれるようにゆっくりと侵入を開始する。
「ぅあ、……っ……はぁ……っ! 素晴らしい、ですわ。あなたのすべてが、わたくしの中を満たしていく……」
最初は慈しむように、優しく腰を動かす。桃華は甘い声を上げ、未知の感覚を慈しむようにはしゃいでいたが、やがてさらなる刺激を求めて、俺の胸を軽く叩きながらねだった。
「もっと……もっと速く、激しくしてくださいまし! わたくしを、もっと、もっと花咲かせて……っ!」
彼女の切実な願いに応え、俺は動きのピッチを上げていく。加速する衝撃に合わせ、二人の呼吸が一つに溶け合っていく。激しくシーツを掴み、桃華は恍惚とした表情で声を上げた。
「あ、あぁ、っ! そう、これですわ……! わたくしを、世界で一番美しく、眩いほどに輝かせられるのは、プロデューサーちゃま……あなただけですわ……っ!」
さらにスパートをかけ、彼女の奥深くを激しく突き上げる。桃華は全身を震えさせ、すべてを受け入れるように足で俺の腰を強く絡め取った。
「あぁっ! まだ、まだ愉しみ足りませんわっ、けれど……っ! くる、きますわ! ああああぁぁぁ――っ!!」
桃華が限界を迎え、全身を痙攣させて果てた。その直後、俺もまた彼女の熱く、優しく包み込むような感覚に誘われるまま、すべてを解き放った。
しばらくの間、静まり返った部屋に二人の荒い息遣いだけが響いていた。桃華は俺の胸に顔を埋め、余韻を噛み締めるように静かに身体を預けている。肌から伝わる鼓動が、言葉以上の絆を俺たちに刻み込んでいた。
「……ふふっ。幸せ、ですわ。こうしてあなたと、心の奥まで繋がることができて」
桃華は顔を上げ、乱れた髪をそのままに、聖母のような、それでいて悪戯な少女のような笑みを浮かべた。
「今日のところは、これで満足して差し上げますわ。ですが……覚悟しておいてくださいましね? 次のお茶会も、わたくし、今日以上の特別なおもてなしを用意してお待ちしておりますわ。……ね、プロデューサーちゃま?」
櫻井桃華の秘密の部屋。そこで交わされた約束は、終わらない午後の静寂の中に、甘く、深く刻み込まれたのだった。