アークエンジェルの艦内に、人工的な夜である消灯時間が訪れていた。
通常照明が落とされ、通路は薄暗いフットライトの青白い光だけに照らされている。
回収されたユニウスセブンの氷塊は、水処理システムによって濾過と浄化を繰り返し、ようやく安全な飲料水と生活用水として艦のタンクを満たしていた。
その恩恵により、クルーたちには数日ぶりとなるシャワーの使用が特別に許可されたのである。
ひでもまた、割り当てられた士官用のシャワー室で、熱い湯を全身に浴びていた。
水圧は弱く、使用時間も厳しく制限されたものであったが、それでも筋肉にこびりついた極度の疲労と冷え切った汗を洗い流すには十分だった。
しかし、身体の汚れは落ちても、心に絡みついた重い鉛のような感覚は、いくら湯を浴びても洗い流すことができなかった。
「……」
ひではシャワーヘッドから降り注ぐ湯に顔を向けたまま、固く目を閉じた。
脳裏にフラッシュバックするのは、宇宙空間に無数に漂っていた、あのプラントの外壁やパイプの残骸である。
そして、その奥で凍りついていた人々の姿。
二十四万人という数字は、もはや個人の想像力を超えた絶望の質量となって、ひでの精神に重くのしかかっていた。
さらにひでを苦しめているのは、ストライクガンダムのパイロットであるキラ・ヤマトのことだった。
同胞の墓場を荒らし、怒り狂って襲ってきたザフトのモビルスーツに対し、ひではキラに反撃を命じた。
逃げていく敵の背中を撃ち抜けと、容赦のない命令を下したのだ。
それが、戦場で生き残るための唯一の正解であると、ひでは今でも信じている。
だが、正解であるからといって、十六歳の少年に人殺しの業を背負わせたという罪悪感が消えるわけではない。
「俺は、本当にあれでよかったのか」
ひでは濡れた前髪を無造作に掻き上げ、小さく呟いた。
軍の論理としては正しい。
だが、一人の大人として、あの繊細な少年の心を完全に壊してしまう手伝いをしたのではないかという疑念が、胸の奥底で鈍い痛みを放っている。
さらに、あのわけのわからない銀色のポッドから現れた、ピンク色の髪の少女のことも頭を悩ませていた。
ラクス・クラインと名乗った彼女の存在は、間違いなくこのアークエンジェルに新たな波乱を呼び込むだろう。
次から次へと押し寄せる非日常の連続に、ひでの神経は限界まで削り取られていた。
シャワーの制限時間を知らせるブザーが鳴り、湯が自動的に止まる。
ひではタオルで体を拭き、支給された簡素なルームウェアに袖を通した。
自室に戻ると、狭いベッドの上に腰掛け、腰のホルスターから九ミリ拳銃を抜き出した。
油布を取り出し、銃身やスライドの汚れを無心に拭き始める。
元自衛官としてのルーティンであると同時に、複雑に絡み合った思考を強制的に停止させるための、彼なりの精神安定のための儀式であった。
カチャッ、カチャリと、部品を分解し、組み立てる金属音だけが、静かな部屋に響いている。
その時だった。
「ひでさん、起きていらっしゃいますか?」
控えめな電子音のチャイムと共に、ドアの向こうから柔らかい女性の声が聞こえた。
鹿島である。
「ああ、起きている。入ってくれ、鍵は開いている」
ひでが答えると、ドアが静かにスライドして開き、鹿島が部屋に入ってきた。
彼女もまたシャワーを浴びたばかりなのだろう、少し上気した白い頬と、微かに湿気を帯びた銀色の髪から、石鹸の甘い香りが漂ってきた。
彼女は手になにかの容器を持っており、ひでの顔を見ると、どこか痛ましそうな表情を浮かべた。
「夜分遅くに申し訳ありません。香取姉さんから、ひでさんの様子を見てきてほしいと頼まれまして」
「そうか、香取の奴、俺が落ち込んでいるとでも思ったのか」
ひでは無理に口角を上げ、銃のスライドを引いて動作確認をしながら強がってみせた。
「心配をかけるようなことは何もない、水も手に入ったし、機体の修理の目処も立った。今はゆっくり休んで明日の警戒に備えるだけだ」
しかし、鹿島はその言葉を信じる様子もなく、ゆっくりとひでの隣に腰を下ろした。
彼女の柔らかい太ももが、ひでの足に微かに触れる。
「……香取姉さんは、ひでさんが一人で何かを抱え込んでしまうのではないかと、とても心配していました、そして、私も同じ気持ちです」
鹿島のまっすぐな瞳に見つめられ、ひでは拳銃の手入れの手を止めた。
彼女たちの目は誤魔化せない。
艦隊これくしょんの世界において、練習巡洋艦として多くの艦娘たちの心と向き合い、彼女たちを導いてきた鹿島には、ひでの心の奥底で血を流している傷口がはっきりと見えているのだ。
「ひでさん、銃を置いてください、そんな冷たい鉄の塊を磨いていても心は休まりませんわ」
鹿島はそっとひでの手から拳銃と油布を取り上げ、サイドテーブルの上に置いた。
そして、自分が持ってきた容器の蓋を開ける。
中には、温められたハーブティーのような飲み物が入っていた。
ほのかに甘く、心を落ち着かせる香りが部屋に広がる。
「補給物資の中に少しだけ良い茶葉が残っていたのです。さあ、どうぞ」
鹿島が両手でカップを包み込むようにして差し出す。
ひではそのカップを受け取り、一口飲んだ。
温かい液体が食道を通って胃に落ちていくと、強張っていた全身の筋肉が少しだけ緩むのを感じた。
「……美味いな」
「ありがとうございます」
鹿島はふわりと微笑み、そのままひでの横顔をじっと見つめた。
彼女の眼差しは、母性という言葉だけでは片付けられない、一人の女性としての深く情熱的な愛情に満ちていた。
「ひでさん……無理をなさらないでください。私たちにはもっと頼っていただきたいのです」
鹿島の声は、静かな夜の海のように深く、優しかった。
「頼っているさ」
「今日の戦闘だって、お前たちのサポートがなければ俺は間違いなくあのデブリの中で撃墜されていた。お前たちは俺にとって、なくてはならない存在だ」
ひではカップを両手で持ちながら、本心を語った。
「私が申し上げているのは、戦場でのサポートのことではありませんわ」
鹿島は少しだけ身を乗り出し、ひでの肩にそっと自分の肩を寄せた。
「ひでさんの心の重荷を、私たちにも分け与えてほしいということです」
「……心の重荷、か」
ひでは視線を床に落とし、自嘲気味に息を吐いた。
「俺はただの自衛官だ。特別な能力もなければ、高尚な理想もない。ただ、目の前の状況に対処して、お前たちを守って生き残ることしか考えていない。だが、それが結果的に、あの十六歳の少年を地獄の底に突き落とすことになった」
ひでの口から、ずっと心の奥底に封じ込めていた本音が、少しずつこぼれ落ちていく。
「キラに引き金を引かせた。あいつの同胞をあいつ自身の手で撃ち殺すように命じたんだ。生き残るためにはそれしかなかったと、今でも俺の理性が言っている。だが、あいつのあの泣きそうな声が頭から離れないんだ」
ひでの声が微かに震えているのを、鹿島は聞き逃さなかった。
強靭な肉体と、卓越した生存本能を持ち、どんな過酷な状況でも決して弱音を吐かない男。
その男が今、自分の行動の正当性と、人間としての倫理観の間で激しく引き裂かれている。
「ひでさん……」
「俺は自分が大層な大人だなんて思ったことはない。ただ、子供たちに業を背負わせるくらいなら、自分が全部の引き金を引いて、全部の恨みを被ってやればいいと思っていた………、だが、現実はそうじゃなかった………。俺一人の力じゃ、到底あの艦を守り切ることはできない。あいつの力を使わなければ、俺たちはみんな死んでいた」
ひではカップをテーブルに置き、両手で顔を覆った。
「自分が、とてつもなく卑怯で、汚い人間に思えるよ。お前たちのような綺麗で純粋な女たちのそばにいる資格が、俺にあるのかどうか……」
ひでの苦悩に満ちた言葉を、鹿島は静かに、そしてしっかりと受け止めていた。
彼女はひでを否定することも、安っぽい同情の言葉をかけることもしなかった。
ただ、彼の強さの裏にあるその脆さを、誰よりも深く、愛おしく感じていた。
「ひでさんは、卑怯でも汚くもありません」
鹿島の声には、一切の迷いがなかった。
「誰よりも優しくて、誰よりも責任感が強いからこそ、そんなにも苦しんでいらっしゃるのです。キラさんを守り、私たちを守り、アークエンジェルの皆を守るために、ひでさんは自ら悪役になることを選んだのです。その覚悟の重さを、私たちは痛いほどわかっています」
鹿島は両手を伸ばし、顔を覆っているひでの大きな手を、そっと包み込んだ。
彼女の手はとても温かく、そして、ひでの凍りついた心を溶かすような不思議な力を持っていた。
「私たち練習巡洋艦は、多くの艦娘たちを戦場へと送り出してきました。中には、まだ幼い心を持った子たちもたくさんいました。彼女たちに戦うことの厳しさを教え、時には非情な命令を下さなければならないこともありました」
鹿島は自身の過去の記憶を辿るように、静かに語り続ける。
「その度に、心が張り裂けそうになりました。自分が鬼になったような気がして、夜も眠れない日々もありましたの。だから、ひでさんのその苦しみは、私にはよくわかります」
ひでは顔を上げ、鹿島の瞳を見つめ返した。
彼女の青い瞳の奥には、同じように責任という重圧と戦い、傷ついてきた者だけが持つ、深い共感の光が宿っていた。
「鹿島……、お前たちにまで、背負わせたくはなかったんだがな……」
ひでのその言葉は、もはや強がりではなく、完全に鎧を脱ぎ捨てた一人の男としての素直な本音であった。
かつて、自衛官として、常に自分が誰かを守る立場であり、誰かに弱音を吐くなどということは絶対に許されないと自らを律してきた。
しかし、鹿島の果てしない包容力を前にして、彼の中でピンと張り詰めていた心の糸が、音を立てて解けていくのを感じた。
「背負わせてください。私たちは、ひでさんに守られるだけの弱い女ではありません。ひでさんの喜びも、悲しみも、そして罪の意識も……すべてを一緒に分け合いたいのです」
鹿島はそう言って、ゆっくりとひでの胸元へと顔を近づけた。
「……鹿島」
ひでの声が、掠れたように甘く響く。
「もう、無理をして一人で立っていようとしないでください。今夜は……私が、ひでさんをすべて受け止めます」
鹿島の言葉には、練習巡洋艦としての深い母性と、一人の愛する男に向けられた情熱的な女としての愛情が入り混じっていた。
彼女はひでの首に両腕を回し、その引き締まった背中にそっと手を添える。
そして、自分からひでの広い胸へと身を預けた。
彼女の豊かな胸の膨らみが、薄いルームウェア越しにひでの身体に押し付けられ、甘い体温が直接伝わってくる。
「……いいのか?俺は今、お前が思っているほど立派な男じゃないぞ」
ひでが最後に残った理性で確認するように尋ねると、鹿島はひでの胸元に顔を埋めたまま、フルフルと首を横に振った。
「立派な男でなくてもいいのです。ただの、傷ついた一人の『ひでさん』
でいてください」
鹿島の甘い吐息が、ひでの首筋にかかる。
その温もりと、石鹸の香りと、彼女の絶対的な肯定感が、ひでの理性の壁を完全に打ち崩した。
戦場の狂気の中で削り取られた人間らしさを、彼女がその身を呈して埋め合わせようとしてくれているのだ。
「……ありがとう、鹿島」
ひでは、自らの腕を鹿島の細い腰に回し、力強く抱き寄せた。
鹿島の身体がビクッと震え、そして嬉しそうに吐息を漏らす。
宇宙の闇に浮かぶアークエンジェルの、この狭い一室だけが、彼らにとっての唯一の安息の地であった。
冷たい鉄の壁に囲まれた世界で、互いの体温だけが、自分たちがまだ人間として生きているという確かな命の証明なのだ。
鹿島は、ひでを優しく抱きしめ、彼の頭を自身の胸に引き寄せた。
鹿島の胸の鼓動。
トクン、トクンという一定のリズムが、ひでの耳に心地よく響く。
それは、彼女が確かに生きているという証であり、冷たい宇宙空間にあって最も温かい命の音だった。
「ひでさん……」
鹿島の声が、頭上から優しく降り注ぐ。
彼女の指先が、ひでの少し硬い黒髪に触れ、子供をあやすようにゆっくりと梳いていく。
その心地よい感触に、ひでは無意識のうちに深く息を吐き出し、強張っていた全身の力を抜いた。
「こうしていると、自分がどれだけ張り詰めていたのかがよくわかるよ。情けない話だが、今のお前の体温がなければ、俺は正気を保てなかったかもしれない」
ひでが素直に弱音を吐露すると、鹿島はさらに強く彼を抱きしめた。
「情けなくなんてありませんわ。ひでさんは、誰よりも強い人です。でも、強い人だって、誰かに寄りかからなければ倒れてしまう時はあるのです。だから、今は私に……すべてを委ねてくださいませ」
鹿島の言葉には、教練巡洋艦として多くの艦娘を導いてきた深い母性が溢れていた。
彼女は今、傷ついた一人の戦士を癒やすために、自らのすべてを捧げる覚悟を決めている。
ひではゆっくりと顔を上げ、鹿島の瞳を見つめた。
薄暗い照明の中でも、彼女の青い瞳が潤み、熱を帯びているのがわかる。
その熱は、単なる母性や同情だけではなく、一人の女性として愛する男に向ける情熱の炎であった。
「鹿島……」
ひでの大きな手が、鹿島の頬にそっと添えられる。
彼女の肌は驚くほど滑らかで、そして熱かった。
「私でひでさんの傷が癒えるのなら……、どんなことでもいたしますわ」
鹿島は目を閉じ、ひでの手に向かって自ら頬を擦り寄せた。
その無防備で愛らしい仕草に、ひでの中で押し殺していた男としての衝動が静かに目を覚ます。
ひでは鹿島の顎に手を添え、少しだけ上を向かせた。
そして、その桜色の唇に、自らの唇をゆっくりと重ねた。
「んっ……ふぁっ……ちゅっ……」
鹿島の喉の奥から、甘い吐息が漏れる。
初めての口付けは、ただ互いの体温を確かめ合うような、優しく触れ合うだけのものだった。
しかし、それが一度、二度と繰り返されるうちに、ひでのキスは次第に深く、熱を帯びたものへと変わっていく。
「あ……ひでさん……んんっ……はぁっ……」
鹿島はひでの広い背中に回していた腕に力を込め、彼の服をきつく握りしめた。
ひでの舌が、鹿島の唇の隙間を割り、彼女の口内へと侵入する。
熱い舌先が絡み合い、互いの唾液が交じり合うたびに、鹿島の身体がビクッと跳ねた。
「んくっ……ちゅっ……はぁっ……んんっ……んぁっ……」
息継ぎのために唇が離れると、二人の間に銀色の糸が引いた。
鹿島の瞳はすでにトロンと潤み、熱を帯びた視線でひでを見つめ返している。
ひでは鹿島の身体を軽々と抱き上げ、狭いベッドの上へと静かに横たえた。
「本当に、いいのか?」
ひではベッドに沈み込んだ鹿島に覆い被さるようにして、最後にもう一度だけ確認した。
「俺はお前が思っているほど優しい男じゃないかもしれないぞ。一度火がついたら手加減してやれないかもしれない」
その言葉に、鹿島は頬を真っ赤に染めながらも、ふるふると首を横に振った。
「手加減なんていりません。ひでさんのすべてを、私の中に刻み込んでくださいませ……」
その言葉が、ひでの理性の最後の一線を完全に断ち切った。
ひでは鹿島の着ている簡素なルームウェアのボタンに手をかけようとし、ふとそこで動きを止めた。
「その前に、一つだけ確認しておきたいんだが」
「なんでしょうか……?」
「お前たち練習巡洋艦は、互いに感覚や思考を共有できる特別なリンクがあるんだったな。……今のこの状況、香取に筒抜けになっていないだろうな?」
ひでが目を細めて尋ねると、鹿島は恥じらいに頬をさらに赤く染めながらも、くすくすと悪戯っぽく微笑んだ。
「ふふっ……ご心配なく。香取さんとの感覚の同期(リンク)は、ひでさんのお部屋に入る前に、しっかりと切断してありますわ」
「そうか。なら、遠慮はいらないな」
「ええ……でも、香取さんは私の一部のようなもの。私がこうして、ひでさんに愛されて幸せを感じているという温かい波長自体は……きっと、向こうにも伝わっていると思いますわ」
鹿島はひでの首に腕を回し、その耳元で甘く囁いた。
「でも、今から起こる具体的なことは……私とひでさんだけの、秘密の時間です。誰にも邪魔されず、存分に私を味わってくださいませ」
鹿島の肯定を得て、ひではゆっくりと彼女のルームウェアを脱がせていく。
鹿島の白い肌が、少しずつ室内の薄明かりに晒されていく。
彼女は恥ずかしさから両手で顔を覆い隠したが、その指の隙間からひでの動きをじっと見つめていた。
「恥ずかしがらないでくれ。お前の全部を、俺に見せてほしい」
ひでの低く掠れた声に、鹿島はビクッと肩を震わせ、顔を覆っていた手をゆっくりと下ろした。
ルームウェアが完全に開かれ、彼女の豊かな肢体が露わになる。
教練巡洋艦としての誇り高き制服の下に隠されていた、女性としての豊満な膨らみ。
雪のように白い肌と、その頂で薄紅色に色づく双丘が、ひでの呼吸に合わせて微かに上下している。
ひでの手が、その柔らかな膨らみを包み込んだ。
「あっ……!ひやあっ……!だめっ、そんな風に触られたら……っ」
鹿島が甲高い悲鳴のような声を上げ、身体を大きく反らせる。
これまで誰にも触れられたことのない純潔な胸に、大人の男の無骨で大きな手が触れたのだ。
その感触は、彼女の想像を遥かに超える鮮烈な刺激となって、脳天を突き抜けた。
「ひでさん……そこ、だめです……っ」
「んあっ……変な声が、出ちゃいます……っ、はあっ……!」
鹿島は涙目で懇願するが、ひでの手は止まらない。
彼は自衛官として培ってきた指先の繊細な感覚を、今は目の前の女性を愛でるためだけに使っていた。
右手の指にある、小銃の引き金を絞り続けたことでできた硬いタコが、鹿島の敏感な肌を擦る。
そのザラリとした感触が、鹿島に未知の悦びをもたらしていた。
「ひでさんの手……大きくて、少し硬くて……ああんっ!」
「でも、すごく……温かいです……はぁっ、んんっ……あっ!」
ひでの親指が、薄紅色の頂を優しく弾く。
その瞬間、鹿島の口から甘い喘ぎ声が絶え間なく零れ落ちた。
「んああっ!はあっ、ああっ……!ひでさん、ひでさんっ……!もっと、もっと強く……っ!」
彼女の身体が弓のようにしなり、ひでの腕の中で激しく悶える。
教練巡洋艦として、常に冷静で知的であることを求められてきた彼女が、今や一人の女として、ただ快感の波に翻弄されていた。
「鹿島、すごく綺麗だ。お前の温もりが、俺の凍っていた心を溶かしてくれる」
ひでは鹿島の耳元で甘く囁きながら、その首筋から鎖骨、そして胸の谷間へと、ゆっくりと口付けを落としていく。
ひでの唇が触れるたびに、鹿島の肌は赤く火照り、甘い汗が滲んでいく。
彼女の頭の中は、すでにひでへの愛おしさと、彼から与えられる快感で真っ白になっていた。
「ひでさん……もっと……っ」
「ああっ……もっと、私に触れて……はぁっ、はぁっ……」
鹿島は自らひでの頭を抱き寄せ、その熱い唇を自身の胸へと押し付けた。
ひでは鹿島の誘いに応えるように、その豊かな膨らみを口に含み、舌先で優しく転がした。
「ひやあっ!ああっ!ひでさん、ひでさんっ!そこ、すごいですわっ……!」
「んあっ、んんっ……!吸われてるっ……ひでさんに、吸われてますわっ……!ああんっ!」
鹿島の甲高い声が、狭い部屋に響く。
彼女の腰が浮き上がり、シーツを握りしめる手に力がこもる。
ひでは鹿島の胸を愛撫しながら、もう片方の手を彼女の平らな下腹部へと滑らせた。
そこからさらに下へ、彼女の純潔の証が隠された秘所へと指を這わせる。
「あっ……だめ……そこは、まだ……いやあっ……」
鹿島は無意識に両足を閉じようとするが、ひでの大きな手がそれを優しく、しかし力強く押し広げた。
「大丈夫だ、痛いことはしない。俺に全部任せて力を抜け」
ひでの落ち着いた声が、鹿島の恐怖心を和らげる。
彼女は小さく頷き、ひでの手に自らの身体を委ねた。
ひでの指先が、鹿島の熱く濡れそぼった秘境に触れる。
すでに彼女の身体は、ひでを受け入れるための準備を完全に整えていた。
蜜が溢れ出し、ひでの指を滑らかに奥へと誘い込む。
「ああっ……!んんっ!ひでさんの指が……入ってきますわっ……!」
鹿島の秘所にひでの指が入り込むと、彼女は雷に打たれたように身体を震わせた。
内部の柔らかな粘膜が、ひでの指をきつく締め付けてくる。
ひでは鹿島の反応を確かめるように、ゆっくりと指を動かし始めた。
浅く、そして深く。
その規則的なピストン運動が、鹿島の内に眠っていた官能を完全に呼び覚ます。
「んあっ……!はあっ、ああっ!ひでさんっ、ひでさんっ……!そこ、だめっ……!すごく、気持ちいいですわっ……!」
「奥がっ……奥が擦れて、頭が真っ白に……ああんっ!あっ、はあっ、ああっ!」
鹿島の口から、もはや言葉にならない甘い喘ぎ声が絶え間なく溢れ出す。
彼女はひでの肩にしがみつき、その背中に爪を立てた。
教練巡洋艦としての理性は完全に吹き飛び、ただ目の前の男に悦びを与えられるだけの、一人の女へと成り果てていた。
ひでは鹿島の表情を見つめながら、彼女が十分にほぐれたことを確認した。
「鹿島」
ひでは指を抜き、自らの熱く昂った男の証を、鹿島の入り口へと宛がう。
「俺の全部を、お前の中に刻み込むぞ」
鹿島は涙で潤んだ瞳でひでを見つめ返し、力強く頷いた。
「はい……っ」
「私を、ひでさんの女にしてくださいませ……!」
その言葉を合図に、ひでは腰に力を込め、鹿島の中へとゆっくりと侵入を開始した。
かつて誰にも侵されたことのない処女の膜が、ひでの進軍を阻む。
しかし、鹿島の熱い蜜と、ひでの優しくも力強い押し込みによって、それは静かに破られた。
「ああっ……!んぐっ……!」
鋭い痛みが鹿島の身体を貫き、彼女はひでの背中を強く掻き毟った。
ひでは直ちに動きを止め、鹿島の頬に流れる涙に口付けを落とす。
「痛いか鹿島?ごめんな、少しだけ我慢してくれ」
ひでの気遣いに満ちた言葉に、鹿島は激しく首を横に振った。
「痛く……ありませんわ……っ」
「ただ……ひでさんが……ひでさんの熱いのが、私の中にいることが……嬉しくて……はあっ……」
鹿島はひでの首に腕を回し、自ら腰を浮かせて彼をさらに奥へと招き入れた。
「奥まで……全部、入ってきてくださいませ……っ」
その健気な姿に、ひでの胸の奥が熱くなる。
彼は鹿島の言葉に甘え、残りのすべてを彼女の最奥まで一気に突き入れた。
「ああっ!んんっ!入った……全部、入りましたわっ……!はあっ、ああっ!」
二人の身体が、隙間なく完全に密着する。
ひで自身も、鹿島の信じられないほど熱く、狭い内部に締め付けられ、理性が飛びそうになるほどの快感を覚えていた。
お互いの体温が混ざり合い、心臓の鼓動が重なり合う。
冷たい宇宙空間の狂気の中で、ここだけが唯一の温かい命の揺り籠であった。
「動くぞ、鹿島」
ひでは鹿島の耳元で囁き、ゆっくりと腰を動かし始めた。
最初は痛みを和らげるように、優しく、浅いストロークで。
しかし、鹿島の内部が彼の動きに馴染み、彼女の口から痛みの声の代わりに甘い喘ぎ声が漏れ始めると、その動きは徐々に激しさを増していった。
「あっ!はあっ!ひでさんっ!ああっ、ああっ、奥が……っ!当たって……っ!」
「んあっ、はあっ!すごいっ、ひでさんの硬いのが……一番奥までっ……!ああんっ!」
鹿島の豊かな胸が激しく揺れ、白い肌が汗で輝く。
ひでの力強い突き上げのたびに、彼女の身体はベッドの上で跳ね上げた。
教練巡洋艦として、常に優雅で落ち着いていた彼女の姿はここにはない。
あるのはただ、愛する男に翻弄され、快感の濁流に溺れる一人の女の姿だけだった。
「鹿島……お前の中、すごくいい……、俺の全部が溶けてしまいそうだ」
ひでの荒々しい息遣いが、鹿島の耳を打つ。
彼のその言葉が、鹿島の女性としての本能をさらに強く刺激した。
自分がこの人を癒やしている。
この強くて優しい大人の男が、今、自分の中で快感に溺れ、自分を求めてくれている。
その事実が、鹿島にとっては何よりも勝る悦びであった。
「ああんっ!だめ、だめですわっ……!私、おかしくなっちゃいますっ……!ひでさんっ、ひでさんっ!」
「ひでさんで、頭が真っ白にっ……!はあっ、ああっ、ああんっ!もっと、もっとっ……!」
鹿島は自ら腰を振り、ひでの動きに合わせて彼をより深く迎え入れる。
内部の襞がひでをきつく締め付け、極上の快感を与え返す。
二人の交わりは、もはやどちらが癒やし、どちらが癒やされているのかわからないほど、深く、激しいものになっていた。
「鹿島……!いいぞ、すごく締まってる。俺の全部を、お前の奥底で受け止めてくれ!」
「ああっ!!だめ、だめですわ……っ!そんな、そんなに奥まで……っ!あ、あ、あぁぁぁっ!!私……、ひでさんで、おかしくなっちゃいます……っ!もっと、もっと激しく……、……あぁっ、あぁぁっ!!」
絶頂の予兆が、二人の身体を激しく揺さぶった。
ひでは腰の動きを加速させ、彼女の最奥を容赦なく打ち据えた。
鹿島の呼吸は完全に乱れ、白目を剥きそうな快楽の渦に呑み込まれていく。
彼女の内部が、ひでをかつてないほどの力で締め付ける。
「くるか、鹿島!一緒にいくぞっ!」
「あ……、……あああぁぁぁっ!!きます、ひでさん……っ!私、私……!ああああああああぁぁぁぁぁっ!!」
ひでは鹿島の最奥に深く突き入れたまま、自らの熱い命の源を、彼女の胎内へと勢いよく解き放った。
「んんんっっ!!」
「ああああぁぁぁんっっ!!」
「ひでさんのっ、熱いのがっ……、ああっ、あああぁぁぁっ!!」
鹿島は絶頂の波の中で、ひでの熱を自らの中に直接受け入れる悦びに打ち震えた。
快感の余韻が何度も彼女の身体を駆け巡り、彼女はひでの広い胸の中で力なく痙攣を繰り返した。
ひでもまた、荒い息を吐きながら鹿島の身体に深く覆い被さり、その温もりを全身で感じていた。
やがて、激しい嵐が去った後のような静寂が、狭い部屋に訪れた。
二人は汗ばんだ身体を寄せ合い、同じ毛布に包まっている。
ひでの腕の中で、鹿島は彼の胸に頬をすり寄せ、幸せそうに目を閉じていた。
「……痛くなかったか?」
ひでが優しく髪を撫でながら尋ねると、鹿島は小さく首を横に振った。
「痛かったのは最初だけですわ」
「あとは……ただ、ひでさんと一つになれたことが嬉しくて……」
鹿島は少しだけ顔を上げ、ひでの顎にチュッと軽いキスを落とした。
「私、ちゃんと……ひでさんの女になれましたか?」
その潤んだ瞳で見つめられ、ひでは彼女をさらに強く抱きしめた。
「ああ、もちろんだ、お前は最高にいい女だよ。お前のおかげで、俺の中の淀んだ空気が全部入れ替わった気分だ」
ひでの言葉は、決して彼女を慰めるためのお世辞ではなかった。
死と狂気が渦巻くこの世界で、自分が何のために戦い、誰を守るべきなのか。
鹿島の温もりが、その答えを再び明確に教えてくれたのだ。
「よかったですわ……」
鹿島は安堵の息を漏らし、再びひでの胸に顔を埋めようとした。
しかし、ひでの腕がそれを許さず、彼女の身体を再びベッドの上に仰向けに寝かせた。
「ひでさん……?」
鹿島が不思議そうに瞳を瞬かせると、ひではまだ硬さを失っていない自身の熱を、再び鹿島の濡れそぼった入り口へと宛がった。
「最高にいい女を前にして、一回で満足できるほど、俺は枯れちゃいないんだ」
ひでの瞳に、再び獰猛な男の熱が宿っているのを見て、鹿島は期待に胸を震わせた。
「ひでさん……はあっ……」
「明日からの厳しい戦いの前に、もう一度……いや、朝まで何度でも、お前を抱かせてもらうぞ」
ひでの熱い言葉と共に、彼は再び鹿島の最奥へと深く突き入れた。
「ああっ……!また、ひでさんの大きなのが……入ってきますわっ……!ああんっ!」
「いいぞ、鹿島。もっとお前の声を聞かせてくれ」
「はいっ……!私の全部を、何度でも、ひでさんのものにしてくださいませっ……!」
「んあっ、ああっ!ひでさんっ、はあっ、はあっ!一回目よりも……奥まで、当たってますわっ……!ああんっ!」
ひでの激しいピストンが再開され、鹿島は一回目よりもさらに敏感になった身体で、凄まじい快感の波に呑み込まれていく。
二回目は痛みが完全に消え去り、ただ純粋な悦びだけが彼女を支配していた。
「ああっ!んっ、はあっ!ひでさん、ひでさんっ!もっと……私を、ひでさんでいっぱいにしてくださいっ……!はあっ、ああっ!」
「鹿島、お前のここ、本当に俺を狂わせる……っ!これで最後だ、全部出し切ってやる!」
「ひやあっ!!はあっ、ああっ!こわれっ、壊れちゃいますわっ……!あ、あ、あぁぁぁっ!!ひでさん、ひでさんっ……!私を、もっとめちゃくちゃにしてくださいませっ!あぁっ、あぁぁっ!!」
限界を超えた快楽が、再び二人を絶頂の淵へと突き落とす。
「いくぞ、鹿島っ!」
「あ……、……あああぁぁぁっ!!愛してます、ひでさん……っ!愛してますわぁぁぁっ!!ああああああああぁぁぁぁぁっ!!」
「~~~~っ!!」
「~~~~っ!!」
「~~~~っ!!」
再び狭い部屋に、肌と肌がぶつかり合う激しい音と、鹿島の果てしない喘ぎ声が響き渡る。
互いの命を削り、そして与え合うような、甘く濃密な第2ラウンドが幕を開けたのだった。
明日からも、厳しい戦いが続きますわね。
事後の微睡みの中で、鹿島がそう呟いたことをひでは思い出す。
ザフトの追撃、ラクスという新たな火種。
アークエンジェルには問題が山積みであり、彼らのような小さな存在が生き残ることは、決して容易ではない。
しかし、ひでの腕の中には今、朝まで抱きしめ合った確かな体温と鼓動があった。
それは、どんなイデオロギーや大義名分よりも重く、尊いものであった。
こうして二人は、死に満ちた宇宙の片隅で、確かに明日を生き抜くための「命の証明」
を互いの身体と心に深く刻み込んだのだった。