戦記エロゲーの最強悪役貴族に転生したので暴虐のかぎりを尽くそうと思ったのに、なぜかヒロインたちに激重感情を抱かれるようになった 作:佐間野 隆紀
終わらない宴 ♥
「おい、なんだ貴様ら。今宵はわたしが主と同衾する予定であったはずだが?」
「そんな予定はないわ。イェルバウトさまもお疲れなのだから、まずはともに湯浴みでもして疲れを癒やしていただかないと……」
「であれば、その役目は専属侍女であるわたしが担うべきでしょう」
「ねぇ、イェル、なんでこんなにいっぱいオンナがいるの? 帰ったらたっぷり可愛がってくれるって言ってたよね?」
(待て待て、なんだこの状況は……)
イェルバウトの居城ラクオルに戻ってきたその日の夜、俺はこの世界に降り立ってから最大にして最悪の難所を迎えていた。
執務室でディミトリと此度の戦についてや俺が不在にしていた間の報告などを長々と受け、ようやく解放された矢先のことである。
最初に執務室を訪ねてきたのはエルザだった。
それからほどなくしてルナニアが現れると、なにを思ったのか呼んでもいないのにメリッサまで姿を見せた。
そして、最後にダメ押しとばかりにリリエラが部屋の中に飛び込んできてこの状況というわけである。
(ど、どうすりゃいいんだ……!?)
俺は早くも困惑の極みにあった。
以前にもエルザとルナニアによる想定外の修羅場イベントがあったにはあったが、これは少しレベルが違う。
こんな完全無欠のハーレムイベントなんて、実際のゲームではイェルバウト側はもちろん主人公であるアルトリウス側でも存在しない。
これまでどんな難局であってもイェルバウトの仮面でやり過ごしてきた俺だが、それはあくまでも『こういった状況に対してイェルバウトならこうするだろう』という予測に則ってのことである。
だが、さすがにこんな想定外すぎる状況を前にしては『イェルバウトならどうするか』という発想すら思いつかなかった。
「ええい、埒が明かぬ!」
やがて痺れを切らしたようにエルザが吼え、そのまま勢いよく執務用のデスクを飛び越えてくると、椅子に座る俺の上に無理やりその体を押し込んでくる。
「お主さま、エルザは寂しゅうございました……!」
そして、そのままひしっと俺の体を強く抱きしめると、下着越しの自身の秘部を俺の股間に押し当てるようにしながら艶めかしく腰を揺すりはじめた。
「ちょっと! 待ちなさい、エルザ!」
「待てるものか! 貴様らと違ってわたしは一週間以上もご無沙汰なのだぞ!?」
ルナニアが慌てて制止するが、エルザは苛立たしげにそちらを一瞥しながら吐き捨てると、すぐさまこちらに向き直って甘えるようにその瞳を潤ませる。
「お主さま、どうかまずはエルザにご寵愛をくださいませ……」
そんなエルザの姿に、状況を見守っていたリリエラが呆れたように嘆息した。
「ねぇ、ちょっとシスティナ、なんなの、あの魔族の女」
「わたしはルナニア。その名で呼ばないでって言ってるでしょ」
ルナニアはルナニアで苛立たしげにそう応じるが、一方のリリエラは気にした様子もなく言葉を続ける。
「なんでもいいけどさ、イェルって魔族の女まで骨抜きにしちゃうわけ?」
「知らないわよ。わたしがイェルバウトさまに見初められたときには、もういたんだもの」
もともと旧知の仲であるからか、ルナニアのリリエラに対する口調はエルザに対するものよりもさらに砕けたもののように感じられた。
ただ、なんというか、見初められたっていう言いかたはちょっと聞いてて恥ずかしいからなんとかしてほしいかな……。
「貴様らさえいなければ、今もお主さまはわたしだけのものだったろうに……!」
どうしても後ろのやりとりが気になってしまうのか、グルルと獰猛に喉の奥で唸りながらエルザが身を捩って二人を睨みつける。
しかし、その言葉を耳にした瞬間、それまで折り目正しく佇んでいたメリッサが眼鏡の奥の瞳を怪しく輝かせた。
「その台詞、個人的にはそのままお返ししたいところですが」
「侍女風情が戯けたことを……!」
今度はエルザとメリッサの間でバチバチと火花が散りはじめる。
いや、もうマジでどうなってんの、コレ……。
「ねぇ、もうメンドくさいから、みんなで順番にヤっちゃわない?」
そんな中、唐突にリリエラが奇妙なことを言い出した。
「イェルバウトさまには申し訳ないけど、確かにこのまま啀み合っていてもしかたないものね……」
「賛同いたします」
何故かルナニアとメリッサも素直にそれに同意して、デスクをぐるりと回り込みながら大挙してこちらへと押し寄せてきた。
「お、おい、待て……!」
思わず素の反応をしてしまう俺を気にした様子もなく三人は凄まじい膂力で俺とエルザを抱え上げると、そのままベッドのほうまで担ぎ込まれてしまう。
「ええい、余計なことを……!」
さすがにエルザもこの状況には戸惑いを隠せないようだが、それでも俺の腰の上からは退こうとしない。
「うるさいなぁ。ゴチャゴチャ言ってないで、さっさとはじめてよ。あとがつかえちゃってるんだからさ」
リリエラはリリエラで、勝手に俺のズボンを脱がしはじめた。
もはやこの場において俺の意思は尊重されないものらしい。
「お許しください、イェルバウトさま。わたしたちはもうあなたのご寵愛がなければ生きていくことができないのです」
ルナニアもまた口では申し訳なさそうにそう告げながらも、情欲に染まった瞳でこちらを見つめながらゆっくりと上衣を脱がせてくる。
「これもあなたが我々に愛を与えたがゆえですよ、閣下……」
枕元に座って上から俺の顔をじっと覗き込んでいたメリッサが、普段の無感情な顔つきからは想像もつかないほど柔らかな笑みを浮かべながらそう囁いた。
「んぁぁ……♡」
――と、そうこうしているうちに、股間に甘美な刺激が走る。
気づけばいつの間にか一糸まとわぬ姿になったエルザがその秘部に剛直を納めており、感激に打ち震えるように瞳を潤ませながら味わうようにねっとりと腰をグラインドさせていた。
「やっと、やっとお主さまがわたしの腟内《もと》にお還りくださった……♡」
「大袈裟なヤツ……魔族って初めて見たけど、みんなこんな感じなわけ?」
すぐ横でその様子を眺めていたリリエラが半眼でぼやく。
「あっ、ふぁっ♡ もう二度と、離しませぬっ♡ んっ、くぅっ♡ エルザは、エルザは常にお主さまのおそばにぃっ♡」
一方のエルザはそんな横槍など最初から気づいた様子もなく、徐々にその動きも激しさを増していった。
最初は艶めかしく前後に揺れる程度だった腰使いも、いつしか音を立てるほどの強烈なピストン運動に変わっている。
気持ちの昂りに呼応するかのようにフサフサの尻尾も忙しなく振り乱され、その動きと連動して蜜壺もまたうねるように蠕動する。
「そんなにシッポ振ってさ、もう魔族ってより、ただの犬じゃん」
リリエラは退屈そうに嘆息すると、なにを思ったのかおもむろにエルザの尻尾へとその手を伸ばした。
「んぁぁっ……!? や、やめよっ……! あっ、はぅっ……♡ ひ、ひさしぶりなのに、いきなりそんなところ触られたらっ……♡」
尻尾はエルザにとって性感帯のようなものだ。
その身を激しく痙攣させながらもなんとか声を押し殺して快感の波に耐えようとしているエルザだったが、その様子を見たリリエラが意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「へぇぇ、シッポが弱いんだぁ?」
そのままエルザのほうに身を乗り出すと、片方の手でその褐色の肌を撫で上げながら、もう片方の手で激しく尻尾を摩りはじめる。
「はぁぅっ♡ だ、だめっ♡ こんなっ♡ あっ、あっ♡ こんなふうにされたらっ、すぐにキちゃうからぁっ♡」
いよいよ押し寄せる快楽に耐えきれなくなったのか、エルザがだらしなく舌を伸ばしてその身を震え上がらせながら喘ぐ。
「ん、ちゅ……イェルバウトさま、エルザが果てましたら、次はわたしにご寵愛をくださいませね……ぁむ、れぅ、れろれろ……」
そんな中、俺のほうはひたすらルナニアに口の中を犯され続けていた。
これまで好き放題にし続けてきたことへの贖罪でもさせられているかのように、今度は俺のほうがやられ放題というありさまだ。
「空いている期間で考えれば、次はわたしの番だと思いますが」
そして、俺の枕元に寄り添いながら子どもでもあやすかのように優しく髪を撫で続けてくれていたメリッサが、まったく自重する様子もなくギロリとルナニアを睨みつける。
「なっ……あ、あなたはあくまで侍女でしょう? ここは騎士であるわたしたちに順番を譲るべきでは……」
「確かにそうですが、わたしも従軍しておりましたし、なによりあくまで閣下の専属侍女であって、あなたがたに対して特段に遠慮をしなければならない立場ではありません」
エルザに続いてルナニアとまで火花を散らしはじめるメリッサの姿に、俺はもうただ言葉を失うことしかできなかった。
「イェルバウトさま……!」
「閣下、次はわたしを愛してくださいますよね?」
ルナニアとメリッサが同時にその視線をこちらに向けてきて、俺はもう完全にお手上げ状態だった。
いつもならイェルバウトの仮面を被って上手くやり過ごせいたはずなのに、こんな状況ではそれすらもままならない。
「んぁぁっ♡ お主さまっ♡ だめですっ♡ エルザは、エルザはもうっ……んくぅぅ――――――ッ♡」
さらに下半身のほうではエルザが早くも絶頂を迎えていて、蠢く蜜壺がこれでもかというとキツく剛直を締め上げてくる。
その痺れるような感覚は、このような状況でなければ俺も一緒に果ててしまっていたかもしれないと思わせるほど甘美なものだった。
「あふっ……♡ んぅ……♡ お主さまぁ……♡」
エルザは俺の上で大きくその身をのけぞらせ、断続的に痙攣を繰り返しながら荒い吐息を漏らし続けている。
俺の位置からでは豊満な乳房の影に隠れてその表情は窺いしれないが、この様子だとすでに意識を失っている可能性が高そうだ。
「うはぁ……魔族って、イっちゃうときもいちいち派手なんだね。まあ、こっちとしては好都合だけどさ」
そんなエルザの様子にリリエラが驚きの声を上げるが、すぐにニンマリと蠱惑的な笑みを浮かべてみせると、今度はすっかり弛緩して力の抜けてしまったエルザの体を無理やり担ぎ上げる。
「んしょっ……と」
ズルリとエルザの膣内から無理やりペニスを引き抜かれる感覚に、思わず変な声を上げそうになってしまった。
しかし、リリエラはそんな俺になど気づいた様子もなく、蠱惑的な笑みを浮かべながら今なお天高くそそり立つ剛直の上に跨ってくる。
「へへっ……♡ イェル、約束どおりたぁーっぷり可愛がってね……♡」
「あっ、ちょっと、リリエラ!」
異変に気づいたルナリアが慌てた様子で背後を振り返るが、そのころにはもうリリエラの秘唇がしっかりと根元まで俺のペニスを咥えこんでいた。
「んはぁぁっ……♡ すごいよっ……♡ イェルでボクの腟内《なか》がいっぱいにっ……♡」
ろくに準備もしていないはずなのにリリエラの蜜壺はトロトロにほぐれていて、早くも俺の射精を待ち望むかのように陰茎を包み込む肉襞が蠢きはじめている。
「もうっ! イェルバウトさま、次こそはわたしですからね!?」
「いいえ、わたしです」
そんなリリエラの姿にルナニアがいよいよこちらを睨みつけながら憤りを露わにし、負けじとメリッサも俺の頭を抱きかかえてくる。
(ダメだ、もうシナリオどおりに進む未来が見えねぇ……)
俺はもうイェルバウトの仮面を被ることすら諦めて、とにかくこの想定外のハーレムイベントが無事に終わることだけを祈っていた。
すべては俺の身から出た錆ではあるのだが、それにしたってこんなことになるとは思いもよらなかった。
考えようによっては、ここまで本来のシナリオを大きく変えずに歩んでくることができただけでも上出来だったのかもしれない。
とはいえ、いよいよ今後はそれも難しくなってくるだろう。
もちろん、当初の目的を見失ったわけではない。
どんな経緯であれイェルバウトの体を借り受けてしまった以上、彼に恥じない生き様を貫き、最後は華々しく散ってやろうという覚悟に変わりはないつもりだ。
だが、気持ちの面ではそうであっても、現実としてそれを実現できるかどうかは話がまた別であることが、今になってようやく理解できた。
だから、すまない、イェルバウト……。
どうやら俺に、おまえの覇道は歩めそうにない。
第一部 『狂君は覇道を歩めない』 完
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本エピソードをもって、第一部完結となります。
第二部以降については現在準備中であり、
早ければ年内の何処かでお披露目できるものかと考えております。
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それでは、また第二部でお会いしましょう。