※この作品はR-18です。

ビルドファイターズ・レイヴン   作:コウサカさんちのコーヒー

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56:VSコーテックス

 

 大勢の観客が見つめる会場中央の特設ステージ。煌びやかな照明が注ぐステージ上で、バトルユニットを挟んで並ぶ二つのチーム。

 東京からきた高校チーム『聖鳳学園ガンプラバトル部』。

 関西から現れたダークホース。有志チーム『コーテックス』。

 

 制服姿の三人と私服姿の三人。大勢の観客を前に緊張する様子もなく、運営MCの紹介を受けて試合に対する意気込みを簡単に語り、バトルユニットのシステムを立ち上げ、GPベースとガンプラをセットする。

 ステージ上のスミオ達はユニットとプラフスキー粒子が描く操縦ブースに阻まれ、コーテックスの三人娘がセットした機体を確認できない。

 

『バトルスタートッ!!』

 MCとシステムが同時に開戦を宣言した。

 

 戦いの舞台は『ア・バオア・クー8』。

 初代ガンダムのラストステージである小惑星要塞ア・バオア・クーの”内部”ステージだ。原作においては明確な内部構造の描写が乏しかったけれど、ガンプラバトルの『ア・バオア・クー8』では低重力環境で原作に無い拡張増設区画が主体のステージだ。

 

 作業用MSや超大型重機に貨物艇の搬出入用大型立坑を中心に横坑や斜坑の連絡通路が比較的広い空間―――作業用MSや重機の駐機場や簡易整備ハンガーなどに繋がっている。

巨大立坑(グレートシャフト)の底にはガンプラバトルのファイター達が『ジオフロント』と呼ぶ岩肌が剥き出しの地下掘削場がある。

 言い換えるなら、機動の範囲が大きく制約される限定空間の戦場。

 

 通常のMSであるスミオとフミナは問題ないが、飛行形態で固定されているエリのデルタプラスには厳しい環境だ。加えて地下空間という関係上、電情戦も通じ難い。

 もちろん飛行機物シューティングゲームよろしく狭隘な連絡通路を駆け抜け、広場で滞空して戦うことも不可能ではない。なんせデルタプラスの本質は飛行機ではなくモビルスーツで、ここは低重力の小惑星だから。

 よって、聖鳳学園の戦術は我梅学院を相手にした時と同じく、猟犬と狩人。スミオが単独行動し、エリとフミナがペアを組む。

 

 ただし電子戦が通じ難い環境であるから、デルタプラスの装備は大幅に変更されている。

 胴体下の索敵系ユニットは限定空間内向けに再セッティング。翼の上下ハードポイントには正面制圧用のスプレーロケットポッドと各種支援用弾頭の小型短距離ミサイル。機体上部にはフミナのためのウェポンキャリアを搭載。

 要約すれば、エリはフミナの専属サポートマシンとなっていた。

 

 聖鳳学園の三機は宇宙側からサイド3を護る最終防衛線の小惑星要塞へ赴く。小惑星の深部に達する巨大立坑の口は固く閉ざされており、脇の斜坑から進入するしかない。

「ダンジョン攻略に挑む冒険者みたいな気分です」フミナが両手持ちレールガンを抱え直す。

「復路や生還を気にしなくて良いだけ楽さ。ミノタウロスを討つことだけ考えれば良い」

「アリアドネの糸も要りませんか?」

 静かな殺気を滲ませるスミオへ、エリが小さく微笑む。

 

「エリがぼくらのアリアドネだよ」

「アリアドネ……? オルフェンズに出てきた惑星間航行管制システムですか?」ガンダムオタクなフミナが小首を傾げた。

 スミオはくすりと笑い、エリとフミナへ告げる。

「行こう。冒険の時間だ」

 機動兵器を操る冒険者たちが警告灯が照らす斜坑の口へ入っていく。

 

      〇

 

 ガンダムに限らずロボット物が描く要塞内部や地下施設は絡繰り巨人が大立ち回り出来るほどバカでかい、というのが通り相場だ。大抵は隔壁を幾つも備えたハイテク地下施設だが、ジャブローやアクシズのように岩肌が剥き出しの地下洞窟染みた場所を備えた例もある。

 

 システムが描く『ア・バオア・クー8』は拡張増設工事中に一年戦争末期の最終決戦を迎え、作業中止・計画放棄された区画という設定。そのため、この手のゲームにありがちな内部を煌々と照らす照明機器は存在しない。

 

 弱々しい事故防止警告灯が仄かに浮かび上がらせる斜坑通路の様相は、気密プレートで真四角に成形され、ゾッとするほど清掃が行き届いている。ゴミ一つ落ちていない。メタな視点で言えば余計なオブジェクトを配さなかっただけなのだろうけれど、プラフスキー粒子の描く現実味が強すぎて、酷く不気味に見える。

 

「光を出すな。バイザーライトを絞って、各種ライトを切れ」スミオがフミナとエリへ告げた。完全な闇の中で光を放つことは自身の存在を暴露するだけだ。リスクしかない。

 

 光力の足りない斜坑通路は通常の光学系がほとんど役に立たなかった。増幅強化と近赤外線のフュージョン式暗視が映し出す映像とセンサー群が捉えた情報によるリアルタイム視覚化データが頼りだ。

 

 2体の人型機動兵器と1機の前進翼機はプラフスキー粒子が描く暗い迷宮内を進む。

 区画内は低重力こそあれど、大気はない。つまり音は届かない。それでも物体を振動が伝播するし、熱や電波や磁気などを探りながら、聖鳳学園の三人は無音の暗い迷宮を進む。

 フミナは強烈な緊張感に身体が自然と汗ばみ、喉が渇いていく。空調の利いた会場施設に居ることを忘れそうになる。

 

 緩く傾斜した斜坑通路が不意に平行な横坑へ変わり、警告灯が絶えた。

 仄かな灯明も消えた通路は粘りつくような完全な闇。

 けれどハイテクな暗視がメインディスプレイに投影する通路内は酷くクリアで、非人間的なまでにがらんどうだった。

 深海染みた暗黒の闇。人間の痕跡が完全に存在しない迷宮。生じる音は自機内で生じる駆動音と無味なシステム音だけ。

 

 下手なホラー映画よりよっぽど怖い状況の中を進む。スミオは軽口を叩かない。エリも余計なことは言わない。フミナは敵と突発遭遇する恐れより想像力が生む不安の方が大きかった。

 

 先行するスミオが横坑通路を塞ぐ隔壁扉の前で止まり、隔壁扉の端末へレーザー接続。天井の稼働灯が点り、その範囲だけ闇が切り取られた。

 隔壁扉がゆっくりと開かれて、通路を微かに震わせて停止。扉の先には赤い警告灯が有視界外まで定間隔で並び、地の底へ通じていた。

 巨大立坑(グレートシャフト)。

 

 工事が完成していたら、ア・バオア・クー駐留軍の大部隊が出入りする通路になるはずだったらしい大穴。

 今は奈落の底に通じる巨大穴だ。

 

 フミナはごくりと生つばを飲み込み、言った。

「部長、先行してください。私とエリ先輩は20秒後に続きます」

 

「私が先行した方が良いのでは?」強力な索敵系を持つデルタプラスのエリが言う。

「エリ先輩は装備を私と連携用へ変えてますから、今回は部長が先行した方が良いです」

 フミナはエリへ説明し、黄色いF90の顔をスミオの赤黒ジェガンへ向けた。

 

 ジェガンは頷く。

「向こうがチーム戦を仕掛けてくるなら、この大穴かそこまで降りた後だ。注意を怠らないようにね」

 2人へ柔らかく注意を促し、スミオは迷うことなく頭から大穴へ飛び込んだ。

 推力系は焚かない。低重力任せの自由落下。それでも速度計の数値は爆発的に上昇していく。大気が存在しないため、終端限界速度の蓋がなく、摩擦や衝撃が邪魔しない。頭の先から足下へ吹っ飛ぶように去っていく壁面の赤色灯は、間もなくただの赤い線にしか見えなくなる。

 

 各種索敵系が壁面を舐めとるように敵性反応と異常を探し続ける。雄鶏のトサカみたく増設した頭部センサー群は今のところ反応を返さない。

 静かすぎる。スミオは凛々しい眉目を鋭く細めた。試合開始から既に5分。

 この立坑(グレートシャフト)と掘削場(ジオフロント)で迎撃じゃないのか? 他の坑道を使ってこちらの側背へ迂回襲撃を試みてるのか?

 疑念が頭をかすめた刹那。

 

 視線の先、立坑の底でパッと小さな光が生じ、スミオは咄嗟にサイドスラスターを吹かして機体をヨーイング。自機がいた位置を強力な熱光線が立坑壁を照らしながら駆け抜けていく。フミナとエリも回避に成功したらしい。

 

「立坑の底、ジオフロントに敵機発見ッ!」

 強力な捜索追尾能力を誇るフルカスタムなデルタプラスを駆るエリが叫び、データリンクで情報を共有。それぞれの暗視状態のメインディスプレイにターゲットボックスが浮かぶ。闇が濃く距離があるため、はっきりとした姿は見えないが、敵そのものは捕捉した。

 

「撃ちますっ!」

 レールガンを構えたフミナが自由落下しながら発砲。仄暗いシャフト内を発砲光が照らし、赤熱色に輝く極超音速弾が立坑の底へカッ飛び、数瞬期に爆炎の華を咲かせた。

 

 着弾の爆発光が敵の姿を一瞬だけ浮かび上がらせる。スミオは見た。

 大型スマートガンを抱えた四脚機。大型化されたフルカスタムのグスタフ・カールではない。十字やらなんやらが描かれた黒×紫の中二病カラー。ゴスロリノッポの砲戦機だろう。

 

「エリ先輩、対地掃射!」フミナが吠え、

「了解です!」

 デルタプラスがフミナの黄色いF90を追い越し、両翼下に装着した4基のロケットポッドを一斉射した。一基当たり4発の超音速ロケット弾16発が奈落の底へ飛翔し、爆発。小惑星の地底を爆炎で満たした。

 

 大気が存在しないため爆発音や衝撃波は伝播しない。しかし粒子としての爆煙や破片などが物理演算に従い、開放空間―――立坑へ向かって広がる。

 

 セオリーなら。スミオが意識を立坑の底から立坑の壁面や上方へ向けた直後。

 当たり。上方の立坑側壁扉が開き、人型の機体が姿を見せた。

 

 稼働灯によって浮かぶ陰影。スマートな中量二脚。こちらもフルカスタムのグスタフ・カールではない。

「上に敵だっ!」

 スミオの警告が飛ぶが早いか、側背に回り込んだ敵機が右手のビームライフルと左背部の軽グレネードランチャーを構えた。三人の操縦ブースにロックオン警報が鳴り響く。

 

「そっちは私が防ぎます! 先輩達は下を抑えて!!」

 フミナは機体を捻り込んで上方を向き、サブアームの大盾を展開。同時に、上方の敵機が発砲。落下中のスミオ達目掛けてビームと軽グレネードが降り注ぐ。

 

 F90・メタルドレスの大盾がビームを受け止める。シャフトを照らす峻烈な爆炎。着弾衝撃がF90を大きく揺るがす中、軽グレネード弾が近接信管を作動させて熱圧力とフレシェットをばら撒く。聖鳳学園の三人は高熱圧力に機体を焦がされ、フレシェットに機体を削がれ、穿たれる。

 依然と続くロックオン警報に加え、ダメージ警告表示が浮かび上がる。

 

 フミナが敵が潜む立坑壁口へレールガンをぶっ放す。スマートな人型機は砲弾を避けるように立坑へ飛び出す。壁口に着弾。爆炎の光に浮かぶ敵は白にピンク豹柄のデコ盛り機体。オープン回線で野武士のような高笑いが聞こえてきた。

『カッカッカッ!! 流石にこのくらいじゃあ倒せへんかっ!』

 

 落下しながらスミオとエリが立坑の底へビームライフルの点射を打ち込み、四脚の牽制を続けていると、こちらもオープン回線で喚き散らしだした。

 

『笑っとる場合かーっ! 死んじゃう! このままじゃウチが死んじゃう!!』

『泣き言抜かすな、イツキッ! そんな意気地のないタマァ目ェ瞑ってたって当たらへんわぃっ!』

『意気地がないどころか殺意盛り盛りやボケーッ! ひぃっ!? かすめた! 今、かすったっ!!!』

 聖鳳学園の面々をそっちのけであーだこーだとやり合うデコ盛り人型と中二病四脚。

 

「ジオフロント落着まであと20秒!」

「ホシノさん、替われ! 底の奴を頼む!」

「了解っ!」

 スミオが背部ブースターを焚いて自由落下を強制中止。フミナは大盾を構えながら身を翻して赤黒ジェガンの脇を駆け抜ける。

 

 F90が先行したことを確認し、スミオはブースターをさらに焚いた。低重力の手を蹴り飛ばし、上方のデコ盛り人型へビームライフルを撃ちながら上昇突撃。

『おっ!』デコ盛りは楽しそうに声を上げ『来いやぁーっ!!』

 

 デコ盛りの中近距離火力戦型と中二病の遠距離砲戦型。地味なエースはどこだ?

 スミオはデコ盛り人型機と立坑内で旋回戦を始める。ブースターを焚いて消して上昇下降。クイックブーストで左へ右へ。右手のビームライフルを撃ち、背部のミサイルを放つ。

 当たる。が、致命傷や部位破壊に到らない。

 

 そして、それはこちらも同じ。赤黒ジェガンの機体性能を限界までぶん回しているが、完全な回避に至らない。ビームライフルこそ避けているが、軽グレネードの近接爆発は完全には防げない。それに、右背部に積まれたビット。アニメにありがちな、どう操作しているのか訳分からんほど飛び回ってビームをブッパしまくる謎の超兵器ではなく、イクシード・オービットと呼ばれる機体に付随機動して射撃する自律砲台タイプ。殺気が宿らない無機質な自動射撃は回避し難い。

 

 やはり事前把握していた通り、相当な実力者だ。

 ガンプラバトルへ真摯に向き合い、本気で打ち込み、心の底から楽しんでいる。良いファイターだ。しかし……プレッシャーは薄い。”死神”のような殺気を感じない。

 

「ならば、肉を斬らせてやる道理もないか」

 スミオは小さく呟き、ヘッドバルカンを発射した。散弾銃のように弾幕の展開。仄暗いグレートシャフトに曳光弾の嵐をぶちまける。

 

『ああ、鬱陶しいっ!!』

 デコ盛りの人型機が弾幕を嫌厭して動きを鈍らせた、その瞬間。

 

 赤黒ジェガンがオーバードブーストを機動。爆発的加速に機体を躍らせ、デコ盛り人型機へ一息で肉薄。ケリを叩き込む。操縦ブース内に轟く激突音。「きゃあっ!?」と可愛らしい悲鳴と共に大きく姿勢を崩すデコ盛り人型機。飛び散る装甲片や装飾に塗膜の欠片。隙だらけの胴体に向け、左腕のパイルバンカーを振りかぶる。もはや防御も回避も間に合わない。

 

「殺(と)った」

 スミオの口から無機質な殺気がこぼれ、ジェガンのアイバイザーが冷たい光をこぼした。

 

『―――あ』

 迫るパイルバンカーの切っ先に、デコ盛り人型機のファイターが戦慄し、言葉を溢れさせる。

『助けて、ホノカッ!』

 

 刹那。

 巨大立坑の隔壁扉がぶち抜かれ、熱光線が走る。スミオは咄嗟にモーションをキャンセル。ブースターを全壊して上方へ逃げる。自身のいた位置を熱光線が駆け抜け、右足の踵を削ぎ落した。

 

『遅ぅなってごめんね、アキちゃん。思いのほか通路が狭くて、裏取りに時間かかってもうたわ』

 溶解して崩れ落ちた隔壁扉が蹴り飛ばされ、横坑通路の天井に頭をかすめそうな大型機体が姿を見せた。

 

 ぞわり。

 

 有志チーム『コーテックス』最後のメンバー、カワイ・ホノカが操るその機体を目の当たりにし、スミオは強烈な悪寒を覚えた。

 こいつ……ヤバい。

 

       〇

 

 ステージ上で繰り広げられる準決勝の戦い。

 観客達が有志チーム『コーテックス』三人娘の機体を見てどよめく。

 三人娘のガンプラはこれまでと違い、グスタフ・カールモドキではなかった。パンパシフィック・チャンピオンシップはステージの事前通告と予備機の使用が認められているから、ルール違反ではない。それでも、三人全員がまったく違う機体で現れたら、驚きを禁じ得ない。

 

 引率のラルさんを始めとするガンプラバトル界の暗部や深部に通暁する古参達は、三人娘のガンプラを目にし、別の意味で思わず息を呑んでいた。

 

 たわわなギャルの機体は相変わらずデコ盛りの派手なMSで、いわゆるAC系改造の中量二脚型。すらりとしたスマートな外見は連邦軍系量産機を思わせるが、具体的なベースキットは分からない。ただビームライフル、軽グレなど中近距離火力特化仕様だ。

 

 ゴスロリノッポの機体はこれまで同様中二病チックな塗装のMSで、いわゆるAC系改造の重量四脚型。ガンダム作品ではまず見かけない4脚型で両手で大型のスマートガンを抱え、背中の左右にポッドを積んでいる。遠距離砲戦型と見て間違いない。

 

 両者ともに左右非対称型の印象的な上半身コアユニットを用いている。

 その特徴的なコアを持つ両機を見て、ガンプラ界隈古参の誰かが呟く。

「ドーブだ……」

 

 かつて存在した『最も暴力的なガンプラバトル』ことマスター・オブ・アリーナ。この闘争の宴には”死神”など正体不明のファイター達がいた。

 

 そんな正体不明のファイター達の中には、鳩のエンブレムを付けたグループがいた。彼らのつながりは分からない。彼らが何者なのかもわからない。ただ、彼らの操る機体はいずれも特徴的な左右非対称デザインの上半身コアユニットを用い、鳩のエンブレムを付けていたことから、『鳩(ドーブ)』と呼ばれていた。

 

 そして、MoAではこのドーブ達を蹴散らした強者の前にのみ現れる、”怪物”がいた。

「アイシー・トリプルエフ・セル」

 モジャ髪陰キャ少女の大型機を目にし、ラルさんは怪物の名を口にした。

 

 地味なマットブラックの機体はクシャトリアやクスィー並みの体躯だ。が、女性的な細身をしており、くびれた腰部に張り出した胸部、細く長い脚で足下はピンハイヒール状。

 頭部は左右に小翼が伸びる特徴的な形状で多眼式。背中には翼のような左右大型ユニットを装備していた。

 その妖しく優艶な機体は、MoAで悪名を馳せた怪物達の1人、セレ・クロワールの愛機『アイシー・トリプルエフ・セラ』に他ならない。

 

 ラルさんは三人娘の機体を認めるや否や、即座に『コーテックス』の引率者を窺う。

 イスラム教徒らしいスカーフを巻きながらも、カトリックの尼僧を思わせる衣服を来た妙齢の美女。業界の裏の裏まで通暁したラルさんをして、あの美女がセレ・クロワール本人かは分からない。けれど、繊細な美貌にどこか無機質な目つきとアルカイックな薄い微笑は、間違いなく当人だと確信を抱かせた。

 

 あの少女達が、特に『アイシー・トリプルエフ・セラ』を操る少女がもしもセレ・クロワールの後継者だとしたら。

 ラルさんは強い懸念を抱き、教え子達を案じる。

「皆、無事であってくれ……っ!」




Tips
ドープ
 オリ機体。元ネタはAC3に登場する管理者実動部隊のAC。
 AC3の最終ミッションにも登場するけれど、アセンとAIの関係かプレイヤー達には『強くない』と評された。
 
 原作ではミラージュ系機体だったが、本作ではミラージュ系の直線的なデザインから連邦軍系機体をベースに魔改造したという設定。
 シシドー・アキホ機。中量二脚。
 カンナギ・イツキ機。中量四脚。

 なお、ドープとはAC3の黒幕たる管理者のコードネームである。

アイシー・トリプルエフ・セラ
 オリ機体。元ネタはACSLのラスボス『i-cfff-serre』。大型の特殊機体で細身にデカいバックパックとライフルを装備している。すらりとした容貌から意外と人気がある。
 ただし、ラスボスまで進んだプレイヤー達からは『あんまり強くない』と評された。

 ACSLの黒幕たる別系統の管理者で、コードネームはアイビス。偽装AIがセレ・クロワールを名乗り、プレイヤーに接触していた。
 なお、本作でアイビスの名前を用いなかったのは、AC6のあれらと被るため。

本作ではAC系統のフルカスタム機。ベースキットは特に思いつかない。ちなみにプラモ化はされてないが、数量限定のガレージキットが販売されたことがあるとか。

セレ・クロワール/クロス・セラ
 オリキャラ。元ネタは上記のこと。
 本作ではマスター・オブ・アリーナの正体不明ファイターの一人セレ・クロワール。
 MoA解散後は認定NPO法人『インターネサイン』の理事の一人クロス・セラを名乗っている。
 なお、クロス・セラはセレ・クロワールの英語名『セラ・クロス』の変更。

9月の悪天候の関係で10月も更新頻度は低いかもしれない。ごめんなさい。
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