ビルドファイターズ・レイヴン 作:コウサカさんちのコーヒー
『遅いわ、ホノカッ! 死んじゃうとこやったぞっ!』
『ごめんて。ここ、このでっかいのが通れるとこ少ないねん』
気の抜けるやり取り。けれど、壁口に立つ漆黒の大型機は、両側から小翼を伸ばしたような頭部の多眼でスミオを捉えて放さない。
スミオは悪寒を抑えきれなかった。
ヤバい。
このファイターの強さも侮れないが、あの機体。ただの大型機じゃない。
あの細身だ。おそらく機動性と運動性はかなり高い。右腕に持つ大型のビームライフルと左腕に備えられた装着型ビームブレードは間違いなく高威力。背中に担ぐ翼のような大型左右のバックパックは表面にフジツボ染みた物が左右合わせて16、多分ビット兵器だ。おそらくミサイルも装備されているはず。
なにより、この威圧感。この圧迫感。危機感をびんびん直撃する。
『アキちゃんはイツキちゃんを助けに行って。このお兄さんはウチが相手するわ』
漆黒の大型機は多眼でジェガンを見据えながら言い、
『……その兄ちゃん、かなりやるで』と案じるデコ盛り人型機へ、
『そらそうよ』くすくすと楽しげに笑って『このお兄さん、アジアカップ日本予選でプロを何人も蹴散らして三位に入った人やもん』
『どーりで』デコ盛り人型機がげんなりと返し『じゃ、任せるわ』
スミオが反射的に降下を始めたデコ盛り人型機へビームライフルを向けるも、引き金を引けない。黒い大型機がスミオへ首を横に振ったからだ。巨大な翼状バックパックから16機のイクシード・オービットを展開して。
デコ盛り人型機はスミオの眼前を通り過ぎて立坑の底へ降りていく。その際、ちらりとスミオを一瞥し、左手で中指を立てた。
『ホノカは強いで! ウチに勝ったからってチョーシ乗んなよーっ!』
眼下で戦闘が始まる。エリとフミナ、デコ盛り人型機と中二病四脚、二組の乙女達が鉄と炸薬に熱光線を叩きつけ合う。
『ほな、こっちも始めましょか』
多眼の中心、大きな主眼がぐぽぉん! と輝く。
来る!
スミオは即座に各部スラスターを調整して姿勢制御。機体を横倒しにしながらクイックブーストを起動し、低重力の力を借りながら下方向へかっ飛ぶ。
直後、大型機の両翼から16機のイクシード・オービットが展開してビームをぶっ放した。脳波誘導兵器であるファンネルと違い、自律兵器であるオービット達は自身の火器管制と演算処理で射角・射線を調整し、目標の機動と位置を予測して偏差射撃まで行う。
「ぐぅうううッ!」
一瞬でロックオン警報と警告表示で充たされる操縦ブース。スミオは唸りながらホログラムコンソロールの光球型コントローラーをこれ以上ないほど細かく、激しく操作。赤黒ジェガンに迫る16条の熱光線を振り切るようにフルダイブ。ジェネレーターが強引な操作に悲鳴を上げ、ブースターが煌々と排気炎を輝かせる。
獲物を捕らえそこなったオービットのビーム群が巨大シャフトの壁面に赤々とした傷痕を刻む。
赤黒ジェガンは地の底へ向かって逃げながら、体躯を捻り込んで一瞬だけ大型機と向き合わせ、背中の左右ミサイルポッドから大型機へミサイルを放った。
地味な黒塗装の大型機は回避運動をする素振りすら見せない。事実必要なかった。翼型の左右バックパックの熱光学防衛システムがミサイルを迎撃。大出力のレーザーが弾頭を焼いて爆破した。
「!? アンチミサイルレーザーまで……っ!?」
吐き捨てるように吃驚するスミオを余所に、大型機は細長い足を虚空へ踏み出し、巨大立坑へ身を投じた。頭から墜ちながら大型バックパックを接続する背部基部からミサイルの返礼。ぼぼぼん! と打ち上げ花火でも発射するような音色と共に推力変更ノズルを搭載した高機動型ミサイル2発が赤黒ジェガンへ迫る。
喧しい警報と警告にミサイル警報まで加わる。レッドアラートの重奏に辟易しつつ、スミオはヘッドバルカンを選択。弾幕を展開して急迫するミサイルを撃墜。巨大立坑の宙に広がる爆煙。自身を追って急降下してくる黒い大型機へビームライフルを撃つ。
その巨体から想像もつかぬほど軽快なバレルロールで容易くビームを回避し、黒い大型機はミサイルを断続的に発射。1発。2発。3発。4発。
スミオは瞬きも忘れてミサイルをバルカンとビームライフルで迎撃しながら、急降下を継続。立坑の底に広がる
フュージョン式暗視が映す小惑星の深淵世界は剥き出しの岩肌に放置された大型掘削機に作業機械。コンテナに詰め込まれたまま置き去りにされた残土と岩塊。流れ弾を浴びて炎上する作業用プチモビ。
中二病塗装の四脚機が駆けまわりながら両手で抱えたスマートガンを撃ち、右肩のミサイルを撃ち、左肩のガトリングガンで弾幕をばら撒いている。
デコ盛りの人型機が飛び跳ねながら右手のビームライフルを撃ち、左肩のグレネードを撃ち、右肩のオービットに射撃させている。
黄色いF90が回避運動を取りつつ、鉄と炸薬と熱光線の豪雨を大盾で受け止め、受け流し、いなし、防ぎ、それどころかレールガンで撃ち返し、ヘッドバルカンで牽制までする。
問題は閉所の限定空間で空戦機動を取れないエリのデルタプラスだ。飛行形態で固定された機は低重力に逆らうように各部スラスターを起用に吹かし、フミナの背後で
歳頃の乙女達ががっぷり四つに組んで豪快に殴り合っている。
『しつこいしつこいしつこいぃ! 空気読んでさっさと往生せぇっ!』
右肩端をエリのビームライフルに削ぎ落され、中二病四脚が憤慨し、
「そんな空気読むわけないでしょっ! バッカじゃないの!!」
フミナがヘッドバルカンをぶっ放しながら怒鳴り返せば。
『こっちは年上やぞ! 口の利き方ぁ気ぃつけろや中坊!!』
横からデコ盛り人型機が吠え、負けん気の強いフミナが噛みつき返す。
『そっちこそ煽りばっか言って! 年上のくせに恥ずかしくないの、おばさんっ!』
かっちーん。中学生にババア呼ばわりされ、18歳数ヶ月のたわわギャルはキレた。
『このクソガキャア、ケツ穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるぁ!!』
『流石に下品すぎますっ!』エリが不快の念を表してロケット弾の弾幕を張った。
ジオフロントを満たす爆炎の花。
『その指摘には同意せざるを得んわぁっ!』
『イツキィ! 元はお前が原因やろっ!』
破片と熱の乱流から逃げ回りながら中二病が言い、デコ盛りが怒る。
「……盛り上がってるな」スミオが思わずブース内で呟く。
『すんません、うちの子らがすんません』
スミオのぼやきが聞こえたわけではなかろうが、黒い大型機が詫びた。切ない。
直後、大型機は姿勢制御用バーニアを焚き、ジオフロントの頭上にぴたりと静止。大型ビームライフルを構えながらオービットを展開。
スミオは凛々しい目を見開き、通信機へ叫ぶ。
「上方より対地掃射っ! 退避しろっ!」
ハッと頭上を見上げたフミナとエリが漆黒の大型機を目の当たりにし、ぎょっとし。ジオフロントに通じる斜坑連絡通路へ向け、猛進。
当然ながら、デコ盛りと中二病は指をくわえて見逃したりしない。全火力でフミナとエリの退避幅を塞ぐように砲弾と誘導弾と熱光線を”置く”。
そして、16機のオービットがジオフロントへ光の雨を注ぎ、大型ビームライフルが黄色いF90とロービジカラーのデルタプラスを狙い射るように放たれた。
「くそっ!」
スミオが牽制にビームライフルとミサイルを大型機へ撃つも、大型機はその図体とは裏腹にふわりと軽やかに運動して回避、”狩り”を続けた。
『きゃあっ!?』
降り注ぐ光の雨がデルタプラスの主翼を吹き飛ばし、デルタプラスがキリモミしながら岩底に墜落。岩肌と衝撃に各部のパーツを削ぎ落されながら跳ね、斜坑連絡通路入り口の脇に激突した。
そこへ、大型ビームライフルの一撃がトドメを刺した。然れども、デルタプラスが爆散する直前、F90が機体上部から剥がれ墜ちたウェポンラックの武器を拾い上げた。レールガンを捨て、代わりに拾い上げたビームライフルを両手に持つ。
『こいつらは私が抑えますっ! 部長はその黒いのやっつけてくださいっ!』
オープン回線で意気軒昂に吠えるフミナ。挑発を兼ねた通信に、
『吐いたツバァ呑めんぞ、中坊っ!』
『それはいくらなんでも舐めすぎぃ~っ!』
デコ盛りと中二病はあっさり釣られた。
『予定通りと言えば予定通りやけど』大型機の女子ファイターは小さく溜息を吐き、空気を引き締めて『勝負再開や!』
オービットをバックパックに収納し、大型機がライフルを放つ。
スミオはクイックブーストでビームの一撃を回避しつつ、デルタプラスの残骸を横目で一瞥。大型機に向き直る。もう悪寒は覚えていない。
無機質で冷たい目つきで、スミオは真っ直ぐに漆黒の機体を見据えた。
まるで獲物を見るように。
〇
「―――――強いっ!」
フミナは歯噛みして言葉をこぼした。
デコ盛りの中量二脚型も中二病カラーの中量四脚型も、個としての能力以上に連携の戦い方が上手い。公式による二次創作と揶揄された機動戦士ガンダムGQuuuuuuXで設定された2機1組戦術MAVがあるけれど、両機の連携はそんな体系化された動きではない。
互いを完全に信頼したうえでスタンドプレーを持ち合わせているだけだ。
それがとことん上手くかみ合っている。
デコ盛りが弾幕を張れば、中二病がフミナの退避先や防御の死角を狙って側背へ展開している。中二病がスマートガンなどで火網を敷けば、デコ盛りが回避や防御中のフミナへ距離を詰めてくる。
デコ盛りを狙えば中二病が援護し、中二病を狙えばデコ盛りが妨害する。
それでいて、
『バカタレッ! 狙いが甘いんじゃイツキッ! ウチのケツを焼く気かっ!』
『アキが鈍いんや! ゴテゴテ盛り過ぎて重すぎなんちゃうのぉ?』
『誰が腹肉あまりの豚女やっ!! ぶっとばすぞ電信柱ぁ!!』
『いきなり被害妄想のヒスり芸始めんのやめぇやっ!』
ぎゃーぎゃーと大騒ぎ。なんなんだよ、こいつら!
ベコベコにへこみたわみ、ガリガリに削れ削がれた大盾を構えながら、フミナは両手持ちのビームライフルをぶっ放す。も、デコ盛りと中二病はさらりとかわす。上手いのが腹立つ!
噴き立つ心を抱えつつ、フミナは務めて冷静に判断を下した。
ダメ。私じゃこの人達に勝てない。
自分の実力ではこの2人を倒せない。いずれ大盾が限界を迎える。そうなったら瞬く間にやられてしまう。ならば自分が為すべきことは何か。チームのためにどうすれば良い。一人残るだろう部長のためにどうすべきか。
フミナは決める。光球型コントローラーをぎゅっと握り込んだ。
黄色いF90が馬手のビームライフルを捨て、サーベルを抜く。
『おお? なんや、中坊。ええ空気出すやんけ!』
『ウチらに勝てへん人らってだいたい破れかぶれになるよね~』
デコ盛りが猛々しく笑い、中二病が冷ややかに笑う。
「破れかぶれかどうか、見せてやるわっ!」
黄色いF90がフルブーストで突貫。脚部ミサイルポッドから奥の手のフラッシュミサイルを発射。目潰しの大閃光が発生する。
『うにゃあっ!? メガーメガーっ!』
目潰しの直撃を食らい、悶絶するデコ盛り。それでもメゲた暗視系を即座に熱探へ切り替え、熱源目掛けて軽グレネードをばら撒いて突撃阻止線を張る。
『なんでマトモにくらっとんねん、もう!!』
仲間を叱りつつ、中二病が晦まされた暗視系を即座に音響センサーへ変更、F90のジェネレーター駆動音へ左肩のガトリングガンをぶっ放して突撃破砕弾幕を張る。
フミナは迷うことなく鉄と炸薬の嵐へ飛び込んだ。
装甲が削がれ、剥がされ、貫かれ、装備が砕かれ、末節が破壊され、駆動系が破砕され、内部機構が穿たれ、抉られる。大盾が割れ、貫通し、サブアームがもげ墜ちる。脛が吹き飛び、肩が千切れ、膝を抜かれ、腹を撃たれ、胸を射貫かれ、顔貌が潰された。
「この程度で―――――っ!!」
しかして、目潰しが生んだ誤差かフミナの意志の力か、F90は致命を追わず突撃し続ける。前へ。前へ。その身を磨り潰されながら、光の刃を握りしめて、前へ。ただ前へ。
ビームサーベルが振り上げられ、デコ盛りと中二病の目が光刃へ注がれた。その一瞬の意識誘導の次。本命、馬手のビームライフルが火を噴く。一秒の半分にも届かぬ反応の後れは光速で飛来する一撃を必中のものとする。
『ひゃあんっ!?』中二病四脚の右腕が肩口から吹き飛び、スマートガンが砕けた。
『このガキィッ!』デコ盛りがビームブレードで斬り込んでくる。
フミナは背部ブースターを全開にし、デコ盛りへ逆襲突撃。ビームブレードをサーベルで受け止め鍔迫り合いをしながら、半ば崩壊した顔面のヘッドバルカンを全力射撃。
『くっ!』デコ盛りは右手のビームライフルを掲げてバルカンの肉薄射撃を防ぎ、ライフルが破壊される代わりにセンサー群が集中する頭部を護り切る。
『根性見せよってからにっ!!』
鍔迫り合いつつ、壊れたライフルでF90の頭を殴り潰した。
『メインカメラがやられただけよっ!』フミナもお返しとばかりに馬手のビームライフルでデコ盛りを殴ろうとした矢先。
右腕を破壊された中二病四脚が左手にビームサーベルを握り、フミナの背を深々と切り裂く。光刃はF90の
頭を失ったF90は姿勢制御が切られ、腰を抜かすようにその場へ崩れ落ちる。
『中坊め。やりよるわ』
共同撃破したF90を見下ろして、たわわギャルが舌打ちした。
『右腕喪失、スマートガンとミサイルポッド損失。背部ガトリング残弾40パーセント。機動に影響なし。そっちは?』
自機の状態をチェックし、ゴスロリノッポが問う。
『ビームライフルを潰されたわ。ミサイルと軽グレは弾が全然残っとらん』
苦々しい声で答え、デコ盛りは頭上を窺う。
赤黒ジェガンと漆黒の大型機が排気光と発砲光を輝かせながら、巨大立坑内の宙を踊っている。鉄と炸薬、熱光線をぶつけ合う闘争なのに、心の底から楽しそうに。
『ホノちゃん。楽しんどるな』ゴスロリノッポがどこか嬉しそうに言った。
『信じられへん。アレを使うホノカ相手になんで渡り合えるんや』たわわなギャルが目を疑うように呟く。
『どうする、アキ? このままでも数的有利で判定勝ち確定やけどぉ』
『アホ抜かせ。しょっぱい勝ち方するくらいなら、スパッと負けた方がマシや』
『脳筋過ぎぃ。ウチはしょっぱい勝ちも好きやでぇ。煽り甲斐があってぇ』
『ンで相手がキレたらウチとホノカの後ろに逃げ込むんやろ。大概にせーよ』
『頼れる親友がおるって幸せやなぁ』
『それはそう』
デコ盛りと中二病は揃って息を吐き、
『ほな、やろか』
『ん。やろう』
赤黒ジェガンと踊るもう一人の親友へ通信を入れた。
『ホノカ。盛り上がっとるところにすまんの。その兄さんを狩るけぇ、降りてきてや』
〇
戦いから脱落したフミナとエリは、システムが切られた操縦ブースから離れ、ラルさんと共にバトルユニットで繰り広げられる激戦を見守る。
黒い大型機とデコ盛り人型機と隻腕となった中二病四脚を相手に、スミオの操る赤黒ジェガンがジオフロント内を疾駆し、躍動し、飛翔する。ビームライフルを撃ち、ミサイルを放ち、ヘッドバルカンをばら撒く。高度な連携を繰り出す三機を相手にパイルバンカーを振るう機会を掴めない。
大型機がオービットのビーム斉射とミサイル攻撃、大型ライフルの銃撃を繰り出している間に、隻腕の四脚がガトリングガンとビームサーベルで斬り込み、二脚が軽グレとビームサーベルで突撃してくる。
斬り込むデコ盛りと中二病へスミオが後の先で反撃を試みれば、大型機の牽制射が仲間達を護る。
よどみなく滑らかに続く連携攻撃を前に、スミオは完全に押されていた。少しずつ確実に損傷が増えていく。機体のあちこちから黒煙や火花がこぼれている。
フミナは固唾を飲んでスミオの戦いを見守り、繰り返し『頑張って』と呟く。
エリは口惜しそうに唇を引き結び、赤黒ジェガンを睨んでいる。スミオの専属ビルダーを自認するエリにとって、スミオが自身の手掛けた機体ではないことが慙愧に耐えない。
同時に、スミオを追い詰めている黒い大型機や派手な二機をビルダーとして観察していた。
機体性能に対して完成度と調整が若干、本当にわずかだけれど、まだ甘い。
試行錯誤しながら自身のイメージする機体を組み上げたというより、用意された設計図を元に作り上げた、けれど制作と調整が詰め切れていない。そんな印象を覚える。
エリは眼鏡の奥で二重アーモンド眼を動かし、相手方の引率者を窺う。
年齢不詳の美女。世俗派イスラム教徒のようだけれど、カトリックの尼僧みたいにも見える装いを着ている。無機質な目で、口元に微かな笑みを浮かべながら、教え子達の奮戦敢闘を見守っていた。まるで新たな可能性を期待するかのように。
『しぶとすぎやろ! どんだけ粘んねん!』
『しつこいーっ! いい加減、倒れてよぉ!』
デコ盛りのたわわギャルが感嘆をこぼし、四脚のゴスロリノッポが辟易と吐き捨て。
『楽しい……ほんまに楽しい……っ!!』
大型機を駆るモジャ髪陰キャ娘が笑い、汗ばんだ前髪を掻き上げた。日頃隠されていた美貌が露わになる。ネコ科の猛獣を思わせる笑顔を湛え、親友2人に発破をかける。
『アキちゃん、イツキちゃん、楽しいねっ!!』
『ああ、もう! 楽しそうなホノカはほんまにかわええっ!』
『お兄さん、もっとガンバって! もっとホノちゃんを楽しませて!』
スミオは目元の汗を拭い、ちらりと斜坑出入口を見る。
セオリーで言えば、狭隘な空間へ後退し、図体のデカい大型機を振り切り、追跡してくるだろう通常サイズの人型機と四脚を始末してから、改めて相対すべきだろうが……
試合の残り時間は三分の一を切った。数的優勢の向こうは無理をすまい。
ハイリスクな博奕をするしかないか。
スミオは密やかに鼻息をつく。可愛い後輩が気張ったのだ。先輩として応えねばなるまい。
残弾の少ないミサイルポッドをパージ。弾切れしたビームライフルも捨て、ビームサーベルとパイルバンカーの二刀流を構え、三機と向き合う。
赤黒の狩人から発せられた冷たい殺気を浴び、三人娘は意識を一瞬で改め、身構えた。
『……イツキ。分かっとんな?』
『とーぜん。ホノちゃん、やるで』
『うん。アキちゃん、イツキちゃん。勝負時や』
三人娘はそれぞれの得物を構えた。
まるで怪物へ挑むように。
Tips
シシドー・アキホ
カンナギ・イツキ
カワイ・ホノカ
オリキャラ。元ネタはサンライズのアニメ作品『宇宙をかける少女』の主役三人娘から。
もちろん原作キャラとは似ても似つかない。
アキホ。たわわなギャル。
イツキ。ゴスロリノッポ。
ホノカ。モジャ髪陰キャ娘。
当初はパンパシ編でちょろっと出すだけの予定だったのだけど、思いのほか筆が乗って濃くなったキャラ。