ビルドファイターズ・レイヴン 作:コウサカさんちのコーヒー
朝焼けが照らす雄大な荒野を二体の巨人が踊っていた。煌々とブースターを焚きながら、鉄と炸薬で大地を爆ぜさせ、自律機動兵器に宙を駆けさせ、熱光線を走らせて。
『ちょこまかちょこまか逃げ回りやがってっ!! 期待外れも良いところだっ! デカブツや有志の女達を倒した力を見せろっ!!』
オープン回線で怒号を発する黒いガンダムに、スミオはまったく返事をしない。
アニメやゲームの演出やオンライン対戦の通話機能の一般化などからバトル中にあーだこーだとやり取りする手合いが増えたが、スミオは基本的に戦っている間、相手と会話する気がない。
それに、スミオは口を動かす余裕などない。
ズタボロでガラクタ寸前の機体をぶん回し、超高校級ファイターの猛攻を回避しているのだ。無駄な会話にリソースを割く余裕など一切ない。
なにせ剛性の落ちたフレームや基部が高負荷機動にミシミシメキメキと悲鳴を上げている。繊細かつ乱暴な機動、緩急が激しすぎる運動、急上昇と急降下に急旋回を行う度、被弾していないのに機体から補修材が剥がれ落ちる。出力系と推力系の冷却が追いつかぬこれ以上の負荷は機体が持たぬと制御系が怒号を上げている。火器管制系がさっさと逃げろ死ぬぞと叫び続けている。操縦ブース内がロックオン警報と機体の過負荷警告で満ちる様は、まるでシステムが発狂したかのようだ。
そんな被弾と自壊の綱渡りをしながら、スミオは針穴を黒曜石の刃みたいな冷たく無機質な目で狩るべき相手を見据え、観察し、分析することへ注ぎ、同時に細糸の上を渡るようなギリギリの回避運動へ集中力を投じていた。
――刺突特化のファングを撃ち出している両肩の手形状バインダー……。おそらくあれは動く。四腕仕様と見做すべきだな。クロークとマントで隠しているボディにも何かしらギミックを仕込んでいると見て良い。あれだけ躍起になっているにもかかわらず露出しない辺り、こちらが本気になるまで出し惜しむか。
兎を刈るのに全力を尽くす獅子を愚かな獣と見做すタイプか、いや、違うな。これは肥大化したプライドとエゴだ。
脳裏にセレン・ヘイズが語った私立ガンプラ学園の”弱点”がよぎる。
「強すぎるプライドとエゴ」
スミオはぽつりと呟き、凛々しい双眸を鋭く細めた。機体状況からチャンスは一度。しくじれば敗北が確定する。
チャンスがあるだけで十分だ。
こいつは”死神”じゃない。
チャンスがあるなら。
仕留められる。
〇
黄色いF90が危なっかしく払暁時の荒野を翔け、純白のオリジナル・ガンダムが優美に夜明け間際の原野を踊る。
ホシノ・フミナは『最強』相手に善戦していた。
というのは傍から見た好意的評価。その実態は一方的な防戦。亀のように大盾の陰へ身を引っ込め、怯えた子供のように逃げ回り、時折思い出したように左手で持つ重ショットガンをぶっ放す。右手に握ったサーベルは御守のように握りしめたまま使わない。
日本学生界の絶対王者キジマ・ウィルフリットが駆る純白のオリジナルガンダムは傷一つ負っていない。演武を披露するかのように双頭槍を振るい、フミナを攻め続けている。
言葉は愚か呻き一つこぼさず、フミナはただただ防御と回避に集中していた。瞬きも呼吸も最低限の最小限、全てのエネルギーを操縦と思考に注いでいる。
額を伝う汗にも気づかず、身体を燃やすような緊張の熱にも気づかず。操縦ブースを充たし続ける警告音と警報に惑わされることなく、メインディスプレイに映る『最強』から決して目を放さない。ウィルフリットの発する強大なプレッシャーと終わりなき危機に耐えるストレスへひたすらに耐え忍び続ける。
その我慢は報われている。盾の防御が間に合わず、回避運動が追いつかず、装甲を削がれ、身を裂かれ、端々を切り落とされるも、機体そのものに深刻なダメージは一つもない。
不意にウィルフリットの操るトランジェントガンダムが攻撃を止め、一度距離を取った。このまま攻めてもフミナを崩せない、と判断したのだろう。仕切り直す気だ。
フミナは大きく息を吐く。たった数分の一方的防戦。けれど―――
やれてる。フミナはホログラムの光球型コントローラーを握り直す。私、最強を相手にしっかりやれてる!
最強王者の攻撃をしのぎきったという事実は、フミナに確かな自信を与えていた。
『やるな』ウィルフリットはオープン回線で告げた。『F90のファイター。君は確か……まだ中学生だったか?』
「そうです。中学二年です」
フミナは呼吸を整えながら応じた。
『妹と同じくらいか……』ウィルフリットは微かに笑い『妹と同世代の相手にここまで粘られたことは初めてだ。アリサワ選手と日々訓練している故かな?』
「それはあると思います」フミナは素直に認めた。「けど、それだけじゃありません」
『ほう? 他にも理由が?』
「はい」フミナは大きく息を吸い、お腹の底へ力を入れ、心の芯に火を入れ直す。これを言えば、きっとキジマ・ウィルフリットはもうこちらを甘く見ない。だけど、言う。”言う”必要がある。
「私には貴方より強い人と戦った経験があるからです。リンクス最年少プロ。リリウム・ウォルコットと戦った時ほど、貴方に絶望感を覚えません」
それは挑発であり、同時にフミナの本心だった。
自身と同い年にして国際シリーズ『キング・オブ・リンクス』のトップランカーである天才少女リリウム・ウォルコット。アジアカップ予選で戦い為すすべなく完敗した。手も足も出なかった絶望感。敗北の悔しさ。あの胸の痛みを決して忘れていない。
瞬間、キジマ・ウィルフリットの雰囲気が変わった。
それは格下に侮辱されたという怒りではない。
獰猛なまでの自尊心。同時に極めて好戦的な”興味”。
『天才少女と名高きプロファイターを知っている、か』純白のガンダムが双頭槍を構え『面白い。ならば、君にこのキジマ・ウィルフリットの実力も正しく知ってもらおう』
凄まじい圧力にフミナは思わず息を呑み、確信する――ここからは本気で来る、と。
けれど部長の言う通りなら、それこそが好機。
――OO系機体を使っている以上、本気で攻勢に出る時は必ずトランザムを使う。そこを狙え。機体性能を跳ね上げた超高速機動はファイターの制御を離れた時、脆い。
アリサワ・スミオは凛々しい顔に薄い笑みを湛えて、フミナへ言った。
――あとは君次第だ。”フミナ”。
あんな風に言われたら発奮しないわけないじゃない。
フミナは素早く目元へ流れる汗を拭い、光球型コントローラーを握り直す。
「そっちこそ覚えてください」
最強を真っ直ぐ見据え、告げた。
「私は聖鳳学園ガンプラ学園、ホシノ・フミナです!」
〇
「くそっ! 地上は盛り上がってるのに……っ! こりゃあんまりだぜ!!」
スガ・アキラは成層圏の蒼空で
前進翼のデルタプラスはそんなスガの苦情を完全に無視し、ひたすら逃亡と牽制を繰り返す。
と、不意に青白いデルタプラスがクルビット――逆上がりでもするように突如後転。前進しながら機首を後方のスガへ向けるという高機動を取った。同時に翼下から四発のミサイルを発射。ロックオンは無し。だが、ミサイルがロケットモーターを点火して翔け始めた直後、スガの操縦ブースに鋭い警報が飛ぶ。
「ミサイル自身の二次ロックか!」
スガは即座にデルタプラスの追跡を中断し、回避へ移った。フックからフルダイブマニューバ。追ってくるミサイルへ向けてチャフとフレアを放出しつつ、ジャミングを展開し、磁気と波を欺瞞する。
4発のミサイルはスガの操る小柄なデンドロビウム染みたGストライカーを逸れ、眼下へ消えていく。
「ヒヤッとさせてくれるぜ!」スガは上方の美麗なデルタプラスを睨み、再び追跡を再開する。
自身がかわしたミサイルの行方を気に留めることなく。
放置された4発のミサイルは連邦軍重戦闘機を逃すや、最後端からパラシュートを展開。イギリス製空対地ミサイルと同じく滞空モードへ切り替わり、タンポポの綿毛のようにふわふわと緩やかに流され、ゆっくりと落ちていく。
4発のミサイルは落下傘で緩降下しながら、地上の様子をじっと見つめる。
デルタプラスを経由してデータリンクした味方と敵の情報を更新。地上の白いガンダムと黒いガンダムを新たな標的に定め、ミサイルはパラシュートを切り離し、ロケットモーターを再点火。隕石のような勢いで地上へ駆けだした。
その時、キジマ・ウィルフリットは愛機トランジェントガンダムのトランザムモードを使用し、全性能大幅向上と超高速機動状態へ移行。ホシノ・フミナのF90・メタルドレスへ強襲し、圧倒していた。
その時、アドウ・サガは愛機ガンダムジエンドをアサルトモードへ切り替えるか思案していた。クロークを展張して全ギミックを惜しげもなく晒して圧倒するか、このままクロークを広げず戦い続けるか。そんな思案をしていた。
そんな両者の元へ、完全な死角と認識外から超音速ミサイルが襲い掛かる。突如鳴り響く警報と浮かび上がる警告表示。両者の意識が反射的に、あるいは自己防衛本能的に正面の相手から迫りくるミサイルへ向いた。
激戦の最中に生じる明確な隙を、フミナは逃さない。両脚に据えられたミサイルポッドからフラッシュミサイルを発射。同時に背部ブースターを全開し、逆襲突撃へ。
熱闘の只中に生じた鮮明な空白を、スミオは逃さない。背部の左右ミサイルポッドからフラッシュミサイルを発射。同時にオーバードブーストを発動し、超高速突撃へ。
「「ッ!」」
大閃光に視界を埋め潰され、眼前の『敵』を見失ったウィルフリットとアドウの判断は揃って同じだった。
ウィルフリットは面白いと薄く笑い、この不測の事態と危機に乗じて迫りくるだろうフミナを迎え撃つ。
アドウもまた退かなかった。この不測の事態と危機を小賢しいと吐き捨て、アサルトモードへの移行を決断する。
自身の実力に自信と自負を持つ2人は、この状況を絶対的な危機と見做していなかった。
その判断の正否と是非は即座に判明する。
〇
OO系ガンダムの最大の特徴――時間制限付きの性能上昇機能トランザムモード。
必勝・必殺の一手と化す半面。急激な性能変化に機体を扱いきれなければ、プラフスキー粒子を大幅に浪費した挙句にトランザムモード終了時の反動―――全性能の低下により、敗北へ転落しかねない。
キジマ・ウィルフリットは言うまでもなく卓越した使い手であり、トランザムモードを完全に使いこなしている。フラッシュミサイルで視界を塗り潰され、各種センサー群が混乱する中、超高速機動で離脱退避を選ばず、真正面からフミナを迎え撃つ。
「おおおおおおおおっ!」
自身を鼓舞する雄叫びをブース内に響かせ、鉄風雷火の如き猛弾幕を超高速機動で回避し、両手のGNパルチザンで切り払う。如何にトランザムモードでも指数関数的散弾の嵐を全て避け、防ぐことはできない。純白の機体を削ぎ、穿つ散弾。然してその数は少なく、致命傷にはほど遠い。
だが、そんなことはフミナも承知のこと。
「やぁああああああああああああああっ!!」
フミナは声を張り上げて奮い立ち、最強王者へ向かって突撃していく。
リリウム・ウォルコットへ突撃した時、容易く返り討ちに遭った。
コーテックスの2人へ突撃した時、チームを勝利に導く嚆矢を生んだ。
そして、銃身が焼きつきそうな勢いで散弾をばら撒きながら、最強王者相手に突撃した時。
「その意気や良し!」ウィルフリットは麗貌に凛々しい微笑を湛え「しかし、甘いっ!」
ウィルフリットは受けて立つのではなく、後の先を奪い取るように自ら弾幕へ向かって躍り出る。
白いガンダムが握る両手の双頭槍が青い刃が舞い、散弾の嵐を切り裂く。ビームサーベルを発振した黄色いF90へ二条の剣閃が振るわれた。
左右から挟みこむような横薙ぎから、払暁の荒野に轟音が響き渡る。斬り飛ばされた大盾とサブアームが荒野に落ち、土埃を上げながら突き立つ。
「君の名を覚えよう。聖鳳学園のホシノ・フミナ」
ウィルフリットは告げた。
「君は強いファイターだ」
F90のビームサーベルはトラジェントガンダムに触れて止まっていた。熱光線の余波に純白の装甲表面が焼け焦げている。
一方、トランジェントのGNパルチザンはF90の大盾とサブアームを切り飛ばした後、その刀身を黄色いボディへ深々と埋めていた。馬手の刃はジェネレーターを、弓手の刃はコクピットを完全に断っている。実戦ならば、文句なしの完全撃墜だった。
ウィルフリットは完全に無力化したF90から刀身を引き抜き、激しい戦闘騒音を轟かせるエアーズロックへ顔を向け、飛翔した。
ダウンした操縦ブースの中で、フミナは俯いて拳を強く握りしめていた。綺麗な指が真っ白になるほどに強く。涙は溢れずこぼれず。けれど吐き気を覚えるほどひたすらに悔しかった。
また……
あれだけ条件が揃っていたのに。
また、届かなかった……っ!!
ホシノ・フミナが痛悔に歯を食いしばっている時。
フラッシュミサイルの目潰しが煌めく中。ガンダムジエンドがクロークを展張してアサルトモードへ移行する寸前。ズタボロのジェガンは肉薄に成功し、左腕のパイルバンカーを振るっていた。
ずどん!
「ぐぉおおおおおおおおおっ!?」
轟音と共にパイルが左クロークをぶち抜き、指向性爆薬が炸裂する。爆発により左クロークが吹き飛び、通常の左腕と両肩に装着していた大型クローアームが基部から完全に破砕され、千切れ飛ぶ。
同時に激甚な反動に耐えきれず、ジェガンの左腕が肩からボロッと脱落したが、ジェガンは一切構わず追撃へ移る。パイルバンカーの衝撃から立ち直れないジエンドへブーストキック。右クロークが大きく歪み、展張が妨げられる。激突の衝撃でジェガンの右爪先が砕けたけれど、やはり無視。スミオは右手のビームライフルを構えた。
ジエンドがパイルバンカーとブーストキックの連続攻撃でぶっ飛ぶように後退したところへ、ダメ押しにビームライフルの連射。ジエンドの厳めしい頭が吹き飛び、右肩クローアームが爆発し、左脚が膝から千切れ、右脚の脛から先が爆散。デビルガンダムを彷彿とさせる面構えのボディをビームが一発、二発と貫通していく。
「バカなッ! 俺のジエンドがっ!?」
一瞬。ほんの一瞬で最強王者ウィルフリットと並ぶ猛者アドウ・サガは無力化された。その事実に、アドウは理解が及ばず混乱と困惑、それに機体の本領を発揮することなく無力化されたことに激情が荒れ狂う。
「”やはり”脆いな」
スミオが呟く。
ギミックを仕込めば、それだけ構造的脆弱性が生じる。アニメやゲームでは無視できることも、プラモデルの実機で行われるガンプラバトルでは、現実的問題として生じる。
別段感情を露わにすることなくトドメの一発を打ち込み、スミオは黒いガンダムを始末した。まぁ強いことは強かったが、性能や装備を出し惜しみするようなマヌケ相手ならこんなものだろう、と小さく鼻息をつく。
直後にブース内へ警報が飛び、二条のビームが飛んできた。クイックブーストで緊急回避。純白のオリジナル・ガンダム。絶対王者の御来訪だ。
『アドウを倒したか。流石だな』
オープン回線で届く声音には喜色がこもっていた。まるで期待通りだと言いたげに。
『そちらが万全で無いことが残念だが……その力、見せてもらおう!』
スミオは小さく溜息を吐いた。
機体状態は警告表示で真っ赤。長丁場になったら自壊しかねない有様。流石にこの状態で公式戦無敗の絶対王者に勝てると思うほど自意識過剰じゃないし、諦めなければなんとかなると考えるほど、夢見がちではない。
「最強王者相手にハンデを背負って挑戦か。まいったな」
オンボロなジェガンがビームライフルを捨て、腰のラックからサーベルを抜く。発振。ぶぉん、と光刃が伸びる。
双眸に宿る鋭さは普段の狩人染みたものではない。
矢尽き、刀折れ、尾羽打ち枯らしてなお、意地を見せると決めたファイターの目だった。
〇
勝ちに徹すれば、容易く勝てる。
それほどにアリサワ・スミオのジェガンは損傷が大きい。対してウィルフリッドのトランジェントガンダムはいまだ万全に近い。GNパルチザンを射撃モード、あるいはGNビットモードに切り替え、トランザムを行使すれば、万難を排して撃破することは易い。
しかし、ウィルフリットは確実な勝利より自らの欲求を優先させた。
アジアカップ日本予選3位。国内プロを倒し、外国の強者を倒し、新進気鋭の天才少女をあと一歩まで追い詰め、自身が認めるアドウ・サガに全力を出させる暇を与えず仕留めたその実力とタクティクスを、自分の目で、自分の機体で味わいたいという欲求を。
ゆえに、ウィルフリットは剣戟に臨むジェガンへ付き合い、両手の双頭槍を構えた。
曙光が照らす荒野で、互いに切っ先を向け合う二機のモビルスーツ。
先ほどまでの激戦がウソのように静まり返る戦場。航空から届く排気音の響き以外に如何なる音色も存在しない。
アイバイザーすらなくヘッドカメラを剥き出しにしたジェガンの放つ殺気と圧力の高さに、ウィルフリットの端正な顔が薄く歪む。まるで捕食獣が牙を見せるように。
卓越したファイターとしての勘が告げていた。
この相手の刃は自分を倒し得ると。侮って掛かればこちらがやられると。
強い。間違いなく強い。
『……残念だな』
獰猛に微笑んだまま、ウィルフリットは呟く。
『万全な状態の、噂に聞くMkVを使う君と戦いたかった』
『来年の全国大会で戦えるかもしれない』
スミオは答えた。この剣戟に乗ってくれたことへの礼儀として。
半壊状態のジェガンがブースターを焚き始めた。高周波の駆動音。強烈な排気に巻き上がる土埃。
ウィルフリットもまたトランザムを起動させ、背部スラスターベイを焚く。眩い蒼光が発せられ、まるで翼のように広がる。
両者から発せられるあまりにも濃密な殺気と強圧な戦意に呑まれたのか、会場全体が完全な静寂に満ちた。観客も大会運営も固唾を飲んで決闘の行方を見守っている。
そして―――夜の残滓が払拭され、地平線が朝日に染め上げられていく間際。
ジェガンがオーバードブーストを発して激走し、
トランザムモード中のトランジェントガンダムが疾駆し、
両機が矢のように駆け、光刃が交錯する。
斬り飛ばされる純白の左腕が荒野に落ちていき。
ジェネレーターを切り裂かれ、真っ赤な超高熱プラズマが鮮血のように噴出させる、赤黒の機体。
迎えるタイムアップ。
聖鳳学園・残存1名。
私立ガンプラ学園・残存2名。
勝者、私立ガンプラ学園。
パンパシフィック・チャンピオンシップU‐19日本予選優勝、私立ガンプラ学園。
解説
キジマ・ウィルフリット
本人は真面目にバトルへ臨んでいたが、自分から相手の土俵に乗って戦うというある意味”舐めプ”してフミナとスミオを撃破した。
原作の最強キャラなのだけれど、バトル素人の原作主人公とわざわざガチンコの勝負を選んだりする辺り、成果より自身の愉しみを優先するタイプだと思う。
アドウ・サガ
猛者・強者との戦いを渇望し、相手をぶっ潰すことが大好きなバトルマニアな半面、機体性能や装備を出し惜しみする(雑魚に全力は出さない)という悪癖があり、本作では主人公にその精神的隙を突かれ、全力を出せぬまま敗退した。
原作では間違いなく強キャラなんだけど、作者はなんか小物感が拭えず、こういう形になりました。
スガ・アキラ
一番割を食った人。