エンデヴァーに転生したならエッチしまくるしかない。 作:れとろ
土曜日の午後。家族で昼食を食べ終えた燈矢は自室で宿題を終わらせるため、ノートにペンを走らせる。
早く終わらせて父さんと鍛錬をするためだ。
五歳の頃、個性が発現して父さんと同じ炎を操る個性を授かった、でも肉体的な性質は母さんの低温耐性を濃く引き継いで、炎の個性との相性が最悪だった。
病院にも連れて行かれてお医者さんには余り個性を使わないようにとも言われた。でも燈矢はヒーローになりたかった。
いつもテレビで見る、真っ赤な炎を振り撒いて敵をやっつける父さんみたいなヒーローに。
でも正直、半分くらいは諦めかけて絶望していた。それでも父さんだけは燈矢の夢を諦めなかった。
父さんは言ってくれた。
自分ルール
「お前が本気の高火力を出す時は。自分の大切なものを死んでも守り抜く時だけだ」と
このルールを守るなら燈矢を鍛えてくれると。
それからは鍛錬の日々だった。父さんは、マイト何とか先生の教えを沢山教えてくれた。父さんの知り合いにマイトが付くのはオールマイトだけだからきっとオールマイトの教えだと思う。
父さんはひたすらに体術を鍛えろと言って、実際に厳しく指導された。
「いいか燈矢、お前は体質的に個性を制限せざるを得ない。それは冷却装置を装着しても同じだ。問答無用で個性を使ってくる敵にそれは余りにも不利。だから体術だ! ヒーローの中には直接攻撃に向かない個性でも優れた格闘戦能力で敵を倒すヒーローもいる。お前は個性を鍛える前にまず! 体術のスペシャリストになれ‼︎」
そう言って父さんが学び、実践の中で培った我流の体術『火葬拳』を叩き込まれた。今じゃ体術だけなら同年代に負けない自信がある。
それに個性も歳を重ねる事に少しずつではあるけれど火傷せずに出せる火力が上がって来てる。
父さんでも出せない高火力の青い炎も数秒だけなら拳に纏える。
でも最近は稽古を見てもらえる機会が減った。
もう12歳で来年は中学生になるんだから自主練に慣れろって、でも燈矢は本当の理由をしっている。
夜中にたまたま目が覚めて水を飲もうとキッチンに行った時、居間でお酒を注ぐ母さんに「稽古に付き合ってやりたいけど……三十超えたらキツいは……」って父さんが言ってたんだ……。
思い返してみれば父さんは休日はダラける事が増えた。
パジャマのまま着替えもせずに朝から居間で寝転がって、弟の焦凍をお腹の上に乗せて、お酒を飲みながらテレビを見て、たまに綺麗な女性ヒーローが映ると鼻の下を伸ばして母さんに引っ叩かれてる。
でも燈矢はそんな父さんが好きだ。いや、燈矢だけじゃない冬美ちゃんや夏くんも、きっと焦凍もだ。
ダラダラしていても遊びに誘ったら遊んでくれて、鍛錬の成果を見てって言えば何時間も付き合ってくれる。
この前も冬美ちゃんが「お父さん!おままごとしよ!」って誘ったら一緒に遊んでた。遊び終わった頃には父さんの顔はおもちゃのメイク道具でめちゃくちゃな化粧をされててみんなで笑った。母さんは携帯で写真まで撮ってた。父さんは苦笑いしながら顔を拭いてたな。
学校のクラスメイトで親がヒーローをしている子達はたまにしか会えなく寂しい。家族旅行も行ったことないって言ってたけど。わが家の父さんは毎日家に帰ってくるし、一緒にお風呂も入ってる。
それどころ毎年家族旅行に連れて行ってくれるし、授業参観や運動会も毎回来てくれる。
クラスメイトやその両親は驚いているけど。
ヒーローの父さんも、家ではダラダラしてる父さんもどっちも大好きだ。
そんな事を考えながら宿題をしていると部屋の引き戸がスパンっ!と勢いよく開けられ「燈矢兄ぃ!あそぼ!」って冬美ちゃんと夏くんがボールを持ってやって来た。
「いいよ!焦凍は?」
「父さんとヒーローごっこしてるよ」
ヒーローごっこか……懐かしいな、昔、父さんとよく遊んだなぁ…… 。
妹と弟に手を引かれて庭に連れて行かれる。
そんな日常を燈矢は過ごしている。
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「くらえ!ぷろみねんすばーん!」
父の必殺技を口にしてまだ個性も発現していない末っ子のパンチを焦凍の身長に合わせて屈んで胸に受ける炎司は「やられた〜」と大げさに口に出し、バタリと倒れる。
いつもしているヒーローごっこの定番の展開だ。
この後、死んだフリをして焦凍が本気で焦りだし半泣きになるまでがお約束でその後は焦凍が飽きるまで、何度も必殺技を食らっては倒れるを繰り返す。
炎司は子供に恵まれたなと思う。
長男の燈矢は中学生になり個性制御も体術の鍛錬も順調であり、冬美も夏も焦凍も、わが子はみんな良い子ばかりだ。
次男の夏が産まれた頃に、事務所を移転してサイドキックも十人程雇った。
表向きは様々な状況に広く対応する為と言ってあるが本当は家族と過ごす時間が欲しいからだ。
テレビを見ながら寝転がり、はしゃぐ子供達の声を聞きながら酒を飲む。こんな生活が送りたかったから。
冷との関係も良好だ。夏雄も焦凍も冷が積極的だから出来た子達だ。
相変わらず炎司が受け身で冷の方が積極的だが……。
「父さんおなかすいたー」
遊び疲れたらしい焦凍が甘えて抱きついてきた。
「なら母さんにお菓子でも出して貰おうか」
そう笑いながら言って小さな焦凍を抱き上げ、冷のいる居間まで歩いていく。
焦凍は腕の中でも落ち着きがなく、顔やら髭やらを触ってくるが、居間に付き、下ろしてやると、タタタッと軽快な足音を立て冷の下にかけて行く。
「母さん!お菓子ちょうだい!」
「あらあら、お腹すいちゃったの?」
「うん!」
「ちょっと待っててね、ホットケーキ作ってあげるから」
その言葉に焦凍がはしゃぐ姿を微笑ましく見ていたら冷から「貴方、他の子達も呼んできて」と言われたから子供達の自室まで呼びにむかい、結局、家族全員でのおやつタイムになった。
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今日は夏雄の8歳の誕生日だ。事務所からの帰りにデパートに寄って、欲しがっていた『Xスーテーション5』とソフトを何枚か買った。店員に頼んでプレゼント用の包装紙で包んでもらう。
ケーキは冷が冬美と一緒に作ると言っていたな。
我が家は人数が多いから誕生日ケーキはいつもホールを二つ買っていたが、いつからか冷が家で特大のケーキを作るようになっていた。
家に着き、乗っていたハイヤーから降りて玄関を開けた。
「ただいま」
「おかえり父さん!」
「お父さんおかえり!」
焦凍と冬美がバタバタと走ってきて出迎えてくれる。
冷は夕飯の準備に忙しいんだろ。
「燈矢と夏は?」
「二人ともお母さんのお手伝いしてるよ」
「今日は夏の誕生日なのに主役が手伝いとは、真面目なやつだなー」
冬美が鞄やらジャケットやらを持ってくれて、焦凍に腕を引かれながら居間に行くと、食卓の上にはいつもより豪華な料理が並んでいた。
「あら、あなたお帰りなさい」
「ただいま」
冷がキッチンから顔を出して、炎司の下に歩いてくるとその頬にキスをして炎司も冷の頬にキスを返す。
いつも通りの夫婦のやり取りで子供達も気にしていない。
━━━食事が終わりケーキを食べ終わった頃にプレゼントを渡すと夏は、はしゃいで喜んでくれた。しばらくはゲーム三昧になるだろうな。
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炎司は黒いTシャツとジーンズに赤いミラーレンズサングラスをかけて、二十年以上ぶりに雄英高校に来ていた。
今日は燈矢が雄英に入学して初めての雄英体育祭だ。
冷と冬美、夏、焦凍も連れて応援に来ている。
燈矢の髪は昔は赤色だったが今では冷と同じ白髪だ。本人は残念がっていたがよく似合うと思う。冷に似た綺麗な髪だ。
燈矢は予選、本戦と順調に勝ち進み、今は決勝を戦っている。
一対一のガチンコバトルだルールによりサポートアイテムの冷却装置は着けていないが、それでも燈矢は勝ち進んだ、あいつには徹底的に体術を叩き込んだからな。
火葬拳だ、炎司が生み出した我流の体術。拳や足に炎を灯して攻撃する、見た目が派手なわりに炎自体が敵の身体に触れるのは打撃の瞬間のみだから大火傷を負わせずにすむ。
それでも炎のついた拳で殴られたる心理的なインパクトは強烈なものであり。構えるだけでも敵を萎縮させる効果がある。
今では炎司は敵達に『火葬拳の男』と異名をつけられている。
ヒーロー・エンデヴァーには異名が多い。マスコミやファン、敵達が付けて広まったものだ。
火葬拳の男もその一つで他にも
━━愛妻ヒーロー
━━定時ヒーロー
━━子煩悩ヒーロー
など凡そヒーローとは思えない異名が殆どだが、旅先やショッピングセンターで子供達を連れていたのを大勢の市民達に見られているからな。
家族を持たないヒーローは多い。人質に取られる危険や逆恨みした敵に襲われる危険があるから結婚もせず、子供も作らないと言うヒーローが。
だが炎司は逆だ、家族がいるからヒーローを続けている。
炎司には正義感も、力ある者としての義務感もない。自分の知らない他人が何処でどうなろうが知った事ではない。
それでもヒーローを続けているのは家族に、冷や子供達にカッコいいと、お父さんがいれば何も心配いらないと思って欲しいからだ。…………あとはモテたい。
冷と結婚してからの人生は余生と思い、ダラダラと家族と過ごし、気が向いたら本気でヒーローしてみて、またダラダラ過ごす。
それでもNo.2ヒーローを維持できるくらいにはエンデヴァーの身体は優秀だった。
ワアアアアアアアアアアアアア‼︎ と言う歓声があがり実況が燈矢の優勝を叫ぶ。
「貴方!燈矢が優勝したわ!」
「燈矢兄すごいよ!」
「おめでとー!」
「燈矢兄かっこいい!」
家族がはしゃぐのを横目に見ながら炎司はこれからの事を考える。
雄英体育祭が終われば、ヒーロー科の一年は職場体験に行く事になる。
エンデヴァー事務所でも例年、見込みのある学生を指名している。場合によってはインターンも受け入れる。
優勝した燈矢には指名が殺到するだろう。それにエンデヴァーの息子と言うステータスもある。
とりあえずは燈矢を指名するとして、他はどの子にしようか。別に燈矢だけ受け入れでもいいが依怙贔屓と思われるのもな。
まあ、適当にサイドキック達に選んでもらうか。
━━━燈矢の優勝祝いを家族でしてその日も冷と同じ布団で眠りについた。
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燈矢が雄英を卒業してエンデヴァー事務所に入ってもう六年になる。
まだまだ売り出し中の若手ヒーローだがヒーロービルボードチャートJPでは20位の人気がある自慢の息子だ。
最近はサイドキックも増やして今は三十人体制で事務所を運営している。おかけでダラダラできる日も増えた。
エンデヴァー個人の事件解決数No.1はとっくに返上したが事務所単位ではNo.1のままだ。
炎司は今年でもう45歳になるが正直もう引退してもいいと思っている。
事務所は燈矢が継ぐだろうし、経験豊富なサイドキック達もいる。充分にやって行けるはずた。
それでも焦凍がヒーロー免許を取るまでは辛抱して続けるつもりだ。
焦凍は今年、雄英高校に進学する。
原作通りと言った所だが、焦凍が入学してからの展開を炎司は知らない。
まあジャンプ漫画だから酷い事にはならないだろうし最終的には何かあっても勝つんだろし。
父さんはあまり役に立てないが、友情・努力・勝利で頑張ってくれと思う炎司だった。
「父さん」
「ん?どうした?」
家族で夕飯を食べている最中、炎司の向かい側に座る夏雄が、すこし悩まし気な表情で話しかけてくる。
この表情をする時は何か欲しい物がある時だな。
「実はさ……大学に行くのを機にさ……一人暮らししたくて」
「あら、夏くん、一人暮らしがしたいの?」
「うん。燈矢兄も雄英卒業してからは一人暮らしだしさ。俺もしたいな、なんて」
冷に聞かれて夏が訳を話すが、そうか……まあ一人暮らししたい気持ちもわかる。
俺も昔はそうだった。前世でもこの世界でも。
いろいろ学ぶ事も多いだろうし、実家じゃ女の子も連れ込めないしな。
「わかった、いいぞ」
「ほんとに⁈」
「ああ、今週の土曜日にでも部屋を探し行くか」
「ありがとう!父さん」
嬉しそうに笑う夏雄を見て、ふと思いついたて冷の横でご飯を食べている冬美にも聞いた。
「冬美は一人暮らしはしたくないのか?」
「ええ⁈ 私はいいよ。仕事も大変だし、家事とか手が回らないって」
「教師は大変そうだな……まあしたくなったら、いつでも言うんだぞ」
そう言ってやると冬美は喜ぶと思ったがムスっとした顔で唇を尖らせジト目で見てる。
「……お父さん、私に家を出て行ってほしいの?」
「いやいや⁈ そんなことは言ってないだろ」
「じゃあ、ずっと居てもいい?」
「好きなだけいればいい」
「んふふ、ありがと」
どうやら厄介払いされてると思われたみたいだが、
別にそんなつもりは無かったし、恋人ができるか結婚するまで優雅な実家生活を満喫すればいい。
クスクス、と炎司と冬美の会話を聞いて笑っていた冷が焦凍に話をふった。
「焦凍も雄英でお友達ができるといいわね」
「もう、一人できたよ」
「あら、まだ入学してもいないのに?」
「イナサってやつ」
ああ、彼か。焦凍を雄英の推薦入試に連れて行ったときに知り合った子だ。
たしか風を操る個性だったか。元気がよくファンだと言ってくれたからな、調子に乗ってサインを書いてあげたりアドバイスとかもしてしまった。
焦凍は人見知りを発動して炎司の上着を握り背中に隠れてしまったが、人見知りだが仲良くしてやってくれと言ったらイナサ君は根気よく焦凍に話しかけてくれていた。
知らない内に友達と言える仲になっているとは思わなかったが。
あの子も推薦試験には合格しているだろうし、四月からは焦凍と同じ雄英ヒーロー科に通う事になるだろう。息子の幸先が良くて何よりだ。
なにせ焦凍は末っ子で、子供達の中では一等甘えん坊だった。
炎司も子育てに慣れた30歳の時にできた子だから甘やかした。
よく子供に「かわいい」と言い続けると本当に可愛く育つと言う話があるが、それは本当だな。
幼少時から炎司が「かわいい」「かわいい」と言い甘やかして続けた結果。
もう15歳にもなる焦凍は肌はニキビやシミ一つない白い柔肌にストレス無くスクスクと育ってきたため目元は穏やかで、一見して女の子に間違えられる程だ。
性格も物静かで大人しく、ぽやぽや雰囲気を漂わせている。
原作でヒーロー科に通っていたとはいえ、できればこの可愛い末っ子を危ない目に遭わせたく無く普通科に通って欲しいエンデヴァーだった。